【課題を解決するための手段】
【0006】
これら及び他の目的は、独立請求項に規定される存在検出器及び存在検出器の動作方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に規定される。
【0007】
本発明の第1態様によれば、存在検出器の動作方法が提供される。方法は、第1波信号のエコーに基づいて対象物の存在を検出するため第1波信号を第1タイムスロットにおいて送信するステップと、対象物の存在が検出された場合、第1波信号の特性パラメータを変更するステップとを有する。
【0008】
本発明の第2態様によれば、存在検出器の動作方法が提供される。方法は、別の存在検出器から送信される第1波信号の特性パラメータを第1タイムスロットにおいて監視するステップと、第1波信号の監視される特性パラメータの変更が検出されると、制御信号を送信するステップとを有する。
【0009】
本発明の第3態様によれば、存在検出器が提供される。存在検出器は、第1波信号のエコーに基づいて対象物の存在を検出するため第1波信号を第1タイムスロットにおいて送信し、対象物の存在が検出された場合、第1波信号の特性パラメータを変更するように構成された存在検出ユニットを有する。
【0010】
本発明の第4態様によれば、存在検出器が提供される。存在検出器は、別の存在検出器から送信される第1波信号の特性パラメータを第1タイムスロットにおいて監視し、第1波信号の監視される特性パラメータの変更が検出されると、制御信号を送信するように構成された監視ユニットを有する。
【0011】
単純化のために、本発明の第3態様による存在検出器は、本明細書において、以下、第1存在検出器と呼ばれ、本発明の第4態様による存在検出器は、第2存在検出器と呼ばれる。従って、本発明の第1態様による方法は、第1存在検出器の動作方法と呼ばれ、本発明の第2態様による方法は、第2存在検出器の動作方法と呼ばれる。しかしながら、「第1(first)」及び「第2(second)」なる用語は、決して限定するものとして見なされるべきではない。
【0012】
特定の領域又はサブエリアの付近の領域又はサブエリアに設置された照明デバイスは、その特定のサブエリアにおける存在検出に応じて対処し得るため、スペースにおける隣接する領域又はサブエリア間の存在情報を通信することは、有用であり得る。例えば、そのサブエリアで存在が検出された場合、フルの照明レベルが、特定のサブエリアに提供されてもよく、全照明から暗闇(すなわち照明無し)への極端な移行を低減するために、半照明レベルが隣接するサブエリアに提供されてもよい。スペースにおける種々異なるサブエリア間の存在情報のこのような通信を得るためには、前述のように、I2C、UART、DALI、及びZigbee(登録商標)などの通信インフラを使用することができる。しかしながら、全てのこれら通信インフラは、有線接続のための銅線及び追加の電子機器などの付加的なハードウエアを必要とし、これは、材料費の高額な請求をもたらし、設置の複雑さ及びコストを増加させる。本発明者は、存在検出に使用される波信号これ自体を存在情報の通信に利用し、これによって、上記に述べたような追加の通信チャネルの必要性を削減できることに気が付いた。
【0013】
本発明によれば、第1存在検出器は、(例えば第1存在検出器の検出エリア内で)存在が検出された場合、第1波信号の特性パラメータ(又は特徴)を変更することによって存在情報を通信する。好ましくは、存在が検出されない場合、第1波信号の特性パラメータは変更されないままである。従って、第1波信号の変更された特性パラメータは、第1存在検出器によって存在が検出されたことの表示である。第1波信号の特性パラメータの変更は、その後、変更について(第1検出器からの)第1波信号を監視する第2存在検出器によって検出されてもよく、検出されるとすぐに、第2存在検出器は制御信号を送信してもよい。このように、存在情報は、第1存在検出器から第2存在検出器に通信される。存在情報の通信は、存在が検出された(又はされている)サブエリアの付近に位置付けられるサブエリアにおいて、照明レベル、HVAC(暖房、換気、及び空調)パラメータ又は任意の他の所望のパラメータの調整などの取るべき更なるアクションを可能にする。第2存在検出器によって送信される制御信号は、好ましくは照明システム内の(第2存在検出器から第2存在検出器に関連する光源への電気信号などの)内部信号であってもよく、すなわち存在検出のための波信号でなくてもよい。
