特許第6373802号(P6373802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373802
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】クランプ
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/22 20060101AFI20180806BHJP
   F16L 3/12 20060101ALI20180806BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   F16B2/22 C
   F16L3/12 G
   B60R16/02 623D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-125000(P2015-125000)
(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-9030(P2017-9030A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100088708
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 徳雄
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−167284(JP,U)
【文献】 特開2003−185061(JP,A)
【文献】 特開2005−331044(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/188473(WO,A1)
【文献】 特開2012−237350(JP,A)
【文献】 特開2005−133783(JP,A)
【文献】 実開平06−058290(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R16/00−17/02
F16B2/00−2/26
5/00−7/22
F16L3/00−3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ等の長尺物を収容する凹部と、前記凹部を区画している一対の側壁のうち少なくとも一方の側壁上部から凹部底側に向けて斜め下方に突出された弾性抜け止め片とを備え、前記抜け止め片が長尺物を前記凹部に挿入するときに前記側壁上部に接合された連結部分を支点として前記側壁方向へ揺動変位して逃げ、挿入後は復帰して前記凹部に収容した長尺物周面に下端を当接して長尺物を抜け止めするクランプであって、
前記抜け止め片は、前記長尺物の長手方向に沿う断面積として最も少ない荷重低減部を前記連結部分と前記下端との間に形成しており、前記連結部分から前記荷重低減部との間にかけて前記断面積が徐々に減少し、かつ、前記荷重低減部から前記下端に向かって前記断面積を徐々に増加していることを特徴とするクランプ。
【請求項2】
パイプ等の長尺物を収容する凹部と、前記凹部を区画している一対の側壁のうち少なくとも一方の側壁上部から凹部底側に向けて斜め下方に突出された弾性抜け止め片とを備え、前記抜け止め片が長尺物を前記凹部に挿入するときに前記側壁上部に接合された連結部分を支点として前記側壁方向へ揺動変位して逃げ、挿入後は復帰して前記凹部に収容した長尺物周面に下端を当接して長尺物を抜け止めするクランプであって、
前記抜け止め片は、前記長尺物の長手方向に沿う断面積として最も少ない荷重低減部を前記連結部分と前記下端との間に形成しており、前記連結部分から前記荷重低減部との間にかけて前記断面積が徐々に減少し、かつ、前記抜け止め片の突き出し方向に沿ってリブを形成していることを特徴とするクランプ。
【請求項3】
パイプ等の長尺物を収容する凹部と、前記凹部を区画している一対の側壁のうち少なくとも一方の側壁上部から凹部底側に向けて斜め下方に突出された弾性抜け止め片とを備え、前記抜け止め片が長尺物を前記凹部に挿入するときに前記側壁上部に接合された連結部分を支点として前記側壁方向へ揺動変位して逃げ、挿入後は復帰して前記凹部に収容した長尺物周面に下端を当接して長尺物を抜け止めするクランプであって、
