【実施例】
【0049】
以下、前記記述した内容に基づいて、実施例と図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。下記実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の権利範囲を限定しようとするものではない。
【0050】
実施例
(1)電極混合物の製造
陽極活物質としては、平均粒径500nmサイズのLiFePO
4、陰極活物質としては、平均粒径300nmサイズのLi
4Ti
5O
12、ナノ繊維形態の導電材としては、炭素ナノ繊維を使用した。炭素ナノ繊維の均一な分散のための分散剤として、SDBS(sodium dodecylbenzene sulfonate)を使用した。まず、蒸留水に1重量%の分散剤を添加した溶液を製造し、陽極または陰極活物質とカーボンナノチューブを85:15重量比で前記溶液に添加し、電極(陽極または陰極)混合物を製造した。均一な分散効果のために、前記電極混合物を1時間超音波処理を通じて分散し、電極混合物を製造した。
【0051】
(2)分離膜の製造
セルロース粉末(平均粒径〜45μm、KC flock、Nippon Paper Chemials)を2重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に入れ、1時間強く撹拌させた後、ホモジナイザー(M−1100EH−30、Microfluidics、USA)を12回通過させて、セルロースナノ繊維分散溶液を製造した。製造されたセルロースナノ繊維分散溶液を磁器製ブフナー漏斗(porcelain Buchner funnel)上に載置した濾紙の上に注いだ後、真空ポンプで減圧濾過し、分離膜を製造した。
【0052】
(3)電極−分離膜結合体の製造
製造した分離膜の上に、前記(1)で製造された電極混合物を注いだ後、減圧濾過し、エタノールとアセトンで交互に減圧濾過した後、−95℃、5X10
−3torr条件で凍結乾燥した後、100℃で12時間乾燥し、水分を除去し、分離膜−電極合体を製造した。
【0053】
図1に、本発明の実施例による電極−分離膜結合体の模式図を示した。
図1を参照すれば、活物質10と炭素ナノ繊維20が混合された電極混合物がセルロースナノ繊維分離膜30と結合された構造が示されている。
【0054】
図2は、本発明の実施例による陽極−分離膜結合体の断面及び陰極−分離膜結合体の断面に対するSEM写真である。
図2を参照すると、本発明による電極−分離膜結合体の電極層の高さは、約30〜40μmで形成され、分離膜層の高さは、約20μmで形成されることが分かる。
【0055】
図3は、本発明の実施例による陽極−分離膜結合体及び陰極−分離膜結合体の電極表面SEM写真である。
図3を参照すると、活物質と炭素ナノ繊維が均一によく分散している様子を確認できる。
【0056】
(4)リチウム二次電池の製造
前記(1)〜(3)を通じて製造された分離膜−陽極結合体及び分離膜−陰極結合体を重ね、液体電解液(1M LiPF
6 in EC/DEC(1/1v/v))を注入し、電極と結合されたセルロースナノ繊維分離膜を含むリチウム二次電池を製造した。
【0057】
比較例
(1)電極混合物の製造
陽極活物質としては、平均粒径500nmサイズのLiFePO
4、陰極活物質としては、平均粒径300nmサイズのLi
4Ti
5O
12、導電材としては、カーボンブラックを使用した。バインダーとしては、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride、PVDF)を、溶剤であるN−メチル−2ピロリドン(NMP)に添加し、電極スラリーを製造した。この際、陽極及び陰極スラリーの固形分の組成は、重量比で陽極活物質:導電材:バインダー=80:10:10、陰極活物質:導電材:バインダー=88:2:10にした。前記電極スラリーを、厚さが20μmのアルミニウム集電体に塗布及び乾燥し、陽極を製造した後、ロ−ルプレス(roll press)を実施し、電極を製造した。
【0058】
(2)リチウム二次電池の製造
前記のように製造された陽極、陰極、ポリオレフィン系分離膜であるポリエチレン分離膜及び液体電解液(1M LiPF
