特許第6373967号(P6373967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373967
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】スクリーン印刷機
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/00 20060101AFI20180806BHJP
   B41F 15/12 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B41F35/00 C
   B41F15/12 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-508415(P2016-508415)
(86)(22)【出願日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】JP2014057729
(87)【国際公開番号】WO2015140982
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2016年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 猛志
(72)【発明者】
【氏名】江夏 康仁
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−233675(JP,A)
【文献】 特開2007−307759(JP,A)
【文献】 実開平01−083544(JP,U)
【文献】 特開平05−193116(JP,A)
【文献】 特開2000−280447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 35/00
B41F 15/12
B41F 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に移動自在に支持された可動部と、
前記可動部に液体を供給するように構成された液体供給部とを備え、
前記可動部は、液体を消費する作業部を含み、
前記液体供給部は、
前記可動部より低い位置に配置され、前記基台に対する移動が規制された液体用タンクと、
可撓性を有し、前記液体用タンクから前記可動部に延びる管状部材と、
前記可動部に設けられ、前記管状部材を通じて前記液体用タンク内の液体を前記作業部に供給するように構成されたポンプとを備え
前記作業部は、スクリーン印刷用マスクに対して移動して前記マスクを洗浄するように構成されたクリーナヘッドであり、
前記液体供給部は、前記クリーナヘッドに設けられた前記ポンプを使用して前記液体用タンク内の洗浄液を吸入し、前記クリーナヘッドに供給するものであることを特徴とするスクリーン印刷機
【請求項2】
請求項1記載のスクリーン印刷機において、
前記ポンプと前記作業部との間の液体供給路に設けられ、この液体供給路を流れる液体の有無を検出するように構成されたセンサを有することを特徴とするスクリーン印刷機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液を消費するクリーニングヘッドを備えたスクリーン印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を消費する可動部を有する作業装置としては、スクリーン印刷機のクリーナがある。このクリーナは、スクリーン印刷用マスクの下方で水平方向に移動するクリーナヘッドを備え、このマスクを洗浄する。このクリーナヘッドは、上述した可動部を構成する。クリーナヘッドは、スクリーン印刷機の基台に水平方向へ移動自在に支持されており、駆動装置によって駆動されてマスクに対して移動する。
【0003】
クリーナヘッドは、マスクの汚れを拭き取るクリーニングテープを備えている。このクリーニングテープは、洗浄液を含んだ状態でマスクに押し付けられる。洗浄液は、基台に取付けられたタンクに溜められており、洗浄時にタンクからクリーニングテープに供給される。タンクとクリーニングヘッドとは、可撓性ホースによって接続されている。この可撓性ホースの途中には、ポンプが設けられている。
【0004】
このポンプは、基台側に設けられており、タンク内の洗浄液を吸入し、クリーニングヘッドに向けて吐出する。
