【実施例1】
【0021】
図1は、本発明に係るクリッカブル領域設定装置の一実施例の概略構成ブロック図を示す。本実施例は、オペレータによる多様な形状のクリッカブル領域の設定を補助する手段として、コンピュータ上に実装される。もちろん、専用装置であってもよい。
【0022】
図1に示すコンピュータ10は、全体を制御するCPU12、CPU12のワークエリアとなるメモリ14、補助記憶となるハードディスク(HDD)16、画像を表示する表示装置18、文字を入力するキーボード20及びポインティングデバイスとしてのマウス22からなる。
【0023】
HDD16には、クリッカブル領域を設定する素材となる電子カタログ16aと、電子カタログ16aに対する1以上のクリッカブル領域とその処理等を規定するクリッカブル領域テーブル16bと、各クリッカブル領域に割り当てられる又は関連付けられる処理を記述した処理テーブル16cと、グループ化されたクリッカブル領域の合成形状を含む、グループ情報を規定するグループ情報テーブル16dが格納される。
【0024】
本発明に係る領域指定装置の一実施例を実現する領域設定プログラム(コンピュータプログラム)もHDD16に格納され、CPU12は、その領域指定プログラムを読み込み、実行することで、以下に説明する機能を実現する。すなわち、CPU12は代表的には、クリッカブル領域とこの領域に関連付ける処理を指定してクリッカブル領域テーブル16bに格納する領域処理指定機能12aと、クリッカブル領域テーブル16bを編集する編集機能12bと、クリッカブル領域テーブル16bに記載されるクリッカブル領域のうち、同一グループに所属するクリッカブル領域をまとめ、合成形状を算出する合成機能12cと、クリッカブル領域テーブルをグループID等のキーでソートするソート機能12dを具備する。CPU12はまた、電子カタログ16a及び生成されたテーブル16b〜16dを所定形式の1ファイル又はパッケージにまとめる出力機能12eを具備する。
【0025】
本実施例では、電子カタログ等のコンテンツに対して設定された複数の基本形状(通常は、矩形)のクリッカブル領域の内で任意に選択される1以上のクリッカブル領域をグループ化する。そして、電子カタログの閲覧又は利用時には、同じグループに属する1以上のクリッカブル領域を、見かけ上、1つの(一般的には多角形になる)クリッカブル領域(以下、「合成クリッカブル領域」という。)のように扱うことを可能にする。すなわち、ユーザ(電子カタログの読者)がこの電子カタログを閲覧する際の、合成クリッカブル領域内へのクリック操作に対して、当該合成クリッカブル領域に合成されている各クリッカブル領域に割り当てられた処理が実行される。割り当てられた処理が複数ある場合、ユーザがそのうちで選択した1または複数の処理が実行されるが、ユーザの選択を待たずに全処理を実行するようにしても良い。
【0026】
このような合成クリッカブル領域により、例えば、隣接して異なる商品が配置されている場合にも互いに重畳しないクリッカブル領域を容易に設定できるようになり、従来例に比べて多様な表現形式を提供できるようになる。
【0027】
図2は、CPU12で実行される領域指定プログラムの主フローチャートを示す。
図2を参照して、本実施例における合成クリッカブル領域生成の動作を説明する。
【0028】
CPU12は、まず、電子カタログ16aをHDD16から読み出し、表示装置18の画面上に表示する(S1)。
図3は、表示装置18の画面に表示された電子カタログ例である。
【0029】
コンピュータ10のオペレータは、処理テーブル16cに、電子カタログ16aに対して指定するクリッカブル領域に割り当てるべき個々の処理をキーボード20及びマウス22を使って記述する。CPU12は、キーボード20及びマウス22を使ってオペレータにより入力された処理内容を、それぞれにユニークな処理IDを関連付けて、HDD16の処理テーブル16cに書き込む(S2)。
【0030】
図4は、処理テーブル16cの構成と内容例を示す。
