(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チャンバにおいて前記BNNT成長ゾーンの下流にBNNT干渉ゾーンを形成することをさらに含み、前記BNNT干渉ゾーンにおいて、第1方向に流れるBNNT繊維はBNNTストランドを形成する、請求項1に記載の方法。
前記チャンバにおいて前記BNNT干渉ゾーンの下流にBNNT延伸ゾーンを形成することをさらに含み、前記BNNT延伸ゾーンにおいて、前記干渉ゾーンから流れてくる前記BNNTストランドの少なくとも一部は長さを増し且つ直径が縮小する、請求項4に記載の方法。
前記せん断力プロファイルの確立はBNNT配向を生み出す、前記窒素ガス流に対して垂直な面における前記窒素ガスの速度分布を確立することを含む、請求項1に記載の方法。
前記窒素ガスの速度分布の確立は、ファン速度の設定、前記ホウ素供給原料付近で対流浮力を生み出す熱分布プロファイルの確立、窒素ガス圧力の操作、前記チャンバの一部における前記窒素ガスの体積流量の増加、前記窒素ガスの冷却及び前記チャンバへの前記窒素ガスの導入速度の調節の少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
前記チャンバの一部における前記窒素ガスの体積流量の増加は、前記チャンバの一部の断面積の縮小、前記チャンバの一部へのカウリングの導入及び前記窒素ガス流の一部へのダンパーの位置決めの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
前記チャンバにおけるせん断力プロファイルの確立は、前記成長ゾーンから第1方向で流れてくる配向BNNT繊維を生み出す前記BNNT成長ゾーンにおいて熱分布プロファイルを確立することを含む、請求項1に記載の方法。
前記干渉ゾーン領域は、前記干渉ゾーン領域を通る窒素の体積流量が増加するように構成された、BNNT形成方向に対して垂直であるより狭い断面積を有する、請求項18に記載の装置。
前記干渉ゾーンから流れてくる前記BNNTストランドの少なくとも一部が長さを増し且つ直径が縮小する延伸ゾーン領域を前記干渉ゾーン領域の下流にさらに含む、請求項18に記載の装置。
前記熱源は、前記ホウ素供給原料の一部を熱励起してBNNT配向を生み出すBNNT自己組織化フラックス分布を形成するように構成される、請求項21に記載の装置。
前記載置構造体の上流にあり且つ前記窒素ガス流に対して垂直な面における前記窒素ガスの速度分布を制御するように構成されたファンをさらに含む、請求項17に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下は、本アプローチの例示的な実施形態を実行するための、現時点で考えられる最良の形態についての説明である。以下の説明は限定的な意味では解釈されず、また本発明の一般原理を例証するためのものにすぎない。
【0022】
本明細書では、BNNTの連続的な繊維及びストランド、特には良好な繊維配向を有するBNNT繊維及びBNNTストランド、そしてBNNTヤーンを製造するための工程及び装置について説明する。概して、BNNTは、窒素ガス下、自己組織化領域で形成し得る。BNNT繊維せん断配向は、窒素ガスの速度分布の調節及び/又は、後述するように、BNNT自己組織化領域フラックス分布を調節することで強化し得る。
【0023】
BNNTの形成はCNTの形成とは根本的に異なる。CNTの合成は典型的には化学触媒、例えば金属触媒を必要とする。CNTの製造とは異なり、BNNT繊維を製造するための実施形態は触媒不使用となり得る。気相二原子窒素は熱分解が困難であるものの、溶融金属及びシリケートには簡単に溶解して窒化ケイ素等の化合物を生成する。高圧では合成が捗ることから、発明者は、高い圧力が、熱励起させたホウ素供給原料上で形成されるホウ素の微小液滴に溶解する窒素の過飽和を著しく増大させると仮説を立てた。発明者は、高い圧力がホウ素微小液滴における窒素の溶解を増大させ、それが今度は窒化ホウ素の過飽和を引き起こすと仮説を立てた。BNNTは窒化ホウ素、場合によっては他の前駆体から、ホウ素微小液滴に近接した領域で活発に自己組織化する。
【0024】
したがって、高圧でのBNNT合成は触媒がなくとも進行する。他方で、CNTは典型的には金属触媒を必要とする。例えば、(他の方法の中でもとりわけ)鉄の液滴上でのメタンガスの化学蒸着から明白なように、CNT合成は、触媒金属の液滴又はクラスタ上での溶存炭素の過飽和を必要とする。その結果、金属触媒を続く精製ステップで除去しなければならない。他方、触媒を使用しないBNNT合成は同様の精製ステップを必要としない。実際、反応物は供給原料由来のホウ素及び窒素ガスだけであるため、幾つかの実施形態においては、ホウ素が合成中にほぼ完全に消費されることがある。
【0025】
概して、BNNT繊維は、ホウ素供給原料を、高圧の窒素ガスの存在下、熱励起することで形成し得る。高圧で送られる窒素ガスがBNNTの合成を推進し、結果的に製造速度が上昇し、BNNTの品質及び歩留りが改善される。幾つかの実施形態においては、ホウ素及び窒素反応物を高圧、例えば少なくとも2〜約250気圧の高圧、あるいは例えば少なくとも2〜約12気圧の高圧で維持する。ホウ素含有供給原料は、例として、ホウ素元素、ホウ素元素粉末、窒化ホウ素、窒化ホウ素粉末、立方晶窒化ホウ素粉末及び六方晶窒化ホウ素粉末を含み得る。
【0026】
BNNTはレーザー加熱、プラズマ加熱等の熱源で製造できることが判明している。例えば、上述したように、Smithらの米国特許第8206674号(この文献の内容は参照により全て本願に援用される)には、大量のBNNTを高圧(例えば、約2〜約250atm)でのレーザー加熱を通して生成する方法が記載されている。この特許で開示の方法では、ホウ素源及びホウ素源付近の窒素ガスをレーザー又は他の熱源で熱励起することでホウ素蒸気を作り出し、このホウ素蒸気を高圧の窒素ガスと混合し、核形成部で形成された窒化ホウ素ナノチューブを回収する。この特許で開示の方法では、ホウ素供給原料の表面を含めた核形成部周囲でBNNTが形成される。短いBNNT「ストリーマ」は長さが約1cmに限定され、配向を失わずに核形成部の領域から回収するのは困難である。この特許とは異なり、本発明の方法の実施形態は、かなりの長さの繊維、ストランド及び原ヤーンを含めた連続的なBNNT繊維、BNNTストランド及びBNNT原ヤーンを製造し取り出すように構成し得る。
【0027】
