(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業において、解像能力を標準的なレジストパターニング技術によって得られる解像能力を超えて拡張するため、パターン縮小のための様々なプロセスが提案されている。これらのプロセスは、レジストパターン側壁の有効厚さを増大させて、例えば、隣接する線の間、またはトレンチもしくはホールパターン内のスペーシングを減少(すなわち、「縮小」)させることを含む。このようにして、パターンから形成されるトレンチ及びコンタクトホールなどの特徴を、より小さく作製することができる。既知の縮小技術としては、例えば、化学蒸着(CVD)補助、酸拡散レジスト成長、熱流、及び重合体配合物の自己組織化が挙げられる。
【0003】
CVD補助縮小プロセス(K.Oyama et al,“The enhanced photoresist shrink process technique toward 22nm node”,Proc.SPIE7972,Advances in Resist Materials and Processing Technology XXVIII,79722Q(2011)を参照されたい)は、例えば、コンタクトホール、ライン/スペース、またはトレンチパターンを含むフォトレジストパターン上で形成されたCVD蒸着層を使用する。CVD材料はエッチバックされ、レジストパターンの側壁上に材料を残す。これがレジストパターンの有効横寸法を増大させ、これによりエッチングされる下位層を露出する開放区域を減少させる。CVD補助縮小技術は、高価なCVD及びエッチングツールの使用を必要とし、プロセスの複雑さを追加し、プロセス処理量の観点から不利である。
【0004】
酸拡散レジスト成長プロセス(RELACSプロセスとも称される)(L.Peters,“Resists Join the Sub−λ Revolution”,Semiconductor International,1999.9を参照されたい)では、酸触媒架橋可能材料が、レジストパターニングされた表面上にコーティングされる。材料の架橋は、ベークステップ中に架橋可能材料中に拡散する、レジストパターン内に存在する酸構成成分によって触媒される。架橋は、酸拡散領域内のレジストパターン近傍にある材料中で行われて、パターンの側壁上にコーティングを形成し、これによりパターンの開放区域の横寸法を減少させる。このプロセスは、典型的に、レジストパターン上の架橋された層の成長が、レジストパターンに隣接する密度(それらの間のスペーシング)に応じて、ダイ表面にわたって非均一的に発生する粗密バイアス(IDB)に悩まされる。結果として、パターン密度に基づいて、同一の特徴の「縮小」の程度がダイにわたって変動し得る。これは、同一の装置であることが意図されるダイにわたる、パターニング欠陥及び電気的特性の変動につながり得る。
【0005】
重合体配合物の自己組織化(Y.Namie et al,“Polymer blends for directed self−assembly”,Proc.SPIE8680,Alternative Lithographic Technologies V,86801M(2013)を参照されたい)は、親水性重合体と疎水性重合体との非混和性配合物を含有する組成物を、フォトレジストパターン上にコーティングすることを含む。その後、組成物はアニーリングされ、重合体を相分離させ、親水性重合体はレジストパターン側壁へと優先的に分離し、疎水性重合体はレジストパターン側壁間の残りの容積を充填する。次に、疎水性重合体が、溶剤現像によって取り除かれ、レジストパターン側壁上に親水性重合体が残る。重合体配合物の自己組織化は、近接性及びサイズの影響に悩まされることが見出されている。縮小比は2つの重合体の体積比によって決定されるため、全ての特徴が、同一の絶対量ではなく、同一の相対パーセンテージにより縮小する。これは、酸拡散レジスト成長技術に関して記載した同一の問題につながり得る。
【0006】
重合体グラフト縮小技術もまた提案されている(例えば、米国特許出願公開第2015/0086929A1号を参照されたい)。
図1A及び1Bに示すように、このプロセスでは、フォトレジストパターン1及び基板2が、レジストパターンの表面に結合する基を有する重合体を含有する縮小組成物3によってオーバーコーティングされている。残留する未結合の重合体を溶剤で濯いだ後、縮小組成物からの結合した重合体の層3が、フォトレジストパターン上に残存する。本発明者らは、重合体のレジストパターンへの結合が、基板表面上へのスカミング(またはフッティング)層3′の形成をもたらし得ることを観察した。スカミングの発生は、重合体の基板表面への結合、及びレジスト側壁に結合した重合体の、基板に結合した重合体上への湿潤によるものと考えられる。スカミングの発生は、それが、装置収率に悪影響を与え得るパターニング欠陥(例えば、ブリッジング欠陥またはコンタクトホール欠損)をもたらし得るという点で、望ましくない。
【0007】
当該技術分野において、当該技術分野の現状に関連する1つ以上の問題に対処し、電子装置製作における微細パターンの形成を可能にする、改善されたパターン処理方法に対する継続する必要性が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ブロック共重合体
本発明のブロック共重合体は、交互共重合体を含む第1のブロックと、水素受容体を含有する単位を含む第2のブロックとを含む。このブロック共重合体は、縮小プロセスにおいて使用され得るフォトレジストパターンを処理するための組成物において特定の用途を見出す。
【0019】
このブロック共重合体は、典型的には2つのブロックを含むが、より多くのブロック、例えば、トリブロック、テトラブロック、またはそれ以上のブロックを含んでもよい。1つ以上のブロックは、ランダム共重合体を含んでもよい。ブロックは、直鎖共重合体、分岐が主鎖上にグラフトされる分岐鎖共重合体(これらの共重合体は時折「櫛型共重合体」とも呼ばれる)、及び星型共重合体などの一部であってもよい。
【0020】
交互共重合体は一般に、2つの単量体が共に反応して、鎖に沿って交互共重合体をもたらす共重合体の分類に属する。本明細書で使用される場合、交互重合体とは、重合体が、2つの異なる単量体単位A及びBの場合、ABABABの形態の規則性重合体を提供することを意味する。そのような重合は、好ましくは電子受容体単量体の電子供与単量体との反応を含む。この重合は、2つの単量体間の連鎖移動複合を介して発生すると考えられる(例えば、Bamford,C.H.;Malley,P.J.J.Polym.Sci.,Polym.Lett.Ed.,1981,19,239−247を参照されたい)。
【0021】
第1のブロックの交互共重合体は、複数の異なる単位で構成され、2つの異なる単位が典型的である。交互共重合体は、典型的には電子供与基を含む第1の単位と、電子受容基を含む第2の単位とを含む。電子供与基を含む好適な単位としては、以下のものが挙げられる。
【0023】
電子受容基を含む好適な単位としては、以下のものが挙げられる。
【0025】
第1のブロックとして好適な交互共重合体としては、例えば、上述の電子供与基と電子受容基との任意の組み合わせが挙げられることが理解される。好適な例示的交互共重合体としては、以下のものが挙げられる。
【0027】
第1のブロックとして特に好ましい交互共重合体としては、以下の一般式(I)の反復単位が挙げられ、
【0029】
式中、R
1が独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、任意で置換されたC1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C1−10カルボキシル、任意で置換されたC6−14アリール、及び任意で置換されたC6−14アリールオキシから選択され、R
