特許第6374112号(P6374112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中盈▲長▼江国▲際▼新能源投▲資▼有限公司の特許一覧

特許6374112移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置
<>
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000002
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000003
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000004
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000005
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000006
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000007
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000008
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000009
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000010
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000011
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000012
  • 特許6374112-移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374112
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料の乾燥方法および装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 25/00 20060101AFI20180806BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20180806BHJP
   F26B 3/06 20060101ALI20180806BHJP
   C10L 5/44 20060101ALI20180806BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   F26B25/00 A
   F26B9/06 A
   F26B3/06
   C10L5/44
   B60P3/00 Z
【請求項の数】21
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-528092(P2017-528092)
(86)(22)【出願日】2015年10月22日
(65)【公表番号】特表2018-505371(P2018-505371A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】CN2015092502
(87)【国際公開番号】WO2016082638
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年7月25日
(31)【優先権主張番号】201410712312.5
(32)【優先日】2014年11月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515164848
【氏名又は名称】中盈▲長▼江国▲際▼新能源投▲資▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】陳義龍
(72)【発明者】
【氏名】胡書傳
(72)【発明者】
【氏名】張岩豊
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−053178(JP,A)
【文献】 特開2000−042596(JP,A)
【文献】 特開2012−077263(JP,A)
【文献】 特開昭60−008395(JP,A)
【文献】 実開昭60−144089(JP,U)
【文献】 特開昭63−065293(JP,A)
【文献】 米国特許第04653202(US,A)
【文献】 特開2004−138338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 25/00
B60P 3/00
C10L 5/44
F26B 3/06
F26B 9/06
F26B 25/00
B60P 3/00
C10L 5/44
F26B 3/06
F26B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式車両プラットフォーム装置を使用するバイオマス燃料乾燥方法であって、本方法では、バイオマス燃料を乾燥させるために固定式作業場型乾燥ラインではなく、複数の独立した機能車両を採用しており、機能車両は、少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両(1)と、複数台の燃料搬送車(3)含み、前記少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両(1)は移動式乾燥室(4)を含み、前記燃料搬送車(3)は複数の荷台(3−1)を含み、以下の工程
1)原料前処理工程:バイオマス燃料の集配センターにおいて、バイオマス原料を20〜50mmの長さの小片に切断し、前記小片を機械で圧搾、脱水して、フィルタケーキ状のバイオマス燃料を生成し、フィルタケーキ状のバイオマス燃料の含水量は、少なくとも50%未満に減少しており、
2)前処理生成物積載工程:前記フィルタケーキ状のバイオマス燃料をすり潰し、ほぐしてから、バイオマス燃料を前記燃料搬送車(3)の荷台(3−1)に積載し、
3)対応機能車両連結工程:前記燃料搬送車(3)の末端と前記乾燥装置キャリア車両(1)を連結させ、前記乾燥装置キャリア車両(1)の移動式乾燥室(4)を前記燃料搬送車(3)へ移動させ、前記荷台(3−1)は前記移動式乾燥室(4)の内室で被覆、密封されており、
4)高温対流乾燥工程:前記移動式乾燥室(4)の内室において、前記荷台(3−1)内のバイオマス燃料を、温度が100〜180℃の循環乾燥空気を使用し、循環乾燥空気の速度を1.5〜2.0m/sに制御して乾燥させ、乾燥空気を利用してバイオマス燃料の含水量を低下させ、乾燥速度の明らかな低下が現れるまで、定期的に水分を排出し、
