特許第6374117号(P6374117)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6374117セルロースナノ繊維分離膜を含む電気化学素子及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374117
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】セルロースナノ繊維分離膜を含む電気化学素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20180806BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20180806BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20180806BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20180806BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20180806BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20180806BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20180806BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20180806BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20180806BHJP
【FI】
   H01M4/13
   H01M4/525
   H01M4/505
   H01M4/58
   H01M10/052
   H01M4/62 Z
   H01M4/139
   H01M2/16 N
   H01M2/16 M
   H01M10/058
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-536501(P2017-536501)
(86)(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公表番号】特表2017-535931(P2017-535931A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】KR2014009124
(87)【国際公開番号】WO2016047835
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年3月24日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0129587
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517105043
【氏名又は名称】コリア フォレスト リサーチ インスティテュート
【氏名又は名称原語表記】KOREA FOREST RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】イ ソンヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ サンヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ クンホ
(72)【発明者】
【氏名】チョン サンジン
(72)【発明者】
【氏名】パク サンボム
(72)【発明者】
【氏名】チェ ドンハ
(72)【発明者】
【氏名】チョ ソンジュ
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−192255(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0072696(KR,A)
【文献】 国際公開第2013/096751(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13
H01M 2/16
H01M 4/139
H01M 4/40
H01M 4/48
H01M 4/505
H01M 4/525
H01M 4/58
H01M 4/62
H01M 10/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質及びナノ繊維構造の導電材の複合体を含む電極と;
前記電極と結合されたセルロースナノ繊維分離膜と;を備え
前記電極はバインダー及び電極集電体を含まないことを特徴とする電極−分離膜結合体。
【請求項2】
単位面積当たりの重さが30mg/cm以下である、請求項1に記載の電極−分離膜結合体。
【請求項3】
分離膜の平均厚さは、0.01〜500μmである、請求項1又は2に記載の電極−分離膜結合体。
【請求項4】
電極の平均厚さは、0.01〜500μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の電極−分離膜結合体。
【請求項5】
活物質は、
リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物、リチウムニッケルマンガン系酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系酸化物、リチウムリン酸鉄系酸化物、リチウム金属、リチウム金属の合金及び遷移金属酸化物よりなる群から選択される1種以上を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の電極−分離膜結合体。
【請求項6】
ナノ繊維構造の導電材は、
炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブ、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、ポリフェニレン誘導体よりなる群から選択される1種以上を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の電極−分離膜結合体。
【請求項7】
分離膜は、無機粒子を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の電極−分離膜結合体。
【請求項8】
無機粒子は、
SiO、Al、TiO、BaTiO、LiO、LiF、LiOH、LiN、BaO、NaO、LiCO、CaCO、LiAlO、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO及びSiCよりなる群から選択される1種以上を含む、請求項7に記載の電極−分離膜結合体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の電極−分離膜結合体を備える電気化学素子。
【請求項10】
充電時に下記数式1を満足する、請求項9に記載の電気化学素子:
[数式1]
|Vc1−Vc2|≦0.02
ここで、Vc1は、電池を曲げた曲律半径が2.5mmであるときの電圧であり、
c2は、電池を曲げない状態で測定した電圧である。
【請求項11】
放電時に下記数式2を満足する、請求項9に記載の電気化学素子:
[数式2]
|Vdc1−Vdc2|≦0.01
ここで、Vdc1は、電池を曲げた曲律半径が2.5mmであるときの電圧であり、
Vdc2は、電池を曲げない状態で測定した電圧である。
【請求項12】
活物質、ナノ繊維構造の導電材、溶媒及び分散剤を混合し、電極混合物を製造する段階と;
前記電極混合物をセルロースナノ繊維分離膜に濾過し、電極と結合された構造の分離膜を形成する段階と;を備え
前記電極はバインダー及び電極集電体を含まないことを特徴とする電気化学素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースナノ繊維分離膜を含む電気化学素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ロール−アップディスプレイ、着用可能な電子素子など、多様なデザインが可能なフレキシブルリチウムイオン二次電池(flexible lithium−ion batteries)に対する重要性が高くなるに伴い、多様な種類の電気化学素子に適用できる柔軟な材料に対する研究が活発に起きている。リチウムイオン二次電池は、大きく、アノード(anode)電極、分離膜(separator)、カソード(cathode)電極及び電解質(electrolytes)で構成されている。
【0003】
現在、リチウムイオン二次電池は、整形化された構造のケースにフィルム形態の陽極/分離膜/陰極を順次に重ねて集めた後、電解液を注入して製造する。しかし、このような整形化された構造の電池は、物理的柔軟性が非常に不足であるため、フレキシブル電池で要求されるデザイン多様性を満たすのに多くの限界点を持っている。
【0004】
特に、従来のリチウムイオン二次電池構成要素のうち電極(陽極及び陰極)は、電極活物質を導電材及びバインダーとともにバインダーを溶かすことができる溶媒(主として、N−メチルピロリドン)に分散させた電極混合物を集電体に塗布して製造される。この際、バインダーは、集電体−活物質、活物質−活物質、活物質−導電材間の接着力を増大させるための必須な要素であるが、電極の電子伝導度減少、エネルギー密度減少、高費用工程、及び相対的に低い生産性のような問題点を有する。したがって、次世代二次電池では、バインダーの減少または除去を用いた従来技術対比高いエネルギー密度を有し、電子伝導度の増加による高出力特性を向上させる研究が必須である。
【0005】
また、金属集電体上に電極混合物を塗布する方式は、電池の曲げ時に、電極層が金属集電体から脱離する問題点を有していて、フレキシブル二次電池の具現が困難であるという不都合がある。このような電極構造に起因して、電池の曲げ時に惹起され得る問題点を解決しようとする試みのうち3次元構造の集電体を基盤とする技術があるが、従来と同様に、電極混合物を塗布する工程を基盤とするため、電池の曲げ時に電極層の脱離現象を抑制するのに限界がある。
【0006】