【0014】
存在検出ユニット(又はプロセッシングユニット)は、波信号の送信及び特性パラメータの変更をそれぞれ行うための単一の構成要素(若しくはユニット)、又は代替的に別体の構成要素(若しくはユニット)を有してもよい。更に、監視ユニットは、波信号の特性パラメータの監視及び制御信号の送信をそれぞれ行うための単一の構成要素(若しくはユニット)、又は代替的に別体の構成要素(若しくはユニット)を有してもよいことに留意されたい。
【0015】
本発明は、付加的な通信システムを使用せずに存在情報が種々異なる存在検出器間で通信でき、これによって技術的な複雑さ及びコストを削減され得る点で有利である。更に、存在情報は、存在検出器自体の間で直接通信され得るため、存在情報を集め、転送するための中央ユニットは不要である。
【0016】
波信号の特性パラメータの変更の検出は、例えば特性パラメータの増加若しくは減少を検出することによって、又は特性パラメータが所定の基準値を超える若しくは下回ることによって実現されてもよい。
【0017】
下記に説明される本発明の実施形態は、互いに、並びに、本発明の第1、第2、第3及び第4態様のいずれか一つと組み合わされてもよい。
【0018】
実施形態によれば、第1波信号(及び、任意選択で、更に第2存在検出器によって送信される任意の波信号)は、超音波信号又はレーダ信号であってもよい。超音波又はレーダ技術は共に、波(超音波又はレーダ波)を送信し、環境からの送信された波のエコーを測定することによって存在検出を行うというコンセプトに基づく。
【0019】
本発明の実施形態によれば、第1波信号の特性パラメータを変更するステップは、第1波信号の第1特性パラメータを第2特性パラメータに変更するステップを有してもよく、第1波信号は、変更後、第2特性パラメータで送信されてもよい。従って、第1存在検出器は、存在が検出されるまで第1特性パラメータ(又は値)を有する第1波信号を送信し、検出されると、第1存在検出器は、第1波信号を、代わりに第2特性パラメータで送信し始めるように構成されてもよい。本実施形態は、第1存在検出器は、存在が検出されたことを通信するのに、第1特性パラメータを第2特性パラメータに切り替えるだけであるという点で有利である。
【0020】
更に、第2存在検出器を動作する方法は、第1波信号の第2(又は所定の)特性パラメータを検出し、好ましくは第2特性パラメータを検出すると、制御信号を送信するステップを有してもよい。制御信号は、取るべき更なるアクションを可能にし、例えば制御信号は、第2存在検出器に関連するサブエリアの照明を作動させる(又は温度を上げる)ことを可能にする。第1特性パラメータは、第2存在検出器によって検出される必要はない。つまり、第2特性パラメータの検出は、第1検出器が存在を検出したかどうかを決定するのに十分である。
【0021】
本発明の実施形態によれば、第1波信号を第2特性パラメータで送信することは、第1タイムスロットの通信サブスロットにおいて行われてもよい。第1タイムスロットは、存在検出を行うための第1存在検出器専用のタイムスロットであってもよい。隣接する検出器は、好ましくは存在検出器によって送信される波信号間の干渉を低減させるために、第1タイムスロットからオフセットされた他のタイムスロットにおいて存在検出を行ってもよい。本実施形態によれば、第1タイムスロットは、通信サブスロットを有してもよく、第1タイムスロットの一部は、存在情報の通信の専用である。任意選択で、第1存在検出器は、第1波信号を第2特性パラメータで送信した後、第1波信号を第1特性パラメータで送信するように戻る。
【0022】
更に、第2存在検出器を動作する方法は、第1波信号の特性パラメータを少なくとも通信サブスロットにおいて監視するステップを有してもよい。第2存在検出器は、第1タイムスロットの残りの時間において監視を行う必要はない。
【0023】
