特許第6374078号(P6374078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6374078
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/56 20060101AFI20180806BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   A61F5/56
   A61M16/00 311
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-248996(P2017-248996)
(22)【出願日】2017年12月26日
【審査請求日】2018年4月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514292942
【氏名又は名称】株式会社壮健
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】升田 博人
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0035602(US,A1)
【文献】 特開2015−033568(JP,A)
【文献】 特開2002−224053(JP,A)
【文献】 特開2009−128110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/56
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠時無呼吸症候群患者の口腔に挿入される睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具であって、
患者の上下の前歯によって挟持されるとともに、口唇から口腔外に臨むように配置される前端部から口腔内まで延びる空気通路が形成された弾性体からなる被挟持部と、
上記被挟持部から患者の軟口蓋近傍まで延び、舌を押圧する弾性体からなる舌押圧部と、
上記被挟持部と上記舌押圧部との少なくとも一方に設けられ、患者のバイタルサインと唾液成分との少なくとも一方を検出する検出部とを備えていることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【請求項2】
請求項1に記載の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具において、
上記被挟持部には、前歯が挿入される凹部が形成されていることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具において、
上記舌押圧部は、芯材を備えていることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【請求項4】
請求項3に記載の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具において、
上記舌押圧部は、エラストマーからなる外層部を備え、
上記芯材は、上記外層部を構成するエラストマーよりも硬い材料で構成され、該外層部に埋め込まれていることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具において、
上記舌押圧部に上記検出部が設けられていることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【請求項6】
請求項5に記載の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具において、
上記舌押圧部は、舌の上側に配置される押圧板部と、舌の下側に配置される下側板部とを有していることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【請求項7】
請求項6に記載の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具において、
上記検出部は、上記押圧板部及び上記下側板部の一方に配設され、舌に向けて光を照射する照射部と、他方に配設され、上記照射部から照射された光を受光する受光部とを備え、該受光部で受光した光の強度に基づいて舌の血流を得るように構成されていることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【請求項8】
請求項6に記載の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具において、
上記舌押圧部は、上記下側板部を上下方向に揺動自在に支持する支軸と、上記下側板部を舌の下側に押し付ける方向に付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具において、
上記検出部による検出結果を外部に送信する送信部を備えていることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具において、
上記舌押圧部には、唾液が溜まる唾液溜まり部が設けられ、該唾液溜まり部に唾液成分を検出する検出部が設けられていることを特徴とする睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善を補助する器具に関するものであり、特に、睡眠中に口腔内に挿入して使用される器具の構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
通常、就寝時の体勢が仰臥位である場合に、就寝後、全身の筋肉が弛緩すると、舌根部が重力の影響を受けて下がり気味になる。この下がり気味になった舌が気道を閉塞すると無呼吸状態になることがあり、これが睡眠時無呼吸症候群の症状である。
【0003】
睡眠時無呼吸症候群の症状を改善する装置として、例えば、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)装置が知られている(例えば特許文献1参照)。CPAP装置は、顔にマスクあるいは鼻カニューレを装着し、ファンで空気を強制的に気道に送り込むように構成されている。具体的には、送風用のファンを内蔵した筐体を患者から離れた所に置き、その筐体と顔に宛てがうマスクとがホースによって接続されている。そして、そのホースを経由して空気を患者の気道に送り込むことによって睡眠時無呼吸症候群の症状を改善するようにしている。
