特許第6374001号(P6374001)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6374001センサとの通信方法、通信装置、および通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374001
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】センサとの通信方法、通信装置、および通信システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20180806BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   G06F3/041
   G06F13/38 350
   G06F13/38 340E
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-542235(P2016-542235)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公表番号】特表2017-501499(P2017-501499A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2014078681
(87)【国際公開番号】WO2015097080
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年5月11日
(31)【優先権主張番号】102013114820.4
(32)【優先日】2013年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506038073
【氏名又は名称】イノヴァ セミコンダクトルズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リーデル、ミヒャエル
【審査官】 萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−210360(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0152141(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102008061712(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/041
G06F 3/048 − 3/0489
G06F 13/38
B60R 16/02 − 16/027
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストコントローラ(1)と、タッチスクリーンセンサ(11)との間の通信システムであって、
前記ホストコントローラ(1)と、
離間配置されたホストコントローラ(1)を介して制御可能なセンサ制御装置(10)と

前記ホストコントローラ(1)に接続され、前記ホストコントローラ(1)用のセンサーインターフェースとして構成された第2の機能ブロック(4)を含む送信機コンポーネント(3)と、
接続回線(5)を介して前記送信機コンポーネント(3)に接続されるか、あるいは接続可能な受信機コンポーネント(6)と、を備え、
前記受信機コンポーネント(6)内に、前記センサ制御装置(10)と通信するために信号伝達およびデータ伝送を行う第1の機能ブロック(7)が設けられ、
前記第1の機能ブロック(7)は、前記第2の機能ブロック(4)と通信するように構成され
記第2の機能ブロック(4)は、前記受信機コンポーネント(6)の第1の機能ブロック(7)と前記接続回線(5)を介して通信するように構成され、
前記受信機コンポーネント(6)の第1の機能ブロック(7)は、前記センサ制御装置(10)用のコントローラーインターフェースとして構成され、シリアルデータ回線として構成された前記接続回線(5)を介して前記ホストコントローラ(1)に必要なデータだけが伝送されるように前記センサ制御装置(10)と通信するために信号伝達を実行し、
前記第1の機能ブロック(7)は、前記センサ制御装置(10)から見た場合、離間配置され、通信終点をなす前記ホストコントローラ(1)のプロキシのように動作し、
前記タッチスクリーンセンサ(11)が、前記ホストコントローラ(1)が読み取りかつ
