特許第6373958号(P6373958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373958
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】溶融材料の遠心鋳造のための技術の改良
(51)【国際特許分類】
   B22D 13/06 20060101AFI20180806BHJP
   B22D 27/04 20060101ALI20180806BHJP
   B22C 9/02 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B22D13/06 E
   B22D13/06 A
   B22D27/04 F
   B22C9/02 101Z
【請求項の数】9
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-500577(P2016-500577)
(86)(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公表番号】特表2016-514056(P2016-514056A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】US2014020127
(87)【国際公開番号】WO2014164041
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年3月3日
(31)【優先権主張番号】13/792,929
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/169,665
(32)【優先日】2014年1月31日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501187033
【氏名又は名称】エイティーアイ・プロパティーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ,ジョン・ダブリュー,ザ・フォース
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス−エアーズ,ラウル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】フォスディック,アーロン・エル
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−056462(JP,A)
【文献】 特開昭61−238458(JP,A)
【文献】 特開平02−117760(JP,A)
【文献】 実開昭58−023246(JP,U)
【文献】 特開平07−075851(JP,A)
【文献】 特開平08−206807(JP,A)
【文献】 特開2003−010957(JP,A)
【文献】 特開昭49−096923(JP,A)
【文献】 特開2003−254076(JP,A)
【文献】 特開2003−326354(JP,A)
【文献】 特開平10−099955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 13/00−13/12,27/04,
B22C 9/00−9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンアルミナイド系合金を鋳造するための遠心鋳造装置を組み立てる方法であって、
回転可能な軸上に楔を配置するステップと、
前記楔と係合するように少なくとも2つの鋳型を配置するステップであって、前記少なくとも2つの鋳型の各々が、前面を備え、前記前面から前記鋳型内に延在する空洞を画定する、ステップと、
溶融材料を受容するように構成された湯口チャンバ(14)を用意するステップであって、前記湯口チャンバ(14)の少なくとも一部分が、前記少なくとも2つの鋳型の各々の前記前面の少なくとも一部分によって画定され、それぞれの空洞が後壁と側壁とを備え、それぞれの空洞に対して、空洞の後壁に配置された溶融金属材料からの熱抽出の速度が空洞の側壁に配置された前記溶融金属材料からの熱抽出の速度よりも高く、それによって空洞内に受容された溶融金属材料の方向性凝固を促進する、ステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記楔が、前記湯口チャンバの第1の端部に配置され、前記方法が、前記湯口チャンバの第2の端部に格納リングを配置するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記格納リングを配置するステップが、前記湯口チャンバとともに前記格納リングの内部突出部を形成することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記格納リングを配置するステップが、前記湯口チャンバとともに前記格納リングの外部突出部を形成することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記湯口チャンバに隣接するるつぼを配置するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの鋳型および前記回転可能な軸に隣接する前記湯口チャンバの領域を画定する第1および第2の湯口部分を配置し、それによって前記湯口チャンバを密閉するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つの鋳型の各空洞が、断熱されて、前記空洞内に受容された溶融金属材料の方向性凝固を促進する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
各空洞が、後壁および側壁を備え、各空洞内の溶融金属材料が、前記遠心鋳造装置が回転するにつれて、前記空洞の後壁から前記湯口チャンバに向かいかつ前記遠心力の一般的な方向に反する方向に、一方向に凝固する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの鋳型の各々が、前記空洞に隣接する複数のポケットを備え、それによって前記空洞内に受容された溶融金属材料からの熱抽出の速度を変更する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年3月11日に出願された米国特許出願第13/792,929号に対する優先権を主張し、かつ2014年1月31日に出願された米国特許出願第14/169,665号に対する優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
背景技術
【0002】
本開示は、概して、遠心鋳造のための装置および技術に関する。本開示は、より具体的には、金属材料の遠心鋳造のための装置および技術に関する。
【背景技術】
【0003】
金属鋳造は、一般的に、静的または回転している鋳型に大量の溶融金属材料を供給することと、鋳型によって成形される鋳物を製造するために材料を冷却させることとを含む。鋳物は、ニアネット形態で鋳造されるか、または、最終構成部品を製造するために、後続の鍛造または機械加工の適用でさらに修正され得る。金属材料は、液体から固体への相転移中に収縮し、これは、例えば、チタンアルミナイド(TiAl)系合金および他のTiAl材料等の金属材料を鋳造することが特に困難である、制御されない収縮孔を含む鋳物をもたらす場合がある。収縮孔は、基本的な凝固力学に固有であり、微細構造ならびに鋳物の歩留まりに負の影響を与える可能性がある。一般に、最小化された内在化気泡は、熱間等方圧(HIP)等の加工技術によって対処することができる。しかしながら、制御されない内部気泡は、鋳物の表面品質に影響を与える表面の歪みをもたらし、製造コストを増加させる可能性がある。鋳物が鋳造構成部品から分割または分離される場合、制御されない内部気泡が露出する可能性もある。気泡が表面接続される場合、現在の加工技術は、多くの鋳造の適用に適さない可能性がある。例えば、気泡を満たす、または囲むように設計された表面処理技術は、鋳造材料の機械的特性に悪影響を与える可能性がある、鋳物の連続性を維持することができない可能性がある。外部気泡を除去するための機械加工等の材料除去技術は、鋳造歩留まりを低下させ、さらなる気泡を露出させる可能性もある。
【0004】
チタンアルミナイド系合金等の様々な金属材料を鋳造するための従来の鋳造技術は、気泡が鋳物の表面および後に分割され得るその鋳物の領域の両方から離れて内在化されるように、気泡を制御することができない。例えば、他は、一連の静的鋳造、真空アーク再溶解技術を用いたチタンアルミナイド部分の作製を記載している。これらの静的鋳造技術は、しかしながら、HIPを用いて除去することができない重要な気泡を作り出す。その他にも、遠心分離機が回転速度に達する前に、遠心分離機に溶融材料を供給することを必要とするチタンアルミナイド鋳物を作製するための遠心鋳造技術を記載している。しかしながら、各鋳造部品に個別の加熱方法および鋳型が必要であることによって明らかなように、冷却速度および凝固は、制御することが困難である。様々な他の遠心鋳造技術が報告されているが、いずれも十分に収縮孔を制御することができない。
【0005】
遠心鋳造技術を含む金属材料を鋳造するための従来の鋳造技術に関連する欠点を考慮すると、金属材料を鋳造するための改善された技術を開発することが有利であろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様によると、遠心鋳造装置の非限定的な実施形態は、回転軸を中心に回転するように構成された回転可能なアセンブリを備える。回転可能なアセンブリは、回転軸を中心に配置された湯口チャンバを備え、溶融材料の供給を受容するように構造化される。第1のゲートおよび第2のゲートは、遠心力の一般的な方向に湯口チャンバから溶融材料を受容するように配置される。第1の空洞および第2の空洞は、積み重ねられ、遠心力の一般的な方向に、それぞれ、第1のゲートおよび第2のゲートから溶融材料を受容するように配置される。
【0007】
本開示の別の態様によると、遠心鋳造鋳型の非限定的な実施形態は、溶融材料の供給を受容するように構成された前面と、背面と、第1の空洞と、第2の空洞とを備える。第1および第2の空洞は各々、前面から背面に延在し、鋳型の背面に隣接した側壁および後壁によって画定される。第1および第2の空洞は、積み重ねられ、遠心力の一般的な方向に溶融材料を受容するように構成される。鋳型は、溶融材料からの熱抽出の速度が、側壁の熱抽出の速度よりも後壁で高くなるように、第1および第2の空洞を差次的に断熱して、後壁から遠心力の一般的な方向に略向かう方向性凝固を促進するように構成される。
【0008】
本開示の別の態様によると、永久遠心鋳造鋳型の非限定的な実施形態は、溶融材料の供給を受容するように構成された前面と、背面と、前面から背面に向けて延在する第1の空洞を備える。第1の空洞は、鋳型の背面に隣接した側壁および後壁によって画定される。鋳型において定義される第1のゲートは、前面と第1の空洞との間に配置される。
【0009】
本開示の別の態様によると、金属材料の鋳物を製造する遠心鋳造方法は、複数のゲートおよび複数の空洞が遠心力の一般的な方向に湯口チャンバから溶融金属材料を受容するように配置されるように、湯口チャンバを中心に配置される複数のゲート、および複数の空洞を備える回転可能なアセンブリを配置することを含む。複数のゲートの各々は、複数の空洞のうちの1つに連結され、複数の空洞のうちの少なくとも2つが積み重ねられる。本方法は、回転可能なアセンブリを回転させることをさらに含む。本方法は、溶融金属材料の供給を湯口チャンバに送達することをさらに含む。
【0010】
本開示の別の態様によると、遠心鋳造装置を組み立てる方法は、回転軸上に楔を配置することを含む。本方法は、少なくとも2つの鋳型の各々が、前面を備え、表面から鋳型内に延在する少なくとも2つの空洞を画定する、少なくとも2つの鋳型を楔と封止係合内に配置することも含む。本方法は、湯口チャンバの少なくとも一部分が少なくとも2つの鋳型の前面の少なくとも一部分によって画定される、溶融材料を受容するように構造化された湯口チャンバを画定することをさらに含む。
【0011】
本開示の一態様によると、鋳型の実施形態は、遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するように構造化される。鋳型は、回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向に溶融材料を受容するように構造化された入口を有する少なくとも1つの空洞を含み得る。また、鋳型内のゲートは、空洞の入口と連通にあり、ゲートは、空洞の入口に隣接して配置された少なくとも1つの先細り部分を含む。
【0012】
本開示の一態様によると、鋳型の実施形態は、遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するように構造化される。鋳型は、回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向に溶融材料を受容するように構造化された入口を有する少なくとも1つの空洞を含み得る。また、鋳型は、空洞の入口と連通にある延長ゲートを含み得、空洞は、事前定義されたアスペクト比を有する複数の従属構成部品に細分することが可能な鋳造構成部品を製造するために構造化され得る。
【0013】