【0004】
CPAP装置のマスクは、様々な形状のものが市販されており、患者は自分の顔の形や好みに合うマスク等を任意に選択して使用することができるが、顔にマスクを装着することの違和感があり、また、ホースが常に顔付近にあることの違和感もあり、これらによって睡眠が妨げられることがある。さらに、ファンを駆動するモータや、モータに電源を供給する電源部も必要であることから大掛かりな装置になり、コスト高となる。
【0005】
そこで、CPAP装置よりも違和感が少なく、かつ、低コストで睡眠時無呼吸症候群の症状を改善する器具として、例えば、特許文献2〜4に開示されているように、睡眠時に口腔に挿入される器具が知られている。
【0006】
特許文献2に開示されている器具は、軟口蓋へ当接する制振部材を保持して口蓋へ沿うように湾曲するアーチ部と、該アーチ部の左右両端に配置されて左右の臼後空隙へ収容する一対の顎通過部とを備えている。顎通過部には、前方へ屈曲して口腔前庭へ収容されるアーム部が形成されている。さらにアーチ部には、軟口蓋へ沿うように湾曲した反力板が固定されており、この反力板の反力によって睡眠時に舌が下がりにくくしている。
【0007】
また、特許文献3、4に開示されている器具は、口に挿入される弾性体で構成されており、その前端部は前歯によって上下方向に挟持される被挟持部を有し、後端部は軟口蓋に接近するまで延びるように形成されている。この器具の後端部近傍で舌を押さえることで睡眠時に舌が下がりにくくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016−034411号公報
【特許文献2】特開2013−106811号公報
【特許文献3】特開2017−104308号公報
【特許文献4】特開2016−093397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2〜4のように口腔内に挿入される睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具を使用することで、特許文献1のようなファン、モーター、電源部等を備えた大掛かりなCPAP装置を用いることなく、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善が見込まれる。
【0010】
ところが、従来の睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具は、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善のみを目的として開発され、また睡眠時無呼吸症候群の症状の改善のためだけに使用されている。
【0011】
ここで、睡眠時無呼吸症候群の患者は、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具を使用していたとしても急に症状が悪化する可能性もあり、そのことをいち早く把握するために睡眠中のバイタルサインを検出しておきたいという要求がある。バイタルサインとしては、例えば、体温、心拍、脈拍、血圧、血中酸素等があり、人間が生存していることを示す信号、人間が正常な状態であるか否かを示す信号である。
【0012】
また、近年では、唾液で測定可能な複数のバイオマーカーも発見されており、唾液中の成分を分析して各バイオマーカーの高低を測定することで様々な症状の早期発見が可能になっている。
【0013】
さらに、唾液中には、血液よりもはるかに微量ながらグルコースも含まれており、この唾液中に含まれるグルコースの量を測定することで血糖値を推定することができる。すなわち、血液の代わりに唾液を採取することで糖尿病の診断を行うことができる。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具によって睡眠時無呼吸症候群の症状の改善を図りながら、低侵襲でバイタルサインの検出を可能にし、また、唾液中に含まれる成分の検出を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明では、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具にバイタルサインや唾液中の成分を検出する検出部を設けるようにした。
【0016】
第1の発明は、睡眠時無呼吸症候群患者の口腔に挿入される睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具であって、患者の上下の前歯によって挟持されるとともに、口唇から口腔外に臨むように配置される前端部から口腔内まで延びる空気通路が形成された弾性体からなる被挟持部と、上記被挟持部から患者の軟口蓋近傍まで延び、舌を押圧する弾性体からなる舌押圧部と、上記被挟持部と舌押圧部との少なくとも一方に設けられ、患者のバイタルサインと唾液成分との少なくとも一方を検出する検出部とを備えていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具を睡眠時無呼吸症候群患者の口腔に挿入し、被挟持部を上下の前歯で噛むことで睡眠時無呼吸症候群改善用補助器具が口腔内で固定される。この状態で、空気通路によって口呼吸が可能になる。また、睡眠時無呼吸症候群改善用補助器具が口腔内で固定されると、舌押圧部が患者の軟口蓋近傍まで延びるように位置して舌を押圧するので、就寝時の体勢が仰臥位であったとしても舌が下がり難くなる。よって、睡眠時無呼吸症候群の症状が改善される。
【0018】
また、被挟持部は大部分が口腔内に位置し、舌押圧部は全てが口腔内に位置しているので、それらのうち、少なくとも一方に検出部を設けておくことで、口腔内において脈拍や血中酸素等のバイタルサインを検出することが可能になる。これにより、患者の状態を早期にかつ確実に得ることができる。また、検出部によって唾液成分、例えばバイオマーカーやグルコース等も検出することも可能である。
