特許第6373845号(P6373845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373845
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】存在検出器及び存在検出器の動作方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   H05B37/02 D
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-529173(P2015-529173)
(86)(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公表番号】特表2015-532772(P2015-532772A)
(43)【公表日】2015年11月12日
(86)【国際出願番号】IB2013056903
(87)【国際公開番号】WO2014033618
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月24日
(31)【優先権主張番号】61/693,841
(32)【優先日】2012年8月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】バンゲール ユルゲン マリオ
(72)【発明者】
【氏名】リートマン ワイナンド ヨハネス
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−119978(JP,A)
【文献】 特開2011−124187(JP,A)
【文献】 特開2012−155874(JP,A)
【文献】 特開平10−162969(JP,A)
【文献】 特開平08−096968(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/098977(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペースのサブエリアにおける対象物の存在を検出するための存在検出器の動作の方法であって、前記方法は、
‐ 前記スペースの別のサブエリアにおける対象物の存在を検出するための別の存在検出器から送信される第1波信号の特性パラメータを第1タイムスロットにおいて監視するステップと、
‐ 前記第1波信号の監視される前記特性パラメータの前記別のサブエリアにおける対象物の存在を示す変更が検出されると、制御信号を送信するステップと
を有する方法。
【請求項2】
前記制御信号は、前記第1波信号の変更された特性パラメータに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の存在検出器の動作の方法であって、前記方法は、
‐ 第2波信号のエコーに基づいて対象物の存在を検出するため第2タイムスロットにおいて前記第2波信号を当該存在検出器から送信するステップと、
‐ 対象物の存在が検出された場合、前記第2波信号の特性パラメータを変更するステップと
を更に有する、方法。
【請求項4】
前記第2波信号の前記特性パラメータを変更する前記ステップは、前記第2波信号の第1特性パラメータを第2特性パラメータに変更するステップを有し、前記第2波信号は、前記変更後、前記第2特性パラメータで送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2波信号を前記第2特性パラメータで送信することは、前記第2タイムスロットの通信サブスロットにおいて行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2波信号のエコーに基づいて存在を検出するための前記第2波信号を前記第1特性パラメータで送信することは、前記通信サブスロットからオフセットされ、前記通信サブスロットより前の前記第2タイムスロットの存在検出サブスロットにおいて行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2タイムスロットは、繰り返され、前記第2波信号を前記第2特性パラメータで送信することは、繰り返される第2タイムスロットにおいて行われる、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2タイムスロットは、周期的に又はタイムスケジュールに従って繰り返される、請求項3乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2波信号の前記特性パラメータは、前記第2波信号の周波数、パルス長、パルスの数、及び振幅の少なくとも1つである、請求項3乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
