(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中継信号(18)内にて運ばれ、車両アドホックネットワーク(1)を介して受信される、少なくとも位置データ(16)を有するデータパケット(43)の伝送の為の方法であって、
受信するデータパケット(43)を、予め定められたフィルタリング条件(54)に基づいてフィルタリングすること(47,48)、
フィルタリングされたデータパケット(50)を、フィルタリングされたデータパケット(50)が、別のレシーバーに伝送されるべきかどうかの識別(39)に基づいて別のレシーバーに伝送すること(42)を含む方法において、
予め定められたフィルタリング条件(54)が、予め定められた受信フィールド強さ(54)を含み、当該受信フィールド強さによって伝送すべきデータパケット(43)を運ぶ中継信号が受信される必要があり、
受信するデータパケット(43)を運ぶ中継信号が、予め定められた受信フィールド強さ(54)を上回る受信フィールド強さ(52)を有するとき、受信するデータパケット(43)がフィルター抽出され、及び/又は、
伝送すべきデータパケット(43,50)が、プライオリティを有する情報を含み、及びその際、予め定められた条件が、情報(17)のプライオリティの為の予め定められたプライオリティであり、その際、情報(17)のプライオリティンが予め定められたプライオリティよりも低いとき、伝送すべきデータパケット(43,50)がフィルタリングされ、
その際、予め定められたプライオリティが、中継の為に使用される通信チャネルのチャネル負荷を考慮のもと適合されることを特徴とする方法。
予め定められた受信フィールド強さ(54)が、予め定められた時間(55)にわたって受信されるデータパケット(43)の数量に基づいて決定される統計的な条件(56)に応じていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
統計的な条件が、予め定められた時間(55)にわたって中継信号(18)内で受信されるデータパケット(43)の所定の変位値(56)であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
メモリ及びプロセッサーを有し、コンピュータプログラムの形式の方法が、メモリ内に保管されており、そして、コンピュータプログラムがメモリからプロセッサーにロードされるとき、当該方法を実施するプロセッサーが設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の方法を実施するための伝送装置(39,42,47,48)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
課題は、そのような移動式アドホックネットワークの活用を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項に記載の特徴によって解決される。好ましい発展形は、従属請求項の対象である。
【0006】
本発明の観点に従い、車両アドホックネットワークを介して中継信号内で運ばれ、受信される、少なくとも位置データを含むデータパケットの伝送の為の方法は、
・受信するデータパケットを、予め定められたフィルタリング条件に基づいてフィルタリングすること、
・フィルタリングされたデータパケットが別のレシーバーに転送されるべきかの識別に基づいて別のレシーバーにフィルタリングされたデータパケットを伝送すること、
を含む。
【0007】
上述した方法は、車両アドホックネットワーク内には、交通状況に応じて、異なる強さのデータ負荷が発生することが可能であり、このデータ負荷は、その後、車両アドホックネットワークに参加する車両内の、又は他のノード内の対応するレシーバーによって処理される必要があるという思想に基づいている。その際、車両アドホックネットワーク内では大まかにいうと、送信すべき情報がまずデータパケット内にパッケージ化され、これがその後、再び中継信号上で変調される。相応して、送信される情報のレシーバーは、まず、中継信号からデータパケットをフィルタリングし、その後、情報をフィルタリングされたデータパケットから摘出する。その後初めて情報が、車両の運転者に知らせる為、又は車両の能動的な制御の為にすら使用されることが可能である。相応して演算集中的なアルゴリズムは、伝送の際にも必要である。例えば、フィールドテーブル等に基づいて伝送に関して自体、判断を行うためである。
【0008】
中継信号からのフィルタリングと、特に、データパケットからの情報の取り出しは、相応の演算リソースを必要とする。この演算リソースは、車両アドホックネットワーク内で発生するデータ負荷に応じて、相応して効率良くサイズを定められている必要がある。その際、サイズ決定は、最大限可能なチャネル負荷における極端な場合に合わせられる必要がある。しかし、最大限可能なチャネル負荷は、例えば極めて高い交通量(渋滞、…)のような特別極端な状況においてのみ使用されつくされる。このような状況においては、車両アドホックネットワークは、通常、冗長的な情報又は興味対象でない情報を有する多くの情報が中継される。冗長的な情報又は興味対象でない情報を有するそのような情報データパケットは、原理的に取り除かれる。
【0009】
これに関する判断は、しかし同様に相応して高い演算労力と結びつく。というのは、情報についての判断のために、まず、これら情報を報告する情報が摘出される必要があるからである。よって、データパケットは、情報と共に供給された情報に基づいてフィルタリングされるとき、演算労力の特別な減少や、これにともなう演算リソースの特別な減少は期待されない。
【0010】
ここで、上述した伝送方法は、データパケットを、これらの中にパッケージ化された情報に基づいて評価せず、むしろその前にデータパケット自体に基づいて評価するか、又は中継信号のレベルにすら基づいて評価するという思想と関連する。この為、予め定められた条件が導入される。これに基づいて、すでに中継信号に基づいて及び/又はデータパケット自体に基づいて、データパケット内にパッケージ化された情報がどれほど重要であるか、そしてデータパケットを伝送するのに十分な必要性(重要性)又は十分な可能性(十分自由なチャネル容量)が存在するかが検出されることが可能であるか、判断が行われることが可能である。
【0011】
