(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
織物に適用するための充填材料は、公知である。
例えば、微細羽毛、ダウン、羊毛のような動物の毛は、毛布や衣類に充填するため既に長く使用されてきた。
充填材料は、軽量で優れた断熱性を兼ね備えているため、ダウンからなる充填材料は、非常に好ましく使用される。
この材料の欠点は、しかしながら、わずかに相互凝集するという点だけである。
【0003】
これらの充填材料を使用する代わりになるものとして、繊維球群がある。
繊維球群は、通常、ほぼ球の形状を有し、多かれ少なかれ互いに球状にもつれる繊維を含む。
例えば、特許文献1(欧州第203469A号公報)に記載される繊維球は、充填材料又は布張材料として使用することができる。
繊維球群は、長さが約10−60mm、直径が1−15mmであり、螺旋状に曲がって互いに絡み合うポリエステル繊維群からなる。
繊維球群は、しなやかで断熱性を有する。
ダウン、羽根群、動物の毛等と同様に、記述された繊維球群の欠点は、わずかに相互凝集するという点だけである。
したがって、繊維球群は、その少ない粘着性のために滑り得るため、繊維材料中において緩んだ状態にあると考えられ、繊維材料用の充填材料にはほとんど適さない。
繊維材料内における、滑りを防止すべく、これらは、しばしば、縫合されるものである。
【0004】
ダウンや動物の毛を使用する代わりになるものとして、不織繊維群又は不織布を充填材料として用いることがある。
不織布は、タイプ及び起源が任意の、有限長の繊維群(短繊維群)、フィラメント群(無限長繊維群)又は切断糸群からなる物体であり、何らかの方法で結合されてフリース(繊維状シート)となり、及び何らかの方法で共に接合されるものである。
【0005】
従来の不織繊維群又は不織布群の欠点は、ダウンのようなボリュームのある充填材料よりも、ふわふわ感が劣るという点である。
また、典型的な不織布は、使用期間が長くなるにつれ、その厚みが、だんだん薄くなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、良好な断熱能に、良好な柔らかさ、大きな嵩高性、高い圧縮弾性、低重量、及び物体を良好に包み込める適応性を兼ね備える不織布を提供するという点にある。
同時に、該不織布は、巻物として取り扱われるために、適切な安定性を有すべきである。
特に、該不織布は、切断可能、且つ、巻き上げ可能であるべきである。
更に、該不織布を製造するための方法が提供されるべきであり、同時に、該不織布を、毛布、衣類、及び/又は、布張家具等の、繊維材料のための充填材料としての使用が提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、次の不織布により解決される。即ち、特に、繊維球群、ダウン、及び/又は、微細羽根群である、ボリュームのある物質を備える不織布であって、該不織布は、単位面積あたりの質量が50g/m
2で、少なくとも1方向について、少なくとも0.3N/5cm、特に0.3N/5cmから100N/5cmの、DIN EN 29073により計測された最大引張強度を有するものである。
【0009】
「ボリュームのある物質」なる用語は、本発明に従う伝統的な意味で理解される。
「ボリュームのある物質」は、平均密度が0.01g/L−500g/L、好ましくは、1g/L−300g/L、特に1.5g/L−200g/Lとなる物質という意味になる。
本発明によれば、繊維球群は、「ボリュームのある物質」として好適に使用される。
しかしながら、ダウン、微細羽根群、エアロジェル群及び/又は発泡部品群のような、他の「ボリュームのある物質」が、使用されても良い。
【0010】
「ボリュームのある物質」を含む既知の製品とは対照的に、本発明に係る不織布は、良好な最大引張強度によって特徴付けられる。
例えば、引張強度を調整し、それにより、不織布を製造し、更に処理し、又、巻物として使用することができる。
不織布は、切断し、巻き上げることができる。