前記抜け止め片は、前記長尺物の長手方向に沿う断面積として最も少ない荷重低減部を前記連結部分と前記下端との間に形成しており、前記連結部分から前記荷重低減部との間にかけて前記断面積が徐々に減少し、かつ、前記連結部分と前記下端との間に設けられた穴部又は窪み部を有していることを特徴とするクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ等の長尺物をワンタッチで保持可能なクランプのうち、特に長尺物を収容する凹部及び凹部に収容された長尺物を抜け止めする弾性抜け止め片を有したクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
図7は特許文献1に開示のクランプを示し、(a)はクランプを使用態様で示し、(b)はクランプの要部を示している。このクランプKは、長尺物Hを収容する凹部2と、凹部2を区画している一対の側壁3の上部から凹部底側に向けて斜め下方に突出された弾性抜け止め片4と、パネルPへの取付部8とを備え、抜け止め片4が長尺物を凹部に挿入するときに側壁上部に接合された連結部分(接合部分)5を支点として側壁方向へ揺動変位して逃げ、挿入後は復帰して凹部2に収容した長尺物周面に下端を当接して長尺物を抜け止めする。
【0003】
以上のようなクランプは、例えば、車両において各種の配管などを保持する場合、複数個を使用して配管などを複数箇所で保持することが多い。その場合、弾性抜け止め片との関係では、作業性及び保持性の点から、配管などを凹部に押し入れる挿入力は作業者の負担を減らすため低く抑え(挿入力の低減)、逆に挿入後の抜け止め力は振動等により不用意な外れを生じないよう高く維持されることが望まれる(抜去力の向上)。文献1は、そのような相反する要求について検討追求した構成を開示している。
【0004】
すなわち、文献1の構成では、抜け止め片4の長さを十分に確保して抜去力を維持する。同時に、抜け止め片4の上端と側壁3との連結部分(接合部分)5に所定長さの空所7を形成して、抜け止め片4の変位を容易にし長尺物を凹部に挿入するときに挿入力を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−44698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記文献1の構造では、揺動支点となる連結部分(接合部分)が空所の大きさに比例して断面積が減るため、凹部に長尺物を挿入するとき及び抜き去るとき加わる荷重ないしは負荷を狭くなった断面積部分に集中し、その結果、抜け止め片の破損要因となる虞があった。
【0007】
本発明の目的は、以上のような問題を解消して、上述した抜去力を維持・向上しながら挿入力を低減する上で、より簡易で、実施容易で汎用性に優れた構造を実現することにある。他の目的は以下の内容説明の中で明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1の本発明は、図1図4を参照して特定すると、パイプ等の長尺物(9)を収容する凹部(1)と、前記凹部を区画している一対の側壁(3,4)のうち少なくとも一方の側壁上部から凹部底側に向けて斜め下方に突出された弾性抜け止め片(3)とを備え、前記抜け止め片が長尺物を前記凹部に挿入するときに前記側壁上部に接合された連結部分(4)を支点として前記側壁方向へ揺動変位して逃げ、挿入後は復帰して前記凹部に収容した長尺物周面に下端を当接して長尺物を抜け止めするクランプであって、前記抜け止め片(3)は、前記長尺物の長手方向に沿う断面積として最も少ない荷重低減部(34)を前記連結部分と前記下端との間に形成しており、前記連結部分から前記荷重低減部との間にかけて前記断面積が徐々に減少し、かつ、前記荷重低減部から前記下端に向かって前記断面積を徐々に増加していることを特徴としている。なお、以上の長尺物にはパイプ以外に、棒状部材、線状部材、それらに類似のものを含む。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の構成のうち、『、かつ、前記荷重低減部から前記下端に向かって前記断面積を徐々に増加している』を『前記抜け止め片の突き出し方向に沿ってリブを形成している』と変更した構成である。
請求項3の発明は、請求項1の構成のうち、『、かつ、前記荷重低減部から前記下端に向かって前記断面積を徐々に増加している』を『前記連結部分と前記下端との間に設けられた穴部又は窪み部を有している』と変更した構成である。この穴部又は窪み部は、本発明の荷重低減部を形成する形状設定されたものであり、図6に例示した三角形以外にも半円形、台形、それらに類似の形状などが考えられる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、抜去力を維持・向上しながら挿入力を低減する上で、検討と試験を重ねて完成されたものであり、図4(c)を参照して構成と作用特徴を明らかにする。
