【実施例1】
【0037】
本発明の実施例1に係る児童の位置追跡システム(請求項
1に対応)を、
図1〜
図7に基づいて説明する。
図に示す児童の位置追跡システムAは、児童J達が各自、少なくとも1台携帯する複数台の小電力送信機1と、通学路中の複数の地点K1、K2、K3、…、Knに設置した拠点装置2と、サーバー3とからなる。
【0038】
小電力送信機1は、搬送波に児童Jの固有の登録番号情報15を重畳した電波wを、15秒毎に1ms、内蔵アンテナ10から空中へ放射する。
この小電力送信機1の内蔵アンテナ10からは、免許を要しない特定小電力無線局に割り当てられた周波数921MHz、空中線電力20mWの電波wが空中に放射される。
【0039】
登録番号001の児童Jが所持する一番機の小電力送信機1は、登録番号情報15として、登録番号001を重畳した電波w1を15秒間隔で、1msの間、内蔵アンテナ10から空中へ放射する(
図2参照)。
タイムチャート上の15秒間隔の起点は、スイッチ11の投入により作動を開始する内蔵タイマーによりばらつき、本実施例では0秒である。
【0040】
登録番号003の児童Jが所持する三番機の小電力送信機1は、登録番号情報15として、登録番号003を重畳した電波w3(周波数921MHz、空中線電力20mW)を15秒間隔で、1msの間、内蔵アンテナ10から空中へ放射する(
図2参照)。
タイムチャート上の15秒間隔の起点は、スイッチ11の投入により作動を開始する内蔵タイマーによりばらつき、本実施例では0. 002秒である。
【0041】
登録番号004の児童Jが所持する四番機の小電力送信機1は、登録番号情報15として、登録番号004を重畳した電波w4(周波数921MHz、空中線電力20mW)を、15秒間隔で、1msの間、内蔵アンテナ10から空中へ放射する(
図2参照)。
タイムチャート上の15秒間隔の起点は、スイッチ11の投入により作動を開始する内蔵タイマーによりばらつき、本実施例では0. 004秒である。
【0042】
登録番号002の児童Jが所持する二番機の小電力送信機1は、登録番号情報15として、登録番号002を重畳した電波w2(周波数921MHz、空中線電力20mW)を、15秒間隔で、1msの間、内蔵アンテナ10から空中へ放射する(
図2参照)。
タイムチャート上の15秒間隔の起点は、スイッチ11の投入により作動を開始する内蔵タイマーによりばらつき、本実施例では0. 006秒である。
【0043】
小電力送信機1は、本体の重量が十数gと軽く製造でき、本実施例では、児童Jが背中に背負うランドセル100に着脱可能に取り付けられている。なお、15秒毎に1msと、電波wの発射時間が短いので、二次電池12の満充電で数カ月間の運用が可能である。
【0044】
この小電力送信機1は、運用開始/運用停止を手動で行うためのスイッチ11と、作動用電力を蓄えた二次電池12と、二次電池12を外部電源で充電するための充電回路13と、低い周波数の搬送波を作るための発振回路14と、その搬送波に登録番号情報15を重畳するための変調回路16と、変調波を921MHzに周波数変換する周波数変換回路17と、周波数変換した921MHzの変調波を増幅する電力増幅回路18と、内蔵タイマーに基づいて15秒毎に1msのあいだ通電を行うための通電回路19と、内蔵アンテナ10とを備える。
【0045】
なお、安定した921MHzの搬送波を発振回路14が直接作れないためと、停波期間中の漏れ電波を無くして混信防止を図るためと、放射開始時の立ち上がりを安定にするために周波数変換回路17を設けている。
【0046】
図3に示す拠点装置2は、アンテナ21と、受信回路22と、記憶手段23と、ネットワーク通信手段24とを備え、有線式のインターネット回線iに常時接続されている。
本実施例では、この拠点装置2は、通学路(家31〜学校32間)の要所に立つ複数の街灯25の支柱の横架材26に配設されている。なお、商用交流100Vが容易に利用でき、インターネット回線iと接続し易い、電柱、公衆電話ボックス、公衆便所、自動販売機などに拠点装置2を配設しても良い。
【0047】
アンテナ21は、無指向性の高利得のコリニア式で、拠点装置2の筐体27から下向きに配設され、小電力送信機1が放射する電波wを捕える。