【0019】
第2の発明は、上記被挟持部には、前歯が挿入される凹部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、被挟持部を上下の前歯で噛むと、前歯が凹部に挿入されて該凹部に嵌まった状態になる。これにより、被挟持部の位置ずれが起こり難くなるので、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善効果がより一層高まる。
【0021】
第3の発明は、上記舌押圧部は、芯材を備えていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、芯材によって舌押圧部の強度が高まるので、舌の押圧力が高まる。
【0023】
第4の発明は、上記舌押圧部は、エラストマーからなる外層部を備え、上記芯材は、上記外層部を構成するエラストマーよりも硬い材料で構成され、該外層部に埋め込まれていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、芯材がエラストマーにより覆われるので、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具を口腔内に挿入したときに芯材が粘膜等に触れることによる違和感を無くすことができる。
【0025】
第5の発明は、上記舌押圧部に上記検出部が設けられていることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、舌押圧部が舌を押圧するものであることから、その舌押圧部に例えば舌の血流を測定可能な検出部を設けることで、舌の血流を利用して脈拍や血中酸素等を精度良く測定することができる。
【0027】
第6の発明は、上記舌押圧部は、舌の上側に配置される押圧板部と、舌の下側に配置される下側板部とを有していることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具を患者の口腔に挿入すると、舌を舌押圧部の押圧板部と下側板部との間に差し込むことができる。これにより、舌と睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具との相対的な位置関係がずれにくくなり、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善効果が高まる。
【0029】
第7の発明は、上記検出部は、上記押圧板部及び上記下側板部の一方に配設され、舌に向けて光を照射する照射部と、他方に配設され、上記照射部から照射された光を受光する受光部とを備え、該受光部で受光した光の強度に基づいて舌の血流を得るように構成されていることを特徴とする。
【0030】
この構成によれば、舌の上側または下側から照射部によって照射された光は舌を通過して受光部で受光される。受光部で受光される光の強度は、血流量の変化や血流の有無によって異なるので、受光した光の強度に基づいて舌の血流を得ることができる。
【0031】
第8の発明は、上記舌押圧部は、上記下側板部を上下方向に揺動自在に支持する支軸と、上記下側板部を舌の下側に押し付ける方向に付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、下側板部を付勢部材の付勢力に抗して押圧板部から離れる方向に揺動させることで、舌を押圧板部と下側板部との間に容易に差し込むことができる。そして、舌を押圧板部と下側板部との間に差し込んだ後、下側板部が付勢部材の付勢力によって舌の下側に押し付けられるので、舌と睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具との相対的な位置関係がずれにくくなり、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善効果が高まる。
【0033】
第9の発明は、上記検出部による検出結果を外部に送信する送信部を備えていることを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、検出部によって検出された結果が送信部によって外部に送信されるので、例えば病院等の外部端末でバイタルサイン等を医療従事者が確認することができる。また、バイタルサイン等を患者自らが確認することもできる。
【0035】
第10の発明は、上記舌押圧部には、唾液が溜まる唾液溜まり部が設けられ、該唾液溜まり部に唾液成分を検出する検出部が設けられていることを特徴とする。
【0036】
この構成によれば、唾液溜まり部に溜まった唾液の成分を検出部によって確実に検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具が患者のバイタルサインと唾液成分との少なくとも一方を検出する検出部を備えているので、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善を図りながら、低侵襲でバイタルサインを検出することができ、また、唾液中に含まれる成分を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施形態1に係る睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具の平面図である。
図2】睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具の左側面図である。
図3】睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具の底面図である。
図4】睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具の正面図である。
図5図1におけるA−A線断面図である。
図6図1におけるB−B線断面図である。
図7図1におけるC−C線断面図である。
図8図1におけるD−D線断面図である。
図9図1におけるE−E線断面図である。
図10】検出部のブロック図である。
図11】伏臥位で睡眠中における健常者の咽頭付近の説明図である。
