(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374090
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】圧縮リング
(51)【国際特許分類】
F16B 5/07 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
F16B5/07 E
【請求項の数】9
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-502600(P2017-502600)
(86)(22)【出願日】2015年2月20日
(65)【公表番号】特表2017-525901(P2017-525901A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】EP2015053619
(87)【国際公開番号】WO2016045801
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年1月17日
(31)【優先権主張番号】14186647.5
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514052379
【氏名又は名称】オエティカ シュヴァイツ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】マーカス ウィドリグ
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル ミュラー
【審査官】
熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−009640(JP,A)
【文献】
特表2002−502013(JP,A)
【文献】
特開平04−249605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00− 2/26
F16B 5/00− 5/12
F16D 3/84
F16L 33/02
B21D 39/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプバンド(10)から形成された圧縮リングであって、前記バンドの端部(11,12)が、前記圧縮リングを閉鎖するために互いにパズル状に係合し、一方のバンド端部(11)が、前記バンドの長手方向に突出したタング(13)を担持し、且つ、前記バンドの前記長手方向に対して横方向に延在するアーム(15...17)を有し、前記バンドの他端(12)が、前記バンド端部(11)に対して相補的に形成されている前記圧縮リングにおいて、
少なくとも1つのアーム(15,16)上で、前記バンドの前記長手方向に対して横方向に延在し且つ前記タング(13)の自由端(18)に面している横方向エッジ(20,21)が真直な中間部(24)を有し、当該中間部(24)の外端にて凸部(22)が当該中間部(24)から逸れて存在し、且つ、当該中間部(24)の内端にて凹部(23)が当該中間部(24)から逸れて存在することを特徴とする、圧縮リング。
【請求項2】
前記凸部(22)及び前記凹部(23)が本質的に部分円形縁部を有する、請求項1に記載の圧縮リング。
【請求項3】
前記横方向エッジ(20,21)の前記中間部(24)から測定される前記凸部(22)の高さ(h)及び前記凹部(23)の深さ(h)が、各々、タング(13)のバンド長手方向の長さの0.5%〜0.8%になっている、請求項1又は2に記載の圧縮リング。
【請求項4】
前記アーム(15...17)の、前記タング(13)の前記自由端(18)から遠い側の横方向エッジ(26...28)が、前記タングの前記端部(18)に向かって延在する入り込み(28)を形成している、請求項1〜3のいずれかに記載の圧縮リング。
【請求項5】
前記タング(13)が前記バンドの長手方向軸に対して対称である、請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮リング。
【請求項6】
前記タング(13)がその両側に3つのアーム(15...17)を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮リング。
【請求項7】
前記タングの前記自由端(18)に近い前記アーム(15...17)ほど、前記バンドの長手方向に対して横方向に短く突出している、請求項1〜6のいずれかに記載の圧縮リング。
【請求項8】
前記バンドの長手方向にて測定される、隣り合うアーム(15,16)の、前記凸部及び前記凹部を有する前記横方向エッジ(20,21)間の間隔がタング(13)のバンド長手方向の長さの1/6になっている、請求項1〜7のいずれかに記載の圧縮リング。
【請求項9】
前記2つのバンド端部(11,12)が互いにかしめられている、請求項1〜8のいずれかに記載の圧縮リング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮リングに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2、特許文献3は、開放されたクランプバンドから成る圧縮リングを開示している。このバンドの端部が、この圧縮リングを閉鎖するために互いにパズル状に係合している。バンド端部の一方が、バンドの長手方向に突出したタングを担持し、且つ、バンドの長手方向に対して横方向に延在するアームを有する。バンドの他端は、前記バンド端部に対して相補的な形状につくられている。公知の圧縮リングにおいて、タングの横方向エッジ(バンドの長手方向に対して横方向に延在し、且つ、タングの自由端に面している)が、バンドの長手方向に対して直角に、又は斜めに延在している。
【0003】
このタイプの圧縮リングは、管状の部品(例えばホース)を円筒状物体(例えばパイプ)の周囲上に固定するのに役立つ。また、突出した耳形状の引張要素を有する一般的なクランプリングを使用できない限られた場所での使用に特に適している。
【0004】
管状材料の片からつくられる閉鎖された圧縮リングは、管状材料片が処理を必要とし、また、全てのリング直径が適切な寸法にされたストック材料を必要とするため、不都合である。
【0005】
