【文献】
The Journal of Physical Chemistry Letters,米国,2015年 8月 4日,Vol.6,p.3209-3212
【文献】
Chemistry of Materials,米国,2014年 1月21日,Vol.26,p.1485-1491
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】本開示の一部の実施形態によるDSSCの様々な層を描くDSSC設計の例示である。
【
図2】本開示の一部の実施形態によるDSSCの様々な層を描くDSSC設計の別の例示である。
【
図3】本開示の一部の実施形態によるBHJデバイス設計の例示的な例である。
【
図4】本開示の一部の実施形態による活性層を含む典型的な光起電力セルの概略図である。
【
図5】本開示の一部の実施形態による典型的な固体DSSCデバイスの概略図である。
【
図6】本開示の一部の実施形態によるPVデバイスの例の構成要素を例示する定型図を描いたものである。
【
図7】本開示の一部の実施形態によるPVデバイス例の構成要素を示す定型図である。
【
図8】本開示の一部の実施形態によるPVデバイスの例を示す定型図である。
【
図9】本開示の一部の実施形態によるPVデバイス例の構成要素を示す定型図である。
【
図10】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図11】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図12】水あり(上側)および水なし(下側)で作製されたペロブスカイトPVを比較する、断面からの走査電子顕微鏡画像を示す。
【
図13】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図14】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図15】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図16】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図17】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図18】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図19】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図20】一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。
【
図21】本開示の一部の実施形態によるヨウ化鉛(II)についてのx線回折パターンである。
【
図22】本開示の一部の実施形態による立方晶系ホルムアミジニウムヨウ化鉛ペロブスカイト材料についてのシミュレーションされたx線回折パターンである。
【
図23】本開示の一部の実施形態によるホルムアミジニウムヨウ化鉛ペロブスカイト材料についてのx線回折パターンである。
【
図24】本開示の一部の実施形態による立方晶系ホルムアミジニウムヨウ化鉛ペロブスカイト材料の結晶構造の例示である。
【
図25】本開示の一部の実施形態による鉛についてのx線回折パターンである。
【0004】
好ましい実施形態の詳細な説明
有機、非有機、および/またはハイブリッドPVに適合するPV技術の様々な実施形態における改善は、有機PVおよび他のPVの両方の費用をさらに低くすることを約束する。例えば、一部の太陽電池、例えば、固体色素増感太陽電池などは、新規の費用対効果のある高安定性代替構成要素、例えば、固体電荷輸送材料(または、口語的には、「固体電解質」)などを利用してもよい。さらに、様々な種類の太陽電池が、とりわけ、現在存在している従来の選択肢よりも費用対効果および耐久性があり得る界面材料および他の材料を有利には含んでもよい。
【0005】
本開示は概して、太陽放射から電気エネルギーを生成させる際の光起電力セルにおける、物質の組成物、装置、および材料の使用方法に関する。より具体的には、本開示は、物質の光活性組成物および他の組成物、ならびに装置、使用方法、および物質のかかる組成物の形成に関する。