Smithらの米国特許第8753578号には、BNNTを製造するためのレーザー駆動式の方法が開示されている。この特許では、高圧の窒素ガスが流れるチャンバ内でホウ素含有ロッドの一端を熱励起し、ホウ素含有ロッドのその端部に近接して位置決めされた冷却されたコンデンサ沿いにBNNTを形成することを教示している。冷却されたコンデンサは、真空によりコンデンサからBNNTを除去する回収チューブ上で回転する。この方法では、BNNTはコンデンサ上で一方向で形成され、別方向で取り出される。このため、BNNT「ストリーマ」の長さは、温度勾配に起因して自己組織化が制限されることに加えて、コンデンサの回転速度を含めた記載の方法の多数の特徴により制限され得る。また、取り出しは、良質なBNNT繊維、ストランド及び原ヤーン配向の達成を妨げる。
【0028】
他の熱励起手段も用い得る。例えば、Smithらの米国特許出願第14/529485号(その内容は参照により全て援用される)には、大量のBNNTを誘導結合プラズマ(ICP)により生成する方法が記載されている。
【0029】
これまでのBNNT製造装置及び方法は、ナノチューブの形成を誘導するのにホウ素供給原料に近接させたコンデンサに依存していた。本アプローチの実施形態においては、窒素ガス流の方向及び速度、熱分布、温度勾配並びにチャンバの形状を様々に組み合わせることでホウ素供給原料に近い空間においてBNNTのBNNT繊維への自己組織化を促す。複数本のBNNT繊維がそろって配向及び/又は凝集し、また繊維同士が相互に連結されることで1本以上のBNNTストランドが形成され得る。本明細書において、BNNT原ヤーンとは、自己組織化領域におけるBNNT形成の最中及びその下流の両方で形成されるBNNT繊維及びBNNTストランドのことである。BNNT原ヤーンは、製造方法に応じて、ホウ素、BN(窒化ホウ素)及びh−BN(六方晶BN)の粒子の様々な混合物を含み得る。
【0030】
概して、本アプローチにおいては、ホウ素供給原料及び隣接する窒素ガスを高圧窒素環境下で加熱することでホウ素溶融物を調製する。本アプローチの実施形態はチャンバを有する装置で実行し得て、このチャンバ内を高圧の窒素ガスが流れ得る。ホウ素溶融物を横切って流れる高圧窒素ガスは、流速分布(概してVcoflowと称する)を有し得る。
図1に、水平軸の中心に位置決めしたホウ素溶融物についての説明用の一般的な窒素ガスの流速分布を示す。窒素ガスの流速分布は、例えばチャンバの形状、物理的障害、窒素の圧縮率及び注入速度並びに熱源に起因する対流浮力作用を含めた幾つかの要因に左右される。Vcoflowは、様々な方法により生成及び制御し得る。例えば、実施形態において、Vcoflowは、送流ファン(flow fan)が作り出す圧力差、圧縮窒素ガスの注入速度、圧縮窒素ガスの初期圧力及びバッフルを含めた流量制御構造体に加わる熱によって起きる対流又は浮力の1つ以上により制御し得る。
【0031】
幾つかの実施形態は送流ファン、例えばホウ素供給原料の上流にある送流ファンを含み得る。送流ファンを利用することで、ホウ素溶融物に向かって流れる窒素ガスの速度を変更することができる。ファンは、窒素ガスの圧力を上昇させることで圧力差を作り出す。
【0032】
窒素ガス注入速度及び初期圧力を用いることでVcoflowを調節し得る。例えば、窒素ガスを流れに注入することで窒素ガスの速度、窒素ガスの速度分布、窒素ガスの圧力及びVcoflowの大きさを変更することができる。当業者ならば、1つ以上のパラメータを調節することでVcoflowを変更し得ることを理解し、また生成されるBNNT繊維及びストランドにおいて望ましい配向をもたらす装置のVcoflowを確立するであろう。
【0033】
また、当業者ならば、熱の量及び分布が、BNNT繊維及びストランドにおける配向に影響するパラメータを変化させ得ることがわかる。例えば、ホウ素溶融物、またホウ素溶融物領域内の窒素ガスに加えられる熱の量及び分布を利用することで窒素ガスの対流力、例えば浮力を変化させることができる。同様に、窒素ガスの対流力を用いて窒素ガスの速度及び速度分布Vcoflowを変化させ得る。
【0034】
図1は、一般的なBNNT自己組織化領域フラックス分布も示す。ホウ素溶融物は、溶融物の領域によって異なる温度を有し得る。ホウ素の気化速度、ホウ素への窒素ガス溶解速度並びにBNNT自己組織化工程で流れるホウ素蒸気及び前駆体材料の速度は、ホウ素溶融物の温度及び窒素ガスVcoflowの細部に左右される。ホウ素溶融物に加えられる熱の分布を変更することで、BNNT自己組織化工程で流れる材料のフラックス分布を変更することができる。当業者ならば、望ましい配向を有するBNNT繊維、BNNTストランド及びBNNT原ヤーンを製造するために、装置にあわせてこれらのパラメータを最適化し得ることがわかる。装置は極めて多様になり得ることから、ある装置についてのパラメータでは別の装置で同じ結果が出ない場合もある。
【0035】
本アプローチの実施形態において、BNNT繊維、ストランド及び原ヤーンの形成には概して3つの主要なゾーンがある。本明細書において説明するように、せん断力及び条件を各ゾーンにおいて用いることでBNNT構造体を配向させ得る。ゾーンは実施形態によって異なる度合いで重複し得る。すなわち、ゾーン間に明確な境界はなく、1つのゾーンが次のゾーンに深く食い込む場合もある。ゾーン1は「成長ゾーン」であり、概して初期BNNT構造体のための自己組織化領域である。成長ゾーンにおいて、BNNT繊維と称されるBNNT分子は独立した微小液滴及びホウ素溶融物から、またホウ素溶融物それ自体から成長する。例えば、高圧窒素環境下でのホウ素供給原料の加熱は、本開示では自己組織化領域の「成長ゾーン」と称するところにおける微小液滴のホウ素溶融物上での凝縮を引き起こす。十分に高い温度、例えば当該分野で公知であるようなホウ素の液滴の形成を引き起こす温度で、BNNT及びBNNT繊維は成長ゾーンにおいて微小液滴から形成される。
【0036】
本アプローチの実施形態において、BNNT繊維は成長ゾーンにおいて好ましい配列を獲得し得る。
図2(A)には成長ゾーンにおいて窒素ガス(Vcoflow)流により配向を変化させているBNNT繊維21が描かれている。この配向は概して、自己組織化中のBNNT繊維を横切る窒素ガスの差速分布の結果であり、自己組織化中のBNNT繊維のフラックス密度に影響される。速度分布が均一であるならば、BNNT繊維に好ましい配向方向は生じにくい。窒素ガス速度分布に乱れがあるならば、配向は局所的になり、乱流の長さスケールにより特徴づけられる。当業者ならば、理想的な配向を生み出すVcoflow窒素ガス差速が装置によって異なり、したがって成長ゾーンにおける配向に影響を及ぼすには様々な窒素ガス差速を評価しなくてはならないことがわかる。
【0037】
ゾーン2は「干渉ゾーン」であり、BNNTは互いに干渉してBNNTストランドを形成するのに十分な長さとなる。干渉ゾーンにおいて、BNNT繊維は分子間力により凝集し、緩いが概ね相互につながった雲状物又は綿様BNNT構造体の流動物を作り出す。殆どの実施形態において、BNNTの綿様状態はまずこの干渉ゾーンにおいて、BNNTストランドの組織化が進むにつれて生じる。