本開示の一態様によると、鋳型の実施形態は、遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するように構造化される。鋳型は、各々が回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向に溶融材料を受容するように構造化された入口を有する、少なくとも2つの空洞を含み得る。空洞は、空洞の両方の入口と連通にある共通ゲートを共有する。
【0014】
本開示の一態様によると、鋳型の実施形態は、遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するように構造化される。鋳型は、回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向に溶融材料を受容するように構造化された入口を有する少なくとも1つの空洞を含み得る。また、鋳型は、第1の材料を含む本体部分と、本体部分に取り付け可能なまたは取り外し可能な後壁部分とを含み得、後壁部分は、第2の材料を含む。第1および第2の材料は、異なる材料の種類であってよい。
【0015】
本開示の一態様によると、鋳型の実施形態は、遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するように構造化される。鋳型は、回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向にゲートから溶融材料を受容するように構造化された入口を有する少なくとも1つの空洞を含み得る。また、スロットは、空洞の入口に隣接して形成されてよく、スロットは、ゲートの側壁をその中に着脱可能に受容するように構造化される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に記載される装置および方法の機能ならびに利点は、添付の図面を参照することによりさらに良く理解することができる。
図1】従来の遠心鋳造アセンブリの回転アセンブリの半概略図である。
図2】本開示の様々な非限定的な実施形態による遠心鋳造装置の回転アセンブリのある特定の構成部品の簡略化された半概略図である。
図3】本開示の様々な非限定的な実施形態による遠心鋳造装置の回転アセンブリのある特定の構成部品の斜視図である。
図4】本開示の非限定的な一実施形態による、図3に図示される回転アセンブリのある特定の構成部品の斜視図として示される部分分解図である。
図5】本開示の非限定的な一実施形態による、図3に図示される回転アセンブリのある特定の構成部品の斜視図として示される部分分解図であり、図3において線5−5に沿って取られた、矢印の方向の断面のテーブル、楔、および格納リングを図示する。
図6】本開示の様々な非限定的な実施形態による遠心鋳造装置の回転アセンブリのある特定の構成部品の斜視図である。
図7】本開示の非限定的な一実施形態による、図6の線7−7に沿って取られた、矢印の方向の断面であり、図6に図示される回転アセンブリのある特定の構成部品を図示する。
図8】本開示の非限定的な一実施形態による鋳型の正面図である。
図9】本開示の様々な非限定的な実施形態による遠心鋳造装置の回転アセンブリのある特定の構成部品の斜視図である。
図10】本開示の非限定的な一実施形態による鋳型の断面の斜視図である。
図11】本開示の様々な非限定的な実施形態による鋳型の斜視図である。
図12】本開示の非限定的な一実施形態による、図11に図示される鋳型の第1の空洞を通した断面の斜視図である。
図13】本開示の非限定的な一実施形態による、図11に図示される鋳型の第2の空洞を通した断面の斜視図である。
図14】本開示の非限定的な一実施形態による、図11に図示される鋳型の第3の空洞を通した断面の斜視図である。
図15】本開示の非限定的な一実施形態による、図11に図示される鋳型の第4の空洞を通した断面の斜視図である。
図16】本開示の様々な実施形態により構造化された先細り部分を含むゲートの一部分の斜視図を図示する。
図16A】本開示の様々な実施形態により構造化された先細り部分を含むゲートの平面図を概略的に図示する。
図17】本開示の様々な実施形態による延長ゲートと共に構造化された鋳型の一部分の斜視図を含む。
図18】本開示の様々な実施形態による延長ゲートと共に構造化された鋳型の一部分の斜視図を含む(図示の目的のため、一部は中実であり、一部は透明である)。
図19】本開示の様々な実施形態による共通ゲートと共に構造化された鋳型の一部分の斜視図を含む。
図20】本開示の様々な実施形態により構造化された回転可能なアセンブリを含む遠心鋳造装置の斜視図を含む。
図21図20の鋳型の上面図を含む。
図22】本開示の様々な実施形態により構造化された鋳型の一部分の斜視図を含む。
【0017】
読者は、本開示による装置および方法のある特定の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することにより、前述の詳細ならびにその他を理解するだろう。読者はまた、本明細書に記載される装置および方法を実行または使用することにより、そのような追加の詳細を把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
金属材料は、一般的に、1つ以上の金属元素を含み得、場合によっては、1つ以上の非金属元素も含む。収縮孔は、鋳造される場合、多くのそのような金属材料の基本的な凝固力学に固有であり、これは、鋳物の機械特性に負の影響を与える可能性がある。様々な金属材料、例えば、チタンアルミナイド系合金の現在の静的および遠心鋳造技術は、鋳物の表面および鋳物が後に分割され得る領域の両方の気泡を制御することができない。
【0019】
様々な非限定的な実施形態では、本開示は、収縮孔を制御するように構造化された回転可能なアセンブリと、その構成部品とを備える遠心鋳造装置を説明する。例えば、遠心力は、溶融金属材料等の溶融材料を鋳造孔内に供給するために使用され、それによって、凝固材料における溶融材料の枯渇を最小限にすることができる。制御された収縮孔は、一般的に、後の加工において除去され得るように、鋳物内の収縮孔の量および/または位置を制御することを含み得る。例えば、制御された収縮孔は、内在化される、例えば、非表面接続および/または最小化される収縮孔を含み得る。いくつかの非限定的な実施形態では、収縮孔は、鋳物が内在化気泡を大気に露出することなく鋳造構成部品または材料から分割および/または除去され得るように、鋳物の特定の領域から離れて内在化され得る。
【0020】
ある特定の非限定的な実施形態によると、開示される遠心鋳造装置および方法は、後の様々な鋳物の加工を合理化し、焼き流し鋳造に使用されるもの等の標準的な製造経路を排除することができる。60以上の鋳型構成部品の組み立てを必要とすることが多い従来の遠心鋳造装置とは対照的に、本明細書に開示される遠心鋳造装置のある特定の非限定的な実施形態は、大幅にセットアップ時間を削減する、典型的な数より少ない主要部品から組み立てることができる回転可能なアセンブリを含む。様々な非限定的な実施形態では、鋳造は、例えば、HIPによって熱処理および/または加工され得る。ある特定の非限定的な実施形態によると、開示される遠心鋳造装置および方法によって製造される鋳物は、例えば、ジェットエンジン、ターボチャージャー、または他の高温構成部品用の最終構成部品を製造するために、鍛造または機械加工用途における後の使用に好適であってよい。
【0021】
本開示による装置および方法は、金属材料を鋳造するのに使用することができる。本明細書で使用される、金属材料は、金属および金属合金を含み得る。金属材料は、例えば、TiAl材料を含み、これは、例えば、TiAl系合金を含む。TiAl系合金は、チタンおよびアルミニウムに加えて、1つ以上の合金化元素を含み得る。ある特定の非限定的な実施形態では、本装置および方法は、チタン、および約25.0〜52.1原子パーセントのアルミニウム、または約14〜36重量パーセントのアルミニウムを含むTiAl材料を鋳造するために使用され得る。開示される遠心鋳造装置および方法は、上記に限定されることなく、他の割合のアルミニウムおよび他の合金化元素を含むTiAl材料の鋳物を製造するために使用され得る。様々な非限定的な実施形態および有益な機能は、TiAl系合金および他のTiAl材料の観点から本明細書に記載され得るが、開示される装置および方法は、これに限定されないことも理解するべきである。当業者は、開示される装置および方法が、例えば、および限定されることなく、収縮孔に悩まされる、またはTiAl材料と同様の他の特性もしくは特徴を有する金属材料等のTiAl材料を超えた広い用途を見出すことができることを認識するだろう。ある特定の非限定的な実施形態は、TiAl材料に適用される場合、従来の鋳造技術に対して大きな利点を提供し得るが、本明細書に開示される装置および方法が、従来の鋳造技術に対する利益または利点に限定されることなく、他の金属材料を鋳造するために使用され得ることを理解するべきである。
【0022】
本開示の様々な非限定的な実施形態に適用される、本明細書に記載される遠心鋳造装置、回転可能なアセンブリ、鋳型、および/またはそれらの構成部品は、様々な金属材料、金属材料の組み合わせ、セラミック材料、および/または金属とセラミック材料の組み合わせから構成され得る。本開示の様々な実施形態は、構成部品または製品の他の多くの種類の中でも、例えば、および限定することなく、ガスタービン構成部品、ターボチャージャー構成部品、および/または内燃機関エンジン構成部品の製造に有用であり得ることが理解され得る。
【0023】
TiAl材料は、従来、静的焼き流し鋳造技術を用いて鋳造されてきた。より最近では、遠心焼き流し鋳造を含む様々な遠心鋳造技術は、TiAl材料を鋳造するために提案されてきた。しかしながら、上記の技術は、空隙が最終鋳造部品内の有害な場所に形成され、したがって、製造コストを増加させる、機械的特性を制限する、および/または最終鋳造部品の構造的特徴を損なう可能性がある。これらの技術はまた、空洞および空洞毎の鋳物の数の両方においても制限される。図1は、従来の遠心鋳造装置2の半概略図を示す。装置2は、一般的に、材料供給源「S」から、装置2が稼働中に回転する回転軸「R」付近に配置される湯口チャンバ4に溶融材料を供給することを必要とする。装置2は、ランナーシステム6を通ってそれぞれの鋳型空洞10の入口に配置される一連のゲート8に溶融材料(斜線で示される)を送ることを必要とする間接的ゲートを採用する。間接的ゲートは、図1に示される垂直等の、遠心力「F」の方向に整合される以外の方向に、または例えば、米国特許出願公開第2012/0207611 A1号に記載される遠心力とは反対の方向に溶融材料を空洞に供給する。このように、溶融材料は、鋳造空洞10の入口に達する前に同様に移動されなければならない追加の垂直ゲート構成部品8に達するために様々なランナー6に沿って増加する半径方向距離を移動しなければならない。様々なランナー6、および多くの場合垂直ゲート構成部品8は、鋳造部分と一直線に並んでいない。よって、溶融材料は、遠心力に反して鋳造空洞10に入らなければならない。鋳造空洞10の断面は、様々なランナー6、ゲート8、および入口よりも大きい。したがって、ランナー損失による歩留まりの減少に加えて、装置2は、収縮孔を適切に制御することができず、早期凝固、鋳型充填の不良、および溶融材料枯渇の影響を受けやすい。
【0024】
直接ゲートは、溶融材料が一般的に遠心力の方向に空洞に供給される点で間接的ゲートとは異なる。直接ゲートは、間接的ゲートが鋳型における乱れを低減することができるため、従来の遠心鋳造装置に使用されない。
【0025】
図2を参照すると、本開示による遠心鋳造装置の非限定的な一実施形態のある特定の構成部品の簡略化された半概略図を図示し、遠心鋳造装置の回転アセンブリ12は、歩留まり損失を低減し、緻密な鋳物を製造するために収縮孔を制御するために遠心力を使用する直接ゲートシステムを用いて構成され得る。例えば、様々な非限定的な実施形態では、溶融材料源「M」は、回転可能なアセンブリ12に関して、回転軸「R」の上またはそれに隣接して配置される湯口チャンバ14に溶融材料(一般的に斜線として示される)を供給し得る。各々が積み重ねられた鋳型空洞18a〜18fに結合された一連のゲート16a〜16fは、一般的に遠心力「F」の方向の空洞18a〜18fに溶融材料を送達するために湯口チャンバ14に結合され得る。稼働中、例えば、真空アーク再溶解(VAR)溶融炉(一般的に溶融材料供給として示される)は、湯口チャンバ14上に配置された漏斗を通して、るつぼから注入され得る溶融材料の過熱溶融物を生成するために使用され得る。過熱溶融材料は、湯口チャンバ14に入り、空洞18a〜18fが充填されるまで、隣接するゲート16a〜16fを通して空洞18a〜18fの充填を開始することができる。様々な非限定的な実施形態によると、積み重ねられた空洞18a〜18fに結合されるゲート16a〜16fは、鋳型充填の少なくとも1期間の間、液体溶融材料に浸される。例えば、湯口チャンバ14は、全てのゲート16a〜16fが完全に浸漬されるように過熱溶融材料で充填され得る。様々な非限定的な実施形態では、1つ以上の空洞18a〜18fは、複数の最終部品を形成するように寸法決定される。例えば、ゲート16a〜16fは、複数の最終部品を含む鋳物を製造するように寸法決定された空洞18a〜18fに結合され得る。ある特定の非限定的な実施形態では、鋳造部品は、鋳造空洞18a〜18fに沿って整合され、それによって、ゲート毎に製造され得る鋳物の数を増加させることができる。
【0026】
