特許第6374002号(P6374002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374002
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】ピンの径寸法を検査する装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/42 20060101AFI20180806BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B24B5/42
   B24B49/04 A
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-542392(P2016-542392)
(86)(22)【出願日】2014年9月16日
(65)【公表番号】特表2016-531014(P2016-531014A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】IB2014001837
(87)【国際公開番号】WO2015036851
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年7月26日
(31)【優先権主張番号】BO2013A000498
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】BO2013A000629
(32)【優先日】2013年11月19日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500200708
【氏名又は名称】マーポス、ソチエタ、ペル、アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】カルロ、ダラグリオ
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−522601(JP,A)
【文献】 特表2005−529345(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0232117(US,A1)
【文献】 特開2014−061590(JP,A)
【文献】 実開昭56−015652(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B5/36−5/50
B24B41/00−51/00
G01B5/00−5/30
B23Q17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥石車(1)を支持する砥石車スライド(2)を有する数値制御研削盤において、幾何学的軸(8)を中心に回転するピン(15)の径寸法を、加工中に検査する装置であって、
検査される前記ピン(15)と協働する基準装置(10)と、
前記基準装置(10)と共に移動可能な測定装置(6)と、
前記基準装置(10)と前記測定装置(6)とを支持する支持装置(4)であって、
前記砥石車スライド(2)に固定される支持部材(5)と、
前記幾何学的軸(8)と平行する第一回転軸(7)を中心に回転するよう、前記支持部材(5)に連結される第一連結部材(9)と、
前記幾何学的軸(8)と平行する第二回転軸(11)を中心に前記第一連結部材(9)に対して回転するよう、前記第一連結部材(9)に連結され、前記基準装置(10)を支持する第二連結部材(12)とを備える、支持装置(4)と、
前記支持装置(4)に連繋され、前記検査装置の検査位置に向けて、前記ピン(15)に対する前記基準装置(10)の配置をガイドするガイド機構と、
前記検査装置の休止位置から前記検査位置までの、又はその逆の、自動変位を制御する制御装置(39)とを有し、
前記ガイド機構が、前記砥石車スライド(2)と前記第二連結部材(12)との間に拘束連結部(20)を備え、
前記拘束連結部(20)が、
前記幾何学的軸(8)と平行し、前記第二回転軸(11)から離間した第三回転軸(21)を中心として回転するよう、前記第二連結部材(12)に連結された第三連結部材(22)と、
前記幾何学的軸(8)と平行し、前記第一回転軸(7)から離間した第四回転軸(25)を中心として回転するよう、前記支持部材(5)に連結された第四連結部材(24)とを備え、
前記第三連結部材(22)と前記第四連結部材(24)が互いに接続され、前記幾何学的軸(8)と平行する第五回転軸(23)を中心に相互に回転することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、前記ガイド機構が、
前記支持部材(5)に接続された停止面(33;33’)と、
第四連結部材(24)に接続されたベアリング面(27)とを備え、
