【文献】
松浦一樹,太田喜元,藤井輝也,900MHz帯ラジオダクト干渉キャンセラ,2016年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会通信講演論文集1 B−1−141,2016年 9月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信端末と無線通信するための第1アンテナと、前記第1アンテナの位相中心点を通過する仮想鉛直線上の上方向又は下方向に所定距離だけ離れた位置に位相中心点を有する第2アンテナと、請求項1乃至7のいずれかの干渉抑圧装置と、を備える基地局。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかしながら、基地局で受信する受信信号には、上記無線通信ネットワークで送受信される無線信号以外の予測が難しい他の干渉信号が含まれる場合がある。例えば、以下に示すような気象条件(天候)により電波が遠くに届く「ダクト」と呼ばれる現象が発生し、そのダクトに起因した干渉信号が受信信号に含まれる場合がある。
図11(a)に示す通常時においては、海上の上方の大気の屈折率(図中の修正屈折指数M)は高度が高くなるに従って単調に変化し、
図11(b)に示すように第1の陸地800のアンテナ801から送信されたおおよそ1200MHz以下の周波数帯の電波805は海806を挟んで遠方に位置する第2の陸地810のアンテナ811に届くことはない。ところが、海上の気象条件(天候)が特定の条件になると、
図12(a)に示すように海上の上方の大気の屈折率(図中の修正屈折指数M)が特定の高度の上空で反転するダクト状の層(反転層)900が発生し、その層900内を電波が伝搬することにより、
図12(b)に示すように第1の陸地800のアンテナ801から送信された上記所定の周波数帯の電波802が海を挟んで遠方に位置する第2の陸地810のアンテナ811に届くダクト現象が発生する。この現象により、例えば日本の九州地方では海を挟んで隣国である中華人民共和国(中国)や大韓民国(韓国)から干渉波(以下「ダクト干渉波」という。)が飛来し、それと同じ周波数を用いている我が国の無線システムに甚大なる通信障害を引き起こすことがある。上述したダクト現象は、春先から秋(4月頃〜10月頃)の夜間に気象条件によって不定期に発生する。このダクト現象は前述のようにおおよそ1200MHz以下の周波数帯で観測される。例えば、九州地方のタクシー無線等に使用される業務用無線システムであるMCA(マルチチャネルアクセスシステム)の周波数帯(930MHz〜940MHz)では、中国や韓国からと思われるダクト干渉が観測される。このダクト現象による電波は、特に山間部などの標高の高い場所に設置されているMCAの基地局において強いダクト干渉となり、通信端末の上り回線(端末→基地局)の通信品質を大幅に低下させてしまう。尚、ダクト干渉波830は、おおよそ
図13に示すように垂直方向面における水平方向Hからの角度(垂直角度)θが0°である水平方向から基地局のアンテナ840に到来する。
このように発生時間が不定期で垂直面内の特定の方向から到来する干渉波に起因した干渉信号を適応的に抑圧するため、本願発明者は、基地局アンテナの位相中心点を通過する仮想鉛直線上の上方向又は下方向に所定距離だけ離れた位置に位相中心点を有するキャンセルアンテナで受信した受信信号を用いる干渉抑圧装置を提案した(特願2016−138657参照)。この干渉抑圧方法では、基地局アンテナで受信した第1受信信号から通信端末が用いない所定周波数の干渉信号を分離して検出し、キャンセルアンテナで受信した第2受信信号から上記所定の周波数の干渉信号を分離して検出する。そして、第1受信信号から検出した干渉信号と第2受信信号から検出した干渉信号とが互いに同じ振幅及び位相になるようにウェイトを計算し、第2受信信号にウェイトを乗算した信号を第1受信信号から減算する。
【0003】
上記通信端末が使用しない所定周波数の干渉信号からウェイトを計算して干渉信号を抑圧に用いる場合、基地局アンテナ系とキャンセルアンテナ系で遅延時間(群遅延)等の電気的特性が異なると、上記干渉抑圧機能がウェイトの計算に用いた周波数以外の通信端末が使用する帯域の全体でフラットにならず、通信端末が使用する帯域に干渉信号が残る障害が発生するおそれがある。
また、運用開始時には上記干渉抑圧機能の帯域特性がフラットであっても、基地局アンテナ系又はキャンセルアンテナ系の経年劣化により基地局アンテナ系とキャンセルアンテナ系で遅延時間(群遅延)等の電気的特性が変化し、上記干渉抑圧機能の帯域特性がフラットでなくなり、上記障害が発生するおそれもある。