従来の遠心鋳造ゲート設計は、多くの場合、明確な隘路を含む、制限された経路を通って空洞に溶融材料を供給する。例えば、図1に示される装置2のゲート8の直径または断面積は、各ゲート8に取り付けられたそれぞれの鋳造空洞10の直径または断面積よりも大きい。対照的に、図2に示されるように、開示される遠心鋳造装置12の様々な非限定的な実施形態は、空洞18a〜18fまたは鋳物のものよりも大きい直径または断面積を有するゲート16a〜16fを含み得る。例えば、いくつかの非限定的な実施形態では、ゲート16a〜16fの長さの体積は、空洞18a〜18fの等価の長さの体積よりも大きい。例えば、空洞18a〜18fに隣接するゲート16a〜16fの長さは、同等の長さを有する隣接する空洞18a〜18fの領域よりも大きな体積を備え得る。
【0027】
TiAl材料に関する既知の遠心鋳造技術は、図1に示される最終鋳造部品を製造するために単一ゲート8を空洞10に接続する。したがって、多くの部品を製造するために、湯口チャンバ4の直径は、比較的大きくなくてはならず、薄い溶融層として溶融材料が湯口チャンバ4から空洞10のかなりの距離を移動する必要がある。溶融材料が薄層として移動する場合、材料は過熱を失う可能性があり、早期凝固、鋳型充填の不良、および不十分な表面仕上げを有する鋳物となる。対照的に、図2に示される、回転可能なアセンブリ12は、遠心力「F」の一般的な方向を向いた積み重ねられた複数の空洞18a〜18fに溶融材料を供給するための直接ゲートを採用することができる。積み重ねられた空洞18a〜18fは、注入毎に製造され得る鋳物の数を増加させ、同時に溶融材料が鋳型空洞18a〜18fに達するために移動しなければならない距離も減少させる。例えば、同じ数のゲートを有する従来の遠心鋳造装置と比較して、回転可能なアセンブリ12は、減少した直径を有する湯口チャンバ14を備えることができる。有利なことには、ゲート16a〜16f毎の溶融材料の体積を減少させることができ、減少した直径の湯口チャンバ14内の溶融材料の体積の近接は、過熱維持を助長することができる。これは、湯口チャンバ14内の溶融材料の供給を妨げる可能性がある湯回り不良または早期凝固が凝固鋳物に達するのを防止するために溶融材料の流動性を保持することができる。したがって、ランナー歩留まり損失を低減することができ、製品の歩留まりを増加することができ、表面仕上げを向上させることができる。
【0028】
様々な非限定的な実施形態では、回転可能なアセンブリ12は、収縮孔が材料に内在化され得るように、収縮孔の量および位置を制御することができる鋳型設計を有する。内在化気泡は、後に、後の熱機械加工を通して除去することができる。ある特定の非限定的な実施形態では、鋳型は、黒鉛等の半金属材料を含む鉄および鉄合金、例えば、スチール等の金属材料を含む材料から製作することができる。非限定的な一実施形態によると、そのような材料から製作された鋳型は、永久鋳型、例えば、一般的に再利用可能な鋳造鋳型を含み得る。様々な非限定的な実施形態では、上記の材料から製作された鋳型はまた、閉じ込められた酸化物による鋳造製品の汚染を低減または排除することもできる。例えば、焼き流し鋳造に使用される鋳型は、典型的には、酸化物から作られる。しかしながら、鋳造中、鋳型を構成する酸化物粒子は常に焼き流し鋳造製品の中に閉じ込められる。閉じ込められた粒子は、その後、鋳造製品の材料と反応し、潜在的な疲労開始部位をもたらす可能性がある。焼き流し鋳造鋳型は、溶融TiAlまたは鋳造される特定の合金に対して不活性であるように操作され得、様々な化学的および機械加工方法が、閉じ込められた粒子を部分的に除去するために利用され得る。それにもかかわらず、粒子の閉じ込めは不可避であり、上記の暫定措置は、特に、タービン等の高温、高応力環境における使用に意図された最終製品を製作するために使用される鋳物には理想的ではない。閉じ込められた酸化物による最終製品の汚染を低減または排除することに加えて、金属材料を含む鋳型は、スクラップ中に閉じ込められた酸化物により再利用ループの汚染の危険性を低減または排除することができる。例えば、上述のように、焼き流し鋳造は、多くの場合、閉じ込められた酸化物を含み、したがって、例えば、焼き流し鋳造から戻るスクラップは、同様に閉じ込められた酸化物を含み得る。したがって、この再利用スクラップを用いた製品鋳物も閉じ込められた酸化物で汚染され得る。しかしながら、上記の金属材料から製作された鋳型で製造された鋳物からのスクラップは、そのような包含の可能性がなく、したがって、再利用ループの汚染に関連する危険性なく再利用することができる。したがって、再利用前のスクラップの大規模な清掃は、必要ではなく、それによって、時間を節約し、コストを削減することができる。上記の利点にもかかわらず、いくつかの実施形態は、他の材料を用いて製作された鋳型を含み得ることも想定される。例えば、様々な非限定的な実施形態では、鋳型は、消耗遠心鋳造鋳型を含み得る。そのような鋳型は、例えば、砂又は酸化物等の消耗材料から製作することができる。
【0029】
ある特定の非限定的な実施形態では、鋳型は、溶融材料の領域の冷却速度を制御することによって凝固プロセスを制御するように構造化され得る。例えば、鋳型は、溶融材料からの熱エネルギー抽出の量および/または速度を制限するように構成される断熱機能を含み得る。断熱機能は、一般的に、鋳型に関連する構造的または材料機能を含み得、鋳型の領域の熱容量および/または溶融材料から鋳型への熱伝達速度を変更するように構成され得る。非限定的な一実施形態では、溶融材料からの熱伝達速度は、鋳型の形状によって少なくとも部分的に制御され得る。例えば、鋳型の1つ以上の領域の厚さは、領域の熱容量を増加または減少させるために増加または減少され得る。非限定的な一実施形態では、鋳型によって抽出され得る熱エネルギーの速度および/または量は、鋳型の領域の密度または質量によって制御され得る。例えば、様々な非限定的な実施形態では、1つ以上のポケット(例えば、図9の332a、338aを参照)は、溶融材料からの熱伝達の速度を低下させるために、空洞18a〜18fに隣接した鋳型の壁または面において画定され得る。様々な非限定的な実施形態では、ポケットは、ポケットに配置されたガスまたは材料を密閉、解放、排出、または含むことができる。
【0030】
様々な非限定的な実施形態は、鋳型は、溶融材料からの熱抽出を制御し、したがって、材料の冷却を制御するように構造化され得る。例えば、上記に紹介される、ある特定の非限定的な実施形態では、鋳型は、空洞18a〜18fの1つ以上の部分を差次的に断熱するように構成された断熱機能を備えることができる。差次的断熱機能は、有利に、例えば、溶融材料の凝固を制御するために、鋳型の1つ以上の領域に沿って冷却速度を変更することができる。例えば、空洞18a〜18fに隣接する鋳型領域は、溶融材料が方向性凝固を受けるように構成され得る。一態様では、鋳型は、凝固に方向性がある、例えば、一般的に湯口チャンバ14に向かって、または遠心力とは反対の方向であるように、冷却を変更するように構成され得る。このように、鋳型は、ゲート16a〜16fおよび湯口チャンバ14に向かって一般的に進む空洞18a〜18f内の凝固前面を確立することができる。よって、装置12の回転によって生成される遠心力は、一般的に、凝固方向とは反対であり得る。例えば、ある特定の非限定的な実施形態では、溶融材料は、収縮孔を相殺するために、凝固前面に供給され得る。加えて、遠心力によって生成される鋳造圧力は、凝固前面付近に形成される樹状突起間に溶融金属を送って、例えば、溶融材料の枯渇を減少させ、収縮孔を最小にすることができる。したがって、様々な非限定的な実施形態では、開示される装置および方法は、従来の静的および遠心鋳造技術によって製造された鋳物と比較して、減少した収縮孔を有する緻密な鋳物を製造するために溶融材料の枯渇を回避し、樹状突起の排除を克服することができる。
【0031】
様々な非限定的な実施形態では、溶融金属材料の供給の空洞18a〜18fへの送達は、空洞および遠心力に沿っている。例えば、非限定的な一実施形態では、空洞18a〜18fは、湯口チャンバ14と空洞18a〜18fとの間に配置されるゲート16a〜16fを介して湯口チャンバ14に結合される。ゲート16a〜16fの様々な寸法は、空洞18a〜18fの対応する寸法よりも大きくてよい。ゲート16a〜16fは、溶融材料が遠心力によって空洞18a〜18fに向かって、およびその中へと加速され得るように、空洞18a〜18f、および例えば、一般的に遠心力に沿った通路を備える湯口チャンバ14内の溶融金属材料の供給の両方にさらに直線状に並び得る。結果として、湯口チャンバ14は、それに取り付けられる全てのゲート16a〜16fの中央押し湯として機能することができる。様々な非限定的な実施形態では、これは、空洞と直線状に並んでいても、いなくてもよい追加の押し湯の必要性を排除することができる。したがって、機器設計、溶融材料の体積、および利用可能な鋳造領域の間のそのような相乗効果は、有利に、追加の鋳物のための追加の空間を提供することができる。例えば、上述のように、複数の部品は、単一の鋳造空洞18a〜18f内で鋳造され得る。
【0032】
図3〜5は、様々な非限定的な実施形態による回転可能なアセンブリ20を備える遠心鋳造装置を図示する。回転可能なアセンブリ20は、回転可能なテーブル26上に配置された第1の鋳型22と、第2の鋳型24とを備える。湯口チャンバ28は、第1および第2の湯口部分30a、30b、ならびに第1および第2の鋳型22、24のそれぞれの前面32a、32bによって画定される。湯口チャンバ28の第1の端部36は、回転軸を中心とするテーブル26上に配置される。湯口チャンバ28の第2の端部38は、例えば、湯口チャンバ28上に配置されたるつぼから溶融金属材料の供給を受容するように構成される。第1および第2の湯口部分30a、30bは、湯口チャンバ28を密封するために第1および第2の鋳型22、24ならびにテーブル26との封止係合のために構成される。図示される湯口チャンバ28は略円筒形の断面を有するように示されるが、様々な非限定的な実施形態では、湯口チャンバ28は、三角形、四角形、矩形、八角形、もしくは他の断面等の不規則または規則的な寸法を含み得る。様々な非限定的な実施形態では、溶融材料は、重力、圧力、真空、またはこれらの組み合わせを介して湯口チャンバ28に供給され得る。例えば、非限定的な一実施形態によると、遠心鋳造装置20は、湯口チャンバ28内に注入され得る溶融金属材料の供給をもたらすために真空アーク再溶解装置(図示せず)を備えることができる。
【0033】
格納リング40は、湯口チャンバ28の第1の端部36に隣接して配置され、湯口チャンバ28内に溶融材料を維持するように構造化される。例えば、非限定的な一実施形態では、格納リング40は、湯口チャンバ28への延長部を備え、それによって、湯口チャンバ28の体積および/または溶融材料が湯口チャンバ28の上端部を退出するために移動しなければならない距離を増加させる。格納リング40は、溶融材料が湯口チャンバ28に供給され得る中心直径を画定する。格納リング40の中心直径は、格納リング28が溶融材料の格納を改善するために湯口チャンバ28内に内部突出部42を形成するように、湯口チャンバ40の直径に対して減少する。例えば、様々な非限定的な実施形態では、格納リング40は、注入および/または回転中に湯口チャンバ28の外に飛び散るまたは流れ出すことから溶融材料を制限することができる。格納リング40は、湯口部分30a、30bに対して外部突出部44を備える外径をさらに画定する。図示される非限定的な実施形態では、格納リング40の上面46は、湯口チャンバ28を超えて回転軸に対して外方向に延在し、それによって、稼働中に湯口チャンバ28の外に飛び散る可能性があるその上面46の周りの溶融材料を受け止める。
【0034】
様々な非限定的な実施形態によると、湯口の第2の端部38は、図3の線5−5に沿って取られた、矢印の方向の断面のテーブル26、楔48、および格納リング40を示す回転アセンブリ20の部分分解図を提供する図4において最も明確に示される楔48を介してテーブル26に結合される。楔48は、湯口チャンバ28の基部47を形成し、回転可能なアセンブリ20の回転軸に固定され得る。図示される楔48は、テーブル26において画定される楔取付部50を通してテーブル26を介して回転軸に固定されている。楔48は、湯口部分30a、30bおよび/または鋳型22、24と封止係合するように構成される1つ以上の取付部をさらに備え得る。例えば、様々な非限定的な実施形態では、楔48は、回転可能なアセンブリ20の構成部品との封止係合のためにフランジ取付部50を備える。楔48は、それぞれ、第1および第2の鋳型22、24において画定されるスロット54a、54bと係合するために構成された2つの切欠部52a、52bを画定する。ある特定の非限定的な実施形態では、楔48は、機械的劣化の影響を受けやすい可能性があり、したがって、必要に応じて交換可能であってよい、別個の、例えば、モジュール構成部品を備え得る。同様に、ある特定の非限定的な実施形態では、楔48は、本明細書に開示される様々な非限定的な実施形態により使用するための遠心鋳造装置を修正または改造するために楔48が使用され得るように、様々な取付設計を有することができる。
【0035】
第1および第2の鋳型22、24は各々、第1および第2の湯口部分30a、30bに結合され、回転軸から略半径方向に延在する。各鋳型22、24は、前面32a、32bと、端面56a、56bと、を備える。前面32a、32bは、湯口チャンバ28に沿って配置され、ゲート60a、60bへの入口を画定する。図5に示される、第1および第2の鋳型22、24は各々、鋳型22、24において画定されるボルトスロット70からの一連のボルト68を取り外すことにより、または他の既知の取り付けおよび取り外し方法により分離することができる、それぞれ、第1および第2のモジュール部分64a、b、66a、bを備える。各鋳型22、24は、6つの積み重ねられた空洞72a、72bをさらに含む。各空洞72a、72bは、側壁76a、76bおよび後壁80a、80bによって画定される。各空洞72a、72bへの入口は、空洞72a、72bと湯口チャンバ28との間に配置されるゲート58a、58bを通して湯口チャンバ28と流体連通にある材料供給口84a、84bを備える。様々な非限定的な実施形態によると、第1および第2の鋳型22、24は、積み重ねられた空洞72a、72bと、それぞれ結合されたゲート60a、60bの両方を画定するように図示されるが、ゲート60a、60bは、空洞72a、72bに関して独立した構造であってよい。例えば、ゲート60a、60bは、空洞72a、72bと係合可能である、および/または湯口もしくはその部分30a、30bを通して挿入可能であるか、またはそれと一体であってよい。