5)微小圧力低温輻射乾燥工程:対流乾燥に続いて、前記移動式乾燥室(4)内の空気を排出し、前記移動式乾燥室内の圧力を5000〜50000Paに制御し、前記移動式乾燥室内の温度を85℃よりも低くなるように制御し、輻射熱を使用してバイオマス燃料を脱水させ、前記荷台(3−1)内のバイオマス燃料の含水量を35%未満に低下させ、
6)反復作用工程:微小圧力低温輻射乾燥に続き、前記移動式乾燥室(4)を移動させ、次の燃料搬送車(3)の荷台(3−1)を被覆、密封し、前記燃料搬送車(3)の全てのバイオマス燃料が乾燥するまで工程4)および5)を繰り返し、
7)乾燥燃料輸送工程:前記燃料搬送車(3)内の乾燥バイオマス燃料を、余分な積み下ろし工程を経ることなく、発電所へ直接輸送し、
を含む移動式車両プラットフォーム装置を使用するバイオマス燃料乾燥方法。
【請求項2】
前記工程4)において、前記移動式乾燥室(4)内の湿度が85〜92%である時に水分が排出され、湿度が50〜60%まで低下すると水分の放出は終了し、前記移動式乾燥室(4)の湿度が一定である時には高温対流乾燥が完了する、請求項1の移動式車両プラットフォーム装置を使用するバイオマス燃料乾燥方法。
【請求項3】
前記工程5)において、前記移動式乾燥室(4)の温度は60〜80℃に制御され、前記移動式乾燥室(4)の湿度が85〜92%である時に水分が排出され、バイオマス燃料の含水量が25〜33%に低下した時に微小圧力低温輻射乾燥が完了する、請求項1の移動式車両プラットフォーム装置を使用するバイオマス燃料乾燥方法。
【請求項4】
前記工程6)において、前記移動式乾燥室(4)は、前記乾燥装置キャリア車両(1)へ戻され、その後に、前記乾燥装置キャリア車両(1)の末端は、後続の燃料搬送車(3)の末端に連結され、前記移動式乾燥室(4)は次の燃料搬送車(3)まで移動させられる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の移動式車両プラットフォーム装置を使用するバイオマス燃料乾燥方法。
【請求項5】
前記工程6)において、前記燃料搬送車(3)の末端は次の燃料搬送車(3)の末端と連結され、前記移動式乾燥室(4)は次の燃料搬送車(3)へ直接移動させられ、前記移動式乾燥室(4)は、前記燃料搬送車(3)の全てのバイオマス燃料が乾燥させられた時に、前記乾燥装置キャリア車両(1)へ戻される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の移動式車両プラットフォーム装置を使用するバイオマス燃料乾燥方法。
【請求項6】
前記機能車両は更に、補助装置キャリア車両(2)を含み、前記補助装置キャリア車両(2)は、少なくとも1台の加熱装置キャリア車両(2−1)と、少なくとも1台のエネルギ供給車両(2−2)を含み、
使用に際して、前記エネルギ供給車両(2−2)のエネルギ出力端は、前記加熱装置キャリア車両(2−1)のエネルギ入力端と連結され、前記加熱装置キャリア車両(2−1)の熱源出力端は、熱源を前記少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両の移動式乾燥室(4)へ供給するとともに、前記移動式乾燥室(4)内で空気流を加熱する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の移動式車両プラットフォーム装置を使用するバイオマス燃料乾燥方法。
【請求項7】
前記補助装置キャリア車両(2)は更に少なくとも1台の工作機械車両(2−3)を含み、前記工作機械車両(2−3)には、車両据付プレス脱水機(18)、移動式切断機(19)、及び空気排出装置(20)が積載され、
使用において、前記工作機械車両(2−3)はバイオマス燃料集配センターへ移動させられ、前記バイオマス燃料は、前記車両据付プレス脱水機(18)と移動式切断機(19)を使用して切断及び圧縮され、前記乾燥装置キャリア車両(1)の移動式乾燥室(4)内の空気は、前記工作機械車両上の空気排出装置(20)を使用して排出される、請求項6の移動式車両プラットフォーム装置を使用するバイオマス燃料乾燥方法。
【請求項8】
バイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置であって、複数の独立した機能車両を含み、前記機能車両は、少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両(1)と、複数の燃料搬送車(3)を含み、
前記乾燥装置キャリア車両(1)は、第1軌道(5)及び移動式乾燥室(4)を含み、前記第1軌道(5)は、前記少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両(1)の床上に長手方向に載置され、前記移動式乾燥室(4)は、前記第1軌道(5)上に載置され、前記移動式乾燥室(4)の端面には扉(8)が設けられ、前記移動式乾燥室(4)の上部一端には、供給空気入口(10)が設けられ、送風機(11)が前記供給空気入口(10)の供給空気管路に設けられ、前記移動式乾燥室(4)の上部他端には空気出口(12)が設けられ、排気ファン(13)が前記空気出口(12)に設けられ、熱供給装置(9)は前記移動式乾燥室(4)の内室側壁に設けられ、循環ファン(14)は前記移動式乾燥室(4)の内室上部に設けられ、温度及び湿度センサ(15)も前記移動式乾燥室(4)の内室に設けられ、前記温度及び湿度センサ(15)の信号出力端は前記送風機(11)及び排気ファン(13)それぞれのアクチュエータに連結され、空気排気装置接続口(16)は前記移動式乾燥室(4)の外壁に設けられ、
前記燃料搬送車(3)は第2軌道(26)、第3軌道(17)および複数の荷台(3−1)を含み、前記第2軌道は前記燃料搬送車の床上に長手方向に載置され、複数の荷台が順に連結されるとともに、前記第2軌道(26)上に載置され、前記第3軌道(17)は前記第2軌道(26)の外側にあり、前記第2軌道および第3軌道は平行しており、前記第3軌道(17)および第1軌道(5)の仕様が同一とされることにより、前記燃料搬送車(3)の末端が乾燥装置キャリア車両(1)の末端に連結されたときに、前記第3軌道(17)は前記第1軌道(5)と一列になり、前記移動式乾燥室(4)は前記少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両(1)から、前記燃料搬送車(3)上の荷台(3−1)を被覆するように移動させられる、バイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項9】