そのため、上記干渉抑圧機能を通信端末が使用する帯域の全体にわたって評価したいという要請がある。
【0004】
本発明は、以上の背景の下で鑑みなされたものであり、その目的は、発生時間が不定期で垂直面内の特定の方向から到来する干渉波に起因した干渉信号を適応的に抑圧することができるとともに、その干渉抑圧機能を、通信端末が使用する帯域の全体にわたって評価することができる基地局、干渉抑圧装置及び干渉抑圧方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る干渉抑圧装置は、通信端末と無線通信する基地局で受信される受信信号に含まれる干渉信号を抑圧する干渉抑圧装置であって、通信端末と無線通信するための第1アンテナで受信した第1受信信号から通信端末が使用しないウェイト計算用の周波数の干渉信号を分離して検出する第1干渉信号検出手段と、前記第1アンテナの位相中心点を通過する仮想鉛直線上の上方向又は下方向に所定距離だけ離れた位置に位相中心点を有する第2アンテナで受信した第2受信信号から前記ウェイト計算用の周波数の干渉信号を分離して検出する第2干渉信号検出手段と、前記第1受信信号から検出した干渉信号と前記第2受信信号から検出した干渉信号とが互いに同じ振幅及び位相になるようにウェイトを計算するウェイト計算手段と、前記第2受信信号に前記ウェイトを乗算した信号を前記第1受信信号から減算する信号演算手段と、前記ウェイト計算用の周波数以外の通信端末が使用しない複数の干渉抑圧評価用の周波数のそれぞれで、前記第2受信信号に前記ウェイトを乗算した信号を減算していない干渉信号抑圧前の第1受信信号の受信電力と、前記第2受信信号に前記ウェイトを乗算した信号を減算した干渉信号抑圧後の第1受信信号の受信電力とを測定する受信電力測定手段と、前記干渉信号抑圧前の第1受信信号の受信電力と前記干渉信号抑圧後の第1受信信号の受信電力とに基づいて、前記ウェイトを用いた干渉抑圧効果を評価する評価手段と、を備えることを特徴とするものである。
前記干渉抑圧装置において、前記複数の干渉抑圧評価用の周波数は、通信端末が使用する周波数を含む帯域の内側に位置してもよい。
また、前記干渉抑圧装置において、前記複数の干渉抑圧評価用の周波数は、通信端末が使用する周波数を含む帯域の外側に位置してもよい。
また、前記干渉抑圧装置において、前記複数の干渉抑圧評価用の周波数は、通信端末が使用する周波数を含む帯域の内側及び外側のそれぞれに位置してもよい。
また、前記干渉抑圧装置において、前記評価手段は、前記複数の干渉抑圧評価用の周波数f
jのそれぞれで測定した前記干渉信号抑圧前の第1受信信号の受信電力及び前記干渉信号抑圧後の第1受信信号の受信電力をそれぞれPow
B(f
j)及びPow
A(f
j)とし、第1閾値をγ
thとし、第2閾値をλ
thとしたとき、下記の式(1)及び式(2)を満たす場合に干渉低減効果が劣化した障害が発生したと判定してもよい。
【数1】
【数2】
また、前記干渉抑圧装置において、前記評価手段により干渉低減効果が劣化した障害が発生したと判定した場合、アラームを通知する通知手段を備えてもよい。
また、前記干渉抑圧装置において、前記干渉信号は、ダクト現象によって飛来する無線信号であってもよい。
【0006】
本発明の他の態様に係る基地局は、通信端末と無線通信するための第1アンテナと、前記第1アンテナの位相中心点を通過する仮想鉛直線上の上方向又は下方向に所定距離だけ離れた位置に位相中心点を有する第2アンテナと、請求項1乃至7のいずれかの干渉抑圧装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の更に他の態様に係る干渉抑圧方法は、通信端末と無線通信する基地局で受信される受信信号に含まれる干渉信号を抑圧する干渉抑圧方法であって、通信端末と無線通信するための第1アンテナで受信した第1受信信号から通信端末が使用しないウェイト計算用の周波数の干渉信号を分離して検出することと、前記第1アンテナの位相中心点を通過する仮想鉛直線上の上方向又は下方向に所定距離だけ離れた位置に位相中心点を有する第2アンテナで受信した第2受信信号から前記ウェイト計算用の周波数の干渉信号を分離して検出することと、前記第1受信信号から検出した干渉信号と前記第2受信信号から検出した干渉信号とが互いに同じ振幅及び位相になるようにウェイトを計算することと、前記第2受信信号に前記ウェイトを乗算した信号を前記第1受信信号から減算することと、前記ウェイト計算用の周波数以外の通信端末が使用しない複数の干渉抑圧評