前記ベアリング面(27)がガイド状態において前記停止面(33;33’)と係合することで、前記第一回転軸(7)に対する前記第五回転軸(23)の位置を画定し、前記第一連結部材(9)と前記第三連結部材(22)とを相互におおむね平行に配置する検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検査装置であって、前記ベアリング面(27)と前記停止面(33;33’)が接触すると、前記第一回転軸(7)と、前記第二回転軸(11)と、前記第三回転軸(21)と、前記第五回転軸(23)とが、平行四辺形構造の頂点となる検査装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の検査装置であって、前記停止面(33;33’)が、前記支持部材(5)に軸回転可能に接続された停止部材(30)によって画定される検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置であって、前記停止部材(30)がおおむね円筒状の部材であり、前記円筒状部材の側面が、部分的に前記停止面(33)を画定し、かつより小さい半径のセクター(31)を持つ可変半径を有する検査装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか一つに記載の検査装置であって、前記拘束連結部(20)が前記第四連結部材(24)に接続されたローラー(28)を備え、前記ローラー(28)が、前記幾何学的軸(8)と平行する第六回転軸(29)を中心に回転し、また、前記停止面(33;33’)と協動する前記ベアリング面(27)を画定する回転面を有する検査装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の検査装置であって、前記制御装置(39)が、駆動手段(41)と、前記支持部材(5)と前記駆動手段(41)とに接続されるスラスト部材(40)とを備え、前記スラスト部材(40)が、前記第一回転軸(7)を中心に回転し、かつ前記第一連結部材(9)と協働するスラスト面(42)を備えており、これによって、前記検査装置の前記休止位置から前記検査位置への自動変位が制御される検査装置。
【請求項8】
請求項4または5に記載の検査装置であって、前記制御装置(39)が、駆動手段(41)と、前記支持部材(5)と前記駆動手段(41)とに接続されるスラスト部材(40)とを備え、前記スラスト部材(40)が、前記第一回転軸(7)を中心に回転し、かつ前記第一連結部材(9)と協働するスラスト面(42)を備えており、これによって、前記検査装置の前記休止位置から前記検査位置への自動変位が制御され、また、前記停止部材(30)が前記スラスト部材(40)と一体的になり、前記停止面(33;33’)が前記第一回転軸(7)を中心となる検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検査装置であって、前記拘束連結部(20)が前記第四連結部材(24)に接続されたローラー(28)を有し、前記ローラー(28)が、前記幾何学的軸(8)と平行する第六回転軸(29)を中心に回転し、かつ、前記停止面(33;33’)と協動する前記ベアリング面(27)を画定する回転面を備える検査装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の検査装置であって、さらに連結・制限機構(60、70、80)を備え、これによって、前記基準装置(10)が前記幾何学的軸(8)と平行する振動軸を中心として、前記拘束連結部(20)に対して制限された角運動を可能にする検査装置。
【請求項11】
請求項10に記載の検査装置であって、前記連結・制限機構(60、70、80)が、
制限された前記角運動の範囲を画定・制限する少なくとも一組の機械的当接部(62、112、63、113;71、72、;82、122、83、123)と、
前記少なくとも一組の機械的当接部(62、112、63、113;71、72;82、122、83、123)を互いに対して押し付けるスラスト装置(65;75;85)とを有する検査装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の検査装置であって、前記基準装置(10)と前記測定装置(6)とを支持し、前記振動軸を中心として回転可能な第二連結部材(12)に接続される支持アーム(110;110’’)を備える検査装置。
【請求項13】
請求項12に記載の検査装置であって、前記連結・制限機構(60;80)が互いに対向する二つのストッパー(62、63;82、83)を備え、前記ストッパー(62、63;83、83)が、前記支持アーム(110;110’’)および前記第二連結部(12)のいずれか一つと一体的になり、制限された前記角運動の範囲を画定・制限する検査装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の検査装置であって、前記支持アーム(110)が第一連結部材(9)に対しても回転可能に接続され、前記振動軸が前記第二回転軸(11)と一致する検査装置。
【請求項15】
請求項12または13に記載の検査装置であって、前記支持アーム(110’’)が第三連結部材(22)に対しても回転可能に接続され、前記振動軸が前記第三回転軸(21)と一致する検査装置。
【請求項16】
請求項13に記載の検査装置であって、前記連結・制限機構(80)が、前記支持アーム(110’’)に固定、または前記支持アーム(110’’)と一体的に画定され、二つのストッパー(82、83)を画定するフォーク部材(81)を備え、前記二つのストッパー(82、83)が、前記第二連結部材(12)の互いに対向する面(122、123)に接触し、これによって、前記基準装置(10)の前記第二連結部材(12)に対する制限された角運動の範囲が画定される検査装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに一項に記載の検査装置であって、前記幾何学的軸(8)を中心として軌道回転をするピン(15)を検査する検査装置。
【請求項18】