前記機能車両は更に、補助装置キャリア車両(2)を含み、前記補助装置キャリア車両(2)は、少なくとも1台の加熱装置キャリア車両(2−1)と、少なくとも1台のエネルギ供給車両(2−2)を含み、使用において、前記エネルギ供給車両(2−2)のエネルギ出力端は、前記加熱装置キャリア車両(2−1)のエネルギ入力端と連結され、前記加熱装置キャリア車両(2−1)の熱源出力端は、前記移動式乾燥室(4)内の熱供給装置(9)と連結されるとともに、前記移動式乾燥室(4)内の空気流を加熱する、請求項8のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項10】
前記熱供給装置(9)は、前記移動式乾燥室(4)の内室の2つの側壁上に載置される光放熱管であり、前記加熱装置キャリア車両(2−1)には、車両据付蒸気ボイラ(22)が載置され、前記車両据付蒸気ボイラ(22)の蒸気出力端(22−1)は、熱源出力管を介して、前記光放熱管の蒸気入力端と連結される、請求項9のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項11】
前記加熱装置キャリア車両(2−1)には蒸気空気熱交換器(23)が載置され、前記車両据付蒸気ボイラ(22)の蒸気出力端(22−1)は、熱源出力管を介して2つに分岐し、一方は前記光放熱管の蒸気入力端と連結されるとともに、他方は前記蒸気空気熱交換器(23)の蒸気入口と連結され、前記蒸気空気熱交換器(23)の高温空気出口は、前記移動式乾燥室(4)の外壁にある高温空気入口(24)と連結されるとともに、前記移動式乾燥室(4)の空気流のために補助熱源をもたらす、請求項10のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項12】
前記エネルギ供給車両(2−2)は天然ガスタンクトラックまたはディーゼルタンクトラックである、請求項9のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項13】
前記補助装置キャリア車両(2)は更に少なくとも1台の工作機械車両(2−3)を含み、前記工作機械車両(2−3)には、車両据付プレス脱水機(18)と移動式切断機(19)と空気排出装置(20)が載置され、使用において、前記空気排出装置(20)は前記移動式乾燥室(4)の空気排出装置接続口(16)と連結され、前記移動式乾燥室(4)内の空気を排出し、微小圧力状態を形成する、請求項9のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項14】
前記移動式乾燥室(4)は第1ローラ(6)を含み、前記第1ローラは前記移動式乾燥室(4)の底部に設けられ、前記第1軌道(5)と適合し、前記第1ローラ(6)の軸にはローラ駆動装置(7)が設けられ、前記ローラ駆動装置は、前記移動式乾燥室(4)の自動移動を駆動するように構成される、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項15】
前記ローラ駆動装置(7)はモータ速度減少機構である、請求項14のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項16】
前記循環ファン(14)は移動式乾燥室(4)の内室上部の中央部分に載置され、前記循環ファンからの空気流出力の方向は、前記移動式乾燥室(4)の長さ方向と同一であり、前記温度及び湿度センサ(15)が前記移動式乾燥室(4)の内室上部において、前記空気出口(12)の付近に設けられる、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項17】
熱回収ユニット(25)は前記移動式乾燥室(4)の上側外部に設けられ、前記熱回収ユニット(25)は互いに離れた高温領域(25−1)および低温領域(25−2)を含み、前記高温領域(25−1)の一端はガス出口(25−3)を含み、前記高温領域(25−1)の他端は蒸気入口(25−4)を含み、前記ガス出口(25−3)は大気と連通しており、前記蒸気入口(25−4)は前記空気出口(12)と連結され、前記低温領域(25−2)の一端は予熱空気出口(25−5)を含み、前記低温領域(25−2)の他端は空気入口(25−6)を含み、前記予熱空気出口(25−5)は前記供給空気入口(10)と連結される、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項18】
前記移動式乾燥室(4)の端面の2つの側部には回転板(29)が設けられ、前記回転板は前記移動式乾燥室の扉(8)を密封するように構成される、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項19】
前記移動式乾燥室(4)は箱形であり、開放底を備え、前記移動式乾燥室の側壁、上板、扉(8)は金属製板の枠構造であり、断熱ライナが備えられている、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項20】
前記荷台(3−1)は上側燃料積層及び下側燃料積層を含み、上側燃料積層及び下側燃料積層の間には通気用空隙(28)が設けられ、第2ローラ(30)が前記荷台(3−1)の底部分に設けられており、前記第2軌道(26)と適合することにより、前記荷台(3−1)は燃料を下す間に、前記燃料搬送車(3)から離される、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【請求項21】
前記荷台(3−1)の上側燃料積層の下側に、活性インサート(3−11)が載置される、請求項20のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所のバイオマス燃料の乾燥技術に関し、特に、バイオマス燃料を乾燥させるための方法及び移動式車両プラットフォーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、バイオマス燃料は新しいエネルギ産業において、重要や役割を果たしている。ヨーロッパでは、バイオエネルギの比率は、60%よりも高く、風力エネルギや太陽エネルギの比率よりもずっと高い。米国では、開発計画によれば、バイオマス燃料の総量は、2020年には1億1千万トンに達し、化石燃料の40%が置き換えられることとなる。中国も例外ではなく、バイオマスを使用する発電とバイオ燃料の合成は急速に発展しており、バイオマスエネルギの完全利用と開発は、必然的な傾向である。
【0003】