【0006】
これらの物質の組成物の例には、例えば、ホール輸送材料、および/または例えば、界面層(IFLs)、色素、および/またはPVデバイスの他の要素などとしての使用に適切であり得る材料が含まれてもよい。このような化合物は、様々なPVデバイス、例えば、ヘテロ接合セル(例えば、二層およびバルクなど)、ハイブリッドセル(例えば、CH
3NH
3PbI
3、ZnOナノロッドまたはPbS量子ドットを有する有機物など)、およびDSSC(色素増感太陽電池など)に展開されてもよい。後者であるDSSCは、3つの形態、すなわち、溶媒ベース電解質、イオン液体電解質、および固体ホール輸送体(または固体DSSC、すなわち、SS−DSSC)の形態で存在する。一部の実施形態によるSS−DSSC構造は、電解質を実質的に含まず、むしろ例えば、スピロ−OMeTAD、CsSnI
3、および他の活物質などのホール輸送材料を含んでもよい。
【0007】
本開示の一部の実施形態に従う材料の一部またはすべてはまた、あらゆる有機または他の電子デバイスで有利に使用されてもよく、一部の例には、これに限定されないが、バッテリ、電界効果トランジスタ(FET)、発光ダイオード(LED)、非線形光学デバイス、メモリスタ、キャパシタ、整流器、および/または整流アンテナが含まれる。
【0008】
一部の実施形態において、本開示は、PVおよび他の同様のデバイス(例えば、バッテリ、ハイブリッドPVバッテリ、マルチ接合PV、FET、LEDなど)を提供し得る。このようなデバイスには、一部の実施形態において、改良活物質、界面層、および/または1種若しくは複数のペロブスカイト材料が含まれてもよい。ペロブスカイト材料は、様々なPVまたは他のデバイスの1つまたはそれより多い側面(aspect)に組み込まれてもよい。一部の実施形態によるペロブスカイト材料は、一般式CMX
3のものであってもよく、ここで、Cは、1種またはそれより多いカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオン若しくはカチオン様化合物)を含み;Mは、1種またはそれより多い金属(例には、Fe、Co、Ni、Cu、Sn、Pb、Bi、Ge、Ti、およびZrが含まれる)を含み;Xは、1種またはそれより多いアニオンを含む。様々な実施形態によるペロブスカイト材料は、以下でより詳細に検討される。
【0009】
光起電力セルおよび他の電子デバイス
一部のPV実施形態が、
図1、
図3、
図4、および
図5に示されるとおりの太陽電池の様々な例示的描写を参照することによって説明されてもよい。例えば、一部の実施形態によるPVアーキテクチャの例は、実質的に基板−アノード−IFL−活性層−IPL−カソードの形態のものであってもよい。一部の実施形態の活性層は、光活性であってもよく、および/またはそれは、光活性材料を含んでもよい。他の層および材料は、当該技術分野で知られているようにセルで用いられてもよい。さらに、用語「活性層」の使用は、あらゆる他の層の特性を、いかなる意味においても、明示的または非明示的に、限定しまたはそうでなければ定義するように意味されず、例えば、一部の実施形態において、IFLのいずれかまたは両方が、それらが半導体性であり得る限り、やはり活性であってもよいことが留意されるべきである。特に、
図4を参照すると、定型化された一般的PVセル2610が描かれ、PV内の一部の層の高度に界面的な性質を例示する。PV2610は、例えば、ペロブスカイト材料 PV実施形態などの、いくつかのPVデバイスに適用可能な一般的アーキテクチャを表す。
【0010】
PVセル2610は、太陽放射線2614が層を通って伝播することを可能にするガラス(または太陽放射線に対して同様に透明である材料)の透明層2612を含む。一部の実施形態の透明層はまた、(例えば、
図1の基板層1507と同様に)基板と称されてもよく、種々の剛性または可撓性材料、例えば、ガラス、ポリエチレン、PET、カプトン、石英、アルミ箔、金箔、または鋼などのいずれか1種またはそれより多いものを含んでもよい。光活性層2616は、電子ドナーまたはp型材料2618、および/または電子アクセプターまたはn型材料2620、および/またはpおよびn材料特性の両方を示す二極性半導体から構成される。活性層または、
図4に示されるように、光活性層2616は、2つの導電性電極層2622と2624の間に挟まれている。
