(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373911
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20180806BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20180806BHJP
B60R 16/04 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H01L31/04 560
B60R16/04 U
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-162639(P2016-162639)
(22)【出願日】2016年8月23日
(65)【公開番号】特開2018-32682(P2018-32682A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2017年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 博隆
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和雅
(72)【発明者】
【氏名】坂部 元哉
【審査官】
山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/046773(WO,A1)
【文献】
特開2002−246628(JP,A)
【文献】
特開2002−164560(JP,A)
【文献】
特開2014−197601(JP,A)
【文献】
特開2006−278905(JP,A)
【文献】
特開2005−005308(JP,A)
【文献】
特表2011−505693(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0103388(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が透明性を有する板状の第一カバーと、
前記第一カバーに対向配置された第二カバーと、
前記第一カバーおよび前記第二カバーの間に配置され、複数の第一太陽電池セルを有し、複数の前記第一太陽電池セルが電気的に接続されてなる第一ストリングスと、
前記第一カバーおよび前記第二カバーの間に前記第一ストリングスに隣接して配置され、複数の第二太陽電池セルを有し、複数の前記第二太陽電池セルが電気的に接続されてなる第二ストリングスと、
前記第一カバーおよび前記第二カバーの間であって、前記第一ストリングスと前記第二ストリングスとの端部に沿って配置され、前記第一ストリングスと前記第二ストリングスとを電気的に接続する接続部材と、
前記第一カバーおよび前記第二カバーの間を埋めて互いを接合し、前記第一ストリングスと前記第二ストリングスと前記接続部材とを封止する封止材と、
を備えた太陽電池モジュールであって、
前記接続部材は、
前記第一ストリングスの端部に沿って配置され、前記第一ストリングスと接続される第一導電体と、
前記第二ストリングスの端部に沿って配置され、前記第二ストリングスと接続される第二導電体と、を含み、
前記第一導電体と前記第二導電体とは電気的に接続されており、
前記第一カバーまたは前記第二カバーは、前記第一カバーおよび前記第二カバーの間に向けて突出する突起部を備え、
前記第一導電体および前記第二導電体には貫通孔が設けられており、
前記第一導電体の前記貫通孔および前記第二導電体の前記貫通孔は前記突起部に挿入されて前記第一導電体および前記第二導電体が接続されている、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記突起部の先端部の外径は前記貫通孔の内径より広げられて前記第一導電体および前記第二導電体が前記突起部に固定されている、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記第一導電体および前記第二導電体は熱硬化性導電性接着剤またははんだを介して接続されている、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
少なくとも一部が透明性を有する板状の第一カバーと、
前記第一カバーに対向配置された第二カバーと、
前記第一カバーおよび前記第二カバーの間に配置され、複数の第一太陽電池セルを有し、複数の前記第一太陽電池セルが電気的に接続されてなる第一ストリングスと、
前記第一カバーおよび前記第二カバーの間に前記第一ストリングスに隣接して配置され、複数の第二太陽電池セルを有し、複数の前記第二太陽電池セルが電気的に接続されてなる第二ストリングスと、
前記第一カバーおよび前記第二カバーの間であって、前記第一ストリングスと前記第二ストリングスとの端部に沿って配置され、前記第一ストリングスと前記第二ストリングスとを電気的に接続する接続部材と、
前記第一カバーおよび前記第二カバーの間を埋めて互いを接合し、前記第一ストリングスと前記第二ストリングスと前記接続部材とを封止する封止材と、
を備えた太陽電池モジュールであって、
前記接続部材は、
前記第一ストリングスの端部に沿って配置され、前記第一ストリングスと接続される第一導電体と、
