【文献】
LEBEDEV A V,PREPARATION OF OLIGODEOXYNUCLEOTIDE 5'-TRIPHOSPHATES USING SOLID SUPPORT APPROACH,NUCLEOSIDES,NUCLEOTIDES AND NUCLEIC ACIDS,TAYLOR & FRANCIS,2001年 1月 1日,V20 N4-7,P1403-1409
【文献】
IVAN ZLATEV,EFFICIENT SOLID-PHASE CHEMICAL SYNTHESIS OF 5'-TRIPHOSPHATES OF DNA,RNA AND THEIR ANALOGUES,ORGANIC LETTERS,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2010年 5月21日,V12 N10,P2190-2193
【文献】
MARTIN SCHLEE,RECOGNITION OF 5' TRIPHOSPHATE BY RIG-I HELICASE REQUIRES SHORT BLUNT 以下備考,IMMUNITY,2009年 7月 1日,V31 N1,P25-34,DOUBLE-STRANDED RNA AS CONTAINED IN PANHANDLE OF NEGATIVE-STRAND VIRUS
【文献】
SPROAT, B. S. et al.,Fast and simple purification of chemically modified hammerhead ribozymes using a lipophilic capture,Nucleic Acids Res,1999年,Vol.27, No.8,p.1950-1955
【文献】
BELLER, C. et al.,Helvetica Chimica Acta,2005年,Vol.88, No.1,p.171-9
【文献】
KARIKO, K. et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications,1985年,Vol.128, No.2,p.695-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
Schleeら(Immunity、2009、31、25−34)は、一方の鎖に5’−O−三リン酸部分を有する平滑末端二本鎖RNAを示し、それは、RIG−Iヘリカーゼを結合することにより、免疫系の強力な刺激として作用する。このように、高純度で、医薬用途に適切な三リン酸修飾オリゴヌクレオチドを調製するための、簡単で効率的な方法を提供する必要がある。
【0003】
三リン酸基またはそのアナログの、ヌクレオシド化合物の5’−OH基への結合は、当技術分野でよく知られている。Ludwig J.ら(J.Org.Chem.、1989、54、631−635)は、2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オンをホスファイト化剤として使用してヌクレオシドの5’−O−三リン酸およびアナログを調製するための、溶液三リン酸化の方法(a solution triphosphorylation method)を開示する。Gaur R.K.ら(1992、Tetrahedron Letters、33、3301−3304)は、2’−O−メチルリボヌクレオシド5’−O−三リン酸およびそのP
α−チオアナログの合成のための、固相上での前記方法の使用を示す。米国特許第6,900,308号は、潜在的な抗ウイルス化合物としての修飾ヌクレオシド5’−O−三リン酸の固相合成を開示し、そして、米国特許第7,285,658号、第7,598,230号、および第7,807,653号は、糖中に、核酸塩基中に、および三リン酸物質中に修飾を有する、ヌクレオシドの三リン酸アナログを開示する。
【0004】
WO96/40159は、キャップ化RNAまたはRNAアナログ分子を生産するための方法を示し、ここで、RNAまたはRNAアナログオリゴヌクレオチドは、2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オンまたはその環置換誘導体のようなホスファイト化剤と反応する。結果として生じる中間体は、リン酸またはピロリン酸、または、それらの塩と反応し、酸化または加水分解される。ニリン酸化または三リン酸化RNAまたはRNAアナログは、活性化m
7G三リン酸、二リン酸または一リン酸またはアナログと反応することによりキャップ化される。
【0005】
WO2009/060281は、修飾オリゴリン酸部分を含む免疫刺激オリゴリボヌクレオチドアナログ、および、そのような化合物の調製のための方法を示す。この方法は、固体支持体上でのオリゴヌクレオチドの合成を含み、適切な溶媒中および塩基存在下で、オリゴヌクレオチドの5’末端でヌクレオチドを2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オンのようなホスファイト化剤と反応させて、ホスファイト化オリゴヌクレオチドをピロリン酸またはピロリン酸アナログと反応させて、オリゴヌクレオチドを酸化剤で酸化して、そして、前記オリゴヌクレオチドを脱保護して、三リン酸または三リン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチドを生じさせる。