なお、従来の電池には、熱に脆弱な分離膜が使用されるため、発熱または爆発が発生するなど安全に脆弱であるという問題がある。また、従来の電池は、別途の工程を通じて製造された陽極/分離膜/陰極が順次に積層された構造を有するため、フレキシブル電池への適用時に物理的変形によって分離膜と電極間の界面接触問題が発生し得、これによる電池内部の短絡を引き起こすことができ、これを解決することができる研究が必須な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、別途のバインダー及び電極集電体を使用することなく、製造可能であり、イオン伝導度及び電子伝導度に優れ、高容量及び高出力特性を具現可能な電気化学素子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、活物質及びナノ繊維構造の導電材の複合体を含む電極と;前記電極と結合されたセルロースナノ繊維分離膜と;を備え、前記電極はバインダー及び電極集電体を含まないことを特徴とする電極−分離膜結合体を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記電極−分離膜結合体を備える電気化学素子を提供する。
【0010】
また、本発明は、活物質、ナノ繊維構造の導電材、溶媒及び分散剤を混合し、電極混合物を製造する段階と;前記電極混合物をセルロースナノ繊維分離膜に濾過し、電極と結合された構造の分離膜を形成する段階と;を備え、前記電極はバインダー及び電極集電体を含まないことを特徴とする電気化学素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による電気化学素子は、分離膜及び電極が物理的に結合されていて、界面が非常に安定し、優れた機械的物性の確保が可能であり、多様な外力による形態の変形にも安定的な電池性能を具現でき、これにより、電池の形態変形から誘発され得る電池発火及び爆発などの危険を抑制させ、別途のバインダーを必要としないため、イオン伝導度及び電子伝導度に優れ、バインダー及び電極集電体の除去を通じて高容量及び高出力特性を具現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による電極−分離膜結合体の模式図である。
図2】本発明による電極−分離膜結合体の断面SEM写真である。
図3】本発明による電極−分離膜結合体の電極表面SEM写真である。
図4】本発明による電極−分離膜結合体の界面安定性を評価した写真であり、Aは、実施例、Bは、比較例である。
図5】本発明による電極−分離膜結合体の柔軟性を評価した写真である。
図6】実施例及び比較例の耐熱性を評価した写真であり、Aは実施例、Bは比較例である。
図7】実施例及び比較例の面積当たり重さを比較したグラフである。
図8】実施例及び比較例の面積当たり容量を比較したグラフであり、Aは実施例、Bは比較例である。
図9】実施例及び比較例の気孔度を評価したグラフであり、A1は実施例の陽極、A2は実施例の陰極、B1は比較例の陽極、B2は比較例の分離膜、B3は比較例の陰極である。
図10】実施例及び比較例の電子伝導度を評価したグラフであり、A1は実施例の陽極、A2は実施例の陰極、B1は比較例の陽極、B3は比較例の陰極である。
図11】実施例及び比較例の曲げによる充放電特性を評価したグラフであり、bは電池を曲げた地点を示し、Iは、充電時に実施例の電圧、IIは、充電時に比較例の電圧、IIIは、放電時に実施例の電圧、IVは、放電時に比較例の電圧である。
図12】実施例及び比較例のサイクル特性を示すグラフであり、Aは実施例、Bは比較例である。
図13】実施例のサイクル測定後に電極表面を観察したSEM写真である。
図14】実施例及び比較例の率別充放電特性を評価したグラフであり、CRは、充電時の率別特性を示し、DRは、放電時の率別特性を示す。
図15】実施例及び比較例の高温露出による寸法安定性評価結果を示した写真であり、AI及びAIIは、高温露出前及び高温露出後の実施例であり、BI及びBIIは、高温露出前及び高温露出後の比較例である。
図16】本発明による電極−分離膜結合体の高温露出前後の写真であり、Iは、高温露出前を示し、IIは、高温露出後を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、多様な変更を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるところ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。
【0014】
しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解しなければならない。本発明を説明するにあたって、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0015】
第1、第2等の用語は、多様な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素は、用語により限定されてはならない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。
【0016】
本出願で使用した用語は、ただ特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0017】
また、本出願で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解しなければならない。
【0018】