図2(B)に、Vcoflow窒素ガスの速度分布に起因する、干渉ゾーンにおけるBNNTストランド22の配向の強化を示す。配向は自己強化性であり、例えばBNNT繊維が長さ方向で互いに接近する、すなわち配向されるならばBNNT繊維間の力は大きくなり、速度分布から生じるせん断力によりBNNT繊維はその配向状態を強化する傾向があり、これがBNNTストランドをより密にまとめあげる。
【0038】
本アプローチにおいて、BNNTストランドは干渉ゾーンで好ましく配向され得る及び/又はさらに配向性を強化し得る。干渉ゾーンにおいて、相互作用するBNNTストランドを横切る窒素ガス差速分布は成長ゾーンで望ましく配向されなかった一部のBNNTストランドを配向させ得る。また、綿様のBNNT雲状物を形成するBNNTストランドの配向を強化し得る。窒素ガス速度分布がこの領域において均一であるならばBNNTの集塊化が起きるが、配向はゾーン1で既に配向があった場合にしか存在しない。窒素ガス速度分布に乱れがあるならば、配向は局所的なものになり、乱流の長さスケールで特徴づけられる。当業者ならば、理想的な配向を生み出す窒素ガスの差速は装置によって異なり、したがって干渉ゾーンにおける配向に影響を及ぼすには様々な窒素ガス差速を評価しなくてはならないことがわかる。
【0039】
ゾーン3は「延伸ゾーン」であり、BNNTストランド構造体は長さ方向に延伸され、直径は縮小する。
図2(C)にBNNT構造体23を示し、BNNT構造体23はBNNT原ヤーン(またおそらくはBNNT繊維、BNNTストランド他)を含み、ゾーン内の他のせん断力の中でもとりわけ延伸ゾーンにおいて縮小する全体的な原ヤーン直径により配向性を向上させる。延伸ゾーンにおいて、引っ張る力は概して空力抵抗、また幾つかの実施形態においては重力の抵抗を受ける。幾つかの実施形態において、延伸ゾーンに進入するBNNT構造体はBNNT原ヤーンを含む。幾つかの実施形態において、BNNT繊維及びBNNTストランドがBNNT原ヤーンを延伸ゾーンにおいて形成し始めることもある。当然のことながら、主要ゾーンは実施形態によって異なる度合いで重複し得る。例えば、一実施形態においてはゾーンがはっきりと切り替わるが、別の実施形態においてゾーン間は段階的に移行する。
【0040】
本アプローチにおいて、延伸ゾーンはBNNT回収装置、例えば巻き取りリール又はスプールを含み得る。巻き取りリール又はスプールを使用してBNNT繊維及びBNNTストランドの細長い綿様BNNTをたぐりよせることで長手方向に引っ張って延伸ゾーンでせん断配向を行う。せん断量はV1とV2との速度差によりある程度制御することができ、V1は対流浮力及びVcoflowによる自然な速度であり、V2は巻き取りリール又はスプールが引き起こす物理的な速度である。配向のための速度差は使用する特定の装置に左右される。当業者ならば、これらのパラメータは望ましい配向を達成するための特定の装置によって異なり得ることがわかる。
【0041】
本アプローチでは、ゾーン1及びゾーン2における速度分布せん断力、また原ヤーンの延伸及び直径の縮小に伴うゾーン3におけるBNNT構造体の構造的な変化(概して、構造体はBNNT繊維、BNNTストランド及びBNNT原ヤーンを含む)が組み合わさることで、巻き取りリール/スプールに巻かれたBNNT原ヤーンに見られるような全体的なBNNT配向が作り出される。
【0042】
概して、連続的なBNNT繊維を製造するための装置は、チャンバ、ホウ素供給原料ホルダ、加圧された窒素ガス源、窒素ガス注入機構、送流ファン、熱源、成長ゾーン、干渉ゾーン及び延伸ゾーンがある装置領域並びに回収領域を含み得る。幾つかの実施形態は、流量制御ライニングを含み得る。流量制御ライニングは、チャンバに流れ込む又はチャンバのある領域を流れる窒素ガス流にある断面積及び形状をもたらすことで窒素ガスの速度分布を変化させる構造体になり得る。例えば、実施形態は、ホウ素供給原料の上流でありチャンバ用の窒素ガス注入点の下流にある流量制御ライニングを含み得る。窒素ガス流量部品及びホウ素供給原料ホルダは熱源による熱励起、また高圧窒素ガス流への曝露向けに構成し得る。本アプローチの幾つかの実施形態においては、ホウ素含有供給原料をホウ素含有供給原料の熱励起を第1方向で行い、加圧窒素ガスを第2方向で供給するチャンバに位置決めし得る。幾つかの実施形態において、第1方向及び第2方向は概ね平行になり得る。幾つかの実施形態において、第1方向及び第2方向は概ね垂直になり得る。当業者ならば、他の相対方向も要望に応じて用い得ること、また典型的には特定の装置の形状、供給原料のタイプ及び載置の仕方並びに望ましい回収方法に左右されることがわかる。
【0043】
図3は、連続的なBNNT繊維、BNNTストランド及びBNNT原ヤーンを製造するための初期の原型機の図である。
図3の装置はチャンバ32を含み、ホウ素供給原料37はホルダ上に位置決めされる。ホウ素供給原料37を、この原型機においてはレーザーである熱源36で、上述したようなホウ素溶融物を作り出すのに十分な温度で熱励起する。加圧された窒素ガス38はホウ素溶融物37を横断して流れる。この原型機において、加圧窒素ガス流38は、チャンバに供給される熱36の方向に概ね垂直な方向で流れる。当然のことながら、熱及び窒素ガスの相対的な方向は実施形態によって異なり得る。
【0044】
図3において、ホウ素溶融物37の表面上でホウ素微小液滴が凝縮し、また加圧窒素ガス38がホウ素微小液滴に溶解し始めるにつれてBNNT前駆体31が形成される。この特定の実施形態において、BNNT前駆体31は連続的に生成され、(図示するように)下から上に向かって流れ(ただし当然のことながら実際の方向は装置の向きによる)、BNNT原ヤーン310が連続的に生成され、上から下に流れる。上に向かって移動するにつれて、BNNT前駆体は同じく31であるBNNT繊維を形成する。BNNTストランド39が図の上部に向かう間に形成され、BNNTストランドがまとまってホウ素溶融物に向かって下方向に引っ張られて延伸されるにつれてBNNT原ヤーンが形成される。熱源36の焦点をホウ素溶融物37の塊のほぼ中心に定めることで、この特定の実施形態において、熱源36は、
図3に示すように、BNNT原ヤーン310の向流を引き起こした。当然のことながら、熱源36の分布をホウ素溶融物37の異なる領域上で変更することで材料の相対的な流れを変化させ得る。この実施形態の原型機を用いて行う実験において、BNNT前駆体1の最高速度は約1m/秒であり、延伸されたBNNT繊維310の速度は約0.25m/秒であった。後述するBNNT原ヤーンは、液体又は固体延伸バー35に固定し得る。上述したように、界面33でのせん断作用及び関連する窒素ガス速度分布38が、成長中のBNNT原ヤーン310に配向を引き起こす。
【0045】