【0006】
WO96/40159で用いられるようなポリアクリルアミドゲル電気泳動は、小スケールの分離にのみ適用可能である。より長いオリゴリボヌクレオチドの、5’一リン酸化、二リン酸化、三リン酸化産物に関するイオン交換クロマトグラフィーの分離能は、制限される。要求される変性条件が、分離を煩わしい作業にして(Sproat、1999;Zlatev、2010;WO2009/060281)、さらに、産物は通常、n−1、n−2配列が混入しており、そして、それらの一リン酸および二リン酸は、不十分な純度をもたらす。RIG−Iリガンドの正確な末端構造に対する感受性があるとすれば、これらの精製方法は、薬理学的適用に準最適であろう。
【0007】
二重の標的ストラテジー(siRNAおよびRIGリガンド)は、一般的な配列非依存性の精製方法を必要とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、オリゴヌクレオチド三リン酸(キャプチャータグを含むそのアナログを含む)の合成および精製を示す。標準的な5’−OHオリゴヌクレオチドのHPLC精製に関して最も広く用いられる方法は、トリチル−ONオリゴヌクレオチドの逆相クロマトグラフィーである。
【0013】
本発明に示される方法は、5’三リン酸化オリゴヌクレオチドに関して同様の有効性を有する現実的な解決案を提供する。
【0014】
このように、本発明の要旨は、式(I)のオリゴヌクレオチドを調製する方法であって、
【化1】
[ここで、V
1、V
3およびV
5は、独立に、それぞれの場合において、O、SおよびSeから選択されて、
V
2、V
4およびV
6は、独立に、それぞれの場合において、OH、OR
1、SH、SR
1、F、NH
2、NHR
1、N(R
1)
2およびBH
3−M
+から選択されて、
W
1は、OまたはSであり、
W
2は、O、S、NHまたはNR
2であり、
W
3は、O、S、NH、NR
2、CH
2、CHHalまたはC(Hal)
2であり、
R
1、R
2およびR
3は、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
2−6アシルまたは環状基から選択されて、それぞれ、場合により置換されており、
または、ここで2つのR
1は、それに結合したN原子とともに環を形成してよく、
M
+はカチオンであり、
Xは、NH、NR
3、OまたはSであり、
Zは、キャプチャータグを表し、
Yは、前記キャプチャータグをXに連結する結合またはリンカーを表し、および
ONは、少なくとも4つのヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログビルディングブロックを含む、オリゴヌクレオチドを表す。]
以下のステップ:
(a) 式(IIb)の化合物を得るために、式(IIa)の化合物を酸化剤と反応させるステップ、
【化2】
[ここで、V
1、V
3、V
5、V
4、V
6、W
1、W
2、W
3、およびONは上記で定義される。]
【化3】
[ここで、V
1、V
3、V
5、V
2、V
4、V
6、W
1、W
2、W
3およびONは上記で定義される。]
(b) 式(I)のオリゴヌクレオチドを含む反応産物を得るために、酸化化合物を、式(III)のキャプチャータグ剤と反応させるステップ、
【化4】
[ここで、X、Z、およびYは上述される。]
および、
(c) 前記反応産物中に含まれる他の種からオリゴヌクレオチド(I)の分離を可能にする条件下で、ステップ(b)の反応産物を、前記キャプチャータグと相互作用可能な試薬と接触させるステップ、
を含む。
【0015】
場合により、その方法は、式(IV)のオリゴヌクレオチドを得るために、キャプチャータグを除去するステップ(d)をさらに含み、
【化5】
ここでV
1、V
3、V
5、V
2、V
4、V
6、W
1、W
2、W
3およびONは上述のとおりである。このステップは、例えば以下に詳細に記載するように、三リン酸部分の分解を生じさせない条件下で行われる。
【0016】
さらなる実施態様では、キャプチャータグは除去されないか、または、完全には除去されない。これらの実施態様では、そのようなタグ化オリゴヌクレオチドは、有用性、例えば医薬品としての有用性を有し得る。
【0017】
本願の文脈における用語「オリゴヌクレオチド」は、複数、例えば少なくとも4つのヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログビルディングブロックを含む化合物を包含する。好ましくは、オリゴヌクレオチドは6〜100のビルディングブロック、例えば、20〜40のビルディングブロックを含む。ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログビルディングブロックは、サブユニット間結合で連結された、ヌクレオシドまたはヌクレオシドアナログのサブユニットを含んでよい。ヌクレオシドサブユニットは、デオキシリボヌクレオシドサブユニット、リボヌクレオシドサブユニットおよび/またはそれらのアナログ、特に、糖−および/または核酸塩基−修飾ヌクレオシドアナログを含む。さらに、オリゴヌクレオチドは、非ヌクレオチドのビルディングブロックおよび/またはさらなる末端および/または側鎖の修飾を含んでよい。
【0018】