受信回路22は、捕らえた電波wから、個体識別情報である児童Jの登録番号を復調するとともに、電波wの搬送波の信号強度を、8bit分解能で0〜255までの数値に変換する。
数値255は、信号強度が0dBm以上であり、数値0は、信号強度が−70dBm未満である。
【0048】
記録手段23は、児童Jの登録番号毎に、所定の受信時刻における、搬送波の信号強度の平均の数値を記録する。
例えば、登録番号001の児童Jが、8:00〜8:14の間に、家31から学校32まで、位置S1〜位置S15に示す経路で歩いた場合について説明する(
図4参照)。
地点K1に設置した拠点装置2が受信した電波w1の8時3分00秒の信号強度の数値が33、8時3分15秒の信号強度の数値が34、8時3分30秒の信号強度の数値が39、8時3分45秒の信号強度の数値が38である場合には、登録番号001に係る受信時刻8時3分の信号強度の平均の数値は(33+34+39+38)/4=36である(
図6参照)。
【0049】
同様に、受信時刻8時2分の信号強度の平均の数値は1、受信時刻8時4分の信号強度の平均の数値は73、受信時刻8時5分の信号強度の平均の数値は110、受信時刻8時5分の信号強度の平均の数値は110、受信時刻8時6分の信号強度の平均の数値は73、受信時刻8時7分の信号強度の平均の数値は36、受信時刻8時8分の信号強度の平均の数値は1である(
図6参照)。
【0050】
地点K1に設置した拠点装置2のネットワーク通信手段24は、拠点装置2を設置した場所の位置情報とともに、記録手段23に記憶した受信時刻と、信号強度の平均の数値とからなる記録内容をインターネット回線iを介してサーバー3へ適宜、伝送する。なお、負荷低減のため、信号強度の平均の数値が1以上の場合のみ、拠点装置2から記憶内容をサーバー3へ伝送する。
【0051】
拠点装置2を設置した地点K1の位置情報とは、例えば、34.871664 -136.904932 (北緯34度52分17.991秒- 東経136 度54分17.754秒)である。
また、記録内容とは、受信時刻+該受信時刻の信号強度の平均の数値であり、上記の場合、8時2分で1、8時3分で36、8時4分で73、8時5分で110、8時6分で73、8時7分で36、8時8分で1である。
【0052】
同様に、地点K2に設置した拠点装置2が受信した電波w1の登録番号001に係る受信時刻8時3分の信号強度の平均の数値は1、受信時刻8時4分の信号強度の平均の数値は36、受信時刻8時5分の信号強度の平均の数値は73、受信時刻8時6分の信号強度の平均の数値は73、受信時刻8時7分の信号強度の平均の数値は50、受信時刻8時8分の信号強度の平均の数値は36、受信時刻8時9分の信号強度の平均の数値は1、受信時刻8時10分の信号強度の平均の数値は1である(
図6参照)。これ以外の受信時刻の信号強度の平均の数値は0である。
【0053】
地点K2に設置した拠点装置2のネットワーク通信手段24は、拠点装置2を設置した場所の位置情報とともに、記録手段23に記憶した受信時刻と、信号強度の平均の数値とからなる記録内容をインターネット回線iを介してサーバー3へ適宜、伝送する。この地点K2は、地点K1から南東へ数百m離れた位置である。
また、負荷低減のため、信号強度の平均の数値が1以上の場合のみ、拠点装置2から記憶内容をサーバー3へ伝送する。
【0054】
同様に、地点K3に設置した拠点装置2が受信した電波w1の登録番号001に係る受信時刻8時6分の信号強度の平均の数値は36、受信時刻8時7分の信号強度の平均の数値は73、受信時刻8時8分の信号強度の平均の数値は80、受信時刻8時9分の信号強度の平均の数値は110、受信時刻8時10分の信号強度の平均の数値は73、受信時刻8時11分の信号強度の平均の数値は36、受信時刻8時12分の信号強度の平均の数値は1である(
図6参照)。これ以外の受信時刻の信号強度の平均の数値は0である。
【0055】
地点K3に設置した拠点装置2のネットワーク通信手段24は、拠点装置2を設置した場所の位置情報とともに、記録手段23に記憶した受信時刻と信号強度の数値とからなる記録内容をインターネット回線iを介してサーバー3へ適宜、伝送する。この地点K3は、地点K1から南西へ数百m離れた位置である。