図4において、電極層2622は、スズドープインジウム酸化物(ITO材料)である。前に述べたとおり、一部の実施形態の活性層は、
図4に示されるデバイス中にはあるが、必ずしも光活性である必要はない。電極層2624は、アルミニウム材料である。当該技術分野で知られているとおり、他の材料が使用されてもよい。セル2610は、ZnO材料として
図4の例において示される界面層(IFL)2626も含む。IFLは、電荷分離を補助し得る。一部の実施形態において、IFL2626は、自己組織化単分子層(SAM)としてまたは薄膜として、本開示による有機化合物を含んでもよい。他の実施形態において、IFL2626は、以下でより詳細に検討される複数層のIFLを含んでもよい。電極2624に隣接するIFL2627がまた存在してもよい。一部の実施形態において、電極2624に隣接するIFL2627は、自己組織化単分子層(SAM)としてまたは薄膜として、本開示による有機化合物を、また含んでもよく、または代わりに含んでもよい。他の実施形態において、電極2624に隣接するIFL2627は、複数層のIFL(この場合もやはり、以下でより詳細に検討される)をまた含んでもよく、または代わりに含んでもよい。一部の実施形態によるIFLは、半導体性の特性を有してもよく、およびp型またはn型のいずれであってもよく、または誘電特性を有してもよい。一部の実施形態において、デバイスのカソード側上のIFL(例えば、
図4に示されるとおりのIFL2627)は、p型であってもよく、デバイスのアノード側上のIFL(例えば、
図4に示されるとおりのIFL2626)は、n型であってもよい。しかしながら、他の実施形態において、カソード側IFLはn型であってもよく、アノード側IFLはp型であってもよい。セル2610は、リード2630および放電ユニット2632、例えば、バッテリなどに結合している。
【0011】
なおさらなる実施形態を、
図3を参照することにより説明することができ、これは、定型BHJデバイス設計を描き、ガラス基板2401;ITO(スズドープインジウム酸化物)電極2402;界面層(IFL)2403;光活性層2404;およびLiF/Alカソード2405を含む。言及されるBHJ構築の材料は、単なる例であり;当該技術分野で知られるあらゆる他のBHJ構築が、本開示と合致して使用されてもよい。一部の実施形態において、光活性層2404は、
図4のデバイスの活性または光活性層2616が含み得る、いずれか1種またはそれより多い材料を含んでもよい。
【0012】
図1は、このようなPV例のアセンブリを例示するためにここで言及される、一部の実施形態によるDSSC PVの簡易化された例示である。
図1で示されるとおりのDSSC例は、以下に従って構築されてもよい:電極層1506(フッ素ドープ酸化スズ、FTOとして示す)を基板層1507(ガラスとして示す)上に堆積させる。メソポーラス層ML1505(一部の実施形態ではTiO
2であってもよい)を電極層1506上に堆積させ、次いで、光電極(これまで基板層1507、電極層1506、およびメソポーラス層1505を含むもの)を溶媒(図示せず)および色素1504に浸漬する。これにより、MLの表面に結合した色素1504が残される。基板層1501(やはりガラスとして示す)および電極層1502(Pt/FTOとして示す)を含む別個の対電極を作製する。光電極および対電極を組み合わせ、
図1に示すとおりに2つの基板層1501と基板層1507の間に種々の層1502〜1506を挟み、電極層1502および電極層1506を、それぞれ、カソードおよびアノードとして用いることが可能となる。
【0013】
電解質1503の層は、色素層1504の後に完成された光電極上に直接か、またはデバイスの開口部、典型的には対電極基板1501におけるサンドブラストによって事前に開けた穴を通してかのいずれかで堆積させる。セルをまた、リードおよび放電ユニット、例えば、バッテリ(図示せず)などに結合してもよい。基板層1507および電極層1506、ならびに/または基板層1501および電極1502は、光活性色素1504まで太陽放射線が通過することを可能にするのに十分な透明性を有するものでなければならない。一部の実施形態において、対電極および/または光電極は剛性であってもよい一方で、他のものでは、いずれかまたは両方が可撓性であってもよい。様々な実施形態の基板層は、ガラス、ポリエチレン、PET、カプトン、石英、アルミ箔、金箔、および鋼の1種またはそれより多いものを含んでもよい。ある特定の実施形態において、DSSCは、