スペースのサブエリアにおける対象物の存在を検出するための存在検出器の動作の方法であって、前記方法は、
‐ 前記スペースの別のサブエリアにおける対象物の存在を検出するための別の存在検出器から送信される第1波信号の特性パラメータを第1タイムスロットにおいて監視するステップと、前記別のサブエリアにおける対象物が検出された場合、
‐ 検出された対象物によって行われるアクティビティのタイプを決定するステップと、
‐ 前記決定されたアクティビティのタイプに基づいて、所定の特性パラメータのセットから特性パラメータを選択するステップと、
‐ 前記第1波信号の前記特性パラメータを選択された前記特性パラメータに変更するステップと
‐ 前記第1波信号の監視される前記特性パラメータの変更が検出されると、制御信号を送信するステップとを有する、方法。
【請求項11】
スペースのサブエリアにおける対象物の存在を検出するための存在検出器であって、前記スペースの別のサブエリアにおける対象物の存在を検出するための別の存在検出器から送信される第1波信号の特性パラメータを第1タイムスロットにおいて監視し、前記第1波信号の監視される前記特性パラメータの前記別のサブエリアにおける対象物の存在を示す変更が検出されると、制御信号を送信する監視ユニットを有する、存在検出器。
【請求項12】
第2波信号のエコーに基づいて対象物の存在を検出するための前記第2波信号を第2タイムスロットにおいて送信し、対象物の存在が検出された場合、前記第2波信号の特性パラメータを変更する存在検出ユニットを有する、請求項11に記載の存在検出器。
【請求項13】
照明システムであって、
‐ 照明デバイスと、
‐ 請求項11又は12に記載の存在検出器と
を有し、
前記照明デバイスは、前記存在検出器によって送信される制御信号に基づいて制御される、照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、波信号を送信し、波信号のエコーに基づいて対象物の存在を検出するように構成された存在検出器の分野に関する。特に、本発明は、このような存在検出器間の通信に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波存在検出器は、超音波のバースト(又は連続)波を送出し、検出器で受信された環境からのエコーは、対象物(例えば人)がスペース(例えば部屋)に存在しているかどうかを決定するために使用される。ドップラーシフト測定法、飛行時間測定法、及び移動標的表示器(MTI)プロセッシングなどの種々異なる方法が、このような存在検出に使用され得る。存在検出器によって得られる存在情報は、1つ以上の照明デバイスを制御するための照明システムで使用され得る。
【0003】
大きなオープンスペース(例えばオープンオフィス)で存在検出器を使用する場合、複数の検出器がスペースをカバーするのに必要である。検出器間の干渉のリスクを軽減するために、時分割多重化技術が使用されてもよい。時分割多重技術を用いると、各検出器は固有のタイムスロットを持ち、該スロット内で検出器は存在検出を実行する。
【0004】
I2C、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)、DALI(登録商標)(Digital Addressable Lighting Interface)、及びZigbee(登録商標)などの通信インフラ(又はプロトコル)が、照明システムの種々異なる部分間でデータを通信するための照明システムで使用されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、存在情報を通信することができる存在検出器と、別の存在検出器から存在情報を受信することができる存在検出器とを提供することである。本発明の目的は、このような存在検出器の動作方法を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これら及び他の目的は、独立請求項に規定される存在検出器及び存在検出器の動作方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に規定される。
【0007】
本発明の第1態様によれば、存在検出器の動作方法が提供される。方法は、第1波信号のエコーに基づいて対象物の存在を検出するため第1波信号を第1タイムスロットにおいて送信するステップと、対象物の存在が検出された場合、第1波信号の特性パラメータを変更するステップとを有する。
【0008】
本発明の第2態様によれば、存在検出器の動作方法が提供される。方法は、別の存在検出器から送信される第1波信号の特性パラメータを第1タイムスロットにおいて監視するステップと、第1波信号の監視される特性パラメータの変更が検出されると、制御信号を送信するステップとを有する。
【0009】