【0036】
様々な非限定的な実施形態によると、ゲート60a、60bは、空洞72a、72bの直径および平均断面積よりも大きい直径および平均断面積を有する。例えば、材料供給口84a、84bに隣接する各ゲート60a、60bの直径および断面積は、隣接する材料供給口84a、84bの直径および断面積よりも大きい。様々な非限定的な実施形態では、ゲート60a、60bの体積は、ゲート60a、60bに隣接する等しい長さの空洞72a、72bの体積よりも大きい。6つの積み重ねられた空洞72a、72bが示されるが、特に明示的に記載されない限り、本開示は、積み重ねられた空洞、または各鋳型に関連する任意の特定の数の空洞に限定されないことを理解するべきである。例えば、様々な非限定的な実施形態では、鋳型は、単一の空洞のみを画定し得る。同様に、図3〜5において、2つの鋳型22、24のみが示されているが、本開示および本明細書に開示される実施形態は、図示される鋳型の数により制限されないことを理解するべきである。実際、様々な場合では、回転可能なアセンブリは、鋳型の数および設計が必要に応じて変更され得るモジュール設計を有する。例えば、より少ない鋳物が望ましい場合、ある特定の鋳型は用途に適合するように取り外すことができる。
【0037】
ある特定の非限定的な実施形態では、第1および第2の鋳型22、24は、溶融金属材料からの熱抽出を制御し、したがって、材料の冷却を制御するように構造化され得る。例えば、第1および第2の鋳型22、24は、回転軸に向かって材料の方向性凝固を生成するように構成される様々な断熱機能を備えることができる。後壁80a、80bの厚さは、側壁76a、76bの厚さよりも厚くてよい。よって、溶融材料から鋳型22、24への熱伝達は、各空洞72a、72bを画定する壁76a、76b、80a、80bの熱容量によって制御され得る。例えば、鋳型22、24の差次的な断熱機能は、側壁76a、76bまたはその領域の熱伝達と比較して、後壁80a、80bの増加した熱伝達を含み得る。したがって、後壁80a、80bに隣接する材料は、ゲート60a、60bに隣接して配置された材料の前に凝固し始めることができる。このように、凝固前面は、一般的に、積み重ねられた空洞72a、72bの各々内で、後壁80a、80bからゲート60a、60bおよび湯口チャンバ28に向かって進み得る。凝固前面を確立することに加えて、様々な非限定的な実施形態では、回転軸を中心とする鋳型22、24の回転により生成される遠心鋳造力は、一般的に、凝固の方向とは反対であり、それによって、従来の静止および遠心鋳造技術によって製造された鋳物において制御されない気泡をもたらす可能性がある溶融材料の枯渇および樹状突起を防止する。例えば、凝固前面の前に位置する湯口チャンバ28、ゲート60a、60b、および空洞72a、72bの一部分は、制御された収縮孔を有する緻密な鋳物を製造するために、溶融材料を凝固前面に強制的に供給するリザーバとして機能することができる。
【0038】
ある特定の非限定的な実施形態では、第1および第2の鋳型22、24は、材料の冷却速度を有害に減少せずに溶融金属材料から鋳型への熱伝達を制御するように構造化される。例えば、第1および第2の鋳型22、24は、増加した凝固速度も提供しながら、凝固プロセスに対して様々なレベルの制御を提供するように構造化され得る。当業者が理解するように、増加した冷却速度は、有利に粒径を減少させることができ、それによって、室温での鋳物の機械的特性に利益をもたらす。しかしながら、従来の設計におけるそのような増加した冷却速度は、制御するのが困難であり、制御されない収縮孔をもたらす。対照的に、様々な非限定的な実施形態では、第1および第2の鋳型22、24は、永久鋳型である、および/または鋳型材料に関連し得る高い熱伝導率による増加した凝固速度を提供し、それによって、粒径の減少を助長するために、金属材料を含む材料から製造される。例えば、非限定的な一実施形態では、第1および第2の鋳型22、24は、永久的なスチール鋳型を含む。第1および第2の鋳型22、24は、例えば、遅い冷却速度による粒径を犠牲にすることなく、上述のように、方向性凝固を促進するように構造化され得る。つまり、鋳型22、24の特定の部分は、鋳型22、24の他の部分に対して差次的に断熱され得るが、全体的な冷却速度は比較的速くてよい。例えば、第1および第2の鋳型は、厳密に画定される、例えば、後壁80a、80bから湯口チャンバ28に向かって迅速に進む凝固前面の形成を促進するように最適化される、差次的冷却速度を助長するように構成され得る。
【0039】
図3〜5には示されないが、様々な非限定的な実施形態では、鋳型壁76a、76b、80a、80bは、ポケットまたは他の断熱機能等の、複数の断熱機能を備えることができる。例えば、鋳型壁76a、76b、80a、80bは、溶融材料からの熱伝達を調節するために、様々な熱容量および密度を有する複数の材料を含み得る。例えば、ポケットまたは空隙は、空洞に隣接した壁において画定され得る。減少された質量は、壁が溶融材料からの熱を抽出する能力を制限することができる。したがって、様々な非限定的な実施形態では、ポケットを画定する壁は、熱容量を制限し、それによって、熱飽和が減少する前に、壁が吸収することができる熱エネルギーの量を制限することができる。したがって、そのような壁は、溶融金属材料からの伝達を制御するために空洞を断熱することができる。様々な非限定的な実施形態では、空洞72a、72bは、第1および第2の側壁部分を備える後壁80a、80bおよび側壁76a、76bによって画定され得る。いくつかの場合では、第1および第2の側壁部分は、同じ厚さを含み得るが、他の場合では、第1および第2の側壁部分の厚さは、異なってよい。例えば、第1の側壁部分が2つの空洞間に配置される場合、第1の側壁部分は、単一の空洞にのみ隣接する第2の側壁部分よりも厚くてよい。同様に、図3〜5に示されるように、様々な非限定的な実施形態では、鋳型22、24は、鋳型22、24およびテーブル26の接触表面を有する境界層によってテーブル26から断熱され得る。
【0040】
図6は、本開示の様々な非限定的な実施形態による回転可能なアセンブリ100を備える遠心鋳造装置の非限定的な実施形態のある特定の構成部品を図示する。回転可能なアセンブリ100は、8つの鋳型102a〜102hを備え、各々、回転可能なテーブル104上に配置される。鋳型102a〜102hは、回転軸を中心に配置された略八角形の湯口チャンバ106を画定し、背面108a〜108hを画定するように、略外方向に放射状に広がる。図7は、図6の線7−7に沿って取られた、矢印の方向の回転可能なアセンブリ100の断面を図示し、それぞれ、鋳型102aおよび102eによって画定される6つの積み重ねられた空洞110aおよび110eの垂直断面を示す。鋳型102a〜102hは各々、湯口チャンバ106を画定するために回転軸を中心に封止係合するために構成された前面(前面112a、112c〜112eのみが見える)を備える。湯口チャンバ106は、テーブル104から、湯口チャンバ106内の溶融材料を維持するように構造化された隆起した格納リング114に延在する。
【0041】
湯口チャンバは、それぞれのゲート118a、118eを介して積み重ねられた空洞110a、110eの各々の材料供給口116a、116eで、積み重ねられた空洞110a、110eと流体連通にある。積み重ねられた空洞110a、110eは各々、側壁120a、120e、および後壁122a、122eによって画定される。簡潔に、回転可能なアセンブリ100の様々な機能は、鋳型102aおよび102eに関して説明され得る。しかしながら、様々な実施形態では、説明は、1つ以上の追加の鋳型102b〜102c、102f〜102hに同様に適用されることを理解するべきである。例えば、鋳型102cおよび102dの6つの積み重ねられた空洞110c、110dも、ゲート118c、118dを介して材料供給口116c、116dで、湯口チャンバ106と流体連通にあってよい。ゲート118a、118eは、ゲート118a、118eのそれぞれに結合されたそれぞれの積み重ねられた空洞110a、110eの直径および平均断面積よりも大きい直径および平均断面積を有する。例えば、材料供給口116a、116eに隣接するゲート118a、118eの直径および断面積は、材料供給口116a、116eまたは空洞110c、110dの直径および断面積よりも大きい。様々な非限定的な実施形態では、各ゲート118a、118eは、ゲート118a、118eに隣接する等しい長さの空洞110a、110eによって画定される体積よりも大きな体積を画定する。
【0042】
稼働中、遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリ100は、遠心鋳造による鋳物を製造するために回転可能なアセンブリ100の回転によって生成される遠心力を利用する。非限定的な一実施形態では、遠心鋳造装置は、水で冷却された銅製るつぼ等のるつぼに供給される金属材料の電極を消費するように構成された真空アーク再溶解装置(図示せず)を備える。例えば、回転可能なアセンブリ100は、電極が消費されると、るつぼ内の溶融金属材料が回転可能なアセンブリ100に供給され得るように真空環境内に配置され得る。回転可能なアセンブリ100は、一般的に、回転軸を中心に配置される湯口チャンバ106と、1つ以上の鋳型102a、102eにおいて画定される2つ以上の積み重ねられた鋳型空洞110a、110eとを備える。図6〜7には詳細に示されないが、積み重ねられた鋳型空洞110a、110eの各々は、1つ以上の部品を有する鋳物を形成するように構造化され得る。溶融金属材料が湯口チャンバ106に供給される場合、回転可能なアセンブリ100の回転によって生成される遠心力は、ゲート118a、118eを通して、および鋳造空洞110a、110e内に溶融金属材料を加速させる。様々な非限定的な実施形態では、鋳型102a、102eは、100および150の毎分回転数(RPM)を含む速度で回転可能であってよい。より好ましくは、回転速度は、150RPMより高くてよい。一般的に、より速い回転速度は、改善された構造を有する鋳物を提供することができる。例えば、160RPMの回転速度と比較して、250RPMの回転速度は、鋳物部分の気泡を減少させることができる増加した遠心力を生成するであろう。様々な実施形態では、遠心力の相対的な増加は、方向性凝固の制御に関して、凝固速度の相対的な増加が粒径の減少および/または追加の不良の許容範囲を助長することを可能にすることができる。
【0043】
鋳型102a、102eは、溶融金属材料から熱を抽出すると、材料は硬化し始め、収縮孔を生成する。様々な非限定的な実施形態によると、熱抽出は、鋳型の壁120a、120e、122a、122eの厚さによって制限することができる。例えば、非限定的な一実施形態では、側壁120a、120eの厚さは、1インチ未満であってよい。したがって、側壁120a、120e、122a、122eの厚さは、鋳型102a、102eが溶融材料からの熱エネルギーを吸収する能力を制限することができる。上述のように、様々な非限定的な実施形態では、鋳型102a、102eは、材料が後壁122a、122eから回転軸または湯口チャンバ106に略向かって方向性凝固を受けるように材料の冷却を制御するように構成される。空洞110a、110eに通じるゲート118a、118eの寸法も、湯口チャンバ106内の溶融材料の供給が収縮孔から切断されるのを防止するのに十分に大きい。その結果、大半の気泡は、溶融材料で充填され得る。空洞110a、110e中の材料が完全に凝固すると、それぞれの鋳造ゲート118a、118eも硬化し、これは、湯口チャンバ106内に残っている場合がある溶融材料を、鋳造空洞110a、110eから遮断する。したがって、ゲート118a、118eは、硬化時に十分に緻密であってよい。空洞110a、110b内の凝固した金属材料が取り扱うのに十分に冷却されて、もはや酸化しない場合、鋳物は、例えば、モジュール鋳型部分64a、64bに関して上述される配置と類似し得る第2のモジュール鋳型部分から第1のモジュール鋳型部分のボルトを外すことによって、鋳型102a、102eから取り出すことができる。鋳物は、ゲート118a、118eが湯口チャンバ106と交わる位置で、またはその付近で湯口チャンバ106から取り外すことができる。ゲート118a、118eは十分に緻密であるため、鋳物内のあらゆる気泡は内部にとどまり、例えば、鋳物内のあらゆる内部気泡を排除するために、HIPによって除去することができる。鋳物が複数の部品を含む場合、十分に緻密な鋳物は、その後、例えば、鋸、切断トーチ、研磨噴射、またはワイヤ放電加工装置等の機械加工機器によって、最終部品に分割することができる。
【0044】