また、負荷低減のため、信号強度の平均の数値が1以上の場合のみ、拠点装置2から記憶内容をサーバー3へ伝送する。
【0056】
サーバー3は、筐体内に配設したシステムボードに、CPU、ビデオカード、メモリ、ネットワークインターフェイス、および各種機器を接続するための様々なコネクタを組み付けている。各コネクタには、パワーサプライ、ストレージ、入力デバイス、モニターなどが接続され、ネットワークインターフェイスを介して、インターネット回線iに常時接続されている。
【0057】
サーバー3のストレージには、サーバーOS、各種ドライバー、および位置特定用のソフトウェアーがインストールされている。また、ストレージには、各地点の拠点装置2から伝送される記録内容(登録番号毎の複数の受信時刻、各時刻の信号強度の平均の数値)を保存するための記憶エリアが確保されている。更に、通学路近傍の地図情報も格納されている。
【0058】
本実施例では、自由空間における電界強度を算出する計算式に、地点K1、K2、K3…、Knに設置した各拠点装置2のアンテナ21の利得、アンテナ21の地上高、小電力送信機1の内蔵アンテナ10の地上高(例えば1m)と利得、運用周波数921MHzの波長、小電力送信機1の空中線電力(20mW)等のデーターを代入して信号強度を算出している。
【0059】
具体的には、通学路近傍の地図において、地点K1、K2、K3…、Knから所定距離だけ離れた場所(送受間の距離)の信号強度が−10dBm、−20dBm、−30dBm、−40dBm、−50dBm、−60dBm、−70dBmとなる地点は、
図4に示す様に同心円となる。
【0060】
位置特定用のソフトウェアーは、各拠点の拠点装置2から伝送される、同一の登録番号における同じ受信時刻の信号強度に関わる記録内容に基づいて、その受信時刻に該当する児童Jが存在したと思われる領域を特定する。
例えば、登録番号001の児童Jが、8:00〜8:14の間に、位置S1〜位置S15の経路(
図4参照)で移動した場合には、特定できた位置s4〜s10について、登録番号001の児童Jに持たせた一番機の小電力送信機1が移動した軌跡として、通学路近傍の地図上にプロットする(
図7参照)。
【0061】
なお、圏外になった時点で、サーバー3は、登録番号001に係る8:03〜8:09を纏めた軌跡画像を児童Jの保護者宛にメール送信する。
【0062】
実施例1の児童の位置追跡システムAは、下記の利点を有する。
小電力送信機1は、登録番号(個体識別情報)を重畳した921MHZの電波wを内蔵アンテナ10から空中へ放射するという簡単な構造であるので、製造費が安価であるととに、低重量で嵩張らないので児童Jが容易に携帯できる。
【0063】
複数人の児童Jが携帯する小電力送信機1は、電波wを放射するタイミングに関し、電波wを放射する間隔(設定時間)を15秒毎(一定値)と長く、電波wを放射する時間(所定時間)を1ms(一定値)と短くしている。
このため、各児童Jが携帯する小電力送信機1が電波w1、w2、w3…を発射するタイミングを、
図2に示す様に相異ならせることができる。
【0064】
よって、同一の周波数921MHZで、数十台程度の小電力送信機1を同時に作動させても、同じ地点K1、K2、K3…、Knの拠点装置2の受信回路22で混信が起きないので、複数人の児童Jの位置を追跡することができる。
【0065】
小電力送信機1は、15秒間隔で1ms、20mWの電波wを放射する構造であるので、消費電力が少なく小型の二次電池12で長期間(数時間〜数カ月)の連続稼働が可能である。
【0066】
小電力送信機1は、特定小電力無線局用の周波数帯の921MHZを使っているので、最大20mWの空中線電力で運用が可能である。このため、電波wが比較的遠く(数百m〜数km)到達するので、児童Jの通学路内に設置する拠点装置2の数を少なくできる。 また、拠点装置2は、設置位置が判っているので、GPS 測位の必要が無く部品代が安く済む。
【0067】