判定すべきデータを有するとき、前記第1の機能ブロック(7)は、前記データを前記タッチスクリーンセンサ(11)から取り出して、前記送信機コンポーネント(3)内の前記第2の機能ブロック(4)へ送信し、逆に、前記第1の機能ブロック(7)が前記第2の機能ブロック(4)から、前記センサ制御装置(10)へ転送されるべきデータ、あるいは、前記センサ制御装置(10)が読み取るべきデータを受け取るとき、前記第1の機能ブロック(7)がホストコントローラのように動作して、これらの処理を実行し、応答としてデータを前記第2の機能ブロック(4)へ送信し、前記第2の機能ブロック(4)は、前記ホストコントローラ(1)から見ると、前記センサ制御装置(10)との通信において前記センサ制御装置(10)のプロキシのように動作する、通システム
【請求項2】
自動車内部で使用するように構成された請求項1に記載の通信システム
【請求項3】
前記接続回線(5)は、
同軸ケーブル、単心ケーブル、または、四心ケーブルなどの多心ケーブルとして形成された、請求項1または2に記載の通信システム
【請求項4】
前記センサ制御装置(10)と前記受信機コンポーネント(6)は、二本の通信路(8,9)を介して接続され、これらの通信路のうち一方(8)はデータ伝送に用いられ、他方(9)は前記センサ制御装置(10)と前記第1の機能ブロック(7)との間の信号伝達に用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信システム
【請求項5】
第1段階における前記センサ制御装置(10)と前記ホストコントローラ(1)との間の初期化、第2段階における前記センサ(11)と前記ホストコントローラ(1)との間の実際のデータ伝送が実行されるように構成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信システム
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信システムは、車内にある最低1台のディスプレイのディスプレイコントローラ用に自動車内部で使用される。
【請求項7】
ホストコントローラ(1)と、タッチスクリーンセンサ(11)との間の通信方法であって、
センサ制御装置(10)が、離間配置されたホストコントローラ(1)を介して制御され

接続回線(5)を介して送信機コンポーネント(3)と接続された受信機コンポーネント(6)が、第1の機能ブロック(7)を介して前記センサ制御装置(10)と通信するために信号伝達を行い、
前記受信機コンポーネント(6)の前記第1の機能ブロック(7)は、前記センサ制御装
置(10)用のコントローラーインターフェースとして構成され、シリアルデータ回線として構成された前記接続回線(5)を介して前記ホストコントローラ(1)に必要なデータだけが伝送されるように前記センサ制御装置(10)と通信するために信号伝達を実行し、
前記第1の機能ブロック(7)は、前記センサ制御装置(10)から見た場合、離間配置され、通信終点をなす前記ホストコントローラ(1)のプロキシのように動作し、
前記タッチスクリーンセンサ(11)が、前記ホストコントローラ(1)が読み取りかつ
判定すべきデータを有するとき、前記第1の機能ブロック(7)は、前記データを前記センサ(11)から取り出して、前記送信機コンポーネント(3)内の第2の機能ブロック(4)へ送信し、逆に、前記第1の機能ブロック(7)が前記第2の機能ブロック(4)から、前記センサ制御装置(10)へ転送されるべきデータ、あるいは、制御装置が読み取るべきデータを受け取るとき、前記第1の機能ブロック(7)がホストコントローラのように動作して、これら処理を実行し、応答としてデータを前記第2の機能ブロック(4)へ送信し、前記第2の機能ブロック(4)は、前記ホストコントローラ(1)から見ると、前記センサ制御装置(10)との通信においてプロキシのように動作する、通信方法。
【請求項8】
前記センサ(11)が、前記ホストコントローラ(1)が読み取りかつ判定すべきデータ
を有する場合、前記受信機コンポーネント(6)内の前記第1の機能ブロック(7)へ要求
が送信されるか、あるいは代替的には、前記第1の機能ブロック(7)が、前記センサ(11)の前記センサ制御装置(10)の有効データを周期的にテスト(ポーリング)する、請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
第1段階における前記センサ制御装置(10)と前記ホストコントローラ(1)との間の初期化、および第2段階における前記センサ(11)と前記ホストコントローラ(1)との間の実際のデータ伝送が実行される、請求項7または8に記載の通信方法。