図2に示すように、デバイスの光活性層を通る光路長を増加させる(それにより、光が光活性層で吸収される可能性を増加させる)ために、入射光を散乱させる集光層1601をさらに含んでもよい。
【0014】
他の実施形態において、本開示は、固体DSSCを提供する。一部の実施形態による固体DSSCは、液体電解質を含むDSSCに影響を与え得る漏出および/または腐食の問題がないことなどの利点を提供し得る。さらに、固体電荷キャリアは、より速いデバイス物理特性(例えば、より速い電荷輸送など)を提供し得る。その上、固体電解質は、一部の実施形態において、光活性であり、したがって、固体DSSCデバイスに由来する電力に寄与し得る。
【0015】
固体DSSCの一部の例は、
図5を参照することにより説明することができ、これは典型的な固体DSSCの定型略図である。例えば、
図4で描かれた太陽電池の例により、第1および第2の活性(例えば、導電性および/または半導体性)材料(それぞれ、2810および2815)からなる活性層は、電極2805および電極2820(それぞれ、Pt/FTOおよびFTOとして
図5に示す)の間に挟まれている。
図5に示す実施形態において、第1の活性材料2810は、p型活性材料であり、固体電解質を含む。ある特定の実施形態において、第1の活性材料2810は、例えば、スピロ−OMeTADおよび/若しくはポリ(3−ヘキシルチオフェン)などの有機材料、無機二元、三元、四元、若しくはそれを超える複合体、あらゆる固体半導体材料、またはそれらのあらゆる組合せを含んでもよい。一部の実施形態において、第1の活性材料は、酸化物および/または硫化物、および/またはセレン化物、および/またはヨウ化物(例えば、CsSnI
3)を、さらにまたは代わりに含んでもよい。したがって、例えば、一部の実施形態の第1の活性材料は、固体p型材料を含んでもよく、これは、硫化銅インジウムを含んでもよく、一部の実施形態において、それは、セレン化銅インジウムガリウムを含んでもよい。
【0016】
図5に示される第2の活性材料2815は、n型活性材料であり、色素でコーティングされたTiO
2を含む。一部の実施形態において、第2の活性材料は、例えば、スピロ−OMeTADなどの有機材料、無機二元、三元、四元、若しくはそれを超える複合体、またはそれらのあらゆる組合せを同様に含んでもよい。一部の実施形態において、第2の活性材料は、例えば、アルミナなどの酸化物を含んでもよく、および/またはそれは、硫化物を含んでもよく、および/またはそれはセレン化物を含んでもよい。したがって、一部の実施形態において、第2の活性材料は、硫化銅インジウムを含んでもよく、一部の実施形態において、それは、セレン化銅インジウムガリウム金属を含んでもよい。一部の実施形態の第2の活性材料2815は、メソポーラス層を構成してもよい。さらに、活性であることに加えて、第1および第2の活性材料2810および2815のいずれかまたは両方は、光活性であってもよい。他の実施形態において(
図5に示さず)、第2の活性材料は、固体電解質を含んでもよい。さらに、第1および第2の活性材料2810および2815のいずれかが固体電解質を含む実施形態において、PVデバイスは、有効量の液体電解質を有しなくもよい。p型であると
図5に示され、言及されるが、固体層(例えば、固体電解質を含む第1の活性材料)は、一部の実施形態において代わりにn型半導体性であってもよい。このような実施形態において、次いで、色素でコーティングされた第2の活性材料(例えば、
図5に示されるとおりのTiO
2(または他のメソポーラス材料))は、p型半導体性であってもよい(
図5に示され、それに関して検討されるn型半導体性とは反対のもの)。
【0017】
基板層2801および2825(両方ともガラスとして
図5に示す)は、
図5の例のセルのそれぞれ外側の最上層および最下層を形成する。これらの層は、色素、第1および第2の活性および/または光活性材料2810および2815、例えば、ガラス、ポリエチレン、PET、カプトン、石英、アルミ箔、金箔、および/または鋼を含む活性/光活性層まで太陽放射線が通過することを可能にするのに十分な透明性を有するあらゆる材料を含んでもよい。さらに、