価用の周波数のそれぞれで、前記第2受信信号に前記ウェイトを乗算した信号を減算していない干渉信号抑圧前の第1受信信号の受信電力と、前記第2受信信号に前記ウェイトを乗算した信号を減算した干渉信号抑圧後の第1受信信号の受信電力とを測定することと、前記干渉信号抑圧前の第1受信信号の受信電力と前記干渉信号抑圧後の第1受信信号の受信電力とに基づいて、前記ウェイトを用いた干渉抑圧効果を評価することを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発生時間が不定期で垂直面内の特定の方向から到来する干渉波に起因した干渉信号を適応的に抑圧することができるとともに、その干渉抑圧機能を、通信端末が使用する帯域の全体にわたって評価することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、タクシー等の車両に搭載された通信端末と無線通信を行うMCAシステムの業務用無線に用いられる基地局について説明するが、本実施形態の基地局は、携帯電話機やスマートフォン等の通信端末と無線通信を行うセルラー移動通信システムの基地局等の他の基地局であってもよい。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る基地局の全体構成の一例を示す概略構成図である。
図1において、本実施形態に係る基地局10は、本体の基地局装置20と、干渉抑圧システム30と、通信端末(移動機、移動局)80からの電波(以下「希望波」又は「希望信号」ともいう。)s1
RFを受信するための第1アンテナとしての基地局アンテナ40と、を備える。基地局アンテナ40は、MCAシステムの業務用無線の基地局で用いられている一般的なアンテナである。基地局アンテナ40にダクト干渉波s2
RF(例えば、930MHz〜940MHzの干渉波)が到来しているときは、基地局アンテナ40により希望波s1
RFとダクト干渉波s2
RFとが受信される。
【0012】
干渉抑圧システム30は、第2アンテナとしてのキャンセルアンテナ300と、干渉抑圧装置310と、性能評価装置370と、通信装置380とを備える。キャンセルアンテナ300は、基地局アンテナ40の位相中心点40aから上方向又は下方向に所定距離dだけ離れた位相中心点300aを有し、基地局アンテナ40とは垂直面内又は水平面内指向性が同じ、または異なる指向性のアンテナである。また、キャンセルアンテナ300の位相中心点300aは、基地局アンテナ40の位相中心点40aを通過する仮想鉛直線Lv上に位置している。すなわち、仮想鉛直線Lvに沿って上方又は下方から見た場合、水平面内の基地局アンテナ40の位相中心点40aとキャンセルアンテナ300の位相中心点300aは互いに一致している。キャンセルアンテナ300にダクト干渉波s2
RF(例えば、930MHz〜940MHzの干渉波)が到来しているときは、キャンセルアンテナ300により希望波s1
RFとダクト干渉波s2
RFとが受信される。
【0013】
なお、図示の例では、キャンセルアンテナ300として八木アンテナを用いているが、他のタイプのアンテナであってもよい。また、図示の例では、基地局アンテナ40の上方にキャンセルアンテナ300を配置しているが、キャンセルアンテナ300の装着が容易になるように
図2に示すように基地局アンテナ40の下方にキャンセルアンテナ300を配置してもよい。
【0014】
干渉抑圧装置310は、基地局アンテナ40で受信した第1受信信号Xからダクト干渉信号s2を分離して検出する第1干渉信号検出手段としての第1ダクト干渉検出部320と、キャンセルアンテナ300で受信した第2受信信号Yからダクト干渉信号s2’を分離して検出する第2干渉信号検出手段としての第2ダクト干渉検出部330とを備える。
【0015】
更に、干渉抑圧装置310は、第1受信信号Xから検出したダクト干渉信号s2と第2受信信号Yから検出したダクト干渉信号s2’とが互いに同じ振幅及び位相になるようにウェイトwを計算したり所定値のウェイトwを設定したりするウェイト計算・設定手段としてウェイト計算・設定部311を備える。ウェイト計算・設定部311で計算されるウェイトwは、実振幅と位相とで定義される複素振幅であり、第2受信信号Yから検出したダクト干渉信号s2’の振幅及び位相が第1受信信号Xから検出したダクト干渉信号s2と同じ振幅及び位相になるように、すなわちs2=w・s2’を満たすように算出される。このウェイトwは、相関検出を用いた方法や電力差を用いた摂動方法など、各種方法で算出することができる。
【0016】