複数の拠点装置2から伝送された、同一の登録番号(個体識別情報)について、同じ受信時刻の信号強度の平均の数値に関わる記録内容に基づいて、その受信時刻に該当する児童Jが存在したと思われる領域を位置特定用のソフトウェアーが特定する構成である。
このため、複数の拠点装置2から伝送された、固有の登録番号を重畳した電波wを受信した時刻に、その児童Jが存在した領域を精度良く、特定することができる。
【0068】
拠点装置2や位置特定用のソフトウェアーが常時稼働しているので、児童の位置追跡システムAは、無人で、常時、複数の児童Jの追跡が可能である。
【実施例2】
【0069】
本発明の実施例2に係る児童の位置追跡システム(請求項1
、4、5対応)を、
図1〜
図7に基づいて説明する。
図に示す児童の位置追跡システムBは、複数人の障害者UのヘッドガードDに配設した複数台の小電力送信機4と、移動路中の複数の地点T1、T2、…Tnに設置した拠点装置5と、サーバー6と、地点T3に配置される移動式の拠点装置7とからなる。なお、本実施例の障害者Uとは、歩行中に転倒する恐れがあるためヘッドガードDが必要な、高齢者、癲癇持ち、手術養生者、身体障害者などである。
【0070】
小電力送信機4は、搬送波に、特定の障害者Uの固有の登録番号を重畳した電波dを、15秒毎に1ms、内蔵アンテナ40から空中へ放射する(
図8、9参照)。
この小電力送信機4のアンテナ40からは、免許を要しない特定小電力無線局に割り当てられた周波数429.8125MHz、空中線電力10mWの電波dが空中に放射される。
【0071】
一番機の小電力送信機4は、登録番号01を重畳した電波d(周波数429.8125MHz、空中線電力10mW)を1msの間、15秒間隔で、内蔵アンテナ40から空中へ放射する。
タイムチャート上の15秒間隔の起点は、スイッチ41の投入時点と、内蔵時計の時間によってばらつき、例えば0秒である。
【0072】
二番機の小電力送信機4は、登録番号02を重畳した電波d(周波数429.8125MHz、空中線電力10mW)を1msの間、15秒間隔で、内蔵アンテナ40から空中へ放射する。
タイムチャート上の15秒間隔の起点は、スイッチ41の投入時点と、内蔵時計の時間によってばらつき、例えば0.002秒である。
【0073】
三番機の小電力送信機4は、登録番号03を重畳した電波d(周波数429.8125MHz、空中線電力10mW)を1msの間、15秒間隔で、内蔵アンテナ40から空中へ放射する。
タイムチャート上の15秒間隔の起点は、スイッチ41の投入時点と、内蔵時計の時間によってばらつき、例えば0.004秒である。
【0074】
四番機の小電力送信機4は、登録番号03を重畳した電波d(周波数429.8125MHz、空中線電力10mW)を1msの間、15秒間隔で、内蔵アンテナ40から空中へ放射する。
【0075】
タイムチャート上の15秒間隔の起点は、スイッチ41の投入時点と、内蔵時計の時間によってばらつき、例えば0.006秒である。
電波dを15秒毎に1ms送信しているので、同じ拠点装置5の受信エリアに数十台程度の小電力送信機4が存在していても、混信を起こさずに、同時使用することが可能である。
【0076】
小電力送信機4は、重量が数百グラムと軽く、障害者Uの頭部を保護するためのヘッドガードDに配設されている。なお、15秒毎に1msと、電波dの発射時間が短いので、二次電池42の満充電で数カ月間の運用が可能である。
【0077】
この小電力送信機4は、運用開始/運用停止を手動で行うためのスイッチ41と、作動用電力を蓄えた二次電池42と、二次電池42を外部電源で充電するための充電回路43と、低い周波数の搬送波を作るための発振回路44と、その搬送波に登録番号情報45を重畳するための変調回路46と、変調波を429.8125MHzに周波数変換する周波数変換回路47と、周波数変換した変調波を増幅する電力増幅回路48と、回路に内蔵したタイマに基づいて15秒毎に1msのあいだ通電を行うための通電回路49と、内蔵アンテナ40とを備える。
【0078】
なお、安定した429.8125MHzの搬送波を発振回路44が直接作れないためと、停波期間中の漏れ電波を無くして混信防止を図るためと、送信開始時の立ち上がりを安定にするために周波数変換回路47を設けている。
【0079】