図12】睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具を挿入した状態を示す患者の咽頭付近の説明図である。
図13】実施形態2に係る図1相当図である。
図14図14におけるF−F線断面図である。
図15】舌を差し込んだ状態を示す図14相当図である。
図16】実施形態3に係る図14相当図である。
図17】実施形態3に係る図15相当図である。
図18】実施形態3の変形例に係る図17相当図である。
図19】実施形態3の変形例に係る図12相当図である。
図20】実施形態4の係る図2相当図である。
図21】実施形態5の係る図3相当図である。
図22】実施形態5の係る図6相当図である。
図23】別の変形例に係る図5相当図である。
図24】第1挿入状態を示す図12相当図である。
図25】第2挿入状態を示す図12相当図である。
図26】一体成形タイプを示す図14相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0040】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1の平面図であり、図2は左側面図であり、図3は底面図であり、図4は正面図である。睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1は、図12に示すように睡眠時無呼吸症候群患者100の口腔101に挿入されるものである。この実施形態の説明では、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を口腔101に挿入した状態で、挿入方向手前側(図12における上側)を「前」といい、挿入方向奥側(図12における下側)を「後」というものとする。また、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を口腔101に挿入した状態で、患者100の右側を単に「右」といい、患者100の左側を単に「左」というものとする。
【0041】
一般に、就寝し、睡眠状態に入ると全身の筋肉が弛緩する。仰臥位で就寝し睡眠状態に入ったときには、健常者の場合は、図11に示すように、舌102の後部である舌根部103が下方に下がらず咽頭の気道104を閉塞していない。一方、睡眠時無呼吸症の患者の場合は、舌根部103の位置を変える働きをする筋肉が弛緩し重力の影響を受けて舌根部103が下方に垂れて、舌根部103が咽頭の気道104を閉塞する。このときに軟口蓋105や口蓋垂106も垂れ下がり咽頭の気道104を閉塞することがある。気道106が閉塞されると肺まで流動すべき空気が遮断されるため睡眠時無呼吸症になる。
【0042】
舌102の位置を変える働きをする筋肉を外下筋といい、外下筋には、舌を後方に引く茎突舌筋、舌を下に引く舌滑舌筋、舌外側縁に付いて舌背を持ち上げる口蓋舌筋、舌を前に突出させるオトガイ舌筋があり、このうち、舌の後部を指す舌根部103に大きく影響を与える筋肉が、茎突舌筋、舌滑舌筋、口蓋舌筋である。就寝し睡眠状態に入ると全身の筋肉が弛緩するので、これらの筋肉も弛緩する。
【0043】
睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1は、患者100の上の前歯110及び下の前歯111(図12に示す)によって挟持されるとともに、口唇112から口腔101外に臨むように配置される前端部から口腔101内まで延びる空気通路R1〜R4が形成された弾性体からなる被挟持部10と、被挟持部10から患者100の軟口蓋105近傍まで延び、舌102を押圧する弾性体からなる舌押圧部20と、被挟持部10と舌押圧部20との少なくとも一方に設けられ、患者のバイタルサインと唾液成分との少なくとも一方を検出する検出部30(図1等に示す)とを備えている。
【0044】
睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1の被挟持部10と舌押圧部20とは一体に成形することができるが、これに限られるものではなく、例えば、被挟持部10と舌押圧部20とを別々に成形しておき、その後、溶着、接着、結合等の方法によって一体化することもできる。被挟持部10と舌押圧部20は、例えば射出成形法や3Dプリンターによって得ることができる。
【0045】
睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1の被挟持部10と舌押圧部20とは同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。被挟持部10と舌押圧部20を構成する材料としては、可撓性を有する弾性体であればよく、例えば、合成ゴムや合成樹脂発泡体(エラストマー)等を挙げることができる。それらの中で生理的にも安全であり、臭いが殆ど無いシリコーンゴムが最も適している。また、被挟持部10と舌押圧部20の厚みは、薄すぎると頬を押し広げて外方向に膨らませることが困難となり、かつ気道9の確保が困難となる。一方、被挟持部10と舌押圧部20の厚みが厚すぎると可撓性が低下しゴム硬度が高くなるので容易に湾曲させることが困難になり口腔101内に挿入しにくくなる。よって、被挟持部10と舌押圧部20の厚みは、2mm以上、好ましくは5mm前後が適している。また、被挟持部10と舌押圧部20の材料のゴム硬度は8度〜13度程度が好ましい。
【0046】
図1図4等に示すように、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1の被挟持部10は、左右方向に長い扁平断面を有している。図12に示すように睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を口腔101に挿入した状態で、被挟持部10の前端部は、上唇と下唇との間から口腔101外に臨むように配置される部分となる。この被挟持部10の前端部に、空気通路R1〜R4の一端部(前端部)が開口している。従って、空気通路R1〜R4は、口腔101外の空気を取り込むことが可能になっている。
【0047】