また、機能を失わずに洗浄できる。
【0011】
さらに、本発明に係る不織布は、良好な柔らかさ、大きな嵩高性、高い圧縮弾性、良好な反発能、低重量、高い絶縁能、及び物体を良好に包み込める適応性により、特徴付けられる。
【0012】
驚くべきことに、ボリュームのある不織布の原料であって、特に、繊維球群、ダウン、微細羽毛及び/又は発泡部品群を備えるものが、カーディング法により、製造される際、本発明に係る不織布が得られることが発見されたものである。
このように、特に少なくとも一対のスパイクローラを有するカーディング機を使用すると、このような原料をカーディングすることにより、プロセス中に材料を粉砕することなく、該材料を、能率的に開き、ブレンドし、配向できることが、予想外に発見されたのである。
これは驚くべきことであった。なぜなら、繊維球群、ダウン、及び/又は、微細羽根群は、極めてデリケートであり(例えば、原料として使用されると)、それにより、カーディングによりそれらは粉砕され、目的生産物から安定性や機能が減じられると、想定されていたからである。
スパイクローラ群が対に配置される利点は、金属スパイク同士が互いに歯合できるという点である。
該金属スパイク群が互いに歯合することにより、動的スクリーンが作り出され、それにより、不織布の原料が選び出され、且つ均一に分布することが可能となる。
【0013】
更に、繊維球群の場合、対に配置されるスパイクローラ群を用いて処理すると、球形状を全体的に粉砕することなく、繊維構造を緩める結果となり得る。
かくして、繊維は、球群から引き出され得て、未だ球群に接続されたまま、その表面から突き出るものである。
これは、利点である。なぜなら、そのように引き出された繊維群は、個々のボール群における相互の絡み合いを向上させ、それにより、不織布の引張強度を増加させるからである。
更に、個々の繊維群からなるマトリックスが形成され得て、その内部に、球群が埋め込まれ、それにより、不織布の柔軟性を強めることになる。
【0014】
しかしながら、また、カーディングは、堆積ベルト上における、原料の非常に均一な分布を可能とすること、及び、非常に均質な不織布であって、内部に「ボリュームのある物質」が均一に分布するものが得られることが、発見された。
不織布の断熱能及び柔らかさに関し、「ボリュームのある物質」の均一な分布は、格別に興味深い。
【0015】
既に上述したように、本発明に係る不織布は、驚くべき良好な調節可能な安定性によって特徴付けられる。
多くの用途のためには、不織布が、単位面積あたりの質量が50g/m
2で、少なくとも1方向について、少なくとも0.3N/5cm、特に0.3N/5cmから100N/5cmの、DIN EN 29073により計測された最大引張強度を有すると、有利であることが証明されている。
また、本発明に係る不織布は、有利なことに、良好な復元力を有する。
かくして、不織布は、好ましくは、50、60、70、80及び/又は90%以上の回復度を有するところ、右回復度は、次の要領で測定される。
【0016】
点1)6個のサンプル群が積層される(10×10cm)。
点2)高さが定規で測定される。
点3)サンプル群は、(1300g)鉄板によりロードされる。
点4)ロードの1分後に、高さは定規で測定される。
点5)重量が除去される。
点6)10秒後に、サンプル群の高さが定規を用いて計測される。
点7)10分後に、サンプル群の高さが定規を用いて計測される。
点8)点7)及び点2)からの値群の比を作ることにより、回復度が計算される。
【0017】
その高い安定性のおかげで、該不織布は、容易に巻き上げることができ、更に、例えば巻物群に加工され得る。
【0018】
また、不織布は、秀逸な断熱能と、良好な柔らかさ、大きな嵩高性、圧縮弾性、低重量、及び物体を非常に良好に包み込める適応性を兼ね備えることにより特徴付けられる。
【0019】
繊維球群が不織布の「ボリュームのある」原料として使用されるなら、使用される材料及び不織布の所望の特性に応じて、それらの構造及び形状を変えることができる。