2が、水素、任意で置換されたC1−10アルキル、及び任意で置換されたC6−14アリールから選択され、Xが酸素または窒素原子、典型的には窒素原子であり、xが0〜5の整数であり、yが0または1であるが、但し、Xが酸素原子であるとき、yが0であり、Xが窒素原子であるとき、yが1であることを条件とする。
【0030】
一般式(I)の好ましい交互共重合体としては、以下のものが挙げられる。
【0032】
ブロック共重合体重合体の第2のブロックは、パターニングされたフォトレジスト特徴の表面との結合(例えば、水素結合またはイオン結合)を形成するための表面結合基としての機能を果たす水素受容体を含む単位を含む。水素受容体は、例えば、末端基として、または第2のブロックの1つ以上の反復単位などの重合体主鎖にペンダントされた基として存在してもよい。水素受容体が結合を形成する、パターニングされた特徴表面上の特定の部位は、典型的にはレジストパターン表面上に存在するカルボン酸基及び/またはアルコール基であり、これらの基は、レジストパターニングプロセス中の脱保護反応の結果として存在し得る。この場合、水素受容体は、典型的には脱保護された酸基及び/またはアルコール基がレジストパターンの露光された表面にある状態で、イオン結合または水素結合を形成する。ブロック共重合体は、水素受容体基を通してパターニングされた特徴の表面に結合(グラフト)されて、パターニングされたレジスト特徴上に層を形成し得る。
【0033】
好ましい水素受容体基としては、例えば、アミン(例えば、第一級アミン、第二級アミン、及び第三級アミン)と、イミン(例えば、第一級及び第二級アルジミン、ならびにケチミン)と、ジアジン(例えば、任意で置換されたピラジン、ピペラジン、フェナジン)と、ジアゾール(例えば、任意で置換されたピラゾール、チアジアゾール、及びイミダゾール)と、任意で置換されたピリジン(例えば、ピリジン、2−ビニルピリジン、及び4−ビニルピリジン)と、これらの組み合わせとから選択される1つ以上の基が挙げられる。水素受容体基は、好ましくは重合体主鎖にペンダントされた環、例えば、任意で置換されたピリジンの形態を取る。
【0034】
表面結合基を含有する好適な単量体単位としては、例えば、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、2−N−モルホリノエチルアクリレート、2−N−モルホリノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノネオペンチルアクリレート、N−(t−BOC−アミノプロピル)メタクリルアミド、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、2−アミノエチルメタクリレート、4−N−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−1−メタクリレート、2−(ジメチルアミノ)スチレン、4−(ジメチルアミノ)スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、及びN−ビニルピロリドンが挙げられる。パターン処理重合体がポリシロキサン化学に基づくとき、単量体単位は典型的には、例えば、n−(アセチルグリシル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(n−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、アリルアミノトリメチルシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、n−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルジメチルメトキシシラン、n−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、n−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、n−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、n−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−(2−アミノエチル)−2,2,4−トリメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、n−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、n−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、n−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、n−3−[(アミノ(ポリプロピルエノキシ)]アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、n−(2−n−ベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、t−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、(n−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(n−シクロヘキシルアミノメチル)トリメトキシシラン、(n,n−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、n,n−ジメチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、(n,n−ジメチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−(n−エチルアミノ)イソブチル)トリメトキシシラン、n−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、及びn−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランを含む、アミン官能性シロキサン単量体である。
【0035】
好適な重合体の選択によって、パターニングされた特徴の露出表面上の重合体の厚さが正確に制御され得る。この厚さは、例えば、好適な分子量の選択によって制御され得、より高い分子量は典型的にはより大きい厚さをもたらし、より低い分子量は典型的にはより小さい厚さをもたらす。重合体の化学組成物もまた、成長の量に影響を与え得る。例えば、より長い非摂動末端間距離またはより硬性な主鎖を有する重合体は、所与の分子量に対してより大きな縮小を提供することができる。好ましいブロック共重合体は、例えば、結合回転について比較的低い自由度を有する重合体主鎖のため、典型的には硬性が比較的高い。この特徴は、本明細書に記載されるパターン処理方法における残留する重合体の濯ぎ中のより大きな除去性をもたらし得る。
【0036】
重合体は、組成物中に使用される有機溶剤中、及び過剰な重合体(すなわち、レジストパターンに結合されない重合体)を濯ぎ、基板から完全に取り除くのに使用される有機溶剤中に良好な溶解性を有するべきである。縮小組成物中の重合体の含有量は、例えば、縮小組成物の所望されるコーティング厚さに依存する。重合体は、典型的には縮小組成物中の全固体に基づいて組成物中に80〜100重量%、より典型的には90〜100重量%の量で存在する。重合体の重量平均分子量は、典型的には400,000未満、好ましくは1000〜200,000、より好ましくは1000〜150,000または2000〜125,000g/モルである。
【0037】
重合体は、好ましくは1つ以上の下位層へのパターン転写を促進するための良好なエッチング耐性を有する。炭素系重合体について、重合体のエッチング耐性の指標として「大西パラメータ」が一般に使用され得る(J.Electrochem Soc,143,130(1983),H.Gokan,S.Esho and Y.Ohnishi)。大西パラメータは、一般的に重合体の炭素密度を表すために使用され、具体的には式(A)に記載される等式によって決定される。