図7図9に示すように、被挟持部10は、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1の前端部から前後方向中間部までの範囲に形成されている。睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1における舌押圧部20よりも後側の部分が舌押圧部20となっている。被挟持部10が形成された範囲と、舌押圧部20が形成された範囲とは、任意に設定することができる。また、被挟持部10の前後方向の長さと、舌押圧部20の前後方向の長さとは異なっていてもよいし、同じにしてもよい。患者100の体格や睡眠時無呼吸症の症状等に合わせて被挟持部10の前後方向の長さ及び舌押圧部20の前後方向の長さを設定することができる。被挟持部10の前後方向の長さを舌押圧部20よりも長くしてもよいし、短くしてもよい。
【0048】
図7に示すように、被挟持部10の上下方向の寸法(厚み)は、舌押圧部20の厚みよりも厚くなっている。これは、被挟持部10に空気通路R1〜R4を形成するためであるとともに、上の前歯110及び下の前歯111(図12に示す)で噛んで保持しやすくするためである。被挟持部10の後端面は、下に行くほど前に位置するように傾斜した傾斜面で構成されている。
【0049】
図1に示すように、空気通路R1は、被挟持部10の右側に設けられており、前後方向に延びている。空気通路R2は、空気通路R1から左側に離れて設けられており、空気通路R1と略平行に延びている。空気通路R3は、空気通路R2から左側に離れて設けられており、空気通路R1、R2と略平行に延びている。空気通路R4は、空気通路R3から左側に離れかつ被挟持部10の左側に設けられており、空気通路R1〜3と略平行に延びている。この実施形態では、空気通路R1〜R4の4つ空気通路を設けているが、これに限らず、例えば、1つまたは2つ、3つの空気通路を設けてもよいし、5つ以上の空気通路を設けてもよい。空気通路R1〜R4の径は任意に設定することができる。
【0050】
空気通路R1〜R4の他端部(後端部)は、被挟持部10の後端面において開口している。図12に示すように睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を口腔101に挿入した状態で、空気通路R1〜R4の他端部は、口腔101の内部で開口することになる。よって、空気通路R1〜R4を介して口腔101の内部と外部とが連通するので、患者100は、空気通路R1〜R4によって口呼吸することができる。
【0051】
被挟持部10には、空気通路R1に連通する右側連通孔11と、空気通路R4に連通する左側連通孔12とが形成されている。右側連通孔11は、空気通路R1の前後方向中間部に連通しており、被挟持部10の上面に開口している。左側連通孔12は、空気通路R4の前後方向中間部に連通しており、被挟持部10の上面に開口している。よって、空気通路R1、R4は上方に開放されることになる。尚、空気通路R2、R3に連通する連通孔を設けてもよい。
【0052】
また、被挟持部10には、図12に示すように患者100の下の前歯111が挿入される前歯挿入用凹部13が形成されている。前歯挿入用凹部13は、図2図3等に示すように、被挟持部10の下面に開放されており、この開放部分から患者100の下の前歯111が挿入可能となっている。前歯挿入用凹部13は、被挟持部10の右側から左側に亘って形成されている。また、前歯挿入用凹部13の前後方向の寸法は、一般的な成人の下の前歯111の厚み及び前歯111の並びを考慮して、下の前歯111の少なくとも2本以上を挿入することができるように設定されている。図6に示すように、前歯挿入用凹部13は、空気通路R1〜R4に連通している。よって、空気通路R1〜R4内の空気は、前歯挿入用凹部13を介して口腔101に流入し、また、口腔101内の空気は、前歯挿入用凹部13を介して空気通路R1〜R4に流入可能になる。被挟持部10の厚み(上下方向の寸法)は、10mm以上30mm以下に設定されているのが好ましいが、15mm以上25mm以下に設定されているのがより好ましい。
【0053】
図1及び図2に示すように、舌押圧部20の左右方向の寸法は、被挟持部10の左右方向の寸法よりも長めに設定されている。舌押圧部20の右端部は右側へ延出し、舌押圧部20の左端部は左側へ延出しており、舌押圧部20の右端部及び左端部は板状に成形されている。また、舌押圧部20の左右方向の中央部も板状をなしており、図5に示すように、舌押圧部20の左右方向の中央部は、右端部及び左端部よりも厚く形成されている。また、舌押圧部20は同図に示すように左右方向中央部が最も上に位置し、右端部へ接近するほど、及び左端部へ接近するほど下に位置するように緩やかに湾曲している。舌押圧部20の左右方向の寸法は、例えば30mm〜40mm程度に設定することができる。
【0054】
図1図3に示すように、舌押圧部20の右側には、複数の右側貫通孔21が前後方向に互いに間隔をあけて形成されている。また、舌押圧部20の左側には、複数の左側貫通孔22が前後方向に互いに間隔をあけて形成されている。右側貫通孔21及び左側貫通孔22は、舌押圧部20の上面及び下面に開口している。尚、右側貫通孔21及び左側貫通孔22は、省略してもよい。
【0055】
舌押圧部20の口腔への挿入方向奥側の端部には、窪み部20aが形成されている。窪み部20aは、舌押圧部20の奥側の縁部が喉の奥に当たらないように、または当たりにくくするための部分であり、切欠部や凹み部等で構成することもできる。窪み部20aの深さは5mm以上10mm以下に設定することができる。
【0056】
図5図7に示すように、舌押圧部20は、エラストマーからなる外層部24と、該外層部24を構成するエラストマーよりも硬い材料で構成され、該外層部24に埋め込まれている芯材25とを備えている。芯材25は、例えばポリプロピレン等の樹脂材で構成することができるが、これに限らず、例えば金属材であってもよい。芯材25は弾性を備えているのが好ましい。芯材25は、板状に形成されており、舌押圧部20の左右方向中央部において前後方向に延びている。この芯材25によって舌押圧部20の強度が高まり、睡眠時の舌102を舌押圧部20によって確実に押すことができる。芯材25は全体が外層部24に埋め込まれており、従って芯材25は柔らかい部材によって被覆された状態になっている。これにより、図12に示すように睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を口腔101に挿入した状態で、芯材25が口腔101内の粘膜等に接触しないようになる。