特に、「繊維球群」なる用語は、球状、又は(例えば、平らにした球形状等の、不規則な、及び/又は、変形した)略球状の両方を意味するものとして理解されねばならない。
球状又は略球状の形状は、特にふわふわ感と断熱の点で優れた特性を示すことが分かっている。
【0020】
さらに、繊維は、実質的に球状のシェル内の集合体として配置され得るものであり、同時に、比較的少ない繊維が繊維球群の中心に配置される。
一方、例えば、繊維球群内で、繊維群が均一に分布する、及び/又は、繊維が傾斜的に存在するとも考えることもできる。
【0021】
また、本発明に係る不織布内に含まれる繊維球群は、球状にねじられた、及び/又は、ふわふわした繊維群を含むとも考えられる。
該集合体の良好な凝集力を確保するためには、該繊維群が巻毛状となっていると有利である。
この場合、繊維は、ランダムであってもよいし、又は、なにがしかの秩序を有しても良い。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施の形態によれば、繊維群は、個々の繊維球群の内部においてもつれており、繊維球群の外側層内では球状に配置される。
本実施の形態では、繊維球群の直径に対し、外側層は、比較的小さい。
こうすると、繊維球群の柔軟性をさらに高めることができる。
【0023】
例えば、適切な表面構造や繊維長により、繊維球群を形成するのに適している限り、繊維球群中に存在する繊維の性質は、基本的に重要ではない。
繊維球群の繊維群は、好ましくは、短繊維群、フィラメント群及び/又は糸群からなる群から選択される。
短繊維は、理論的に無限長を有するフィラメント群から、有限の長さ(好ましくは、20mm−200mm)を有する繊維群を意味するという点で区別される。
フィラメント群及び/又は糸群は、特に好ましくは20mm−200mmである、有限長を有する。
繊維群は、単成分フィラメント群、及び/又は、複合フィラメント群であり得る。 同様に、繊維群の力価も変化し得る。
好ましくは、繊維群の平均力価は、0.1−10dtexの範囲内にあり、より好ましくは0.5−7dtexの範囲内にある。
【0024】
基本的に、繊維球群は、極めて多様な繊維からなり得る。
しかして、繊維球群は、羊毛等の天然繊維、及び/又は、次のような合成繊維、からなることができ、これらの繊維を含むことができる。合成繊維はポリアクリル、ポリアクリロニトリル、予備酸化PAN、PPS、炭素、ガラス、ポリビニルアルコール、ビスコース、セルロース、綿ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、特に、ポリアミド6、ポリアミド6.6、PULP、好ましくは、ポリオレフィン、最も特に好ましくは、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及び/又は、上記の混合物群である。
好ましい一実施の形態によれば、羊毛繊維群からなる、繊維球群が使用される。
こうすると、特に形状安定性及び良好な絶縁性を備える不織布が得ることができる。
他の好ましい実施の形態によれば、不織繊維群内又は複合不織繊維群の内の、他の通常成分との、特に良好な互換性を達成すべく、ポリエステルからなる繊維球群が使用される。
【0025】
不織布内における繊維球群の割合は、不織布の全重量を基礎として、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは25−100重量%、特に30−90重量%である。
【0026】
ダウン、及び/又は、微細羽毛群が、本発明による「ボリュームのある」原料として使用されるなら、不織布内におけるそれらの割合は、例えば、0−90重量%、好ましくは、20−70重量%、又は少なくとも50重量%である。
「ダウン及び/又は微細羽毛群」なる用語は、本発明に従う伝統的な意味で理解される。
特に、「ダウン及び/又は微細羽毛群」なる用語は、短い羽軸と非常に柔らかく長い、放射状に配置され、基本的にかぎのない羽枝群を備える羽根群の意味である。
【0027】