上記に紹介したように、様々な非限定的な実施形態では、ゲート118a、118eは、空洞110a、110eの最も大きい直径または断面積よりも大きい直径または断面積を有する。ある特定の非限定的な実施形態では、ゲート118a、118eの大きさの増加は、内部気泡が湯口チャンバ106に達するのを防止する。例えば、ゲート118a、118eは、凝固時に十分に緻密であってよく、鋳物が湯口チャンバ106から取り外されたときに後で露出する可能性がある湯口チャンバ106に内部気泡が接続されるのを防止する。よって、ゲート118a、118eは、加工、例えば、HIP等によって対処され得るように、内部気泡を含む密度障壁を形成することができる。様々な非限定的な実施形態では、ゲート118a、118bは、鋳造空洞110a、110eと湯口チャンバ106との間に熱障壁を形成することができる。例えば、湯口チャンバ106内の溶融金属材料の冷却速度は、空洞110a、110e内の溶融金属材料の冷却速度より十分下回ってよく、鋳物に最適な冷却期間が行われた十分後に空洞110a、110eと湯口チャンバ106との間に実質的な温度差をもたらす。したがって、湯口チャンバ106付近の粒径は増加し得る。しかしながら、本明細書に開示されるゲート118a、118eは、鋳造のすぐ後、例えば、凝固前面がすでに鋳物全体を通り進行したが、湯口チャンバ106内の溶融金属材料がまだ凝固する前であるときに凝固するように構成され得る。非限定的な一態様によると、十分に緻密であってもよい凝固したゲート118a、118bは、それによって、湯口チャンバ106とそれぞれの鋳造空洞110a、110eとの間に熱障壁を形成する。
【0045】
様々な非限定的な実施形態では、回転可能なアセンブリ100は、湯口チャンバ106を中心に配置された複数の垂直に積み重ねられた空洞110a、110eを備える。湯口チャンバ106は、同等の数の空洞を供給するように構成される従来の遠心鋳造装置の湯口チャンバと比較して、減少した半径を備えることができる。稼働中、非限定的な一実施形態によると、溶融材料は、実質的に同時に、例えば、連続して、湯口チャンバ106、ゲート118a、118e、および垂直な空洞110a、110eを充填する。例えば、湯口チャンバ106に供給される溶融材料は、底部から上部に向かって湯口チャンバ106、隣接するゲート118a、118e、および垂直な空洞110a、110eを同時に充填し始めることができる。よって、溶融材料が湯口チャンバ106内に注がれると、溶融材料は、過剰な移動および回転可能なアセンブリ100の様々な構造との接触により過熱を失うことなく、隣接するゲート118a、118e、および垂直な空洞110a、110eに直接供給され得る湯口チャンバ106に増加する溶融体積を形成するように堆積する。よって、様々な非限定的な実施形態では、湯口チャンバ106は、過熱の維持を助長しながら、全ての鋳造空洞110a、110eを供給するように構成される。例えば、稼働中、湯口チャンバ106は、空洞110a、110eの垂直に積み重ねられた空洞を完全に充填する溶融材料の単一注入を受容するように寸法決定され得る。例えば、非限定的な一実施形態では、湯口チャンバは、空洞110a、110eの垂直に積み重ねられた各々の少なくとも底部の空洞を完全に充填する溶融材料の単一注入を受容するように寸法決定される。単一注入の体積は、好ましくは、ゲート118a、118e、および完全に充填された空洞110a、110eに隣接する湯口チャンバ106の体積を完全に充填するのにも十分である。よって、回転可能なアセンブリ100は、過熱を失うことなく、湯口チャンバ106から空洞110a、110e内に直接供給され得る大量の溶融材料を受容するように構成され得る。
【0046】
ある特定の非限定的な実施形態によると、過熱を維持することにより、改善された表面品質を有する鋳造部品の製造を促進する。例えば、従来の鋳造技術によって製造されたチタンアルミナイド鋳物は、不十分な表面品質に悩まされる。例えば、上述のように、溶融材料の薄層は、直径の大きい湯口の半径を移動し、その後、例えば、鋳型空洞の底部から充填するために湯口の壁またはゲート等の様々な構造を上昇しなければならない場合、溶融材料のバルクは、過熱を維持することができず、不十分な表面品質となる。不十分な表面品質は、鋳物の表面が所望の寸法内に鋳物を製造するように加工され得るように、最終部品よりも数ミリメートル大きく鋳物を製造する必要があり得る。対照的に、回転可能なアセンブリ100は、改善された滑らかさを有し、従来技術によって製造された鋳物に一般的に見られる表面の欠損がない鋳物を製造するように構成され得る。したがって、鋳物は、低い廃棄率および製造コストで製造することができる。
【0047】
図8は、本開示のある特定の非限定的な一実施形態による鋳型200の正面図である。鋳型200は、7つの空洞210を画定する第1および第2のモジュール部分202、202を備える。空洞210は、鋳型200の前面212から鋳型200の後壁214に向かって延在し、側壁216間に画定される。ある特定の非限定的な実施形態では、鋳型は、材料が後壁214から回転軸または鋳型200の前面212に近接し得る湯口チャンバに略向かって方向性凝固を受けるように、溶融材料の冷却を制御するように構造化され得る。鋳型は、各空洞210aにつながる前面212に隣接して配置されたゲート218をさらに含む。ゲート218は、湯口チャンバ内の溶融材料の供給が収縮孔から切断されるのを防止するように寸法決定される。その結果、緻密な鋳物を製造するために、大半の気泡は溶融材料で充填され得る。例えば、ゲート218は、空洞210の最大直径または断面積より大きい直径または断面積を備える。ある特定の非限定的な実施形態では、ゲート218の大きさの増加は、内部気泡が湯口チャンバに達するのを防止する。例えば、ゲート218は、凝固時に十分に緻密であってよく、鋳物が湯口チャンバから取り外されたときに後で露出する可能性がある湯口チャンバに内部気泡が接続されるのを防止する。よって、ゲート218は、加工、例えば、HIP等によって対処され得るように、内部気泡を含む密度障壁を形成することができる。上述のように、様々な非限定的な実施形態では、ゲート218は、鋳造空洞210と湯口チャンバとの間に熱障壁を形成することもできる。したがって、湯口チャンバ付近の粒径は、ゲート218の材料が鋳造のすぐ後、例えば、凝固前面がすでに鋳物全体を通り進行したが、湯口チャンバ内の溶融金属材料がまだ凝固する前であるときに凝固し得るため、従来の鋳物と比較して減少し得る。上述のように、空洞210内の凝固した材料が十分に冷却した際に、鋳物は、第1および第2のモジュール部分202、204を分離することによって、鋳型200から取り外すことができる。
【0048】
図9は、本開示の様々な非限定的な実施形態による遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリ300のある特定の構成部品の斜視図である。回転可能なアセンブリ300は、第1の鋳型304および第2の鋳型306に結合される湯口302を備える。湯口302は、アセンブリ300の回転軸を中心に配置され、溶融金属材料の供給を受容するように構造化された湯口チャンバ308を画定する。湯口チャンバ308は、略円形断面を有する略円筒形状を有する。湯口302の外表面は、鋳型304、306を受容するための2つのスロット310a、310bを画定する。各鋳型304、306は、鋳型304、306において画定されるスロット318を通して挿入可能であるボルト316を介して取り付け可能な第1および第2のモジュール部分312a、b、314a、bを備える。
【0049】
各鋳型は、5つの積み重ねられた空洞を画定し、空洞320a、322aの2つは、3つのより大きな直径の空洞320b、322bと比較して減少した直径を有する。減少した直径の空洞320a、322aは、3つのより大きな直径の空洞320b、322bの間の間隔に配置される。示されるように、複数の直径の空洞は、単一注入で製造することができる鋳物の大きさに関して柔軟性を高めることができる。例えば、時間および歩留まり損失は、注入を統合することにより低減することができる。積み重ねられた空洞320a、320b、322a、322bは、それぞれのゲート324a、324b、326a、326bを通して湯口チャンバ308と流体連通にある。各ゲート324a、324b、326a、326bは、それが結合される空洞320a、320b、322a、322bの直径および断面積よりも大きな直径および断面積を有する。一態様では、ゲート324a、324b、326a、326bの大きさの増加は、それぞれの空洞320a、320b、322a、322b内の材料が完全に凝固した後まで、ゲート324a、324b、326a、326bの完全な凝固を防ぐ。つまり、ゲート324a、324b、326a、326b内の材料の少なくとも一部は、鋳造空洞320a、320b、322a、322b内の凝固する金属材料内に移動し、その一部を充填することができるように、流動性を維持することができる。上記に概要を述べたように、様々な非限定的な実施形態では、ゲート324a、324b、326a、326bは、空洞の寸法に対して増加した寸法を有する。例えば、ある特定の構成によると、鋳造量および歩留まりに関する最適な効率は、例えば、空洞320a、320b、322a、322bの断面積の100%〜150%の間で空洞320a、320b、322a、322bの断面積よりも大きい断面積を有するゲート324a、324b、326a、326bを含み得る。勿論、いくつかの非限定的な実施形態では、例えば、対応する空洞の断面積の最大400%またはそれ以上の断面積を有するゲートも、同様の特徴を有する鋳物を製造するために使用され得る。しかしながら、歩留まり損失は、ゲート寸法の増加と共に増加し得る。ある特定の非限定的な実施形態の様々な構成によると、最適なゲート長は、ゲートの断面の最大寸法の50%〜150%を有し得る。かさねて、そのような長さは、鋳型に供給される材料の体積当たり製造され得る鋳物の数に関して、ある特定の実施形態の単なる最適化であり、そのような例は、特に明記しない限り限定を意図するものではない。
【0050】
第1および第2の鋳型304、306は、より緻密な鋳物を製造するために現れる収縮孔を充填するために、遠心力が溶融材料を鋳物の凝固前面に向かって継続して押圧するように、回転軸または湯口チャンバ308に略向かう方向性凝固を促進するように構造化される。第1および第2の鋳型304、306は、湯口チャンバ308に向かう方向性凝固を促進するように構成された断熱機能を備える。例えば、鋳型304、306は各々、離間され、湯口302に近接して配置された2つのポケット332a、b、334a、bを画定する側面328、330を備える。ポケットは、鋳型の対応する部分に沿って鋳型の熱容量を低減するように構成される。鋳型304、306は、鋳型304、306の一部分に沿って延在する複数の上部および下部ポケット336a、b、338a、bをさらに画定する。上部および下部ポケット336a、b、338a、bは、熱容量および鋳型を通して熱伝達の速度を制限することによって鋳型の隣接する部分を断熱するように構成される。ポケットまたは鋳型壁の質量を介して鋳型部分の熱容量を変更することにより熱伝達を制御することに加えて、様々な非限定的な実施形態では、空洞は、熱伝達の制御を補助するためにも配置され得る。
【0051】
図10は、本開示の様々な非限定的な実施形態による遠心鋳造用の鋳型400の断面図を図示する。鋳型400は、前面406および2つの側面408を含むが、1つの側面408のみが断面において含まれる。6つの空洞410は、それぞれの側壁412と後壁414との間の鋳型400内に画定される。
【0052】
各空洞410は、材料供給口416から後壁414に向かって先細りされる先細りまたは減少した断面に隣接する溶融材料供給口416を備える。様々な非限定的な実施形態では、前面406は、ゲートもしくはプレートに、または溶融材料供給口416で湯口に直接取り付けるように構成され得る。例えば、いくつかの非限定的な実施形態では、鋳型400は、湯口または湯口チャンバに直接結合可能であり得る溶融材料供給口416から延在するその長さの部分にわたって減少する断面を画定する空洞410を備える。つまり、空洞410の初期の長さに対する断面の減少は、ゲートの必要性を克服することができる。そのため、低減された歩留まり損失および制御された収縮孔で鋳物を製造することができる。様々な非限定的な実施形態では、減少した断面を有する空洞410は、空洞410に沿って一般的に先細りする、例えば、空洞410の中心線と一般的に整合される側壁412を画定し、空洞412の隣接する側壁412に対して対称的な先細りを有し得る。非限定的な一実施形態では、減少する断面は、一般的に、遠心力の方向に沿って画定される、および/または凝固の一般的な方向とは略反対の方向に先細りし得る。例えば、非限定的な一実施形態では、空洞は、一般的に、溶融材料供給口から離れて、例えば、空洞410の後壁414に向かって先細りする先細り部分等の断面を画定する。
【0053】
非限定的な一実施形態では、空洞410は、第1の断面および第2の断面を含む先細り部分を備える減少する断面を画定する。第2の断面は第1の断面より小さく、第1の断面よりも回転軸からより離れた距離に位置する。稼働中、凝固前面が形成され、一般的に後壁414から第1の断面および溶融材料供給口416に向かって一方向に前進する。凝固前面に沿った材料の凝固は、凝固する材料内に樹状突起の形成をもたらし得る。様々な非限定的な実施形態によると、凝固前面の前方における溶融材料の少なくとも一部分は、第2の断面にまたはその付近に位置する材料が冷却の対象となり、したがって収縮する時間期間の間溶融したままであってよい。このように、凝固前面の前方、例えば、第1の断面のまたはその付近の溶融材料は、顕著な空隙の形成を回避するため、収縮孔が生じるときにその収縮孔を充填し、それによって緻密な鋳物を製造するために、形成中の樹状突起内に、および/またはその間に移動するように、遠心力によって加速され得る。このように、凝固前面の前方、例えば、湯口チャンバにより近接して位置する鋳型の一部分は、空洞410の押し湯として機能し得る。様々な非限定的な実施形態では、空洞は、複数の先細り部分を備え得る。ある特定の非限定的な実施形態では、減少する断面は、内部気泡が湯口チャンバに達するのを防止することができる。非限定的な一実施形態では、減少する断面は、加工、例えば、HIP等によって対処され得るように、内部気泡を含む密度障壁を形成することができる。例えば、使用中、例えば、溶融材料供給口416の、またはそれに隣接する減少する断面の最大断面の、またはそれに隣接する減少する断面の少なくとも一部分は、凝固時に十分に緻密であってよく、それによって、鋳物が湯口チャンバから取り外されたときに後で露出する可能性がある湯口チャンバに内部気泡が接続されるのを防止する。