【0057】
芯材25の前側は、上の前歯110及び下の前歯111で挟まれる部分に達するまで延びていてもよい。これにより、芯材25を上の前歯110及び下の前歯111で挟んで位置決めすることができる。
【0058】
この実施形態では、検出部30が舌押圧部20に設けられているが、これに限らず、被挟持部10に設けることもできる。検出部30は、図7に示すように、芯材25と同様に舌押圧部20の外層部24に埋め込まれている。また、検出部30は、芯材25の前後方向中間部に埋め込まれていて、芯材25と一体化されている。検出部30は、患者100のバイタルサインと唾液成分との少なくとも一方を検出することができるものであり、従来から周知のものを用いることができる。バイタルサインとは、例えば、睡眠時無呼吸時の酸素飽和度の測定値、体温、心拍、脈拍、血圧、血中酸素等があり、人間が生存していることを示す信号、人間が正常な状態であるか否かを示す信号である。また、唾液成分には、バイオマーカーやグルコース等が含まれる。唾液中の成分を分析してバイオマーカーの高低を測定することで様々な症状の早期発見が可能である。また、唾液中には、血液よりもはるかに微量ながらグルコースも含まれており、この唾液中に含まれるグルコースの量を測定することで血糖値を推定することができる。すなわち、血液の代わりに唾液を採取することで糖尿病の診断を行うことができる。バイオマーカーやグルコースの測定方法は、各種学術文献等に記載された方法を用いることができる。検出部30としては、発光体や、磁力を発生するもの等を挙げることができる。
【0059】
また、バイタルサインとして体温を測定する場合には、周知の体温計等に搭載されている温度センサを備える構成することができる。バイタルサインとして心拍や脈拍、血中酸素を測定する場合には、図10に示すように、光を照射する照射部31と、照射部31から照射された光を受光する受光部32とを備える構成とすることができる。すなわち、検出部30は、照射部31、受光部32、制御部33及び送信部34を少なくとも備えている。照射部31は、例えば赤外光を照射するLED等で構成することができ、従来から血流測定等に用いられている発光素子とすることができる。受光部32は、これも従来から血流測定等に用いられている受光素子で構成することができる。照射部31及び受光部32は舌102の表面に向けて配置されている。
【0060】
制御部33は、照射部31に測定用の光を照射させるとともに、受光部32で受光した光の強度を得て、受光部32で受光した光の強度に基づいて舌102の血流を得るように構成されている。例えば血管を流れる血液は心臓の拍動によって脈動しており、この血管に照射部31で測定用の光を照射すると、受光部32では、血液の脈動に対応して光の強度が変化する。これを処理部33aが利用して所定の演算を行うことで心拍や脈拍、血中酸素を得ることができる。尚、光を照射して心拍や脈拍、血中酸素を測定する手法は、様々な機器で使用されており、その手法も様々あり、これらのうち、どの構成であっても本実施形態で使用することができる。尚、制御部33には、電池等の電源を内蔵することができる。
【0061】
送信部34は、検出部30による検出結果を外部に送信する送信モジュールである。送信部34は、例えば外部の端末200に対して無線で送信するように構成してもよいし、有線で送信するように構成してもよい。端末200は、パーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン等を挙げることができる。
【0062】
(睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1の使用方法)
図12に示すように、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を睡眠時無呼吸症候群患者100の口腔101に挿入する。そして、患者100が上の前歯110及び下の前歯111によって被挟持部10を噛むことで被挟持部10が挟持されて睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1が固定される。このとき、下の前歯111が被挟持部10の前歯挿入用凹部13に挿入されるので、下の前歯111が前歯挿入用凹部13に嵌まり、このことで被挟持部10と前歯111との相対的な位置ずれが抑制される。そして、空気通路R1〜R4によって呼吸を行うことができる。また、睡眠時無呼吸症候群改善用補助器具1が口腔101内で固定されると、舌押圧部20が患者100の軟口蓋105近傍まで延びるように位置して舌102を押圧するので、就寝時の体勢が仰臥位であったとしても舌102が下がり難くなる。よって、睡眠時無呼吸症候群の症状が改善される。
【0063】
また、被挟持部10は大部分が口腔101内に位置し、舌押圧部20は全てが口腔101内に位置しているので、それらのうち、少なくとも一方に検出部30を設けておくことで、口腔101内において脈拍や血中酸素等のバイタルサインを検出することが可能になる。これにより、患者100の状態を早期にかつ確実に得ることができる。
【0064】
また、バイタルサインを得る場合に、照射部31による光の照射方向を脳に向かう方向とすることもできる。この光を受光して演算することで脳の血流を測定することもできる。
また、唾液を分泌する唾液腺は、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を挿入する口腔101、舌102及び頬周りに、舌下腺や顎下腺の大唾液腺と、口唇腺、頬腺、口蓋腺、臼歯腺、舌腺などの口腔粘膜に多数散在している粘膜腺とも称される小唾液腺とがある。口腔101に挿入した睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1は弾力性を有するので舌102や歯などを動かすことによって口の中で形態を微妙に変えることから、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1が、口唇112、頬、舌102、口蓋に広く分布している小唾液腺を刺激することになり、唾液が出やすくなる。これにより、唾液によって、食物の消化、口腔粘膜の摩擦・保護や歯の摩耗防止・保護、自浄作用による虫歯や歯周病の発生抑制、細菌の発生抑制、味の認知力低下防止、口腔内乾燥症の防止等の効果を奏することができる。