図4に示すように、処理テーブル16cは、各処理を識別するユニークな識別子(処理ID)を記述する項目と、処理内容を記述する項目とからなる。オペレータの選択の便宜のためには、処理テーブル16cに処理内容の説明文を付加してもよい。ただし、電子カタログ16aを読者が閲覧する際には、そのような説明文は不要であるので、後述する閲覧用には処理テーブル16cから削除しても良い。
【0031】
図4に示す例では、「A001を表示」するという処理に対して処理IDとして「P001」を割り当てている。「A001」は例えば、サービス/商品の詳細情報、提供会社及び価格等を記述したテキストファイルを特定する。
【0032】
また、「A004を実行」するという処理に対して処理IDとして「P004」を割り当てている。「A004」は例えば、サービス/商品の購入などを勧める通販サイトとそのサービス/商品を特定する、特定アプリケーションソフトウエア向けの文字列からなり、この文字列を特定した当該ソフトウエアの実行(起動)により、サービス/商品の購入をこの電子カタログのユーザに勧めることになる。実行すべき処理としては他には、商品提供会社のサーバ上に用意される商品データベースに当該商品等の詳細説明及びその他の付加的な説明をAPI又は所定のコマンド(SQLコマンド)で問い合わせる処理がありうる。これにより、現在又は直近の情報を電子カタログの読者に提示できる。
【0033】
他の電子カタログ等のために作成済みの処理テーブルを流用できる場合には、その処理テーブルを処理テーブル16cとしてHDD16に格納すればよい。
【0034】
オペレータは、マウス22(及びキーボード20)を使って、クリッカブル領域指定(S3)、編集(S5)及び合成(S7)のいずれかのメニューを選択できる。ただし、編集(S5)と合成(S7)は少なくとも1つのクリッカブル領域が指定されている場合に選択可能となる。
【0035】
オペレータがクリッカブル領域指定メニューを選択すると(S3)、CPU12(の領域処理指定機能12a)は、クリッカブル領域とその処理のオペレータによる指定を受け付ける(S4)。ここでは、オペレータは、表示装置18に表示される電子カタログに対して1以上の矩形のクリッカブル領域を指定し、指定した各クリッカブル領域に対して1つの処理を割り当てることができる。この段階でオペレータにより指定されるクリッカブル領域は矩形であるので、対角線上の二点の座標で決定される。
【0036】
図5及び
図6を参照して、エリア・処理指定(S4)におけるCPU12(の領域処理指定機能12a)の動作を説明する。
図5は、クリッカブル領域テーブル16bの構造例を示し、
図6は、ステップS4の詳細なフローチャートを示す。
【0037】
CPU12(の領域処理指定機能12a)は、
図5に示す構造のクリッカブル領域テーブル16bを作成し(S21)、クリッカブル領域IDを示す変数C−idとグループIDを示す変数G−idを初期値(例えば、001)で初期化する。既存のクリッカブル領域テーブル16bを再利用する場合、又はクリッカブル領域を追加指定する場合には、CPU12(の領域処理指定機能12a)は、ステップS21ではその既存のクリッカブル領域テーブル16bを参照し、ステップS22では、クリッカブル領域ID変数C−idを既登録のクリッカブル領域IDの最大値をインクリメントした値で初期化し、グループID変数G−idを既登録のグループIDの最大値をインクリメントした値で初期化する。
【0038】
図5に示す例では,例えば、クリッカブル領域IDが002であるクリッカブル領域は、2点の座標(x3,y3)、(x4,y4)により規定される矩形からなる。例えば、これらの座標は、対象とするオブジェクトを示す画像の左上を原点(0,0)とし、水平方向をx軸、縦方向をy軸とする論理空間上での座標値(または、画素数で見た座標値)で与えられる。原点に近い座標値を先に配置する。これにより、閲覧時にクリック操作がどのクリッカブル領域内でのものかの判別が容易になる。
【0039】
CPU12(の領域処理指定機能12a)は、オペレータによるエリア・処理指定の終了操作に応じて(S23)、