図5に示す実施形態において、電極2805(Pt/FTOとして示す)はカソードであり、電極2820はアノードである。
図4に描かれた太陽電池の例と同様に、太陽放射線は、基板層2825および電極2820を通って活性層中へ進入し、その際、太陽放射線の少なくとも一部は吸収されて、1つまたはそれより多い励起子を生じ、電気発生を可能にする。
【0018】
一部の実施形態による固体DSSCは、
図1で定型化されたとおりに描かれたDSSCに関して上に記載したものと実質的に同様のやり方で構築されてもよい。
図5に示す実施形態において、p型活性材料2810は、
図1の電解質1503に対応し;n型活性材料2815は、
図1の色素1504とML1505との両方に対応し;電極2805および2820は、それぞれ
図1の電極層1502および1506に対応し;基板層2801および2825は、それぞれ、基板層1501および1507に対応する。
【0019】
本開示の様々な実施形態は、とりわけ、活性材料(ホール輸送層および/または電子輸送層を含む)、界面層、およびデバイス設計全体を含めて、太陽電池および他のデバイスの様々な側面における改良された材料および/または設計を提供する。
【0020】
界面層
一部の実施形態における本開示は、薄いコーティングのIFLを含めて、PV内の1つまたはそれより多い界面層の有利な材料および設計を提供する。薄いコーティングのIFLは、本明細書で検討される様々な実施形態によるPVの1つまたはそれより多いIFLで用いられてもよい。
【0021】
様々な実施形態によれば、デバイスはいかなる界面層も含む必要はないが、デバイスは、任意にあらゆる2つの他の層および/または材料間の界面層を含んでもよい。例えば、ペロブスカイト材料デバイスは、0、1、2、3、4、5つ、またはそれを超える界面層を含んでもよい(例えば、
図7のデバイス例であり、これは、5つの界面層3903、3905、3907、3909、および3911を含む)。界面層は、2つの層または材料間に電荷輸送および/または収集の増強のためのあらゆる適切な材料を含んでもよく;それはまた、いったん電荷が界面層に隣接する材料の1つから離れて輸送されると、電荷再結合の可能性を妨げまたは減少させることを助け得る。界面層はさらに、物理的および電気的にその基板層を均質化して、様々な基板層の粗さ、誘電定数、接着性、欠陥の創出または消滅(例えば電荷捕獲、表面状態など)を創出し得る。好適な界面材料には、Al;Bi;Co;Cu;Fe;In;Mn;Mo;Ni;Pt;Si;Sn;Ta;Ti;V;W;Nb;Zn;Zr;前述の金属のいずれかの酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニアなど);前述の金属のいずれかの硫化物;前述の金属のいずれかの窒化物;官能化されたまたは非官能化されたアルキルシリル基;黒鉛;グラフェン;フラーレン;カーボンナノチューブ;本明細書の他の箇所で検討されたあらゆるメソポーラス材料および/または界面材料;ならびにそれらの組合せ(一部の実施形態において、組み合わせられた材料の二層、三層または複数層を含む)の1種またはそれより多いものが含まれてもよい。一部の実施形態において、界面層は、ペロブスカイト材料を含んでもよい。さらに、界面層は、本明細書において言及されたあらゆる界面材料のドープされた実施形態を含んでもよい(例えばYドープされたZnO、Nドープされた単層カーボンナノチューブなど)。界面層はまた、上記の材料の3種を有する化合物(例えばCuTiO
3、Zn
2SnO
4など)または上記の材料の4種を有する化合物(例えばCoNiZnOなど)を含んでもよい。
【0022】
第1に、前に述べられたとおりに、1つまたはそれより多いIFL(例えば、
図4に示すとおりのIFL2626および2627のいずれかまたは両方)は、自己組織化単分子層(SAM)としてまたは薄膜として本開示の光活性有機化合物を含んでもよい。本開示の光活性有機化合物がSAMとして塗布される場合、それは、結合基を含んでもよく、結合基を介してアノードおよびカソードのいずれかまたは両方の表面に共有結合的にまたはそれとは別に結合してもよい。一部の実施形態の結合基は、COOH、SiX
3(式中、Xは、三元ケイ素化合物、例えば、Si(OR)
3およびSiCl
3の形成に適したあらゆる部位であってもよい)、SO