【0011】
第1に、本発明では、まず、抜け止め片(3)が長尺物の長手方向に沿う断面積として、該断面積が最も少なくなる荷重低減部を連結部分(4)と下端(32)との間に形成していることを必須としている。この点は、抜け止め片が連結部分と下端との間に長尺物の長手方向に沿う断面積として最小となる荷重低減部(34)を有していると、長尺物を凹部に挿入する際に抜け止め片に加わる負荷が荷重低減部から抜け止め片の全体に分散し易くなり、その結果として挿入力が低減されるものと推察される。
【0012】
第2に、本発明では、連結部分(4)から前記荷重低減部(34)との間にかけて前記断面積が徐々に減少していることも必須としている。この点も、長尺物を凹部に挿入する際に抜け止め片に加わる負荷を荷重低減部から抜け止め片の全体に分散し易くする。なお、試験からは、抜け止め片が本発明の荷重低減部の存在により抜去力を向上しつつ、挿入力をかなり低減できることが確認されている。
【0013】
換言すると、以上の2つの構成は、文献1のような破損の虞がなく、しかも簡易で実施容易となり、それらの点からも優れている。
【0014】
第3に、本発明は、前記荷重低減部から下端に向かって断面積を徐々に増加しているため、抜け止め片に加わる負荷が荷重低減部を挟んだ上下部分に効率よく分散され、外観的にも良好で、成形上も不具合を生じ難くなる。詳述すると、この構成では、長尺物を凹部に挿入するときに加わる荷重ないしは負荷により抜け止め片の全体が荷重低減部付近で弓なりに弾性変位し易くなり、負荷を全体に分散して挿入力を低く抑える上で有効に作用する。
【0015】
請求項2の発明は、上記第1及び第2の利点と共に、第3として抜け止め片の突き出し方向に沿って形成されたリブを有しているため、抜け止め片に加わる負荷がリブを通じて全体により効率的に分散されるようにし、またリブの補強効果も期待できる。
【0016】
請求項3の発明は、上記第1及び第2の利点と共に、第3として抜け止め片が図6(a)と(b)に例示されるごとく連結部分と下端との間に設けられた穴部又は窪み部を有し、それらにより荷重低減部を形成することでより簡易に実施可能となる。穴部又は窪み部は、連結部分以外の箇所に設けられるため文献1のごとく破損の要因になり難い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の形態例に係るクランプを示す斜視図である。
図2】上記クランプの細部を示し、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。
図3】(a)は図2(a)のA−A線断面図、(b)は図2(b)のB−B線断面図、(c)は上記クランプの使用状態を示す説明図である。
図4図2(a)のa部を拡大した後、(a)は上から見た部分図、(b)は(a)の左方向から見た部分図、(c)は(a)のC−C線断面図、(d)は(a)の下方向から見た部分図である。
図5】上記形態例の弾性抜け止め片の形状を変更した3例を示し、(a)は変形例1として示す抜け止め片の斜視図、(b)は変形例2として示す抜け止め片の斜視図、(b)は変形例3として示す抜け止め片の斜視図である。
図6】上記弾性抜け止め片の形状を更に変形した3例を示し、(a)は変形例4として示す抜け止め片の斜視図、(b)は変形例5として示す抜け止め片の斜視図、(c)は変形例6として示す抜け止め片の斜視図である。
図7】(a)と(b)は特許文献1に開示された図1図6を示す説明図である。
【0018】
本発明の形態例を図面を参照しながら説明する。この説明では、図1から図4の形態例の構造及び作動を詳述した後、図5に示した3つの変形例と、図6に示した3つの変形例に言及する。なお、各図では作用的に同じ部位に同一符号を付している。
【0019】
(構造)図1から図4において、形態例のクランプは、樹脂の射出成形品であり、対向した側壁10と側壁11及び両側壁10,11の下端を連結している底部12で区画されている収容用の凹部1と、凹部1を区画している一方の側壁10の外側面に一体化した状態に設けられてパネル等の被取付部6た固定される取付部2と、両側壁10,11のうち少なくとも一方の側壁11の上部に上端31を接合した状態で底部12側に向けて斜め下方に突出された弾性抜け止め片3とを備えている。そして、このクランプでは、抜け止め片3がパイプ7を凹部1に挿入するときに側壁11の上部に接合された上端31付近、つまり連結部分4を支点として側壁内面方向へ揺動変位して逃げ、挿入後は復帰して凹部1に収容したパイプ7の周面に下端を当接してパイプ7を抜け止めする。以下、各部の細部構成について明らかにする。