【0054】
鋳型400は、空洞410を画定する側壁412に画定される複数のポケット418を備える断熱機能をさらに含む。様々な非限定的な実施形態では、鋳型400の側壁412は、図9に図示されるものに類似するポケット等の断熱機能も備えるか、または代替えとして備えることができる。例えば、側壁412のうちの1つまたは両方において画定されるポケットは、側壁412の側方部に沿って鋳型の熱容量を変更するように構造化され得る。ポケット418は、後壁414から前面406に向かう方向性凝固を促進するように寸法決定され、配置される。他の様々な非限定的な実施形態と同様に、ポケット418の特定の長さ、面積、および/または位置は、特定のパラメータまたは注入条件、例えば、注入温度、鋳型体積、金属材料の相転移特徴、鋳型の組成、空洞の寸法、空洞の数および近接性、ならびに/または鋳型の数および近接性に合うように調整され得る。ある特定の非限定的な実施形態では、鋳型は、2つ以上のモジュール部分を備えることができる。モジュール部分は、例えば、鋳物の取り外しを補助するために、水平、垂直、斜め、または溝付きの断面を有することができる。
【0055】
図11は、本開示の様々な非限定的な実施形態による遠心鋳造装置において使用するための鋳型500を図示する。鋳型500は、前面502、背面504、上面506、下面508、第1の側面510、および第2の側面512を備える。4つの積み重ねられた空洞514a〜514dは、前面502から背面504に向かって鋳型500内に延在する。各空洞514a〜514dは、側壁516によって画定される。鋳型500は、各空洞514a〜514dを中心に配置された複数のポケット526を備える断熱機能をさらに定義する。示されるように、ポケット526は、空洞514a〜514dを中心に等間隔に配置される。しかしながら、ある特定の非限定的な実施形態は、数、間隔、および/または1つ以上のポケット526の寸法は異なってよい。図11〜15には示されないが、鋳型500は、鋳型500の前面502に隣接する空洞514a〜514dの部分に、またはその付近にゲート部分をさらに備えることができる。ゲート部分は、鋳型500において画定されるか、または例えば、前面502に取り付け可能であってよい。
【0056】
図12〜15は、本開示の様々な非限定的な実施形態による空洞514a〜514dに沿った鋳型500の断面を図示する。図12〜13は、それぞれ、第1および第2の空洞514a、514bに沿った断面を示す。空洞514a、514bは、鋳型500の前面502から背面504に隣接して配置されるそれぞれの後壁528に延在する。空洞514a、514bは、前面502によって画定される平面に実質的に垂直に延在する。稼働中、例えば、鋳型500が回転軸を中心に回転する際、空洞514a、514bの角速度は、回転の中心から延在する半径に対して実質的に垂直である。ポケット526は、空洞514a、514bに対して実質的に平行に延在し、空洞514a、514bに隣接する側壁の熱容量を低減し、溶融材料から鋳型500への熱伝達の速度を制限するように構成される。図示される非限定的な実施形態では、後壁528は、溶融材料から鋳型への熱的熱抽出の完全な条件を表す。したがって、溶融材料からの熱抽出の速度は、一般的に、後壁528から前面に向かう方向性凝固を促進するように差次的に制御され得る。上述のように、鋳型500が回転する際、遠心力は、収縮孔を低減するために凝固前面に向かって、およびそれに対して溶融材料を指向することができる。
【0057】
図14〜15は、空洞の配置の変形を図示し、半径方向にオフセットされた空洞を示す。図14は、前面502から後壁528に向かって延在する第3の空洞514cに沿った鋳型500の断面を図示する。ポケット526は、空洞514cに対して実質的に平行に延在し、上述のように、溶融材料から鋳型500への熱伝達の速度を低減するように構成される。空洞514cは、半径方向にオフセットされており、第2の空洞514bに対して約15°の角度を画定する。図15は、前面502から後壁528に向かって延在する第4の空洞514dに沿った鋳型500の断面を図示する。ポケット526は、空洞514dに対して実質的に平行に延在し、上述のように、溶融材料から鋳型500への熱伝達の速度を低減するように構成される。空洞は、半径方向にオフセットされており、第2の空洞514bに対して約15°の角度、および第3の空洞514cに対して約30°の角度を画定する。よって、第3および第4の空洞514a、514bは、半径方向にオフセットされており、例えば、空洞の中心線の角速度は、回転の中心を起点とする半径に対して垂直ではない。しかしながら、上記のように、後壁528は、溶融材料から鋳型への熱的熱抽出の完全な条件を表す。したがって、材料からの熱抽出の速度は、後壁528から前面に向かう方向性凝固を促進するように差次的に制御され得る。上述のように、鋳型500が回転する際、遠心力は、収縮孔を低減するために凝固前面に向かって、およびそれに対して溶融金属材料を指向する。
【0058】
本開示のある特定の非限定的な実施形態によると、先細りゲート構造は、本明細書に記載される遠心鋳造装置、回転可能なアセンブリ、および/または鋳型の様々な実施形態に適用することができる。図16を参照すると、例えば、ゲート602は、鋳型608の少なくとも1つの空洞606の入口604と連通する。ゲート602は、空洞の入口604に隣接するように構造化される先細り部分610を含み得る。先細り部分610は、1つ以上の先細り従属部分610a、610b、610cを含むか、または例えば、単一の先細り部分として具現化することができる。特定の実施形態では、先細り部分610は、例えば、アーク、または別の種類の幾何学的構造として具現化することができる。示されるように、先細り部分610は、例えば、空洞606の入口604に隣接するゲート602の実質的に断面積全体を中心に延在することができる。他の実施形態では、先細り部分610は、空洞606の入口604に隣接するゲート602の一部分の断面積全体未満を中心に延在する。非限定的な一例では、先細り部分610、またはその従属部分610a、610b、610cは、例えば、鋳型608において鋳造された製品または構成部品の中心線に対して角度を画定することができ、画定された先細り角度は、0°超〜90°の範囲であってよい。
【0059】
様々な実施形態では、ゲート602の先細り部分610によって画定された実際または平均断面積は、鋳型608の空洞606の入口604によって画定された断面積よりも大きくてよい。好ましい実施形態では、ゲート602の先細り部分610によって画定された実際または平均断面積は、空洞606の入口604によって画定された断面積の100%超〜150%の範囲であってよい。図3〜5に関して前に上述される非限定的な一例では、材料供給口84a、84bに隣接する各ゲート60a、60bの直径および断面積は、隣接する材料供給口84a、84bの直径および断面積よりも大きくてよい。
【0060】
本発明者は、いくつかの要因が、ゲート602の先細り部分610の構造、および/またはゲート602の先細り部分610によって画定された断面積に対する空洞606の入口604によって画定された断面積の割合の選択を決定することができることを発見した。そのような選択要因は、限定するものではないが、鋳型608において鋳造される溶融材料の種類、鋳型608を構成する材料の種類、加熱および冷却速度または熱分布等の所望の熱力学的特徴、鋳型608において鋳造される構成部品の幾何学形状、犠牲にした製品材料の量もしくは先細り部分610を使用した結果として生じ得る歩留まり損失、および/または他の選択基準を含み得る。ある特定の実施形態では、ゲートの先細り部分の角度の選択は、所望または必要とされる流動性の液体の移動特徴に対応し得る。
【0061】
図16Aを参照すると、本開示のある特定の非限定的な実施形態では、ゲート632は、例えば、鋳型の空洞634と作動関連するために、略台形形状で構造化され得る。ある特定の実施形態では、ゲート632は、例えば、20°以下の挟角の先細り部分636、638で構造化され得る。ゲート632の先細り部分636、638は、ゲート632の長手方向軸の一部または実質的に全距離640に沿って延在してもよいことがわかる。距離640は、鋳造装置の湯口チャンバ(図示せず)から、例えば、空洞634の入口までの距離を表し得る。ある特定の実施形態では、ゲート632の先細り部分636、638内に画定された実際または平均断面積は、空洞634の入口によって画定された断面積の100%超〜150%の範囲であってよい。他の非限定的な実施形態では、ゲート632は、他の形状の中でも、例えば、略矩形または略正方形の幾何学的形状として構造化され得る。ゲート632は、湯口チャンバから空洞634の入口に向かって移動する減少する断面を提供するように構造化され得ることがわかる。また、ある特定の非限定的な実施形態では、空洞634自体は、テーパ角度で先細りされ得る(例えば、図22参照)。
【0062】
図17を参照すると、本開示のある特定の非限定的な実施形態では、鋳型652は、示されるように、延長ゲート656を有する1つ以上の空洞654で構造化され得る。実際には、この鋳型652を用いた鋳造装置の操作により、例えば、鋳造後の加工を通して、従属構成部品または従属部分に分割または切断することができる構成部品または部分を製造することができる。例えば、空洞654において製造された構成部品は、後に複数の従属構成部品に細分され得る。非限定的な一例では、空洞654において製造された構成部品または部分は、12の従属構成部品をもたらし、そのような各従属構成部品は、2〜3の範囲のアスペクト比を有する。この例では、および単に図示の目的のため、そのような各構成部品は、55mmの厚さ、および150mmの高さで製造され得、約2.7のアスペクト比をもたらす。別の非限定的な例では、構成部品または従属構成部品は、約7.7以上のアスペクト比で製造され得る。図18は、例えば、約7.7のアスペクト比を有する複数の従属構成部品が製造され得る単一の構成部品を鋳造するために構造化された鋳型662の例を図示する。示される例では、鋳型のゲート664は、例えば、約4〜6°の範囲であってよい、おおよそのテーパ角度を画定する、1つ以上の先細り部分666、668を含み得る。また、この特定の実施例では、鋳型662が単一の空洞670のみを含むこともわかる。
【0063】
ある特定の非限定的な実施形態では、鋳型652は、1つ以上のゲート側壁(例えば、側壁659等)が着脱可能に挿入することができる1つ以上のスロット653、655、657で構造化され得る。ゲート側壁659は、様々な異なる材料から構成され得、鋳型652を構成する材料と同じまたは異なる材料から構成され得る。非限定的な一実施形態では、側壁659は、例えば、金属製の挿入部として具現化することができ、他の実施形態では、側壁659は、半金属または非金属構成部品として具現化され得る。例えば、そのような側壁659の使用は、鋳型652内に使用され得る他の材料と比較して、低い熱伝導率、熱容量、またはこれらの組み合わせを含み得るスロット653、655、657を充填するための材料を選択することによって熱伝達の制御を可能にする。スロット653、655、657は、他の潜在的な構造形状の中でも、例えば、円形または正方形の幾何学的形状に形成され得る。
【0064】
本発明者は、例えば、図17に示される延長ゲート656を使用することによって、または例えば、図18に示される鋳型662において単一の空洞670を使用することによって鋳型652において構成部品(例えば、プレート)を鋳造することにより、多くの場合、製品の鋳放し気泡を低減することができることを発見した。熱抽出は、溶融材料と鋳型の空洞との間の接触面を排除することによってさらに減少され得る。熱抽出におけるそのような減少は、指向された凝固前面を強化する。加えて、例えば、鋳造製品の周辺機械加工を行うための必要性の減少による製品の歩留まり損失が低減され得る。例えば、空洞654内の鋳造製品の表面積に対する空洞654内の鋳造製品の周縁端の表面積の割合が、鋳型652の他の空洞672、674、676内に鋳造され得る構成要素と比較して大きいことがわかる。ある特定の非限定的な実施形態では、空洞654、672、674、676のうちの1つ以上は、1つ以上の先細り部分692、694、696、698で構造化された作動関連するゲート656、684、686、688も含み得る(上述のように)。
【0065】
本開示のある特定の非限定的な実施形態では、図19は、鋳型702の2つの空洞704、706が空洞704、706の両方と連通にある共通ゲート708を共有する鋳型702の例を図示する。共通ゲート708は、限定されないが、鋳型702において鋳造される溶融材料の種類、鋳型702を構成する材料の種類、加熱および冷却速度または熱分布等の所望の熱力学的特徴、鋳型702の空洞704、706において鋳造される構成部部品の幾何学形状、および/または他の基準等の要因の判断を受ける様々な鋳造プロセスにおいて採用され得る。ある特定の非限定的な実施形態では、空洞704、706、712、714、716のうちの1つ以上は、1つ以上の先細り部分732、734、736、738で構造化されたゲート708、722、724、726も含み得る(上述のように)。