図3に示す実施形態において、成長ゾーン(ゾーン1)31は干渉ゾーン(ゾーン2)39に続き、この実施形態においてはここでBNNT原ヤーンが形成され始め、折り返され、次に延伸ゾーン(ゾーン3)310に流れ、延伸ゾーンにおいて原ヤーンは液体延伸35に送られる。
【0046】
図3に示す原型実施形態で生成される配向された向流するBNNT原ヤーンを、(1)ホウ素溶融物に加えられる入熱分布を操作することによるBNNTフラックス分布の操作、(2)隣接する窒素ガスに加えられる熱分布の操作及び(3)加圧窒素ガス速度分布の操作により、実験中に取り出した。ホウ素溶融物に加えられる熱を調節することでホウ素溶融物の中心上のBNNTのフラックスを強化し、対流浮力に加えられる熱を再分配することで窒素ガス流をより層流的にした。BNNT原ヤーンの配向が許容可能/望ましいものになるまでこれらの変数を手動で調節した。
【0047】
図4は、
図3で説明した原型機での実験ビデオデータから抽出した5枚の静止画像である。一番上の画像で指し示すように、BNNT原ヤーン42は画面を左方向に移動している。画像上の一連の縦矢印は、成長中のBNNT原ヤーン42にエントレインされた粒子41を示す。粒子41は、繊維42の動き及び速度を示すための便利な目印となる。各画像の幅は約1.25インチの視野を表す。画像は約50ミリセカンド間隔で撮影された(5枚の画像の総経過時間は200ミリセカンドである)。
【0048】
図5に示す原型機は、連続的なBNNT繊維、ストランド及び原ヤーンを製造するための装置の一例である。当然のことながら、多数の他の実施形態も、本明細書に記載の原理から逸脱することなく形成し得る。例えば、熱源513の焦点をホウ素溶融物51の上部領域に定めることで連続的な材料流を窒素ガス流Vcoflow514と同じ方向に誘導し得る。
【0049】
図5は装置50の実施形態の図であり、連続的なBNNT繊維、ストランド及び原ヤーン510、511及び512は向流なく形成される。装置50において、ホウ素溶融物51は、ターゲットホルダ52上のホウ素供給原料を加熱513することで形成される。加圧窒素53を窒素チャンバ50からチャンバへと下から供給する。幾つかの実施形態は、装置50内の圧力変化及び対流浮力を制御するための制御ファン54を含み得る。例えば、制御ファン54はホウ素溶融物51上の温度勾配も拡大することでBNNTの形成をさらに強化し得る。BNNT繊維510はホウ素溶融物51上で自己組織化し、窒素ガス流、対流浮力及び流量制御カウリング55により、成長ゾーン56において自己組織化する。ホウ素溶融物上の及び隣接する窒素ガス51への熱513の分布が、上述したように、ホウ素溶融物51上のBNNTフラックス分布を制御する。簡略化のために成長ゾーン56の場所を大まかに示していることに留意されたい。成長ゾーンはホウ素溶融物51のすぐ上から延び、干渉ゾーン57に重なり得る。
図5において、全体的な加圧窒素ガス速度分布プロファイルを矢印53で示す。様々なチャンバ形状、例えばカウリング55を用いることで窒素ガス速度プロファイルVcoflow514を他の実施形態の長さに沿って制御及び変化させ得ることを観察されたい。例えば、特定のゾーンにおける装置の凹凸を控えめにすることでその領域に沿ったせん断を強め、配向を強化し得る。しかしながら、当業者ならば、せん断不足と同様に過度のせん断も望ましくないこと、したがってある装置にとっての所望の配向を作り出すせん断及び窒素ガスプロファイルを実験により確立することが必要となることがわかる。
【0050】
BNNT繊維510は干渉ゾーン57(同じくおおまかに示す)に進入し、BNNT繊維は相互に作用し、接触し、速度V1で移動するBNNTストランド及び開始BNNT原ヤーン511を形成する。BNNT原ヤーン512は延伸ゾーン58に進み、配向されたBNNT繊維、BNNTストランド及び原ヤーン512は、巻き取りリール又はスプール59の速度V2との差により延伸される。
図5の装置は、連続的なBNNT繊維、ストランド及び原ヤーンを製造するための装置に取り入れ得る様々な特徴及び相対的配置を示す。当然のことながら、他の実施形態も、本明細書に記載の原理から逸脱することなく形成し得る。
【0051】
本アプローチの実施形態を用いることでBNNTヤーンを形成し得る。概して、BNNTヤーンは、BNNT原ヤーンに加撚し、スプール巻き上げすることで形成し得て、概してBNNTストランド及びBNNT繊維から成る。BNNT原ヤーンはチャンバ内で、BNNTの形成より下流にある領域の回転スプール59で回収し得る。BNNTは多数の工程を経て形成し得る。上述したように、高温高圧の工程が、BNNT繊維及びBNNTストランドのホウ素供給原料源の下流での自己組織化を可能にする。BNNT繊維及びBNNTストランドは自己組織化領域の下流を回収領域に向かって流れ続け得る。
【0052】
幾つかの実施形態において、巻き取りリール又はスプール59を回収領域において使用することでBNNT原ヤーンをスプール巻き上げし得る。この工程を、スプールのBNNT原ヤーン回収容量に達するまで継続し得て、容量に達した時点でスプールを新しいスプールと交換する。また、スプールに巻き上げたBNNT原ヤーンを新しいスプールに再度巻き上げることでBNNTヤーンを形成し得て、またその再巻き上げ中にヤーンに加撚することで様々な物理的特性を強化し得て、また1本以上の追加のBNNT原ヤーンと共に再度巻き上げることでより太いBNNTヤーンを形成し得る。BNNT原ヤーンは、BNNT原ヤーン形成時、スプール巻き上げ時、BNNTヤーンへの紡糸時、巻きを解いて複合材料と組み合わせる時といつでも別の材料と複合化(composite)し得る。
【0053】
BNNT原ヤーンを形成するための装置は、材料経路を規定する複数の領域を有するチャンバを特徴とし得る。BNNT繊維の形成に用いる方法に応じて、より高い圧力(例えば、最高250atm)で動作するようにチャンバを構成し得る。材料経路は、窒素ガスが再循環するようなものになり得る。初期領域はBNNTを形成するためのものになり得て、またホウ素供給原料源、例えばホウ素球及び窒素ガス供給源を含み得る。チャンバは、BNNT繊維の自己組織化のための領域を初期領域の下流に含み得る。自己組織化領域を広げ且つホウ素粒子のBNNTへの変換を強化するために、装置には広く熱源を設置し得る。チャンバは、BNNT繊維を配向させ且つ接触又は結合させてBNNTストランド又はBNNT原ヤーンを形成するための領域を自己組織化領域の下流に含み得る。そのような領域は、配向、結合並びに所望の窒素ガス及びBNNT原ヤーン速度を促すための異なる形状を有し得る。チャンバは、BNNT原ヤーンをスプールに回収するためのスプール巻き上げ領域を結合領域の下流に含み得る。スプールは装置の内側にあっても、あるいは適切な圧力交換システムが利用可能ならば装置の外側にあってもよい。装置は、BNNT原ヤーンに加撚し、組み合わせてBNNTヤーンを形成することを可能にするスプール繰り出し及び再スプール巻き上げ構造を含み得る。