このクリーナは、洗浄液をクリーニングテープに供給した後、クリーニングテープがマスクに押し付けられている状態でクリーニングヘッドが移動することによって、マスクを清掃する。クリーニングヘッドが移動するときは、可撓性ホースが撓んで変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−307759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているスクリーン印刷機では、洗浄時にクリーニングヘッドがマスクに沿って移動すると、可撓性ホースが変形する。変形した可撓性ホースが他の部材に接触すると、この接触部分が摩耗するおそれがある。この摩耗が過度に進行して可撓性ホースに穴が開くと、ポンプによって圧送された洗浄液が漏洩することになる。洗浄液が漏洩した場合は、ポンプの吐出圧で飛ばされた洗浄液によってマスクの下方が広い範囲にわたって汚れてしまうし、マスクの下方に位置する電子機器の通電部分が洗浄液で短絡するおそれもある。このため、スクリーン印刷機のような可動部で液体を消費する作業装置においては、可撓性ホースから液体が漏洩することを確実に防ぐことが要請されている。
【0007】
本発明はこのような要請に応えるためになされたもので、液体をタンクから可動部に導く管状部材に穴が開いたとしても、液体が漏洩することがないスクリーン印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係るスクリーン印刷機は、基台と、前記基台に移動自在に支持された可動部と、前記可動部に液体を供給するように構成された液体供給部とを備え、前記可動部は、液体を消費する作業部を含み、前記液体供給部は、前記可動部より低い位置に配置され、前記基台に対する移動が規制された液体用タンクと、可撓性を有し、前記液体用タンクから前記可動部に延びる管状部材と、前記可動部に設けられ、前記管状部材を通じて前記液体用タンク内の液体を前記作業部に供給するように構成されたポンプとを備え、前記作業部は、スクリーン印刷用マスクに対して移動して前記マスクを洗浄するように構成されたクリーナヘッドであり、前記液体供給部は、前記クリーナヘッドに設けられた前記ポンプを使用して前記液体用タンク内の洗浄液を吸入し、前記クリーナヘッドに供給するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るスクリーン印刷機においては、ポンプが動作することにより管状部材内が負圧になる。管状部材に穴が開いた場合、ポンプが動作していると、この穴から空気が管状部材内に吸入される。ポンプが停止した後は、空気がこの穴から管状部材内に入り、管状部材内の液体が基台側に位置するタンクに戻る。
したがって、本発明によれば、液体をタンクから可動部に導く管状部材に穴が開いたとしても、液体が漏洩することがないスクリーン印刷機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、参考例による作業装置の構成を示す側面図である。図1は、タンクを破断した状態で描いてある。
図2図2は、本発明の実施の形態によるスクリーン印刷機の構成を示す側面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態によるスクリーン印刷機の構成を示す正面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態によるスクリーン印刷機の構成を示す斜視図である。
図5図5は、本発明の実施の形態によるクリーナ部の構成を示す側面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態によるクリーナ部の構成を示すブロック図である。
図7図7は、本発明の実施の形態によるスクリーン印刷機の制御系の構成を示すブロック図である。
図8図8は、本発明の実施の形態によるスクリーン印刷機の印刷動作を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、本発明の実施の形態によるスクリーン印刷機のクリーニング動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前提となる技術
以下、本発明の前提となる技術図1に示す参考例によって詳細に説明する。
図1に示す作業装置1は、基台2の上に設けられた可動部3に含まれる作業部3aで液体4を消費するものである。この種の作業装置1としては、例えば、塗布液を可動式ノズルによって被塗布部に塗布する塗布液塗布装置や、洗浄液を可動式クリーニングヘッドに供給する洗浄装置などが挙げられる。この場合、可動式ノズルや可動式クリーニングヘッドは、可動部3の一部を構成する。
【0013】
図1に示す作業装置1は、基台2と、可動部3と、この可動部3に液体4を供給する液体供給部5とを備えている。基台2は、工場(図示せず)の床6の上に置かれている。
基台2の上には、支持用フレーム7が設けられている。この支持用フレーム7は、基台2の上方で水平方向に延びるスライドレール8を備えている。上述した可動部3は、このスライドレール8によって水平方向へ移動自在に支持されている。可動部3は、液体4を消費する作業部3aを備えている。また、この可動部3は、駆動装置(図示せず)に接続されており、この駆動装置によって駆動されてスライドレール8に沿って移動する。
【0014】
液体供給部5は、基台2の横に位置する液体用タンク9と、このタンク9から可動部3に延びる管状部材10と、可動部3に設けられたポンプ11とを備えている。