前記第二ストリングスの端部に沿って配置され、前記第二ストリングスと接続される第二導電体と、を含み、
前記第一導電体と前記第二導電体とは電気的に接続されており、
前記接続部材は、前記第一導電体および前記第二導電体の間に設けられる第三導電体をさらに備え、
前記第一導電体および前記第二導電体は前記第三導電体に接続されており、
前記第一カバーまたは前記第二カバーは、前記第一カバーおよび前記第二カバーの間に向けて突出する第一突起部および第二突起部を備え、
前記第三導電体には第一および第二貫通孔が設けられており、前記第一導電体には第三貫通孔が設けられており、前記第二導電体には第四貫通孔が設けられており、
前記第一導電体の前記第三貫通孔および前記第三導電体の第一貫通孔は前記第一突起部に挿入されて前記第一導電体および前記第三導電体が接続されており、
前記第二導電体の前記第四貫通孔および前記第三導電体の第二貫通孔は前記第二突起部に挿入されて前記第二導電体および前記第三導電体が接続されている、太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記第一突起部の先端部の外径は前記第一貫通孔および前記第三貫通孔の内径より広げられて前記第一導電体および前記第三導電体が前記第一突起部に固定されており、前記第二突起部の先端部の外径は前記第二貫通孔および前記第四貫通孔の内径より広げられて前記第二導電体および前記第三導電体が前記第二突起部に固定されている、請求項4に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記第一導電体および前記第三導電体は熱硬化性導電性接着剤またははんだを介して接続されており、前記第二導電体および前記第三導電体は熱硬化性導電性接着剤またははんだを介して接続されている、請求項4または5に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記第三導電体は、ダイオードを備えている、請求項4から6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールに関し、より特定的には、車両に搭載される太陽電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第3269051号公報(特許文献1)には、ダイオードを一箇所に配置するために接続用配線で一箇所に配線を集めている技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3269051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、通常、複数の太陽電池セルを直列に接続した太陽電池ストリングス同士を電気的に接続する接続用配線の接続作業を、太陽電池モジュールのラミネート加工前にカバー上に各部品を配置した状態で行う必要がある。前記の特許文献1に記載の技術では、配線が一箇所に集められているため、複数の配線および太陽電池セルをカバーに組み付けることが困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、この発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、複数の配線および太陽電池セルをカバーに組み付けることが容易な太陽電池モジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った太陽電池モジュールは、少なくとも一部が透明性を有する板状の第一カバーと、第一カバーに対向配置された第二カバーと、第一カバーおよび第二カバーの間に配置され、複数の第一太陽電池セルを有し、複数の第一太陽電池セルが電気的に接続されてなる第一ストリングスと、第一カバーおよび第二カバーの間に第一ストリングスに隣接して配置され、複数の第二太陽電池セルを有し、複数の第二太陽電池セルが電気的に接続されてなる第二ストリングスと、第一カバーおよび第二カバーの間であって、第一ストリングスと第二ストリングスとの端部に沿って配置され、第一ストリングスと第二ストリングスとを電気的に接続する接続部材と、第一カバーおよび第二カバーの間を埋めて互いを接合し、第一ストリングスと第二ストリングスと接続部材とを封止する封止材と、を備えた太陽電池モジュールであって、接続部材は、第一ストリングスの端部に沿って配置され、第一ストリングスと接続される第一導電体と、第二ストリングスの端部に沿って配置され、第二ストリングスと接続される第二導電体と、を含み、第一導電体と第二導電体とは電気的に接続されている。
【0007】
このように構成された太陽電池モジュールでは、第一ストリングスと第二ストリングスとを電気的に接続する接続部材が、第一ストリングスに沿って配置される第一導電体と第二ストリングスに沿って配置される第二導電体とに分けられる。そのため第一および第二ストリングスが接続されていない状態で、第一ストリングスおよび第二ストリングスのいずれか一方をカバーに組み付けた後に、他方をカバーに組み付けることができる。その結果、第一および第二ストリングスを容易にカバーに組み付けることができる。
【0008】