また、干渉抑圧装置310は、第2受信信号Yにウェイトwを乗算した信号w・Yを第1受信信号Xから減算する信号演算手段としての信号演算部350とを備える。この信号演算部350によりダクト干渉信号s2がキャンセルされた第1受信信号Xである信号Z(=X−w・Y)が基地局装置20に出力される。
【0017】
上記性能評価装置370は、基地局アンテナ40で受信した第1受信信号Xと、上記信号演算部350から出力される信号Z(=X−w・Y)とに基づいて、干渉抑圧装置310でダクト干渉抑圧の所定の性能が得られているか否かを評価するものである。性能評価装置370は、干渉抑圧装置310でダクト干渉抑圧の所定の性能が得られていないと評価した場合、干渉抑圧装置310に障害が発生した旨の情報を含むアラームを、干渉抑圧装置310のディスプレイに表示したり、通信回線を介して、予め設定した所定の通報先(例えば、遠隔地に設けられた遠隔監視装置、所定の監視員やオペレータの端末装置)に送信したりする。この性能評価装置370については、後述する。
【0018】
図3は、本実施形態の基地局10におけるキャンセルアンテナ300及び干渉抑圧装置310によるダクト干渉信号s2のキャンセル効果の一例を示す説明図である。
図3(a)は、本実施形態の基地局10におけるダクト干渉波s2
RFが水平方向(水平面からの角度θ=0°)から到来しているときの垂直面内の合成指向特性101の一例を示している。
図3(b)は、本実施形態の基地局10におけるダクト干渉波s2
RFが若干上方向(水平面からの角度θ=2°)から到来しているときの垂直面内の合成指向特性102の一例を示している。
図3(c)は、本実施形態の基地局10におけるダクト干渉波s2
RFが到来していないとき(ウェイトw=0)の垂直面内の指向特性103の一例を示している。
【0019】
図3(a)に示すように、ダクト干渉波s2
RFが水平方向(水平面からの角度θ=0°)から到来しているときは、基地局10の垂直面内の合成指向特性101のヌル方向が水平方向になり、基地局アンテナ40で受信した受信信号Xに含まれる、水平方向からのダクト干渉波s2
RFに起因したダクト干渉信号s2をキャンセルすることができる。
【0020】
また、
図3(b)に示すように、ダクト干渉波s2
RFが水平方向よりも上方向(図示の例では水平面からの角度θ=2°)から到来しているときは、基地局10の垂直面内の合成指向特性102のヌル方向がダクト干渉波s2
RFの到来方向に変化する。このようにダクト干渉波s2
RFの垂直面内の到来方向が変わっても適応的に垂直面内指向特性のヌル方向を変化させることができる。しかも、そのヌル方向を変化させるためにキャンセルアンテナ及びその給電回路を調整したり交換したりする必要がなく、オペレーションの煩雑さを回避することができる。
【0021】
また、
図3(c)に示すように、ダクト干渉波s2
RFが到来していないときは、ウェイトw=0であるため、元々の基地局10の垂直面内の指向特性103となることから基地局アンテナ40を介した通信端末80との通信に対する影響を小さくすることができる。
【0022】
次に、本実施形態の基地局10における干渉抑圧装置310の構成例について説明する。
図4は、本実施形態の基地局10における干渉抑圧装置310の一構成例を示すブロック図である。なお、前述の
図1と同様な部分については同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0023】
本構成例の干渉抑圧装置310において、第1ダクト干渉検出部320は、基地局アンテナ40で受信された第1受信信号X(=s1+s2)に対して、通信端末80が使用しない周波数帯域f
BPを選択的に通過させるデジタル帯域フィルタで帯域制限することにより、ダクト干渉信号s
B2を分離して検出する。また、第2ダクト干渉検出部330は、キャンセルアンテナで受信された第2受信信号Y(=s1’+s2’)に対して、通信端末80が使用しない周波数帯域f
BPを選択的に通過させるデジタル帯域フィルタで帯域制限することにより、干渉信号s
B2’を分離して検出する。
【0024】
また、本構成例の干渉抑圧装置310におけるウェイト計算・設定部311は、第1受信信号Xから検出したダクト干渉信号s2と第2受信信号Yから検出したダクト干渉信号s2’とが互いに同じ振幅及び位相になるようにウェイトwを計算するウェイト計算手段としてウェイト計算部340と、そのウェイト計算部340での計算処理を制御するウェイト計算制御部360とを備える。
【0025】
図5(a)及び(b)はそれぞれデジタル帯域フィルタで選択的に通過させる周波数帯域f