発電所では、一般的なバイオマス燃料は、長さが20mmよりも長く、含水量が50〜70%であるわらや樹皮から作られる。バイオマス燃料を回収する間に、バイオマス燃料の一次含水量は相対的に高く、そのため輸送コストが増大し、特に、発電所は輸送システムが未だ発展していない遠隔地域に設置されることが多いので、バイオマス燃料の輸送は不便である。例えば、現在では、バイオマス燃料は次のように回収される。農場から持ち運ばれたバイオマス燃料は、各発電所へ輸送され、各発電所の独立した燃料処理ラインで粉砕、乾燥させられてから、乾燥バイオマス燃料が発電所で貯蔵される。このようなバイオマス燃料の輸送、処理方法では、バイオマス燃料が不足しがちで、不十分あり、また、各発電所で燃料処理ラインを建設する必要があり、その建設費用は高額であるため費用がかかる。バイオマス燃料の含水量が、集配センターで70%から25〜35%へ減少させられるならば、輸送コストが減少する一方で、乾燥の目的も達成されるが、集配センターは互いに離れており、また、地域生産率は低いため、集配センターでのバイオマス燃料の脱水は、極めて実現が困難である。既存のバイオマス燃料乾燥方法では、集配センターにおいて、複数の乾燥基地を建設する必要があることから、乾燥効率および装置の利用率が低く、装置の費用が高く、また電力消費や輸送コストが高いため、これら全てにより、バイオエネルギの大規模開発が妨げられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、バイオマス燃料の乾燥方法及びバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置を提供することにある。本方法は、乾燥効率を効果的に改善するとともに、エネルギを節約する。本装置は、バイオマス燃料の現地での脱水を達成することにより、装置のコストやエネルギ消費を減少させるとともに、生産効率を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係り、移動式車両プラットフォームを使用するバイオマス燃料乾燥方法を提供する。本方法では、従来の固定された作業場での燃料処理ラインの主要工程を、複数の独立した機能車両で行われる工程から分離させる。機能車両は、少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両と、複数台の燃料搬送車を含む。少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両は、移動式乾燥室を含む。燃料搬送車は、複数の荷台を含む。本方法は、以下の工程を含む。
【0006】
1)原料前処理工程:バイオマス燃料の集配センターにおいて、バイオマス原料を20〜50mmの長さの小片に切断し、この小片を機械で圧搾、脱水して、フィルタケーキ状のバイオマス燃料を生成する。フィルタケーキ状のバイオマス燃料の含水量は、少なくとも50%未満に減少する。
【0007】
2)前処理生成物積載工程:フィルタケーキ状のバイオマス燃料をすり潰し、ほぐしてから、バイオマス燃料を燃料搬送車の荷台に積載する。
【0008】
3)対応機能車両連結工程:燃料搬送車の末端と乾燥装置キャリア車両を連結させ、前記乾燥装置キャリア車両の移動式乾燥室を燃料搬送車へ移動させる。荷台は移動式乾燥室の内室で被覆、密封される。
【0009】
4)高温対流乾燥工程:移動式乾燥室の内室において、荷台内のバイオマス燃料を、温度100〜180℃の循環乾燥空気を使用し、循環乾燥空気の速度を1.5〜2.0m/sに制御して対流乾燥させ、乾燥空気を利用してバイオマス燃料の含水量を低下させ、乾燥速度の明らかな低下が現れるまで、定期的に水分を排出する。
【0010】
5)微小圧力低温輻射乾燥工程:高温対流乾燥に続いて、移動式乾燥室内の空気を排出し、移動式乾燥室内の圧力を5000〜50000Paに制御し、移動式乾燥室内の温度を85℃よりも低くなるように制御し、輻射熱をバイオマス燃料へ運び、バイオマス燃料を脱水させ、荷台内のバイオマス燃料の含水量を35%未満に低下させる。
【0011】
6)反復作用工程:輻射乾燥に続き、移動式乾燥室(4)を移動させ、次の燃料搬送車の荷台を被覆、密封し、燃料搬送車の全てのバイオマス燃料が乾燥するまで上記工程4)および5)を繰り返す。
【0012】
7)乾燥燃料輸送工程:燃料搬送車内の乾燥バイオマス燃料を、余分な積み下ろし載工程を経ることなく、発電所へ直接輸送する。
【0013】
本実施形態の一態様において、工程4)では、移動式乾燥室内の湿度が85〜92%である時に、水分が排出される。湿度が50〜60%まで低下すると、水分の放出は終了する。移動式乾燥室の湿度が一定である時には、対流乾燥が完了する。
【0014】
本実施形態の一態様において、工程5)では、移動式乾燥室の温度は、60〜80℃に制御される。移動式乾燥室の湿度が85〜92%である時に、水分が排出される。バイオマス燃料の含水量が25〜33%に低下した時に、微小圧力低温輻射乾燥が完了する。
【0015】
本実施形態の一態様において、工程6)では、移動式乾燥室は乾燥装置キャリア車両へ戻される。乾燥装置キャリア車両の末端は、後続の燃料搬送車の末端に連結され、移動式乾燥室は次の燃料搬送車へと移動させられる。
【0016】
本実施形態の一態様において、工程6)では、燃料搬送車の末端は次の燃料搬送車の末端と連結され、移動式乾燥室は次の燃料搬送車へと直接移動させられる。移動式乾燥室は、燃料搬送車の全てのバイオマス燃料が乾燥させられた時に、乾燥装置キャリア車両へ戻されることにより、燃料の積み下ろし時間が節約され、移動式乾燥室を少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両へ戻す工程が減らされ、設置時間が大きく減少するとともに、バイオマス燃料の乾燥効率が改善する。
【0017】
本実施形態の一態様において、機能車両は更に、補助装置キャリア車両を含む。補助装置キャリア車両は、少なくとも1台の加熱装置キャリア車両と、少なくとも1台のエネルギ供給車両を含む。
【0018】
作用状態では、エネルギ供給車両のエネルギ出力端は、加熱装置キャリア車両のエネルギ入力端と連結される。加熱装置キャリア車両の熱源出力端は、熱源を少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両の移動式乾燥室へ供給するとともに、移動式乾燥室内の空気流を加熱する。
【0019】
本実施形態の一態様において、補助装置キャリア車両は更に工作機械車両を含む。工作機械車両には、車両据付プレス脱水機、移動式切断機、空気排出装置が積載される。
【0020】
作用状態では、工作機械車両はバイオマス燃料集配センターへ移動させられる。バイオマス燃料は、工作機械車両上にある車両据付のプレス式脱水機と移動式切断機を使用して切断及び圧縮される。乾燥装置キャリア車両の移動式乾燥室内の空気は、工作機械車両上の空気排出装置を使用して排出される。
【0021】