好ましくは、第一カバーまたは第二カバーは、第一カバーおよび第二カバーの間に向けて突出する突起部を備え、第一導電体および第二導電体には貫通孔が設けられており、第一導電体の貫通孔および第二導電体の貫通孔は突起部に挿入されて第一導電体および第二導電体が接続されている。この場合、突起部により、第一導電体および第二導電体を確実に第一カバーまたは第二カバーのいずれかに対しバラツキなく固定することができる。
【0009】
好ましくは、突起部の先端部の外径は貫通孔の内径より広げられて第一導電体および第二導電体が突起部に固定されている。
【0010】
好ましくは、第一導電体および第二導電体は熱硬化性導電性接着剤を介して接続されている。
【0011】
好ましくは、接続部材は、第一導電体および第二導電体の間に設けられる第三導電体をさらに備え、第一導電体および第二導電体は第三導電体に接続されている。この場合、第三導電体に、ダイオード等の電子部品を内蔵することで、太陽電池モジュールの機能を高めることができる。
【0012】
第一カバーまたは第二カバーは、第一カバーおよび第二カバーの間に向けて突出する第一突起部および第二突起部を備え、第一導電体および第二導電体には貫通孔ならびに第三導電体には第一および第二貫通孔が設けられており、第一導電体の貫通孔および第三導電体の貫通孔は第一突起部に挿入されて第一導電体および第三導電体が接続されており、第二導電体の貫通孔および第三導電体の貫通孔は第二突起部に挿入されて第二導電体および第三導電体が接続されている。この場合、第一突起部および第二突起部により、第一導電体、第二導電体および第三導電体を確実に第一カバーまたは第二カバーのいずれかに固定することができる。
【0013】
好ましくは、第一突起部の先端部の外径は貫通孔の内径より広げられて第一導電体および第三導電体が第一突起部に固定されており、第二突起部の先端部の外径は貫通孔の内径より広げられて第二導電体および第三導電体が第二突起部に固定されている。
【0014】
第一導電体および第三導電体は熱硬化性導電性接着剤を介して接続されており、第二導電体および第三導電体は熱硬化性導電性接着剤を介して接続されている。
【0015】
好ましくは第三導電体はダイオードを備えている。
【発明の効果】
【0016】
上記の構成によれば、第一および第二ストリングスを容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態1に係る車両の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る車両が備える太陽電池モジュールの外観を示す平面図であって、
図1の矢印II方向から見た図である。
【
図3】
図2中の太陽電池セルを拡大して示す平面図である。
【
図4】
図3中のIV−IV線に沿った断面図である。
【
図5】本発明の実施形態2に従った太陽電池モジュールの一部分を示す平面図である。
【
図6】
図5中のVI−VI線に沿った断面図である。
【
図7】本発明の実施形態2に従った太陽電池モジュールの平面図である。
【
図8】本発明の実施形態3に従った太陽電池モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態に係る太陽電池モジュール、その実装構造およびこれを含む車両について図を参照して説明する。以下の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る車両の外観を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態1に係る車両が備える太陽電池モジュールの外観を示す平面図であって、
図1の矢印II方向から見た図である。
図3は、
図2中の太陽電池セルを拡大して示す平面図である。
図4は、
図3中のIV−IV線に沿った断面図である。
【0020】
図1〜4に示すように、本発明の実施形態1に係る車両100は、自動車であり、ルーフを構成する太陽電池モジュール110と、車体の一部であるルーフサイドメンバ120とを備える。なお、車両は、自動車に限られず、たとえば電車であってもよい。
【0021】
太陽電池モジュール110は、表面板としての板状の第一カバー111と、第一カバー111に対向配置された背面板としての第二カバー112と、第一カバー111および第二カバー112の間に配置された第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bと、第一カバー111および第二カバー112の間を埋めて互いを接合し、第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bを封止する封止材(図示せず)とを備える。
【0022】
封止材は、第一カバー111と第二カバー112とに挟まれた領域に位置する。封止材は、第一カバー111、第二カバー112および第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bに接触している。
【0023】
本実施形態においては、封止材は、EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)で構成されている。ただし、封止材を構成する材料は、EVAに限られず、PVB(Poly Vinyl Butyral)、シリコーン樹脂またはアイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂などでもよい。
【0024】
第一カバー111は、平面視にて略矩形状の外形を有している。第一カバー111は、本実施形態においては平板であるが、湾曲していてもよい。本実施形態においては、第一カバー111は、ポリカーボネート製の板である。ただし、第一カバー111は、これに限られず、アクリルなどの他の樹脂製の板であってもよい。第一カバー111は、ポリカーボネートを射出成型や押出成形することにより形成されている。
【0025】
第一カバー111のうち、第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bと対向する部分は透明である。透明部分を太陽光が透過して、太陽光が太陽電池セル113に照射される。第一カバー111のうち、第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bと対向しない部分は、有色部121を設けることで不透明としてもよい。不透明とすることで、第一カバー111内部が遮蔽され、太陽電池セル113の周囲の配線や接着剤を隠すことができる。有色部121は可視光線を遮光する。有色部121は、透明でなければよく、赤、黄、緑、青、紫、のように有彩色だけでなく、白、灰色または黒などの無彩色であってもよい。
【0026】
第二カバー112は、平面視にて略矩形状の外形を有する。第二カバー112は、本実施形態においては平板状であるが、第一カバー111が湾曲している場合には、第一カバー111と略同様の曲率で湾曲している。
【0027】
本実施形態においては、第二カバー112は、ポリカーボネート製の板である。ただし、第二カバー112は、これに限られず、アクリルなどの他の樹脂製の板、CFRP(carbon-fiber-reinforced plastic)製の板またはアルミなどの金属製の板であってもよいし、ポリエチレンテレフタラートなどの樹脂製のシートであってもよい。
【0028】
第二カバー112は、ポリカーボネートを射出成型することにより形成されている。なお、樹脂シートを真空成形することにより形成されてもよい。また、第二カバー112は、透明であっても不透明であってもよい。
【0029】
第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bは、マトリックス状に互いに間隔を置いて複数配置されている。第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bは、互いに電気的に接続されている。具体的には、複数の第一太陽電池セル113aが互いに直列に接続されて、第一太陽電池ストリングス301を構成している。複数の第二太陽電池セル113bが互いに直列に接続されて、第二太陽電池ストリングス302を構成している。第一太陽電池ストリングス301および第二太陽電池ストリングス302は、互いに並列に接続されている。
【0030】
第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bには、インターコネクタ211,212が設けられている。インターコネクタ211,212は、第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bで発電された電力を外部へ取り出すための端子である。
図5および
図7で示すように、複数の第一太陽電池セル113aがインターコネクタ211により直列に接続されている。複数の第二太陽電池セル113bがインターコネクタ212により直列に接続されている。
【0031】
図5および7おける複数の第一太陽電池セル113aおよび複数の第一太陽電池セル113a間のインターコネクタ211が第一太陽電池ストリングス301を構成する。複数の第二太陽電池セル113bおよび複数の第二太陽電池セル113b間のインターコネクタ212が第二太陽電池ストリングス302を構成する。
【0032】
インターコネクタ211と導電体221とははんだ付けにより接続されている。インターコネクタ212と導電体231とははんだ付けにより接続されている。導電体221の両端には、貫通孔221a,221bが形成されている。導電体231の両側には、貫通孔231a,231bが形成されている。導電体221,231は左右対称形状を有する。導電体221,231が同一形状を有していてもよい。
【0033】
第一カバー111は複数のボス111a,111bを有する。複数のボス111a,111bは、第一カバー111から内側へ突出するように延びている。複数のボス111a,111bは直線状に延びている。複数のボス111a,111bは円柱形状であり、その先端はテーパー形状(円錐台形状)とされている。ボス111a,111bは、第一カバー111および第二カバー112の間の領域に向かって延びている。なお、ボス111a、111bの形状は上記の形状には限られない。
【0034】
導電体241が導電体221と導電体231との間に配置されている。導電体241の両端には貫通孔241aと貫通孔241bとが設けられている。貫通孔241aおよび貫通孔221bにはボス111aが挿入されている。貫通孔241bおよび貫通孔231aにはボス111bが挿入されている。貫通孔241aと貫通孔241bとの間に貫通孔241cが設けられていてもよい。貫通孔241cの位置は、2つの貫通孔241a,241bの中間であってもよく、2つの貫通孔241a,241bのいずれかに近い位置でもよい。貫通孔241cにボスが挿入されていてもよい。また、同様に貫通孔221aおよび貫通孔231bについても、それぞれ第一カバー111に設けられた別のボスに挿入される。