そのようなアプローチは、すでにカメラシステムによる対象検出において既知である。これに基づいて同様に部分的に交通安全上クリティカルな決定が行われる必要がある。対象検出の基礎を成しているカメラのデータ量は、カメラからの直接のピクセルデータ量が、全ての必要な対象検出の為に直接使用されることは不可能であるほど多い。よってピクセルデータ量から必要な情報が中間段階で集められ、そして更に圧縮される。よって、第一の中間段階で、例えばピクセルデータ量から所定の対象情報及びシーン情報が集められる。これは例えば走行軌跡が車両の左及び/又は右であるか等である。しかし中間段階において、誤った判断がなされると、この誤った判断は、全ての後続する中間段階で現れ、そして重要な対象又はシーンがもしかするとそのようなものとして検出されないということに通じる。しかし、時間にわたって、全ての重要な対象のできるだけ良い検出が保証される。というのは、常に演算労力と検出性能の間の慎重な検討が実施されるからである。
【0012】
車両内の処理システムの為の車両アドホックネットワーク内のデータパケットのような、カメラからのピクセルはある種のローデータを意味するという知見と共に、カメラシステムによる対象検出の原理は、車両アドホックネットワークによる情報伝達にも転用されることが可能である。その際、重要な情報の選択は、既に記載した方法で中継信号及び/又はデータパケットのレベルで実施される。このようにして、全ての重要なデータパケットが伝送されることはもはや保証されない。しかし、例えば道路上の残置物(故障車等)のようなものからの、重要な情報を有するデータパケットは、しばしば送信されるということが考えられる。同じセンダーからの、同じ情報を有する二つの送信されるデータパケットの間の常に変化する境界条件によって、統計的な平均において、データパケットは適時に、所定の条件によって定義されたフィルターを通過し、そのようにして所望の目的を適時に達成するということが考えられる。上述したカメラシステムによる対象検出においてのように、これによって、本発明の枠内で、演算労力と検出性能の間で慎重に検討を行うことが提案される。これは、所定の条件によって変換される。当該条件は、演算労力と検出性能の間で慎重に検討を行うために、目的に適って時間にわたって変更される。
【0013】
上述した方法の発展形においては、データパケットは、データパケットを運ぶ中継信号に基づいてフィルター抽出されることが可能である。この為、予め定められたフィルタリング条件が、予め定められた受信フィールド強さ(この予め定められた受信フィールド強さによって、伝送すべきデータパケットを運ぶ中継信号が受信される必要がある)を含む。受信信号の受信フィールド強さに基づいて、例えば伝送すべきデータパケットのセンダーの距離が見積もられることが可能である。というのは、データパケットのセンダーが遠くなるほど、受信フィールド強さが弱くなるからである。この基準のみから、データパケットが情報自体によらず伝送されるべきかどうかの意味のある見積が既に行われることが可能である。
【0014】
伝送すべきデータパケットをフィルタリングするために受信フィールド強さを使用する可能性は、受信するデータパケットを運ぶ中継信号が、予め定められた受信フィールド強さを越える受信フィールド強さを有するとき、受信するデータパケットをフィルター抽出することである。この発展形は、伝送すべきデータパケットのセンダーの極めて近くに存在する伝送センダーは、伝送すべきデータパケットの到達距離を、著しく超えることが不可能であるという思想に基づいている。その結果、伝送すべきデータパケットが、車両アドホックネットワークのノードであって、伝送すべきデータパケットの当初のセンダーによって既に達されていないノードによって受信されるという可能性は低くなる。よって、この箇所における伝送は過剰であり、そして不必要に演算リソースを浪費する。
【0015】
上述した方法の追加的な発展形においては、受信フィールド強さが、統計的な条件に依存している。この条件は、予め定められた時間にわたって受信されるデータパケットの数量に基づいて決定される。この決定に基づいて、例えば交通状況、つまりきわめて少ないノードのみが、車両アドホックネットワーク内の上述した方法を実施するノードの通信領域内に直接的に存在しており、ここであらゆるチャンスが利用されるべきであること、各ノードがこの直接的な通信領域内で全ての重要なデータパケットを受け取るということ、が考慮されることが可能である。
【0016】
特別な発展形では、統計的な条件は、予め定められた時間にわたって受信される、中継信号内のデータパケットの変位値である。変位値は、原理的には任意に定義されることが可能である。これは、特に安価な方法で、百分率として定義される。その枠内で、例えば予め定められた受信フィールド強さが、時間中において最も強く受信される受信フィールド強さの所定のパーセンテージに決定されることが可能である。百分率は、例えば、50%から99%の間、好ましくは70%から80%の間、特に好ましくは75%に決定されることが可能である。
【0017】
上述した方法の他の発展形においては、データパケットはプライオリティを有する情報を含む。その際、予め定められた条件は、情報のプライオリティの為の予め定められたプライオリティである。そのようなプライオリティは、例えば「ドラフトC2C−CCベーシックシステム標準プロファイル」内においてトラフィッククラス(Traffic Classes)として定義されている。低いプライオリティのトラフィッククラスによって、所定のサービス品質が保証されないとしても、サービス品質が下がることが考えられる。というのは、車両アドホックネットワーク内における通信は原理的に無線で行われ、そして波拡散の物理的な実情に従うからである。トラフィッククラスに基づいて、まず、伝送すべきデータパケットの伝送が行われ得るかどうかチェックされることが可能である。これが所定の確かさであるときのみ、伝送すべきデータパケットが実際にも伝送される。
【0018】
目的に適って、所定の確かさの為に、固定的な、又は統計的に検出された閾値が選択される。これは、既に上述した方法で、予め定められる受信フィールド強さの枠内で決定される。モデルベースの方法も考え得るが、しかしここではモデルの評価は、全ての伝送すべきデータパケットが取り出され、そして得られた情報に基づいて評価されるときよりも、より少ない演算リソースが必要とされる。というのは、上述した方法が技術的に特に意味があるからである。
【0019】
本発明の別の観点に従い、伝送装置は、上述した請求項に従う伝送方法を実施するために設けられている。
【0020】
上述した伝送装置の一つの発展形に置いては、上述した装置はメモリー及びプロセッサーを有する。その際、上述した方法はコンピュータプログラムの形式でメモリー中に保管され、そしてコンピュータプログラムがメモリーからプロセッサーに読み込まれるとき、当該方法を実施するためのプロセッサーが設けられている。