【0054】
図6は、レーザー駆動高温高圧工程による、BNNT原ヤーン612を形成するための装置60の実施形態の図である。当然のことながら、上述したように、複数のレーザーを含めた代替の熱源も使用し得る。装置60は高圧での動作向けに設計されたチャンバ630を含み、圧力は幾つかの実施形態においては最高約250atmに達し得て、チャンバは複数の領域がある内部容積を規定している。幾つかの実施形態において、チャンバは少なくとも2〜約12気圧の高圧で動作させ得る。本明細書に記載するように、断面形状及び断面積は各領域で異なり得る。レーザー駆動高温高圧工程では、レーザービームでチャンバ内のターゲットホルダ62上に位置決めされたホウ素溶融物を加熱することでホウ素溶融物61を形成する。レーザーはホウ素溶融物に隣接した窒素ガスも加熱する。ホウ素蒸気及びBNNT前駆体はホウ素溶融物61から蒸発する。高圧窒素ガスが窒素源63からホウ素溶融物61を横切って流れ、BNNT形成用の窒素源となる。幾つかの実施形態は上述したように送流ファン64を含み得る。BNNT610が成長ゾーン66で形成され、幾つかの実施形態において、成長ゾーンはホウ素蒸気、他のBNNT前駆体及びホウ素溶融物61表面上の高温窒素の熱プルーム領域を含み得る。
【0055】
BNNT繊維の自己組織化はホウ素溶融物61から、またホウ素溶融物61表面の少し上でホウ素蒸気が凝縮してできるホウ素液滴66又は粒子上で直接起きる。
図6における位置Aは、BNNT繊維及びBNNTストランド611を含めたBNNT構造体610がレーザー駆動高温高圧工程中に形成される大体の領域を示す。当然のことながら、別のBNNT形成法を用いるならば、BNNT繊維及びBNNTストランドを形成するための追加ステップが必要になり得る。
【0056】
本アプローチの幾つかの実施形態で製造した高い結晶性の触媒無使用BNNT繊維611は、繊維は1〜最高約10層を含み得るものの、典型的には2層、多くは3層構造体である。典型的には、層数が増えるにつれてより多層なものは稀となる。この製造方法において、唯一の工程不純物は、ホウ素並びに非晶質BN及びh−BNを含めたBNの粒子である。
【0057】
概して、BNNT繊維は蒸気領域において液滴からどの方向に向かっても成長することができる。しかしながら、BNNT繊維の成長には方向に優先性が生じる2つの原因がある。第1に、ホウ素溶融物上で直接成長するBNNT繊維は窒素及び蒸気流の方向に成長する傾向がある。
図6において、窒素ガスは上方向にホウ素供給原料61を越え、領域A、Bを通って次へと流れる。装置60は、窒素流速度プロファイル分布及び蒸気流を調節することで上述したように配向を強化するためのカウリング65及び他の内部構造体を含み得る。第2に、ホウ素蒸気液滴から成長するBNNT繊維611は、流れ方向でのせん断配向の組み合わせにより、また液滴上でのBNNT繊維成長の位置はせん断配向に因り自由に動いて流れ方向に揃うという事実により窒素ガス流に揃う傾向がある。
【0058】
干渉領域67において、BNNT繊維611は窒素ガス流中で極めて密に配向され、また互いが揃うことで互いがより強く引き寄せられる。その結果、BNNTストランドが流れ中で形成されやすくなり、形成される最終的なBNNT原ヤーン612は、BNNTストランドと、BNNTストランドよりランダムに配向されたBNNT繊維との組み合わせである。幾つかの例において、ホウ素の液滴は位置Aの下流へとチャンバをさらに下ってから過冷却され、BNNT繊維、BNNTストランド及びBNNT原ヤーンを延伸領域68で形成し始める。
【0059】
装置の一実施形態において、BNNT繊維自己組織化領域(BNNT原ヤーン形成領域を含む)は、ホウ素溶融物(又は他のホウ素供給原料)から始まってホウ素球の上何センチメートルものに及びチャンバ内部を含む。正確な領域はチャンバの形状(特には位置A付近)、窒素ガス流量及び熱源に左右される。
【0060】
上述したように、ホウ素溶融物に隣接するBNNT窒素ガス、ホウ素溶融物及び繊維の自己組織化には、二次熱源、例えば1つ以上の追加のレーザー等により追加のエネルギーを供給し得る。二次熱源からの追加エネルギーはBNNT繊維自己組織化の自己組織化領域を拡大し得る。自己組織化領域の拡大によりBNNT繊維は長くなり、形成されるBNNTストランドの数及び/又はサイズは増大するが、これはより多くのホウ素蒸気及びホウ素液滴がBNNT繊維に変換されるからである。
【0061】
BNNT繊維自己組織化並びに同時の/続くBNNTストランド及びBNNT原ヤーン形成工程に関わる高温及び高圧のせいで、本明細書に記載のBNNTヤーン工程は、カーボンナノチューブヤーンの形成に適用可能な工程及びBNNTが典型的にはより短く、多数の層、複数の欠陥を有し、通常、それほど繊維状ではない低品質のBNNT形成工程とは大きく異なる。
【0062】
以下の段落では、
図6の装置におけるホウ素源の下流での流れ管理について説明する。原型機を用いて行った実験において、ホウ素蒸気、窒素ガス、ホウ素液滴及びBNNT原ヤーン612の混合物の縦方向速度は典型的には0.1m/秒〜約5m/秒であり、ホウ素溶融物のサイズ、熱源量、窒素ガス圧力、窒素ガス対流浮力に加えられる熱の分布並びにホウ素球及びBNNT繊維自己組織化領域のすぐ下流のチャンバ形状を含めた条件に左右される。幾つかの実施形態において、煙突様循環パターン又はループにおける窒素ガス流及び流れはほぼ層流になり得る。幾つかの実施形態においては、逆流及び局所的乱流が起こることもある。チャンバ領域の断面は、窒素ガス速度が、局所BNNT原ヤーン速度を、形成後(すなわち、自己組織化領域の下流)にBNNT原ヤーンがわずかに張ったままとなる速度で維持するように設計し得る。
【0063】
窒素ガス流全体は、(1)二次熱源を含めた熱源がもたらす熱の量及び分布、(2)チャンバの様々な領域における冷却の位置及び量、(3)窒素圧力並びに(4)局所バッフルを含めた、窒素ガスループに沿った装置の異なるセクションの断面形状の1つ以上で制御し得る。
図7は、
図6に図示した装置60に関する例証的断面形状(A)〜(E)を描いたものである。
図7に示す断面は、チャンバを通る流れ方向に対して垂直な面で切り取ったものである。
図7の例としての断面は概ね円形又は楕円形であるが、他の実施形態では、窒素ガス流の速度を管理し且つ自己組織化領域及びその下流でBNNT原ヤーンをわずかに張ったままにするために異なる形状を採用し得る。
【0064】
図6、7に図示の原型実施形態において、位置Aは概して円形であり、高温の蒸気をホウ素源から上流に運ぶのに十分な大きさである。しかしながら、概して、過度な乱流を作り出す蒸気速度を回避することが好ましい。幾つかの実施形態においては、断面及び体積を管理することでチャンバ内に下降流を作り出すが好ましい場合もある。
【0065】