更に、第1波信号のエコーに基づいて存在を検出するための第1波信号を第1特性パラメータで送信することは、通信サブスロットからオフセットされ、通信サブスロットより前の第1タイムスロットの存在検出サブスロットにおいて行われてもよい。従って、第1タイムスロットでは、対象物が存在しているかどうかの決定が最初に(存在検出サブスロットにおいて)行われ、その後、存在検出サブスロットにおいて存在が検出されている(検出された)場合、存在情報は、(通信サブスロットにおいて)第1波信号を第2特性パラメータで送信することによって通信される。存在検出サブスロットにおいて存在が検出されない場合、通信サブスロットにおいて通信もアクションも行われなくてもよい、又は代替的に、第1存在検出器は、この場合は、通信サブスロットにおいて、第1波信号を第1特性パラメータで送信し続けてもよい。「通信サブスロット(communication sub-slot)」なる用語が使用されているが、通信は、各通信サブスロットにおいて行われる必要はなく、存在が検出されている場合にのみ行われてもよいことに留意されたい。
【0024】
代替的に、又は補完として、本発明の実施形態によれば、第1タイムスロットは、繰り返されてもよく、第1波信号を第2特性パラメータで送信することは、繰り返される第1タイムスロットにおいて行われてもよい。本実施形態によれば、通信は、繰り返される(後続の)第1タイムスロットにおいて代わりに(又は補完として)行われるため、第1タイムスロットは、サブスロットに分割される必要はない。第1タイムスロットは、時分割二重通信システムにおけるように、複数のタイムスロットを有するタイムフレームの一部であってもよい。第1存在検出器は、第2特性パラメータの第1波信号によって、又は更に別の繰り返される第1タイムスロットにおいて第1特性パラメータの第1波信号を送信するように戻ることによって、存在検出(又は存在の監視)を行い続ける。
【0025】
本発明の実施形態によれば、第1存在検出器を動作する方法は、更に、第1タイムスロットからオフセットされた第2タイムスロットにおいて、別の(例えば隣接する)存在検出器から送信される第2波信号の特性パラメータを監視するステップと、第2波信号の監視される特性パラメータの変更を検出すると、又は監視される特性パラメータの特定の(好ましくは所定の)値を検出すると制御信号を送信するステップとを有してもよい。よって、第1存在検出器は、これ自体によって生成された存在情報を通信することに加えて、他の存在検出器からの存在情報も受信又は検出するように構成されてもよい。監視するステップは、第1存在検出器の監視ユニットによって行われてもよく、これは、存在検出器と同じ部分に又は別体の部分として含まれてもよい。
【0026】
実施形態によれば、(第1存在検出器によって送信される)制御信号は、第2波信号の変更された特性パラメータ(の代表など)に基づいてもよい。同様に、第2存在検出器によって送信される制御信号は、第1波信号の変更された特性パラメータに基づいてもよい。本実施形態によれば、新しい特性パラメータに基づいてアクションを取り得る。例えば、(存在検出器が配置されたスペースの少なくともいくつかのサブエリアにおける環境に影響を与える)種々異なるアクションが、種々異なる特性パラメータ(又は値)の結果として取り得る。
【0027】
実施形態によれば、第1タイムスロットは(任意選択で第2タイムスロットも)、周期的に又はタイムスケジュールに従って繰り返されてもよく、存在検出、及び任意選択で、存在が検出された場合は存在情報の通信も、繰り返しの態様において行われてもよい。例えば、第1タイムスロットは、及び好ましくは、第2タイムスロットも、繰り返されるタイムフレームにおいて提供されてもよい。タイムフレームは、存在検出器システムの各存在検出器又は少なくとも隣接する存在検出器のグループの各存在検出器に対して、タイムスロットを有してもよい。各存在検出器は、その後、存在検出を行うための各繰り返されるタイムフレームにおいて専用のタイムスロットを有し、存在検出器によって送信される信号間の干渉は低減される。好ましくは、第1タイムスロットは、第2タイムスロットとオーバーラップしない。
【0028】
本発明の実施形態によれば、第1波信号の特性パラメータは(及び第2波信号の特性パラメータも)、第1波信号の周波数、パルス長、