請求項17に記載の検査装置であって、前記基準装置(10)が、前記ピン(15)の面と係合するベアリング面と基準面とを有するV字状の装置である検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥石車を支持する砥石車スライドを有する数値制御研削盤において、幾何学的軸を中心に回転するピンの径寸法を、加工中に検査する装置に関わる。該検査装置は、検査されるピンと協働する基準装置と、基準装置と共に移動可能な測定装置と、基準装置と測定装置とを支持し、砥石車スライドに固定される支持部材を有する支持装置と、幾何学的軸と平行する第1回転軸を中心に回転するよう、支持部材に連結される第1連結部材と、幾何学的軸と平行する第2回転軸を中心に第1連結部材に対して回転するよう、第1連結部材に連結され、基準装置を支持する第2連結部材と、支持装置と連繋し、検査装置の検査位置に向けて、ピンに対する基準装置の配置をガイドするガイド機構と、検査装置の休止位置から検査位置までの、又はその逆の、自動変位を制御する制御装置とを有する。
【背景技術】
【0002】
上記のような特徴(つまり、研削盤での加工中に、幾何学的軸を中心に軌道運動をするクランクシャフトのクランクピンの径寸法を検査する)を有する装置は、本出願と同一の出願人による特許文献1に記載されている。
【0003】
その出願において示した実施形態においては、検査装置は、検査対象のクランクピンに接触し、かつ主に重力によってクランクピンの面と適切な共働を維持するV字状の基準装置と、そのV字状基準装置に連繋するガイド手段とを備えている。このガイド手段は、検査装置の引き込み位置から作動位置への移動中に、クランクピンに係合する面を有する部材を備えている。
【0004】
特許文献1で開示されている解決方法は、測定に関しては、慣性力が小さいという良い結果をもたらし、本出願の出願人が同等の特徴をもつ装置を作成したところ、その解決方法の正当性や信頼性が確認できた。
【0005】
しかしながら、工作機械においては、検査装置のために使用できるスペースが足りないことにより、上述のようなガイド手段を有する検査装置を使用することが、困難、もしくは不可能な場合がある。つまり、そのようなガイド手段は、検査対象のクランクピンとの適切な協働を保証可能な所望の広さの面を持つことができないのである。
【0006】
特許文献2では(同じく本出願の出願人による)、別の異なるガイド手段が公開されている。この検査装置では、ガイド機構の制限装置が、連結部材の一つに接続される管状部材の中で摺動するシャフトを備えており、そのシャフトの両端部は、V字状基準装置の検査対象のピンに対する閉じ動作の段階において、他の連結部材の休止部材と固定部に係合する。この段階において四辺形が形成されるが、閉じ動作の最中には、シャフトの両端と休止部材との間の摺動摩擦によって、四辺形の形状が変化する。しかしながら、これによって、V字状基準装置と検査対象のワークピースが接触するまでガイド動作を行うことが可能になる。その後は、シャフトの両端部のうちの少なくとも一つが、対応する休止部材から離間する。
【0007】
この解決方法でも、良い実用的な結果がもたらされた。しかしながら、加工されるクランクピンの回転速度が上昇していくと、上述の二つの解決方法では、問題があることが分かった。一つは、V字状基準装置が回転するピンに接触する際の、V字状基準装置の「跳ね返り」であり、もう一つは、V字状基準装置の検査されるピンからの、目立たないが望ましくない分離である。これらの問題は、検査装置や工作機械の他の部品に対して重大な結果をもたらす可能性がある。特に、V字状基準装置が、適切な軌道から無視出来ない距離まで離れて、軌道運動をするピンを迂回するような動きをすれば、損傷や故障を招くことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第97/12724号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1118833号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、工作機械において機械加工する最中に、回転するピンの径寸法や形状を検査する(例えば、工作機械において、軌道運動をするクランクピンの加工中検査を行う)装置であって、正確さと繰り返し精度の点で引用した特許出願における装置と同等のパフォーマンスを保証し、さらに、シンプルで安価な手段を用いて信頼性を高め、故障を回避する装置を実現することを目的とする。
【0010】
この目的は、請求項1に記載の検査装置によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、本発明を、添付の図面に示した好ましい実施形態(非限定的な例)と共に詳しく説明する。
図1図1は、本発明の第一の好ましい実施形態による検査装置の部品を示した側面図であり、検査装置はクランクシャフト用の研削盤の砥石車スライドに取り付けられている。
図2図2は、図1の装置の異なる稼働状態における側面図であり、一部を省略して示している。
図3図3は、図1の装置の異なる稼働状態における側面図であり、一部を省略して示している。
図4図4は、図1の装置の異なる稼働状態における側面図であり、一部を省略して示している。
図5図5は、図1の装置の異なる稼働状態における側面図であり、一部を省略して示している。
図6図6は、図1の装置の異なる稼働状態における側面図であり、一部を省略して示している。
図7図7は、図1の装置の異なる稼働状態における側面図であり、一部を省略して示している。
図8図8は、図5の状態における装置の部品を示す拡大部分図である。
図9図9は、図2乃至図8の装置の斜視図である。
図10図10は、本発明の第二の好ましい実施形態による検査装置の部品を示した側面図であり、検査装置はクランクシャフト用の研削盤の砥石車スライドに取り付けられている。