タンク9は、基台2の側方であって可動部3より低い位置に配置され、図示していないブラケットによって基台2に取付けられている。すなわち、このタンク9は、基台2に対する移動が規制されたものである。
【0015】
管状部材10は、可撓性を有する材料によって形成されている。この管状部材10としては、例えばゴム製のホースによって構成することができる。この参考例による管状部材10は、可動部3が移動することにより過大な張力が加えられることを防ぐために、たるみ部12が形成される状態で基台2と可動部3との間に設けられている。たるみ部12は、側方から見て横置きのU字状に形成されている。
【0016】
ポンプ11は、電動モータ(図示せず)を駆動源として動作するもので、ポンプ11の吸入口11aは管状部材10によってタンク9に接続されている。吐出口11bは、液体供給路3bに接続されている。ポンプ11は、管状部材10を通じて液体4を吸引して可動部3の液体供給路3bに吐出する。言い換えれば、このポンプ11は、管状部材10を使用してタンク9内の液体4を可動部3に供給する。液体供給路3bは、ポンプ11の吐出口11bと作業部3aとを接続している。この液体供給路3bには、液体4の有無を検出するセンサ13が設けられている。ポンプ11を駆動する電動モータは、ポンプ11に一体的に組み付けられており、ポンプ11とともに可動部3に支持されている。
【0017】
このように構成された作業装置1においては、ポンプ11が作動することによりタンク9内の液体4が管状部材10を介してポンプ11に吸引され、ポンプ11から液体供給路3bを通って作業部3aに供給される。液体4は、作業部3aで消費される。管状部材10内は、ポンプ11が動作することにより負圧になる。
可動部3がスライドレール8に沿って移動すると、管状部材10が基台2に対して移動する。管状部材10は、可動部3がスライドレール8の一端と他端との間を往復することにより、基台2やその他の周辺の部材(図示せず)に繰り返し接触する。このため、管状部材10は、基台2やその他の部材と接触する部分が摩耗し、穴が開くことがある。
【0018】
管状部材10に穴が開いた場合、ポンプ11が動作していると、この穴から空気(大気)が管状部材10内に吸入される。ポンプ11が停止した後は、空気がこの穴から管状部材10内に入り、管状部材10内の液体4が基台2側に位置するタンク9に重力で戻る。
したがって、この参考例によれば、液体4をタンク9から可動部3に導く管状部材10に穴が開いたとしても、液体4が漏洩することがない作業装置を提供することができる。
【0019】
管状部材10に穴が開いた場合は、液体供給路3bを流れる液体4の量が減少する。液体4の量が減少すると、液体供給路3b内に空気が混入したり、液体4が存在していない状態になる。このように液体4が不足する状態は、センサによって検出される。このため、この実施の形態による作業装置1は、管状部材10に穴が開いたことを運転者に知らせることが可能なものとなる。したがって、この参考例によれば、作業の信頼性が高い作業装置を提供することができる。
【0020】
本発明の実施の形態)
本発明に係るスクリーン印刷機を図2図9によって詳細に説明する。
図2に示すスクリーン印刷機21は、基台22と、この基台22の上に搭載された各種の装置とを備えている。
前記基台22の上に搭載された各種の装置とは、基板搬送用のコンベア23およびクリーナヘッド24を有するコンベアユニット25と、印刷用のスキージユニット26などである。スキージユニット26は、詳細は後述するが、基台22の上にスキージ支持用フレーム27を介して支持されている。
【0021】
コンベア23は、プリント基板6の両端部を支えて搬送する構造のものである。このコンベア23の搬送方向は、図2の紙面とは直交する方向である。この実施の形態においては、このコンベア23の搬送方向をX方向といい、このX方向とは直交する水平方向をY方向という。コンベア23は、搬送駆動部23a(図7参照)による駆動によって、プリント基板6をX方向に搬送する。
【0022】
コンベアユニット25は、基台22上でY方向に延びるガイドレール28に移動自在に支持されている。また、コンベアユニット25は、X方向駆動部31(図7参照)とY方向駆動部32とを備えており、これらのX方向駆動部31とY方向駆動部32による駆動によって、X方向とY方向とに移動する。X方向駆動部31とY方向駆動部32は、図7に示すように、このスクリーン印刷機21の後述するコントローラ部33に接続されている。この実施の形態においては、このコンベアユニット25が本発明でいう「可動部」に相当する。
【0023】
コンベアユニット25は、コンベアユニット25上のプリント基板34を上方のマスク35に接触する印刷位置と、マスク35より低い搬送位置(図2参照)との間で移動させるために、上下方向駆動部36(図7参照)を備えている。この上下方向駆動部36は、コンベア23の上でプリント基板34をクランプすることが可能なものである。