パルスの数、及び振幅の少なくとも1つであってもよい。波信号は、存在情報を伝達するために任意の適切なやり方で変更(変調)されてもよい。(存在検出器によって検出された)存在は、例えば波信号の、周波数、パルス長、
(例えば1バースト内の)パルスの数、及び/又は振幅を1つの値から別の値へとシフトすることによって通信されてもよい。存在が検出された場合に(例えば周波数及び/又は振幅に関して)特定のパターンに従って波信号を変調するなど、より複雑な技術も予想される。
【0029】
本発明の実施形態によれば、方法は、更に、検出された対象物によって行われるアクティビティのタイプを決定するステップと、決定されたアクティビティのタイプに基づいて、所定の特性パラメータのセットから特性パラメータ(特性値など)を選択するステップと、第1波信号の特性パラメータを選択された特性パラメータに変更するステップとを有してもよい。アクティビティのタイプは、第1波信号のエコーに基づいて決定されてもよい。超音波ベースの存在検出器は、対象物の単なる存在を決定するだけでなく、どのくらいの動き及びどのくらいの距離で動きが検出されたか(複数の存在検出器の場合は、どの角度で動きが検出されたか)など更なる存在情報も決定してもよい。このような存在情報は、アクティビティのタイプを決定するのに使用されてもよい。例えば、存在検出器の下で検出された小さな動きは、人が自分のデスクで仕事をしていると解釈され、時間にわたって複数の位置で及びやや長い距離で検出された大きな動きは、人が歩いているとして解釈される。
【0030】
本実施形態は、存在検出器間で通信される存在情報は、検出された対象物によって行われるアクティビティの表示を有し、アクティビティに基づいて(照明レベルの調整などの)アクションを取り得るという点で有利である。
【0031】
本発明の実施形態では、第1及び第2存在検出器は、等しく構成されてもよい(すなわち同じ原理に従って動作する)点に留意されたい。従って、第1存在検出器について上記に説明された任意の実施形態は、同じく第2存在検出器に適用されてもよく、第2存在検出器について上記に説明された任意の実施形態は、同じく第1存在検出器に適用されてもよい。例えば、第2存在検出器の動作方法は、更に、第1タイムスロットからオフセットされた第2タイムスロットにおいて、第2波信号のエコーに基づいて対象物の存在を検出するための第2波信号を送信するステップと、対象物の存在が検出された場合、第2波信号の特性パラメータを変更するステップとを有してもよい。
【0032】
本発明の実施形態によれば、存在検出器システムが提供される。存在検出器システムは、本発明の第3実施形態による第1存在検出器と、本発明の第4実施形態による第2存在検出器とを有してもよい。本実施形態は、少なくとも第1存在検出器から第2存在検出器へ存在情報を通信することができる少なくとも2つの存在検出器を備える存在検出器システムを提供する。
【0033】
本発明の実施形態によれば、照明システムが提供され、これは、照明デバイスと、本発明の第4実施形態による存在検出器(本明細書では第2検出器と呼ばれる)とを有してもよい。照明デバイスは、(第2)存在検出器によって送信された制御信号に基づいて制御される(動作する)ように構成されてもよい。本実施形態によれば、照明デバイスは、別の(例えば隣接する)存在検出器から受信した存在情報に基づいて制御されてもよい。例えば、存在が隣接する存在検出器で検出された場合、照明デバイスの照明レベルは、半照明レベルに調整(例えばスイッチが入る)されてもよい。
【0034】
本発明は、請求項に記載された特徴の全ての可能な組み合わせに関する点に留意されたい。本発明の特徴の更なる目的、及び本発明による有利な点は、下記の詳細な開示内容、図面及び添付の請求項の精査をすれば明らかになるだろう。当業者は、本発明の種々異なる特徴は、以下に説明された実施形態以外の実施形態を作るために組み合わせることができることを理解する。
【0035】
本発明のこれら及び他の態様は、ここで、発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明されるだろう。