【0021】
本発明の別の観点に従い、コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムが、コンピュータ上で又は上述した装置上で実施されるとき、上述した方法の全てのステップを実施するためのプログラムコード手段を有する。
【0022】
本発明の別の観点に従い、コンピュータプログラム製品は、コンピュータで読むことが可能なデータストレージ上に保存されており、そしてデータ処理装置上で実施されるとき、上述した方法の一つを実施するプログラムコードを含む。
【0023】
本発明の別の観点に従い、車両の為のトランシーバーは、車両アドホックネットワーク中の中継信号中を送信されるデータパケットの伝送の為に、
− 中継信号を受信するためのアンテナ、
− 中継信号からのデータパケットの少なくとも一部を伝送するための請求項9に記載の伝送装置を含む。
【0024】
本発明の別の観点に従い、車両は、上述したトランシーバーを含む。
【0025】
この発明の上述した特性、特徴及びメリット、及びこれらがどのようにして達成されるかという方法は、実施例の以下の説明との関係でより明らかとなる。実施例は、図面と関連して詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図中で同じ技術要素は、同じ参照符号を付されており、一度のみ説明される。
【0028】
本発明は、
図3に示された車両アドホックネットワーク(簡単の為、以下ではCar2Xネットワーク1と称する)の為のネットワークプロトコルに関する。このCar2ネットワーク1の技術的バックグラウンドの良好な理解の為に、先ず、このCar2Xネットワーク1対する詳細について詳細に説明する前に、その限定的な適用例が与えられる。
【0029】
よって
図1が参照される。
図1は、道路2上を走行する車両3の原理図を示す。
【0030】
本実施形内では、道路2上に、横断歩道4が存在している。そこでは、車両3が、道路2上で横断歩道4を横切っても良いか、又は図示されていない歩行者が横断歩道4上で道路2を横切っても良いかの補正が信号5によって行われている。横断歩道4と信号5の間には、本実施の枠内で、カーブ9の形式の障害が存在する。このカーブは、横断歩道4を、車両3の運転者並びに更に説明されるべき車両3の環境センサー技術に対し覆い隠している。
【0031】
走行方向7における車両3の前には、
図1において別の車両8が表されている。この車両は、横断歩道4上で交通事故10にて、点線で表された車両9ともつれており、そして車両3の走行方向7における走行軌跡はブロックされている。
【0032】
横断歩道4と交通事故10は、道路2上における危険状況を表している。車両3の運転者が、横断歩道4を見過ごし、よってこの前で規則に反して停止しないとき、彼は、横断歩道4を横切る際に、規則に合致した車両3の運転者の態度を信じている歩行者をひいてしまうかもしれない。両方の危険状況において、危険状況における危険対象との衝突、つまり歩行者及び/又は別の車両8との衝突を防止するために、車両3の運転者は、車両3を停止させせる必要がある。この為、Car2Xネットワーク1が使用されることができる。これについては後に詳細に説明する。
【0033】
車両3は、本実施において、グローバルサテライトナビゲーションシステム(以下GNSSレシーバー11と称する)のためのレシーバー11を有する。これを介して車両3は、公知の方法で、位置データを、絶対的地理的位置12の形式で検出し、そして例えば、ナビゲーションシステム13の枠内で利用することができ、これを、これ以上説明しない地理的マップ上に表示する。グローバルサテライトナビゲーションシステムの対応する信号14(以下GNSS信号14と称する)は、例えば、対応するGNSSアンテナ15を介して受信され、そして公知の方法でGNSSレシーバー11に伝送されることが可能である。
【0034】
車両は、本実施においては、更にトランシーバー16を有する。これを介して車両3は、ノードとしてCar2Xネットワーク1に参加し、そして例えば別の車両8及び/又は信号5のような他のノードと、以下にCar2X情報17と称する情報を交換することができる。このトランシーバー16は、GNSSレシーバー11に対する区別の為に、Car2Xトランシーバー16と称される。
【0035】
Car2Xネットワーク1を介して交換されるCar2X情報17内では、個々のピア3,5,8によって異なる情報が記載されたデータを交換することができる。これを介して、例えば道路2上における交通安全性が高められることができる。Car2X情報内で交換されることが可能である情報の例は、GNSSレシーバー11によって検出される、Car2Xネットワーク1の各ノード3,5,8の絶対的な地理的位置12等であろう。その様なデータは、位置データと称されることが可能である。Car2Xネットワーク1の地理的な位置12を受信したノード3,5,8が、車両、例えば交通事故10に参加していない車両3と、交通事故10に参加した車両8であるとき、Car2Xネットワーク1を介して受信された地理的位置12は、例えば、受信された車両3のナビゲーションシステム13上で、例えば交通の移動(動き)の表示の為に、使用されることができる。絶対的な地理的位置12の他に、交通事故10も、データを有する情報としてCar2X情報17内に記載されるとき、例えば交通事故10のような所定の交通状況がナビゲーションシステム13上により具体的に表されることができる。Car2X情報17と交換可能な情報は、後に
図2の枠内で詳細に説明される。
【0036】
Car2X情報17の交換の為に、トランシーバー16は、Car2X情報17を、以下にCar2X信号18と称される中継信号に変調し、そしてこれを、以下にCar2Xアンテナ19と称されるアンテナを介して、Car2Xネットワーク1内の他のノード3,5,8に送るか、又は、Car2Xアンテナ19を介してCar2X信号18を受信し、そしてこれから、相応するCar2X信号17を摘出する。この点については、後の箇所で
図3の枠内で詳細に説明する。その際、
図1には、Car2Xトランシーバー16がCar2X情報17をナビゲーションシステム13に、これが上述した方法で、これに表すことが可能である情報を含んでいるという仮定の下、出力する点が表されている。しかしこれは、限定的に理解されるべきでない。特に、目的に適って、GNSSレシーバー11も直接、又は