従って、移動式車両プラットフォーム装置を使用するバイオマス燃料の完全乾燥ラインは、バイオマス燃料の集配センターに形成され、バイオマスは集配センターで適時、迅速且つ効率的に乾燥、処理される。従来の固定された作業場でのバイオマス燃料乾燥ラインが置き換えられることにより、装置や工場に対する費用が節約され、湿った燃料の長距離輸送や発電所での二次乾燥が回避され、発電所の燃料コストが減少し、発電所の利益が改善する。
【0022】
本発明は更に、バイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置を提供する。本装置は、複数の独立した機能車両を含む。機能車両は、少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両と、複数の燃料搬送車を含む。
【0023】
乾燥装置キャリア車両は、第1軌道及び移動式乾燥室を含む。第1軌道は、少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両の床上に長手方向に載置される。移動式乾燥室は、第1軌道上に載置される。移動式乾燥室の端面には扉が設けられる。移動式乾燥室の上部一端には、供給空気入口が設けられる。送風機が供給空気入口の供給空気管路に設けられる。移動式乾燥室の上部他端には空気出口が設けられる。排気ファンは空気出口に設けられる。熱供給装置は、移動式乾燥室の内室側壁に設けられる。循環ファンは、移動式乾燥室の内室上部に設けられる。温度及び湿度センサも、移動式乾燥室の内室に設けられる。温度及び湿度センサの信号出力端は、送風機及び排気ファンそれぞれのアクチュエータに連結される。空気排気装置接続口は、移動式乾燥室の外壁に設けられる。
【0024】
燃料搬送車は第2軌道、第3軌道、および複数の荷台を含む。第2軌道は、燃料搬送車の床上に長手方向に載置される。複数の荷台は順に連結されるとともに、第2軌道上に載置される。第3軌道は第2軌道の外側にあり、第2軌道および第3軌道は平行している。第3軌道および第1軌道の仕様は同一とされることにより、燃料搬送車の末端が少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両の末端に連結されたときに、第3軌道は第1軌道と一列になる。移動式乾燥室は、乾燥装置キャリア車両から、燃料搬送車上の荷台を被覆するように移動させられる。
【0025】
本実施形態の一態様において、機能車両は更に、補助装置キャリア車両を含む。補助装置キャリア車両は、少なくとも1台の加熱装置キャリア車両と、少なくとも1台のエネルギ供給車両を含む。作用状態で、エネルギ供給車両のエネルギ出力端は、加熱装置キャリア車両のエネルギ入力端と連結される。加熱装置キャリア車両の熱源出力端は、移動式乾燥室内の熱供給装置と連結されるとともに、移動式乾燥室内の空気流を加熱する。
【0026】
本実施形態の一態様において、熱供給装置は、移動式乾燥室の内室の2つの側壁上に載置される光放熱管である。加熱装置キャリア車両には、車両据付蒸気ボイラが載置される。車両据付蒸気ボイラの蒸気出力端は、熱源出力管を介して、光放熱管の蒸気入力端と連結される。
【0027】
本実施形態の一態様において、加熱装置キャリア車両には、蒸気空気熱交換器が載置される。車両据付蒸気ボイラの蒸気出力端は、熱源出力管を介して2つに分岐し、一方は光放熱管の蒸気入力端と連結されるとともに、他方は蒸気空気熱交換器の蒸気入口と連結される。蒸気空気熱交換器の高温空気出口は、移動式乾燥室の外壁にある高温空気入口と連結されるとともに、移動式乾燥室の空気流のために補助熱源をもたらす。
【0028】
本実施形態の一態様において、エネルギ供給車両は天然ガスタンクトラックまたはディーゼルタンクトラックである。
【0029】
本実施形態の一態様において、補助装置キャリア車両は更に、工作機械車両を含む。工作機械車両には、車両据付プレス脱水機と移動式切断機と、空気排出装置が載置される。作用状態では、空気排出装置は移動式乾燥室の空気排出装置接続口と連結され、キャリア車両上の移動式乾燥室内の空気は排出されて、微小圧力状態が形成される。
【0030】
本実施形態の一態様において、移動式乾燥室は第1ローラを含む。第1ローラは移動式乾燥室の底部に設けられ、第1軌道と適合する。第1ローラの軸にはローラ駆動装置が設けられる。ローラ駆動装置は、移動式乾燥室の自動移動を駆動するように構成される。
【0031】
本実施形態の一態様において、ローラ駆動装置は、モータ速度減少機構である。
【0032】
本実施形態の一態様において、循環ファンは移動式乾燥室の内室上部の中央部分に載置される。循環ファンからの空気流出力の方向は、移動式乾燥室の長さ方向と同一である。温度及び湿度センサが移動式乾燥室の内室上部において、空気出口の付近に設けられる。
【0033】
本実施形態の一態様において、熱回収ユニットは移動式乾燥室の上側外部に設けられる。熱回収ユニットは互いに離れた高温領域および低温領域を含む。高温領域の一端はガス出口を含み、高温領域の他端は蒸気入口を含む。ガス出口は大気と連通している。蒸気入口は空気出口と連結される。低温領域の一端は予熱空気出口を含み、低温領域の他端は空気入口を含む。予熱空気出口は供給空気入口と連結される。
【0034】
本実施形態の一態様において、移動式乾燥室の端面の2つの側部には回転板が設けられる。回転板は、移動式乾燥室の扉を密封するように構成される。
【0035】
本実施形態の一態様において、移動式乾燥室は箱形であり、開放底を備える。移動式乾燥室の側壁、上板、扉は金属製板の枠構造であり、断熱ライナが備えられている。
【0036】
本実施形態の一態様において、荷台は上側燃料積層及び下側燃料積層を含む。上側燃料積層及び下側燃料積層の間には通気用空隙が設けられる。第2ローラが荷台の底部分に設けられており、第2軌道と適合することにより、荷台は燃料を下す間に、燃料搬送車から切り離される。
【0037】
本実施形態の一態様において、荷台の上側燃料積層の下側に、活性インサートが載置される。使用する際に、活性インサートは外へ移動させられるとともに、バイオマス燃料が下側燃料積層に積み重ねられる。次に、活性インサートは上側燃料積層の底部分に取り付けられ、バイオマス燃料は上側燃料積層に積み重ねられる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の実施形態に係るバイオマス燃料乾燥方法及び装置は、従来技術と比べて以下の効果を有する。
【0039】