【0020】
凹部1は、両側壁10,11の間にパイプ12を挿入する溝状であり、底部12の保持面がパイプ12に対応した円弧状に形成されている。側壁10の外面は、上側が垂直面であり、下側に取付部2を形成している筐体20と連結されている。側壁10の内面は、上側がパイプ7を凹部内に挿入し易くするため下に行くほど張り出す緩い傾斜面10aに形成され、下側が前記した底部12の円弧状の一部を形成している。側壁11の外面は垂直面である。側壁11の内面は、上側が垂直面11aであり抜け止め片3と対向しており、下側が下に行くほど張り出す傾斜面11bを介在して前記した底部12の円弧状の一部を形成している。符号13と14は、底部12と各側壁10,11とが交わる角部分にあって、前後から欠肉された空洞部である。この空洞部13,14は、軽量化と共に底部12の円弧状の保持面に適度な弾性を付与している。
【0021】
なお、この例は凹部1が単一の構成である。但し、本発明の凹部は、例えば凹部1を取付部2を構成している筐体20の両側に設けてもよく、色々な展開形状を含むものである。
【0022】
取付部2は、被取付部6に突設されたスタッドボルト7を利用してクランプの全体を被取付部に固定する構造である。取付部の筐体20は概略中空角形のブロック状に形成されている。筐体内は、左右側壁により外部と区画され、前後が貫通した内部空間21に形成されている。上下壁には、スタッドボルト7を通す挿入孔22,23が同軸線上に設けられている。下側の挿入孔23は、上側の挿入孔22より大きく形成されていて、スタッドボルト7の鍔状基部を受入可能となっている。両側壁の互いに対向している内面には、図3に示すごとく内側に進むに従って上斜めに傾斜した弾性爪片24,25が複数対(本形態例では2対)に設けられ、その先端爪部分が略水平に折り曲げられて中心に向けられている。同様に、下壁の挿入孔23に近い内面には、弾性爪片26,27が挿入孔23を挟んで対向した状態に設けられ、その先端爪部分が略水平に折り曲げられて中心に向けられている。これら弾性爪片24,25と弾性爪片26,27は、その対向する先端爪部分同士の間の寸法がスタッドボルト7のネジ山の最大外径寸法よりも小さく、かつネジ山に係合可能になっている。これらの構造は、一例に過ぎず、必要に応じて他の公知のものに変更可能である。
【0023】
抜け止め片3は、この例において、概略矩形板状をなし、図4(c)のごとく連結部分4の肉厚t1が下端の肉厚t2に比べて同じか薄く形成されている。また、抜け止め片3は、図1図3及び図4から推察されるごとくパイプ7の長手方向に沿う断面積として、上面に設けられる欠肉部30により該断面積が最も小さくないしは少なくなるよう形成された箇所、つまり荷重低減部34を連結部分4と下端32との間に有している。同図の肉厚t3は、荷重低減部34の最小肉厚である。
【0024】
換言すると、荷重低減部34は、抜け止め片3を構成している部分のうち、パイプ7の長手方向に沿う断面積(板幅方向の断面積)として、該断面積が最も少なくなる部分である。この例において、抜け止め片3は、連結部分4から荷重低減部34の間が荷重低減部34に向かって該断面積を徐々に減少するよう欠肉形成されていると共に、荷重低減部34から下端32の間が下端32に向かって該断面積を徐々に増加するよう欠肉形成されている。
【0025】
また、抜け止め片3は、両側縁部にあって長手方向に一段高く設けられたリブ33,33を有している。各リブ33は、抜け止め片3の上面両側に位置して、欠肉部30の両側を区画していると共に、小幅の長い突起状となっており、パイプ7が凹部1に挿入されるときにパイプ周面に当たってパイプ荷重を受け、ここから抜け止め片3の全体に負荷を分散する構成である。
【0026】
(作動)以上の構成では、文献1に比べ、連結部分4の全体で曲げ荷重ないしは負荷を受け止めるため上述した文献1のような破損の虞を生じない。また、この構造では、抜け止め片3が連結部分4と下端32との間にパイプ7の長手方向に沿う断面積として最小となる荷重低減部34を有しているため、パイプ7を凹部1に挿入する際に抜け止め片4に加わる荷重ないしは負荷が荷重低減部34から抜け止め片の全体に分散し易くなり、その結果、パイプ7を凹部1に挿入するときの挿入力が従来品に比べ低減でき、また、パイプ7を凹部1から抜くときの抜去力も維持向上できる。
【0027】