したがって、本明細書に記載された実施例に図示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があり得る。
【0019】
以下、本発明による電極−分離膜結合体を詳細に説明する。
本発明による電極−分離膜結合体は、活物質及びナノ繊維構造の導電材の複合体を含む電極と;前記電極と結合されたセルロースナノ繊維分離膜と;を備えることができる。
【0020】
本発明による電極−分離膜結合体は、別途のバインダー及び電極集電体を必要とせず、1次元構造のナノ繊維導電材及び活物質が混合されて形成された多孔性電極層であることができる。具体的に、前記電極は、活物質、ナノ繊維構造の導電材及び溶媒を含むことができる。前記電極及び分離膜は、濾過工程を通じて重畳されて物理的に結合されるので、界面安定性に優れ、電池に物理的変形を加えたときにも、電極層が脱離されるか、電池の内部が短絡される現象を防止できる。したがって、本発明による電極−分離膜結合体は、イオン伝導度及び電子伝導度に優れた特性がある。
【0021】
一例として、本発明による電極−分離膜結合体は、単位面積当たりの重さが30mg/cm以下または12mg/cm以下または5〜10mg/cmであることができ、具体的には、8〜10mg/cmであることができる。本発明による電極−分離膜結合体は、別途のバインダー及び金属集電体を必要としないため、従来の電極−分離膜結合体と比べて面積当たり重さが顕著に低い値を維持する。これと関連して、図7に実施例及び比較例の面積当たり重さを比較したグラフを示した。また、図8には、面積当たり容量を比較して図示し、実施例であるAの面積当たり容量が、比較例であるBより優れていることを確認できる。
【0022】
他の一例として、本発明による分離膜の平均厚さは、0.01〜500μmであることができ。具体的に、前記分離膜の平均厚さは、0.5〜200μmまたは1〜100μmまたは5〜50μmであることができる。分離膜の平均厚さが前記範囲の場合、電極−分離膜結合体の形成時に、電極との物理的な結合が容易であり、優れた柔軟性などの優れた機械的物性が具現可能である。
【0023】
さらに他の一例として、本発明による電極の平均厚さは、0.01〜500μmであることができる。具体的に、前記電極の平均厚さは、0.5〜300μmまたは1〜200μmまたは5〜80μmまたは10〜50μmであることができる。電極の平均厚さが前記範囲である場合、電極−分離膜結合体の形成時に、電極との物理的な結合が容易であり、優れた柔軟性などの優れた機械的物性を具現する。
【0024】
さらに他の一例として、本発明による活物質は、0.001〜20μm範囲の平均粒径を有するものであれば、特に制限されず、具体的に、1〜1500nmまたは50〜1000nm範囲の平均粒径を有するものであることができる。その種類としては、例えば、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物、リチウムニッケルマンガン系酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系酸化物、リチウムリン酸鉄系酸化物、リチウムイオンを可逆的にインタカレーション/ジインタカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープ及び脱ドープすることができる物質、遷移金属酸化物及びこれらの組合よりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0025】
さらに他の一例として、ナノ繊維構造の導電材は、0.001〜100μm範囲の平均直径を有する1次元構造の物質であれば、特に制限されず、例えば、炭素繊維等の炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属繊維等の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;及びこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0026】
さらに他の一例として、前記セルロースナノ繊維は、平均直径が10〜1000nmであることができる。セルロースナノ繊維の平均直径が前記範囲である場合、繊維が容易に形成され、シート表面の不均一に起因して電極と界面が悪くなる現象を防止できる。前記セルロースナノ繊維は、平均直径が10〜1000nmであれば、特に制限されず、例えば、ナノサイズの木質材料から分離されたセルロースナノ繊維、海藻類ナノ繊維、菌を培養して得たバクテリアセルロースよりなる群から選択される1種以上を含むことができ、前記ナノ繊維の誘導体及び混合物から選択される1種以上を含むことができる。
【0027】
さらに他の一例として、本発明による分離膜は、無機粒子を含むことができる。分離膜に無機粒子を添加する場合、ナノ繊維の凝集を抑制し、セルロース単独で形成された膜に比べて効果的に多孔性気孔構造を具現できる。前記無機粒子は、特に制限されず、例えば、SiO、Al、TiO、BaTiO、LiO、LiF、LiOH、LiN、BaO、NaO、LiCO、CaCO、LiAlO、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO及びSiCよりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0028】