1.バイオマス燃料に対して大きな需要があるが、バイオマス燃料の集配センターは分散化しており、単独の集配センターでは少量のバイオマス燃料を供給できるにすぎないことから、バイオマス燃料を乾燥させるために、多数の基地を建設する必要があり、投資が多額になり、エネルギ消費が大きく、乾燥装置の利用率が低く、無駄が多い。本発明は、従来の概念を覆すものであり、従来の固定された作業場は移動式車両プラットフォーム装置に変えられる。本装置は、複数の集配センターへ柔軟に移動することにより、バイオマス燃料を現場で乾燥させるので、乾燥装置の利用率が大きく改善し、装置の費用やエネルギの消費が減少し、また、土地の占有が減る。
【0040】
2.バイオマス燃料の乾燥装置は、移動式乾燥室を含む。移動式乾燥装置は、迅速に移動して、燃料搬送車の荷台上の燃料を乾燥させ、乾燥が完了したら、燃料搬送車から迅速に戻ることができるので、移動式乾燥室は使用時に柔軟性があり、便利である。燃料を積んだり下したりする際の労力が大きく減少する。労働者が高温の乾燥室で作業する必要がなくなるので、作業条件や作業効率が改善する。
【0041】
3.本発明は、高温対流乾燥方法を低温微小圧力輻射乾燥と組み合わせたものである。低温微小圧力輻射乾燥は、対流乾燥の乾燥速度が明らかに減少した時に行われる。低温微小圧力輻射乾燥の原理は次のとおりである。水の蒸発工程の間に、温度は蒸気圧力と比例し、移動式乾燥室の温度が約80℃になったら、移動式乾燥室の圧力は50000Paであり、燃料の脱水率は常圧下よりも16〜17%増加する。圧力が更に低下し、移動式乾燥室の圧力が5000Paであると、燃料の脱水率が常圧下よりも62〜63%増加し、脱水率が一層高くなる。すなわち、低温微小圧力輻射乾燥が5000〜50000Paの範囲で行われると、移動式乾燥室の圧力が低くなるにつれて、乾燥率が高くなる。低温微小圧力輻射乾燥は、高温対流乾燥よりもエネルギを40%以上節約することができ、従来の強制対流乾燥の短い乾燥ストロークにより生じる低い乾燥効率や熱エネルギの無駄を回避することができる。また、高温対流乾燥法を低温微小圧力輻射乾燥と組み合わせた本方法では、エネルギが節約され、電力供給装置が小型化することから、小型、軽量、かつ乾燥装置の車両への利用に対しての根拠となる。
【0042】
4.本発明の移動式プラットフォームを使用するバイオマス燃料乾燥用車両の車両据付蒸気ボイラは、現地エネルギ源を使用できる。車両据付蒸気ボイラは、2つの目的を達成する蒸気ボイラであり、天然ガス及びディーゼルの両方を使用することができるので、本発明のバイオマス燃料乾燥装置は、バイオマス燃料集配センターにおいて特定のエネルギ条件に従い対応するエネルギ供給モードを選択し、本装置は高い適用性を特徴とする。
【0043】
5.バイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置は、バイオマス燃料の現場での圧縮及び脱水を可能にし、燃料乾燥と組み合わせて、一連のプロセスラインを形成する。機械式脱水が強乾燥と組み合わされることにより、バイオマス燃料の乾燥が集配センターで完了し、湿った燃料の長距離輸送や発電所での二次乾燥が回避されるので、輸送コストが減少し、燃料コストや発電所の在庫体積が減少し、発電所の利益が改善する。
【0044】
6.本発明の移動式プラットフォームを使用するバイオマス燃料乾燥装置は、熱回収ユニットを含む。移動式乾燥室からの高温で湿った空気出力を使用して、高温領域を介して熱回収ユニットの低温領域の外部空気を加熱し、予熱された空気は再度移動式乾燥室へ入る。熱回収ユニットは約30%のエネルギを節約するとともに、本発明装置のエネルギ節約性能を一層改善する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明のバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置の連結図である。
図2図1の乾燥装置キャリア車両の平面図である。
図3図1の燃料搬送車の平面図である。
図4】移動式乾燥室が燃料搬送車へ移動させられた時の平面図である。
図5図4のA−A線視断面図である。
図6図4のB−B線視断面図である。
図7図1の車両据付蒸気ボイラ、蒸気空気熱交換器、および移動式乾燥室の関係を示す図である。
図8図1の工作機械車両の作動工程を示す図である。
図9図1の燃料搬送車の積載工程を示す図である。
図10図1の乾燥装置キャリア車両から燃料搬送車へ移る移動式乾燥室を示す図である。
図11図1のエネルギ供給車両、加熱装置キャリア車両、および乾燥装置キャリア車両の協働乾燥工程を示す図である。
図12図1の燃料搬送車から乾燥装置キャリア車両へ戻る移動式乾燥室を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明を詳細に説明するために、バイオマス燃料乾燥方法および移動式車両プラットフォーム装置の実施形態を以下に記載する。当然のことながら、以下の実施例は、本発明を説明することを目的としており、本発明の限定を意図するものではない。
【0047】
図1に示すように、バイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置は、複数の独立した機能車両を含む。機能車両は、少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両と、少なくとも2個の燃料搬送車3と、少なくとも1台の加熱装置キャリア車両2−1と、少なくとも1台のエネルギ供給車両2−2と、少なくとも1台の工作機械車両2−3を含む。加熱装置キャリア車両2−1と、エネルギ供給車両2−2と、工作機械車両2−3は、補助装置キャリア車両2である。
【0048】
図2に示すように、少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両は、第1軌道5及び移動式乾燥室4を含む。第1軌道は、少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両の床上に、長手方向に設けられる。移動式乾燥室は、第1軌道上に設けられる。
【0049】
図3に示すように、燃料搬送車3は、第2軌道26及び複数の荷台3−1を含む。第2軌道は、燃料搬送車の床上に、長手方向に設けられる。複数の荷台は順に連結されるとともに、第2軌道26上に設置される。荷台3−1は、上側燃料積層と下側燃料積層を含む。通気用空隙28が上側燃料積層と下側燃料積層の間に設けられる。活性インサート3−11が荷台3−1の上側燃料積層の底部に載置される。使用に際して、活性インサート3−11は取り出され、バイオマス燃料が下側積層の上に積み重ねられ、活性インサートはその後に、上側燃料積層の底部に載置され、バイオマス燃料は上側燃料積層の上に積重ねられる。第2ローラ30は、荷台3−1の底部に載置されるとともに、(図5図6に示すように)第2軌道26と適合することにより、燃料を下す間に、荷台3−1を燃料搬送車3から切り離す。第3軌道17は第2軌道26の外側にあり、第2軌道と第3軌道は平行している。第3軌道17と第1軌道5の仕様は同じであり、燃料搬送車3の末端が乾燥装置キャリア車両1の末端と連結された時に、第3軌道17は第1軌道5と一列になり、移動式乾燥室4は、(図4に示すように)少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両から燃料搬送車3上の荷台3−1を覆うように移動させられる。