本発明の好ましい一実施の形態によれば、不織布は、不織布の製造中、例えば繊維又は粉末の形態で使用される感熱材料を含む。
本発明に関しバインダー繊維群を使用するのは、好ましい。
これらは、繊維球の成分であっても良いし、又は、繊維シート内又は製造不織繊維内の、他の繊維成分であっても良い。
バインダー繊維群としては、この目的のために使用される従来のものを使用することができる。
バインダー繊維群は、単繊維又は多成分繊維であっても良い。
本発明に係るバインダー繊維群として特に適する繊維群は、次のグループ群による。
【0028】
「ボリュームのある物質」の融点を下回る融点を有する繊維群であって、融点が、好ましくは、250℃を下回り、特に70−230℃、最も好ましくは125−200℃であるもの。
適合する繊維は、特に、熱可塑性ポリエステル、及び/又は、コポリエステル、特にPBT、ポリオレフィン、特にポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、又はコポリマー、及びそれらのコポリマー、及びそれらの混合物群。
未延伸ポリエステル繊維などの粘着性繊維群。
【0029】
本発明による特に好適なバインダー繊維群は、多成分繊維群、好ましくは二成分繊維群、特にコア/シェル繊維群である。
コア/シェル繊維群は、異なる軟化及び/又は融点を有する、少なくとも2つの繊維材料を含む。
コア/シェル繊維群は、好ましくは、これらの2つの繊維材料からなる。
より低い軟化及び/もしくは融点を有する成分は、繊維表面(シェル)で発見され、より高い軟化及び/又は融点を有する成分は、コア内で発見される。
【0030】
コア/シェル繊維群を用いると、結合機能は、繊維群の表面上に配置されている材料によって提供され得る。
極めて多様な材料が、シェルとして使用できる。
本発明に係るシェル用の好ましい材料は、PBT、PA、コポリアミド又はコポリエステルである。
極めて多様な材料が、コアとして使用できる。
本発明に係るコア用の好ましい材料は、PET、PEN、PO、PPS又は芳香族PA及びPESである。
【0031】
かかるバインダー繊維群を持つ利点は、次の通りである。即ち、不織布内の「ボリュームのある物質」がバインダー繊維群により共に保持されて、それにより、「ボリュームのある物質」がほとんどずれないか、又は、充填材料を欠いていることによるコールドブリッジが形成されることなく、不織繊維群が充填された繊維のさやが使用可能となるということである。
【0032】
バインダー繊維群は、例えば、繊維球群内に含まれても良い。
あるいは又は追加的に、それらは、繊維不織布内で離れた繊維成分として存在していても良い。
バインダー繊維群は、好ましくは、0.5−100mm、より好ましくは、1−75mmの長さを有し、及び/又は、0.5−10dtexの力価を有する。
本発明の特に好ましい実施の形態によれば、バインダー繊維群は、0.9−7dtex、より好ましくは1.0−6.7dtex、特に1.3−3.3dtexの力価を有する。
【0033】
不織布の他の成分の性質及び量、並びに、不織布の所望の安定性に依存して、バインダー繊維の割合は調整される。
バインダー繊維の割合が低すぎると、不織布の安定性が悪化する。
バインダー繊維の割合が高すぎると、不織布全体として堅くなりすぎ、その柔軟性が減じられる。
実用的試験は、バインダー繊維の割合が、5−50重量%、好ましくは7−40重量%、特に好ましくは10−35重量%の範囲内である場合には、安定性と柔軟性との間の良好な妥協点が得られることを示した。
こうすると、不織布は、巻かれ、及び/又は、折り畳まれるのに十分安定となる。
これは、不織布の取り扱い、及び、更なる処理を容易にする。
さらに、このような不織布は、水洗い可能である。
例えば、分解せずに、40℃で3回の家庭内洗浄に十分耐え得るように安定している。
【0034】
バインダー繊維群は、互いに連結でき、及び/又は、熱融着により、不織布の他の成分群と連結されても良い。