好ましい糖修飾サブユニットでは、リボヌクレオシドサブユニットの2’−OHは、OR、R、halo、SH、SR、NH
2、NHR、NR
2またはCNから選択される基で置換されており、ここで、Rは、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニルまたはC
2−6アルキニルであり、haloはF、Cl、BrまたはIである。さらに好ましい糖修飾サブユニットでは、リボースは、例えば別の糖、例えばアラビノースなどのペントースによって、置換されてよい。この糖修飾は、2’−フルオロアラビノヌクレオシドサブユニットなどの、上述の2’−OH修飾と組み合わせてよい。なおさらに好ましい糖修飾サブユニットは、ロック化ヌクレオシド(LNA)または2’,3’−セコ−ヌクレオシド(UNA)を含む。好ましい核酸塩基修飾ヌクレオシドビルディングブロックでは、非標準的な、例えば非天然起源の核酸塩基が、標準的な核酸塩基の代わりに用いられる。非標準的な核酸塩基の例は、5位が修飾されたウラシルまたはシトシン、例えば5−(2−アミノ)プロピルウラシルまたは5−ブロモウラシル;ヒポキサンチン;2,6−ジアミノプリン;8位が修飾されたアデニンまたはグアニン、例えば8−ブロモグアニン;デアザヌクレオシド(deazanucleoside)、例えば7−デアザグアニンまたは7−デアザアデニン;またはO−およびN−アルキル化核酸塩基、例えばN
6−メチルアデニン、またはN
6,N
6−ジメチルアデニンである。さらに適切な核酸塩基アナログは、5−ニトロインドールのような、ユニバーサルな核酸塩基アナログから選択してよい。
【0019】
サブユニットの間の、サブユニット間結合は、ホスホジエステル結合または修飾結合、例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホロアミデート、ボラノホスフェート、または当業者に知られる別の修飾結合であってよい。
【0020】
オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログから選択され得る。デゾキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのアナログは、少なくとも1つのデゾキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドサブユニットおよび少なくとも1つの修飾ヌクレオシドサブユニットおよび/または、例えば上述の少なくとも1つの修飾サブユニット間結合を含んでよい。オリゴヌクレオチドアナログはまた、その全体が修飾ヌクレオシドサブユニットから構成されてもよい。
【0021】
オリゴヌクレオチドは、一本鎖分子または二本鎖分子であってよい。二本鎖オリゴヌクレオチドは、完全または部分的相補鎖を含んでよい。二本鎖分子は、平滑末端であってよく、または、少なくとも1つの突出、例えば、5’または3’突出を含んでよい。存在するならば、突出は、好ましくは、分子の遠位末端(三リン酸/三リン酸アナログ基に関して)に位置する。二本鎖オリゴヌクレオチドはまた、ヘアピン構造を含んでよく、ここで、二本鎖は、その遠位末端(三リン酸/三リン酸アナログ基に関して)でループにより閉環している。ループは、ヌクレオチドおよび/または非ヌクレオチドビルディングブロック、例えば、トリ(エチレン)グリコールまたはヘキサ(エチレン)グリコールなどのエチレングリコール部分;プロパン−1,3−ジオール;ドデカン−1,12−ジオール;または3,12−ジオキサ−7,8−ジチアテトラデカン−1,14−ジオールのような、ジオールに基づくビルディングブロックを含んでよい。
【0022】
好ましい実施態様では、二本鎖分子は、特にその近位末端(三リン酸/三リン酸アナログ基に関して)において、平滑末端である。
【0023】
オリゴヌクレオチドは、さらなる末端および/または側鎖修飾、例えば、それに共有結合する細胞特異的な標的物質を含んでよい。これらの物質は、細胞の、または細胞特異的な、取り込みを促進し得て、そして、例えば、脂質類、ビタミン類、ホルモン類、ペプチド類、オリゴ糖類およびそれらのアナログを含む。例えば、標的物質は、当業者に知られる方法により、修飾核酸塩基または非ヌクレオチドのビルディングブロックに結合されてよい。
【0024】
式(I)または(IV)のオリゴヌクレオチドは、三リン酸/三リン酸アナログ基を含む。この基において、V
1、V
3およびV
5は、独立に、O、SおよびSeから選択される。好ましくは、V
1、V
3およびV
5は、Oである。V
2、V
4およびV
6は、それぞれの場合において、独立に、OH、OR
1、SH、SR
1、F、NH
2、NHR
1、N(R
1)
2およびBH
3−M
+から選択される。好ましくは、V
2、V
4およびV
6は、OHである。R
1は、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
2−6アシルまたは環状基、例えばC
3−8シクロ(ヘテロ)アルキル基、C
3−8シクロ(ヘテロ)アルケニル基、フェニルまたはC
5−6ヘテロアリール基であってよく、ここで、ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。さらに、2つのR
1は、それに結合したN原子と一緒に環、例えば5員環または6員環を形成してよい。R