図2に示されるように間接的にCar2Xトランシーバー16と接続されていることが可能であり、固有の絶対的な地理的位置12をCar2Xネットワーク内で送信する。
【0037】
Car2X情報17及びCar2X信号18の構造と、これに伴いCar2Xネットワークの構造が、通信プロトコル内において定義されることが可能である。既にそのような通信プロトコルは、特に欧州内のETSIにおけるETSI TC ITSの枠内で及びIEEEにおける並びにアメリカ合衆国内のSAEにおけるIEEE1609の枠内で、各国特有のものとして存在している。これについての更な情報は、上述した仕様書内に見ることができる。
【0038】
車両3は、オプションとして、カメラ20及びレーダーセンサー21の形式の上述した環境センサー技術を有することが可能である。カメラ20によって車両は、画角22内で、車両3の走行方向7内で車両3の前に位置する一つのビューの画像を撮影することができる。この為、車両3はレーダーセンサー21及び相応するレーダー放射23によって車両3の走行方向7において観察して対象を検出し、そして公知の方法で車両3に対する間隔を決定することができる。
【0039】
Car2X情報17によって中継可能な情報を具体的にするために、以下にまず車両3及び別の車両5の構造について、車両3に基づき例示的に説明されるべきである。車両3は、様々な安全コンポーネントを有している。
図2にはそれらのうち電気的ブレーキアシスト24(EBA24と称される)と、公知の走行ダイナミクス制御25が示されている。特許文献2からEBA24の詳細が見て取れる一方で、特許文献3からは走行ダイナミクス制御25の詳細が見て取ることが出来る。
【0040】
車両3は、シャシー26及び車輪27を有している。各車輪27は、シャシー26に位置固定的に固定されたブレーキ28を介して、シャシー26に対して減速されることが可能である。道路2上における車両3の移動を減速させるためである。
【0041】
その際、当業者に公知の方法で、車両3の車輪27がその大地密着性を失い、そして車両3が、例えばこれ以上示されないハンドルを介して予め与えられる軌道から、アンダーステア又はオーバーステアによって離れて移動することさえ可能である。これは車両ダイナミクス制御25によって防止される。
【0042】
当該実施においては、車両4は、この為、複数の車輪27に複数の回転数センサー29を有する。これらは、車輪27の回転数30を検出する。
【0043】
検出された回転数30に基づいて、コントローラ31は、当業者に公知の方法で、車両3が走行路状で滑るか、又は上述した、予め与えられた軌道から逸脱し得さえし、そして相応して、それ自体公知のコントローラ出力信号32によってこれに反応するかを検出することができる。コントローラ出力信号32は、調整装置33によって使用されることが可能である。調整信号34によってブレーキ28のようなアクチュエータを駆動するためである。これらは、スリップや予め与えられた軌道からの逸脱に対して公知の方法で反応を行う。
【0044】
EBA24は、カメラ20を介して取得された画像データ35を介して、及び、レーダーセンサー21を介して取得された、走行方向7における車両3の前の車両のような対象までの間隔36を介して、評価を行い、そしてこれに基づいて危険状況を認識する。これは例えば、対象が、車両3の前において、これに高すぎる速度で接近するときに与えられることが可能であろう。その様な場合、EBA24は、調整信号34を介してブレーキ28による緊急ブレーキが実施されるよう、緊急ブレーキ信号37を介して調整装置33に支持を与える。
【0045】
EBA24又は車両ダイナミクス制御25が、調整装置33を介して車両4内に介入するたびに、例えば調整装置33は、
図2に点線で表された報告信号38を出力する。目的に適って、報告信号38は、EBA24によって又は車両ダイナミクス制御25によって、介入が行われたかを具体的にする。その様な報告信号38は、車両3内の任意のインスタンスによって、つまり例えば車両ダイナミクス制御25のコントローラ31によっても作りだされることが可能である。その後、情報生成装置39は、報告信号38、接待的な地理的位置12及び
図2に示された、タイマー40から出力されるタイムスタンプ41に基づいてCar2X情報17を生成し、これによって、EBA24及び/又は車両ダイナミクス制御25の介入が、情報としてCar2Xネットワーク1を介して他のノード5,8に報告されることが可能である。そのようにして生成されたCar2X情報17は、Car2Xアンテナ19を介してCar2Xネットワーク1内で使用されることが可能である。
【0046】
図1の例において、Car2X状17内で交換される、個々のノード3,5,8の絶対的な地理的位置12に関する情報、及び/又は、交通事故10及び/又は、EBA24及び/又は車両ダイナミクス制御25の介入ような事象に関する情報は、ナビゲーションシステム13上に運転者の情報提供の為に表されることが可能である。代替的に、又は追加的に、Car2X情報17内で交換される情報に基づいて、能動的な調整信号34も、例えば調整装置33によって生成されることが可能である。例えばEBA24の介入が、Car2X情報17内の情報として伝送されると、例えばこのCar2X情報17の受信に基づいて、受信された車両3,8内でEBA24が自動的に作動させられることが可能である。
【0047】
以下に、
図3に基づいて、Car2Xネットワーク1を介してのCar2X情報17の伝送が説明される。これは、
図3内では、視認性の観点からクラウドによって示唆されている。Car2X情報17の内容として、例えば、調整装置33によって報告信号38によって報告される、交通事故10に参加した事故車両8内へのEBA24の介入が推測可能である。
【0048】
既に説明したように、情報生成装置39は、報告信号38、絶対的な地理的位置12、及びタイムスタンプ41に基づいて、上述した通信プロトコルに従うCar2X情報17を生成する。情報生成装置39は、その際、Car2Xトランシーバー16の部分であることも基本的に可能である。
【0049】
Car2X情報17から、事故車両8のCar2Xトランシーバー16内で、データパケット生成装置42内で、データパケット43が生成される。データパケット43の生成によって、様々なアプリケーションからのCar2X情報17は、事故車両8内で唯一のデータストリームにまとめられることが可能である。Car2X信号18を生成する為である。データパケット生成装置42は、よって、ネットワーク層及びトランスポート層(英語:network and transport layer)に基づいている。その課題は、様々なアプリケーションのネットワークデータを輸送することである。受信されるデータパケット43を、Car2Xネットワーク1内の別のピアノード3,5,8への伝送する場合、情報生成装置39とデータパケット生成装置42は共に、ネットワーク層及びトランスポート層を意味する。これは、しかし基本的には、Car2Xネットワーク1の為の通信プロトコルの上述したスペックに依存している。