N/(NC−NO)=大西パラメータ (A)
式中、Nは炭素原子、水素原子、及び酸素原子の全合計数であり、NCは炭素原子の数であり、NOは酸素原子の数である。1単位体積当たりの重合体の炭素密度の増大(すなわち、大西パラメータの低下)は、そのエッチング耐性を改善する。本発明において有用な炭素系重合体の大西パラメータは、典型的には4.5未満、好ましくは4未満、及びより好ましくは3.5未満である。
【0038】
パターン処理組成物は、典型的には単一重合体を含むが、任意で1つ以上の上述の追加の重合体及び/または他の重合体を含んでもよい。重合体は、本質的に単分散で、かつ高度に制御された重合体をもたらすための既知の重合技術によって合成され得る。重合体は、例えば、RAFT(可逆的付加開裂連鎖移動)、LAP(リビングアニオン重合)、NMP(ニトロキシド媒介重合)、またはROMP(開環重合)技術によって合成され得る。
【0039】
重合体は、金属及び/または非金属不純物を取り除くために、パターン処理組成物の他の構成成分と組み合わせられる前に精製に供されてもよい。精製は、例えば、洗浄、スラリー化、遠心分離、濾過、蒸留、傾瀉、蒸発、及びイオン交換ビーズによる処理のうちの1つ以上を含み得る。
【0040】
パターン処理組成物
本発明のパターン処理組成物は、本明細書に記載されるブロック共重合体と、溶剤とを含み、1つ以上の追加の任意の構成成分を含んでもよい。本組成物は、パターニングされた特徴(例えば、コンタクトホール、トレンチ、またはラインアンドスペースパターン)上にコーティングされるとき、特徴サイズまたは密度に関わらず、一定の縮小値を可能にし得る。つまり、本組成物は、最小の近接バイアスを呈するか、または近接バイアスを呈さない、コーティングされたパターンを可能にする。好ましい組成物は、実質的または完全にスカムを含まないパターンを提供し得る。更に、本パターン処理組成物は、スピンコーティング用具を使用してコーティングされ得、これにより簡素化された処理及びフォトレジストパターニングプロセスとの統合の容易さを可能にする。
【0041】
本パターン処理組成物溶剤は、単一溶剤または溶剤の混合物の形態であり得る。本パターン処理組成物を配合し、流延するための好適な溶剤材料は、本組成物の非溶剤構成成分に対して優れた溶解性特徴を呈するが、下位フォトレジストパターンには認識できるほどには溶解しない。溶剤は、有機溶剤または水溶剤であり得る。本パターン処理組成物の好適な有機溶剤としては、例えば、PGMEA、エチルラクテート、n−ブチルアセテート、n−ブチルプロピオネート、n−ペンチルプロピオネート、n−ヘキシルプロピオネート、及びn−ヘプチルプロピオネートなどのアルキルエステル、ならびにn−ブチルブチレート、イソブチルブチレート、及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートと、PGMEなどのエーテルと、2−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、及び2,5−ジメチル−4−ヘキサノンなどのケトンと、n−ヘプタン、n−ノナン、n−オクタン、n−デカン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、3,3−ジメチルヘキサン、及び2,3,4−トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素、ならびにパーフルオロヘプタンなどのフッ化脂肪族炭化水素と、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、及び4−オクタノールなどの直鎖、分岐鎖、または環式C
4−C
9一価アルコール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−ヘキサノールなどのアルコール、ならびに2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオールなどのC
5−C
9フッ化ジオールと、トルエン、アニソール、及びこれらの溶剤のうちの1つ以上を含有する混合物とが挙げられる。これらの有機溶剤のうち、アルキルプロピオネート、アルキルブチレート、及びケトン、好ましくは分岐鎖ケトン、より好ましくはC
8−C
9アルキルプロピオネート、C
8−C
9アルキルプロピオネート、C
8−C
9ケトン、及びこれらの溶剤のうちの1つ以上を含有する混合物が好ましい。好適な混合溶剤としては、例えば、上述のアルキルケトン及びアルキルプロピオネートなどのアルキルケトンとアルキルプロピオネートとの混合物が挙げられる。好適な水溶剤としては、水または第四級水酸化アンモニウム溶液(例えば、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH))などの水性塩基が挙げられる。組成物の溶剤構成成分は、典型的には全組成物に基づいて90〜99重量%の量で存在する。
【0042】
本パターン処理組成物は、例えば、界面活性剤及び酸化防止剤を含む1つ以上の任意の添加物を含んでもよい。そのような任意の添加剤は、使用される場合、典型的には組成物の全固体に基づいて組成物中に0.01〜10重量%などの微量でそれぞれ存在する。
【0043】
典型的な界面活性剤としては、両親媒性の性質(それらが同時に親水性かつ疎水性であり得ることを意味する)を呈するものが挙げられる。両親媒性界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する親水性頭部基(複数可)と、有機親和性であり、水を忌避する長い疎水性尾とを持つ。好適な界面活性剤は、イオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)または非イオン性であり得る。界面活性剤の更なる例としては、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロ化学界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては、TRITON(登録商標)X−114、X−100、X−45、X−15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート、ならびにTERGITOL(商標)TMN−6(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan USA)などの分岐鎖第二級アルコールエトキシレートが挙げられるが、これらに限定されない。なお更なる例示的な界面活性剤としては、アルコール(第一級及び第二級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エエチレングリコール−co−プロピレングリコール)、またはGlen Rock,N.J.のManufacturers Confectioners Publishing Co.出版のMcCutcheon’s Emulsifiers and Detergents、2000年北米版に開示される他の界面活性剤が挙げられる。アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤もまた好適である。そのような界面活性剤は、Allentown,PAのAir Products and Chemicals,Inc.から商業的に入手可能であり、SURFYNOL及びDYNOLの商品名で販売される。追加の好適な界面活性剤としては、トリ−ブロックEO−PO−EO共重合体PLURONIC 25R2、L121、L123、L31、L81、L101、及びP123(BASF,Inc.)などの他の重合体化合物が挙げられる。
【0044】