複数の異なる場所に設置される拠点装置5は、アンテナ51と、受信回路52と、記憶手段53と、ネットワーク通信手段54とを備え、有線式のインターネット回線iに常時接続されている。
【0080】
本実施例では、この拠点装置5は、障害者Uが通うリハビリセンター61と自宅62との移動経路の要所に立つ複数の電柱55に配設されている。なお、商用交流100Vが容易に利用でき、インターネット回線iと接続し易い、街灯、公衆電話ボックス、公衆便所、自動販売機などに拠点装置5を配設しても良い。
【0081】
アンテナ51は、無指向性の高利得のコリニア式で、拠点装置5の筐体56から上向きに配設され、小電力送信機4が放射する電波dを捕える。
【0082】
受信回路52は、捕らえた電波dから、障害者Uの固有の登録番号を復調するとともに、電波dの搬送波の信号強度を、16bit分解能で0〜255までの数値に変換する。
【0083】
記録手段53は、障害者Uの登録番号毎に、搬送波の平均の信号強度を、所定の受信時刻とともに記録する。
【0084】
例えば、登録番号01の障害者Uが、13:00〜13:12の間に、リハビリセンター61から自宅62まで、位置P1〜P13に示す経路で歩いた場合について説明する(
図11参照)。
【0085】
地点T1に設置した拠点装置5が受信した電波dにおいて、13時0分台(00秒、15秒、30秒、45秒)の信号強度の平均の数値は36、13時1分台の信号強度の平均の数値は73、13時2分台の平均の信号強度の平均の数値は36、8時3分台の信号強度の平均の数値は1である。
【0086】
また、地点T2に設置した拠点装置5が受信した電波dにおいて、13時10分台(00秒、15秒、30秒、45秒)の信号強度の平均の数値が1、13時11分台の信号強度の平均の数値が36、13時12分台の信号強度の平均の数値が1である。
【0087】
更に、地点T3の拠点装置7が受信した電波dにおいて、13時1分台(00秒、15秒、30秒、45秒)の信号強度の平均の数値が1、13時2分台の信号強度の平均の数値が36、13時3分台の信号強度の平均の数値が73、13時4分台の信号強度の平均の数値が110、13時5分台の信号強度の平均の数値が146、13時6分台の信号強度の平均の数値が182、13時7分台の信号強度の平均の数値が182、13時8分台の信号強度の平均の数値が110、13時9分台の信号強度の平均の数値が36、13時10分台の信号強度の平均の数値が1であった。
【0088】
各地点T1、T2…Tnに設置した拠点装置5のネットワーク通信手段54は、拠点装置5を設置した場所の位置情報とともに、記録手段53に記憶した受信時刻と、信号強度の平均の数値とからなる記録内容をインターネット回線iを介してサーバー6へ適宜、伝送する。なお、負荷低減のため、信号強度の平均の数値が1以上の場合のみ、拠点装置5から記憶内容をサーバー6へ伝送する。
【0089】
移動式の拠点装置7は、通常の移動路60から若干離れているが、障害者Uが立ち寄る可能性があるイベント開催中の公園63に駐車している車両8の盗難防止装置81に組み込まれている。
この移動式の拠点装置7は、アンテナ71と、受信回路72と、記憶手段73と、GPS 測位部74と、ネットワーク通信手段75とを備え、インターネット回線iに無線接続されている。
【0090】
アンテナ71は、無指向性で、小電力送信機4が放射する電波dを捕えるためのものであり、車両に取り付けられている。
受信回路72は、捕らえた電波dから障害者Uの固有の登録番号を復調するとともに、電波dの搬送波の信号強度を、16bit分解能で0〜255までの数値に変換する。
【0091】
記憶手段73は、障害者Uの登録番号毎に、搬送波の信号強度の平均の数値を、所定の受信時刻とともに記録する。
GPS 測位部74は、GPS 衛星から現在位置を取得する。
【0092】
サーバー6は、実施例1と同様に、筐体内に配設したシステムボードに、CPU、ビデオカード、メモリ、ネットワークインターフェイス、および各種機器を接続するための様々なコネクタを組み付けている。各コネクタには、パワーサプライ、ストレージ、入力デバイス、モニターなどが接続され、ネットワークインターフェイスを介して、インターネット回線iに常時接続されている。