特に適する方法は、次の要領で行われる加熱カレンダー加工であると証明されている。即ち、加熱され、滑らかであるか、又は溝付きのロール群を用いて、熱風トンネルオーブン、熱風二重ベルトオーブンを通過させるか、及び/又は、ドラム上で熱風流中を通過させるかによる。
二重ベルト熱風オーブンを使用することの利点は、表面を同時に平滑化しながら、また同時にボリュームを保持しながら、バインダー繊維群を特に効果的に活性化できることである。
【0035】
あるいは、必要に応じて予備固化された繊維シートに流体ジェット(特に、水ジェット)を両面に少なくとも一回ずつ適用することにより、不織布はまた固化され得る。
【0036】
本発明のさらなる他の実施の形態によれば、不織布は、繊維球群の形態では存在しない追加的な繊維群を含み、それにより、不織布の特性を所望の要領で改変する。
これらの繊維群は、繊維球群の形態で存在しないから、それらは、極めて多様な表面品質を有し得るのであり、特に、それらは、滑らかな繊維群であっても良い。
既述したように、バインダー繊維群は、追加の繊維群として使用することができる。
しかしながら、非バインダー繊維群を使用することも考えられる。
例えば、シルク繊維群は、なにがしかの輝きを有する不織布を提供すべく、付加的な繊維として使用することができる。
また、ポリアクリル、ポリアクリロニトリル、予備酸化PAN、PPS、炭素、ガラス、ポリアラミド、ポリアラニドイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド、特に、ポリアミド6とポリアミド6.6、ポリオレフィン、ビスコース、セルロース、及び好ましくは、ポリエステル、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及び、ポリブチレンテレフタレート、及び/又は、上記の混合物を、使用することも考えられる。
【0037】
有利とするには、不織布中の追加的繊維群の割合は、5−80重量%、特に20−70重量%である。
好ましくは、追加的繊維群は、1−200mm、好ましくは5−100mmの長さを有し、及び/又は、0.5−20dtexの力価を有する。
【0038】
本発明の他の好ましい実施の形態によれば、不織布は、相変化材料を含み得る。
相変化材料(PCM:Phase Change Materials)は、その潜在融解熱、溶解熱、又は熱吸収が、それらの通常の特定熱容量のため(相変化効果なしで)貯蔵できる熱を有意に上回る材料である。
相変化材料は、粒状形態、及び/又は、繊維形態を成す複合材料内へ含まれ得るものであって、例えば、バインダー繊維群により、不織布の他の成分に連結され得る。
相変化材料が存在すると、不織布の絶縁作用を支持できる。
【0039】
不織布の繊維を製造するために使用される、ポリマー群は、次の群から選択される少なくとも1つの添加剤を含み得る。即ち、該群は、着色顔料、帯電防止剤、(例えば、銅、銀、金等の)抗菌剤、又は、親水性又は疎水性の処理添加剤であって、10重量%に対し150ppmの量である。
上記添加剤を使用されるポリマー群内に使用すると、顧客特有の要求を達成可能となる。
【0040】
本発明に係る不織布は、追加の層群を含んでいても良い。
該追加の層群は、例えばスクリムの形態で、補強層群として形成されることも考えられ、及び/又は、それらが、補強フィラメント群、不織布、織物、編み物、及び/又は、堆積ウエブを備えることも考えられる。
該追加の層群を形成するための好ましい材料は、例えばポリエステルのようなプラスチック、及び/又は金属である。
有利とするには、該追加の層群は、不織布の表面に配置され得る。
【0041】
不織布の厚さは、好ましくは、所望の断熱効果及び使用される材料に依存して、選択される。
試験手順EN 29073により測定された厚さにおいて、通常良好な結果が達成されるのは、2−100mmの範囲内である。
【0042】
本発明に係る不織布の単位面積あたりの重量は、所望の適用目的に応じて調整される。
DIN EN 29073に従って測定された、単位面積あたりの重量が、15−1500g/m
2、好ましくは、20−1200g/m