1はまた、F、Cl、BrまたはIなどのハロゲン、O(halo)C
1−2アルキルおよび、環状基の場合は(halo)C
1−2アルキルのような、置換基を含んでよい。M
+は、無機または有機カチオン、例えばアルカリ金属カチオンまたはアンモニウムまたはアミンカチオンであってよい。
【0025】
W
1はOまたはSであってよい。好ましくは、W
1はOである。W
2は、O、S、NHまたはNR
2であってよい。好ましくは、W
2はOである。W
3は、O、S、NH、NR
2、CH
2、CHHalまたはC(Hal)
2であってよい。好ましくは、W
3は、O、CH
2またはCF
2である。R
2は、R
1に関して上述した基から選択してよい。HalはF、Cl、BrまたはIであってよい。
【0026】
三リン酸/三リン酸アナログ基は、好ましくは、オリゴヌクレオチドの末端に結合される。好ましくは、その基は、オリゴヌクレオチドの5’末端に結合され、特に、その5’末端の糖の5’−OH基に結合される。
【0027】
本発明の方法のステップ(a)は、式(IIa)の環状P(V)−P(V)−P(III)種と酸化剤との反応を含む。式(IIa)の化合物は、上記のLudwigら、1989、および上記のGaurら、1992により示される標準的な方法に従って、すなわち、オリゴヌクレオチドの5’末端OH基を、三官能性のホスファイト化剤、例えば2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オンと、適切な条件下、例えば、ジオキサンまたはジクロロメタンのような適切な溶媒中で、塩基(ピリジンまたはジイソプロピルメチルアミン)存在下で反応させて、そして続けて、ピロリン酸(W
3=O)または修飾ピロリン酸(W
3はOではなく、例えばCH
2、CCl
2、NHまたはCF
2である)との反応により、得ることができる。好ましくは、DMF中のピロリン酸または修飾ピロリン酸のトリ−n−ブチルアンモニウム塩が用いられる。結果として生じる環状P(III)−P(V)中間体(IIa)はそれから、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、(10−カンファースルホニル)オキサジリジンのような過酸化物により、無水条件下で酸化される。あるいは、フェニルアセチルジスルフィド(V
2=S)、またはボラン−ジイソプロピルエチルアミン複合体(V
2=BH
3)をそれぞれ用いて、対応する式(IIb)の環状5’三リン酸/三リン酸アナログをもたらすこともできる。これに関連する参考文献はWO96/40159またはWO2009/060281にも引用されており、その内容は参照により本明細書中に援用される。
【0028】
反応ステップ(a)は、溶液中のオリゴヌクレオチドを用いて、または、固相、例えば有機樹脂またはCPGなどのガラスに結合したオリゴヌクレオチドを用いて、おこなってよい。オリゴヌクレオチドは、保護基、例えば、当業者によく知られた、糖−または核酸塩基の保護基をさらに含んでよい。保護基の好ましい例は、ヌクレオシド間のホスホジエステルまたはホスホロチオエートに関して2−シアノエチル、リボース2’−ヒドロキシル基に関してtert−ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルオキシメチルまたはビス(アセトキシエトキシ)メチル、核酸塩基の環外アミノ基に関して4−t−ブチルフェノキシアセチルまたはフェノキシアセチル、アセチル、イソブチリル、ベンゾイルである。さらに好ましくは、ステップ(a)は、固相結合オリゴヌクレオチドを用いて行われる。
【0029】
本発明の方法のステップ(b)によれば、化合物(IIb)は、式(III)のキャプチャータグ剤と反応する。
【化6】
ここで、Xは、NH、NR
3、OまたはSから選択される基である。R
3は、R
1に関して上記で定義されるとおりである。好ましくは、XはNHまたはSである。
【0030】
キャプチャータグは、一連の妥当な実施例により、機能的に以下に定義される。一般的な規則は以下であり得る:
Zは、便利な精製が可能でなければならず、そして、pppRNAの安定性の要求と適合する条件下で除去可能でなければならない。
【0031】
Yは、化学結合またはリンカー、例えばアルキレン、好ましくはC
1−6アルキレンリンカー、さらに好ましくは、C
2−5アルキレンリンカー、またはアラルキレンリンカーを表し、場合により、O、S、NH、C=OまたはC=Sのような、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を含み、および/または場合により、C=CまたはC≡C結合を含む。
【0032】
別の好ましい実施態様では、リンカーは、ポリアルキレンオキシド、好ましくはポリ−C
2−C
6−アルキレンオキシド、さらに好ましくはポリ−C
2−C
3−アルキレンオキシドである。リンカーの数平均分子量は、30〜800g/mol、好ましくは40〜450g/mol、さらに好ましくは40〜250g/molの範囲であってよい。リンカーは、[−CH
2CHR
4−O−]
nであってよく、n=1〜10、好ましくはn=1〜7、さらに好ましくはn=2〜5、およびさらにより好ましくはn=3であってよい。R
4は、HまたはC
1−6アルキルであってよい。
好ましい実施態様では、R
4はHである。