本パターン処理組成物中の有機材料の酸化を防止または最小化するために、酸化防止剤が添加され得る。好適な酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機酸誘導体で構成された酸化防止剤、イオウ含有酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、アミン−アルデヒド凝縮物で構成された酸化防止剤、及びアミン−ケトン凝縮物で構成された酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤の例としては、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2−メチル−4,6−ジノニルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)2,4−ビスオクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、オクチル化フェノール、アラルキル置換フェノール、アルキル化p−クレゾール、及びヒンダードフェノールなどの置換フェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、メチレンビス(ジメチル−4,6−フェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、メチレン架橋多価アルキルフェノール、4,4′−ブチルイデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、2,2′−ジヒドロキシ−3,3′−ジ−(α−メチルシクロヘキシル)−5,5′−ジメチルジフェニルメタン、アルキル化ビスフェノール、ヒンダードビスフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、及びテトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのビス−、トリス−、及びポリ−フェノールが挙げられる。好適な酸化防止剤は、例えば、商業的に入手可能なIrganox(商標)酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals Corp.)である。
【0045】
本パターン処理組成物は、好ましくは酸拡散レジスト成長プロセスにおいて典型的に使用されるものなどの架橋剤を含まない。これらのプロセスは、例えば、残存するフォトレジスト中の酸の濃度のため、粗なホールが密なホールよりも縮小する、近接性及びサイズのバイアスに悩まされることが知られている。好ましくは架橋剤を含まないことに加えて、本パターン処理組成物は、好ましくは酸、酸発生剤化合物(例えば、熱酸発生剤化合物及び光酸発生剤化合物)を含まず、これは、そのような化合物が、それらが本組成物の官能基にアンカリングする水素受容体についてレジストパターンの酸基及び/またはアルコール基と競合することによって、本組成物によって達成可能なトレンチ/ホール縮小の量を制限し得るためである。
【0046】
本パターン処理組成物は、以下の既知の手順に従って調製され得る。例えば、本組成物は、重合体と、本組成物の他の任意の固体構成成分とを、溶剤構成成分中に溶解させることによって調製され得る。本組成物の所望される全固体含有量は、組成物中の特定の重合体(複数可)及び所望される最終層厚さなどの要因に依存する。好ましくは、本パターン処理組成物の固体含有量は、組成物の全重量に基づいて1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。
【0047】
フォトレジスト組成物
本発明において有用なフォトレジスト組成物としては、例えば、酸感受性である(つまり、フォトレジスト組成物の層の部分として、樹脂及び組成物層が、ソフトベーク、活性化放射線への露光、及び露光後ベークの後、光酸発生剤によって発生される酸との反応の結果として、有機現像剤中で溶解性の変化を受ける)マトリックス重合体を含む化学増幅フォトレジスト組成物が挙げられる。溶解性の変化は、マトリックス重合体中の光酸不安定エステル基またはアセタール基などの酸酸開裂性脱離基が、活性化放射線への露光及び熱処理時に光酸促進脱保護反応を受けて、カルボン酸基またはアルコール基を生成するときにもたらされる。本発明において有用なフォトレジスト組成物は、商業的に入手可能である。
【0048】
193nmなどの特定の200nm以下の波長での撮像のために、マトリックス重合体は、典型的にはフェニル基、ベンジル基、または他の芳香族基が放射線を高度に吸収する場合、そのような基を実質的に含まない(例えば、15モル%未満)か、または全く含まない。好ましい酸不安定基としては、例えば、マトリックス重合体のエステルのカルボキシル酸素に共有結合した、特定の三級非環式アルキル炭素(例えば、t−ブチル)もしくは三級脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含有するアセタール基またはエステル基が挙げられる。好適なマトリックス重合体は、好ましくはt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、エチルフェンチルアクリレート、エチルフェンチルメタクリレートなどの酸不安定(アルキル)アクリレート単位と、他の非環式アルキル及び脂環式(アルキル)アクリレートとを含む、(アルキル)アクリレート単位を含有する重合体を更に含む。他の好適なマトリックス重合体としては、例えば、任意で置換されたノルボルネンなどの非芳香族環式オレフィンの重合単位(環内二重結合)を含有するものが挙げられる。マトリックス樹脂は、典型的には、例えば、ラクトン基、極性基、及び中性基から選択される1つ以上の追加の基を提供する単量体から形成される、1つ以上の追加の単位を含む。上述のマトリックス重合体のうちの2つ以上の配合物が、フォトレジスト組成物において好適に使用され得る。
【0049】
フォトレジスト組成物における使用のための好適なマトリックス重合体は、商業的に入手可能であり、当業者によって容易に作製され得る。マトリックス重合体は、レジスト組成物中に、レジストの露光されたコーティング層を好適な現像剤溶液中で現像可能にするのに十分な量で存在する。典型的には、マトリックス重合体は、本レジスト組成物の全固体に基づいて組成物中に50〜95重量%の量で存在する。マトリックス重合体の重量平均分子量M
wは、典型的には100,000未満、例えば、5000〜100,000、より典型的には5000〜15,000である。
【0050】
フォトレジスト組成物は、活性化放射線への露光時に、組成物のコーティング層中に潜像を発生させるのに十分な量で用いられる光酸発生剤(PAG)を更に含む。例えば、光酸発生剤は、フォトレジスト組成物の全固体に基づいて約1〜20重量%の量で好適に存在する。典型的には、化学増幅レジストには、非化学増幅材料と比較して、より少ない量のPAGが好適である。
【0051】
好適なPAGは、化学増幅フォトレジストの当該技術分野において既知であり、例えば、オニウム塩(例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート)、ニトロベンジル誘導体(例えば、2−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、及び2,4−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート)、スルホン酸エステル(例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン)、ジアゾメタン誘導体(例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン)、グリオキシム誘導体(例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム及びビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム)、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル)、ハロゲン含有トリアジン化合物(2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、ならびに2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)が挙げられる。そのようなPAGのうちの1つ以上が使用されてもよい。