2、特に30−1000g/m
2であると、多くの適用例に望ましいことが、証明されている。
【0043】
さらに、固化後の不織布は、バインディング又は化学的性質の精製に供され得る。該精製としては、例えば、抗ピリング処理、親水化又は疎水化処理、帯電防止処理、耐火性を向上する処理、及び/又は、触覚特性又は輝きを変更するための処理、又、粗面化、防縮加工及び研磨等の機械的処理、タンブラー中の処理、及び/又は、着色又は刻印付け等の外観を変更する処理等がある。
【0044】
本発明に係る不織布は、極めて多様の織物製品群、特に熱生理学的に快適で且つ軽量の製品群を生産するのに、理想的である。
しかして、本発明の他の主題は、衣服、椅子、ソファ、ベッドカバー及びマットレスにおいて、特に布張りする、及び/又は、充填材料として、またフィルタ及び/又は、吸着マットとして、スペーサ、発泡代替品、創傷被覆材、又は耐火材料として、不織布を使用することである。
【0045】
カーディング工程を用いて上述したように、本発明は、さらに、不織布の製造に関する。
【0046】
不織布の材料を、開き、且つ、分布させることが、スパイクローラ群及び/又はスパイクベルト群を用いて行われると、本発明に係る不織布は、特に効率的な要領で製造できることが見出されている。
このようにすると、例えば、堆積ベルト上において、不織布の原料が極めて均一に堆積し、「ボリュームのある」材料が非常に均等で且つ均一に分布する、非常に均一な不織布が得られる。
これは驚くべきことであった。なぜなら、例えば、スパイクローラ群及び/又はスパイクベルト群を用いる処理により、デリケートな繊維球群又はダウンは粉砕されるであろうと推定されるからである。
【0047】
実用的試験は、以下ステップ群の一つ以上が含まれると、本発明の方法を用いて、特に良好な結果が得られることを示した。
「ボリュームのある」材料と必要に応じて他の成分とを備える原料が、該繊維原料を開き、互いにブレンドする、少なくとも一対のスパイクローラ群を備える、少なくとも1つのカーディング機を用いて、可能な限り均一に作られる。
その後、例えば、スクリーンベルト、スクリーンドラム、及び/又は転送ベルトのような従来の要領で、繊維群を堆積させ、ウエブを形成することが実行可能となる。
このように形成された不織布は、その後、従来の要領で固化させ得る。
例えば、ベルトオーブンを用いて、熱固化を行うことは、特に本発明に適することが証明されている。なぜなら、このようにすると、例えば、水流交絡を用いることにより起こり得る、不織布の望ましくない圧縮が回避され得るからである。
二重ベルト熱風オーブンを使用すると、特に好適であることが証明されている。
このような熱風オーブンを使用する利点は、同時に、表面を平滑化し、且つ、ボリュームを維持しながら、バインダー繊維群を特に効果的に活性化できる点である。
【0048】
本発明の好ましい実施の形態によれば、繊維群及び繊維球群を良好に開き、且つ良好にブレンドすべく、繊維群と繊維球群は、少なくとも2つのスパイクローラ群を備える不織布形成部において処理される。
本発明の有利な実施の形態によれば、スパイクローラ群は列状に配置される。
しかして、有利とするには、スパイクローラ群は、少なくとも一列に配置される。
スパイクローラ群を少なくとも一列に配置する利点は、隣接するスパイクローラ群の金属スパイク群が、互いに歯合できるということである。
しかして、各ソールは、同時に、その隣接するローラと対を成し、動的スクリーンとして動作できる。
繊維群及び繊維球群を特に良好に開き、且つブレンドすべく、列群は、対(二重列)の状態を取り得る。
しかして、スパイクローラ群は、有利なことに、少なくとも1つの二重列に配置される。
返送システムを用いて、繊維材料の少なくとも一部を、複数回、同じスパイクローラ群を通過させることも考えられる。
例えば、該返送として、無端循環ベルトを使用できる。
有利とするには、該ベルトは、スパイクローラ群の二列間に配置される。
さらに、無端ベルトは、左右又は上下に配置されるスパイクローラ群の二重列を巻過させても良い。