特に好ましい実施態様では、リンカーは、式:
【化7】
を有する。
【0033】
反応ステップ(b)は、溶液中のオリゴヌクレオチドを用いて、または、固相、例えば有機樹脂またはガラスに結合したオリゴヌクレオチドを用いて、おこなってよい。オリゴヌクレオチドは、上述の保護基をさらに含んでよい。さらに好ましくは、ステップ(b)は、固相結合オリゴヌクレオチドを用いて行なわれる。
【0034】
本発明によるキャプチャータグZは、キャプチャータグ、例えばオリゴヌクレオチド(I)を含む化合物を、キャプチャータグを含まない他の種から分離することが可能な条件下で、キャプチャー試薬と非共有結合的または共有結合的に相互作用可能な部分である。好ましくは、キャプチャー試薬は、固定化試薬または固定化されることが可能な試薬である。
【0035】
適切なキャプチャータグは、例えば長鎖、例えばデシルまたはオクタデシルなどの、C
8−24、好ましくはC
13−24脂肪族アルキル残基、または、例えばコレステリルまたはトコフェリルなどの、他の脂質/脂溶性残基である。この場合、タグ化三リン酸物質は、標準的な逆相クロマトグラフィー、例えばRP−HPLCによって、または疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって、固相上に捕捉して精製することができる。キャプチャータグはまた、ペルフルオロアルキル物質、例えば、4−(1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル)ベンジルまたは3−(ペルフルオロオクチル)プロピル残基であってよく、それは、Fluorous Technologies,Inc.から市販されるようなフルオラスアフィニティの支持体上で、修飾オリゴ三リン酸を特異的に捕捉する。
【0036】
別の実施態様では、キャプチャータグは、ビオチン、またはデスチオビオチンなどのビオチンアナログ、ハプテンまたは抗原のような、非共有結合の高親和性の結合ペアの第一パートナーであってよく、それは、ストレプトアビジン、アビジンまたは抗体などの高親和性の結合ペアの第二相補パートナーであるキャプチャー試薬と、高い親和性(例えば結合定数10
−6l/molまたはそれ未満)を有する。
【0037】
さらに別の実施態様では、キャプチャータグは、共有結合ペアの第一パートナーであってよく、それは、共有結合ペアの第二相補パートナーであるキャプチャー試薬と共有結合を形成してよく、ここで、共有結合は、可逆的または不可逆的結合であってよい。この実施態様では、ヒュスゲン(Husigen)の3+2環化付加反応(Cu(I)触媒の、いわゆる「クリック反応(click−reaction)」、または、例えばシクロオクチン誘導体での重度の環歪みの開放により、Cu(I)イオン無しで進行する、その変異型)の場合において、キャプチャータグの構成要素Zは反応性化学物質であってよく、例えばアジドまたはアルキニル基であり、それぞれアルキニルまたはアジド部分などの相補反応基を含むキャプチャー試薬との共有結合的な反応を可能にする。そのような場合でのZ−Y−Xの具体例は、プロパルギルアミノであってよい。
【0038】
別の実施態様では、キャプチャータグの構成要素は、さらなる求核基、例えば、NH
2−Y−XHタイプの試薬での第二のアミノ基、を含む化学物質であってよい。オリゴヌクレオチドを固相に結合しながら、コレステロール、クロロフォルミエート(chloroformiate)またはビオチンN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル類のような、広範囲の適切な求電子Z試薬を、タグ基を導入するために用いることができ、したがって、タグ化反応の範囲を大いに拡張する。
【0039】
好ましい実施態様では、キャプチャータグは、長鎖アルキル残基、ペルフルオロアルキル物質、アジドまたはアルキニル基である。
【0040】
さらに、Yは、場合により、リンカー部分を介してXを通じてγ−リンに結合された遊離スルフヒドリル部分を有する修飾三リン酸化オリゴヌクレオチドの回収を可能にするための、ジスルフィド結合を含んでよい。
【0041】
本発明のさらなる実施態様では、オリゴヌクレオチドは、異なる位置、例えば3’末端に、第二のキャプチャータグを有してよい。第一および第二のキャプチャータグは、好ましくは、極めて高純度の材料の回収を可能にするために、2つのオルトゴナル法による精製を可能にするように選択される。例えば、第一のキャプチャータグは、適切なクロマトグラフの支持体と相互作用する親油基であってよく、第二のキャプチャータグは、ストレプトアビジンと相互作用するビオチンであってよい。
【0042】
第二のキャプチャータグは、オリゴリボヌクレオチド合成に関する修飾CPG(controlled glass support)を用いて合成することにより、好適に導入され得る。
【0043】