【0050】
図4図6に示すように、移動式乾燥室4は箱型で、開放底を備える。移動式乾燥室の側壁、上板、および扉8は、金属板枠構造を備え、断熱ライナが設けられる。移動式乾燥室4の外壁には温度計、圧力計、湿度計が設けられている。温度計、圧力計、湿度計は対応して、移動式乾燥室4内の温度、圧力、湿度を監視するように構成されている。移動式乾燥室4は、第1ローラ6を含む。第1ローラは移動式乾燥室の底部に載置されるとともに、第1軌道5と適合する。第1ローラ6の軸にはローラ駆動装置7が備えられる。ローラ駆動装置7は、モータ速度減速機構である。ローラ駆動装置は、移動式乾燥室4の自動移動を駆動するように構成される。扉8は、移動式乾燥室4の端面に載置される。移動式乾燥室4の端面の2つの側面には、回転板29が設けられる。回転板は、移動式乾燥室の扉8を密封するように構成される。移動式乾燥室4の上部一端には、供給空気入口10が設けられる。送風機11及び供給空気弁32が、供給空気入口10の空気供給管路に設けられる。送風機11の入力端には第1密封弁33が設けられる。移動式乾燥室4の上部他端には空気出口12が設けられる。排気ファン13及び排気弁31が、空気出口12に設けられる。排気ファン13の入口端には第2密封弁34が設けられる。熱供給装置9は、移動式乾燥室4の内室側壁に設けられる。熱供給装置9は、移動式乾燥室4の内室側壁に載置される光放熱管である。循環ファン14は、移動式乾燥室4の内室上部に載置される。循環ファンからの気流出力方向は、移動式乾燥室4の長手方向と同じである。温度及び湿度センサ15も移動式乾燥室4の内室上部において、空気出口12付近に載置される。温度及び湿度センサ15の信号出力端は、制御ユニットを介して、送風機11及び排気ファン13それぞれの駆動装置と連結される。空気排出装置接続口16及び高温空気入口24は、移動式乾燥室4の外壁に載置される。熱回収ユニット25は、移動式乾燥室4の上部外側に載置される。熱回収ユニット25は、互いに離れた高温領域25−1及び低温領域25−2を含む。高温領域25−1の一端はガス出口25−3を含み、高温領域25−1の他端は蒸気入口25−4を含む。ガス出口25−3は大気と連通している。蒸気入口25−4は空気出口12と連結される。低温領域25−2の一端は予熱空気出口25−5を含み、低温領域の他端は空気入口25−6を含む。予熱空気出口25−5は供給空気入口10と連結される。
【0051】
本実施形態の一態様において、エネルギ供給車両2−2は、天然ガスタンクトラック又はディーゼルタンクトラックである。作動状態において、エネルギ供給車両2−2のエネルギ出力端は加熱装置キャリア車両2−1のエネルギ入力端と連結される。図1及び図7に示すように、加熱装置キャリア車両2−1には車両据付蒸気ボイラ22及び蒸気空気熱交換器23が据付けられる。車両据付蒸気ボイラ22はガス(ディーゼル)ボイラである。エネルギ供給車両2−2は天然ガス又はディーゼルを車両据付蒸気ボイラ22に供給する。車両据付蒸気ボイラ22の蒸気出口端22−1は、熱源出力管を介して2つに分岐し、一方は移動式乾燥室4の2つの側壁上にある光放熱管の蒸気入力端と連結されて、移動式乾燥室4内の空気流を加熱するとともに、他方は蒸気空気熱交換器23の蒸気入口と連結される。蒸気空気熱交換器23の高温空気出口は、移動式乾燥室4の外壁上の高温空気入口24と連結されることにより、移動式乾燥室4の空気流に補助熱源を供給する。
【0052】
本実施形態の一態様において、工作機械車両2−3には車両据付圧縮脱水装置18と、移動式切断機19と、空気排出装置20が据付される。作動状態では、空気排出装置20は移動式乾燥室4の空気排出装置接続口16と連結される。移動式乾燥室4内の空気は、微小圧力状態を形成するように排出される。
【0053】
本実施形態の一態様において、従来の固定式作業場での燃料加工ラインの主要工程は、複数の独立した機能車両で行われる工程と切り離される。図8図12に示すように、バイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットフォーム装置の作用工程は、次のとおりである。
【0054】
1)原料前処理工程:工作機械車両2−3が集配センターへ移動する。安全且つ適切な水源と電源が選択され、配管を介して工作機械車両と接続される。原料のバイオマス燃料を、バイオマス燃料集配センターにおいて、工作機械車両2−3上の移動式切断機19を用いて、20〜30mmの長さの細片に切断する。細片を移動供給ベルト27により、車両据付圧縮脱水装置18に運び、機械的に圧縮及び脱水させて、フィルタケーキを形成する(図8に示すように、図8の矢印は、バイオマス燃料の移動方向を示す)。フィルタケーキ形状におけるバイオマス燃料の含水量は、少なくとも50%未満まで減少する。本実施例の燃料圧縮を施したバイオマス燃料の含水量は、40〜45%である。
【0055】
2)前処理生成物積載工程:フィルタケーキ形状のバイオマス燃料をすり潰し、ほぐしてから、移動式ベルトコンベア28により、燃料搬送車3上の荷台3−1へ運ぶ(図9に示すように、図9の矢印は、バイオマス燃料の移動方向を示す)。
【0056】
3)対応機能車両連結工程:積載した燃料搬送車3を乾燥装置キャリア車両1へ移動させる。燃料搬送車3の末端と乾燥装置キャリア車両の末端を連結させる。移動式乾燥室4の回転板29を回転させて、扉8を開ける。ローラ駆動装置7を駆動させ、乾燥装置キャリア車両1の移動式乾燥室4を燃料搬送車3へ移動させる。荷台3−1を移動式乾燥室4の内室で覆い、密封する。次に、回転板29を回転させて、扉8を閉め、移動式乾燥室4全体を、可撓性の繊維、ゴム、及び接着テープ等を用いて密封する(図10に示すように、図10の矢印は、移動式乾燥室4の移動方向を示す)。
【0057】