さらに他の一例として、本発明による電極は、分散剤をさらに含むことができる。前記分散剤は、電極混合物を均一に分散するための目的で使用され、電極混合物を効果的に分散できる物質であれば、特に制限されず、例えば、ソジウムドデシルスルホネート(SDS)、ソジウムドデシルベンゼンスルホネート(SDBS)、セトリミド(CTAB)などの界面活性剤;ポリベンジミダゾール(PBI)、及びポリビニルピロリドン(PVP)などの高分子系分散剤よりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0029】
以下、本発明による電気化学素子を詳細に説明する。
本発明による電気化学素子は、前述した電極−分離膜結合体を含むことができる。
【0030】
一例として、本発明による電気化学素子は、充電時に下記数式1を満足できる。
【0031】
[数式1]
|Vc1−Vc2|≦0.02
【0032】
ここで、Vc1は、電池を曲げた曲律半径が2.5mmであるときの電圧であり、Vc2は、電池を曲げない状態で測定した電圧である。
【0033】
また、本発明による電気化学素子は、放電時に下記数式2を満足できる。
【0034】
[数式2]
|Vdc1−Vdc2|≦0.01
【0035】
ここで、Vdc1は、電池を曲げた曲律半径が2.5mmであるときの電圧であり、Vdc2は、電池を曲げない状態で測定した電圧である。
【0036】
本発明による電気化学素子は、電極及び分離膜が安定的に結合されていて、電池作動中に物理的な変化を与えても、電圧の変化が非常に小さく、安定的な充放電挙動を示す。これに関して、図11に実験結果を示した。図11を参照すれば、bは、電池を曲げた地点を示し、Iは、充電時に実施例の電圧、IIは、充電時に比較例の電圧、IIIは、放電時に実施例の電圧、IVは、放電時に比較例の電圧を示す。実施例であるII及びIIIは、充放電時に電池を曲げたとき、電圧の差が0.02未満と非常に小さく現われたが、比較例であるI及びIVの場合、電池を曲げたとき、充電時には0.04程度、放電時には0.09程度と電圧の差が大きく現われることが分かる。
【0037】
したがって、本発明による電気化学素子は、電極−分離膜の界面安定性及び優れた機械的物性に起因して、電池に物理的変形を加えても、安定的な充放電挙動が可能であることを確認した。
【0038】
以下、本発明による電気化学素子の製造方法を詳細に説明する。
本発明は、活物質、ナノ繊維構造の導電材、溶媒及び分散剤を混合し、電極混合物を製造する段階と;前記電極混合物をセルロースナノ繊維分離膜に濾過し、電極と結合された構造の分離膜を形成する段階と;を備える電気化学素子の製造方法を提供する。
【0039】
本発明による電気化学素子の製造方法において、前記電極混合物を製造する段階は、具体的に、活物質、炭素ナノ繊維及び溶媒を混合し、電極混合物を製造した後、前記活物質と炭素ナノ繊維の均一な分散のために、分散剤をさらに添加する段階を備えることができる。また、分散体を添加した後、電極混合物の均一な分散状態のために電極混合物を分散する段階をさらに含むことができる。この際、電極混合物を分散する方法としては、特に制限されないが、例えば、超音波処理(sonication)、ボールミーリング(ball milling)などが使用され得る。
【0040】
前記電極混合物を製造する段階において、活物質は、0.001〜20μm範囲の平均粒径を有するものであれば、特に制限されず、具体的に、1〜1500nmまたは50〜1000nm範囲の平均粒径を有するものを使用できる。前記活物質の種類としては、例えば、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物、リチウムニッケルマンガン系酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系酸化物、リチウムリン酸鉄系酸化物、リチウムイオンを可逆的にインタカレーション/ジインタカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープ及び脱ドープすることができる物質、遷移金属酸化物及びこれらの組合よりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0041】
本発明による電極混合物を製造する段階において、ナノ繊維構造の導電材は、平均直径が0.001〜100μm範囲であれば、特に制限されず、その種類としては、例えば、炭素繊維等の炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属繊維等の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;及びこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0042】
本発明による電極混合物を製造する段階において、溶媒は、電極混合物を製造するのに適切な溶媒であれば、特に制限されず、例えば、蒸留水、水、アルコール、例えばエタノール、プロパノールまたはブタノール、N−メチルピロリドン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