BPの例である。デジタル帯域フィルタで選択的に通過させる周波数帯域f
BPとしては、例えば
図5(a)に示すように通信端末80との通信で予め設定された通信帯域内で通信端末80が実際に使用しない周波数帯域を選択する。また、デジタル帯域フィルタで選択的に通過させる周波数帯域f
BPとしては、
図5(b)に示すように通信帯域外の周波数帯域を決定してもよい。
【0026】
また、本構成例の干渉抑圧装置310において、ウェイト計算部340は、第1受信信号Xから検出された干渉信号s
B2と第2受信信号Yからから検出された干渉信号s
B2’とに対して相関検出を行うことにより、ウェイトwを計算する。より具体的には、ウェイトwは、第1受信信号Xから帯域制限して検出された干渉信号s
B2及び第2受信信号Yから帯域制限して検出された干渉信号s
B2’から、次の式(3)を用いて計算する。なお、式中の「< >」はアンサンブル平均を表し、「*」は複素共役を表している(以下同様)。
【数3】
【0027】
本構成例の干渉抑圧装置310では、通信端末80が使用しない周波数帯域f
BPを選択的に通過させるデジタル帯域フィルタで帯域制限することにより、ダクト干渉信号s
B2,s
B2’を分離して検出しているため、ダクト干渉信号の検出処理が簡易になるとともに、通信端末80からの希望信号s1,s1’の影響を低減できる。
【0028】
本構成例の干渉抑圧装置310におけるウェイト計算制御部360は、第1受信信号X及び第2受信信号Yにダクト干渉信号s
B2,s
B2’が含まれている場合は、前記ウェイトを計算するようにウェイト計算部340での計算処理をONにする。一方、第1受信信号X及び第2受信信号Yの少なくとも一方にダクト干渉信号s
B2,s
B2’が含まれていない場合は、ウェイト計算部340での計算処理をOFFにして消費電力を低減し、ウェイトwについてはゼロに設定する。
【0029】
本構成例において、ウェイト計算制御部360は、受信電力検出部361とダクト干渉有無判定部362と計算ON/OFF制御部363とウェイト設定部364とウェイト切替部365とを備える。
【0030】
受信電力検出部361は、第1受信信号Xから帯域制限して検出された干渉信号s
B2及び第2受信信号Yから帯域制限して検出された干渉信号s
B2’それぞれの受信電力(以下、「ダクト干渉波電力」ともいう。)p
B1,p
B2を、例えば次の式(4)及び(5)を用いて計算する。
【数4】
【数5】
【0031】
ダクト干渉有無判定部362は、干渉信号s
B2及び干渉信号s
B2’それぞれのダクト干渉波電力p
B1,p
B2と、予め設定した受信電力閾値γthとを比較する。ここで、例えば、ダクト干渉波電力p
B1,p
B2がそれぞれ受信電力閾値γth以上であればダクト干渉ありと判定し、ダクト干渉波電力p
B1,p
B2の少なくとも一方が受信電力閾値γthよりも小さければダクト干渉なしと判定する。
【0032】
計算ON/OFF制御部363は、ダクト干渉有無判定部362でダクト干渉ありと判定された場合、ウェイトwを計算するようにウェイト計算部340での計算処理をONにする。ウェイト計算部340で計算されたウェイトwはウェイト切替部365に出力される。ダクト干渉有無判定部362でダクト干渉なしと判定された場合、計算ON/OFF制御部363は、ウェイト計算部340での計算処理をOFFにし、ウェイトwをゼロにするようにウェイト設定部364を制御する。ウェイト設定部364で設定されたウェイトw(=0)はウェイト切替部365に出力される。
【0033】
ウェイト切替部365は、ウェイト計算部340で計算されたウェイトwを受けた場合は、そのウェイトwの計算値を信号演算部350に出力し、ウェイト設定部364で設定されたウェイトw(=0)を受けた場合は、そのウェイトwの設定値(=0)を信号演算部350に出力する。
【0034】
次に、本実施形態の基地局10における性能評価装置370の構成例について説明する。
図6は、本実施形態の基地局10における性能評価装置370の一構成例を示すブロック図である。
図6において、本構成例の性能評価装置370は、第1デジタル帯域フィルタ371と、干渉信号抑圧前の第1受信信号の受信電力を検出する受信電力検出手段としての第1干渉電力検出部372と、第2デジタル帯域フィルタ373と、干渉信号抑圧後の第2受信信号の受信電力を検出する受信電力検出手段としての第2干渉電力検出部374と、ウェイトを用いた干渉抑圧効果を評価する評価手段としての干渉低減評価部375とを備える。なお、本構成例の干渉抑圧装置310及び性能評価装置370では、上記干渉抑圧装置310で通信端末80が使用しない周波数帯域f