【請求項10】
コンピュータまたはプロセッサに搭載されて、前記コンピュータまたはプロセッサが請求項7〜9のいずれか1項に記載の通信方法を実行するように構成された命令を備えるコンピュータプログラムまたは該コンピュータプログラムを記憶するコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサとの通信方法、通信装置、および通信システムに関する。これに加えて、またはこれに代えて、本発明は、センサ、特には、タッチ感応画面、すなわち、いわゆる「タッチスクリーン」の形式などのタッチセンサ式入力装置の制御方法、制御装置、および制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
センサは、例えば、タッチ感応画面、すなわち、いわゆる「タッチスクリーン」の形式等のタッチセンサ式入力装置などの静電容量型入力装置として、および/または、表示フィールド、および、画面表示されて、マウス、カーソル、または直接タッチして操作可能なコンソールの形式などのコンソールを備える入出力装置としても構成可能である。
【0003】
静電容量型入力装置またはタッチ感応画面などのセンサの制御および/またはクエリのためには、センサと通信回線で結ばれた制御装置を用いることができる。
センサと制御装置との間、すなわち入出力装置と制御装置との間がより大きく離間する場合、各接続は、有線または無線で具体化されることが要求され、あるいは、より大きなデータ量を送信する必要があるかまたは送信しなくてはならない。この場合、待ち時間、すなわち信号遅延または信号ひずみが発生して制御の信頼性を劣化しかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、センサと、センサから離間して配置されている制御装置との間の通信の精度を、例えば待ち時間あるいは遅延時間を短縮することによって高め、かつ、上記通信の完全性を改良することである。
【0005】
さらに、本発明の課題は、独立装置クレームに記載の装置、および、独立方法クレームに記載の方法を提供することである。本発明の好ましい構成は下位クレームに記載される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、センサ、特には、タッチスクリーンなどのタッチセンサ式入出力装置形状のセンサとの通信装置が設けられ、この通信装置は、離間配置されたコントローラを介して制御可能な制御装置を備える。ここで、受信機コンポーネント内に、制御装置との通信を信号伝達する機能ブロックが設けられる。受信機コンポーネントは、通信回線を介して送信機コンポーネントと接続されるか、または接続可能である。
【0007】
送信機コンポーネントも、コントローラ用センサーインターフェースとして形成された機能ブロックを有してよく、この機能ブロックは、接続回線を介した受信機コンポーネントの機能ブロックとの通信用に設計される。
【0008】
上記装置は自動車用に設計されると好ましい。この場合、接続回線は、無障害で、オプションとしては傍受防止式の伝送ができる同軸ケーブル、単心ケーブル、二心ケーブル、四心ケーブルなどの一般には多心ケーブル、あるいは、光リンクとして形成され得る。
【0009】
制御装置と受信機コンポーネントは、双方とも二本の通信路を介して接続可能であり、これらの通信路のうち一方はデータ伝送に用いられ、他方は制御装置と機能ブロックとの間の信号伝達に用いられる。
【0010】
上記装置は、第1段階で制御装置とコントローラとの間をイニシャライズするように設計でき、第2段階でセンサとコントローラとの間の実際のデータ伝送ができる。
送信機コンポーネントの機能ブロックは、例えばコントローラ用センサーインターフェースとして構成されてよい。受信機コンポーネントの機能ブロックは、この場合、あるいは代替的に、制御装置用インターフェース、特にはコントローラーインターフェースとして形成され得る。
【0011】
機能ブロックは、例えば、制御装置との通信を信号伝達できる結果、好ましくはシリアルデータ回線として形成された接続回線を介してコントローラ(制御装置)に必要なペイロードだけを伝送できる。
【0012】