本発明の第3態様によれば、存在検出器が提供される。存在検出器は、第1波信号のエコーに基づいて対象物の存在を検出するため第1波信号を第1タイムスロットにおいて送信し、対象物の存在が検出された場合、第1波信号の特性パラメータを変更するように構成された存在検出ユニットを有する。
【0010】
本発明の第4態様によれば、存在検出器が提供される。存在検出器は、別の存在検出器から送信される第1波信号の特性パラメータを第1タイムスロットにおいて監視し、第1波信号の監視される特性パラメータの変更が検出されると、制御信号を送信するように構成された監視ユニットを有する。
【0011】
単純化のために、本発明の第3態様による存在検出器は、本明細書において、以下、第1存在検出器と呼ばれ、本発明の第4態様による存在検出器は、第2存在検出器と呼ばれる。従って、本発明の第1態様による方法は、第1存在検出器の動作方法と呼ばれ、本発明の第2態様による方法は、第2存在検出器の動作方法と呼ばれる。しかしながら、「第1(first)」及び「第2(second)」なる用語は、決して限定するものとして見なされるべきではない。
【0012】
特定の領域又はサブエリアの付近の領域又はサブエリアに設置された照明デバイスは、その特定のサブエリアにおける存在検出に応じて対処し得るため、スペースにおける隣接する領域又はサブエリア間の存在情報を通信することは、有用であり得る。例えば、そのサブエリアで存在が検出された場合、フルの照明レベルが、特定のサブエリアに提供されてもよく、全照明から暗闇(すなわち照明無し)への極端な移行を低減するために、半照明レベルが隣接するサブエリアに提供されてもよい。スペースにおける種々異なるサブエリア間の存在情報のこのような通信を得るためには、前述のように、I2C、UART、DALI、及びZigbee(登録商標)などの通信インフラを使用することができる。しかしながら、全てのこれら通信インフラは、有線接続のための銅線及び追加の電子機器などの付加的なハードウエアを必要とし、これは、材料費の高額な請求をもたらし、設置の複雑さ及びコストを増加させる。本発明者は、存在検出に使用される波信号これ自体を存在情報の通信に利用し、これによって、上記に述べたような追加の通信チャネルの必要性を削減できることに気が付いた。
【0013】
本発明によれば、第1存在検出器は、(例えば第1存在検出器の検出エリア内で)存在が検出された場合、第1波信号の特性パラメータ(又は特徴)を変更することによって存在情報を通信する。好ましくは、存在が検出されない場合、第1波信号の特性パラメータは変更されないままである。従って、第1波信号の変更された特性パラメータは、第1存在検出器によって存在が検出されたことの表示である。第1波信号の特性パラメータの変更は、その後、変更について(第1検出器からの)第1波信号を監視する第2存在検出器によって検出されてもよく、検出されるとすぐに、第2存在検出器は制御信号を送信してもよい。このように、存在情報は、第1存在検出器から第2存在検出器に通信される。存在情報の通信は、存在が検出された(又はされている)サブエリアの付近に位置付けられるサブエリアにおいて、照明レベル、HVAC(暖房、換気、及び空調)パラメータ又は任意の他の所望のパラメータの調整などの取るべき更なるアクションを可能にする。第2存在検出器によって送信される制御信号は、好ましくは照明システム内の(第2存在検出器から第2存在検出器に関連する光源への電気信号などの)内部信号であってもよく、すなわち存在検出のための波信号でなくてもよい。
【0014】
存在検出ユニット(又はプロセッシングユニット)は、波信号の送信及び特性パラメータの変更をそれぞれ行うための単一の構成要素(若しくはユニット)、又は代替的に別体の構成要素(若しくはユニット)を有してもよい。更に、監視ユニットは、波信号の特性パラメータの監視及び制御信号の送信をそれぞれ行うための単一の構成要素(若しくはユニット)、又は代替的に別体の構成要素(若しくはユニット)を有してもよいことに留意されたい。
【0015】
本発明は、付加的な通信システムを使用せずに存在情報が種々異なる存在検出器間で通信でき、これによって技術的な複雑さ及びコストを削減され得る点で有利である。更に、存在情報は、存在検出器自体の間で直接通信され得るため、存在情報を集め、転送するための中央ユニットは不要である。
【0016】
波信号の特性パラメータの変更の検出は、例えば特性パラメータの増加若しくは減少を検出することによって、又は特性パラメータが所定の基準値を超える若しくは下回ることによって実現されてもよい。
【0017】
下記に説明される本発明の実施形態は、互いに、並びに、本発明の第1、第2、第3及び第4態様のいずれか一つと組み合わされてもよい。
【0018】
実施形態によれば、第1波信号(及び、任意選択で、更に第2存在検出器によって送信される任意の波信号)は、超音波信号又はレーダ信号であってもよい。超音波又はレーダ技術は共に、波(超音波又はレーダ波)を送信し、環境からの送信された波のエコーを測定することによって存在検出を行うというコンセプトに基づく。