【0049】
本発明の特に好ましい実施の形態によれば、この方法は、空気力学的不織布形成プロセスを含み、つまり、不織布が好ましくは空気の助けを借りて形成される。
空気被堆積又は空気堆積プロセスに基づく方法は、特に適することが証明されている。
このプロセスの基本的考え方は、繊維材料を空気流へ運搬することであり、それにより、機械の長手及び/又は幅方向において繊維群を機械的に分布させることができ、且つ、最終的には、下向き吸引力を有する転送ベルト上に均等な繊維が堆積することになる。
【0050】
ここで使用される空気は、極めて多様なプロセスステップ群において使用できる。
本発明の特に好ましい実施の形態によれば、例えば、設置された空気システムを用いる不織布の形成中において、繊維材料は、空気力学的に全体として転送される。
一方、スパイクロール群から繊維群を除去する等の、特定のプロセスステップのみが追加的な空気により支持されると考えることもできる。
【0051】
実用的試験は、好ましくは、空気被堆積及び/又は空気堆積プロセスに基づく方法が実行させるとき、次のステップ群の1つ又はそれ以上が実行されることを示した。
【0052】
望ましくは、不織布を形成するプロセスの直前に、不織布の原料を、準備又は分離するプロセス群が行われる。
ダウン及び/又は発泡部品等の非繊維材料とのブレンドは、好ましくは、繊維材料を不織布形成システム内へ分布させる間中に行われる。
【0053】
輸送媒体として空気の助けを借りて、材料は、供給及び分布システムを介して、不織布形成部へ配送され、そこでは、不織布の原料の個々成分群を、目的とする、開き、捲き、同時に均等ブレンド・分布することが行われる。
材料供給を容易に制御するため、有利とするには、各材料成分の供給は、別々に行われる。
【0054】
その後、好ましくは、不織布の原料は、繊維材料の準備又は分離を行う、少なくとも2つのスパイクローラ群を用いて処理される。
不織布の原料が、スパイクローラとして、金属スパイク群が鋲打ちされた、一連の回転軸群を通過させると、特に良好な結果が得られる。
金属スパイク群が互いに歯合することにより、高いスループット容量を可能とする、動的スクリーンが作り出される。
【0055】
有利とするには、下向きの求心力を有するスクリーンベルト上において、不織布の成形が行われる。
繊維方向性のない、もつれた不織構造は、スクリーンベルト上で製造でき、その密度は、底部吸引の強さに関連する。
一列に複数の不織形成部を配置することにより、蓄積された層群を完成できる。
【0056】
空気力学的な不織布形成の利点は、繊維群と、不織布原料内に必要に応じて存在する他の成分群とが、もつれた層内に配置され得て、極めて高い等方特性を可能とする点である。
構造関連の見地に加えて、本実施の形態は、投資量と生産設備の運用コストとから生じる経済的利益を提供する。
【0057】
本発明の一実施の形態によれば、複数の連続的に配置される、不織布形成部群内において、不織布形成が行われる。
しかして、底部吸引を備えるスクリーン等の、堆積ベルトを、連続する複数の不織布形成部群を通過させることが考えられ、該群のそれぞれの内部において、不織布層の堆積が起こるものである。
かくして、多層の不織布が生成され得る。
【0058】
不織布の固化は、従来の要領で行い得る。例えば、化学的には、結合剤をスプレーすることにより、熱的には、事前に加えた接着繊維、及び/又は、接着粉末を溶融することにより、及び/又は、機械的には、ニードリング及び/又は水ジェット処理による。
【0059】
実用的試験は、例えば、国際公開第2005/044529号パンフレットに記載の不織布繊維製造装置を用いると、良好な結果を伴って不織布形成を行えることを示した。
【0060】
本発明に係る不織布は、繊維材料として、毛布、衣類、及び/又は、布張家具、ベッドカバー、マットレス等を、フィルタ、及び/又は吸着マットとして、スペーサ、発泡代替品、創傷被覆材を、及び/又は、耐火材料等を、成形する、及び/又は、製造するための充填材料として、極めて好適である。