【0050】
生成されたデータパケット43は、変調装置44内で、Car2X信号18に変調され、そしてCar2Xネットワーク1内を無線で送信される。変調装置44は、よってインターフェース層に相当する。その課題は、事故車両8を、物理的にCar2Xネットワーク1内にリンクさせることである。変調装置44の課題も、Car2Xネットワーク1の為の通信プロトコルの上述したスペックに応じる。
【0051】
交通事故10に参加していない車両3の側で、事故車両8から送られたCar2X信号18は、その後、Car2Xアンテナ19を介して受信されることが可能である。
【0052】
Car2X信号18から、Car2X情報17を抽出するために、車両3のCar2Xトランシーバー16は、復調装置45を有する。これは、データパケット43のセンダー側の変調を公知の方法で元に戻す。相応して、情報抽出装置46は、Car2X情報17をデータパケットから抽出し、そしてこれを、車両3内のアプリケーション(ナビゲーションシステム13や調整装置33のようなもの)に提供する。最終的に、復調装置45と情報抽出装置46は、インターフェース層と上述したネットワークとトランスピート層に相応する受信側の対向ピースを意味し、そして同様に、Car2Xネットワーク1の為の通信プロトコルの上述したスペックに応じる。
【0053】
個々のネットワーク層の詳細は、よって関連するスペックが参照される。
【0054】
特に、高負荷状況において、道路2上に多数のノード3,5,8がCar2Xネットワーク内に存在するとき、各ノード3,5,8内で、Car2Xネットワーク1内を送信される全てのCar2X情報17の処理の為に、相応して高い演算リソースが確保される必要がある。受信側で、所定の時間枠内の全てのCar2X情報17の処理を保証する為である。このような高い演算リソースの提供は、相応して高いコスト費用と結びつく。これは本実施形の枠内で、プレフィルター47,48の導入によって減少されるべきである。
【0055】
高負荷状況において特に多くの演算リソースが必要とされる特別な場合は、以下に
図4に関して説明される。
図4には、共通のCar2Xトランシーバー16内の、事故10に参加していない車両3内のデータパケット生成装置42、変調装置44、復調装置45及び情報抽出装置46が表されている。
【0056】
交通事故10に参加していない車両3が、この交通事故10に関して情報を受けたCar2X情報17を受信すると、交通事故10に参加していない車両3はこのCar2X情報17に独自のタイムスタンプ41とその位置的位置12を与え、そして伝送すべきCar2X情報17’として、Car2Xネットワーク1内の他のノード5,8に伝送する。伝送に関する決定は、例えば情報生成装置39内で、所定の基準に基づいて行われる。当該基準については、以下ではもはや興味が無かろう。
【0057】
しかし明らかにされるべきは、Car2X信号内で受信され、そしてデータパケット43内にパッケージ化されたCar2X情報17が伝送されるべきかの決定は、基本的に、Car2X情報17のインフォメーションに基づいて行われる点である。というのは、このパターン(独語:Schema)の枠内において、各Car2X情報17は、Car2X情報18から抽出される必要があるからである。ここで第一のプレフィルター47および第二のプレフィルター48を有する本実施形が関係する。この中にデータパケットの一部と、ひいてはCar2X情報17の一部がフィルター抽出されることが可能である、第一のプレフィルター47がフィルタリングされたCar2X信号49を出力され、その際、これらが其々摘出されることない一方で、第二のプレフィルター48はフィルタリングされたデータパケット50を出力し、これらから同様に、当初、Car2X信号18内を送信されるデータパケット43の一部がフィルター抽出されることが可能であり、その際、これに含まれたCar2X情報17が摘出されることは無い。
【0058】
プレフィルター47,48の背景にある思想は、伝送の為に潜在的に重要でないCar2X情報17を可能な限り早期に選出し、これらが、伝送チェーン内の要素によって不必要に処理されなければならないということを防止することである。というのは、これらは伝送される情報17’の受信側ノードの為に重要でない情報及び/又は冗長的な情報を含むからである。このようにして、Car2X情報17の伝送に関して基本的に情報生成装置39内で必要な決定の為の演算労力が、明らかに減少されることが可能である。
【0059】
第一のプレフィルター47が、その際、Car2X信号18を本来のCar2X情報17の知識無しにフィルタリングすることが可能である一方、第二のプレフィルター48は、データパケット43を本来のCar2X情報17の知識無しにフィルタリングすることが可能であろう。これによって確かに、もはや、車両アドホックネットワーク1内を送信されるCar2X情報17のうち、全ての安全上クリティカルなCar2X情報17(例えばEBA24の介入に関する通知)が、実際にCar2Xネットワーク1内の全ての目標ノード5,8においても受け取られるということが保証されない。しかし、通常、そのような安全上クリティカルなCar2X情報17は、一度送信されるだけではないので、統計的な平均内において、そのような安全上クリティカルなCar2X情報17は、適切な時間枠内において、Car2Xネットワーク1内の少なくとも一つの伝送ノード内において、プレフィルター47,48を通過するということが考えられ得る。この適切な時間枠をできるだけ小さく保つために、プレフィルター47,48は、平均以上の確率でもって安全上クリティカルなデータがプレフィルター47,48を通過するよう構成されることが可能である。
【0060】
プレフィルター47,48内における可能な限り効率的なプレフィルタリングの為に、所定のフィルタリング条件が導入される。このフィルタリング条件に従い、Car2X信号18は、第一のプレフィルター47内で、及び/又はデータパケット43は第二のプレフィルター48内でプレフィルタリングされる。この所定のフィルタリング条件は、第一のプレフィルター47に対して、以下に