図6に示すフローを終了して
図2に示すメインフローに戻る。
【0040】
オペレータによるクリッカブル領域の指定があると(S24)、CPU12(の領域処理指定機能12a)は、指定されたクリッカブル領域を特定する対角線上の2点の座標値をメモリ14に記憶し(S25)、処理テーブル16cに記憶される各処理を、
図7に示すように、表示装置18の画面上の、指定されたクリッカブル領域の邪魔にならない位置にリスト表示する(S26)。
【0041】
オペレータは、ステップS24で指定したクリッカブル領域に割り当てるべき1以上の処理を、表示された処理リストからマウス等を使って指定し、CPU12(の領域処理指定機能12a)は、指定された処理の処理IDをメモリ14に記憶する(S27)。処理の指定が完了するまで(S27)、オペレータは、ステップS24においてクリッカブル領域を変更できる。
【0042】
図7は、ステップS26における処理リストの表示例を示す。
図7に示す例では、表示装置18の画面上に、クリッカブル領域を設定したい人物画像を拡大表示している。人物の顔を囲む四角形のフレーム30と、上半身を囲む四角形のフレーム32は、既に登録したクリッカブル領域を示す。後者のクリッカブル領域32を指定した後、CPU12が、ステップS26で、
図7に示すように、処理テーブル16cに登録済みの処理のリストを符号34で示すように表示する。オペレータは、処理リスト34の1つ以上の処理にチェックを入れることで、直前にステップS24で指定したクリッカブル領域32内でユーザがクリック操作したときに実行されるべき処理を指定できる。例えば、詳細な商品説明を表示する処理と、通販サイトに接続する処理を選択する。なお、CPU12は、
図7に示すように、指定済みのクリッカブル領域30,32を示すフレームを表示装置18の画面上で指定位置に表示し続ける。オペレータは、これにより、指定済みの範囲と未指定の箇所を認識できる。
【0043】
処理の指定が終了すると(S27)、CPU12(の領域処理指定機能12a)は、クリッカブル領域ID変数C−id、S24で指定されるクリッカブル領域を特定する2点の座標値、ステップS27で指定された処理の処理ID、及びグループID変数G−idを、クリッカブル領域テーブル16bの新規エントリに書き込む(S28)。そして、CPU12(の領域処理指定機能12a)は、クリッカブル領域ID変数C−idとグループID変数G−idをインクリメントし(S29)、ステップS23に戻る。
【0044】
このようにして、CPU12(の領域処理指定機能12a)は、1以上のクリッカブル領域とその処理の指定を受け付けてクリッカブル領域テーブル16bに記録できる。この時点では、各クリッカブル領域のグループIDは互いに相違にするので、1つのクリッカブル領域が1つのグループを構成する状態になっている。CPU12は、オペレータによる指定終了の指示(S23)に対して、
図6に示すフローを抜けて
図2に示すフローに戻る。
【0045】
図2に示すフローにおいて、オペレータの編集メニューの選択に対して(S5)、CPU12(の編集機能12b)は、オペレータの操作に従いクリッカブル領域テーブル16bに登録済みの内容を編集できる(S6)。クリッカブル領域テーブル16bに登録済みのクリッカブル領域の座標値及び関連付けた処理が、変更可能である。編集(S6)の実行後、CPU12(の編集機能12b)は、ステップS3に戻る。オペレータは、クリッカブル領域を追加したい場合、クリッカブル領域指定メニューを再度、選択すればよい(S3)。この選択(S3)に応じて、CPU12(の編集機能12b)は、
図6に示すフローに従いクリッカブル領域とその処理の追加を受け付ける(S4)。
【0046】
クリッカブル領域テーブル16bが完成すると、オペレータは、合成メニューを選択する(S7)。クリッカブル領域指定(及びその編集)の完了操作が、合成メニューの選択を示すものであってもよい。合成メニューでは、オペレータは、クリッカブル領域テーブル16bに登録される任意の1以上のクリッカブル領域を選択してグループ化または合成する(S8)。