【0019】
本発明の実施形態によれば、第1波信号の特性パラメータを変更するステップは、第1波信号の第1特性パラメータを第2特性パラメータに変更するステップを有してもよく、第1波信号は、変更後、第2特性パラメータで送信されてもよい。従って、第1存在検出器は、存在が検出されるまで第1特性パラメータ(又は値)を有する第1波信号を送信し、検出されると、第1存在検出器は、第1波信号を、代わりに第2特性パラメータで送信し始めるように構成されてもよい。本実施形態は、第1存在検出器は、存在が検出されたことを通信するのに、第1特性パラメータを第2特性パラメータに切り替えるだけであるという点で有利である。
【0020】
更に、第2存在検出器を動作する方法は、第1波信号の第2(又は所定の)特性パラメータを検出し、好ましくは第2特性パラメータを検出すると、制御信号を送信するステップを有してもよい。制御信号は、取るべき更なるアクションを可能にし、例えば制御信号は、第2存在検出器に関連するサブエリアの照明を作動させる(又は温度を上げる)ことを可能にする。第1特性パラメータは、第2存在検出器によって検出される必要はない。つまり、第2特性パラメータの検出は、第1検出器が存在を検出したかどうかを決定するのに十分である。
【0021】
本発明の実施形態によれば、第1波信号を第2特性パラメータで送信することは、第1タイムスロットの通信サブスロットにおいて行われてもよい。第1タイムスロットは、存在検出を行うための第1存在検出器専用のタイムスロットであってもよい。隣接する検出器は、好ましくは存在検出器によって送信される波信号間の干渉を低減させるために、第1タイムスロットからオフセットされた他のタイムスロットにおいて存在検出を行ってもよい。本実施形態によれば、第1タイムスロットは、通信サブスロットを有してもよく、第1タイムスロットの一部は、存在情報の通信の専用である。任意選択で、第1存在検出器は、第1波信号を第2特性パラメータで送信した後、第1波信号を第1特性パラメータで送信するように戻る。
【0022】
更に、第2存在検出器を動作する方法は、第1波信号の特性パラメータを少なくとも通信サブスロットにおいて監視するステップを有してもよい。第2存在検出器は、第1タイムスロットの残りの時間において監視を行う必要はない。
【0023】
更に、第1波信号のエコーに基づいて存在を検出するための第1波信号を第1特性パラメータで送信することは、通信サブスロットからオフセットされ、通信サブスロットより前の第1タイムスロットの存在検出サブスロットにおいて行われてもよい。従って、第1タイムスロットでは、対象物が存在しているかどうかの決定が最初に(存在検出サブスロットにおいて)行われ、その後、存在検出サブスロットにおいて存在が検出されている(検出された)場合、存在情報は、(通信サブスロットにおいて)第1波信号を第2特性パラメータで送信することによって通信される。存在検出サブスロットにおいて存在が検出されない場合、通信サブスロットにおいて通信もアクションも行われなくてもよい、又は代替的に、第1存在検出器は、この場合は、通信サブスロットにおいて、第1波信号を第1特性パラメータで送信し続けてもよい。「通信サブスロット(communication sub-slot)」なる用語が使用されているが、通信は、各通信サブスロットにおいて行われる必要はなく、存在が検出されている場合にのみ行われてもよいことに留意されたい。
【0024】
代替的に、又は補完として、本発明の実施形態によれば、第1タイムスロットは、繰り返されてもよく、第1波信号を第2特性パラメータで送信することは、繰り返される第1タイムスロットにおいて行われてもよい。本実施形態によれば、通信は、繰り返される(後続の)第1タイムスロットにおいて代わりに(又は補完として)行われるため、第1タイムスロットは、サブスロットに分割される必要はない。第1タイムスロットは、時分割二重通信システムにおけるように、複数のタイムスロットを有するタイムフレームの一部であってもよい。第1存在検出器は、第2特性パラメータの第1波信号によって、又は更に別の繰り返される第1タイムスロットにおいて第1特性パラメータの第1波信号を送信するように戻ることによって、存在検出(又は存在の監視)を行い続ける。
【0025】
本発明の実施形態によれば、第1存在検出器を動作する方法は、更に、第1タイムスロットからオフセットされた第2タイムスロットにおいて、別の(例えば隣接する)存在検出器から送信される第2波信号の特性パラメータを監視するステップと、第2波信号の監視される特性パラメータの変更を検出すると、又は監視される特性パラメータの特定の(好ましくは所定の)値を検出すると制御信号を送信するステップとを有してもよい。よって、第1存在検出器は、これ自体によって生成された存在情報を通信することに加えて、他の存在検出器からの存在情報も受信又は検出するように構成されてもよい。監視するステップは、第1存在検出器の監視ユニットによって行われてもよく、これは、存在検出器と同じ部分に又は別体の部分として含まれてもよい。