【0024】
マスク35は、スキージ支持用フレーム27に取付けられており、このスキージ支持用フレーム27を介して基台22に支持されている。このマスク35は、本発明でいう「スクリーン印刷用マスク」に相当するものである。
スキージ支持用フレーム27の上には、スキージユニット26がY方向へ移動可能に設けられている。
【0025】
スキージユニット26は、図3および図4に示すように、スキージ37を有するスキージヘッド38と、スキージ37を移動させるためのアクチュエータ39(図7参照)とを備えている。スキージ25は、マスク35の上面に半田ペースト(図示せず)を塗布するためのものである。スキージユニット26のアクチュエータ39は、図7に示すように、Y方向駆動部39aと、上下方向駆動部39bと、回転方向駆動部39cとを備えている。これらの駆動部39a〜39cは、後述するコントローラ部33に接続されている。
【0026】
コンベアユニット25に設けられているクリーナヘッド24は、このスクリーン印刷機21に設けられているクリーナ部41(図5および図6参照)の一部を構成するものである。この実施の形態においては、このクリーナヘッド24によって、本発明でいう「作業部」が構成されている。クリーナ部41は、マスク35に付着した余剰の半田ペーストを除去するためのもので、乾式クリーナ42と湿式クリーナ43とを備えている。
【0027】
乾式クリーナ42は、マスク35の下面から半田ペーストを吸引して除去する吸引部材44(図5参照)を備えている。吸引部材44は、図示していないブロワーホースを介してブロワーモータ(図示せず)に接続されている。ブロワーモータは、ブロワーホースを介して吸引部材44から吸引した空気を吐出するものである。また、この吸引部材44は、図示していない昇降装置によって駆動され、クリーニング時に後述する吐出ノズル48とともにクリーナヘッド24に対して昇降する。
【0028】
湿式クリーナ43は、図6に示すように、タンク45と、可動部ホース46と、ポンプ47と、吐出ノズル48とを備えている。この実施の形態においては、この湿式クリーナ43が本発明でいう「液体供給部」に相当する。
タンク45は、洗浄液49(図5参照)を貯留するためのもので、図2図4に示すように、基台22の外側部に取付けられている。この実施の形態によるタンク45も、基台22に対する移動が規制されている。また、このタンク45は、クリーナヘッド24より低い位置に位置付けられている。洗浄液49は、半田ペーストが溶けるクリーニング溶剤である。この実施の形態においては、このタンク45が本発明でいう「液体用タンク」に相当する。
【0029】
可動部ホース46は、可撓性を有するホースによって形成されており、図5に示すように、タンク45の出口パイプ45aとポンプ47の吸入パイプ47aとを連通している。この可動部ホース46は、クリーナヘッド24がコンベアユニット25と共に移動したときに過大な張力が加えられることを防ぐために、たるみ部50が形成される状態で出口パイプ45aと吸入パイプ47aとに接続されている。たるみ部50は、図2図4に示すように、基台22のX方向の一端部上に配置されており、側方から見て横置きのU字状に形成されている。この実施の形態においては、この可動部ホース46が本発明でいう「管状部材」に相当する。
【0030】
ポンプ47は、図3に示すように、クリーナヘッド24の下端部に取付けられている。このポンプ47は、図示していない電動モータを駆動源として動作するもので、可動部ホース46から洗浄液49を吸引してクリーナヘッド24の液体供給路51(図5参照)に吐出する。言い換えれば、このポンプ47は、可動部ホース46を使用してタンク45内の洗浄液49をクリーナヘッド24に供給する。ポンプ47を駆動する電動モータは、ポンプ47に一体的に組み付けられており、ポンプ47とともにクリーナヘッド24に支持されている。
【0031】
液体供給路51は、ポンプ47の吐出口47bと後述する吐出ノズル48とを連通している。この液体供給路51には、溶剤到達センサ52が設けられている。溶剤到達センサ52は、液体供給路51内の洗浄液49の有無を検出するもので、検出信号を後述するコントローラ部33に送出する。
吐出ノズル48は、クリーナヘッド24の上端部に図示していない昇降装置を介して設けられている。この昇降装置は、クリーニング時に吐出ノズル48と上述した吸引部材44とをクリーナヘッド24に対して昇降させる。この昇降装置の動作は、コントローラ部33によって制御される。
【0032】
吐出ノズル48の上には、クリーニングテープ53が重ねられている。吐出ノズル48は、洗浄液49をクリーニングテープ53に供給するためのものである。この吐出ノズル48は、クリーニング時にクリーナヘッド24から上方に突出し、クリーニングテープ53をマスク35に下方から押し付ける。クリーニングテープ53は、図示していないテープ供給装置によって駆動されて所定長さずつ吐出ノズル48の上に繰り出される。
【0033】