【0093】
ストレージには、サーバーOS、各種ドライバー、および位置特定用のソフトウェアーがインストールされている。
また、ストレージには、各地点の拠点装置2から伝送される記録内容(登録番号毎の複数の受信時刻、各時刻の信号強度の平均値)を保存するための記憶エリアが確保されている。更に、移動路周辺の地図情報も格納されている。
【0094】
本実施例では、各地点T1、T2…Tnに設置した拠点装置5に関しては、小電力送信機4と同じ構成の送信機を用い、下記の様に求めている。
移動路近傍を描いたの地図を用い、地点T1、T2…Tnから所定距離だけ離れた場所(送受間の距離)の信号強度が−10dBm、−20dBm、−30dBm、−40dBm、−50dBm、−60dBm、−70dBmとなる歩行が可能な地点を、実際に計測して曲線を作成している。
【0095】
地点T3の移動式の拠点装置7は移動が可能であるため、自由空間における電界強度を算出する計算式に、拠点装置7のアンテナ71の利得、アンテナ71の地上高、小電力送信機4の内蔵アンテナ40の地上高(例えば1.6m)と利得、運用周波数429.8125MHzの波長、小電力送信機4の空中線電力(10mW)等のデーターを代入して、拠点装置7から所定距離だけ離れた場所(送受間の距離)における信号強度を算出している。
【0096】
サーバー6にインストールされている位置特定用のソフトウェアーは、各拠点の拠点装置5、および移動式の拠点装置7から伝送される、同一の登録番号における、同じ受信時刻の信号強度の平均の数値に関わる記録内容に基づいて、その受信時刻に該当する障害者Uが存在したと思われる領域を特定する。
【0097】
例えば、登録番号01の障害者Uが、13:00〜13:12の間に、位置P1〜位置P13の経路(
図11参照)で移動した場合には、特定できた位置p2〜p11について、登録番号01の障害者Uに持たせた一番機の小電力送信機4が移動した軌跡として、通地図上にプロットする。
【0098】
なお、圏外になった時点で、サーバー6は、登録番号01に係る13:00〜13:12を纏めた軌跡画像を障害者Uの管理者宛にメール送信する。
【0099】
実施例2の障害者の位置追跡システムBは、下記の利点を有する。
小電力送信機4は、登録番号(個体識別情報)を重畳した429.8125MHZの電波dを内蔵アンテナ40から空中へ放射するという簡単な構造であるので、製造費が安価であるととに、低重量で嵩張らないので障害者UのヘッドガードDに容易に配設できる。
【0100】
複数人の障害者Uが所持する小電力送信機4は、電波dを放射するタイミングに関し、電波dを放射する間隔(設定時間)を15秒毎(一定値)と長く、電波dを放射する時間(設定時間)を1ms(一定値)と短くしている。
このため、各障害者Uが携帯する小電力送信機4が電波d、…dを放射するタイミングを相異ならせることができる。
【0101】
よって、同一の周波数429.8125MHZで、数十台程度の小電力送信機4を同時に作動させても、同じ地点T1、T2、T3…、Tnの拠点装置4、7の受信回路52、72で混信が起きないので、複数人の障害者Uの位置を追跡することができる。
【0102】
小電力送信機4は、15秒間隔で1ms、10mWの電波dを放射する構造であるので、消費電力が少なく小型の二次電池42で長期間(数時間〜数日)の連続稼働が可能である。
【0103】
小電力送信機1は、特定小電力無線局用の周波数帯の429.8125MHzを使っているので、最大10mWの空中線電力で運用が可能である。このため、電波dが比較的遠く(数百m〜数km)到達するので、障害者Uの移動路60内に設置する拠点装置5の数を少なくできる。
また、固定式の拠点装置5は、設置位置が判っているので、GPS 測位の必要が無く、製造コストが安く済む。
【0104】
複数の拠点装置5から伝送された、同一の登録番号(個体識別情報)の同じ受信時刻の信号強度の平均の数値に関わる記録内容に基づいて、その受信時刻に該当する障害者Uが存在したと思われる領域を位置特定用のソフトウェアーが特定する構成である。