【0035】
導電体241と導電体221との間には熱硬化性の導電性接着剤260aが設けられている。導電体241と導電体231との間には熱硬化性の導電性接着剤260bが設けられている。なお、導電体241と導電体221との間、導電体241と導電体231との間は、はんだ付けにて接合されても良い。この太陽電池モジュール110の形状では、ボス111aの先端は高温で溶かされることで熱カシメされ、二点鎖線111cで示すように変形している。同じくボス111bの先端は熱カシメされて、二点鎖線111dで示すように変形している。貫通孔221a、貫通孔231bを挿入したそれぞれのボスについても同様に熱カシメを行う。
【0036】
太陽電池モジュール110は、少なくとも一部が透明性を有する板状の第一カバー111と、第一カバー111に対向配置された第二カバー112と、第一カバー111および第二カバー112の間に配置され、複数の第一太陽電池セル113aを有し、複数の第一太陽電池セル113aが電気的に接続されてなる第一太陽電池ストリングス301と、第一カバー111および第二カバー112の間に第一太陽電池ストリングス301に隣接して配置され、複数の第二太陽電池セル113bを有し、複数の第二太陽電池セル113bが電気的に接続されてなる第二太陽電池ストリングス302と、第一カバー111および第二カバー112の間であって、第一太陽電池ストリングス301と第二太陽電池ストリングス302との端部に沿って配置され、第一太陽電池ストリングス301と第二太陽電池ストリングス302とを電気的に接続する接続部材としての導電体221,231,241と、第一カバー111および第二カバー112の間を埋めて互いを接合し、第一太陽電池ストリングス301と第二太陽電池ストリングス302と接続部材とを封止する封止材114と、を備える。接続部材は、第一太陽電池ストリングス301の端部に沿って配置され、第一太陽電池ストリングス301と接続される第一導電体としての導電体221と、第二太陽電池ストリングス302の端部に沿って配置され、第二太陽電池ストリングス302と接続される第二導電体としての導電体231とを含む。
【0037】
接続部材は、導電体221および導電体231の間に設けられる第三導電体としての導電体241をさらに備える。導電体221および導電体231は導電体241に接続されている。この場合、導電体241に、ダイオード等の電子部品を内蔵することで、太陽電池モジュール110の機能を高めることができる。
【0038】
第一カバー111または第二カバー112は、第一カバー111および第二カバー112の間に向けて突出する第一突起部としてのボス111aおよび第二突起部としてのボス111bを備える。導電体221,231,241には貫通孔221a,221b,231a,231b,241a,241bが設けられており、貫通孔221bおよび第一貫通孔としての貫通孔241aはボス111aに挿入されて導電体221,241が接続されており、貫通孔231aおよび第二貫通孔としての貫通孔241bはボス111bに挿入されて導電体231,241が接続されている。
【0039】
ボス111aの先端部の外径は貫通孔221b,241aの内径より熱カシメにより広げられて導電体221,241がボス111aに固定されており、ボス111bの外径は貫通孔231a,241bの内径より広げられて導電体231,241がボス111bに固定されている。導電体221,241は熱硬化性の導電性接着剤260aを介して接続されており、導電体231,241は熱硬化性の導電性接着剤260bを介して接続されている。
【0040】
第一太陽電池ストリングス301および第二太陽電池ストリングス302は第一カバー111および第二カバー112により覆われる。ボス111a,111bは、第一カバー111は第一太陽電池ストリングス301の端部および第二太陽電池ストリングス302の端部の少なくとも一方を位置決めする位置決め部として機能する。
【0041】
図1から4で示す太陽電池モジュール110の製造工程では、まず、第一および第二太陽電池ストリングス301,302を形成するとともに各太陽電池ストリングスにインターコネクタ211および導電体221を接続する。これにより、第一太陽電池セル113a,インターコネクタ211および導電体221を有する第一太陽電池ストリングス301と、第二太陽電池セル113b、インターコネクタ212および導電体231を有する第二太陽電池ストリングス302とが完成する。
【0042】
第一太陽電池ストリングス301を第一カバー111の上に載置する。貫通孔221bにボス111aを挿入する。第二太陽電池ストリングス302を第一カバー111の上に載置する。貫通孔231aにボス111bを挿入する。貫通孔221a、貫通孔231bについても対応するボスに挿入する。
【0043】
導電体221,231上に導電性接着剤260a,260bを塗布する。導電性接着剤260a,260b上に導電体241を載置する。貫通孔241aにボス111aを挿入する。貫通孔241bにボス111bを挿入する。
【0044】