【0066】
ある特定の非限定的な実施形態では、鋳型702は、1つ以上のゲート側壁(例えば、側壁758等)が着脱可能に挿入することができる1つ以上のスロット752、754、756で構造化され得る。ゲート側壁758は、様々な異なる材料から構成され得、鋳型702を構成する材料と同じまたは異なる材料から構成され得る。非限定的な一実施形態では、側壁758は、例えば、金属製の挿入部として具現化することができ、他の実施形態では、側壁758は、半金属または非金属構成部品として具現化され得る。例えば、そのような側壁758の使用は、鋳型702内に使用され得る他の材料と比較して、低い熱伝導率、熱容量、またはこれらの組み合わせを含み得るスロット752、754、756を充填するための材料を選択することによって熱伝達の制御を可能にする。スロット752、754、756は、他の潜在的な構造形状の中でも、例えば、円形または正方形の幾何学的形状に形成され得る。
【0067】
図20〜21は、本開示の様々な非限定的な実施形態により構造化された遠心鋳造装置802の例を図示する。鋳造装置802は、中央に配置された湯口チャンバ820から半径方向外向きに延在する複数の鋳型804、806、808、810、812、816、814、818を含む。様々な実施形態では、鋳型804〜818のうちの1つ以上は、複数の種類の材料から構成され得る。例えば、鋳型804の本体部分832は、第1の種類の材料から構成され、鋳型804の後壁834は、第2の種類の材料から構成され得、第1の種類の材料は、第2の種類の材料とは異なる。材料は、例えば、異なる種類の金属またはセラミック材料であってよい。ある特定の実施形態では、後壁834は、ボルト、ネジ、または他の従来の留め具の使用等により、鋳型804の本体部分832に除去可能または取り外し可能であるように構造化され得る。このように、1種類の材料は、鋳造プロセスの目的、構成部品の幾何学的形状、または材料の熱伝達の質もしくは熱分布基準等の熱力学的要因等の判断に従い、鋳型804〜818のうちの1つ以上に関して別の種類の材料と交換することができる。
【0068】
ある特定の非限定的な実施形態では、例えば、図20の鋳造装置802の鋳型804〜818のうちの1つ以上は、例えば、図22に図示される鋳型852により構造化され得る。鋳型852は、本体部分854と、所望により、本体部分854に取り付け可能または取り外し可能であり得る別個の後壁部分856とを含み得る。加えて、鋳型852内に含まれる空洞862、864、866、868、870、872のうちの1つ以上は、鋳型852の前面882から後壁部分856に向かってテーパ角度で先細りされるように構造化され得る。鋳造装置802の稼働中、例えば、前面882から離れて後壁部分856に向けて、より多くの鋳型852材料と、より少ない空洞862〜872部分を集中させることにより、後壁部分856に隣接してより多くの吸熱効果をもたらすことができることを理解されたい。このように、鋳型852の全体的な熱力学的挙動は、他の要因の中でも、空洞862〜872内に構造化された先細りの量、鋳型に添加される、もしくは鋳型852から取り除かれる後壁部分856材料の量、および/または本体部分854および後壁部分856をそれぞれ構成する材料の種類に応じて調整することができる。
【0069】
本明細書に記載されるある特定の非限定的な実施形態によると、ゲート構造および製品または構成部品を形成するための空洞の両方が同じ鋳型内に1つ以上の先細り部分を有することができることを理解する。一例では、例えば、図22に示される先細り空洞構造は、様々な先細りゲート構造、または本明細書に記載される幾何学的ゲート構造のうちの1つ以上と結合され得る。
【0070】
本明細書に記載される遠心鋳造装置のある特定の機能および方法は、図示される実施形態に関して説明されることを理解する。例えば、簡略化および理解を容易にするために、鋳型および空洞の数ならびに配置に関して限定された数の変形のみが図示される。この文書を読んだ後に当業者に明らかとなるように、図示される実施形態およびそれらの様々な代替物は、図示される例に限定されずに実施することができる。本開示はまた、図示される空洞または鋳型の配置に限定されるものではない。例えば、様々な実施形態では、鋳型は、複数の垂直に積み重ねられた空洞を備えることができる。積み重ねられた空洞は、複数の列の積み重ねられた空洞を備える鋳型を備えることができる。積み重ねられた空洞は、回転の中心から半径方向にオフセットの1つ以上の空洞を備えることもできる。例えば、鋳型は、全ての空洞が半径方向にオフセットされる積み重なった空洞を備えることができる。いくつかの非限定的な実施形態は、積み重ねられた空洞は、複数の列の積み重ねられた空洞を備えることができる。図示される実施形態は、一般的に、少なくとも材料供給口が整合された積み重ねられた空洞を示すが、様々な非限定的な実施形態では、空洞は、1つ以上の空洞が整合されないように積み重ねられ得、例えば、空洞は、均一または不均一な間隔で互い違いに配列されるか、またはオフセットされてよい。
【0071】
鋳型の構成および数は、一般的に、鋳造される部品の大きさおよび数ならびに湯口の体積に関連し得ることを理解するべきである。例えば、様々な非限定的な実施形態では、鋳造装置は、回転軸を中心に配置された複数の鋳型を備えることができる。複数の鋳型は各々、垂直に積み重ねられた複数の空洞を画定することができる。複数の空洞の各々は、複数の直線状に配列された鋳造部品を画定することができる。よって、構成に応じて、鋳造装置の様々な実施形態は、単一の鋳造実行で2〜数百の鋳物を製造することができる。つまり、例えば、各鋳型が2〜10の空洞を画定し、各空洞が2〜6の鋳造部品を画定する、2〜10の鋳型を備える鋳造装置は、8〜600の鋳造部品を製造することができる。
【0072】
本明細書では、操作例または特に示される場合を除き、要素、成分、および製品の量または特徴、加工条件等を表す全ての数値は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものと理解するべきである。したがって、特に明記しない限り、以下の説明に記載される任意の数値パラメータは、本開示による装置および方法で入手しようと求める所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、および特許請求項の範囲に等価の理論の適用を制限する試みではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効桁数を考慮し、通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきである。
【0073】
本開示は、遠心鋳造装置およびその方法の様々な非限定的な実施形態の様々な要素、機能、態様、および利点を説明する。簡略化または明確化の目的のために、他の要素、機能、および態様を排除する一方で、様々な非限定的な実施形態のある特定の説明は、開示される実施形態のより明確な理解に関連するそれらの要素、機能、および態様のみを図示するために簡潔化されてきたことを理解するべきである。明確化のために別個の実施形態の文脈において説明されるある特定の機能が、単一の実施形態において組み合わせでも提供され得ることも理解する。逆に、簡略化ために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な機能が、別個に、任意の好適な副組み合わせで、または任意の他の記載される実施形態に好適であるようにも提供され得る。例えば、空洞は、一般的に、水平作動面に沿って延在するように示されるが、様々な非限定的な実施形態では、空洞は、水平作動面に対して正および/または負の角度で延在することができる。加えて、様々な実施形態の文脈において説明されるある特定の機能は、実施形態がこれらの要素なしで動作不能でない限り、これらの実施形態の本質的な機能と見なされるべきではない。
【0074】
前述の説明は必然的に限られた数の実施形態のみを提示するが、当業者は、本明細書に
記載され、図示されてきた実施例の装置および方法ならびに他の詳細における様々な変更
が当業者によって行われることができ、全てのそのような修正が、本明細書および付属の
特許請求の範囲に表されるように、本開示の原理および範囲内にとどまることを理解する
。当業者は、本説明を読むことにより、さらなる遠心鋳造装置および方法を容易に特定し
、本明細書に論じられる必然的に限られた数の実施形態に従い、かつその趣旨内で、さら
なる遠心鋳造装置および方法を設計、構築、および使用することができる。したがって、
本発明は、本明細書に開示または組み込まれる特定の実施形態または方法に限定されるも
のではなく、特許請求の範囲によって定義される、本発明の原理および範囲内にある修正
を網羅することを意図していることを理解する。その広範な発明の概念から逸脱すること
なく、変更が本明細書に論じられる非限定的な実施形態および方法になされ得ることも当
業者は理解するだろう。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
[形態1]
遠心鋳造装置であって、
回転軸を中心に回転するように構成された回転可能なアセンブリを備え、前記回転可
能なアセンブリが、
前記回転軸を中心に配置され、かつ溶融材料の供給を受容するように構成された湯口
チャンバと、
遠心力の一般的な方向に前記湯口チャンバから溶融材料を受容するように配置された
第1のゲートと、
前記遠心力の一般的な方向に前記湯口チャンバから溶融材料を受容するように配置さ
れた第2のゲートと、
前記遠心力の一般的な方向に前記第1のゲートから溶融材料を受容するように配置さ
れた第1の空洞と、
前記遠心力の一般的な方向に前記第2のゲートから溶融材料を受容するように配置さ
れた第2の空洞と、を備え、
前記第1の空洞および前記第2の空洞が、積み重ねられる、遠心鋳造装置。
[形態2]
前記第1のゲートが、前記第1の空洞の直径よりも大きい直径を有する、形態1に記
載の遠心鋳造装置。
[形態3]
前記第1のゲートが、前記第1の空洞の断面積の125%〜150%の断面積と、前記
ゲートの断面の最大寸法の50%〜150%の長さと、を有する、形態2に記載の遠心
鋳造装置。
[形態4]
前記第1のゲートが、前記第1の空洞の等しい隣接する長さの体積よりも大きい体積を
有する、形態1に記載の遠心鋳造装置。
[形態5]
前記第1および第2の空洞が、前記湯口チャンバに略向かう方向性凝固を促進するよう
に構成される、形態1に記載の遠心鋳造装置。
[形態6]
前記第1および第2の空洞を画定する鋳型をさらに備え、前記第1および第2の空洞の
各々が、側壁および後壁によって画定される、形態1に記載の遠心鋳造装置。
[形態7]
前記鋳型が、前面を備え、前記湯口チャンバが、前記鋳型の前記前面によって少なくと
も部分的に画定される、形態6に記載の遠心鋳造装置。
[形態8]
前記鋳型が、前記第1および第2の空洞内の前記溶融材料からの熱抽出を差次的に制御
して、前記後壁から前記湯口チャンバに略向かい、かつ前記遠心力の一般的な方向とは略
反対の方向に方向性凝固を促進するように構造化される、形態6に記載の遠心鋳造装置

[形態9]
前記後壁のうちの少なくとも1の厚さが、前記側壁のうちの少なくとも1つの厚さより
も大きい、形態8に記載の遠心鋳造装置。
[形態10]
前記後壁のうちの少なくとも1つが、前記空洞に沿った熱的熱抽出の最も完全な条件を
提供するための構造である、形態8に記載の遠心鋳造装置。
[形態11]
前記側壁のうちの少なくとも1つが、1インチ未満の厚さを有する、形態8に記載の
遠心鋳造装置。
[形態12]
前記鋳型が、前記溶融材料から前記鋳型への熱伝達の速度を変更するように構成される
1つ以上のポケットを画定する、形態8に記載の遠心鋳造装置。
[形態13]
前記湯口チャンバが、前記第1および第2の空洞が両方ともに溶融材料で満たされるま
で、溶融材料を前記第1および第2の空洞に実質的に連続して供給するように構成され、
前記第1および第2のゲートが、両空洞が前記溶融材料で満たされると、前記溶融材料に
完全に浸漬するように構成される、形態1に記載の遠心鋳造装置。
[形態14]
前記第1の空洞および前記第2の空洞のうちの少なくとも1つが、複数の部品を備える
鋳物を製造するように構造化される、形態1に記載の遠心鋳造装置。
[形態15]
前記回転可能なアセンブリが、格納リングを備え、前記格納リングが、前記湯口チャン
バに対して突出部を備える、形態1に記載の遠心鋳造装置。
[形態16]
前記回転可能なアセンブリが、前記湯口の基部を形成する楔を備え、前記楔が、前記鋳
型との係合を封止するように構成される、形態6に記載の遠心鋳造装置。
[形態17]
遠心鋳造鋳型であって、
溶融材料の供給を受容するように構成された前面と、
背面と、
それぞれ、前記前面から前記背面に向かって延在し、かつ前記鋳型の前記背面に隣接し
た側壁および後壁によって画定される、第1の空洞および第2の空洞であって、積み重ね
られ、かつ遠心力の一般的な方向に溶融材料を受容するように構成される、第1および第
2の空洞と、を備え、
前記鋳型が、前記溶融材料からの熱抽出の速度が、前記側壁での熱抽出の速度よりも前
記後壁で高くなるように、前記第1および第2の空洞を差次的に断熱して、前記後壁から