【0026】
実施形態によれば、(第1存在検出器によって送信される)制御信号は、第2波信号の変更された特性パラメータ(の代表など)に基づいてもよい。同様に、第2存在検出器によって送信される制御信号は、第1波信号の変更された特性パラメータに基づいてもよい。本実施形態によれば、新しい特性パラメータに基づいてアクションを取り得る。例えば、(存在検出器が配置されたスペースの少なくともいくつかのサブエリアにおける環境に影響を与える)種々異なるアクションが、種々異なる特性パラメータ(又は値)の結果として取り得る。
【0027】
実施形態によれば、第1タイムスロットは(任意選択で第2タイムスロットも)、周期的に又はタイムスケジュールに従って繰り返されてもよく、存在検出、及び任意選択で、存在が検出された場合は存在情報の通信も、繰り返しの態様において行われてもよい。例えば、第1タイムスロットは、及び好ましくは、第2タイムスロットも、繰り返されるタイムフレームにおいて提供されてもよい。タイムフレームは、存在検出器システムの各存在検出器又は少なくとも隣接する存在検出器のグループの各存在検出器に対して、タイムスロットを有してもよい。各存在検出器は、その後、存在検出を行うための各繰り返されるタイムフレームにおいて専用のタイムスロットを有し、存在検出器によって送信される信号間の干渉は低減される。好ましくは、第1タイムスロットは、第2タイムスロットとオーバーラップしない。
【0028】
本発明の実施形態によれば、第1波信号の特性パラメータは(及び第2波信号の特性パラメータも)、第1波信号の周波数、パルス長、パルスの数、及び振幅の少なくとも1つであってもよい。波信号は、存在情報を伝達するために任意の適切なやり方で変更(変調)されてもよい。(存在検出器によって検出された)存在は、例えば波信号の、周波数、パルス長、(例えば1バースト内の)パルスの数、及び/又は振幅を1つの値から別の値へとシフトすることによって通信されてもよい。存在が検出された場合に(例えば周波数及び/又は振幅に関して)特定のパターンに従って波信号を変調するなど、より複雑な技術も予想される。
【0029】
本発明の実施形態によれば、方法は、更に、検出された対象物によって行われるアクティビティのタイプを決定するステップと、決定されたアクティビティのタイプに基づいて、所定の特性パラメータのセットから特性パラメータ(特性値など)を選択するステップと、第1波信号の特性パラメータを選択された特性パラメータに変更するステップとを有してもよい。アクティビティのタイプは、第1波信号のエコーに基づいて決定されてもよい。超音波ベースの存在検出器は、対象物の単なる存在を決定するだけでなく、どのくらいの動き及びどのくらいの距離で動きが検出されたか(複数の存在検出器の場合は、どの角度で動きが検出されたか)など更なる存在情報も決定してもよい。このような存在情報は、アクティビティのタイプを決定するのに使用されてもよい。例えば、存在検出器の下で検出された小さな動きは、人が自分のデスクで仕事をしていると解釈され、時間にわたって複数の位置で及びやや長い距離で検出された大きな動きは、人が歩いているとして解釈される。
【0030】
本実施形態は、存在検出器間で通信される存在情報は、検出された対象物によって行われるアクティビティの表示を有し、アクティビティに基づいて(照明レベルの調整などの)アクションを取り得るという点で有利である。
【0031】
本発明の実施形態では、第1及び第2存在検出器は、等しく構成されてもよい(すなわち同じ原理に従って動作する)点に留意されたい。従って、第1存在検出器について上記に説明された任意の実施形態は、同じく第2存在検出器に適用されてもよく、第2存在検出器について上記に説明された任意の実施形態は、同じく第1存在検出器に適用されてもよい。例えば、第2存在検出器の動作方法は、更に、第1タイムスロットからオフセットされた第2タイムスロットにおいて、第2波信号のエコーに基づいて対象物の存在を検出するための第2波信号を送信するステップと、対象物の存在が検出された場合、第2波信号の特性パラメータを変更するステップとを有してもよい。
【0032】
本発明の実施形態によれば、存在検出器システムが提供される。存在検出器システムは、本発明の第3実施形態による第1存在検出器と、本発明の第4実施形態による第2存在検出器とを有してもよい。本実施形態は、少なくとも第1存在検出器から第2存在検出器へ存在情報を通信することができる少なくとも2つの存在検出器を備える存在検出器システムを提供する。
【0033】