4)高温対流乾燥工程:図11に示すように、加熱装置キャリア車両2−1は、移動式乾燥室4へ熱源を供給し、移動式乾燥室4内の気流が加熱される。詳細な加熱工程は次のとおりである。加熱装置キャリア車両2−1上の車両据付蒸気ボイラ22が高圧蒸気を生成する。高圧蒸気の一部を、移動式乾燥室4内の熱供給装置9へ運ぶ。熱供給装置9は移動式乾燥室4の内室の2つの側壁にある光放熱管である。熱供給装置は、移動式乾燥室4の気流を加熱する。残りの高圧蒸気は、蒸気空気熱交換器23により使用されて、高温の空気を生成する。高温の空気は、高温空気入口24を介して、移動式乾燥室4へ直接流入させられる。高温の空気は、移動式乾燥室4内の気流へ、補助的な熱源を供給する。乾燥温度は、100〜180℃に制御される。循環ファン14を回転させて、移動式乾燥室内の空気を循環させるとともに、乾燥空気の速度を1.5〜2.0m/sに制御する。高温の乾燥空気はバイオマス燃料中の水分を完全に吸収するとともに、循環して、荷台3−1内のバイオマス燃料に滞留乾燥を行う。移動式乾燥室4内の空気湿度を温度及び湿度センサ15により測定して、85〜92%に制御し、排気ファン13及び排気弁31を作動させる一方、送風機11及び供給空気弁32を対応して作動させ、水分を排出する。移動式乾燥室4内の空気湿度を50〜60%に低下させ、排気ファン13及び排気弁31を停止させて、水分の排出を終了させる。移動式乾燥室4内で、空気を連続循環させる。移動式乾燥室4内の空気湿度が一定になるまで、水分の排出と内部空気循環を移動式乾燥室4内で応じて繰り返し、すなわち、乾燥速度が明らかに低下する(温度及び湿度センサ15により測定される湿度が一定であり、或いは、湿度変化がより小さい)と、対流乾燥が完了する。
【0058】
5)微小圧力低温輻射乾燥工程:対流乾燥の後、移動式乾燥室4の圧力を5000〜50000Paに制御する。移動式乾燥室4の温度を60〜80℃に制御することにより、バイオマス燃料を微小圧力状態下におく。輻射熱がバイオマス燃料へ伝えられてバイオマス燃料が脱水させられるとき、移動式乾燥室4内の空気湿度は85〜92%であり、湿度排出が開始する。輻射乾燥は、荷台3−1にあるバイオマス燃料の含水量が35%未満、好適には25〜33%まで低くなったら完了する。詳細には、輻射乾燥は、2つの方法で実現され得る。第1の方法では、高温対流乾燥後に、第1密封弁33及び第2密封弁34を閉じ、移動式乾燥室4を完全密封する一方、高温空気システムを停止させる。工作機械車両2−3上の空気排出装置20を駆動させて空気を排出し、光放熱管は熱を連続供給する。移動式乾燥室4の外側壁に取り付けられた温度計、圧力計、湿度計により、移動式乾燥室4内の空気状態を監視し、移動式乾燥室4内のバイオマス燃料を5000〜50000Paの圧力及び60〜80℃の温度下で乾燥させる。バイオマス燃料の含水量が35%未満まで減少したら、微小圧力及び低温下での輻射乾燥を完了させる。第2の方法では、第1の方法の微小圧力低温工程と要件に従うが、供給空気入口10の第1密封弁33のみを閉鎖し、第2密封弁34は開放させたままにしておく点が異なり、排気ファン13を始動させて空気を排出させ、移動式乾燥室4内の圧力を低下させる。
【0059】
6)反復作用工程:輻射乾燥の後に乾燥装置を停止させる。回転板29を回転させて、扉8を開ける。ローラ駆動装置7を作動させ、移動式乾燥室4を移動させて、次の燃料搬送車3上の荷台3−1を被覆、密封する。燃料搬送車3内の全てのバイオマス燃料が乾燥させられるまで、工程4および5を繰り返す。
【0060】
ここで、移動式乾燥室4は、2つの経路で、次の燃料搬送車3上へ移動させられる。1つめは、移動式乾燥室4は、乾燥装置キャリア車両1へ戻される。乾燥装置搬送車の末端は、次の燃料搬送車3の末端と連結され、移動式乾燥室4は、次の燃料搬送車3へ移動させられる。2つめは、燃料搬送車3の末端は次の燃料搬送車3の末端と連結され、移動式乾燥室4は次の燃料搬送車3へ直接移動させられる。燃料搬送車3の全てのバイオマス燃料が乾燥させられたら、移動式乾燥室4は少なくとも1台の乾燥装置キャリア車両1へ戻される(図12に示すように、図12の矢印は、移動式乾燥室4の移動方向を示す)。
【0061】
7)乾燥燃料搬送工程:燃料搬送車3内の乾燥させられたバイオマス燃料は、載せたり下したりといった余分や工程を要することなく、発電所へ直接運ばれる。
【0062】
工程4)及び5)において、移動式乾燥室4の空気出口12から出た高温の湿った空気は、高温領域25−1を介して、熱回収ユニット25の低温領域25−2にある外部空気を加熱する。すなわち、エネルギを節約するため、熱回収ユニット25により外部空気を加熱し、移動式乾燥室4へ流入させる。微小圧力低温輻射乾燥では、対流乾燥よりも40%以上のエネルギを節約するので、小型かつ乾燥装置の車両への利用に対しての根拠となる。
【0063】
本実施例の移動式乾燥室4の熱効率は、次のとおりに推定される。2t/hの天然ガスボイラでは160Nm3/hの天然ガスを使用して、2t/h、0.4MPaの高圧蒸気を生成する。夏季では通常、熱源の利用係数は94%である。即ち、熱源の一部を2個の1t/hの光放熱管で使用して、バイオマス燃料を乾燥させ、その熱効率は90%に達する。熱源の他の部分は、4個の1t/hの光放熱管を使用し、蒸気を用いて高温の空気を生成するため、蒸気空気熱交換器23で使用して、空気と熱交換を行い、100℃の高温空気を生成する。その熱効率は85%である。高温の空気は移動式乾燥室4内のバイオマス燃料と熱交換を行う。通常、70%の熱がバイオマス燃料により吸収され、30%の熱が水分放出により除去されるので、移動式乾燥室の実際の熱効率はわずか53%である。この問題を解消するために、移動式乾燥室4に熱回収ユニット25を設けて熱を回収することで、移動式乾燥室4の熱効率を74%にし得る。光放熱管の熱効率が85%であるとき、熱源の合計熱効率は79.5%に達する。冬季の熱効率は、夏季の熱効率よりも僅かに低い。高温空気乾燥の熱効率は約69%であり、熱源の合計熱効率は、冬季には約77%に達する。
【0064】
本発明におけるバイオマス燃料乾燥用移動式車両プラットオーム装置は、バイオマス燃料の乾燥に用いられるだけでなく、野菜、果物、穀物の乾燥に使用することもでき、地方経済の発展と装置の利用拡大を可能にする。
【符号の説明】
【0065】
1 乾燥装置キャリア車両
2 補助装置キャリア車両
2−1 加熱装置キャリア車両
2−2 エネルギ供給車両
2−3 工作機械車両
3 燃料搬送車
3−1 荷台
3−11 活性インサート
4 移動式乾燥室
5 第1軌道
6 第1ローラ
7 ローラ駆動装置
8 扉
9 熱供給装置
10 供給空気入口
11 送風機
12 空気出口
13 排気ファン
14 循環ファン
15 温度及び湿度センサ
17 第3軌道
18 車両据付プレス脱水機
19 移動式切断機
20 空気排出装置
22 車両据付蒸気ボイラ
23 蒸気空気熱交換器
25 熱回収ユニット
25−1 高温領域
25−2 低温領域
25−3 ガス出口
25−4 蒸気入口
25−5 予熱空気出口
25−6 空気入口
25−5 予熱空気出口
29 回転板
30 第2ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12