本発明の他の態様によれば、車内にある最低1台のディスプレイのディスプレイコントローラ用に自動車内部で使用され、上記実施の形態のいずれかに記載の装置を含むことができるシステムが提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、センサ、特には、タッチスクリーンなどのタッチセンサ式入出力装置形式のセンサとの通信方法が提供され、制御装置が離間配置されたコントローラ(制御装置)を介して制御され、通信回線を介して送信機コンポーネントと接続された受信機コンポーネントが機能ブロックを介して制御装置との通信用の信号伝達を行う。
【0014】
本方法において、第1の機能ブロックは、センサ制御装置(10)から見て通信終点を形成する離間配置されたコントローラ(1)のプロキシとしての役割を果たすことができる。センサが、ホストコントローラが読み取られかつ判定されるべきデータを有するときは、第1の機能ブロックは、例えばこれらのデータをセンサにおいて収集して、送信機コンポーネント内の第2の機能ブロックへ送信できる。第1の機能ブロックが第2の機能ブロックから、制御装置へ転送されるべきデータ、あるいは、制御装置が読み取られるべきデータを受け取るときは、逆に、第1の機能ブロックがホストコントローラのように振る舞って、これらの課題を片付け、場合によってはデータを応答として第2の機能ブロックへ送り戻すことができる。すなわち、第2の機能ブロックは、コントローラ1から見ると、センサ制御装置との通信においてプロキシのように振舞うことができる。
【0015】
本方法において、例えば、センサが、コントローラがリーティングかつインタープリットすべきデータを有するときは、要求を受信機コンポーネント内の第1の機能ブロックへ送信できる。これに代えて、第1の機能ブロックが、センサの制御装置の有効データを周期的にテスト(ポーリング)してもよい。
【0016】
本方法において、第1段階で制御装置とコントローラとの間をイニシャライズでき、第2段階でセンサとコントローラとの間の実際のデータ伝送ができる。
本発明は、コンピュータまたはプロセッサに搭載されて、このコンピュータまたはプロセッサが上に開示された方法を実行するように誘導する指示を含むコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品にも関する。
【0017】
以下に本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の装置の実施例を示す。
図2】本発明の方法の実施の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示す本発明の装置の実施例では、制御装置1が、例えばマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラの形式で存在し、通信回線2A,2Bを介して、送信コンポーネントなどとして形成されたコンポーネント3に接続される。この実施例では、通信回線2Aは、制御データ(コントロール)を伝送するために使用され、他方、通信回線2Bを介してペイロード(データ)が伝送される。コンポーネント3は、例えば自動車分野や自動車内で、ビジュアルデータ(画像データ)および/または音響データおよび/または制御データなどのペイロードをデータ伝送するために使用されるコンポーネントとして設計可能であり(自動車ピクセルトランスミッタ(Automotive Pixel Transmitter) APIX-TX)、オプションとして、例えばタッチ感応画面(タッチスクリーン)11として形成されたセンサ用のサポート機能としての機能ブロック4を備える。
【0020】
例えば自動車分野や自動車内でビジュアルデータ(画像データ)および/または音響データなどのデータ受信用に使用するコンポーネントとして、あるいは、一般的に受信機(Automotive Pixel Receiver) APIX-RX)として形成され得るもう一つの電子コンポーネント6は、センサ、すなわちタッチ感応画面11のサポート機能としての機能ブロック7を備える。機能ブロック7、すなわちサポート装置は、プログラムまたは機能としてソフトウェアバージョン内に設計してよく、「タッチサポート」と呼ぶことができる。接続部5は、両コンポーネント3, 6間の接続用リンクであり、コンポーネント3, 6に直接接続されてこれらを互いに接続し、例えば信号線、四心ケーブルまたは多心リンクなどとして形成してよい。接続部5は、代替的に、同軸ケーブル、単心または多心ケーブル、光伝送路、オプトカプラ、無線伝送リンクとして、および/または、他の方法で具現化され得る。
【0021】