3、PO
4H、OH、CH
2X(式中、Xは、第17族のハロゲン化物を含んでもよい)、およびOのいずれか1種またはそれより多いものを含んでもよい。結合基は、電子求引部位、電子供与部位、および/またはコア部位に共有結合的にまたはそれとは別に結合してもよい。結合基は、単分子(または、一部の実施形態において、複数分子)の厚さの方向付けられた組織化層(例えば、複数の光活性有機化合物がアノードおよび/またはカソードに結合している場合など)を形成するようなやり方で電極表面に結合してもよい。述べられたとおりに、SAMは、共有結合性相互作用によって結合してもよいが、一部の実施形態において、イオン性、水素結合性、および/または分散力(すなわち、ファンデルワールス)相互作用によって結合してもよい。
【0023】
さらに、ある特定の実施形態において、光曝露の際に、SAMは、双性イオン性励起状態となり、それにより、高度に分極されたIFLを生成してもよく、これは、電荷キャリアを活性層から電極(例えば、アノードまたはカソードのいずれか)中に向かわせてもよい。この強化された電荷キャリアの注入は、一部の実施形態において、活性層の断面を電子的に分極させ(poling)、これにより、それらのそれぞれの電極に向けて(例えば、ホールをアノードへ;電子をカソードへ)電荷キャリア駆動速度を増加させることによって達成されてもよい。一部の実施形態のアノード用途のための分子は、コア部位に結合した一次電子ドナー部位を含む調整可能な化合物を含んでもよく、そして次に、コア部位は電子求引部位に結合し、そして次に、電子求引部位は結合基に結合する。一部の実施形態によるカソード用途において、IFL分子は、コア部位に結合した電子不足部位を含む調整可能な化合物を含み、そして次に、コア部位は電子供与部位に結合し、そして次に、電子供与部位は結合基に結合する。光活性有機化合物がIFLとして用いられる場合、このような実施形態によれば、それは、光活性特性を保持してもよいが、一部の実施形態において、それは光活性である必要はない。
【0024】
光活性有機化合物SAM IFLに加えてまたはそれに代えて、一部の実施形態によるPVは、このような実施形態の第1または第2の活性材料(例えば、
図5に示すとおりの第1または第2の活性材料2810または2815)のいずれかの少なくとも一部の上にコーティングされた薄い界面層(「薄いコーティングの界面層」または「薄いコーティングのIFL」)を含んでもよい。そして、その次に、薄いコーティングのIFLの少なくとも一部が色素でコーティングされてもよい。薄いコーティングのIFLは、N型またはP型のいずれであってもよく;一部の実施形態において、それは、下部材料(例えば、TiO
2または他のメソポーラス材料、例えば、第2の活性材料2815のTiO
2)と同じタイプのものであってもよい。第2の活性材料は、アルミナ(例えば、Al
2O
3など)を含む薄いコーティングのIFLでコーティングされたTiO
2(
図5に示さず)を含んでもよく、そして次に、これは色素でコーティングされる。TiO
2および/またはチタニアへの本明細書での言及は、本明細書に記載されるこのような酸化チタン化合物中のチタンと酸化物との比を限定することを意図しない。
【0025】
すなわち、チタニア化合物は、その様々な酸化状態(例えば、チタンI、チタンII、チタンIII、チタンIVなど)のいずれか1つまたはそれより多いチタンを含んでもよく、したがって、様々な実施形態は、チタンおよび酸化物の化学量論的および/または非化学量論的量を含んでもよい。したがって、様々な実施形態は、(TiO
2の代わりにまたはそれに加えて)Ti
xO
yを含んでもよく、式中、xは、1〜100の、あらゆる値(整数または非整数)であってもよい。一部の実施形態において、xは、およそ0.5〜3であってもよい。同様に、yは、およそ1.5〜4であってもよい(そして、やはり、整数である必要はない)。したがって、一部の実施形態は、例えば、TiO
2および/またはTi
2O
3を含んでもよい。さらに、チタンと酸化物の間のどのような比または比の組合せであってもチタニアは、アナターゼ、ルチル、および非晶質のいずれか1つまたはそれより多いものを含めて、一部の実施形態においていずれか1つまたはそれより多い結晶構造のものであってもよい。
【0026】