原型実施形態において、位置Bは位置Aと類似しているが、他の実施形態においては、BNNT原ヤーン612をわずかに張ったままにするために若干小さく又は大きくし得て、これはBNNT繊維、BNNTストランド及びBNNT原ヤーン611の粘度に起因する抵抗が自己組織化領域の下流で蒸気温度が低下するにつれて変化するからである。
【0066】
原型実施形態において、位置C及び位置Dはより見通しのよい輪郭を有する。この見通しのよい輪郭のおかげで、BNNT原ヤーン612はその速度を自己組織化領域の下流で維持し且つ位置Eの手前でのスプール巻き上げに備えてチャンバ内部の縁により接近して移動することができる。この見通しのよい輪郭のおかげで、スプーラに進むBNNT原ヤーンの位置をそれほど制御せずとも工程を実行することができる。
【0067】
原型実施形態において、後述するように、位置Eは内部スプール巻き上げ作業からの下降流である。他の実施形態において、位置Eは、例えばより開放型の形状を採用する場合、圧力チャンバ外壁の下流に来得る。BNNT原ヤーンのスプール巻き上げ後、窒素ガスの冷却が行われ且つ窒素が工程の開始地点、すなわちホウ素源、例えば例証した実施形態で用いたホウ素溶融物の領域に望ましい初期窒素ガス速度で戻される限り、チャンバ断面はいかなるものにもなり得る。
【0068】
当業者ならば、セクションB、C、D及びEの正確な形状及び断面積をダンパー71によりリアルタイムで調節できることがわかる。煙突でよく見られるように、ダンパー材はBNNT原繊維(initial fiber)の流路ではなく窒素ガスの流路に設置し得て、ダンパーの角度/断面は、窒素ガス流の方向に対してその角度を変えることで変更することができる。例えば、
図7の断面図には多様なダンパーが様々な位置に描かれている(簡略化のため、
図6ではダンパーを省略している)。ダンパーは窒素ガス流を管理することで、BNNT原ヤーンと接触している窒素ガスの速度/流れの管理を支援している。
【0069】
以下の段落では、BNNTストランド及びBNNT原ヤーンの形成及び取り扱いについて説明する。自己組織化領域にあるホウ素球上及びその上、例えば
図6に図示のチャンバ内の位置A付近の領域でBNNT繊維が形成され始めるにつれて、BNNT繊維の少なくとも一部はそろって配向されてBNNTストランドを形成し始める。このBNNTストランドが今度はBNNT原ヤーンに概ね揃う。原型実施形態を用いた実験において、BNNTストランドの直径は約1〜約50ミクロンである。また、自己組織化領域の下流のどの位置のBNNT原ヤーンも1〜約30本のBNNTストランドを有し得る。より多数のBNNTストランドも可能であり、動作条件及びチャンバデザインに左右される。原型実施形態を用いた実験においては、製造されたBNNT原ヤーンの大多数でBNNTストランドは2〜20本であった。
【0070】
BNNT原ヤーン直径は、材料が自己組織化領域のさらに下流に進むにつれて変化し得る。原型実施形態を用いた実験において、位置B及びその近辺のBNNT原ヤーンの直径は典型的には約0.05〜4.0mmであり、位置C及びその近辺のBNNT原ヤーンの直径は約0.02〜1.5mmである。
【0071】
BNNT原ヤーンが工程を進むにつれ、BNNTストランド同士は密に結合し得る。この結合は一部には、上述したようなBNNT原ヤーンで保たれるわずかな張り、また配向引力(すなわち、少しの配向は、複数のBNNT繊維が互いに近接すること及び相互に引き付け合うことからより多くの配向を作り出す力を生み出す傾向がある)から生じる。BNNTは電気的絶縁性であるがCNTは導電性である又は半導体であるため、これらのBNNT配向引力は、CNTより典型的にはBNNTでずっと大きく、これはBNNTの工程がCNTの工程とはいかに大きく異なるかを示す別の例である。
【0072】
実施形態は、スプール巻き上げのためにBNNT原ヤーンを準備するステップを含み得る。例えば、BNNT原ヤーンの断面概形を変更するステップはスプール巻き上げを改善し得る。原型実施形態を用いた実験において、位置DにあるBNNT原ヤーンの形状を、スプール巻き上げに備えて楕円又は平坦な形状に圧縮し得る。原型実施形態を用いた実験において、圧縮したBNNT原ヤーンは1〜約100ミクロンの総厚及び約2〜約300ミクロンの幅を有した。位置DのBNNTストランドの構造は保たれ、互いに接近する。これらの数値範囲は実施形態の細部に左右され、他の実施形態においてはこれらの範囲外にある値も考えられる。
【0073】
別の例として、BNNT原ヤーンの方向を変えることも原ヤーンのスプール巻き上げに役立ち得る。例えば、
図6に示すように、自己組織化領域からの流れ方向に対する位置DのBNNT原ヤーン612の角度は約60°になり得る。原型実施形態において、角度変更はスプール巻き上げ工程に役立った。他の実施形態における角度は0〜360°になり得て、工程で用いるチャンバ内部形状に左右される。加えて、位置Dまでの原ヤーン経路を長くすることでBNNT原ヤーンにかかる粘性抵抗を増大させ、それにより材料がスプールに巻かれる際の延伸並びにBNNT繊維間及びストランド間結合を強化し得る。
【0074】
上述したように、BNNT原ヤーンは、幾つかの実施形態において、それほど配向されていない構成要素及びランダムに配向された構成要素を含み得る。BNNT原ヤーンのそれほど配向されていない又はランダムに配向された構成要素はBNNTストランドの分離をもたらし得る。
【0075】
図8は、
図6においてA〜Dとラベリングした領域の一部の断面を示したものであり、断面は、装置における材料の流れ方向に垂直及び平行な面で切り取ったものである。位置Aは概して、BNNT繊維82が微小液滴81から成長しBNNTストランドが形成される自己組織化領域である。位置B及びCはBNNT原ヤーン83輸送領域であり、BNNT原ヤーン83の横断面は若干コンパクトになり(83a)、スプールへと導かれる。位置Dはスプール巻き上げ領域である。
図8においてBNNT原ヤーン85はスプールに正接して描かれているが、上述したように、原ヤーンは、スプールに対して垂直、またそれを含めた任意の角度でもってもスプールに面し得る。
図8の断面は原型実施形態に関するものであり、他の実施形態では別の断面形状及び形状を用い得る。
【0076】
図9A、9B及び9Cは、原型実施形態の装置を用いた実験中に製造されたBNNT原ヤーンの一部の画像である。画像面積は2.3x1.7mmである。BNNT原ヤーンは画像視野を越えて延びている。画像範囲内で目に見える構造体は約1〜約2000ミクロンであり、BNNTストランド及びBNNT原ヤーン構造体であり、これらの図で用いられる倍率では小さすぎて見えないBNNT繊維とは対照的である。
【0077】