ボス111a,111bの先端を加熱しつつ、ボス111a,111bの先端に力を加える。加熱により樹脂製のボス111a,111bは軟化しているため、ボス111a,111bの先端に力が加えられることで、ボス111a,111bの先端が横方向に拡径する。その結果、ボス111a,111bの先端はカシメられて二点鎖線111c、111dで示すように変形する。ボス111a,111bの先端の外径は、貫通孔241a,241bの内径よりも大きいため、導電体241がボス111a,111bから外れることを防止できる。貫通孔221a、貫通孔231bが挿入されたボスの先端についても同様に熱カシメを行う。
【0045】
このカシメの工程で熱硬化性の導電性接着剤260a,260bも加熱される。その結果、導電性接着剤260a,260bも硬化する。
【0046】
ラミネート加工時には、第一カバー111と第二カバー112との間に封止材114を配置する。第一カバー111および第二カバー112は加熱される。その結果、封止材114が融解する。ラミネート加工後は、太陽電池モジュール110の温度は室温まで低下する。その結果、封止材114は固化する。
【0047】
以上のように構成された太陽電池モジュール110では、第一太陽電池ストリングス301と第二太陽電池ストリングス302が分割されているため、これらが一体的に形成されている場合と比較して、第一太陽電池ストリングス301と第二太陽電池ストリングス302とを第一カバー111に容易に組み付けることが可能である。
【0048】
さらにボス111a,111bを用いて第一太陽電池ストリングス301および第二太陽電池ストリングス302を固定する。その結果、第一太陽電池ストリングス301と第二太陽電池ストリングス302とを確実に位置決めすることができる。
【0049】
また、第一太陽電池ストリングス301と第二太陽電池ストリングス302を形成する工程において、第一太陽電池ストリングス301に導電体221を接続し、第二太陽電池ストリングス302に導電体231を接続することができるため、モジュールの作成の工程におけるはんだ作業を減らすことができる。また、導電体221,231が左右対称に形成されているため、左右を反転させて導電体221,231を利用できる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施形態2に従った太陽電池モジュールの一部分を示す平面図である。
図6は、
図5中のVI−VI線に沿った断面図である。
図7は、本発明の実施形態2に従った太陽電池モジュールの平面図である。
【0050】
これらの図を参照して、実施の形態2では、第二カバーのボス112a,112bが設けられている。導電体241が設けられない第一太陽電池ストリングス301および第二太陽電池ストリングス302の端部同士がダイオード250が接続されている。
【0051】
ダイオード250を設けることで、第一太陽電池ストリングス301および第二太陽電池ストリングス302に流れる電流の逆流を防止することができる。また、直列に接続された複数の第一太陽電池セル113aおよび第二太陽電池セル113bのうちの一部のセルが遮光されて発電できない場合に、ダイオード250が設けられているため、モジュール全体が発電しなくなることを防止できる。さらに、導電体241をダイオード250に置き換えるだけで上記の構造を作成できる。この場合、導電体221,231を変更する必要が無い。
【0052】
また、この実施の形態では第二カバー112にボス112a,112bが設けられている。導電体221,231,241の貫通孔にボス112a,112bが挿入されている。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施形態3に従った太陽電池モジュールの断面図である。実施の形態3では、導電体221と導電体231との間に他の導電体241が介在していない。導電体221の貫通孔221bと導電体231の貫通孔231aとがボス111aに挿入されている。ボス111aの先端はカシメられて二点鎖線111cで示すように変形する。導電体221と導電体231との間には導電性接着剤260aが介在している。
【0053】
このように構成された実施の形態3に従った太陽電池モジュールでは、導電体221と導電体231との間に他の導電体を介在させていないため、実施の形態1および2のような導電体241を設ける必要が無い。その結果、部品点数を削減することができる。
【0054】
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
この発明は、たとえば、車両に搭載される太陽電池モジュールの分野において用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
100 車両、111a,111b,112a,112b ボス、110 太陽電池モジュール、111 第一カバー、112 第二カバー、113a 第一太陽電池セル、113b 第二太陽電池セル、120 ルーフサイドメンバ、211,212 インターコネクタ、221,231,241 導電体、221a,221b,231a,231b,241a,241b,241c 貫通孔、250 ダイオード、260a,260b 導電性接着剤、301 第一太陽電池ストリングス、302 第二太陽電池ストリングス。