本発明による電極混合物を製造する段階において、分散剤は、電極混合物100重量部を基準として0.1〜10重量部または0.5〜5重量部を含むことができ、その種類としては、電極混合物を効果的に分散できる物質であれば、特に制限されず、例えば、ソジウムドデシルスルホネート(SDS)、ソジウムドデシルベンゼンスルホネート(SDBS)、セトリミド(CTAB)などの界面活性剤;ポリベンジミダゾール(PBI)、及びポリビニルピロリドン(PVP)などの高分子系分散剤よりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0044】
本発明による電極混合物を製造する段階において、活物質とナノ繊維構造の導電剤の混合比率は、50:50〜60:40または99:1〜70:30または90:10〜80:20であることができる。
【0045】
本発明による電気化学素子の製造方法において、前記電極と結合された構造の分離膜を形成する段階は、具体的に、セルロースナノ繊維を分散させた溶液を製造した後、その溶液を濾過して分離膜を製造する段階を含むことができる。この際、セルロースナノ繊維を分散させた溶液に無機粒子を添加する段階をさらに含むことができる。
【0046】
また、電極と結合された構造の分離膜を形成する段階は、本発明による電極混合物を前記分離膜の上に濾過して得たシートを乾燥する段階を含むことができる。前記無機粒子は、特に制限されず、例えば、SiO、Al、TiO、BaTiO、LiO、LiF、LiOH、LiN、BaO、NaO、LiCO、CaCO、LiAlO、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO及びSiCよりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0047】
また、電極と結合された構造の分離膜を形成する段階で、セルロースナノ繊維は、平均直径が10〜1000nmであれば、特に制限されず、例えば、ナノサイズの木質材料から分離されたセルロースナノ繊維、海藻類ナノ繊維、菌を培養して得たバクテリアセルロースよりなる群から選択される1種以上を含むことができ、前記ナノ繊維の誘導体及び混合物から選択される1種以上を含むことができる。
【0048】
本発明による製造方法で製造された電気化学素子は、順次な濾過工程で通じて別途のバインダーを必要としないため、製造費用が減少する利点がある。また、電極及び分離膜が重畳されて物理的に結合されるため、電極−分離膜結合体の界面が非常に安定し、優れた機械的物性の確保が可能であるという利点がある。したがって、前記電極−分離膜結合体を適用した電気化学素子は、多様な外力による形態変形にも安定的な電池性能を具現し、電池の形態変形から誘発され得る電池発火及び爆発などの危険を防止する。
【実施例】
【0049】
以下、前記記述した内容に基づいて、実施例と図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。下記実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の権利範囲を限定しようとするものではない。
【0050】
実施例
(1)電極混合物の製造
陽極活物質としては、平均粒径500nmサイズのLiFePO、陰極活物質としては、平均粒径300nmサイズのLiTi12、ナノ繊維形態の導電材としては、炭素ナノ繊維を使用した。炭素ナノ繊維の均一な分散のための分散剤として、SDBS(sodium dodecylbenzene sulfonate)を使用した。まず、蒸留水に1重量%の分散剤を添加した溶液を製造し、陽極または陰極活物質とカーボンナノチューブを85:15重量比で前記溶液に添加し、電極(陽極または陰極)混合物を製造した。均一な分散効果のために、前記電極混合物を1時間超音波処理を通じて分散し、電極混合物を製造した。
【0051】
(2)分離膜の製造
セルロース粉末(平均粒径〜45μm、KC flock、Nippon Paper Chemials)を2重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に入れ、1時間強く撹拌させた後、ホモジナイザー(M−1100EH−30、Microfluidics、USA)を12回通過させて、セルロースナノ繊維分散溶液を製造した。製造されたセルロースナノ繊維分散溶液を磁器製ブフナー漏斗(porcelain Buchner funnel)上に載置した濾紙の上に注いだ後、真空ポンプで減圧濾過し、分離膜を製造した。
【0052】
(3)電極−分離膜結合体の製造
製造した分離膜の上に、前記(1)で製造された電極混合物を注いだ後、減圧濾過し、エタノールとアセトンで交互に減圧濾過した後、−95℃、5X10−3torr条件で凍結乾燥した後、100℃で12時間乾燥し、水分を除去し、分離膜−電極合体を製造した。
【0053】
図1に、本発明の実施例による電極−分離膜結合体の模式図を示した。図1を参照すれば、活物質10と炭素ナノ繊維20が混合された電極混合物がセルロースナノ繊維分離膜30と結合された構造が示されている。
【0054】
図2は、本発明の実施例による陽極−分離膜結合体の断面及び陰極−分離膜結合体の断面に対するSEM写真である。図2を参照すると、本発明による電極−分離膜結合体の電極層の高さは、約30〜40μmで形成され、分離膜層の高さは、約20μmで形成されることが分かる。