図5の変形例)図5(a)から(c)は以上の抜け止め片の3つの変形例を示している。各変形例1〜3の抜け止め片3Aから3Cは、荷重低減部34の形成箇所ないしは形成方法で相違しているが、上面両側に設けられて長手方向に延びているリブ33を有している点で共通している。従って、これらの説明では、重複記載を避けるため上記形態例と異なる変更点だけを述べる。
【0028】
図5(a)は変形例1の抜け止め片3Aを示している。この変形例1は、上記抜け止め片3の場合に荷重低減部34を線状に設けているのに対し、この抜け止め片3Aの場合に荷重低減部34を両リブ33の間にあって所定の幅を持って設けた構成である。
【0029】
図5(b)は変形例2の抜け止め片3Bを示している。すなわち、上記抜け止め片3の場合は、リブ33が上下同じ幅で設けられており、また、荷重低減部34が上下略中間位置に設けられている。これに対し、変形例2の抜け止め片3Bの場合は、両側のリブ34が上側を下側に比べて幅広に形成されている構成と、荷重低減部34が上下略中間よりも下端34側に近い箇所に形成されている構成とが変更されている。
【0030】
図5(c)は変形例3の抜け止め片3Cを示している。この抜け止め片3Cは、両側のリブ33が上下同じ幅で設けられている点で上記形態例及び図5(a)と同じであるが、荷重低減部34が上下略中間よりも下端34側に近い箇所にあって所定の幅を持って設けられている点で変更されている。
【0031】
図6の変形例)図6(a)から(c)は以上の抜け止め片を更に変更した3つの変形例を示している。変形例4と5の抜け止め片3Dと3Eでは、荷重低減部34の形成箇所ないしは形成方法が変更されている。変形例6の抜け止め片3Fでは、リブの形成箇所ないしは形成方法が変更されている。これらの説明も、重複記載を避けるため上記形態例と異なる変更点だけを述べる。
【0032】
図6(a)は変形例4の抜け止め片3Dを示している。この変形例4では、上記抜け止め片3に比べ、特に、両側のリブが省略され、また、荷重低減部34が抜け止め片3に所定大の穴部35を設けることで形成されている。後者の穴部35は、三角形状であり、下端32側が幅広で、上に向かって狭まる配置となっている。このため、穴部35のうち、最も幅広となっている穴下側において、幅方向の断面積が最も少なくなる。つまり、この例では、穴部35を構成している穴下側の両側が荷重低減部34となる。
【0033】
図6(b)は変形例5の抜け止め片3Eを示している。この変形例5は、考え方が変形例4と同じであり、上記抜け止め片3Dの穴部35に代えて窪み部36を形成している。窪み部36は、三角形状であり、下端32側が幅広で、上に向かって狭まる配置となっている。このため、窪み部36のうち、最も幅広となっている窪み下側において、幅方向の断面積が最も少なくなる。つまり、この例でも、窪み部36を構成している窪み下側の両側が荷重低減部34となる。
【0034】
図6(c)は変形例6の抜け止め片3Fを示している。この変形例6では、上記抜け止め片3に比べ、特に、両側のリブに代えて左右中間部にリブ38を設けた点と、荷重低減部34をリブ38の両側に形成している点が変更されている。リブ38は、抜け止め片3Fの上面にあって左右中間に突設されて上下方向に延びている。荷重低減部34は、リブ38の両側の欠肉部37として、連結部分4から上下略中間にかけて幅方向の断面積を徐々に減少し、かつ、上下略中間から下端32に向かって幅方向の断面積を徐々に増加することにより形成されている。以上の抜け止め片3Fは、上面側にリブ38や欠肉部37を形成した構成であるが、例えば見栄え等の理由により欠肉部37やリブ38を下面側に形成することも可能である。
【0035】
なお、本発明のクランプは、以上の説明から分かるごとく請求項1から3の何れかで特定される構成を備えておればよく、細部は形態例及び各変形例を参考にして色々に変形したり展開可能なものである。また、パネル等の被取付部に取り付ける取付部は、スタッドボルトに固定する構造に代えて、図7(a)に例示される筒外周の弾性片で固定する構造、更に溶着や接着等の接合構造であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1・・・・凹部
2・・・・取付部
3・・・・抜け止め片(31は上端、32は下端)
4・・・・連結部分
5・・・・パイプ(長尺物)
6・・・・パネル
7・・・・スタッドボルト
10・・・側壁
11・・・側壁
30・・・欠肉部
33・・・リブ
34・・・荷重低減部
35・・・穴部
36・・・窪み部
37・・・欠肉部
38・・・リブ
t1・・・上端の肉厚
t2・・・下端の肉厚
t3・・・荷重低減部の最小肉厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7