図11図11は、本発明の第三の好ましい実施形態による検査装置の部品を示した側面図であり、検査装置はクランクシャフト用の研削盤の砥石車スライドに取り付けられている。
図12図12は、本発明の第四の好ましい実施形態による検査装置の部品を示した側面図であり、検査装置はクランクシャフト用の研削盤の砥石車スライドに取り付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明による検査装置の第一の好ましい形態であり、クランクシャフトを研削するためのCNC(コンピュータ数値制御)研削盤の既知の部品、特に、回転中心軸3を中心に回転する砥石車1を備えた砥石車スライド2を模式的に示す。ワークテーブルは、図示していないが、中心軸3と平行するように幾何学的回転軸8を画定するスピンドル及び死点を有する。加工されるクランクシャフトは、その主軸が幾何学的軸8と並ぶように、工作機械に取り付けられる。その結果、クランクシャフトの各クランクピンは(図では、一つのクランクピンのみを示しており、参照番号15を付してある)、幾何学的軸8を中心に軌道運動をし、上方位置15’と下方位置15’’を通る(軌道が取る位置はその他にもある)。クランクピン15は幾何学的軸8を中心に偏心回転して、その軸8に対して円形軌道を描くが、砥石車スライド2に対するクランクピン15の軌道は、実質的に、点線と参照番号16で示す円弧によって表すことができる。
【0013】
本発明による装置は、加工中に検査されるピン15と協働する基準装置10を有する支持アーム110を備えている。基準装置とは例えば、クランクピン15の表面と係合する基準面・休止面を有するV字状の装置である。このV字状装置は、図で示してあるように、他の側よりも長い側を有し、その長い側が砥石車1から遠い位置に配置されると都合がよい。そうすることで、さらなる研削効果がもたらされ、また、基準装置10を軌道運動するピン15に対して容易に接触させることができる。測定装置6は(これ自体は既知のものであり、例えば、先に引用した特許文献2で公開されているものと同様のもの)、基準装置に接続されてそれと共に移動可能になっており、また、フィーラ17の径方向変位を検知する。測定装置6はさらに、処理・表示装置100に電気接続され、この装置100は、研削盤の数値制御に接続されている(後者の接続は既知であるため図示していない)。フィーラ17は基準装置10に接続され、クランクピン15の検査表面に触れるようになっており、また、V字状の基準装置10の二等分線に相当する測定方向(または、その二等分線に対して若干角度をつけた測定方向)に沿って動くことができる。またフィーラ17は、相対基準面と休止面との間でV字状基準装置10を通る形になっている。
【0014】
V字状基準装置10と測定装置6を可動的に支持する支持装置4は、砥石車スライド2に固定される支持部材5を備える。検査されるクランクシャフトの幾何学的回転軸8と平行する第一回転軸7となる第一ピボットを介して、第一連結部材9が支部部材5に連結され、そして第一回転軸7を中心に回転する。また、第二回転軸11を画定する第二ビボットを介して(第二回転軸11もまた幾何学的回転軸8と平行する)、第二連結部材12が連結部材9に対して連結され、そして連結部材9に対して第二回転軸11を中心に回転する。基準装置10を支える支持アーム110は、第二ビボットを介して、第一連結部材9と及び第二連結部材12に回転可能に接続され、そして、第一連結部材9及び第二連結部材12に対して第二回転軸11を中心に回転する。上述のように、加工処理中に検査されるクランクピン15は砥石車スライド2に対する円弧16に沿って動くため、基準装置10がクランクピン15に対して接すると、基準装置10もまた同様の軌道を描く。このとき基準装置10は、クランクピン15の軌道運動の周期と同じ周期で(毎分数十回転)上下間を行き来する。このことは、本発明の検査装置が砥石車スライド2によって支持されて、この砥石車スライド2が、数値制御による現代的な研削において、砥石車1の研削面に対する接触を維持するようクランクピン15の軌道運動がクランクピン15に「追従する」間に、クランプピン15の加工を行うことによる。削り代を取り除くための閉じ動作によって、「追従」横断運動が助長されることは明らかである。
【0015】
支持装置4に対してはガイド機構が連繋され、これによって、クランクピン15に対するV字状基準装置10の配置(つまり、装置の検査位置に対する配置)をガイドする。このガイド機構は、砥石車スライド2と第二連結部材12の間に拘束連結部20を備える。拘束連結部20は、特に、第三ピボットを介して第二連結部材12に連結される第三連結部材22と、支持部材5に連結される第四連結部材24とを備える。第三連結部材22は、幾何学的軸8と平行し、かつ第二回転軸11から離間した第三回転軸21を中心に回転する。第四連結部材24は、幾何学的軸8と平行し、かつ第一回転軸7から離間した第四回転軸25を中心に回転する。第三連結部材22と第四連結部材24は互いに接続され、幾何学的軸8と平行する第五回転軸23を中心に相互に回転する。ガイド機構はさらに、支持部材5に接続され、結果的に砥石車スライド2と一体的に形成される停止面33と、第四連結部材24に接続され、停止面33と係合するベアリング面27とを備える。停止面33は、例えばカムなどの当接部材30によって画定され得る。当接部材30は、支持部材5に対して軸回転可能に接続されたおおむね円筒状の部材であり、その側面は、部分的に停止面33を画定し、またより小さい半径のセクター31を有する可変半径を持つ。これらの機能は後に説明する。同様に、ベアリング面27は、例えば第四連結部材24に接続されたローラ−28のようなもので実現できる。ローラー28は、幾何学的軸8と平行する第六回転軸29を中心に回転し、例えば円筒状面などの、ベアリング面27を画定する回転面を備えている。第四連結部材24と砥石車スライド2のある固定部との間には、トラクションスプリング37が配置される。固定部とは、例えば、支持部材5と一体的に形成される部分であり、図では参照番号38で示してある。このトラクションスプリングを設けることで、装置の動作のある一段階において、ローラー28のベアリング面27と、当接部材30となるカムの停止面33との係合が維持される。これを以下説明する。