【0065】
(実施形態2)
図13図15は、本発明の実施形態2に係る睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を示すものである。この実施形態2では、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1に舌102を差し込むことができるように構成されている点で実施形態1のものとは異なっており、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0066】
実施形態2では、舌押圧部20が睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1の前後方向中央部よりも前側まで形成されており、この舌押圧部20は、図15等に示すように、舌102の上側に配置される押圧板部25と、舌102の下側に配置される下側板部26とを有している。図14に示すように、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を口腔101から取り出した状態では、押圧板部25と下側板部26との間に所定の隙間が形成されるように、押圧板部25と下側板部26との間隔が設定されている。また、押圧板部25と下側板部26との間の空間は、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1の後側に向けて開放されている。この開放部分に舌102を先端側から差し込むことで、下側板部26を下方へ向けて弾性変形させて舌102を押圧板部25と下側板部26との間に差し込むことができる。
【0067】
検出部30の照射部31は、押圧板部25に配設されている。また、検出部30の受光部32は、下側板部26に配設されている。これとは反対に、検出部30の照射部31を下側板部26に配設し、検出部30の受光部32を押圧板部25に配設することもできる。この実施形態2では、照射部31で照射された光が舌102を通過して受光部32で受光される。
【0068】
この実施形態2の場合も実施形態1と同様に睡眠時無呼吸症候群の症状を改善しながら患者100のバイタルサインを得ることができる。
【0069】
(実施形態3)
図16図17は、本発明の実施形態3に係る睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を示すものである。この実施形態3では、舌102を上下方向に挟むことができるように構成されている点で実施形態1のものとは異なっており、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0070】
舌押圧部20は、舌102の上側に配置される押圧板部25Aと、舌102の下側に配置される下側板部26Aとを備えており、下側板部26Aは、押圧板部25Aとは別部材で構成されている。さらに、舌押圧部20は、下側板部26Aを上下方向に揺動自在に支持する支軸28と、下側板部26Aを舌102の下側に押し付ける方向に付勢する付勢部材29とを備えている。支軸28は、押圧板部25Aの下面に固定された受け部27に支持されている。下側板部26Aの前端側が支軸28によって支持されている。例えば指の力により、下側板部26Aの後端側が押圧板部25Aから離れる方向に、付勢部材29の付勢力に抗して下側板部26Aを揺動させることで、下側板部26Aと押圧板部25Aとの間に舌102を差し込むことが可能な隙間が形成される。舌102を差し込んだ後、指を離すと、付勢部材29の付勢力によって下側板部26Aと押圧板部25Aとが舌102を挟む。これにより、舌102と睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1との相対的な位置関係がずれにくくなり、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善効果が高まる。また、バイタルサインの検出精度も高まる。下側板部26Aには、図示しないが前後方向に延びる芯材を設けることができる。また、付勢部材29は例えばコイルバネ、ゴム等の弾性部材で構成することができる。
【0071】
この実施形態3の場合も実施形態1と同様に睡眠時無呼吸症候群の症状を改善しながら患者100のバイタルサインを得ることができる。
【0072】
また、図18及び図19に示す実施形態3の変形例のように、押圧板部25A及び下側板部26Aの手前側(前側)を延長させて口唇112から口腔101の外部へ突出させるようにしてもよい。この変形例では、下側板部26Aの手前側を図18に示す矢印90の方向に揺動させることで、舌102を押圧板部25A及び下側板部26Aで挟持した状態と、挟持しない状態(非挟持状態)とに切り替えることができる。押圧板部25A及び下側板部26Aが口腔101の外部へ突出していることで、操作が簡単に行えるようになる。
【0073】
(実施形態4)
図20は、本発明の実施形態4に係る睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を示すものである。この実施形態4では、舌102をあてがう部分がブリッジ状に構成されている点で実施形態1のものとは異なっており、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0074】
舌押圧部20の下側には、被挟持部10から後側へ延びる弾性材からなる板状部40が設けられている。板状部40は、舌押圧部20の本体部分から下方に離れて配置されており、上下方向に弾性変形するように構成されている。板状部40の後端部は、舌押圧部20の後端部近傍に達している。舌押圧部20の本体部分の後端部には、後端支持部41が下方へ突出するように設けられている。この後端支持部41の下端部に、板状部40の後端部が固定されている。従って、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を口腔101に挿入した状態では、舌102が板状部40の下面に接触することになり、この舌102の押圧力によって板状部40は上方へ向けて撓むように弾性変形して、舌102に沿うような形状になる。また、後端支持部41または板状部40の後端部には、管等(図示せず)を保持するための筒状の保持部42を設けることができる。この保持部42に管等を挿入して保持しておくことで、管等を所定位置に位置決めすることができる。