制御装置10は、接続部8,9を介してサポート装置7に接続され、例えば接続部8を介してセンサ11からのデータおよびセンサ11へのデータだけが伝送され、他方、接続部9は、例えば信号伝達用のプロトコルワードおよびプロトコルデータの伝送用に設計される。制御装置10は、図1ではセンサ11とは別に表示されているが、センサ11に内蔵してもよく、センサ11の制御用にセンサ11に直接接続される。
【0022】
受信機などのコンポーネント6に実装されるサポート装置7は、この実施例では、タッチスクリーンとして形成されたセンサ11の制御ロジックへのインターフェースを形成する。機能ブロック7は、タッチ感応画面(タッチスクリーン)11の制御装置10(制御ロジック、タッチCtrl)への信号伝達を引き受ける。機能ブロック7は、例えば対応するプロトコルを介して、制御装置10との通信用に信号伝達を提供する。接続部5、すなわち対応するリンクを介して、マイクロコントローラ1にとって重要なデータだけを伝送すれば済む。
【0023】
図1に示す実施例では、ホストシステム、すなわちアプリケーションドメイン13が、「APIX」または「APIX ビデオ/オーディオ/データリンク」の形で、他のアプリケーションドメイン12、すなわちアプリケーションドメイン「タッチスクリーン」のデータを伝送する。
【0024】
図1に示す実施例は、機能ブロック7と制御装置10とのローカル通信、もしくは、機能ブロック4とマイクロコントローラ1とのローカル通信だけが必要な結果、接続部5を介した通信は不要であるため、タッチプロトコルを用いて通信の低遅延の利点を特徴とする。コンポーネント1,10間の信号伝達が、接続部5を介して伝送されなくてよい。この設計により、接続部5に伝送されるデータの量が相応に減るため、さらに帯域幅が狭まる。さらに、このようにすることで、機能ブロック(サポート装置)7と制御装置10との間の接続パスは非常に短くて済むため、エラー率も同時に減る。さらなる利点は、統一データフォーマットで異なるコントローラもサポート可能な点である。
【0025】
図1に示すシステムは、一実施の形態によれば、二つのコンポーネント、すなわちコントローラ(マイクロコントローラ)1とセンサ11との間の通信関係のマスタの役割をコントローラ(マイクロコントローラ)1が、スレーブの役割をセンサ11が担うことができるコントローラ・センサーシステムとして具現化され得る。このようなシステムでは、スレーブ、すなわちセンサ11は、オプションとして、マスタ、すなわちマイクロコントローラ1に、通信が必要であると伝える可能性を有する。
【0026】
このようなデータ通信は、一般的には、幾つかのケースでは、二つの質的に異なる段階(1)、(2)を有することができる。
第1段階(1)では、マイクロコントローラ(マスタ)1が一回限りの制限された期間中に、センサ11からの、またはセンサ11へのデータを読み取りおよび書き込みして、センサ11を設定したり、所望の作動方法へと設定する。この段階(1)は、システムリセット後、または、供給電圧印加後のイニシャライズ段階として実行され得る。これを図2のステップS1で示す。
【0027】
段階(2)では、マイクロコントローラ(マスタ)1が、センサ11からのデータを周期的にリーディングするか、または、代替的に、センサ11により周期的にデータ読み取りをするように要請される。このデータ読み取り工程またはデータ伝送要請工程は、通常、アドレスやデータ数に関してなどの論理的、物理的ビット構造上、全く同一のやり方で進行する。この段階(2)は、通常、イニシャライズ後、すなわち段階(1)後のコントローラ・センサーシステムの正常な作動方法と正常な機能を示す。これを図2のステップS2,S3で示す。
【0028】
制御装置1(例えばコントローラもしくはマイクロコントローラ)とセンサ11との間の通信は、この実施例では、通常は基板上の短距離やわずか数メートルのケーブルを伝達するためにしか適さないペリフェラルバスとして形成できる接続部を介して物理的に行われる。この目的のため、一実施例または複数の実施例において、UART, I2CやSPIバスを用いることができる。よって、通信データは、いわゆるピギーバッグ(Huckepack)であるApixアプリケーションにより伝達される。
【0029】