図4および5に基づいて説明される。これら図は、Car2X信号18とCar2X信号18に属するデータパケット43を運ぶ信号51の一例を信号強度52−時間53のグラフで示す。
【0061】
Car2X信号18は、任意のキャリア信号であることが可能である。この信号にデータパケット43が任意の方法で変調されていることが可能である。Car2X信号18は、Car2Xネットワーク1に参加する全てのノード3,5,8のデータパケット43を中継するので、事故車両のデータパケット43(これによって交通事故が伝えられる)の他に、Car2X信号18内には、事故10に参加していない車両3の近くに存在している可能性があるノード3,5,8のデータパケット43も運ばれることが可能である。
図1には別のシナリオを示されていたとしても、以下では、信号5の一つが、事故車両8よりも事故に参加していない車両3のより近傍に存在すると過程されるべきである。
図5に見てとることができるように、そのような、事故車両8に対して車両3により近くに存在するノード5は、そのデータパケット43が、事故車両8のデータパケット43の信号強度52よりも明らかに高い信号強度52でもって中継されることによって見分けられる。
【0062】
この箇所において、第一のプレフィルター47が稼働させられ、そしてCar2X信号18から、その信号強度52が所定の最大信号強度54を下回るデータパケット43のみがフィルター抽出される。この為、第一のプレフィルター47は、例えば、プレフィルタリングされたCar2X信号49内に、事故10に参加していない車両3のより近傍に位置するノード5のデータパケット43がフィルター抽出されるので、これが情報生成装置39にまったく到達せず、よって伝送に関する決定に、もはや組み入れられることができないよう、Car2X信号18をプレフィルタリングする。背後にある思想は、事故10に参加していない車両3が、Car2X情報17の為の近くに存在する情報源に対して有効な到達距離効率を達成することができないので、Car2Xネットワーク1内のほとんどのノードが、伝送されたCar2X情報17を冗長的に含まれ、そしてこれをその後、不必要に摘出する必要があるということである。よって、伝送ノード3から、予め定められた間隔を有する、Car2X情報17と、これに伴いデータパケット43のみが情報源から伝送されるべきである。このことは、受信場の強度に基づいて最も簡単に、又は受信の際のCar2X信号18の信号強度52において検出可能である。
【0063】
第二のプレフィルター48内では、その際、プレフィルタリングされたCar2X信号49からフィルタリングされたデータパケット43が、もう一度、示されていない方法で、別の最高信号強度に基づいて後フィルタリングされ、その際、第二のプレフィルターは、各データパケット43に対するCar2X信号18の信号強度52を知る必要がある。その際、
図5および6の最高信号強度54は、フィルタリングされたCar2X信号49から生じるデータパケット43の数量が、常に、例えば、使用可能な演算リソースによって処理されることが可能であるデータパケット43の所望のスループットよりも高いように選択されることが可能である。第二のプレフィルター内の別の最高信号強度によって初めて、所望のスループットにフィルタリングされたデータパケット50の数量が合わせられることが可能であるので、例えば必要な演算能力が、使用可能な演算能力に合わせられる。ここで、事故車両8のデータパケット43も、これが例えば車両3のあまりに近くに存在するとき、フィルター抽出されることが可能である。目的に適って、最高信号強度54は、別の最高信号強度よりも強く選択されるべきである。というのは、そうでないと第二のプレフィルター48が無効となってしまう可能性があるからである。
【0064】
最高信号強度54,55に基づくCar2X信号18及び/又はデータパケット43のフィルタリングは、Car2Xネットワーク1内のノード5,8(これらは潜在的な伝送ノードのあまりに近くに存在する)が、送信されたCar2X情報17の伝送の際に無視されるという効果を有する。というのは、伝送によって甚大な到達距離の拡大が達成されることが可能だからである。最高信号強度は、その際、受信するデータパケット43の為の所望のスループットに応じて選択されることが可能である。つまり、上述した例では、最高信号強度は、Car2Xネットワーク内の少ないトラフィックの場合には、相応して高く選択されることが可能であり、そして逆もしかりである。
【0065】
最高の場の強度のそのような可変の調整は、
図7aおよび7bを参照しつつ最高の場の強さ54を用いて後述して詳細に説明される。
【0066】
基本的に、最高の場の強度54は、統計的な条件に基づいて調整されることが可能である。これは、予め定められた時間55(この中で受信するデータパケット41.1から43.7の所定の数量が観察される)にわたって定義されることが可能である。当然、統計的な条件の定義の為に、フィルタリングされたデータパケット49もまた、第一のプレフィルター47の後に観察されることが可能である。
【0067】
最高の場の雇用度54の為の統計的な条件は、統計的な変位値の形式で定義されることが可能である。その枠内で最高の場の強度54は、観察されるデータパケット41.1から43.7から、相応するプレフィルタリング47,48の後、この観察されるデータパケット41.1から43.7における所定の下回り数量のみが考慮されるよう選択される。この為、変位値は例えば百分率56として定義されることが可能である。その枠内で、例えば、低い信号強度52を有する所定のパーセンテージのデータパケット41.1から43.7のみが、プレフィルタリング47,48の後に伝送される。この処理方法を明確にするために、予め定められた時間55内に観察されるデータパケット41.1から43.7は、
図7a内において受信の順番に、そして
図7b内ではCar2X信号18が受信されるその信号強度52に従いソートされて表されている。
【0068】
代替的に、又は追加的に、個々のデータパケット43は、第二のプレフィルター48内でそのプライオリティに基づいてフィルタリングされ、そして取り除かれることも可能である。このプレフィルタリングは、後述して、
図8aおよび
図8bに基づいて詳細に説明される。これらの中では、Car2Xネットワーク1のチャネル負荷が、例示的なCar2X信号18に基づいて、これがCar2Xアンテナ19によって使いきられることが可能であるように、Car2Xネットワーク1の二つの異なる状態で表されている。
【0069】