【0075】
この実施形態4の場合も実施形態1と同様に睡眠時無呼吸症候群の症状を改善しながら患者100のバイタルサインを得ることができる。
【0076】
(実施形態5)
図21図22は、本発明の実施形態5に係る睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を示すものである。この実施形態5では、前歯挿入用凹部13の代わりに空洞部43が設けられている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0077】
すなわち、実施形態5では、実施形態1の前歯挿入用凹部13が形成されている箇所に空洞部43を形成しており、図22に示すように、この空洞部43は、被挟持部10を構成している材料によって覆われている。睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を口腔101に挿入した状態では、前歯110、111が空洞部43に対応する部分を挟持することになり、この状態で、下の前歯111が空洞部43に対応する部分の外層を上方へ向けて弾性変形させる。これにより、下の前歯111が空洞部43によって位置決めされるのでずれにくくなる。
【0078】
この実施形態5の場合も実施形態1と同様に睡眠時無呼吸症候群の症状を改善しながら患者100のバイタルサインを得ることができる。
【0079】
尚、検出部30は、被挟持部10や舌押圧部20とは別体とされて被挟持部10や舌押圧部20の内部に挿入して使用することもできるし、被挟持部10や舌押圧部20と一体化して使用することもできる。
【0080】
また、図23に示す変形例のように、舌押圧部20に唾液が溜まる唾液溜まり部20bを設け、この唾液溜まり部20bに唾液成分を検出する検出部30を設けてもよい。唾液溜まり部20bは、舌押圧部20の上面に開口する窪みや凹部で構成されている。就寝時の患者100の唾液が唾液溜まり部20bに溜まるようになっている。検出部30は唾液溜まり部20bの内面に臨むように設けられており、唾液溜まり部20bに溜まった唾液が確実に接触するように配置されている。この構成によれば、唾液成分(例えばタンパク質、炭水化物、脂肪、ブドウ糖、多種な癌マーカー等)を確実に検出することができる。
【0081】
また、図24に示すように、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1における操作部分が口腔101外へ突出するように、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を睡眠時無呼吸症候群患者100の口腔101に挿入することができる。これにより、使用者が睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1における操作部分を容易に操作することができる。
【0082】
また、図25に示すように、患者100の下の前歯111が挿入される前歯挿入用凹部13を前に移動させてもよい。この場合、睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1を睡眠時無呼吸症候群患者100の口腔101に挿入すると、下の前歯111が上の前歯110よりも前に出るように、下顎が前に移動する。これにより、睡眠時無呼吸症候群の症状をより効果的に改善することができる。
【0083】
また、図26に示すように、舌102を上下方向に挟むことができるように構成する場合に、押圧板部25Aと下側板部26Aとを一体成形するようにしてもよい。この場合、押圧板部25Aと下側板部26Aとを連結する連結部分を、押圧板部25Aと下側板部26Aとの間に設けることができる。押圧板部25Aと下側板部26Aとを開く際には、押圧板部25Aと下側板部26Aにおける口腔101外に位置する部分を操作する。これにより、主に連結部分が弾性変形して押圧板部25Aと下側板部26Aとの間隔が拡がる。開き方向の外力を除くことで押圧板部25Aと下側板部26Aとによって舌102を上下方向から挟むことができる。
【0084】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明に係る睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具は、睡眠時無呼吸症候群の患者に対して使用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 睡眠時無呼吸症候群
10 被挟持部
13 前歯挿入用凹部
20 舌押圧部
30 検出部
31 照射部
32 受光部
33 制御部
33a 処理部
34 通信部
100 患者
101 口腔
102 舌
200 端末
R1〜R4 空気通路
【要約】
【課題】睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具によって睡眠時無呼吸症候群の症状の改善を図りながら、低侵襲でバイタルサインの検出を可能にし、また、唾液中に含まれる成分の検出を可能にする。
【解決手段】睡眠時無呼吸症候群症状改善用補助器具1は、患者の前歯によって挟持される被挟持部10と、被挟持部10から患者の軟口蓋近傍まで延び、舌を押圧する弾性体からなる舌押圧部20と、患者のバイタルサインと唾液成分との少なくとも一方を検出する検出部30とを備えている。
【選択図】図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
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図20
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図26