本発明の方法のステップ(c)は、反応産物中に含まれる他の種から、キャプチャータグを含むオリゴヌクレオチド(I)を分離することが可能な条件下で、ステップ(b)の反応産物を、キャプチャータグZと相互作用可能なキャプチャー試薬と接触させるステップを含む。ステップ(c)の前に、固相結合オリゴヌクレオチド(I)は、固相から切断されて、脱保護されて、すなわち、保護基が部分的にまたは完全に除去される。キャプチャー試薬は、好ましくは、適切な支持体上、例えばクロマトグラフの支持体上に固定化される。キャプチャータグを含むオリゴヌクレオチド(I)を、キャプチャータグを含まない種から分離するために、ステップ(b)からの反応産物は、固相から切断されて、脱保護されて、そして必要であれば、分離法、好ましくは、キャプチャータグZとキャプチャー試薬との相互作用に基づくクロマトグラフ分離法が行われる。オリゴヌクレオチド(I)の純度は、未精製の材料に関しては配列の長さと複雑性によって通常25〜70%の範囲にわたるが、分離ステップの間に、90%、91%、92%、93%、94%、95%またはそれ以上に増加し得る。毒性試験に関しては、85%より高い純度が望ましく、臨床試験の後期では、純度は、少なくとも90〜95%の範囲であるべきである。このように、本発明は、ヒト臨床試験に必要とされるような高純度のpppRNAを得るための方法を提供する。
【0044】
ステップ(c)では、キャプチャータグ、および、それと相互作用可能なキャプチャー試薬は、好ましくは、(i)疎水性基またはフッ素化基、および、疎水性基またはフッ素化基に対して親和性を有するクロマトグラフの材料、例えば逆相の材料またはフルオラスアフィニティの支持体;(ii)非共有結合の高親和性の結合ペアの第一パートナーおよび非共有結合の高親和性の結合ペアの第二相補パートナー、(iii)共有結合ペアの第一パートナーおよび共有結合ペアの第二相補パートナー[ここで、第一および第二パートナーは共有結合を形成する。]から選択される。
【0045】
精製ステップ(c)の後、キャプチャータグZは、さらなるステップ(d)において三リン酸修飾オリゴヌクレオチドから切断されてよく、タグの無いオリゴヌクレオチド(IV)を生じさせる。
【0046】
ステップ(d)は、三リン酸最終産物の安定性の要求およびリボヌクレオチド間の結合の安定性の要求と、適合しなければならない。XがNHの場合は弱酸性条件による切断、XがSの場合は銀イオンでの切断、Y−X−Pが−S−S−CH
2−CH
2−O−Pを含む場合はチイランを除去するジチオスレイトールなどのチオールによる切断を含んでよい。
【0047】
さらなる実施態様では、特に、タグ化オリゴヌクレオチドが医薬用途に適切な場合に、キャプチャータグセットは、三リン酸修飾オリゴヌクレオチド上に完全にまたは部分的に残る。これらの実施態様では、試薬Z−Y−XHは、RIG−Iセンサーの構造的要求と機能的に適合する、Z残基のサブグループから選択されなければならない。例えば、Z=デシル−オクタデシル、Y=リンク、XH=NHの組み合わせは、これらの要求を満たすことが知られている。
【0048】
本発明により生産される三リン酸/三リン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチドは、それらの高い純度のため、特に医薬用途に適切である。特に好ましい実施態様では、オリゴヌクレオチド(I)または(IV)は、RIG−1ヘリカーゼのアクチベーターである。適切なRIG−1アクチベーターの具体例は、上記のSchleeら、2009に開示され、その内容は参照により本明細書中に援用される。
【0049】
別の実施態様では、本発明は、本発明による方法で得ることができる、式(I)のオリゴヌクレオチドに関する。
【0050】
本発明のさらに別の要旨は、式(I)のオリゴヌクレオチドを調製するためのキットの使用であって、
【化8】
[ここで、V
1、V
3、V
5、V
2、V
4、V
6、W
1、W
2、W
3、X、Y、ZおよびONは、上記に定義される。]
前記キットは、
(a)式(III)のキャプチャータグ剤
【化9】
[ここで、X、ZおよびYは、上記で定義される。]
および、
(b)キャプチャータグと相互作用可能なキャプチャー試薬を含む。
【0051】
本発明のさらに別の要旨は、式(I)の修飾オリゴヌクレオチドであって、
【化10】
ここで、
Xは、NH、O、R−O−[P(V
1)V
2−W
1]
nまたはR−O−P(V
3)V
4−W
2−P−(V
1)V
2−W
1であり、
nは、1から12、好ましくは1または2であり、
Yは結合であり、
Zは、C
13−C
24アルキル、QまたはQNHC
2−C
24アルキルであり、
Qは、H、アミノ酸、アミノ酸アナログ、C
1−C
24アルキル、好ましくはC
12−C
24アルキル、ペプチドおよび脂質から選択され、
Rは、C
1−C
24アルキル、C
2−C
24アルケニル、C
2−C
24アルキニルおよび脂質であり、
Rは、C
1−C
24アルキル、C
2−C
24アルケニル、C
2−C
24アルキニル、C
2−C
24アシルまたは環状基であり、および場合により置換されており、
そして、V
1、V
2、V
3、V
4、V
5、V
6、W
1、W
2、W
3およびONは、請求項1から11のいずれか一項に定義され、ここで、V
1、V
2、V
3、V
4、V
5、V
6、W
1、W
2およびW
3は、好ましくはOである。
【0052】
本発明の好ましい実施態様によれば、式(I)の修飾オリゴヌクレオチドは、XがNHである。この実施態様は、好ましくは、ZはQであり、または、ZはQNHC
2−C
24アルキルであり、ここで、特に好ましい実施態様では、C
2−C
24アルキルは、C
2アルキルであり、および/またはQはHである。本発明により特定されるオリゴヌクレオチドの特に好ましい実施態様は、
図8に示される。