開放されたクランプバンドからつくられた圧縮リングには、バンドの端部エッジ間の接続の安定性、特には、圧縮リングの使用時に生じてリングを開こうとする拡張力に関する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO99/39123号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO2004/113738A1号パンフレット
【特許文献3】スペイン国特許第2156576号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、先行技術の同等の圧縮リングにおいて生じる問題を少なくとも部分的に回避することを主な目的とする。本発明のより詳細な目的は、バンド端部の相互接続の安定性を高めた圧縮リングを提供することであると見なされよう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に定義されている発明により達成される。請求項1に従って形成される圧縮リングはクランプバンドから成り、このクランプバンドの端部が、圧縮リングを閉鎖するために互いにパズル状に係合されている。前記バンド端部の一方が、前記バンドの長手方向に突出したタングを担持し、且つ、前記長手方向に対して横方向に延在するアームを有する。前記バンドの他端は、前記バンド端部に対して相補的な形状につくられている。少なくとも1つのアーム上で、前記バンドの前記長手方向に対して横方向に延在し且つ前記タングの自由端に面している横方向エッジが、その外端に凸部を有し、且つ、その内端に凹部を有する。
【0009】
測定の結果、本発明による圧縮リングにおいて、拡張力に対する抵抗が、利用可能幅のかなりの部分を良好な圧縮性のために費やさなければならない従来の圧縮リングよりも、最大で25パーセント高いことが示された。
【0010】
バンド端部の相互係合エッジの、圧縮中に生じ、また、かしめ加工中に生じ得る変形が、本発明による前記横方向エッジを形成することにより低減される。
【0011】
その結果、本発明の圧縮リングは、同一の寸法で、より高い負荷に耐えることができ、また、より大きい直径を有して使用できる。
【0012】
好ましくは、前記凸部及び前記凹部は、ほぼ部分円形の縁部を有し、前記横方向エッジの中間部から測定される前記凸部の高さ及び前記凹部の深さは、各々、前記閉鎖部全長の0.5%〜0.8%になっている。偏差(逸れ)が大き過ぎると前記アームが弱化するであろう。また、偏差が小さ過ぎれば、固定効果が不十分になろう。
【0013】
有利には、前記アームの、前記タングの前記自由端から遠い側の前記横方向エッジが、前記タング端に向かって延在する入り込みを形成しており、この入り込みが固定力をさらに増大する。
【0014】
横方向の力を回避するために、前記タングは、前記バンドの長手方向軸に対して対称に形成され、且つ、当該タングの両側に3つのアームを担持している。これらのアームは、前記タングの自由端に近づくに従って長さが低減する。前記バンドの長手方向にて測定される、隣り合うアームの、前記凸部及び前記凹部を有する前記横方向エッジ間の間隔が、前記閉鎖部の全長の約1/6になっている。この形状により製造可能範囲内でのバンド端部間の最適な係合が達成される。
【0015】
締結力のさらなる増大を、前記2つのバンド端部を互いにかしめることにより達成できる。
【0016】
本発明の実施形態を、図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1の圧縮リングの相互係合しているバンド端部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示した圧縮リングは、最初の段階では開放されている金属製のクランプバンド10から成り、バンド10の端部11,12は、互いにパズル状に係合するように形成されている。この係合のために、タング(舌状部)13が、
図1におけるバンド左端11に形成され、そして、タング13の輪郭に対して相補的な形状の凹部14がバンド右端12に形成されている。
【0019】
図2によれば、タング13は、バンド10の長手方向に対して対称であり、且つ、その両側に3つのアーム15,16,17を有する。これらの3つのアーム15,16,17はバンドの長手方向に対して横方向に延在し、且つ、自由タング端18に近づくに従って長さが低減している。
【0020】
アーム15,16の横方向エッジ20,21の各々(バンドの長手方向に対して横方向に延在し、且つタング端18に面している)が、その自由外端に凸部22を有し、また、その内端に、タング13の本体に接続された凹部23を有する。
【0021】
図3に最良に見られるように、凸部22及び凹部23は、各々、部分円形縁部を有して、横方向エッジ20,21の真直中間部24から量hだけ逸れている。量hは、典型的に、閉鎖部の全長(すなわち、タング13の長さ)の0.5〜0.8%である。クランプバンドの典型的な幅bである10mmに対しては、量hは約0.05mmである。示されている実施形態の他に、さらなる横方向エッジ25を、
図3に示されているエッジと同様に形成し得る。
【0022】
横方向エッジ20,21,25間の、バンドの長手方向にて測定される間隔は同一であり、且つ、閉鎖部の全長の約1/6になっている。3つのアーム15,16,17の横方向エッジ26,27,28は、各々、オフセット部29を有し、オフセット部29は、2つのバンド端11,12間のさらなる固定を達成するためのアンダーカットを形成している。
【0023】
次いで行われる圧縮において、バンド端部11,12は互いに対して押圧され、かしめられる。圧縮により、リングの直径が低減され、それにより、締め付けられるべき対象物を圧迫する。圧縮後、対象物は拡張しようとし、それにより、圧縮リング、及び、バンド端部11,12間の接続部に引張張力が加えられる。この時、オフセット部29により形成されたフックが、横方向の破損に対する安全手段をもたらす。
【符号の説明】
【0024】
10 クランプバンド
11,12 バンド端部
13 タング
14 凹部
15...17 アーム
18 タング端
20,21 横方向エッジ
22 凸部
23 凹部
24 20,21の中間部
25 横方向エッジ
26...28 横方向エッジ
29 オフセット部