【0047】
具体的には、ステップS8で指定される各グループについて、CPU12(の合成機能12c)は、オペレータにより選択された1以上のクリッカブル領域のグループ化の指示に従い、同じグループに属するクリッカブル領域のグループIDを、クリッカブル領域テーブル16b上で同じ値に変更する。採用するグループIDは、同じグループに属すべきクリッカブル領域のグループID欄に設定済みの値のうちのいずれか(例えば、最小値又は最大値)でもよいし、ステップS4(
図6)で採用される範囲を超えた値であってもよい。ここで採用されるグループIDの値は、異なるグループでは異なる値でなければならない。
【0048】
必要なグループについての合成(S8)が終了すると、CPU12(の合成機能12c)は、各グループについて、同一グループに属するクリッカブル領域を密接に包含する合成クリッカブル領域の形状データ(「合成形状データ」と略す。)を生成する(S9)。この合成形状データは、同じグループに属する全クリッカブル領域の外形をなぞることで生成できる。あるクリッカブル領域に完全に内包されるクリッカブル領域の形状は考慮する必要がないので、予めこのようなクリッカブル領域を除外する前処理を実行しておくことで、合成形状データの生成演算に要する時間を短縮できる。CPU12は、各グループに対して生成した合成形状データをHDD16のグループ情報テーブル16dに格納する。このとき、グループ情報テーブル16dは少なくとも、グループIDと合成形状データの対からなる。
【0049】
CPU12(の合成機能12c)はまた、合成形状データに加えて、各グループに属するクリッカブル領域とその処理内容を、グループ情報テーブル16dに記録しても良い。この場合、グループ情報テーブル16dは例えば、グループID、合成形状データ、このグループに属するクリッカブル領域のID(クリッカブル領域ID)のリスト、及びこのグループに属するクリッカブル領域に割り当てられている処理IDのリスト(ただし、重複した処理IDは除去)をそれぞれ収容する欄からなる。テーブルの構成上、グループIDとクリッカブル領域IDを収容するテーブルを別途持つようにしてもよく、この場合、クリッカブル領域テーブル16bからグループIDの欄を省略でき、上記のグループ情報テーブル16dからクリッカブル領域IDのリストを収容する欄を省略できる。
【0050】
詳細は後述するが、処理IDのリストを有するグループ情報テーブル16dを予め作成しておくことにより、電子カタログ16aを読者が閲覧する際のクリック操作に対して、割り当てられた処理のリスト表示を迅速に行えるようになる。これは、低速な情報端末を使用する場合の操作性を良好なものにする。
【0051】
図8は、男性に対して設定された3つのクリッカブル領域42,44,46を同じグループに合成した場合の合成クリッカブル領域の形状の説明図である。
図8に示す例では、クリッカブル領域42は座標{(x1,y1)、(x2,y2)}により規定され、クリッカブル領域44は座標{(x3,y3)、(x4,y4)}により規定され、クリッカブル領域46は座標{(x5,y5)、(x6,y6)}により規定されている。このとき、合成クリッカブル領域の形状(合成形状)は、クリッカブル領域42,44,46の外形をなぞる形状となり、例えば、{(x1,y1)、(x2,y1)、(x2,y3)、(x4,y3)、(x4,y4)、(x6,y4)、(x6,y6)、(x5,y6)、(x5,y4)、(x3,y4)、(x3,y3)、(x1,y3)}と表現されうる。
【0052】
CPU12のソート機能12dが、
図2に示すフローで生成されたクリッカブル領域テーブルを、グループIDをキーとしてソートし、クリッカブル領域の座標をキーにソートする(S10)。グループIDをキーとするソートにより、同一グループIDに属するクリッカブル領域を発見しやすくなる。クリッカブル領域の座標をキーにしたソートにより、ユーザのクリック操作がどのクリッカブル領域の内部かどうかを判定しやすくなる。