【0055】
図3は、本発明の実施例による陽極−分離膜結合体及び陰極−分離膜結合体の電極表面SEM写真である。図3を参照すると、活物質と炭素ナノ繊維が均一によく分散している様子を確認できる。
【0056】
(4)リチウム二次電池の製造
前記(1)〜(3)を通じて製造された分離膜−陽極結合体及び分離膜−陰極結合体を重ね、液体電解液(1M LiPF in EC/DEC(1/1v/v))を注入し、電極と結合されたセルロースナノ繊維分離膜を含むリチウム二次電池を製造した。
【0057】
比較例
(1)電極混合物の製造
陽極活物質としては、平均粒径500nmサイズのLiFePO、陰極活物質としては、平均粒径300nmサイズのLiTi12、導電材としては、カーボンブラックを使用した。バインダーとしては、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride、PVDF)を、溶剤であるN−メチル−2ピロリドン(NMP)に添加し、電極スラリーを製造した。この際、陽極及び陰極スラリーの固形分の組成は、重量比で陽極活物質:導電材:バインダー=80:10:10、陰極活物質:導電材:バインダー=88:2:10にした。前記電極スラリーを、厚さが20μmのアルミニウム集電体に塗布及び乾燥し、陽極を製造した後、ロ−ルプレス(roll press)を実施し、電極を製造した。
【0058】
(2)リチウム二次電池の製造
前記のように製造された陽極、陰極、ポリオレフィン系分離膜であるポリエチレン分離膜及び液体電解液(1M LiPF in EC/DEC(1/1v/v))を利用してリチウム二次電池を製造した。
【0059】
実験例1:界面安定性評価
本発明による電極−分離膜結合体の界面安定性、柔軟性、気孔度及び電子伝導度を評価するための実験を行った。
【0060】
前記実施例から製造された電極−分離膜結合体及び比較例を対象としてテーピングテストを実施した。ここで使用されたテープは、幅が25mmであり、43±6g/mmの接着力を有する3M社のスコッチテープ(Scotch brand #600)を使用し、前記テープを電極分離膜結合体に付着した後、引き離す速度は、0.5cm/secであった。その結果は、図4に示し、図4を参照すると、実施例Aの場合、分離が起きなかったが、比較例Bの場合電極と分離膜の分離が起きたことを確認できた。
【0061】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体は、濾過工程を用いた物理的結合により界面が非常に安定的に結合されていることを確認した。
【0062】
実験例2:柔軟性評価
本発明による電極−分離膜結合体の柔軟性を評価するために、前記実施例を対象として多様な実験を行い、その結果は、図5に示した。図5を参照すると、本発明による電極−分離膜結合体は、結び目を作ることができるほどに優れた水準の柔軟性を示し、液体電解液(1M LiPF in EC/DEC(1/1v/v))に浸された状態でも、繰り返し的が曲げが可能な水準の柔軟性を示すことを確認した。
【0063】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体は、別途のバインダーまたは集電体を使用することなく、優れた機械的物性及び柔軟性を確保できることを確認した。
【0064】
実験例3:耐熱性評価
本発明による電極−分離膜結合体の耐熱性を評価するための実験を行った。
まず、実施例及び比較例により製造された電池にそれぞれ充電状態でランプを連結し、30分間150℃の温度に露出させた。その結果は、図6に写真で示した。図6を参照すれば、本発明による実施例Aは、ランプがオフされずに作動をしたが、比較例Bは作動しなかった。
【0065】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体は、耐熱性に優れたセルロースナノ繊維分離膜を含むことによって、高温に露出しても、寸法安定性に優れていることが分かった。
【0066】
実験例4:気孔度及び電子伝導度評価
本発明による電極−分離膜結合体の気孔度及び電子伝導度を評価するための実験を行った。
まず、ブタノール(n−butanol)に含浸前後の重さ変化を測定し、実施例及び比較例の気孔度を測定した。また、実施例及び比較例の電子伝導度は、四探針法(4−point probe)を利用して測定した。
【0067】
結果は、図9及び図10に示した。図9は、実施例及び比較例の気孔度を評価したグラフであり、A1は、実施例の陽極、A2は、実施例の陰極、B1は、比較例の陽極、B2は、比較例の分離膜、B3は、比較例の陰極である。
【0068】
図10は、実施例及び比較例の電子伝導度を評価したグラフであり、A1は、実施例の陽極、A2は、実施例の陰極、B1は、比較例の陽極、B3は、比較例の陰極である。
【0069】
図9及び図10の結果を参照すると、実施例の気孔度は、65%以上と高く現われるが、比較例の気孔度は、50%未満と少なく現れることが分かり、電子伝導度でも、実施例が比較例に比べて顕著に高いことが分かった。
【0070】
実験例5:曲げによる充放電特性評価
前記実施例及び比較例により製造された電池の繰り返し的な曲げによる電池の充放電特性を評価するための実験を行った。