6 in EC/DEC(1/1v/v))を利用してリチウム二次電池を製造した。
【0059】
実験例1:界面安定性評価
本発明による電極−分離膜結合体の界面安定性、柔軟性、気孔度及び電子伝導度を評価するための実験を行った。
【0060】
前記実施例から製造された電極−分離膜結合体及び比較例を対象としてテーピングテストを実施した。ここで使用されたテープは、幅が25mmであり、43±6g/mmの接着力を有する3M社のスコッチテープ(Scotch brand #600)を使用し、前記テープを電極分離膜結合体に付着した後、引き離す速度は、0.5cm/secであった。その結果は、
図4に示し、
図4を参照すると、実施例Aの場合、分離が起きなかったが、比較例Bの場合電極と分離膜の分離が起きたことを確認できた。
【0061】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体は、濾過工程を用いた物理的結合により界面が非常に安定的に結合されていることを確認した。
【0062】
実験例2:柔軟性評価
本発明による電極−分離膜結合体の柔軟性を評価するために、前記実施例を対象として多様な実験を行い、その結果は、
図5に示した。
図5を参照すると、本発明による電極−分離膜結合体は、結び目を作ることができるほどに優れた水準の柔軟性を示し、液体電解液(1M LiPF
6 in EC/DEC(1/1v/v))に浸された状態でも、繰り返し的が曲げが可能な水準の柔軟性を示すことを確認した。
【0063】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体は、別途のバインダーまたは集電体を使用することなく、優れた機械的物性及び柔軟性を確保できることを確認した。
【0064】
実験例3:耐熱性評価
本発明による電極−分離膜結合体の耐熱性を評価するための実験を行った。
まず、実施例及び比較例により製造された電池にそれぞれ充電状態でランプを連結し、30分間150℃の温度に露出させた。その結果は、
図6に写真で示した。
図6を参照すれば、本発明による実施例Aは、ランプがオフされずに作動をしたが、比較例Bは作動しなかった。
【0065】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体は、耐熱性に優れたセルロースナノ繊維分離膜を含むことによって、高温に露出しても、寸法安定性に優れていることが分かった。
【0066】
実験例4:気孔度及び電子伝導度評価
本発明による電極−分離膜結合体の気孔度及び電子伝導度を評価するための実験を行った。
まず、ブタノール(n−butanol)に含浸前後の重さ変化を測定し、実施例及び比較例の気孔度を測定した。また、実施例及び比較例の電子伝導度は、四探針法(4−point probe)を利用して測定した。
【0067】
結果は、
図9及び
図10に示した。
図9は、実施例及び比較例の気孔度を評価したグラフであり、A1は、実施例の陽極、A2は、実施例の陰極、B1は、比較例の陽極、B2は、比較例の分離膜、B3は、比較例の陰極である。
【0068】
図10は、実施例及び比較例の電子伝導度を評価したグラフであり、A1は、実施例の陽極、A2は、実施例の陰極、B1は、比較例の陽極、B3は、比較例の陰極である。
【0069】
図9及び
図10の結果を参照すると、実施例の気孔度は、65%以上と高く現われるが、比較例の気孔度は、50%未満と少なく現れることが分かり、電子伝導度でも、実施例が比較例に比べて顕著に高いことが分かった。
【0070】
実験例5:曲げによる充放電特性評価
前記実施例及び比較例により製造された電池の繰り返し的な曲げによる電池の充放電特性を評価するための実験を行った。
【0071】
1Cの充電及び放電条件の下で電池作動中に3分ごとに曲律半径2.5mmで電池を曲げたときの電圧及び曲げなかったときの電圧を観察した。その結果、
図11に示されたように、分離膜−電極結合体は、先立って確認した優れた機械的物性及び電極と分離膜の界面安定性に起因して比較例に比べて安定的な充放電挙動を示すことを確認した。
【0072】