コントローラ部33は、このスクリーン印刷機21の動作を制御するためのもので、図示していないCPUを有するコンピュータによって構成されている。この実施の形態によるコントローラ部33は、図7に示すように、駆動制御部61と、IO制御部62と、カメラ制御部63と、主制御部64と、記憶部65とを備えている。このコントローラ部33には、表示ユニット66と入力ユニット67とが接続されている。
【0034】
駆動制御部61は、コンベアユニット25と、スキージユニット26および基板カメラユニット68とに設けられている各種のアクチュエータの動作を制御する。基板カメラユニット68は、プリント基板34の識別用のマークやフィデューシャルマークなどを撮像するためのもので、基板カメラ部69と基板カメラ駆動部70とを備えている。基板カメラ部69の撮像範囲は、基板カメラ駆動部70によって駆動されて変化する。
【0035】
IO制御部62は、クリーナ部41に設けられているポンプ駆動用電動モータと、乾式クリーナ用昇降装置と、湿式クリーナ用昇降装置と、テープ供給装置などの動作を制御する。クリーナ部41の溶剤到達センサ52は、このIO制御部62に接続されている。
カメラ制御部63は、コンベアユニット25に設けられているマスクカメラ部71と、基板カメラユニット68に設けられている基板カメラ部69の動作を制御する。マスクカメラ部71は、マスク35に設けられている識別用マークやフィデューシャルマークを撮像するためのものである。このマスクカメラ部71の撮像範囲は、マスクカメラ駆動部72によって駆動されて変化する。
【0036】
主制御部64は、上述した駆動制御部61と、IO制御部62と、カメラ制御部63の動作を統括して制御する。
記憶部65は、基板データ73とマシンデータ74とを記憶している。基板データ73は、使用するプリント基板34の種類や大きさなどのデータである。マシンデータ74は、スクリーン印刷機21の各部の性能や使用履歴などのデータである。
【0037】
次に、このスクリーン印刷機21の動作を図8図9に示すフローチャートを用いて説明する。
このスクリーン印刷機21がプリント基板34に半田ペーストを印刷するときは、先ず、図8に示すフローチャートのステップS1に示すように、プリント基板34がコンベア23によってスクリーン印刷機21内に搬入される。次に、ステップS2において、プリント基板34がコンベア23の上に固定される。そして、ステップS3において、基板カメラ部69がプリント基板34のフィデューシャルマークを撮像し、コントローラ部33がプリント基板34の位置を認識する。
【0038】
その後、ステップS4において、マスクカメラ部71がマスク35のフィデューシャルマークを撮像し、コントローラ部33がマスク35の位置を認識する。次に、ステップS5において、版合わせが行われる。この版合わせは、コンベアユニット25がプリント基板34をX方向とY方向とに移動させプリント基板34の位置をマスク35に合わせることにより実施される。
【0039】
このように版合わせが行われた後、ステップS6において、スキージングが行われ、半田ペーストがプリント基板34に塗布される。スキージングとは、スキージ37が半田ペーストをマスク35上で掻き取る動作である。次に、ステップS7において、版離れが行われる。この版離れとは、プリント基板34をマスク35から下方に引き離す動作である。その後、プリント基板34の固定が解除され(ステップS8)、コンベア23によってプリント基板34が搬出される(ステップS9)。
【0040】
このように1枚のプリント基板34についてスクリーン印刷が終了した後、ステップS10において、コントローラ部33において生産枚数が加算される。そして、ステップS11において、スクリーン印刷を行ったプリント基板34の枚数が予め定めた生産枚数に達しているか否かをコントローラ部33が判別する。このとき、生産枚数が予定枚数に達している場合は、印刷動作が終了される。生産枚数が予定枚数に達していない場合は、ステップS12に進み、クリーニング処理が行われる。
【0041】
クリーニング処理は、図9のフローチャートに示すように行われる。クリーニング処理を実施するに当たっては、先ず、ステップP1において、クリーニングを実施するタイミングであるか否かをコントローラ部33が判別する。コントローラ部33がクリーニング処理を実施するタイミングではないと判別した場合は、クリーニング処理が終了する。クリーニング処理を実施するタイミングである場合は、ステップP2において、コントローラ部33がクリーニング方法を選択する。
【0042】
クリーニング方法は、乾式クリーナ42を用いる方法と、湿式クリーナ43を用いる方法とがある。この選択動作は、例えば運転者によって予め設定されたクリーニング方法を選ぶ場合と、プリント基板34の大きさや印刷箇所数などに適合した方法をコントローラ部33が選ぶ場合とがある。
乾式クリーナ42を用いるクリーニング方法が選択された場合は、ステップP3において、クリーナヘッド24がクリーニング開始位置に移動し、ステップP4において、クリーナヘッド24が上昇する。このときには、吸引部材44もクリーナヘッド24に対して上昇する。