【0053】
さらに、本発明は、以下の図および実施例によって、より詳細に説明される。
【実施例】
【0054】
(実施例1)デシルアミンキャプチャータグ精製ステップを用いた、5’三リン酸修飾オリゴヌクレオチドの調製。
実施例1で説明される反応スキームの概略を、
図1に示す。
【0055】
ステップ1:アルゴン下で、10mLセプタムバイアル中の1mLの乾燥ジオキサンに、203mg(1mmol)の2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オンを溶解する。
【0056】
ステップ2:脱トリチル化されて(detitrylated)十分にアセトニトリルで洗浄された完全保護RNAを含む合成カラムを、12時間、真空で乾燥させる。アルゴン雰囲気下で、2mLの3:1(v/v)無水ジオキサン/ピリジン溶液を繰り返し吸引および放出することにより、カラム内容物を、十分に洗浄する。
【0057】
ステップ3:バイアル中に、最初に2mLの3:1(v/v)ピリジン/ジオキサンを、続いて乾燥ジオキサン中の1M 2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オン溶液100μLを添加して、3:1(v/v)ジオキサン/ピリジン中の、2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−2−オンなどのホスファイト化試薬の50mM溶液を得る。穏やかに振とうすることにより、溶液をホモジナイズする。合成カラムを通して、バイアルから、2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オン溶液を吸引することにより、反応を開始する。
【0058】
固相保持RNAとの十分な接触および良好な混合を可能にするために、反応の間、合成カラムからの溶液を含む2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オンを、繰り返し吸引および放出する。30分の反応時間は、通常、20〜40ntの範囲で、支持体結合オリゴマーの遊離5’−OH基のほぼ定量的な反応を与える。
【0059】
ステップ4:30分の反応時間後、過剰のホスファイト化剤を含むジオキサン/ピリジン溶液を、廃棄容器中に放出して、新しいシリンジを、乾燥DMF中0.5Mの(Bu
3NH)
2ピロリン酸1mLと、238μL(1mmol)の乾燥Bu
3Nとの、ボルテックス混合物で満たして、0.5Mの(Bu
3N)
4ピロリン酸溶液を得る。この溶液を、カラム内を押し通して、それにより、ジオキサン/ピリジン溶液を置き換える。非常に過剰のピロリン酸が、P(III)−P(V)環状無水物IIaへの中間体の定量的変換を確実なものにする。
【0060】
ステップ5:カラムを3mLのCH
3CNで洗浄して、DMFおよび過剰のPP
iを除去して、そして、カラムリアクターを乾燥CH
3CNで満たす。
【0061】
ステップ6:2mLの無水CH
3CN中に、300μLのt−BuOOH(デカン中、5.5M溶液、Sigma−Aldrich)を溶解して、およそ0.7Mの均質な溶液を得る。酸化P(V)環状無水物IIbを得るために、合成支持体をこの溶液と15分間接触させる。
【0062】
ステップ7:カラムを3mLの乾燥CH
3CNで洗浄して、過剰の過酸化物を除去して、そして、乾燥CH
3CNでそれを満たす。
【0063】
ステップ8:アルゴン下で、1mLの乾燥CH
3CN中に、300μLの乾燥デシルアミンを溶解して、その溶液を、カラム中の支持体と接触させる。デシルアミン溶液を、支持体を通して移動させる。アミン溶液とのCPGの接触時間は、3分であるべきである。
【0064】
ステップ9:9mLのアセトニトリルでカラムを十分に洗浄して、それから、カラム内容物を、そこにアルゴンを流すことにより乾燥させる。
【0065】
ステップ10− 脱保護の第一ステージ:
2〜3回、支持体を通して、1mLの脱保護溶液(40%メチルアミン水溶液/濃アンモニア水溶液 1:1 v/v。AMA試薬)を流す。30分の接触後、溶液を新しいバイアル中に移す。支持体を、同量のAMA脱保護溶液で洗浄して、そして、洗浄液を合わせる。合わせた溶液および洗浄液を、10分間65℃で温める。氷上で冷却後、溶液を300〜500μLの容量に濃縮して、それから、蒸発乾固する。
【0066】
ステップ11− 2’−O−TBDMS保護基の除去:
300μLの乾燥EtOHの添加および同時蒸発により残渣を乾燥して、THF中1Mの乾燥TBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド)1mLを添加して、きつく密閉して、16時間、シェイカー上に置く。1Mの滅菌水性TEAB(トリエチルアンモニウムバイカーボネート)1mLで反応を止めて、溶離液として滅菌水を用いて、NAP
TM−25(Nucleic Acid Purification)カラム上でそれを脱塩する。滅菌2μmフィルターを通した濾過が、このステップで必要であり得る。UV吸収画分を合わせて、150μLの容量に蒸発させて、100mLの1M TEAB pH8を添加して、そして、HPLC精製が行われ得るまで、溶液を−20℃で凍結保存する。デシル−NHpppRNA産物は、pH7〜8で数週間、−20℃にて安定である。
【0067】