この為、まず、Car2X情報17がセンダー側で基本的に、FIFOと称される「ファーストインファーストアウト」の原理に従ってパッケージ化され、そして送信されるべきであることが言及される。このため、例えばキュー57が使用されることが可能である。この中でデータパケット生成装置42が、Car2X情報17から生成されたデータパケット43を保管し、そして変調装置44がデータパケット43をその順序(この順序でこれらがキュー57内に保管されている順序)に従ってCar2X信号18に変調する。
【0070】
図8aに示されているように、わずかのみのフリーな送信スペース58がCar2X信号18内に存在するとき、データパケット43がキュー57内で処理され、そして送信されるまで、相応して長くかかる。
図8bに示されているように、より多くのフリーな送信スペース58が存在するとき、相応してこれはより早く行われる。Car2Xネットワーク1内におけるチャネル負荷が高いほど、より少ないフリーな送信スペース58が使用可能となる。よって、相応して高いチャネル負荷の場合には、キュー57内には高いプライオリティを有するデータパケット43のみが導入されるべきである。
【0071】
確かに、情報生成装置42による取り除きが行われることは可能であるが、上述した技術的な境界条件のもと、フィルタリングをできる限り早期に行うことができるように、既に第二のプレフィルター48が、潜在的に伝送すべきCar2X情報17を有する、受信するデータパケット43が、そもそも摘出され、そして情報生成装置42に引き渡されるか決定を行うべきである。受信するデータパケット43から自体、すでに認識されることが可能であるとき、これが、低いプライオリティのCar2X情報17を運んおり、より少ないフリーな送信スペース58の場合で、これに伴いより高いチャネル負荷の場合には、第二のプレフィルター48内で既にこれが取り除かれるべきである。
【0072】
以下に本発明の別の観点を説明する。この観点は、センテンス1の上位概念に係る車両toX通信システムの演算労力の減少の為の選択方法に関する。
【0073】
いわゆる車両toX通信システムが、先行技術において公知である。これは、交通に関するデータの伝達の為にも、例えばアミューズメントアプリケーションのような様々なサービスデータの伝達の為にも形成されている。車両toX通信は、その際、複数の車両の間の相互のデータ交換(車両to車両通信)にも、車両とインフラ装置の間のデータ交換(車両toインフラ通信)にも基づいている。車両toX通信によって伝達される情報の信頼性とデータ安全性に軟する高い要求に基づいて、そのような情報は、追加的にしばしば、高コストのセキュリティ署名又はデータ暗号化を設けられる。
【0074】
そのようなセキュリティ署名の評価、又はそのようなデータ暗号化のデコーディングは、しかし比較的高い演算労力と結びつく。この為、例えば、ラッシュアワーの際に交通が混雑している都市部の交差点を通過することのような特別な状況が発生する。この際、受信する車両toXメッセージの全ての処理が、同様に、比較的高い演算能力の提供によってのみ可能であるような数量の車両toXメッセージが受信される。演算労力と、ひいてはそのような車両toX通信システムの演算モジュールの為の調達コストを低く抑えることができるように、先行技術においては、更に、様々な予処理方法が既知である。これらは、特に、受信する全ての車両toXメッセージのもと、デコーディングすべき車両toXメッセージを選択することに関する。しかし、そのような予処理方法は、予処理を実施するレシーバーの為に定められている車両toXメッセージに関するのみである。よって、先行技術において既知の予処理方法においては、車両toXメッセージのレシーバーが、受信する車両toXメッセージの多くを、いわゆるジオルーティン方法に従い伝送し、予め定められたエリアにおける他のレシーバーに供給する点は注意されないままである。しかしジオルーティン方法は、使用可能である演算能力に対して比較的高い要求を行う。というのは、相応して伝送アルゴリズムが複雑であるからである。
【0075】
よって本発明の別の観点の課題は、できる限り早期にフィルタリングを行うことによって、ジオルーティン方法によって処理すべきデータパケットの数量を減少させることである。
【0076】
この課題は、発明に従い、センテンス1に従う車両toX通信システムの演算労力の減少の為の選出方法によって解決される。
【0077】
その際、物理的な中継を介してナリッジを利用する、好ましくは共通の、または代替的な二つの方法が使用される。
【0078】
使用の為に、強い受信フィールド強さを有する受信するデータパケットが、高負荷状況においてもって、つまり、車両toX通信システムの高い演算負荷の状況において、ジオルーティン方法に供給されないことは有利である。これは、高い受信フィールド強さが、センダーとレシーバーの間のより少ない距離から生じるということに理由づけられている。少ない距離は、更に、レシーバーの車両toX通信システムによるデータパケットの伝送が、相応する車両toXメッセージの拡散エリアがほとんど広めないということを意味する。よって、比較的複雑かつ演算集中的なジオルーティン方法は、パケットをいずれにせよ伝送しない。しかしデータパケットは、好ましくは、まずジオルーティン方法に全く供給されないので、ジオルーティン方法の複雑な伝送アルゴリズムに基づく、伝送に関する決定の為に必要な演算能力は省略される。「強いフィールド強さ」の為の閾値は、その際、固定的に予め定められるか、又は、統計的な観察に基づいて、長さTのフレックスなタイムフレームにわたってフレキシブルに、かつ状況に応じて選択されることが可能である。このタイムフレームT内では、例えば、受信フィールド強さの百分率のうち上側、つまり例えば、P75(つまりこのタイムフレーム内のフィールド強さの上側の75%)が、「強いフィールド強さ」としてみなされる。逆に、弱い受信フィールド強さを伴うパケットは、プライオリティを付されてジオルーティン方法に供給される。
【0079】
他方、いわゆるトラフィッククラスによって定義されたプライオリティに基づいてデータパケットはまず、このトラフィッククラスのデータパケットの伝送又は送信が、現状のチャネル負荷のもと成功するであろうかのチェックを行われる。所定のチャネル負荷からは、つまり、車両toXメッセージの中継の為に使用される中継チャネルが所定分利用されつくされてからは、いくつかのデータパケット又は車両toXメッセージは、つまりそのトラフィッククラスに応じてもはや送信されない。中継チャネルを「詰まらせ」ないためであり、ひいては、安全上クリティカルなデータパケットの送信が、高いチャネル負荷においてもなお補償するためである。これが確かであるときのみ、受信するデータパケットは、ジオルーティン方法に供給される。確かさの検出の為に、例えばチャネル負荷の固定的な閾値が使用されることが可能であるか、又はこれらが、統計的な方法によって、つまり上述した方法に類似して、状況に応じて決定されることが可能である。中継チャネルの適当なモデルによるモデルベースの方法は、ここで場合によっては比較的高い演算労力がモデル自体の為に生じる可能性があるけれども、同様に好ましい。