一実施例または複数の実施例において、制御装置1とセンサ11とは明確に離間させてよく、この場合、他の伝送テクノロジーを適用するか、および/または、プロトコルに則り他のデータが既に伝送されるリンク5などの既存の伝送チャンネルも、センサー11の制御用のこのようなデータ用やセンサーデータの伝送に利用できる。これらのデータは、例えば対応する信号伝達やプロトコルにより、既存のデータトラフィックに埋め込んでよいため、制御装置(コントローラ)1とセンサ11により専用に使われる接続ケーブルを送信機と受信機との間に追加せずに済む。ここで、他の共用通信ケーブル5をコンポーネント3(送信機)とコンポーネント6(受信機)との間で用いるという事実は、制御装置(コントローラ)1とセンサ11に対して全面的にトランスペアレントのままであって構わない。
【0030】
本発明の実施例では、制御装置(コントローラ)1とセンサ11からの通信データは、コンポーネント3とコンポーネント6とのデータ伝送という観点からは、最少量の伝送容量しか占めない。たとえ「キャリアチャンネル」としての役割を果たす接続部5が専用に用いられなくとも、コントローラ・センサー通信は、このチャンネルを介して伝送されるデータが削減されることにより、完璧、かつ、望ましくない時間的遅延なしに進行し、このことは、たとえプロトコルと「キャリアシステム」、すなわちコンポーネント3とコンポーネント6の伝送方法にしたがって正しく伝送すべく(例えばフレーミング、シリアライゼーション/デシリアライゼーション)、通信データを一時的に中間保存しても成り立つことである。
【0031】
図1の実施例では、送信機としての役割を果たすコンポーネント3と、受信機としての役割を果たすコンポーネント6とは、それぞれ機能ブロック4,7(タッチサポート)を含み、これを介して制御装置(コントローラ)1もしくはセンサ11がコンポーネント3,6間の既存の伝送システムに接続される。制御装置(コントローラ)1は、オプションとして、さらにコンポーネント6の機能ブロック7に、段階(1)の全処理をセンサ11で徐々に行うよう命じ、その代わりに全必須データを提供して、コンポーネント6が受取ってコンポーネント3へ伝送するセンサ11の応答を、コンポーネント3へのインターフェースで、すなわち接続部2を介して受け取る。センサ11に対し、コンポーネント6は、通信マスタとして機能し、制御装置(コントローラ)1の代役として振る舞い、その際、同様なインターフェースを使う。
【0032】
段階(2)では、制御装置(コントローラ)1は、この実施例および/または他の複数の実施例では、センサ11にコンポーネント3, 6を介しては接触しないため、元々の通信スキーマが存続できる。センサ11が、マスタ、すなわちコントローラ1により読み取られるべき、あるいは読み取られる必要があるデータを有するときは、機能ブロック7が、指示、例えば割り込み要求の形式でコンポーネント6へ送り、コンポーネント6は、コントローラのようにセンサ(11)からデータを収集してトランスペアレントにコンポーネント3へ送信する。機能ブロック4がデータ入力をコントローラ1において確認するとすぐに、コンポーネント3がコントローラ1におけるセンサーインターフェース、すなわち接続部2の接続領域にある、制御装置(コントローラ)1に接した、コントローラ1とコンポーネント3との間のインターフェースを用いて、コントローラ1にデータの存在を表示する。次いで、制御装置(コントローラ)1が、センサ11と直接接続した場合のように不変のままデータを収集し、この場合、コンポーネント3がセンサ11の役割を引き受ける。
【0033】
図1に示すように、コンポーネント3,6の一方または両方が、ビデオ/オーディオ/データなどのペイロードを対応するソース、シンク、もしくは中間ステップへ伝送するのに使用される。
【0034】
機能ブロック(タッチサポート)4,7(ここではAPIXベースの「キャリアシステム」の構成要素として例示)は、キャリアシステム通信の論理フォーマットと物理的フォーマット(コンポーネント3, 6)との間を変換し、ホストコントローラ1とセンサシステムの制御装置10との間を通信する。
【0035】
センサ制御装置10から見る場合、機能ブロック7は、その通信終点(センサーホストコントローラ)のプロキシとして振る舞う。つまり、センサ11が、ホストコントローラ1により読み取られるべきかつ判定されるべきデータを有するときは、例えば要求がコンポーネント6内の機能ブロック7に届く。これに代えて、機能ブロック7が、センサ11の制御装置10の有効データを周期的にテスト(ポーリング)してもよいであろう。センサ11に有効データがあれば、機能ブロック7がセンサ11においてこれらのデータを収集してコンポーネント3内の機能ブロック4へ送信する。機能ブロック7が、機能ブロック4から制御装置10へ転送されるべきデータ、あるいは、制御装置10により読み取られるべきデータを受け取るときは、逆に、機能ブロック7がホストコントローラのように振る舞って、これらの処理を実行し、場合によってはデータを応答として機能ブロック4へ送り戻す。