ステップ12− HPLC精製:
ステップ11からの1μmolスケールの反応混合物からの反応産物は、7×25mmのPRP−1カラム(ハミルトン)中にロードされた。精製は、流速3mL/分で50分、0〜80%のリニアグラジエントバッファーBを用いて行なわれた。バッファーAは100mM TEABであり、バッファーBは、メタノール/水 8:2 v/v中の、100mM TEABである。27merの精製の、典型的な例を、
図7Aに示す。
【0068】
画分5および画分6が収集されて、ロータリーエバポレーター上で蒸発されて、乾燥メタノールとの数回の同時蒸発により脱塩される。残渣(約200〜250nmolのデシル−NHpppRNA)は水に溶解されて、スクリューキャップのエッペンドルフバイアル中に移された。
【0069】
ステップ13− デシルアミンタグの除去:
100nmolのデシル−NHpppRNAは、2mLエッペンドルフチューブ中のpH3.8脱保護バッファー400μLに溶解されて、密封されたチューブは、60℃で70分間温められた。これらの条件は、三リン酸部分の分解をせずにホスホロアミデート結合の定量的な切断をもたらす。それから、反応混合物は氷上で冷却されて、25μLの5M滅菌NaCl溶液および1.2mLの無水EtOHが添加された。十分な混合後、pppRNAを沈殿させるために、溶液は−20℃で一晩置かれた。沈殿物は、遠心分離により集められて、冷たいエタノールで洗浄されて、SpeedVac上で乾燥されて、それから、500mLの滅菌水中に溶解されて、そして−20℃で凍結保存された。
【0070】
【表1】
【0071】
また、類似の方法においても、5’三リン酸修飾オリゴヌクレオチドは、オクタデシルまたはコレステリルキャプチャータグを用いて、合成および精製された。
【0072】
(実施例2)非親油性キャプチャータグを用いた、三リン酸オリゴヌクレオチドの調製。
(F−TAG−pppRNAおよびN
3−TAG−pppRNA)
非親油性の相互作用に基づく精製ストラテジーの有用性を示すために、pppRNA誘導体F−TAG−RNAおよびN3−TAG−RNAが調製された(
図9参照)。合成の全ステップは、
図1のステップ8において、無水アセトニトリル中の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルアミンの0.1M溶液2mLを、反応時間を3時間に増加して、固相結合シクロ三リン酸の開環に用いて、F−TAG−RNAを得たこと;および、乾燥アセトニトリル中の11−アジド−3,6,9−トリオキサウンデカン−1−アミンの0.1M溶液2mLを3時間用いて、N
3−TAG−pppRNAを得たことを除いて、実施例1で説明された方法と同一である。以下の脱保護ステップは、実施例1でDecNHpppRNAに関して詳述されたものと同一である。
【0073】
F−TAG−RNAおよびN3−TAG−RNAの分析データ(
図10参照):
(これらの実施例におけるRNA配列は、5’−GACGCUGACCCUGAAGUUCAUCUUである。)
【表2】
【0074】
フルオラスタグを含むpppRNAオリゴヌクレオチド(F−TAG−pppRNA)は、市販の「フルオラス」カートリッジ、または、全フッ素置換されたアルキル鎖間の強力な非共有結合の相互作用の活用を可能にするフルオラスHPLCカラムを用いて精製することができる。ガンマアジド修飾pppRNA誘導体(N3−TAG−pppRNA)は、銅(I)触媒のアルキン−アジド環化付加反応(クリックケミストリー)のRNA適合版により、市販のプロピン修飾固相に共有結合することができる。樹脂結合の形態では、三リン酸化されていない副産物を除去するために変性条件を利用することができるので、この方法は、高度に構造化されたpppRNA配列の精製を可能にする。
【0075】
酸加水分解の際に、F−TAG−RNAとN3−TAG−RNAの両方は、
図5に示すように、単純なP−Nアルキルアミドと同等の反応速度で、pppRNA最終産物を放出する。
【0076】
(実施例3)増加する鎖長のn−アルキルキャプチャータグごとの、Tag−pppRNAのRP−HPLC溶出位置の変化。
実施例1で説明されたn−デシル−タグの他に、より長い鎖長(C
12、C
14、C
18)を有する脂肪族n−アルキル残基を、RP−HPLC精製の間のTag−pppRNA産物の保持時間を増大させるために用いることができ、タグを含まない不純物からの効率的な分離を可能にする。
【0077】
N−ドデシル−NH−pppRNA、n−テトラデシル−NH−pppRNAおよびn−オクタデシル−NH−pppRNAは、実施例1で説明された方法に従って、ステップ8を変更して調製することができる:乾燥CH
2Cl
2中の、n−アルキルアミン(n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミンまたはn−オクタデシルアミン)の0.1M溶液が調製されて、その溶液の2mLがカラム中で支持体と接触させられる。アルキルアミン溶液は、支持体を通って往復する。3時間の接触時間の後、2mLのCH
2Cl
2でのさらなる洗浄ステップが、次のワークアップステップを続ける前に必要とされる。
【0078】
分析データ:
【表3】
【0079】
図11は、pppRNAと、増加する鎖長のアルキル残基を有するn−アルキル−NH−pppRNAの、RP−HPLC分析を示す。