【0053】
CPU12の出力機能12eが最終的に、このように生成されたテーブル16b〜16dと電子カタログ16aを、CSS及びJavascript(登録商標)を使うHTML等の所定形式の1ファイル又はパッケージにまとめて、HDD16に出力する(S11)。
【0054】
図9(a)は、
図3に例示した電子カタログに設定したクリッカブル領域の配置例を示す。
図9(b)は、
図9(a)に例示したクリッカブル領域(ID=1〜8)に対して上記処理により生成されたクリッカブル領域テーブルの内容例を示す。設定されたクリッカブル領域は、大人の男性に対するもの、大人の女性に対するもの、子供に対するものでグループ化されている。
【0055】
電子カタログの閲覧に高速な情報端末の利用を想定できる場合、合成機能12cによる合成処理及びソート機能12dによるソートを、電子カタログ16aの閲覧時にユーザによるいずれかのクリッカブル領域内へのクリック操作に応じて実行するようにしてもよい。このような用法の場合、出力機能12eは、ステップS10において、クリッカブル領域テーブル16b、処理テーブル16c及び電子カタログ16aを、所定形式の1ファイル又はパッケージにまとめて、HDD16に出力する。
【0056】
本実施例では、単純な形状のクリッカブル領域とその処理を指定したうえで、希望する複数のクリッカブル領域をグループ化して、見掛け上単一の多様な形状のクリッカブル領域(合成クリッカブル領域)を生成するので、事後的な修正も容易になる。
【0057】
次に、このように作成したコンテンツ(電子カタログ16a)の読者による閲覧時の動作を説明する。
図10は、電子カタログ16aを読者の閲覧用に表示する情報処理装置の実施例の概略構成ブロック図を示す。
図10に示す情報処理装置は、典型的にはタブレット端末からなるが、他には、デスクトップコンピュータ、ノート型コンピュータ又はスマートフォンであってもよい。
【0058】
図10に示す情報処理装置110は、全体を制御するCPU112、CPU112のワークエリアとなるメモリ114、補助記憶となるソリッドステートドライブ(SSD)116、電子カタログ及びメニュー等を表示する表示装置118、キーボード120、表示装置118の画面上に配置されるタッチパネル122、及びインターネットに接続可能な通信装置124からなる。
【0059】
インターネット上のサーバには、電子カタログ16aと、電子カタログ16aに対して
図1に示すコンピュータ10により生成されたクリッカブル領域テーブル16b、処理テーブル16c及びグループ情報テーブル16dが格納されている。情報処理装置110は、予め、又は読者による閲覧操作に応じて、通信装置124により当該サーバにアクセスし、電子カタログ16a、クリッカブル領域テーブル16b、処理テーブル16c及びグループ情報テーブル16dをダウンロードし、SSD116に格納する。理解を容易にするために、電子カタログ16aとテーブル16b〜16dを別々の要素として図示してあるが、実際の形態としては、先に説明したように、1ファイルまたはパッケージに収容されている。
【0060】
SSD116にはさらに、情報処理装置110において、クリッカブル領域テーブル16b、処理テーブル16c及びグループ情報テーブル16dの利用を可能にする情報処理プログラム、即ち、電子カタログ16aの閲覧プログラムが格納されている。CPU112は、SSD116から閲覧プログラムを読み出して実行することで、以下の機能を実現する。
【0061】
情報処理装置110のCPU112は、電子カタログ16a、クリッカブル領域テーブル16b及び処理テーブル16cをSSD116に格納する際に、又はサーバ上のこれらのデータを参照する際に、合成機能12cによる合成処理及びソート機能12dによるソートと同様の処理を実行してグループ情報テーブル16dを作成しても良い。他には、電子カタログの閲覧時に、ユーザ(読者)によるいずれかのクリッカブル領域内へのクリック操作に応じて、グループ情報テーブル16dを作成するようにしても良い。