本発明の実施形態によれば、照明システムが提供され、これは、照明デバイスと、本発明の第4実施形態による存在検出器(本明細書では第2検出器と呼ばれる)とを有してもよい。照明デバイスは、(第2)存在検出器によって送信された制御信号に基づいて制御される(動作する)ように構成されてもよい。本実施形態によれば、照明デバイスは、別の(例えば隣接する)存在検出器から受信した存在情報に基づいて制御されてもよい。例えば、存在が隣接する存在検出器で検出された場合、照明デバイスの照明レベルは、半照明レベルに調整(例えばスイッチが入る)されてもよい。
【0034】
本発明は、請求項に記載された特徴の全ての可能な組み合わせに関する点に留意されたい。本発明の特徴の更なる目的、及び本発明による有利な点は、下記の詳細な開示内容、図面及び添付の請求項の精査をすれば明らかになるだろう。当業者は、本発明の種々異なる特徴は、以下に説明された実施形態以外の実施形態を作るために組み合わせることができることを理解する。
【0035】
本発明のこれら及び他の態様は、ここで、発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1a図1aは、本発明の実施形態による照明システムを模式的に示す。
図1b図1bは、スペースに設置された図1aの照明システムを模式的に示す。
図2図2は、本発明の実施形態によるタイムフレームを示す。
図3図3は、本発明のある実施形態による存在検出器の動作方法を示す。
図4図4は、本発明の別の実施形態による存在検出器の動作方法を示す。
【0037】
全ての図面は模式的であり、縮小拡大する必要はなく、概して発明を解明するために必要な部分を示すのみであり、他の部分は、省略されてもよく又は単に提案されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態による照明システムは、以下に図1a及び図1bを参照して説明される。
【0039】
照明システム1は、第1照明デバイス210、第2照明デバイス220、及び第3照明デバイス230を有する。照明システム1は、更に、第1照明デバイス210に接続される第1存在検出器310、第2照明デバイス220に接続される第2存在検出器320、及び第3照明デバイス230に接続される第3存在検出器330を有する存在検出器システム10を有する。
【0040】
各存在検出器310、320、330は、存在検出を行い、存在が検出されたかどうかを示す存在情報を他の存在検出器310、320、330に通信する(送信する)ように構成された存在検出ユニット311、321、331を有する。対象物500の存在に対して、第1存在検出器310の存在検出ユニット311は、スペース100の第1サブエリア410を監視し、第2存在検出器320の存在検出ユニット321は、スペース100の第2サブエリア420を監視し、第3存在検出器330の存在検出ユニット331は、スペース100の第3サブエリア430を監視するように構成される。各存在検出器310、320、330が監視するサブエリア410、420、430は、好ましくは関連する照明デバイス210、220、230が照明するエリアと一致する。存在(又は存在検出)の監視は、(超音波又はレーダ信号などの)波信号を送出し、環境から受信した波信号のエコーを測定することによって行われ、測定されたエコーに基づいて存在を決定する。存在検出ユニット311、321、331は、それぞれ波信号を送信し、波信号からのエコーを受信するためのトランシーバを有する。
【0041】
各存在検出器310、320、330は、更に、他の存在検出器310、320、330によって通信される存在情報を監視する(及び受信する)ための監視ユニット312、322、332を有する。監視ユニット312、322、332は、存在検出ユニット311、321、331と共に主要存在検出器部分の中に含まれてもよく、又は主要存在検出器部分に接続される別部分として含まれてもよい。第1存在検出器310の監視ユニット312は、第1存在検出器310の存在検出ユニット311によって得られる存在情報と、他の存在検出器320、330によって通信される存在情報とに基づいて、第1照明デバイス210に制御信号を送信するように構成される。第2及び第3存在検出器320、330の監視ユニット322、332も同様に構成される。
【0042】
存在検出器310、320、330によって送信される波信号間の干渉を減少させるために、時分割多重技術が好ましくは利用されてもよく、これは、ここで、特に図2を参照して説明される。タイムフレーム800は、タイムスロット810、820、830に分割され、例えば存在検出器の数とタイムスロットの数とは同じ数である。しかしながら、存在検出器が互いの測定に影響を与えないことを保証する互いに十分に遠く離れて設置された複数の存在検出器に対して、全く同一のタイムスロットが使用されてもよい。
【0043】