図9AにはBNNT原ヤーンの一部が写っており、画像中央近くで内部ストランド構造がわずかにみてとれる。BNNT原ヤーン幅は約90ミクロンであり、これはスプールに回収したBNNT原ヤーンより若干小さい。この幅の変化は、BNNT原ヤーンをスプールから引き出し、拡大、撮影のために顕微鏡下に位置決めする際に若干延伸されたことに起因する。
図9Bは、延伸し、広げて内部ストランド構造を見えるようにしたBNNT原ヤーンの一部を写したものである。
図9Cには、複数の重なり合うBNNT原ヤーンが写っている。内部ストランド構造の一部が見えている。
【0078】
以下の段落では、本明細書に記載の装置及び方法の実施形態における、BNNT原ヤーンのスプール巻き上げに用いる工程について説明する。
図10Aに図示の実施形態において、BNNT原ヤーンは
図6の位置Dにあるスプールに巻き上げられる。スプールは、BNNT原ヤーンの速度がスプールの接線速度にマッチするような角速度で回転し得る。スプールは金属、例えば鋼鉄、銅又はアルミニウム製になり得る。BNNTは誘電特性を有する電気絶縁体であるため、BNNT原ヤーンは金属スプールに静電気により引きつけられる。静電引力は、特には開始後の材料の最初の部位に関し、BNNT原ヤーンをスプールに巻き取るのに有用である。
【0079】
スプールは、巻き取り中にBNNT原ヤーンがスプールと接触し続けるのに十分な直径のものになり得る。BNNT原ヤーンの最初の部位はスプールに電気的に引きつけられ、BNNT原ヤーンの続く部位は、本明細書の別の場所で述べたように、他のBNNT原ヤーンに電気的に引きつけられ且つわずかに張った状態で保持される。
【0080】
実施形態において、BNNT原ヤーン及び窒素ガスも描かれた
図6の位置C及び位置Dでのチャンバ内部の断面は、BNNT原ヤーンがごくわずかに張った状態で維持され且つ窒素ガスの速度がスプールの速度にマッチするように設計及び調節し得る。チャンバそれ自体もその挙動を促すように寸法設計及び成形し得て、上述したようにダンパーを使用し得る。例えば、位置C及びDの断面形状を、材料流が層流となるように、また局所的な逆流がBNNT原ヤーンの移動を妨げないように管理し得る。
【0081】
BNNT原ヤーンは、
図10Aに図示するようにスプールに巻き取り得る。実施形態において、スプールは、チャンバ内側の装置の位置Dに位置し得て、また同じ動作圧力下で動作し得る。あるいは、BNNT原ヤーンが加圧チャンバの外側をスプールに向かって外気環境内を流れられるように差圧システムを用い得る。回転に加えて、スプールをその軸(すなわち、スプールに近づくBNNT原ヤーンの方向に垂直な軸)に沿って前後に移動させ得る。この揺動運動は、BNNT原ヤーンをスプールに横方向に分配して
図10Aに示すようにスプール上に交差パターンを描くのに役立つ。
【0082】
多数のスプール巻き上げ技法を用いて、BNNT原ヤーンのスプールからの取り外しを、BNNT原ヤーンを損傷したり破壊したりすることなく簡素化し得る。例えば、スプール1周分のBNNT原ヤーンを、少なくとも1本のBNNT原ヤーンの直径分だけ隣接するヤーンから離し得る。加えて、BNNT原ヤーンを、接触する他のBNNT原ヤーンに対して少なくとも5°以上の角度をつけてスプール巻き上げし得る。これらの分離及び角度は、スプールの相対的回転速度及び軸に沿ったスプールの前後への周期的な運動により制御される。
【0083】
BNNT原ヤーンを、幾つかの実施形態において、自己組織化の下流の経路の全長にわたって光学的に観察可能にし得る。BNNT原ヤーンの位置及び速度は例えばカメラで測定し得るが、他のセンサ技術も用い得る。カメラ及び他のセンサからのフィードバックは、(1)スプールの角回転速度、(2)熱量及びそれによりBNNT原ヤーンを運ぶ窒素ガスの対流運動を変化させる熱源のパワー、(3)窒素ガスの冷却並びに(4)位置B、C、D及びEにおけるダンパーの設定の1つ以上を操作するコントローラに送り得る。変数(3)、(4)は対流も変化させ得て、またそれによりBNNT原ヤーンの張りを変化させ得る。これらのパラメータがBNNT原ヤーンにわずかな張りをもたらし、スプールに近づくBNNT原ヤーンの速度をスプールの接線速度にマッチさせ、連続的なBNNT原ヤーンスプール巻き上げを支援し、また例えば連続的な工程において、蒸発及びホウ素供給機構による続く補給中のホウ素供給原料、ホウ素球寸法における変化に対応した調節を可能にする。
【0084】
以下の説明は、BNNT原ヤーンからのBNNTヤーンの調製に関する。上述した装置を用いた回収後、スプールに回収したBNNT原ヤーンをスプールから繰り出し又は外し得る。この工程は機械的又は手動になり得る。スプールから繰り出したBNNT原ヤーンを新しいスプールに再度巻き上げることで
図10B及び10Cに示すようなBNNTヤーンを形成し得る。再スプール巻き上げ中にBNNT原ヤーンに複合材料及びコーティングを適用することで被覆BNNTヤーンを形成し得る。再スプール巻き上げ及びBNNTヤーン形成中に適用すると、複合材料及びコーティング、例えばセラミック、ポリマー及び金属はより効果的にBNNT繊維に分子レベルで結合し得る。
図10Bは再スプール巻き上げ工程を描いたものであり、1つの初期スプールからのBNNT原ヤーンが新しいスプールに再度巻き上げられる。再スプール巻き上げ工程中、BNNT原ヤーンに加撚し得る。あるいは、
図10Bに示すように、再スプール巻き上げ中に新しいスプールを回転させることでBNNT原ヤーンにスプール巻き上げ中に加撚し得る。
【0085】
幾つかの実施形態においては、複数のスプールのBNNT原ヤーンを用いてBNNTヤーンを生成し得る。
図10Cは、初期スプールから繰り出され、ガイド構造体を通して引っ張られ、まとめられて新しいスプールに再度巻き上げられている複数のスプールのBNNT原ヤーンを描いたものである。初期スプールを回転させることで個々のBNNT原ヤーンに加撚し得て、また新しいスプールを回転させることで個々のBNNT原ヤーンをまとめて加撚し、新しい多BNNT原ヤーンをBNNTヤーンに形成し得る。
【0086】
初期スプールからのBNNTヤーンに加撚することでBNNTストランドの密度、すなわち断面積1単位あたりのストランド数は増加する。BNNTストランド及びBNNT原ヤーンへの加撚は、加撚工程により螺旋形状となることから、BNNTヤーンを短くし得る。また、加撚工程はヤーンを、特には加撚及び再スプール巻き上げ工程をBNNT原ヤーンをより強く張って行う場合に、BNNTストランド配向の強化により長くし得る。これらの条件を変更すると、最終的なBNNTヤーンの特性、例えば強度、熱伝導性並びに複合化及びコーティング材料への結合が変化する。
【0087】