図11を参照すれば、bは、電池を曲げた地点を示し、Iは、充電時に実施例の電圧、IIは、充電時に比較例の電圧、IIIは、放電時に実施例の電圧、IVは、放電時に比較例の電圧を示す。実施例であるII及びIIIは、充放電時に電池を曲げたとき、電圧の差が0.02未満と非常に小さく現われたが、比較例であるI及びIVの場合、電池を曲げたとき、充電時には0.04程度、放電時には0.09程度と電圧の差が大きく現われることが分かる。
【0073】
したがって、本発明による電気化学素子は、電極−分離膜の界面安定性及び優れた機械的物性に起因して電池に物理的変形を加えても、安定的な充放電挙動が可能であることを確認した。
【0074】
実験例6:サイクル特性評価
前記実施例及び比較例から製造された電池のサイクル特性を評価するための実験を行った。
電池サイクル特性は、200サイクルまで2.0Cの電流速度で充電及び放電を進行し、以後、10Cの充電及び放電電流速度で300サイクルを進行した。
【0075】
結果は、
図12に示し、Aは、実施例、Bは、比較例である。
図12を参照すると、本発明の実施例は、電極と分離膜の界面安定性に優れ、また、別途のバインダーが使用されないため、イオン伝導度及び電子伝導度の向上により、サイクル特性が比較例に比べて顕著に優れていることを確認できた。
【0076】
図13は、実施例により製造された電極分離膜結合体のサイクル特定後、電極表面SEM写真である。
図13を参照すれば、本発明による電極−分離膜結合体は、サイクル測定後にも元々の構造を維持することが分かる。
【0077】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体を適用した電気化学素子は、バインダー及び電極集電体を使用しないことによって、サイクル特性及び機械的物性に優れていることを確認した。
【0078】
実験例7:電池の率別充放電特性評価
前記実施例及び比較例から製造された電池の率別充放電特性を評価するための実験を行った。
まず、率別充電特性は、0.5〜20Cの電流速度で充電した後、0.5Cの電流速度で放電し、電池の放電容量を評価し、率別放電特性は、0.5Cの一定の充電電流の下で、0.5〜50Cの電流速度で放電し、電池の放電容量を評価した。結果は、
図14に示した。
図14で、CRは、充電時の率別特性であり、DRは、放電時の率別特性である。
図14より、実施例の率別放電及び充電特性が比較例に比べて顕著に優れていることが分かった。
【0079】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体を適用した電池は、電極と分離膜の界面安定性に優れ、また、別途のバインダーを使用しないため、イオン伝導度及び電子伝導度の向上により、率別放電及び充電特性が比較例に比べて顕著に優れていることを確認できた。
【0080】
実験例8:高温露出による寸法安定性評価
前記実施例及び比較例の高温露出前後による外観及び寸法安定性を評価するための実験を行った。
【0081】
実施例及び比較例の電池にランプを連結した後、30分間150℃の高温に放置した。その結果は、
図15に示した。
図15で、AI及びAIIは、高温露出前及び高温露出後の実施例であり、BI及びBIIは、高温露出前及び高温露出後の比較例である。
図15を参照すると、比較例に適用されたポリオレフィン系分離膜の場合、高温で極甚な熱収縮現象が起きたが、実施例に適用された電極−分離膜結合体の場合、高温露出前及び後においていずれも寸法安定性に優れていることを確認できる。
【0082】
図16は、本発明による電極分離膜−結合体の陽極及び陰極の高温露出前後の寸法安定性を評価した写真である。
図16で、Iは、高温露出前を示し、IIは、高温露出後を示す。
図16を参照すると、高温による熱収縮現象がほとんど起きないことを確認できる。
【0083】
したがって、本発明による電極−分離膜結合体を適用した電気化学素子は、耐熱性に優れたセルロースナノ繊維を含むことによって、高温でも優れた寸法安定性を具現できることを確認した。
【0084】
前記実験より、本発明による電極−分離膜結合体を適用した電気化学素子は、優れた柔軟性、高容量、高出力特性及び高安定性を同時に具現可能であることを確認できた。