【0052】
フォトレジスト組成物に好適な溶剤としては、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルラクテート及びエチルラクテートなどのラクテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、及びメチル−2−ヒドロキシイソブチレートなどのプロピオネート、メチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル、トルエン、アニソール、及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ならびにアセトン、メチルケトン、シクロヘキサノン、及び2−ヘプタノンなどのケトンが挙げられる。上述の溶剤のうちの2つ、3つ、またはそれ以上の配合物などの溶剤の配合物もまた好適である。溶剤は、典型的にはフォトレジスト組成物の全重量に基づいて組成物中に90〜99重量%、より典型的には95〜98重量%の量で存在する。
【0053】
フォトレジスト組成物は、他の任意の材料を更に含み得る。例えば、組成物は、化学線染料及びコントラスト染料、抗ストリエーション剤、可塑剤、速度向上剤、ならびに増感剤などのうちの1つ以上を含んでもよい。そのような任意の添加剤は、使用される場合、典型的にはフォトレジスト組成物の全固体に基づいて組成物中に0.1〜10重量%などの微量でそれぞれ存在する。
【0054】
フォトレジスト組成物の好ましい任意の添加剤は、添加塩基である。好適な塩基としては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3−テトラブチルマロンアミド、1−メチルアゼパン−2−オン、1−アリルアゼパン−2−オン、及びtert−ブチル1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イルカルバメートなどの直鎖及び環式アミドならびにこれらの誘導体、ピリジン及びジ−tert−ブチルピリジンなどの芳香族アミン、トリイソプロパノールアミン、n−tert−ブチルジエタノールアミン、トリス(2−アセトキシ−エチル)アミン、2,2′,2′′,2′′′−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラエタノール、及び2−(ジブチルアミノ)エタノール、2,2′,2′′−ニトリロトリエタノールなどの脂肪族アミン、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、tert−ブチル1−ピロリジンカルボキシレート、tert−ブチル2−エチル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート、ジ−tert−ブチルピペラジン−1,4−ジカルボキシレート、及びN(2−アセトキシ−エチル)モルホリンなどの環式脂肪族アミンが挙げられる。添加塩基は、典型的にはフォトレジスト組成物の全固体に基づいて、例えば、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%などの比較的少量で使用される。
【0055】
フォトレジストは、以下の既知の手順に従って調製され得る。例えば、レジストは、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルラクテートもしくはメチルラクテート(エチルラクテートが好ましい)などのラクテート、プロピオネート(特にメチルプロピオネート、エチルプロピオネート、及びエチルエトキシプロピオネート)、メチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル、トルエンもしくはキシレンなどの芳香族炭化水素、またはメチルケトン、シクロヘキサノン、及び2−ヘプタノンなどのケトンのうちの1つ以上の好適な溶剤中にフォトレジストの構成成分を溶解させることによって、コーティング組成物として調製され得る。フォトレジストの所望される全固体含有量は、組成物中の特定の重合体、最終層厚さ、及び露光波長などの要因に依存する。典型的には、フォトレジストの固体含有量は、フォトレジスト組成物の全重量に基づいて1〜10重量%、より典型的には2〜5重量%変動する。
【0056】
好適なフォトレジストは、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許公開第US2013/0115559A1号、同第US2011/0294069A1号、同第US2012/0064456A1号、同第US2012/0288794A1号、同第US2012/0171617A1号、同第US2012/0219902A1号、及び同第US7,998,655B2に記載されるフォトレジストが挙げられる。
【0057】
パターン処理方法
ここで、本発明に従うプロセスを、ネガティブトーン現像によってフォトリソグラフィーパターンを形成するための例示的なプロセスフローを図示する
図2A〜Fを参照しながら、説明する。
【0058】
図2Aは、様々な層及び特徴を含み得る基板100の断面を描写する。基板は、シリコン半導体または化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)などの半導体、ガラス、石英、セラミック、及び銅などの材料から作製されてもよい。典型的には、基板は、単結晶シリコンまたは化合物半導体ウェーハなどの半導体ウェーハであり、1つ以上の層及びその表面上に形成されたパターニングされた特徴を有してもよい。パターニングされる1つ以上の層102が、基板100の上に提供されてもよい。任意で、例えば、基板材料にトレンチを形成することが所望される場合に、下位ベース基板材料自体がパターニングされてもよい。ベース基板材料自体をパターニングする場合、パターンは、基板の層中に形成されるものと考えられるべきである。
【0059】
層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、合金、そのような金属の窒化物もしくはケイ化物、ドープ非晶質シリコン、またはドープポリシリコンの層のうちの1つ以上の導電層、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、または酸化金属の層などの1つ以上の絶縁層、単結晶シリコンなどの半導体層、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。エッチングされる層は、例えば、プラズマ強化CVD、低圧CVD、もしくはエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリングもしくは蒸発などの物理蒸着(PVD)、または電気めっきなどの様々な技術によって形成されてもよい。エッチングされる1つ以上の層102の特定の厚さは、材料及び形成される特定の装置に応じて変動する。
【0060】
エッチングされる特定の層、フィルム厚さ、ならびに使用されるフォトリソグラフィー材料及びプロセスに応じて、フォトレジスト層104がその上にコーティングされる、ハードマスク層及び/または底面反射防止コーティング(BARC)を、層102の上に配置することが所望され得る。例えば、エッチングされる層が相当なエッチング深さを必要とする、及び/または特定のエッチング液が不良なレジスト選択性を有する非常に薄いレジスト層には、ハードマスク層の使用が所望され得る。ハードマスク層が使用される場合、形成されるレジストパターンがハードマスク層に転写され得、これが転じて、下位層102をエッチングするためのマスクとして使用され得る。好適なハードマスク材料及び形成材料は、当該技術分野において既知である。典型的な材料としては、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、非晶質炭素、酸窒化シリコン、及び窒化シリコンが挙げられる。ハードマスク層は、単層、または異なる材料の複数の層を含んでもよい。ハードマスク層は、例えば、化学または物理蒸着技術によって形成され得る。