【0080】
本発明は、よって、ジオルーティン方法の効率を改善する方法を記載する。というのは、ジオルーティン方法によって調査される情報の部分であって、成果をもって再送出されることが可能である部分、又はそもそも再送信される必要がある部分が、減少されるからである。これによって、全車両toX通信システムの為に必要な演算能力は明らかに下がる。これはここでもまた、より少ない演算強度であって、ひいては安価な演算ユニットの使用を可能とする。
【0081】
更に、本発明に係る方法によって、車両toX通信システム(この車両toX通信システムは、その弱い演算能力に基づいて通常は全くジオルーティン方法を実施することができない)は、少なくともいくつかの重要なデータパケットを伝送することが可能である。
【0082】
別のレシーバーに対する受信する車両toXメッセージの伝送は、その際、好ましくはいわゆるマルチホップに従い行われる。
【0083】
車両toXメッセージは、好ましくは、其々、車両環境の又は交通事象の所定の観点に対し、関係する複数の情報、又は一つの情報を有する一連のデータパケットからなる又は有する。
【0084】
別の好ましい実施形は、下位の請求項及び、図面に基づく後続する実施例の説明から生じる。
【0085】
図9は、本発明に係る方法の可能な一つのシーケンスを、フローチャートの形式で示す。
【0086】
図9の符号は、
図1から8の符号と異なる技術要素を示す。
【0087】
図9は、本発明に係る方法の可能な一つのシーケンスを、フローチャートの形式で示す。方法ステップ1においては、車両の車両toX通信システムによって、車両toXメッセージが受信される。受信する車両toXメッセージは、いわゆる分散型環境通報メッセージ(DENM)である。そのヘッダーは拡散エリア(これに対して当該車両toXメッセージが重要であり、かつ当該拡散エリア内においてこれは相応して再拡散されるべきである拡散エリア)を規定する。ヘッダーは、更に車両toXメッセージのプライオリティに関する情報を有している。これはより低く特徴づけられている。ステップ2においては、車両toX通信システムのアンテナに対する車両toXメッセージの受信フィールド強さが決定される。ステップ3においては、受信フィールド強さは、固定的に予め与えられた閾値の上にあり、ステップ4においては、受信する車両toXメッセージがジオルーティン方法に伝送されないことが決定される。というのは、これらはいずれにせよ、受信する車両に対して直接近傍にあるセンダーによって送信されるからである。受信する車両による車両toXメッセージによる追加的な伝送は、よって車両toXメッセージの処理の為にメリットをもたらさない。しかしステップ5において、受信フィールド強さが、固定的に予め与えられた閾値の下に位置する限り、後続するステップ6においては、まず、中継の為に使用される、又は使用可能である通信チャネルのチャネル負荷が決定される。例えば、これはIEEE802.11pに従うWLAN中継チャネルである。方法ステップ7において更に、受信する車両toXメッセージの低いプライオリティの為に、その伝送を補償することができるには、チャネル負荷があまりに高いと認められるとき、ステップ8において、受信する車両toXメッセージのがジオルーティン方法に伝送されないことが決定される。ステップ9において、しかし、受信する車両toXメッセージの低いプライオリティに基づいて、その伝送を補償するためにチャネル負荷が十分低いと確認されると、ステップ10において、これはジオルーティン方法に伝送され、そしてステップ11において再送信される。
【0088】
本発明の更なる観点は、以下のセンテンスによっても表される。
【0089】
センテンス1:車両toX通信システムの演算労力の減少のための選出方法であって、
その際、車両toX通信システムによって異なる種類の車両toXメッセージが受信され、及び/又は送信され、
その際、受信する車両toXメッセージの少なくとも一部が、車両toX通信システムによる再送信による伝送を要求する方法において、
伝送が、伝送の所定の必要性に応じて、及び/又は伝送の所定の可能性に応じて行われることを特徴とする方法。
【0090】
センテンス2:必要性が、車両toX通信システムの一又は複数のアンテナにおける受信フィールド強さの要求事項に従い決定されることを特徴とするセンテンス1に記載の方法。
【0091】
センテンス3:受信フィールド強さの為の第一の閾値が援用され、その下回りの際に、伝送が行われないことを特徴とするセンテンス2に記載の方法。
【0092】
センテンス4:第一の閾値が固定的に予め与えられていることを特徴とするセンテンス3に記載の方法。
【0093】
センテンス5:第一の閾値が状況に応じて決定されることを特徴とするセンテンス3および4の少なくとも一方の記載の方法。
【0094】
センテンス6:状況に応じた第一の閾値が、変化可能な時間にわたって、全ての受信する車両toXメッセージの受信フィールド強さの要求に応じて、決定されることを特徴とするセンテンス5に記載の方法。
【0095】
センテンス7:伝送の可能性が第二の閾値を下回るとき、伝送が行われないことを特徴とするセンテンス1から6の少なくとも一つの記載の方法。
【0096】
センテンス8:第二の閾値が、車両toXメッセージのプライオリティの要求に従い決定されることを特徴とするセンテンス1から7の少なくとも一つに記載の方法。
【0097】
センテンス9:第二の閾値が、中継の為に使用される通信チャネルのチャネル負荷の要求に従い決定されることを特徴とするセンテンス1から8の少なくとも一つに記載の方法。
【0098】
センテンス10:チャネル負荷がシミュレートされることを特徴するセンテンス9に記載の方法。
【0099】
センテンス11:必要性が第一の閾値を上回る車両toXメッセージ、及び/又はその可能性が第二の閾値を上回らない車両toXメッセージが、伝送アルゴリズムに伝えられる前に拒絶されることを特ちょつおするセンテンス1から10のいずれか一つに記載の方法。
【0100】
センテンス12:車両toX通信システムが、車両に付設されていることを特徴とするセンテンス1から11のいずれか一つに記載の方法。