BPについて、通信端末80が使用しない特定の1つの周波数f
0を用いるものとして説明する。
【0035】
第1デジタル帯域フィルタ371は、基地局アンテナ40で受信された第1受信信号X(=s1+s2)に対して、ウェイトwを決定するために用いた通信端末80が使用しない特定の1つの周波数f
0を選択的に通過させるデジタル帯域フィルタで帯域制限することにより、ダクト干渉信号s2を分離して検出する。そして、第1干渉電力検出部372は、第1デジタル帯域フィルタ371で検出されたダクト干渉信号s2の受信電力(干渉電力)(以下「キャンセル前干渉電力」という)Pow
B(f
0)を測定する。
【0036】
また、第2デジタル帯域フィルタ373は、信号演算部350によりダクト干渉信号s2がキャンセルされた第1受信信号Xである信号Z(=X−w・Y)に対して、上記周波数f
0を選択的に通過させるデジタル帯域フィルタで帯域制限することにより、干渉キャンセル後の残留干渉信号を分離して検出する。そして、第2干渉電力検出部374は、第2デジタル帯域フィルタ373で検出された残留干渉信号の受信電力(残留干渉電力)(以下「キャンセル後干渉電力」という)Pow
A(f
0)を測定する。
【0037】
そして、干渉低減評価部375は、第1干渉電力検出部372から出力されたキャンセル前干渉電力Pow
B(f
0)と、第2干渉電力検出部374から出力されたキャンセル後干渉電力Pow
A(f
0)とを比較して、ウェイトwを決定するために用いた周波数f
0における干渉低減量を評価する。具体的には、第2閾値としての所要の干渉低減量の閾値をλ
th、第1閾値としての干渉キャンセル後の干渉電力閾値をγ
thとしたとき、下記の評価条件式(6)及び(7)を満たす場合に、干渉抑圧装置310の干渉低減効果が劣化した障害が発生したと判定する。
【0039】
干渉低減評価部375は、干渉抑圧装置310の干渉低減効果が劣化した障害が発生したと判定したとき、障害アラーム信号を通信装置380に送信する。そして、障害アラーム信号を受信した通信装置380は、その障害アラーム信号を通信回線を介して、予め設定した所定の通報先(例えば、遠隔地に設けられた遠隔監視装置、所定の監視員やオペレータの端末装置)に送信する。
【0040】
ここで、通信端末80が使用しない特定の1つの周波数f
0の干渉信号からウェイトwを計算して干渉信号の抑圧に用いる場合、基地局アンテナ系とキャンセルアンテナ系で遅延時間(群遅延)等の電気的特性が異なると、干渉抑圧装置310の干渉抑圧機能がウェイトwの計算に用いた周波数f
0以外の通信端末80が使用する帯域の全体でフラットにならず、通信端末80が使用する帯域に干渉信号が残る障害が発生するおそれがある。よって、本構成例の性能評価装置370において、ウェイトwの計算に用いた周波数f
0の評価だけでは、通信端末80が使用する帯域の全体の干渉低減量の評価を行うことができない。
【0041】
また、運用開始時には干渉抑圧装置310の干渉抑圧機能の帯域特性がフラットであっても、基地局アンテナ系又はキャンセルアンテナ系の経年劣化により基地局アンテナ系とキャンセルアンテナ系で遅延時間(群遅延)等の電気的特性が変化し、干渉抑圧機能の帯域特性がフラットでなくなり、上記障害が発生するおそれもある。よって同様に、本構成例の性能評価装置370において、ウェイトwの計算に用いた周波数f
0の評価だけでは、通信端末80が使用する帯域の全体の干渉低減量の評価を行うことができない。
【0042】
図7(a)は、ウェイトwの計算に用いる周波数f
0を通信端末80の通信帯域内の帯域フィルタの通過帯域に設定した場合の残留干渉波(残留干渉信号)について説明する図である。グラフ401は通信端末80から受信した希望波s1,s1’とダクト干渉波s2,s2’との信号強度と周波数との関係を示し、グラフ402は干渉抑圧後の残留干渉波の信号強度と周波数との関係を示す。また、
図7(b)は、ウェイトwの計算に用いる周波数f
0を通信端末80の通信帯域外の帯域フィルタの通過帯域に設定した場合の残留干渉波(残留干渉信号)について説明する図である。グラフ403は通信端末80から受信した希望波s1,s1’とダクト干渉波s2,s2’との信号強度と周波数との関係を示し、グラフ404は干渉抑圧後の残留干渉波の信号強度と周波数との関係を示す。
【0043】
図7(a)のグラフ401に示すように、通信端末80との通信で予め設定された通信帯域内で通信端末80が実際に使用しない周波数帯域のうち周波数f