【0062】
いずれかのクリッカブル領域に対する電子カタログ読者によるクリック操作に対して、当該クリッカブル領域が属するグループに属するクリッカブル領域に割り当てられた処理を実行する閲覧プログラムが、CPU112上で動作する。
図11は、その閲覧プログラムの動作フローチャートを示す。
【0063】
CPU112は、電子カタログ16aをSSD116から読み出し、表示装置118の画面上に表示する(S31)。表示装置118の画面には、
図3に示すのと同様に電子カタログ16aが表示される。CPU112はまた、SSD116からテーブル16b、処理テーブル16c及びグループ情報テーブル16dを読み込む(S32)。
【0064】
CPU112のタッチ判定機能112aは、ユーザ(電子カタログ16aの読者)によるクリッカブル領域に対するクリック操作を待機する(S33)。ユーザが表示装置118の画面上に配置されるタッチパネル122の希望の位置をタッチすると、タッチパネル122は、タッチ位置(クリック位置)の座標データをCPU112に入力する。CPU112のタッチ判定機能112aは、タッチパネル122からのタッチ位置の座標データの入力をもってクリック操作があったと評価する。
【0065】
CPU112の領域内外判定機能112bは、タッチ操作がクリッカブル領域テーブル16bに記録されるいずれかのクリッカブル領域内に対してなされたものかどうかを判定する(S34)。これは、タッチ位置がグループ情報テーブル16dに記録されるいずれかの合成形状の内部に入るかどうかをサーチすることで判定しうる。タッチ位置が合成形状の中か外かは、合成形状が基本的に水平と垂直の線分で規定されていることを利用して、次のようにして判定できる。すなわち、タッチ位置が、合成形状に外接する外接矩形の外に位置する場合、合成クリッカブル領域外と判定できる。タッチ位置が外接矩形の中であっても合成形状に含まれない矩形部分に位置する場合には、合成クリッカブル領域外である。これらに該当しない場合、タッチ位置は合成形状内でなされたものと最終的に判定できる。
【0066】
CPU112の領域内外判定機能112bは、この領域内外の判定と同時に、タッチ操作が行われたクリッカブル領域の属するグループも決定できる。タッチ操作がクリッカブル領域テーブル16bに記録されるいずれかのクリッカブル領域内で行われた場合(S34)、CPU112は、クリック位置を内部に含むことになるグループ合成形状を表示装置118の画面上に電子カタログ16aに重ねて表示する(S35)。
【0067】
CPU112は、グループ情報テーブル16dを参照し、タッチ操作が行われたグループのクリッカブル領域に割り当てられている処理が単一かどうかを判定する(S36)。単一処理の場合、CPU112は、ユーザの承認又は同意を待たずに即座にその処理を実行する(S37)。処理が複数ある場合(S36)、CPU112は、グループ情報テーブル16dを参照し、当該グループに割り当てられている処理のリストを表示装置118の画面上で可能な限り合成形状の外側に表示すると共に、ユーザには、実行すべき1または複数の処理を選択させる(S38)。
図12は、処理リストの表示例を示す。CPU112は、表示装置118の画面上に、選択された合成クリッカブル領域130の形状を枠線や周囲とは異なる色調で表示し、処理リスト132を表示する。
図12に示す例では、クリッカブル領域の設定時の例とは異なり、男性に設定した3つのクリッカブル領域からなる合成クリッカブル領域に対して合計で4つの処理が割り当てられているとしている。
【0068】
CPU112は、処理リスト132に表示されるリスト中でユーザがいずれかの処理を選択し、選択終了の操作を入力すると(S39)、選択された処理を実行してステップS33に戻る(S40)。ユーザがいずれの処理も選択せずに一定時間経過したか、キャンセルの操作をした場合(S39)、CPU112は、処理リストの表示132を表示装置118の画面上から消去して、ステップS33に戻る。
【0069】