存在検出の実行に対して、第1タイムスロット810は、第1存在検出器310の専用であり、第2タイムスロット820は、第2存在検出器320の専用であり、第3タイムスロット830は、第3存在検出器330の専用である。タイムフレーム800は、存在検出が行われるべきである限り繰り返されてもよい。
【0044】
実施形態によれば、各タイムスロット810、820、830は、それぞれ存在検出サブスロット811、821、831に分割されてもよく、それぞれ後続の通信サブスロット812、822、832に分割されてもよい。存在検出サブスロット811、821、831では、存在検出器310、320、330は、存在検出を行い(存在に対してそのサブエリアを監視する)、通信サブスロット812、822、832では、存在検出器310、320、330は、存在が検出された場合に通信する。代替的に、例えば専用タイムスロットが存在検出サブスロットと通信サブスロットとに分割されていない場合、各存在検出器310、320、330は、(繰り返されるタイムフレームにおいて)その後続のタイムスロットを、存在情報を通信するために利用する。存在検出器は、その後、後続のタイムスロットにおいて存在に対して監視を続けるが、変更した特性パラメータを用い、これによって他の存在検出器に存在情報を通信する。
【0045】
存在の監視(存在検出の実行)及び存在検出器310と320と330との間の存在情報の通信は、下記により詳細に説明される。図3及び図4は、存在検出器310、320、330の動作方法の模式的な図を示す。当然のことながら、方法が、下記に第1存在検出器310に関して説明されているが、該方法は、第2及び第3存在検出器320、330のうちのいずれか一つに同等に適用されてもよく、違いは、第2存在検出器320は、存在検出及び存在情報の通信を第2タイムスロット820で行い、第3存在検出器330は、存在検出及び存在情報の通信を第3タイムスロット830で行う点である。
【0046】
まず、存在検出器の存在検出ユニットの動作方法6が図3を参照して説明される。第1存在検出器310の存在検出ユニット311は、ステップ601で、第1波信号に対して第1特性パラメータ、これは本例では周波数A(例えば40kHz)を設定し、ステップ602で第1タイムスロット810を待つ。第1タイムスロット810が来ると、存在検出ユニット311は、第1特性パラメータ、すなわち周波数Aで第1波信号をサブエリア410に向かって送信する。第1波信号は、環境(すなわち、サブエリア410に存在する壁、床、場合により人などの移動対象物)によって反射され、反射された第1波信号の一部は、その後、存在検出ユニット311で(エコーとして)受信される。ステップ604で、存在検出ユニット311は、第1波信号の受信したエコーを測定し、測定されたエコーに基づいて、対象物500がサブエリア410で存在しているかを決定する。存在検出の方法は、例えばドップラーシフト測定法、飛行時間測定法、又はMTIプロセッシングによって達成される。存在が検出されない場合(図3の決定ポイント605においてnで表される)、ステップ601で、第1波信号の周波数(又は特性パラメータ)は、周波数A(第1特性パラメータ)に維持され、これは、後続のステップ602−605が繰り返される。対象物500の存在が検出された(図3の決定ポイント605においてyで表される)場合、ステップ606で、存在検出ユニット311は、第1波信号に対して第2特性パラメータ、これは本例では周波数B(例えば40.5kHz)を設定することによって、第1波信号の特性パラメータを変更する。
【0047】
任意選択で、ステップ606で、存在検出器311は、第1波信号のエコーに基づいて、対象物500によって行われるアクティビティのタイプを決定し、その後、(種々異なる周波数のセットから周波数を選択するなど)所定の特性パラメータのセットから特性パラメータを選択し、第1波信号に対して選択した特性パラメータを設定してもよい。例えば、40.5kHzは、ウォーキング・アクティビティ、39.5kHzは、スタンディング・アクティビティ、39.0kHzは、(タイピング又は読書など)集中する仕事アクティビティを表してもよい。新しい(第2)特性パラメータが設定された後、ステップ602−605が繰り返され、これは、繰り返される第1タイムスロット810において第2特性パラメータ(周波数B)で第1波信号を送信することによって、存在検出ユニット311が、存在検出を行う(存在を監視する)ことを意味する。
【0048】