本明細書に記載の方法を用いることで密に配向させたBNNT繊維、BNNTストランド及びBNNT原ヤーンを製造し得る。密な配向が際立った物理的特性をもたらす。例えば、本明細書に記載した通りに形成したBNNT原ヤーン及びBNNTヤーンは、より高い強度及びより高い熱伝導性の両方を有し得る。高い強度はBNNT繊維の密な配向から生じ、それにより複数のBNNT繊維の分子レベルでの結合が強化される。特には長さ方向、配向方向でのBNNTヤーンの高い熱伝導性はBNNT繊維及びBNNTストランドの密な配向から生じる。密な配向が、複数のBNNT繊維間での分子レベルでのフォノンカップリング又は移動を強化する。
【0088】
BNNT原ヤーン及びBNNTヤーンから作った織物及びロープを含めたBNNT原ヤーン及びBNNTヤーンは、セラミック、金属及びポリマー等の材料と複合化し得る。複合化及び/又はコーティングは、BNNT原ヤーン、BNNTヤーン、BNNT織物及び/又はBNNTロープの製造工程のいずれの位置でも実行し得て、例えばBNNT原ヤーン形成時、スプール巻き上げ時、BNNTヤーンへの紡糸時並びに/又は繰り出し及び織物及び/若しくはロープに織る際である。複合化法は、他の要素の中でも、複合化する材料のタイプ及びBNNT材料のどこで複合化が起きるかに左右される。
図11A〜11Eは、BNNT原ヤーン1101、緩く巻いたBNNTヤーン1102、BNNTヤーン及び/又はBNNTロープ1103に緩く巻いた複数のBNNT原ヤーン、延伸した1103のBNNTヤーン及び/又はロープ1104並びに単純で平坦な織物1105に織った3本の別々のBNNTヤーンの例を描いたものである。これらは、合わせてBNNT原ヤーンをBNNTヤーン、BNNTロープ及び/又はBNNT織物にするための幾つかの代表的な選択肢にすぎず、例えば、織物に織るBNNTヤーンの数はより大きな数、すなわち4、5、6、7等になり得る。
【0089】
図12に示すように、BNNT原ヤーン、BNNTヤーン、BNNTロープ及び/又はBNNT織物(以下、これらの構造体は総じて「BNNT構造体」と称する)は他の材料、例えばセラミック、金属、ポリマー及びこれらの組み合わせと、BNNT構造体の長さに沿って複合化することができる。
図12は、第1複合化材料をBNNT構造体1201に加え、初期複合化位置がBNNT構造体1201の長さに沿って周期的である実施形態を描いたものである。当然のことながら、複合化パターンは、目的とする用途に適したいずれの変化形にもなり得る。また、
図12は、第2複合化材料をBNNT構造体1201に沿った非複合化位置に加えることで多被覆BNNT構造体1202を形成している第2実施形態を描いたものである。第2複合化材料は第1複合化材料と同じステップで加え得る。あるいは、最初の複合化作業後に加え得る。例えば、第1複合化材料は金属、例えばアルミニウムになり得て、第2複合化材料はセラミック又はポリマーになり得る。3種以上の複合化材料がBNNT構造体上に複合化されるように複合化工程を継続し得る。複数の複合化材料を周期的に位置決めし得る。あるいは、目的とする用途に適した順序及びパターンを選択し得る。複合化材料の順序は、特定の複合化材料を一体化するのに必要な温度、化学反応等の組み合わせにより決定し得る。例えば、放電焼結法を利用してセラミックを一体化させ/複合化し、次に高温レーザー法を利用して金属を一体化させ/複合化し得て、あるいはBNNTヤーン又はエポキシと相互作用するUV光又はプラズマビームを利用してエポキシをBNNT構造体に一体化させ得る/複合化し得る。
【0090】
最後に、
図12は、幾つかの例において、複合化BNNT構造体1203を工程の1つ以上の段階で延伸し得ることを描いたものである。延伸ステップにより、BNNT原ヤーン、BNNTヤーン、BNNTロープ及び/又はBNNT織物を構成しているBNNTストランドを作り上げている複数のBNNT繊維の重なりが強化され、BNNT材料構成要素間の相互作用が強化される。相互作用が強化され、最終的な複合材料の熱伝導性及び強度が強化される。
【0091】
最終的な複合化BNNT原ヤーン、BNNTヤーン、BNNTロープ及び/又はBNNT織物を、1つ以上の切断片又はセグメントを利用できるように複数個に切断し得る。例えば、アルミニウム及びポリマーとのBNNTヤーンの複合材料であるピースをダイオード、LED、トランジスタ又は集積回路(IC)に組み込むことで熱伝導性を強化し、それによりジャンクション温度を低下させて電子部品の寿命及び効率を向上させ得る。要望に応じて、複数のBNNT構造体セグメントを1つの電子部品に組み込むことができる。
【0092】
BNNT原ヤーン、BNNTヤーン、BNNTロープ及び/又はBNNT織物をセラミック、金属及び/又はセラミックと複合化するための工程は完全自動化し、BNNT原ヤーン、BNNTヤーン、BNNTロープ及び/又はBNNT織物の作製に用いるのと同じ工程に統合することができる。
【0093】
BNNT繊維、BNNTストランド及びBNNT原ヤーンを形成するための原型機実施形態に関する実験結果を
図13、14及び15に示す。
図13において、成長ゾーン(ゾーン1)は概してBNNT繊維が自己組織化する場所に位置し、ホウ素溶融物のすぐ上である。このケースにおいて、BNNT繊維はBNNTの「コットンボール」に直接流れ込み、すなわちBNNT繊維がBNNTの「コットンボール」に入り込むとBNNTストランドが形成され始める。
図14及び15は、スプールに回収したBNNT原ヤーンを示す。
図14の実施形態において、BNNT原ヤーンの速度をより簡単に調べられるようにスプールの直径は可変であった。
図15の実施形態においては一定の直径のスプールを利用した。
図14及び15に示すスプールは、3つのゾーン全て、すなわちBNNT繊維成長/自己組織化用のゾーン1(
図13に示す)、BNNTストランド形成用の干渉ゾーン又はゾーン2及びBNNT原ヤーン形成用の延伸ゾーン又はゾーン3が工程中に存在するようにホウ素溶融物から十分に離して設置された。
図9の画像は、
図15の実施形態で回収した材料を撮影したものである。
【0094】
本明細書に記載の原理は、その趣旨又は特徴から逸脱することなく他の特定の形態でも具体化し得る。したがって、本実施形態は全ての点において説明のためのものにすぎず限定的ではないと解釈され、本発明の範囲はこれまでの説明ではなく本願の請求項により示され、したがって請求項の意味及び均等性の範囲に入る全ての変更も本発明に含まれるものとする。
【0095】
本明細書で用いる用語は特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本アプローチを限定するものではない。本明細書においては、文脈に明らかに反しない限り、単数形は複数形も含むものとする。さらに、当然のことながら、「含む(備える)(comprise、comprising)」という語は、本明細書において、記載の構成、整数、ステップ、操作、要素及び/又は成分の存在を指定してはいるが、1つ以上の他の構成、整数、ステップ、操作、要素、成分及び/又はこれらの群の存在又は追加を排除してはいない。