0を選択した場合には、グラフ402において、周波数f
0周辺以外では、周波数f
0の高周波数側及び低周波数側で理想的な残留干渉波と電気的な不整合による残留干渉波との差が徐々に大きくなり、残留干渉波が大きくなっている。また、
図7(b)のグラフ403に示すように、通信端末80の通信帯域外の周波数帯域の周波数f
0を選択した場合には、グラフ404において、周波数f
0周辺以外では、周波数f
0の低周波数側で理想的な残留干渉波と電気的な不整合による残留干渉波との差が徐々に大きくなり、残留干渉波が大きくなっている。このように、
図7(a)、(b)のいずれの場合であっても、ウェイトwの計算に用いた周波数f
0周辺では干渉低減量が大きいが、周波数f
0周辺以外では干渉低減量が少ないため、ウェイトwの計算に用いた周波数f
0の評価だけでは、通信端末80が使用する帯域の全体の干渉低減量の評価を行うことができない。
【0044】
図8は、本実施形態の基地局10における性能評価装置370の他の構成例を示すブロック図である。
図8は、通信端末80が使用する帯域の全体の干渉低減量の評価を行うことができる性能評価装置370の構成例である。
【0045】
図8において、本構成例の性能評価装置370は、第1デジタル帯域フィルタ381と、第1干渉電力検出部382と、第2デジタル帯域フィルタ383と、第2干渉電力検出部384と、干渉低減評価部385とを備える。なお、本構成例の干渉抑圧装置310及び性能評価装置370では、上記干渉抑圧装置310で通信端末80が使用しない周波数帯域f
BPについて、通信端末80が使用しない2箇所又は3箇所以上の複数の周波数f
j(j=0,1,2,・・・)を用いるものとして説明する。
【0046】
第1デジタル帯域フィルタ381は、基地局アンテナ40で受信された第1受信信号X(=s1+s2)に対して、ウェイトwを決定するために用いた通信端末80が使用しない特定の1つの周波数f
0に加え、この周波数f
0以外の通信端末80が使用しない少なくとも1箇所の周波数f
j(j=1,2,・・・)を選択的に通過させるデジタル帯域フィルタで帯域制限することにより、ダクト干渉信号s2を分離して検出する。そして、第1干渉電力検出部382は、第1デジタル帯域フィルタ381で検出されたダクト干渉信号s2のキャンセル前干渉電力Pow
B(f
j)を測定する。
【0047】
また、第2デジタル帯域フィルタ383は、信号演算部350によりダクト干渉信号s2がキャンセルされた第1受信信号Xである信号Z(=X−w・Y)に対して、上記周波数f
j(j=1,2,・・・)を選択的に通過させるデジタル帯域フィルタで帯域制限することにより、干渉キャンセル後の残留干渉信号を分離して検出する。そして、第2干渉電力検出部384は、第2デジタル帯域フィルタ383で検出されたキャンセル後干渉電力Pow
A(f
j)を測定する。
【0048】
そして、干渉低減評価部385は、第1干渉電力検出部382から出力されたキャンセル前干渉電力Pow
B(f
j)と、第2干渉電力検出部384から出力されたキャンセル後干渉電力Pow
A(f
j)とを比較して、ウェイトwを決定するために用いた周波数f
0に加え、周波数f
j(j=1,2、・・・)における干渉低減量を評価する。具体的には、第2閾値としての所要の干渉低減量の閾値をλ
th、第1閾値としての干渉キャンセル後の干渉電力閾値をγ
thとしたとき、下記の評価条件式(8)及び(9)を満たす場合に、干渉抑圧装置310の干渉低減効果が劣化した障害が発生したと判定する。
【0050】
干渉低減評価部385は、干渉抑圧装置310の干渉低減効果が劣化した障害が発生したと判定したとき、干渉抑圧装置310に障害が発生した旨の情報を含む障害アラーム信号を通信装置380に送信する。そして、障害アラーム信号を受信した通信装置380は、その障害アラーム信号を通信回線を介して、予め設定した所定の通報先(例えば、遠隔地に設けられた遠隔監視装置、所定の監視員やオペレータの端末装置)に送信する。
【0051】
本構成例の性能評価装置370によれば、ウェイトwを決定するために用いた周波数f
0を含む2箇所又は3箇所以上の複数の周波数f
j(j=0,1,2,・・・)で干渉低減量を検出することにより、通信端末80が使用する帯域の全体の干渉低減量の評価を行うことができる。よって、干渉抑圧装置310の干渉低減効果が劣化した障害の発生を、早期に且つより確実に発見することができる。
【0052】
図9は、ウェイトwを決定するために用いた周波数f
0を含む複数の周波数f
0,f
1,f
2で干渉低減量の検出を説明するための図である。