【0036】
ブロック(4)は、ホストコントローラ(1)から見ると、センサ制御装置(10)との通信上再びプロキシとして振る舞う。
この「タッチサポート」ブロック4,7は、自らキャリアシステム(「下位層」、ここではAPIX)のサービスを活用し、この機能に適したプロトコルを固有のインスタンス(ブロック4,7)間に実装することにより、OSI階層モデル的には、センサシステム(「上位層」)に物理的、論理的に不変のフォーマットで通信サービスを提供する階層を形成する。
【0037】
ここで、ブロック4,7のサービスデータユニット(SDU)は、制御データかペイロードであるかに関わらず、キャリアシステムAPIXのプロトコルデータユニット(PDU)に適切なやり方で埋め込まれ、伝送すべき他のデータと一緒にマルチプレックス内の既存リンク5上で送信機コンポーネントと受信機コンポーネントとの間に伝送される。このようにすることで、データを長距離伝送するのに適し、タッチスクリーン(コントローラ1,10,11)のアプリケーションドメインのデータだけを伝送するであろう他の伝送システムは使用せずに済む結果、上述の適用シナリオの実装にかかる技術的な手間が減る。
【0038】
この「プロキシ」原理(プロキシ原理)により、コントローラ1とコンポーネント6、もしくは、コントローラ1とセンサ11との追加通信をコンポーネント3,6を介してする必要がなくなる。このようにすることで、頻繁な照会は累積的に伝送容量が増え、稀な照会の場合は待ち時間が長くなるであろうという統合型通信システムの時間挙動の悪影響が防げる。
【0039】
段階(2)では、コンポーネント3,6、および、その間にあって回線5により形成される伝送チャンネルからなるキャリアシステムが全面的にトランスペアレントである。これとは異なり、オプションとして、コントローラ1が段階(1)用に、システム設計に応じて、コンポーネント3の存在に関する知識を利用し、送信機コンポーネント3を介してコンポーネント6とセンサ11との不可欠なインターアクションを指示、すなわち対応コマンドを出して伝送することができる。これに代えて、受信機コンポーネント3がすでに段階(1)でセンサ11のように振舞うこともでき、その場合コンポーネント3はコントローラ1に対しトランスペアレントである。
図2は、本発明による方法の実施例をさらに詳しく示す。ステップS1で、コントローラ1がセンサ11を設定して所望の作業方法へ設定する初期イニシャライズ段階が実行される。ステップS1は、図1の装置を備えるシステムをONする際や、リセット後などに実行可能である。
【0040】
ステップS2では、センサ11が提供するデータを周期的にブロック7により照会するのが好ましい。これに代えて、センサ11がS2で、センサ11が出すデータをリーディングするようブロック7に周期的に促してもよい。
【0041】
ステップS3は、ステップS2の前、後、もしくはそれと同時に実行可能であり、センサ11が生成したデータ、または、センサ11へあてがうべきデータが機能ブロック7を介して接続回線8もしくは9、または、リンク5へ伝送される。
【0042】
ステップS4は、ステップS3の前、後、もしくはそれと同時に実行可能であり、データが接続回線2,5上で機能ブロック4を介して送信機コンポーネント3内で変換されて各接続回線2または5へ伝送される。
【0043】
一実施例または複数の実施例において、図1に示すシステムは、自動車において、または自動車内に使用され、画像データなどの制御データまたはペイロードをタッチ感応画面から伝送するために使用される。これらのデータは、ユーザー側がコントローラ1へ入力するか、または逆方向にコントローラ1からタッチ感応画面11へ入力されて、この画面にビジュアル表示される。この実施例は、自動車制御システムもしくは自動車ディスプレイシステムの一部をなすことができる。
【0044】
コンピュータまたはプロセッサに搭載されて、このコンピュータまたはプロセッサが上に開示された方法を実行するように誘導する指示を含むコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品もまた提供される。
【0045】
ここまで、本発明について実施例に基づいて説明してきたが、本発明は開示した例に制約されることはない。当業者が認識できる変形形態、補足、省略であればどれでも、本発明の保護範囲から逸脱することはない。
図1
図2