【0016】
これら二つの異なる部品の配置と寸法は、ベアリング面27が停止面33に触れたときに(図1に示す状態である)、第一回転軸7に対する第五回転軸23の位置と、第一連結部材9と第三連結部材22の相互位置(おおむね互いに平行する)とが定まるようなものになっている。このようにすれば、ベアリング面27と停止面33が接触する状態において、第一回転軸7と第二回転軸11と第三回転軸21と第五回転軸23とが、平行四辺形構造の頂点を形成する。この構造は、互いに対向し平行する第一連結部材9及び第三連結部材22と、回転軸11と21との間の第二連結部材12の部分と、この部分と平行し、上述の配置位置において第一回転軸7と第五回転軸23との間の距離で表される事実上の一辺とを有する。この状態をガイド状態と呼ぶが、この状態では、停止面33が拘束連結部20と協働し、拘束連結部20と支持装置4が平行四辺形構造を形成する。また、V字状基準装置10の動きは、重力の影響で、平行四辺形構造によってもたらされる円形軌道を描く。つまり、砥石車1の外形と平行し、そこからわずかに離間した軌道である(図1では明瞭化のため、その離間距離を大きく示してあるが、実際には数ミリメートルである)。
【0017】
本発明による検査装置はさらに、連結・制限機構60を備える。この連結・制限機構60によって、V字状基準装置10が、幾何学的軸8と平行する振動軸を中心に、平行四辺形構造に対して制限された角運動をすることができる。このような連結・制限機構は、支持アーム110と一体的に形成される中央基準部111と、第二連結部材12と一体的に形成され、互いに対向するように配置された二つのストッパー62、63とで実現できる。ストッパー62、63は、中央基準部111の互いに対向する面112、113に触れるようになっている。ストッパー62、63は、それらの面112、113と共に、上述の制限された角運動の範囲を制限する機械的当接部のペアとなる。他の実施形態においては、ストッパー62、63が支持アーム110と一体的に形成されて、中央基準部11が第二連結部材12と一体的に形成されてもよい。また、スプリング65などのスラスト装置が、第一連結部材9に固定された第一フック部材66と、支持アーム110に固定された第二フック部材67との間に配置される。
【0018】
制御装置39は、休止位置と検査位置との間の装置の自動変位を制御するためのものであるが、図1において参照番号41で示す駆動手段と、スラスト部材40とを備える。駆動手段41は、第一回転軸7に沿って配置した軸の回転を制御する電動モータを備えている。スラスト部材40は、第一回転軸7となるピボットにおいて、支持部材5と駆動手段41に対して接続されている。駆動手段41によって、スラスト部材40が第一回転軸7を中心として、時計回り・反時計回りに回転する。スラスト部材40は、スラスト面42となる突起部を特徴として有している。スラスト面42は、第一連結部材9の端部側位置において側壁から突出するロッド13と協働する(つまり、それに接触する)ようになっている。この本発明の第一の好ましい実施形態においては、当接部材30を実現するカムは、スラスト部材40と一体的に形成される。また、第一回転軸7に中心がある停止面33は、スラスト部材40と共に回転するようになっている。
【0019】
休止部材34、35は、それぞれ第一連結部材9、支持アーム110と一体的に形成され、スプリング37の付勢力を受けて、互いに接するようになっている。この接触により、休止位置へと戻る段階中に行われる動作において、二つの部材9及び12の間の閉じ角が定まる。
【0020】
二つの安全ストッパー44、45は、それぞれ第四連結部材24、支持部材5と一体的に形成され、互いに接触するようになっている。この接触により、平行四辺形構造と砥石車1との間の閉じ角が定まる。具体的に説明すると、基準装置10が何らかの予測できない故障により、閉じ動作において、軌道運動をするクランクピン15を止めるのに失敗した場合、平行四辺形構造が折りたたまれて、結果として基準装置10が砥石車1に接触することを防ぐための接触である。
【0021】
図2、3、4、5は、一実施形態による支持装置4の側面図であり、四つの異なる作動状態を示している。具体的には、図2は装置の休止(非作動)状態を示しており、その状態では、V字状基準装置10が持ち上げられている。図5は、装置の作動状態、つまりクランクピン15の加工中の状態を示す。その状態では、V字状基準装置10がクランクピン15に接触しており、フィーラ17の動作が測定装置6によって検出される。測定装置6は、加工中のクランクピン15の径寸法に関する信号を処理・表示装置100に対して送信する。図3は、ガイド状態の途中の状態、つまり休止位置から検査位置への移動中の状態を示しており、その状態では停止面33がベアリング面27と接触している。図4が示す状態では、V字状基準装置10が予測不能の故障により、接近中にクランクピン15を捉え損ねて、下方位置15’’を通過してしまっている。
【0022】