図9のグラフ412に示すように、干渉低減量を評価するための複数の周波数f
0、f
1及びf
2は、通信端末80が使用する周波数を含む通信帯域の内側に位置している。また、
図9のグラフ413に示すように、干渉低減量を評価するための複数の周波数f
0、f
1及びf
2のうち周波数f
1及びf
2は、通信端末80が使用する周波数を含む通信帯域の外側に位置していてもよい。
【0053】
図10は、性能評価装置370の性能評価アルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図10において、まず、性能評価を開始するときに、時刻tを算出する数iがゼロリセットされる(S1)。ここで、時刻tは測定間隔をΔTとすると、時刻t=i×ΔTで表される。そして、時刻tに、Pow
B(f
j)及びPow
A(f
j)(j=0,1,2,・・・)を測定する(S2)。次に、第1の評価条件式「Pow
A(f
j)<γ
th」を満たすか否かを判断する(S3)。第1の評価条件式を満たさない場合(S3でN)、第2の評価条件式「|Pow
A(f
j)−Pow
B(f
j)|>λ
th」を満たすか否かを判断する(S4)。そして、第2の評価条件式を満たさない場合(S4でN)、干渉低減効果が劣化した障害が発生したと判定し、障害アラームを発したり、障害アラーム信号を所定の通報先に送信したりする(S5、S6)。一方、第1の評価条件式を満たす場合(S3でY)及び第2の評価条件式を満たす場合(S4でY)、干渉低減効果が劣化しておらず障害の発生はなしと判断され(S7)、周期ΔTで繰り返し行う評価時刻tを算出する数iがカウントアップされる(S8)。そして、S2に戻り、以上の性能評価(S2〜S4)を繰り返し行う。
【0054】
以上、
図10の性能評価アルゴリズムを実行することにより、常時、干渉抑圧装置310の干渉低減効果を評価し、干渉低減効果が劣化した障害の発生を、早期に且つより確実に発見することができる。
【0055】
以上、本実施形態によれば、発生時間が不定期で垂直面内の特定の方向から到来する干渉波に起因した干渉信号を適応的に抑圧することができる。また、ウェイトwを決定するために用いた周波数f
0を含む複数の周波数f
j(j=0,1,2,・・・)で干渉低減量を検出することにより、通信端末80が使用する通信帯域の全体の干渉低減量の評価を行うことができるので、その干渉抑圧機能を、通信端末が使用する通信帯域の全体にわたって評価することができる。
【0056】
なお、上記各実施形態では、抑圧及びその抑圧機能の評価を行う対象の干渉信号がダクト干渉信号である場合について説明したが、対象の干渉信号はダクト干渉信号に限定されるものではない。例えば、本発明は、これに限定されるものではない。また、本発明は、基地局10の基地局アンテナ40で受信する受信信号にダクト干渉信号以外の到来方法が変化する可能性がある干渉信号が含まれる場合にも同様に適用することができ、同様な効果が得られるものである。
【0057】
また、本明細書で説明された処理工程並びに基地局における基地局装置及び干渉抑圧装置の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0058】
ハードウェア実装については、実体(例えば、基地局装置、干渉抑圧装置、通信端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0059】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0060】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【課題】発生時間が不定期で垂直面内の特定の方向から到来する干渉波に起因した干渉信号を適応的に抑圧することができるとともに、その干渉抑圧機能を、通信端末が使用する帯域の全体にわたって評価すること。
【解決手段】第1アンテナで受信した第1受信信号から検出したウェイト計算用の周波数の干渉信号と、第2アンテナで受信した第2受信信号から検出したウェイト計算用の周波数の干渉信号とが互いに同じ振幅及び位相になるようにウェイトを計算し、第2受信信号にウェイトを乗算した信号を第1受信信号から減算する。通信端末が使用しない複数の干渉抑圧評価用の周波数のそれぞれで、第2受信信号にウェイトを乗算した信号を減算していない干渉信号抑圧前の第1受信信号の受信電力と、第2受信信号にウェイトを乗算した信号を減算した干渉信号抑圧後の第1受信信号の受信電力とに基づいて、ウェイトを用いた干渉抑圧効果を評価する。