このため、複数の拠点装置5から伝送された、固有の登録番号を重畳した電波dを受信した時刻に、その障害者Uが存在した領域を精度良く、特定することができる。
【0105】
拠点装置5や位置特定用のソフトウェアーが常時稼働しているので、障害者Uの位置追跡システムBは、無人で、常時、複数の障害者Uの追跡が可能である。
【0106】
障害者Uが通常通る移動路60から若干離れた公園63でイベントなどが開催されている場合には、車両8を公園63に駐車させることにより、移動式の拠点装置7を地点T3に設置することができる。このため、障害者Uが通常の移動路60から外れて、通常とは異なる位置P1〜位置P13の経路で移動してもサービスエリア内に納まり、障害者Uが存在した領域を特定することができる。
【0107】
個体の位置追跡システムBでは、移動式の拠点装置7を、車両8に搭載した、盗難防止装置81に組み込んでいる。
このため、イベント開催などで障害者Uが通常の移動路60から外れる可能性がある場合でも、車両8を移動式の拠点装置7として利用することができる。
【0108】
(変形例)
本発明は、上記実施例以外に、次の実施態様を含む。
a.実施例1、2に示す個体の位置追跡システムA、Bにおいて、家屋、事務所、公園、自動販売機などの監視物件を盗難などの犯罪から守る為に、家屋、事務所、公園、自動販などの監視物件の内部または外部に設置した警報装置に、拠点装置2、5を組み込んでも良い。
【0109】
警報装置に拠点装置2、5を組み込むことにより、別の場所に、新たに拠点装置2、5を設置する必要がない。また、多くの警報装置を個体の位置追跡システムに利用することができる(請求項
3に対応)。
なお、警報装置が本来の機能により、環視物件の異常を検知した場合は、設置場所で警報音を鳴らすことに加え、サーバー3、6へ異常を通報しても良い。
【0110】
b.移動式の拠点装置7は、移動しながら個体の位置追跡を行っても良い。
車両は、バスや電車などの公共交通機関、バイク、トラックなどが好適である(請求項
4、5に対応)。
【0111】
c.移動式の拠点装置7は、携帯電話本体に組み込まれていても良い。また、携帯電話とBluetooth (登録商標)接続されていても良い。
多くの携帯電話を個体の位置追跡システムの移動式の拠点装置7として利用することができる(請求項
6に対応)。
【0112】
e.個体が携帯する小電力送信機は、個体が所有する、杖、帽子、ヘルメット、カバン、リュック、防犯ブザー、アクセサリー、ぬいぐるみ等に配設しても良い。
また、小電力送信機の形状は、平板状のタグ、フレキシブル体、組み込み式であっても良い。
【0113】
f.個体が携帯する小電力送信機1、4、および拠点装置2、5の運用周波数は、混信対策として、特定小電力無線局用の同じ周波数帯の複数のチャンネルの中から1つを選択できる構成であっても良い。
【0114】
g.実施例1、2に示す個体の位置追跡システムA、Bにおいて、複数の児童J、障害者Uが携帯する小電力送信機1、4は、電波を放射するタイミングに関し、
各無線送信機が電波を放射する時間が重なり難い様に、設定時間を1秒〜30秒の範囲内で無線送信機毎に異なる値とし、所定時間を0.5ms〜100msの一定
の同一値としても良い。
電波を放射する時間が0.5ms〜100msと短く、電波を放射する間隔が1秒〜30秒
の範囲内で無線送信機毎に異なる値としているので、 複数の児童J、障害者Uが携帯する小電力送信機1、4が電波を発射するタイミングを相異ならせることができ、混信が起こらない(請求項2に対応)。
【0115】
h.実施例1、2では、所定の受信時刻に、複数の拠点装置で受信した搬送波の信号強度の平均の数値に基づいてサーバーの位置特定用のソフトウェアーが、個体が存在したと思われる領域を特定している。
変形例として、1カ所の拠点装置が受信する、一定時間内における搬送波の信号強度の平均の数値に基づいて、サーバーの位置特定用のソフトウェアーが、その拠点装置の受信エリアへ、該当する個体が入ったとか、出たとかを判別しても良い。
【0116】
i.1個体が携帯する無線送信機の数を複数にすれば、個体が無線送信機を配設した携帯品を落としたり、無くしたりしても、残りの無線送信機で位置を追跡することが可能である。