図9は、図2乃至図5の検査装置の途中状態を示す斜視図であるが、この図からも分かるように、第四連結部材24はフォーク型となっており、その自由端部26において支持部材5を支点として回転し(既知の方法であるため図示せず)、これが第四回転軸25を画定する。第四連結部材24はさらに、第五回転軸23となる中央領域36において第三連結部材22を支点として回転する。
【0023】
以下、クランクピン15の加工中のいくつかの稼働段階において、本発明の装置がどのように動作するかを説明する。
【0024】
検査装置の休止位置への引き込みは、通常、検査装置の測定信号に基づいて、クランクピン15が所望の寸法(径寸法)に到達したと判定された段階で、研削盤の数値制御によって制御される。引き込み自体は、駆動手段41がスラスト部材40を時計回り(図における時計回り)に回転させることで起こり、そうすることで、スラスト面42がロッド13に接触する。結果的に、支持装置4の第一連結部材9などの部品が時計回りに回転し(これも図における時計回りである)、基準装置10が図2に示したような位置に上昇する。この動作の間、時計回りの回転の結果として、休止部材34、35が互いに接触し、第一連結部材9と第二連結部材12との間の閉じ角を制限する。これによって、V字状基準装置10と工作機械の部品との衝突が回避される。その後、クランクシャフトの他の箇所を加工してもよいし、加工が終了したのであれば、クランクシャフトを手動、または自動で取り除けばよい。
【0025】
別の新たなクランクピン15を加工する場合、それが砥石車1の前に移動され、検査装置が検査位置に移動する。これは、研削盤の数値制御と制御装置39の駆動手段41を介して、スラスト部材40を反時計回り(図における反時計回り)に回転させ、スラスト面42によってロッド13に与えられている付勢力を解放することで行われる。結果として、支持装置4の第一連結部材9、第二連結部材12などの部品が、重力の影響を受けて(つまり、検査装置の部品の自重によって)回転し、V字状基準装置10が、軌道運動をするクランクピン15の方向へ移動する。また、この動作の第一段階においては、休止部材34、35が互いに接する一方で、ストッパー62が中央基準部111の面112対して当接する。
【0026】
何らかの著しい回転があった場合、及び、V字状基準装置10が軌道運動をするピン15と砥石車1に向かって移動する間は、回転体28のベアリング面27が当接部材30の停止面33に接触し(図3)、トラクションスプリング37がベアリング面27と停止面33との接触を維持する。以降は、支持アーム110が拘束連結部20に対して回転し、中央基準部111の位置が変化する。また、ストッパー63と面113との間の付勢力よって、休止部材34と35が互いに離れる。上述したように、フォーク24の位置、及び結果的に第五回転軸23の位置が固定され、回転軸7、11、21、23を頂点とする平行四辺形の一部となるため、V字状基準装置10がクランクピン15の方向に移動するように案内される。このとき、クランクピン15は、砥石車の外形に平行し、かつ砥石車1から所定の距離だけ離れた(例えば2または3ミリメートル)円形軌道を描く(図3)。このクランクピン15が円形軌道を描く位置は、V字状基準装置10が、ピン15の軌道運動のどのタイミングでもピン15に触れることができる区画内にある。
【0027】
高い回転速度(例えば100rpm)で軌道運動をするクランクピン15に対して、V字状基準装置10が接触すると、機械的当接部のペアが、V字状基準装置10の砥石車1に対する望ましくない動きを制限する。望ましくない動きとは、V字状基準装置10が軌道運動をするピン15に接触したときに、跳ね返りの結果として起こり得る動きであり、また、装置や工作機械の部品に対して破損や危険な状況をもたらす可能性のある動きでもある。そのような問題が起こる状況というのは、特に、V字状基準装置10がピン15との衝突の結果、砥石車1から離間し、軌道運動をするピン15を乗り超えてしまう場合である。そのような動きを制限するため、具体的には、中央基準部111と二つのストッパー62、63から成る機械的当接部によって、幾何学的軸8と平行する振動軸を中心とした基準装置10の振動を制限する。図6及び図7では、V字状基準装置10の危険、かつ望ましくない動き、つまり、砥石車1から離れる動きの二つの例を示してある。第二連結部材12を含む平行四辺形構造に対して、そのような動きの結果として起こる支持アーム110の回転(図における反時計回りの回転)は、ストッパー62と中央基準部111の面112との接触によって制限される。これに対して、他のストッパー63と中央基準部111の他の面113との接触は、V字状基準装置10が砥石車1に向かう動きを制限する。
【0028】
上述のように、ガイド状態において平行四辺形によってもたらされる円形軌道は、大きさが限られているが、上述の区画において基準装置10とピン15との接触を確実なものにするには十分な大きさである。この軌道区画は、ベアリング面27と当接部材30の停止面33との間の第一接触に相当する上点と、当接部材30となるカムの形状、及びその角配置によって定まる下点によって画定される。具体的には、当接部材30の形状と配置は、スラスト部材40の回転中に、上述の軌道区画の端部において、基準装置10が検査対象のピン15に確実に接触すると、小さな半径のセクター31がベアリング面31に対向できるようなものとなっている。装置の稼働状態、つまり検査状態においては、ベアリング面27と停止面33は離間し、第一連結部材9及び第二連結部材12の自由な動きを妨げることはしない。実際のところ、検査段階においては、ピン15と基準装置10と間の適切な協働は、主に、重力と、検査装置の部品にかかる重力に対抗するクランクピン15の付勢力とによってもたらされる第一連結部9と第二連結部12の動きによって維持される。尚、V字状基準装置10のある一面が、ベアリング面27と停止面33との接触が起こる前に、軌道運動をするピン15に接触することもある。つまり、クランクピン15とV字状基準装置10の両側との完全な係合は、ガイド機構の関与がなくとも起こり得ることであり、特に、比較的大きな寸法のピン15の場合に起こることがある。その場合、V字状基準装置10は、検査状態において、上述の平行四辺形構造によってもたらされる距離よりも常に大きい砥石車1からの距離を保つ。