【0061】
底面反射防止コーティングは、さもなければ基板及び/または下位層がフォトレジスト露光中に相当な量の入射放射線を反射するために、形成されたパターンの品質に悪影響が与えられる場合に、望ましくあり得る。そのようなコーティングは、焦点深度、露光寛容度、線幅均一性、及びCD制御を改善し得る。反射防止コーティングは、典型的にはレジストが深紫外光(300nm未満)、例えば、KrFエキシマレーザ光(248nm)またはArFエキシマレーザ光(193nm)に露光される場合に使用される。反射防止コーティングは、単層、または複数の異なる層を含んでもよく、有機、無機、またはハイブリッド有機−無機材料、例えば、シリコン含有反射防止コーティング材料であってもよい。好適な反射防止材料及び形成方法は、当該技術分野において既知である。反射防止材料は、例えば、Dow Electronic Materials(Marlborough,MA USA)によってAR(商標)の商標で販売されるもの(AR(商標)40A及びAR(商標)124反射防止材料など)など、商業的に入手可能である。
【0062】
本明細書に記載されるような組成物から形成されるフォトレジスト層104は、基板上の反射防止層の上(存在する場合)に配置される。フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、浸漬、ローラーコーティング、または他の従来のコーティング技術によって基板に適用され得る。これらのうち、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングについて、コーティング溶液の固体含有量は、利用される特定のコーティング機器、溶液の粘度、コーティング用具の速度、及びスピニングに許容される時間量に基づいて所望されるフィルム厚さを提供するように調節され得る。フォトレジスト層104の典型的な厚さは、500〜3000Åである。
【0063】
次に、フォトレジスト層をソフトベークして、層中の溶剤含有量を最小化し、これによりタックフリーコーティングを形成し、基板に対する層の接着を改善し得る。ソフトベークは、ホットプレート上または炉内で実行され得、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度及び時間は、例えば、フォトレジストの特定の材料及び厚さに依存する。典型的なソフトベークは、約90〜150℃の温度で約30〜90秒間実行される。
【0064】
次に、フォトレジスト層104は、露光された領域と露光されていない領域の間での溶解性の差を生み出すためのパターニングされたフォトマスク106を通して、活性化放射線に露光される。本明細書において、組成物を活性化する放射線へのフォトレジスト組成物の露光への言及は、放射線がフォトレジスト組成物中に潜像を形成することができることを示す。フォトマスクは、後続する現像ステップにおいて、残存するレジスト層の領域及び取り除かれるレジスト層の領域にそれぞれ対応する、光学的に透明な領域及び光学的に不透明な領域を有する。露光波長は、典型的には400nm以下、300nm以下、または200nm以下であり、248nm、193nm、及びEUV波長(例えば、13.5nm)が典型的である。本方法は、液浸または乾燥(非液浸)リソグラフィ技術において用途を見出す。露光エネルギーは、露光用具及びフォトレジスト組成物の構成成分に応じて、典型的には約10〜80mJ/cm
2である。
【0065】
フォトレジスト層104の露光後、露光後ベーク(PEB)が実行される。酸発生剤によって発生される酸は、酸開裂脱離基の開裂に酸基、典型的にはカルボン酸基及び/またはアルコール基を形成させる。PEBは、例えば、ホットプレート上または炉内で実行され得る。PEBの条件は、例えば、特定のフォトレジスト組成物及び層厚さに依存する。PEBは、典型的には約80〜150℃の温度で約30〜90秒間実行される。
【0066】
次に、露光されたフォトレジスト層を現像して、露光されていない領域を取り除き、
図2Bに示す初期臨界寸法(CDi)を有するネガティブレジストパターン104′を形成する露光された領域を残す。レジストパターン104′は、カルボン酸基及び/またはアルコール基を含む。ネガティブトーン現像剤は、有機溶剤現像剤、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、及びこれらの混合物から選択される溶剤である。好適なケトン溶剤としては、例えば、アセトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが挙げられる。好適なエステル溶剤としては、例えば、メチルアセテート、ブチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、アミルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、メチルホルメート、エチルホルメート、ブチルホルメート、プロピルホルメート、エチルラクテート、ブチルラクテート、及びプロピルラクテートが挙げられる。好適なエーテル溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びグリコールエーテル溶剤、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、及びメトキシメチルブタノールが挙げられる。好適なアミド溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。好適な炭化水素溶剤としては、例えば、トルエン、アニソール、及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。更に、これらの溶剤の混合物、または上述されるもの以外の溶剤と混合された、もしくは水と混合された、列挙される溶剤のうちの1つ以上が使用されてもよい。他の好適な溶剤としては、フォトレジスト組成物中に使用されるものが挙げられる。現像剤は、好ましくは2−ヘプタノンまたはn−ブチルアセテートなどのブチルアセテートである。
【0067】
有機溶剤(複数可)は、典型的には現像剤の全重量に基づいて現像剤中に90重量%〜100重量%、より典型的には95重量%超、98重量%超、99重量%超、または100重量%の合計量で存在する。
【0068】
現像剤材料は、任意の添加剤、例えば、フォトレジストに関して上述のものなどの界面活性剤を含んでもよい。そのような任意の添加剤は、典型的には微量濃度、例えば、現像剤の全重量に基づいて約0.01〜5重量%の量で存在する。
【0069】
現像剤は、既知の技術によって、例えば、スピンコーティングまたはパドルコーティングによって基板に適用され得る。現像時間は、フォトレジストの露光されていない領域を取り除くのに有効な期間であり、5〜120秒間、または5〜30秒間が典型的である。現像は、典型的には室温で実行される。
【0070】
現像後、ハードベークプロセスにおいてレジストパターン104′を任意で熱処理して、レジストパターンから溶剤を更に取り除いてもよい。任意のハードベークは、典型的にはホットプレートまたは炉で実行され、典型的には約90℃以上、例えば、約100〜150℃の温度で、約30〜120秒間実行される。
【0071】
図2Cを参照すると、本明細書に記載されるパターン処理組成物が、レジストパターン104′上にコーティングされて、パターン処理組成物層112が形成される。特定のプロセスに応じて、パターン処理組成物は、レジストパターンを完全に被覆するように、または特定の用途に応じて、レジストパターン上表面を被覆しないようにレジストパターンの厚さ以下の高さまで適用され得る。