【0071】
1Cの充電及び放電条件の下で電池作動中に3分ごとに曲律半径2.5mmで電池を曲げたときの電圧及び曲げなかったときの電圧を観察した。その結果、図11に示されたように、分離膜−電極結合体は、先立って確認した優れた機械的物性及び電極と分離膜の界面安定性に起因して比較例に比べて安定的な充放電挙動を示すことを確認した。
【0072】
図11を参照すれば、bは、電池を曲げた地点を示し、Iは、充電時に実施例の電圧、IIは、充電時に比較例の電圧、IIIは、放電時に実施例の電圧、IVは、放電時に比較例の電圧を示す。実施例であるII及びIIIは、充放電時に電池を曲げたとき、電圧の差が0.02未満と非常に小さく現われたが、比較例であるI及びIVの場合、電池を曲げたとき、充電時には0.04程度、放電時には0.09程度と電圧の差が大きく現われることが分かる。
【0073】
したがって、本発明による電気化学素子は、電極−分離膜の界面安定性及び優れた機械的物性に起因して電池に物理的変形を加えても、安定的な充放電挙動が可能であることを確認した。
【0074】
実験例6:サイクル特性評価
前記実施例及び比較例から製造された電池のサイクル特性を評価するための実験を行った。
電池サイクル特性は、200サイクルまで2.0Cの電流速度で充電及び放電を進行し、以後、10Cの充電及び放電電流速度で300サイクルを進行した。
【0075】
結果は、図12に示し、Aは、実施例、Bは、比較例である。図12を参照すると、本発明の実施例は、電極と分離膜の界面安定性に優れ、また、別途のバインダーが使用されないため、イオン伝導度及び電子伝導度の向上により、サイクル特性が比較例に比べて顕著に優れていることを確認できた。
【0076】
図13は、実施例により製造された電極分離膜結合体のサイクル特定後、電極表面SEM写真である。図13を参照すれば、本発明による電極−分離膜結合体は、サイクル測定後にも元々の構造を維持することが分かる。
【0077】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体を適用した電気化学素子は、バインダー及び電極集電体を使用しないことによって、サイクル特性及び機械的物性に優れていることを確認した。
【0078】
実験例7:電池の率別充放電特性評価
前記実施例及び比較例から製造された電池の率別充放電特性を評価するための実験を行った。
まず、率別充電特性は、0.5〜20Cの電流速度で充電した後、0.5Cの電流速度で放電し、電池の放電容量を評価し、率別放電特性は、0.5Cの一定の充電電流の下で、0.5〜50Cの電流速度で放電し、電池の放電容量を評価した。結果は、図14に示した。図14で、CRは、充電時の率別特性であり、DRは、放電時の率別特性である。図14より、実施例の率別放電及び充電特性が比較例に比べて顕著に優れていることが分かった。
【0079】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体を適用した電池は、電極と分離膜の界面安定性に優れ、また、別途のバインダーを使用しないため、イオン伝導度及び電子伝導度の向上により、率別放電及び充電特性が比較例に比べて顕著に優れていることを確認できた。
【0080】
実験例8:高温露出による寸法安定性評価
前記実施例及び比較例の高温露出前後による外観及び寸法安定性を評価するための実験を行った。
【0081】
実施例及び比較例の電池にランプを連結した後、30分間150℃の高温に放置した。その結果は、図15に示した。図15で、AI及びAIIは、高温露出前及び高温露出後の実施例であり、BI及びBIIは、高温露出前及び高温露出後の比較例である。図15を参照すると、比較例に適用されたポリオレフィン系分離膜の場合、高温で極甚な熱収縮現象が起きたが、実施例に適用された電極−分離膜結合体の場合、高温露出前及び後においていずれも寸法安定性に優れていることを確認できる。
【0082】
図16は、本発明による電極分離膜−結合体の陽極及び陰極の高温露出前後の寸法安定性を評価した写真である。図16で、Iは、高温露出前を示し、IIは、高温露出後を示す。図16を参照すると、高温による熱収縮現象がほとんど起きないことを確認できる。
【0083】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体を適用した電気化学素子は、耐熱性に優れたセルロースナノ繊維を含むことによって、高温でも優れた寸法安定性を具現できることを確認した。
【0084】
前記実験より、本発明による電極−分離膜結合体を適用した電気化学素子は、優れた柔軟性、高容量、高出力特性及び高安定性を同時に具現可能であることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明による電気化学素子は、分離膜及び電極が物理的に結合されていて、界面が非常に安定し、優れた機械的物性の確保が可能であり、多様な外力による形態変形にも安定的な電池性能を具現でき、電池の形態変形から誘発され得る電池発火及び爆発などの危険を抑制させることができる太陽電池、ディスプレイ、携帯用電子機器、電子ペーパー及び紙バッテリーなどの多様な分野において有用に使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16