【0029】
比較的小さな寸法のピン15を用いることが一般的ではあるが、そのようなピンに限らず、ピンとV字状基準装置10との接触後は、続いて起こる、もしくは既に起こっているベアリング面27と停止面33との間の協働と、その結果として起こる円形軌道に沿ったV字状基準装置10の動きによって、V字状基準装置10とピンとの間の適切で完全な係合が阻害されることがある。このような状況は、スラスト部材40の回転動作が終了したときのみ起こり得る。つまり、当接部材30となるカムのセクター31(小さな半径を有している)がベアリング面27と対向し、平行四辺形構造によるV字状基準装置10の動きの制限が解除されたときである。
【0030】
よって、拘束連結部20を有するガイド機構を設けることによって、検査対象のピン15に対してV字状基準装置10を案内している。そのように動きを案内することによって、適切な検査位置で検査装置10をピン15に対して接触させることができる。拘束連結部20がこのガイド機能を行うのは、制御装置39によって制御される自動変位のある一点において、ベアリング面27と停止面33が接触したときである。このガイド機能によって、砥石車1の方向に向かう基準装置10の閉じ動作が制限され、そして、砥石車1の外形におおむね平行する軌道に沿って基準装置10が動くように案内される。そのような軌道に沿った動きの案内は、V字状基準装置10とピン15との間の適切な協働が起こるまで行われる。図1乃至図9における第一の好ましい実施形態においては、当接部材30となるカムの停止面33がベアリング面27から離れるまでである。その後の検査段階においては、第一連結部材9と第二連結部材12の自由な動きがガイド機構によって制限されることはない。これによって、検査段階では、V字状基準装置10(それに接続されているフィーラ17も含む)と軌道運動をする検査対象のピン15との間の適切な協働が保証される。
【0031】
もし何らかの予測不能の故障により、V字状基準装置10が閉じ動作中にピン15を捉え損ね、下方位置15’’を通過してしまい(図4)、さらに停止面33がベアリング面27から離れると、上述のように、安全ストッパー44と45との接触によって、V字状基準装置10と砥石車1との衝突が回避される。尚、図示した他の構成においては、安全ストッパー44と45を僅かではあるが離した状態で示してある(図によっては明瞭に示されていないこともある)。
【0032】
既知の解決方法に関して言えば(例えば、特許文献2の解決法)、拘束連結部20を有する本発明の装置の構造においては、平行四辺形構造を形成できることと、部品の摺動摩擦が実質的に無いことから、高い精度で案内された基準装置10の動きが可能である。
【0033】
また既に述べたように、本発明のガイド機構の構造により、簡単で信頼性のある方法で、基準装置10の砥石車1から離れる望ましくない動きを制限する機構を実現できる。
【0034】
図10は、本発明の第二の好ましい実施形態を示す。図10の装置は、第二連結部材12と一体的に形成される支持アーム110’と、異なる連結・制限機構70とを備える。連結・制限機構70は、拘束連結部20の第三連結部材22に固定されるスタッド71と、第二連結部材12に形成され、スタッド71とスラスト装置(スプリング75)を収容するスロット72とを備えている。スプリング75は、スタッド71の一面とスロット72の一面を互いに押し付け、よってスタッド71とスロット72は、機械的当接部の一組となっている。
【0035】
この装置の動作は、ガイド状態(V字状基準装置10が、平行四辺形構造によって検査位置へと案内される状態)に関しては、図1乃至図9で述べたこととほぼ同じである。V字状基準装置10が検査されるピン15に接触する前に、スロット72内のスタッド71の位置がスプリング75によって定まり、第三回転軸21も同様に定まる。V字状基準装置10が検査されるピン15に接触すると、基準装置10がピン15から受ける付勢力はスプリング75の付勢力に打ち勝って、その結果、基準装置10が振動軸(この場合第二回転軸11と一致する)を中心として、平行四辺形構造に対して制限された角運動を可能にする。図1乃至図9の場合のように、検査段階においては、ピン15と基準装置10と間の適切な協働は、主に、重力と、検査装置の部品にかかる重力に対抗するクランクピン15の付勢力とによってもたらされる連結部材9と12の動きによって維持される。
【0036】
連結・制限機構70、つまり、機械的当接部の一組となるスタッド71の面とスロット72の面、及び間に配置されるスプリング75によって、基準装置10の砥石車1から離れる望ましくない動きが制限される。望ましくない動きとは、上述したような、V字状基準装置10が軌道運動をするピン15に接触したときに起こる跳ね返りである。
【0037】
第二の好ましい実施形態は、例えば連結・制限機構70に関して他の構成を用いることもできる。連結・制限機構70は、第三連結部材22ではなく第二連結部材12に固定されたスタッド71と、第二連結部材12ではなく第三連結部材に形成されたスロット72を有してもよい。
【0038】