【0072】
次に、典型的にはパターン処理組成物層112をソフトベークして、組成物から溶剤を取り除き、かつ重合体を拡散させ、重合体のアンカリング部分とフォトレジストパターンの脱保護された酸基及び/またはアルコール基との間の結合を誘導する。パターン処理組成物の典型的なソフトベークは、約90〜150℃の温度で30〜120秒間実行される。
【0073】
次に、レジストパターンに結合されない重合体を含む残留するパターン処理組成物は、濯ぎによって基板から取り除かれ、
図2Dに示すように、レジストパターンに結合した重合体の層112′を残す。残留するパターン処理組成物の除去によって、レジストパターン側壁の有効厚さは増大し、これにより隣接する線の間、またはトレンチもしくはホールパターン内のスペーシング(CDf)を減少させる。好適な濯ぎ溶液としては、重合体が可溶性である有機溶剤現像剤が挙げられる。好適な材料としては、例えば、NTD現像剤に関して本明細書に記載される現像剤が挙げられる。これらのうち、n−ブチルアセテート及び2−ヘプタノンが典型的である。結果として得られる像は、典型的にはフォトレジスト層の現像後のレジストパターンの表面粗さと比較して、改善された(すなわち、減少した)表面粗さを有する。
【0074】
任意で、ブロック共重合体のT
gを超える温度で濯ぎ後ベークが実行されてもよい。このベークは、重合体の、その空気との界面区域を最小化しようとする熱力学的駆動力のために、例えば、改善されたパターン粗さまたは真円度の形態で、有利な結果を提供し得る。
【0075】
次に、エッチングマスクとして結合したブロック共重合体112′を有するレジストパターン104′を使用して、1つ以上の下位層102を選択的にエッチングして、
図2Eに示すように、下位基板100を露出させ、パターン102′を形成し得る。好適なエッチング技術及びエッチング層102の化学は、当該技術分野において既知であり、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングプロセスが典型的である。次に、既知の技術、例えば、酸素プラズマアッシングを使用して、レジストパターン104′及び結合したブロック共重合体112′は基板から取り除かれ、
図2Fに示すように、パターン102′を残す。
【0076】
以下の非限定的な実施例は、本発明を説明するものである。
【実施例】
【0077】
数及び重量平均分子量、Mn及びMw、ならびに共重合体の交互の第1のブロックの多分散(PDI)値(Mw/Mn)を、屈折率検出器を備えたWaters allianceシステム上、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。試料を、約1mg/mLの濃度でHPCL等級THF中に溶解させ、4つのShodexカラム(KF805、KF804、KF803、及びKF802)を通して注入した。1mL/分の流量及び35℃の温度を維持した。カラムを狭分子量PS標準(EasiCal PS−2、Polymer Laboratories,Inc.)によって較正した。最終ブロック共重合体中の水素−受容体を含有する第2のブロックについて、反応体供給変化に基づくNMRによって数平均分子量Mnを計算した。
【0078】
Hitachi S9380 SEMを25万倍の拡大で使用して、トップダウン走査型電子顕微鏡写真を取得した。Amray 1910走査型電子顕微鏡を使用してウェーハを区分した後、断面SEM画像を取得した。SEM画像に基づいて、臨界寸法(CD)及びピッチを決定した。
【0079】
パターン処理組成物の調製
以下の単量体を使用して、後述するようなパターン処理組成物重合体P1〜P4を調製した。
【0080】
【化8】
【0081】
プレ重合体の合成:
プレ重合体1(PP1)の合成:
0.01gのジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(DMAMP)と、6.5gの単量体M1(tert−ブチルスチレン)と、7gの単量体M2(ベンジルマレイミド)と、0.061gの2−シアノプロパン−2−イルベンゾジチオエート(CPBD)と、20mLのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)と、磁気攪拌棒とを200mLの無空気フラスコに充填した。混合物を液体窒素によって3回凍結脱気し、その後、フラスコを70℃のヒートブロック内に16時間定置した。反応後、フラスコを冷却した。その後、反応混合物を500mLのメタノール中に沈殿させた。沈殿物を回収し、再沈殿させた。重合体を回収し、50℃の真空炉内で一晩乾燥させた。結果として得られるプレ重合体PP1[ポリ(tert−ブチルスチレン−alt−ベンジルマレイミド)]は、58k(kg/モル)のMn及び1.89のPDIを有した。
【0082】
プレ重合体2(PP2)の合成:
0.016gのDMAMPと、10gの単量体M1(tert−ブチルスチレン)と、10.8gの単量体M3(フェニルマレイミド)と、0.061gのCPBDと、31.26mLのPGMEAと、磁気攪拌棒とを200mLの無空気フラスコに充填した。混合物を液体窒素によって3回凍結脱気し、その後、フラスコを70℃のヒートブロック内に16時間定置した。反応後、フラスコを冷却した。その後、反応混合物を500mLのメタノール中に沈殿させた。沈殿物を回収し、再沈殿させた。重合体を回収し、50℃の真空炉内で一晩乾燥させた。結果として得られるプレ重合体PP2[ポリ((tert−ブチルスチレン)−alt−フェニルマレイミド)]は、45k(kg/モル)のMn及び1.99のPDIを有した。
【0083】
プレ重合体3(PP3)の合成:
0.003gのDMAMPと、1.5gの単量体M1(tert−ブチルスチレン)と、1.44gの単量体M6(tertブチルマレイミド)と、0.02gのCPBDと、4.7mLのPGMEAと、磁気攪拌棒とを100mLの無空気フラスコに充填した。混合物を液体窒素によって3回凍結脱気し、その後、フラスコを70℃のヒートブロック内に16時間定置した。反応後、フラスコを冷却した。その後、反応混合物を200mLのメタノール中に沈殿させた。沈殿物を回収し、再沈殿させた。重合体を回収し、50℃の真空炉内で一晩乾燥させた。結果として得られるプレ重合体PP3[ポリ((tert−ブチルスチレン−alt−t−ブチルマレイミド)]は、22k(kg/モル)のMn及び1.36のPDIを有した。
【0084】
ブロック共重合体の合成
実施例1(P1):
10.0gのプレ重合体PP1と、2.0gの単量体M4[4−ビンルピリジン]と、0.012gのDMAMPと、19mLのジメチルホルムアミド(DMF)と、磁気攪拌棒とを200mLの無空気反応器に充填した。混合物を液体窒素によって3回凍結脱気した。その後、反応器をセプタムで密閉し、70℃のヒートブロック内に16時間定置した。反応後、フラスコを冷却した。その後、反応混合物を500mLのメタノール中に沈殿させた。沈殿物を回収し、再沈殿させた。結果として得られる重合体P1[ポリ(tert−ブチルスチレン−alt−ベンジルマレイミド)−b−ポリ(4−ビンルピリジン)]を回収し、室温の真空炉内で一晩乾燥させた。表1は、重合体の分子量特性をまとめる。
【0085】
実施例2(P2):
10.0gのプレ重合体PP2と、1.0gの単量体M4[4−ビニルピリジン]と、0.01gのDMAMPと、9.51mLのDMFと、磁気攪拌棒とを200mLの無空気反応器に充填した。混合物を液体窒素によって3回凍結脱気した。その後、反応器をセプタムで密閉し、70℃のヒートブロック内に16時間定置した。反応後、フラスコを冷却した。その後、反応混合物を500mLのメタノール中に沈殿させた。沈殿物を回収し、再沈殿させた。結果として得られる重合体P2[ポリ((tert−ブチルスチレン−alt−フェニルマレイミド)−b−ポリ(4−ビニルピリジン)]を回収し、室温の真空炉内で一晩乾燥させた。表1は、重合体の分子量特性をまとめる。