遠心力の一般的な方向に略向かう方向性凝固を促進するように構造化される、遠心鋳造鋳
型。
[形態18]
前記鋳型が、前記溶融材料から前記鋳型への熱伝達の速度を変更するように構成される
1つ以上のポケットを画定する、形態17に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態19]
前記後壁の厚さが、前記側壁の厚さよりも大きい、形態17に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態20]
前記第1の空洞または前記第2の空洞のうちの1つを画定する前記後壁が、それぞれの
空洞に沿った熱的熱抽出の最も完全な条件を提供するように構造化される、形態17に
記載の遠心鋳造鋳型。
[形態21]
前記第1の空洞および前記第2の空洞のうちの少なくとも1つを画定する前記側壁が、
1インチ未満の厚さを有する、形態17に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態22]
前記前面に隣接する前記第1および前記第2の空洞の各々の一部分が、前記後壁に向か
って先細りされる、形態17に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態23]
前記前面が、湯口チャンバの少なくとも一部分を画定するように構成される、形態1
7に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態24]
前記第1の空洞および前記第2の空洞のうちの少なくとも1つが、複数の部品を備える
鋳物を製造するように構成される、形態17に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態25]
押し湯が、前記第1の空洞および前記第2の空洞のうちの少なくとも1つの中心線に沿
って配置される、形態24に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態26]
遠心鋳造鋳型であって、
溶融材料の供給を受容するように構成された前面と、
背面と、
前記前面から前記背面に向かって延在する第1の空洞であって、前記鋳型の前記背面に
隣接する側壁および後壁によって画定される、第1の空洞と、
前記前面と第1の空洞との間に配置される前記鋳型において定義される第1のゲートと
、を備える、遠心鋳造鋳型。
[形態27]
前記第1のゲートが、前記第1の空洞の断面積よりも大きい断面積を有し、前記第1の
ゲートが、遠心力の一般的な方向に溶融材料を受容するように構成される、形態26に
記載の遠心鋳造鋳型。
[形態28]
前記鋳型が、前記第1の空洞内の前記溶融材料からの熱抽出を差次的に制御して、前記
後壁から前記第1のゲートに略向かい、かつ前記遠心力の一般的な方向とは略反対の方向
に方向性凝固を促進するように構造化される、形態26に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態29]
前記後壁の厚さが、前記側壁の前記厚さよりも大きい、形態28に記載の遠心鋳造鋳
型。
[形態30]
前記後壁が、熱的熱抽出の完全な条件を表す、形態28に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態31]
前記側壁のうちの少なくとも1つが、1インチ未満の厚さを有する、形態28に記載
の遠心鋳造鋳型。
[形態32]
前記鋳型が、前記溶融材料から前記鋳型への熱伝達の速度を変更するように構成される
1つ以上のポケットを画定する、形態28に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態33]
前記前面が、湯口チャンバの少なくとも一部分を画定するように構成される、形態2
8に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態34]
前記第1の空洞が、複数の部品を備える鋳物を製造するように構成される、形態26
に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態35]
前記鋳型が、前記前面から前記背面に向かって延在する少なくとも1つの追加の空洞を
さらに画定し、前記少なくとも1つの追加の空洞が、前記鋳型の前記背面に隣接した側壁
および後壁によって画定され、前記第1の空洞および前記少なくとも1つの追加の空洞が
積み重ねられる、形態26に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態36]
金属材料の鋳物を製造する方法であって、
複数のゲートおよび複数の空洞が遠心力の一般的な方向に湯口チャンバから溶融金属材
料を受容するように配置されるように、前記湯口チャンバを中心に配置される前記複数の
ゲート、および複数の空洞を備える回転可能なアセンブリを配置することであって、前記
複数のゲートの各々が、前記複数の空洞のうちの1つに結合され、前記複数の空洞のうち
の少なくとも2つが積み重ねられる、配置することと、
前記回転可能なアセンブリを回転させることと、
溶融金属材料の供給を湯口チャンバに送達することと、を含む、方法。
[形態37]
前記複数のゲートの各々が、それが結合される前記空洞の断面積よりも大きい断面積を
有する、形態36に記載の方法。
[形態38]
前記溶融金属材料の供給の送達が、前記溶融金属材料が前記複数のゲートを完全に浸漬
するまで、前記溶融金属材料の供給を前記湯口チャンバ内に注ぐことを含む、形態37
に記載の方法。
[形態39]
前記少なくとも2つの積み重ねられた空洞が、前記溶融金属材料が、前記湯口チャンバ
に略向かい、かつ前記遠心力の一般的な方向とは略反対の方向に方向性凝固を受けるよう
に、前記少なくとも2つの積み重ねられた空洞において、前記溶融金属材料から熱的熱抽
出を差次的に制御するように構造化された鋳型において画定される、形態38に記載の
方法。
[形態40]
遠心鋳造装置を組み立てる方法であって、
回転可能な軸上に楔を配置することと、
少なくとも2つの鋳型を前記楔と封止係合に配置することであって、前記少なくとも2
つの鋳型の各々が、前面を備え、前記表面から前記鋳型内に延在する少なくとも2つの空
洞を画定する、配置することと、
溶融材料を受容するように構造化された湯口チャンバを画定することであって、前記湯
口チャンバの少なくとも一部分が、前記少なくとも2つの鋳型の前記前面の少なくとも一
部分によって画定される、画定することと、を含む、方法。
[形態41]
前記楔が、前記湯口チャンバの底端部に配置され、前記方法が、前記湯口チャンバの上
端部に格納リングを配置することをさらに含む、形態40に記載の方法。
[形態42]
遠心鋳造鋳型であって、
溶融材料の供給を受容するように構成された第1の材料供給口を備える前面と、
背面と、
前記第1の材料供給口から前記背面に向かって延在する第1の空洞であって、前記鋳型
の前記背面に隣接する側壁および後壁によって画定される、第1の空洞と、
前記空洞の長さに沿って減少する断面積を有する第1の空洞と、を備える、遠心鋳造鋳
型。
[形態43]
前記減少する断面積が、第1の断面と、第2の断面と、を有し、前記第1の断面が、前
記材料供給口に、またはその付近に位置し前記第2の断面が、前記第1の断面よりも前記
材料供給口から遠い距離に位置する、形態42に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態44]
前記第1の断面の断面積が、前記第2の断面の断面積よりも大きい、形態43に記載
の遠心鋳造鋳型。
[形態45]
前記前面が、溶融材料の供給を受容するように構成された第2の材料供給口を備え、前
記鋳型が、前記第2の材料供給口から前記背面に向かって延在する第2の空洞をさらに備
え、前記第2の空洞が、前記鋳型の前記背面に隣接した側壁および後壁によって画定され
、前記第2の空洞が、前記空洞の長さに沿って減少する断面積を有する、形態42に記
載の遠心鋳造鋳型。
[形態46]
前記鋳型が、前記背面から前記前面に向かって方向性凝固を促進するように構造化され
る、形態42に記載の遠心鋳造鋳型。
[形態47]
前記前面が、湯口チャンバに取り付けられるように構成構造化される、形態42に記
載の遠心鋳造鋳型。
[形態48]
遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するために構造化された鋳型であって

前記回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向に溶融材料
を受容するように構造化された入口を有する少なくとも1つの空洞と、
前記空洞の入口と連通にあるゲートであって、前記空洞の入口に隣接して配置された少
なくとも1つの先細り部分を含む、ゲートと、を備える、鋳型。
[形態49]
複数の先細り従属部分を含む前記先細り部分をさらに備える、形態48に記載の鋳型

[形態50]
前記先細り部分が、前記空洞の前記入口に隣接した前記ゲートの一部分の実質的に全断
面積を中心に延在する、形態48に記載の鋳型。
[形態51]
前記先細り部分が、前記空洞の前記入口から長手方向距離に延在する、形態48に記
載の鋳型。
[形態52]
前記距離が、前記空洞の前記入口から前記回転可能な装置の湯口チャンバに延在する、
形態51に記載の鋳型。
[形態53]
前記先細り部分が、前記空洞の前記入口に隣接した前記ゲートの一部分の全断面積未満
を中心に延在する、形態48に記載の鋳型。
[形態54]
0°超〜90°の範囲のテーパ角度を画定する前記先細り部分をさらに備える、形態
48に記載の鋳型。
[形態55]
前記ゲートの前記先細り部分によって画定された平均断面積が、前記空洞の前記入口に
よって画定された断面積よりも大きい、形態48に記載の鋳型。
[形態56]
前記ゲートの前記先細り部分によって画定された平均断面積が、前記空洞の前記入口に
よって画定された断面積の100%超〜150%の範囲にある、形態55に記載の鋳型

[形態57]
前記空洞のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの先細り部分を含む、形態48
に記載の鋳型。
[形態58]
遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するために構造化された鋳型であって

前記回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向に溶融材料
を受容するように構造化された入口を有する少なくとも1つの空洞と、
前記空洞の前記入口と連通にある延長ゲートと、を備え、
前記空洞が、複数の従属部品に細分することが可能な鋳造部品を製造するように構造化
される、鋳型。
[形態59]
各従属部品が、2〜10の範囲のアスペクト比を有する、形態58に記載の鋳型。
[形態60]
前記空洞の前記入口に隣接して配置された少なくとも1つの先細り部分を含む前記延長
ゲートをさらに備える、形態58に記載の鋳型。
[形態61]
前記先細り部分が、0°超〜90°の範囲のテーパ角度を画定する、形態60に記載
の鋳型。
[形態62]
遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するために構造化された鋳型であって

各々が前記回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向に溶
融材料を受容するように構造化された入口を有する、少なくとも2つの空洞と、
前記空洞の両方の入口と連通にある共通ゲートと、を備える、鋳型。
[形態63]
前記共通ゲートを共有する前記空洞の前記入口のうちの少なくとも1つに隣接して配置
された少なくとも1つの先細り部分を含む前記共通ゲートをさらに備える、形態62に
記載の鋳型。
[形態64]
遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するために構造化された鋳型であって

前記回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向に溶融材料
を受容するように構造化された入口を有する少なくとも1つの空洞と、
第1の材料を含む本体部分と、
前記本体部分に取り付け可能なまたは取り外し可能な後壁部分であって、第2の材料を
含む、後壁部分と、を備え、
前記第1の材料が、第2の材料とは異なる種類の材料である、鋳型。
[形態65]
前記第1の材料または前記第2の材料のうちの1つが、金属材料を含む、形態64の
鋳型。
[形態66]
前記空洞のうちの少なくとも1つが、テーパ角度で先細りされる、形態64に記載の
鋳型。
[形態67]
前記空洞のうちの少なくとも1つが、台形、正方形、または長方形を有する、形態6
4に記載の鋳型。
[形態68]
前記空洞のうちの少なくとも1つと連通にあるゲートをさらに備え、前記ゲートが、台
形、正方形、または長方形を有する、形態64に記載の鋳型。
[形態69]
遠心鋳造装置の回転可能なアセンブリと作動関連するために構造化された鋳型であって

前記回転可能なアセンブリの回転によって生成された遠心力の一般的な方向に溶融材料
を受容するように構造化された入口を有する少なくとも1つの空洞と、
前記空洞の前記入口に隣接して形成されたスロットであって、前記ゲートの側壁をその
中に着脱可能に受容するように構造化される、スロットと、を備える、鋳型。
[形態70]
少なくとも1つの側壁が、前記鋳型の少なくとも1つの他の部分を備える材料とは異な
る材料で構成される、形態69に記載の鋳型。
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