図11は、本発明の第三の好ましい実施形態を示す。この実施形態では、これまでの実施形態とは異なり、基準装置10を支持する支持アーム110’’が、第二連結部材12と第三連結部材22に対して回転可能に接続されており、そして支持アーム110’’が、第三回転軸21を中心として、第二連結部材12と第三連結部材22に対して回転するようになっている。異なる連結・制限機構80は、フォーク部材81を備えている。このフォーク部材81は、図11においては、支持アーム110’’と一体的に形成されているものとして示してあるが、支持アーム110’’に接続される別個の部材であってもよい。フォーク部材81は、二つのストッパー82、83を備えている。ストッパー82、83は、互いに対向し、第二連結部材12の互いに対向する面122、123に触れるようになっている。これらのストッパーにより、上述の制限された角運動の範囲が画定・制限される。連結・制限機構80はさらに、スラスト装置、つまりスプリング85を備えている。スプリング85は、ストッパー82、83のうちのいずれか一つを、第二連結部材12のいずれか一つの面に対して付勢する。図11の場合では、ストッパー82を面122に対して押し付けている。
【0039】
図11の装置の動作は、ガイド状態(V字状基準装置10が、平行四辺形構造によって検査位置へと案内される状態)に関しては、図1乃至図9で述べたこととほぼ同じである。V字状基準装置10が検査されるピン15に接触する前に、第二連結部材12に対する支持アーム110’’の位置(結果的に、平行四辺形構造に対する基準装置10の位置)は、スプリング85によって画定される。V字状基準装置10が検査されるピン15に接触すると、基準装置10がピン15から受ける付勢力はスプリング85の付勢力に打ち勝って、その結果、支持アーム110’’とそれが支持する基準装置10が、振動軸(この場合第三回転軸21と一致する)を中心として、平行四辺形構造に対して制限された角運動を可能にする。図1乃至図9の場合のように、検査段階においては、基準装置10とピン15との間の適切な協働は、主に、重力と、検査装置の部品にかかる重力に対抗するクランクピン15の重力と付勢力とによってもたらされる連結部材9と12の動きによって維持される。
【0040】
連結・制限機構80、つまり、機械的当接部の二組を形成する、ストッパー82、83と、第二連結部材12の互いに対向する面122、123によって、基準装置10の平行四辺形構造や砥石車1に対する望ましくない動きが制限される。望ましくない動きとは、上述したような、V字状基準装置10が軌道運動をするピン15に接触したときに起こる跳ね返りである。
【0041】
図11に示した実施形態に類似する本発明の実施形態は、例えば、振動軸やフォーク部材81の形状・配置に関しては、図示したものとは異なっていてもよい。振動軸は例えば、第三回転軸21の位置や図示した他の回転軸の位置とは異なる位置に配置されてもよい。フォーク部材81に関しては、既に述べた変更(支持アーム110’’との一体形成、もしくは支持アーム110’’に固定される別個の部材)の他に、ストッパー82、83を、第二連結部材12ではなく第三連結部材22の側面に配置する変更も可能である。その場合、第二連結部材12ではなく、第三連結部材22の互いに対向する面にそれらのストッパーが接触する。
【0042】
さらに、図10及び図11では、カム30とは異なる、支持部材5に接続された当接部材30’と、例えば面である停止面33’とを模式的に示してある。これらの実施形態でも、ガイド状態において、第四連結部材24のベアリング面27が当接部材30’の停止面33’に接触すると、拘束連結部20と支持装置4が平行四辺形構造を形成する。これによって、V字状基準装置10が重力の影響を受けて、そのような平行四辺形構造によってもたらされる円形軌道(つまり、砥石車1の外形に平行し、そこからわずかに距離を置いた軌道)を描く。
【0043】
図12は、本発明の第四の好ましい実施形態を示す。この実施形態においては、これまでの実施形態とは異なり、連結・制限機構が設けられていない。第二の好ましい実施形態のように、支持アーム110’は第二連結部材12に固定されている。
【0044】
図12の装置の動作は、ガイド状態(V字状基準装置10が、平行四辺形構造によって一区画へと案内される状態)、及び検査状態(基準装置10とピン15との間の適切な協働が、主に、重力と、検査装置の部品にかかる重力に対抗するクランクピン15の付勢力とによってもたらされる連結部材9と12の動きによって維持される状態)に関しては、図1乃至図9で述べたこととほぼ同じである。よって、図12の装置は、上述の実施形態のよる装置と同様の利点を有し、また、より構造的にシンプルで、低速度で回転するクランクピンの検査が可能である。また、図12の装置においては、V字状基準装置10と軌道運動をするピン15との衝突による応力や付勢力が弱くなる。
【0045】
本発明による検査装置は、例えば、他の部品の形状・寸法・位置などに関しても、構造的に異なっていてもよい。
【0046】
例えば当接部材30は、上述の機能や特徴を維持したまま、スラスト部材40と一体的に形成されずに、その他の場所に配置されてもよい。
【0047】
他の実施形態によれば、制御装置39のスラスト部材は、異なる既知の方法で実現することもできる。例えば、支持装置4の異なる面に作用する複動式油圧シリンダーであってもよい。
【0048】
本発明の装置は、特に軌道運動をするクランクピンの加工中検査に適しているが、軌道運動をする加工済みまたは未加工のピンの寸法・形状検査や、自身の軸を中心に回転するピンの加工前・加工中・加工後検査に対しても使用され得ることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12