ユーザのクリック位置がクリッカブル領域の外であった場合(S34)、CPU112は、それが閲覧ソフトの終了を示す操作かどうかを判定する(S42)。終了の操作であれば(S42)、CPU112は、終了の処理を実行して、閲覧ソフト(
図11に示すフロー)を終了する。終了の操作でなければ(S42)、CPU112は、S33に戻る。もちろん、終了以外に予め用意されているメニューがある場合、そのメニューの選択操作に従い、CPU112がそのメニューに応じた処理を実行することはいうまでもない。
【0070】
以上の説明では、合成クリッカブル領域内でのクリックの判定(S34)と合成形状の表示(S35)を実行するためにCPU112はグループ情報テーブル16dを参照したが、クリッカブル領域テーブル16bを参照しても、同様の結果を得ることは可能である。
【0071】
例えば、ステップS34において、領域内外判定機能112bは、クリッカブル領域テーブル16bに記録されるクリッカブル領域をサーチして、クリック位置がいずれかのクリッカブル領域に属するかどうかを判定できる。演算としては、クリック位置が多角形の合成形状内かどうかの判定よりも、単純な矩形領域内かどうかの判定の方が簡単であり短時間で済む。
【0072】
クリック位置がいずれかのクリッカブル領域に属する場合、そのクリッカブル領域が属するグループIDを決定でき、このグループIDから、グループ情報テーブル16dを作成する手順として説明したのと同様の方法で、同じグループIDを持つクリッカブル領域(従って、合成クリッカブル領域)を決定でき、処理リストを決定できる。なお、合成形状の生成又は処理リストの決定については、グループ情報テーブル16dを参照するようにしても良い。こうすることで、ユーザに対するレスポンスの向上を期待できる。
【0073】
理解を容易にするために、データ16a〜16dを予めSSD116に格納した情報処理装置110を電子カタログ16aの読者が利用する状況で説明したが、これらのデータ16a〜16dをインターネット上のサーバに置いた状態で、情報処理装置110がそのサーバにアクセスする方式でもよい。この場合、読者(情報処理装置110のユーザ)が電子カタログ16aにアクセスするのに利用する閲覧プログラムは、情報処理装置110の閲覧プログラムは、クリッカブル領域テーブル16b、処理テーブル16c及びグループ情報テーブル16d又はこれらのキャッシュを一旦、情報処理装置110にダウンロードするものでも、情報処理装置110上でそのユーザインターフェース部分が動作し、サーバ上で汎用機能と協働して上述の機能を果たすものでもよい。
【0074】
ユーザ(電子カタログの読者)のクリック操作に対して、操作対象となった合成クリッカブル領域の範囲(または形状)を示すために、合成形状データを利用したが、同じグループに属する個別のクリッカブル領域を所定の色調で表示するようにしても、実質的に、合成クリッカブル領域の範囲(または形状)を読者に示すことは可能である。ただし、個別のクリッカブル領域が重なる部分で色調が二重になり他の部分と異なった表示色となり、これを緩和する処理が必要となる。合成形状を使う場合、このような不都合は生じない。
【0075】
ユーザ操作の簡略化の観点では、合成クリッカブル領域に割り当てられている全処理を、ユーザの選択(S39)を待たずに実行するようにしてもよいし、初期設定として、ユーザの選択の要否をユーザが選択できるようにしても良い。
【0076】
本実施例では、簡易に設定した1以上のクリッカブル領域をグループ化することで多様な形状のクリッカブル領域(合成クリッカブル領域)を設定でき、また、その合成形状の修正も、関連つける処理の修正も容易になる。また、この合成クリッカブル領域内でのクリック操作に対して、当該合成クリッカブル領域に含まれる各クリッカブル領域に関連付けられている処理を、それが複数の場合にユーザが選択したものを実行するようにしたので、表示画面を有効に活用できる。
【0077】
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。