代替の実施形態によれば、ステップ602で、存在検出ユニット311は、第1タイムスロット810の存在検出サブスロット811を待ち、存在検出サブスロットにおいてステップ603−605を行ってもよい。存在が検出された場合、存在検出ユニット311は、第2特性パラメータ(周波数B)を設定し、存在検出サブスロット811のすぐ後に続く第1タイムスロット810の通信サブスロット812を待つ。通信サブスロット812が来ると、存在検出ユニット311は、第1波信号を第2特性パラメータ(周波数B)で送信する。この時点では、目的は、単に存在が検出されたことを通信することであるため、第2特性パラメータの第1波信号のエコーの測定は不要である。第1タイムスロット810が繰り返される場合、存在検出ユニット311は、第1特性パラメータ(周波数A)で第1波信号を送信するように戻り、上記ステップを繰り返す。存在検出サブスロット811において存在が検出されない場合、第1波信号の特性パラメータは、変更されないままでもよく、任意選択で、通信サブスロット812において波信号が送信されなくてもよい。代替的に、(存在が検出されない場合)第1波信号は、通信サブスロット812において第1特性パラメータ(周波数A)で送信されてもよい。
【0049】
対象物の存在がサブエリア410で検出された場合、存在検出ユニット311は、存在が検出されたことを示す制御信号を第1照明デバイス210に送信してもよい。第1照明デバイス210は、その後、制御信号に基づいて制御され、例えばフルの照明レベルにスイッチが入れられてもよい。
【0050】
図4を参照すると、存在検出器の監視ユニットの動作方法7が下記に説明される。第1存在検出器310の監視ユニット312は、ステップ701で、隣接する存在検出器320、330のタイムスロットにおいて、すなわち第2又は第3タイムスロット820、830において、隣接する存在検出器320、330からの波信号の(周波数などの)特性パラメータを監視する。監視ユニット312は、その後、ステップ702で、監視される波信号の主要特性パラメータ(本例では、主要周波数)を決定する。特性パラメータの変更(又はシフト)が検出されない場合(決定ポイント703においてnで表される)、監視ユニット312は、隣接する存在検出器の次のタイムスロットを待ち、ステップ701−703を繰り返す。主要周波数Aから主要周波数Bへのシフトなど監視された波信号の特性パラメータの変更が検出された場合(決定ポイント703においてyで表される)、監視ユニット312は、存在が、隣接するサブエリア420、430で検出されたことを示す制御信号を、例えば第1照明デバイス210に送信する。照明デバイス210は、その後、監視ユニット312からの制御信号に基づいて制御され、例えば半照明レベルにスイッチが入れられてもよい。
【0051】
各タイムスロットが存在検出サブスロットと通信サブスロットとに分割されている場合、隣接する存在検出器からの波信号の特性パラメータの監視は、隣接する存在検出器のタイムスロットの通信サブスロットにおいて行うだけでよく、これは節電に有利である。
【0052】
実施形態によれば、監視ユニット312によって送信される制御信号は、検出された特性パラメータを表し、従って、隣接する存在検出器によって検出された対象物500によって行われるアクティビティのタイプも表す。照明デバイス220は、その後、アクティビティのタイプに従って制御されてもよい。
【0053】
当業者は、本発明は、決して上記に説明された好ましい実施形態に限定されないことを理解するだろう。それどころか、多くの修正及びバリエーションが、添付の請求項の範囲内で可能である。例えば、存在検出器システムは、照明システム以外の種類のステム、例えばHVACシステムなどに接続されてもよい。
【0054】
本発明は、図面及び前述の記載において詳細に図示及び説明されたが、このような図示及び説明は解説的又は例示的であって限定するものではないと見なされるべきである。すなわち本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。
【0055】
開示された実施形態に対する他のバリエーションは、当業者により、請求項に係る発明を実施する際に、図面、開示内容、及び添付の請求項の精査から理解され、達成され得る。請求項において「有する(comprising)」なる単語は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除するものではない。
単一プロセッサ又は他のユニットは、請求項に列挙される複数のアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に引用されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウエアと共に又はその一部として提供される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶/配信されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の電気通信システムを介してなど他の形式でも配信されてもよい。請求項における任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1a
図1b
図2
図3
図4