【0043】
その後、ステップP5で乾式クリーナ42が吸引を開始し、その状態を保ちながらクリーナヘッド24がクリーニング終了位置まで移動する(ステップP6)。クリーナヘッド24がクリーニング終了位置に到達した後、乾式クリーナ42において吸引が停止し(ステップP7)、クリーナヘッド24が下降する。このときには、吸引部材44も下降する(ステップP8)。このようにクリーナヘッド24が下降することによって、乾式のクリーニング処理が終了する。
【0044】
ステップP2において湿式クリーナ43を用いる方法が選択された場合は、ステップP9において、クリーナヘッド24がクリーニング開始位置に移動し、ステップP10において、クリーナヘッド24が上昇する。このときは、吐出ノズル48もクリーナヘッド24に対して上昇する。吐出ノズル48が上昇することにより、クリーニングテープ53がマスク35の下面に押し付けられる。
【0045】
次に、ステップP11において、ポンプ47が動作を開始し、洗浄液49がタンク45から可動部ホース46を通してポンプ47に吸い込まれ、液体供給路51を通って吐出ノズル48に圧送される。洗浄液49は、予め定めた量だけ吐出ノズル48に供給される。吐出ノズル48に供給された洗浄液49は、吐出ノズル48からクリーニングテープ53に吐出され、クリーニングテープ53に吸い込まれる。このとき、溶剤到達センサ52が洗浄液49の有無を検出し、検出結果を検出信号としてコントローラ部33に送出する。
【0046】
コントローラ部33は、この検出結果を表示ユニット66に表示させる。この表示は、洗浄液49が液体供給路51を流れる(正常である)ことを表すものと、洗浄液49が液体供給路51を流れていない(異常である)ことを表すものとがある。
その後、ステップP12において、クリーナヘッド24がクリーニング終了位置に移動する。クリーニングテープ53がマスク35に押し付けられている状態でクリーナヘッド24が移動することにより、マスク35の下面がクリーニングテープ53によって拭かれて洗浄される。クリーナヘッド24が移動したときは、可動部ホース46のたるみ部50が変形するから、可動部ホース46に過大な引っ張り力が加えられることはない。
【0047】
クリーナヘッド24がクリーニング終了位置に移動した後、ステップP13において、クリーナヘッド24が下降する。このときは、吐出ノズル48も下降する。このようにクリーナヘッド24が下降することによって、湿式のクリーニング処理が終了する。
湿式のクリーニングが繰り返し行われることによりタンク45内の洗浄液49が減少する。タンク45は、基台22の外側部に取付けられている。このため、洗浄液49の補充は、作業者がスクリーン印刷機21の外から行うことができるから、スクリーン印刷機21を停止させることなく実施可能である。
【0048】
可動部ホース46のたるみ部50は、クリーナヘッド24の移動に伴って変形する。このため、たるみ部50を構成する可動部ホース46が他の部材との接触により摩耗し、この可動部ホース46に穴が開くことがある。
この実施の形態によるスクリーン印刷機21においては、ポンプ47が動作することにより可動部ホース46内が負圧になる。可動部ホース46に穴が開いた場合、ポンプ47が動作していると、この穴から空気(大気)が可動部ホース46内に吸入される。ポンプ47が停止した後は、空気がこの穴から可動部ホース46内に入り、可動部ホース46内の洗浄液49がタンク45に重力で戻る。
【0049】
したがって、この実施の形態によれば、洗浄液49をタンク45からクリーナヘッド24に導く可動部ホース46に穴が開いたとしても、洗浄液49が漏洩することがないスクリーン印刷機を提供することができる。
【0050】
この実施の形態によるスクリーン印刷機21において、可動部ホース46に穴が開くと、可動部ホース46内に空気が入り、ポンプ47の吐出口に接続された洗浄液供給路51に洗浄液49が無い状態となる。ここでいう洗浄液49が無い状態とは、洗浄液49と共に気泡が流れることを含む。洗浄液供給路には、洗浄液49の有無を検出する溶剤到達センサ52が設けられている。すなわち、可動部ホース46の穴が開いたことを溶剤到達センサ52によって検出することができ、運転者に知らせることが可能になる。このため、この実施の形態によれば、清掃動作の信頼性が高いスクリーン印刷機を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…作業装置、2,22…基台、3…可動部、3b,51…液体供給路、5…液体供給部、9,45…タンク、10…管状部材、11,47…ポンプ、13…センサ、21…スクリーン印刷機、24…クリーナヘッド、25…コンベアユニット、46…可動部ホース、48…吐出ノズル、52…溶剤到達センサ。
図1
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図9