【0086】
実施例3(P3):
3.0gのプレ重合体PP3と、1.5gの単量体M4[4−ビニルピリジン]と、0.007gのDMAMPと、7.13mLのDMFと、磁気攪拌棒とを100mLの無空気反応器に充填した。混合物を液体窒素によって3回凍結脱気した。その後、反応器をセプタムで密閉し、70℃のヒートブロック内に16時間定置した。反応後、フラスコを冷却した。その後、反応混合物を200mLのメタノール中に沈殿させた。沈殿物を回収し、再沈殿させた。結果として得られる重合体P3[ポリ((tert−ブチルスチレン−alt−t−ブチルマレイミド)−b−ポリ(4−ビニルピリジン)]を回収し、室温の真空炉内で一晩乾燥させた。表1は、重合体の分子量特性をまとめる。
【0087】
比較実施例1(P4):
単量体M1[tert−ブチルスチレン]及び単量体M5[ジメチルアミノエチルメタクリレート]を使用して、重合体P4を合成した。単量体及び溶剤を3回凍結脱気して、酸素を取り除いた。活性化Al
2O
3によって使用前に単量体を更に精製し、シクロヘキサンによって約50体積%の濃度まで希釈した。予備乾燥させたLiClを含有する反応器に200gのテトラヒドロフラン(THF)を添加した。含有物をドライアイス/イソプロパノール浴中で−78℃まで冷却した。0.7Mのシクロヘキサン中、sec−ブチルリチウム(SBL)開始剤で、THFを緑色が観察されるまで滴定した。緑色が完全に消失するまで反応浴を室温まで温めた。反応浴を再度−78℃まで冷却し、その後、ジフェニルエチレン(DPE:0.07g)及びSBL開始剤(0.44ml.0.43M)を添加して、明赤色をもたらした。19.05gの単量体M1を反応器に共有し、含有物を4時間撹拌した。無酸素メタノール中、重合体混合物を挿管することによって、反応アリコートを回収した。沈殿した重合体を、MnについてGPCによって分析した。0.95gの単量体M5を反応器に添加し、混合物を−78℃で4時間撹拌した。無酸素メタノールによって反応を停止させた。反応生成物をメタノール中に沈殿させて、粉末状の白色沈殿物をもたらし、この沈殿物を50℃の炉内で8時間真空乾燥させて、乾燥した重合体、重合体P4[ポリ((tert−ブチルスチレン)−b−ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)]をもたらした。表1は、重合体の分子量特性をまとめる。
【0088】
比較実施例2(P5):
表1は、重合体P5[ポリ(スチレン)−b−(4−ビニルピリジン)(Polymer Source Inc.)]の分子量特性をまとめる。
【0089】
【表1】
【0090】
フォトレジスト組成物の調製
17.73gのマトリックス重合体A(PGMEA中15重量%)と、16.312gのPAG A溶液(メチル−2−ヒドロキシイソブチレート中1重量%)と、3.463gのPAG B溶液(PGMEA中1重量%)と、6.986gのPAG C溶液(メチル−2−ヒドロキシイソブチレート中2重量%)と、4.185gのトリオクチルアミン(PGMEA中1重量%溶液)と、0.248gの重合体添加剤A(PGMEA中25重量%溶液)と、25.63gのPGMEAと、9.69gのガンマ−ブチロラクトンと、22.61gのメチル−2−ヒドロキシイソブチレートとを混合し、0.2μmのナイロンフィルタを通して濾過して、フォトレジスト組成物PRC−1を形成した。
【0091】
【化9】
【0092】
パターン処理組成物(PTC)の調製
表2に記載されるブロック共重合体を、2−ヘプタノン中に3重量%溶液の量で溶解させることによって、パターン処理組成物を調製した。組成物を0.2ミクロンの超高分子量ポリエチレン(UPE)フィルタで濾過した。
【0093】
【表2】
【0094】
フォトリソグラフィー処理及び評価
ライン−スペースパターンの縮小
1350Åの有機下層上に220Åのシリコン含有反射防止コーティング(SiARC)層を含む重層スタックを有する8インチのシリコンウェーハを提供した。重層スタック上にフォトレジスト組成物PRC−1をコーティングし、TEL CLEAN TRACK(商標)LITHIUS(商標)i+コーター/現像機上、1000Åの標的レジスト厚さまで、90℃で60秒間ソフトベークした。0.75の開口数(NA)及びDipole−35Y照明を有するASML 1100走査器を使用して、各ウェーハにわたって様々な線量で150nmのピッチを有するライン/スペースパターンを含むレチクルを通して、フォトレジスト層を露光させた。露光後ベークを90℃で60秒間実行し、n−ブチルアセテート(nBA)現像剤を使用してフォトレジスト層を現像して、ウェーハにわたって150nmのピッチ及び様々な臨界寸法(CD)を有するライン/スペースパターンを形成した。レジストパターニングされたウェーハのうちの1つを、更なる処理をせずに対照としてSEMによって観察し、線の間の平均スペーシング(CD
i)を測定した。TEL CLEAN TRACK(商標)LITHIUS(商標)i+コーター/現像機上、1500rpmでのスピンコーティングによって、表3に示すそれぞれのパターン処理組成物で他のウェーハをオーバーコーティングした。パターニングされたウェーハを100℃で60秒間ソフトベークし、スピンコーター上、n−ブチルアセテートで濯いだ。結果として得られるパターンをSEMによって観察し、パターンの中間高さで線の間の平均スペーシング(CD
f)を測定した。パターン処理組成物の平均縮小量ΔCD(=CD
i−CD
f)を計算した。断面SEM画像によって、スカムの存在についてもまた、パターンを観察した。スカミング及び縮小量の結果を、表3に示す。
図3は、パターン処理組成物PTC−2のパターン処理前後の、CD対露光線量のそれぞれのプロットを提供する。測定されたパターン処理組成物のうちの全ての、測定された範囲にわたる各線量での縮小量(ΔCD)は実質的に一定であり、組成物のそれぞれについて低近接バイアスを示すことが見出された。本発明のパターン処理配合物がスカミングをもたらさない一方で、比較配合物がスカミングをもたらすことが更に観察された。
【0095】
コンタクトホールパターンの縮小
1350Åの有機下層上に220Åのシリコン含有反射防止コーティング(SiARC)層の重層スタックを有する8インチのシリコンウェーハを提供した。重層スタック上にフォトレジスト組成物PRC−1をコーティングし、TEL CLEAN TRACK(商標)LITHIUS(商標)i+コーター/現像機上、1000Åの標的レジスト厚さまで、90℃で60秒間ソフトベークした。0.75の開口数(NA)及びQuadrapole30照明を有するASML1100走査器を使用して、各ウェーハにわたって様々な線量で300nmのピッチを有するコンタクトホールパターンを含むレチクルを通して、フォトレジスト層を露光させた。露光後ベークを90℃で60秒間実行し、n−ブチルアセテート(nBA)現像剤を使用してフォトレジスト層を現像して、ウェーハにわたって300nmのピッチ及び様々な臨界寸法(CD)を有するコンタクトホールパターンを形成した。レジストパターニングされたウェーハのうちの1つを、更なる処理をせずに対照としてSEMによって観察し、パターンの中間高さで平均コンタクトホール直径(CD
i)を測定した。TEL CLEAN TRACK(商標)LITHIUS(商標)i+コーター/現像機上、1500rpmでのスピンコーティングによって、パターン処理組成物PTC−3で別のウェーハをオーバーコーティングした。パターニングされたウェーハを100℃で60秒間ソフトベークし、スピンコーター上、n−ブチルアセテートで濯いだ。結果として得られるパターンをSEMによって観察し、パターンの中間高さで平均コンタクトホール直径(CD
f)を測定した。パターン処理組成物の平均縮小量ΔCD(=CD
i−CD
f)を計算した。結果を表3に示す。試験された範囲にわたる各線量での縮小量(ΔCD)は実質的に一定であり、PTC−3について低近接バイアスを示す。トップダウンSEMによる観察に基づくと、スカミングは観察されなかった。
【0096】
【表3】