【0061】
本発明を、いくつかの実施例群の助けを得ながら、より詳細に説明する。
【実施例1】
【0062】
150g/m
2、50重量%の繊維球群で、7dtex/32mmのシリコン化PES(Advansa732)、30重量%CoPESバインダー繊維の繊維球群、及び、55重量%ダウン羽根群及び/又は微細羽根群及びMinardi社からの羽根群が、Form Fiber社の空気−被堆積プラント(繊維原料を開くためのスパイクローラ群を有する)内の支持ベルト上に配置され、12mmのベルトスペースを有し155℃の二重ベルトオーブン内で固化される。滞留時間は36秒であった。巻き取り可能なウエブ材料が得られた。
【実施例2】
【0063】
120g/m
2、35重量%の繊維球群で、7dtexのシリコン化PES(Advansa 732)、40%mPCM 28℃−PC−温度エンタルピー、30重量%CoPESバインダー繊維の繊維球群、及び、35重量%のダウン羽根群及び/又は微細羽根群及びMinardi社からの羽根群が、Form Fiber社の空気−被堆積プラント(繊維原料を開くためのスパイクローラ群を有する)内の支持ベルト上に配置され、10mmのベルトスペースを有し155℃の二重ベルトオーブン内で固化される。滞留時間は36秒であった。巻き取り可能なウエブ材料が得られた。
【実施例3】
【0064】
150g/m
2、50重量%の羊毛からなる繊維球群、50重量%のCoPESバインダー繊維からなる繊維球群がForm Fiber社の空気−被堆積プラント(繊維原料を開くためのスパイクローラ群を有する)内の支持ベルト上に配置され、12mmのベルトスペースを有し155℃の二重ベルトオーブン内で固化される。滞留時間は36秒であった。巻き取り可能なウエブ材料が得られた。
【実施例4】
【0065】
150g/m
2、50重量%の絹からなる繊維球群、及び、50重量%のCoPESバインダー繊維からなる繊維球群が、Form Fiber社の空気−被堆積プラント(繊維原料を開くためのスパイクローラ群を有する)内の支持ベルト上に配置され、12mmのベルトスペースを有し155℃の二重ベルトオーブン内で固化される。滞留時間は36秒であった。巻き取り可能なウエブ材料が得られた。
【実施例5】
【0066】
56g/m
2、80重量%の繊維球群、及び、20重量%のCoPESバインダー繊維からなる繊維球群が、Form Fiber社の空気−被堆積プラント(繊維原料を開くためのスパイクローラ群を有する)内の支持ベルト上に配置され、1mmのベルトスペースを有し170℃の二重ベルトオーブン内で固化される。6.1mmの厚さを有する巻き取り可能なウエブ材料が得られた。
【実施例6】
【0067】
128g/m
2、80重量%の繊維球群、及び、20重量%のCoPESバインダー繊維からなる繊維球群が、Form Fiber社の空気−被堆積プラント(繊維原料を開くためのスパイクローラ群を有する)内の支持ベルト上に配置され、4mmのベルトスペースを有し170℃の二重ベルトオーブン内で固化される。7.5mmの厚さを有する巻き取り可能なウエブ材料が得られた。
【実施例7】
【0068】
128g/m
2、80重量%の繊維球群、及び、20重量%のCoPESバインダー繊維からなる繊維球群が、Form Fiber社の空気−被堆積プラント(繊維原料を開くためのスパイクローラ群を有する)内の支持ベルト上に配置され、30mmのベルトスペースを有し、繊維シートのロードはなく、170℃の二重ベルトオーブン内で固化される。25mmの厚さを有する、柔らかく、巻き取り可能なウエブ材料が得られた。
【実施例8】
【0069】
723g/m
2、80重量%の繊維球群、及び、20重量%のCoPESバインダー繊維からなる繊維球群が、Form Fiber社の空気−被堆積プラント(繊維原料を開くためのスパイクローラ群を有する)内の支持ベルト上に配置され、50mmのベルトスペースを有し170℃の二重ベルトオーブン内で固化される。50mmの厚さを有する巻き取り可能で、安定したウエブ材料が得られた。