一部の実施形態の薄いコーティングのIFLにおける使用のための他の金属酸化物の例には、半導体性金属酸化物、例えば、NiO、WO
3、V
2O
5、またはMoO
3などが含まれてもよい。Al
2O
3を含む薄いコーティングのIFLでコーティングされたTiO
2を第2の(例えば、n型の)活性材料が含む実施形態は、例えば、Al
2O
3をTiO
2上に堆積させ、続いて、熱アニーリングおよび色素コーティングすることに適した、例えばAl(NO
3)
3・xH
2Oなどの前駆体材料、またはあらゆる他の材料によって形成され得る。MoO
3コーティングが代わりに使用される実施形態例において、コーティングは、例えば、Na
2Mo
4・2H
2Oなどの前駆体材料で形成されてもよく;一方で一部の実施形態によるV
2O
5コーティングは、例えば、NaVO
3などの前駆体材料で形成されてもよく;一部の実施形態によるWO
3コーティングは、NaWO
4・H
2Oなどの前駆体材料で形成されてもよい。
【0027】
前駆体材料(例えば、Al(NO
3)
3・xH
2Oなど)の濃度は、TiO
2または他の活性材料上に堆積される(ここでは、Al
2O
3の)最終膜厚さに影響を与え得る。したがって、前駆体材料の濃度の変更は、最終膜厚が制御されてもよい方法であってもよい。例えば、より大きな膜厚は、より大きな前駆体材料濃度から生じ得る。より大きな膜厚は、金属酸化物コーティングを含むPVデバイスにおいてより大きなPCEを必ずしももたらし得なくてもよい。したがって、一部の実施形態の方法は、およそ0.5〜10.0mMの範囲の濃度を有する前駆体材料を使用してTiO
2(または他のメソポーラス)層をコーティングすることを含んでもよく;他の実施形態は、およそ2.0〜6.0mMの範囲の濃度を有する前駆体材料で層をコーティングすることを含んでもよく;または他の実施形態ではおよそ2.5〜5.5mMである。
【0028】
さらに、本明細書でAl
2O
3および/またはアルミナと称されるが、アルミニウムと酸素との様々な比がアルミナの形成で使用されてもよいことが留意されるべきである。したがって、本明細書で検討される一部の実施形態はAl
2O
3に言及して説明されるが、このような説明は、酸素におけるアルミニウムの必要な比を定義することは意図されない。むしろ、実施形態は、任意の1種またはそれより多い酸化アルミニウム化合物を含んでもよく、それぞれ、Al
xO
y(式中、xは、およそ1〜100のあらゆる値(整数または非整数)であってもよい)に従う酸化アルミニウム比を有する。一部の実施形態において、xは、およそ1〜3(そして、やはり、整数である必要はない)であってもよい。同様に、yは、0.1〜100のあらゆる値(整数または非整数)であってもよい。一部の実施形態において、yは、2〜4(そして、やはり、整数である必要はない)であってもよい。さらに、Al
xO
yの様々な結晶形態は、様々な実施形態、例えば、アルファ、ガンマ、および/または非晶質の形態のアルミナとして存在してもよい。
【0029】
同様に、本明細書でMoO
3、WO
3、およびV
2O
5と称されるが、このような化合物は、代わりにまたはさらに、それぞれ、Mo
xO
y、W
xO
y、およびY
xO
yと表されてもよい。Mo
xO
yおよびW
xO
yのそれぞれに関して、xは、およそ0.5〜100のあらゆる値(整数または非整数)であってもよく;一部の実施形態において、それは、およそ0.5〜1.5であってもよい。同様に、yは、およそ1〜100のあらゆる値(整数または非整数)であってもよい。一部の実施形態において、yは、およそ1〜4のあらゆる値であってもよい。V
xO
yに関して、xは、およそ0.5〜100のあらゆる値(整数または非整数)であってもよく;一部の実施形態において、それは、およそ0.5〜1.5であってもよい。同様に、yは、およそ1〜100のあらゆる値(整数または非整数)であってもよく;ある特定の実施形態において、それは、およそ1〜10の整数または非整数の値であってもよい。
【0030】
同様に、CsSnI
3への本明細書での一部の例示の実施形態における言及は、様々な実施形態によるセシウム−スズ−ヨウ素化合物における成分元素の比を限定することを意図しない。一部の実施形態は、スズおよびヨウ素の化学量論的および/または非化学量論的量を含んでもよく、したがって、このような実施形態は、いずれか1種またはそれより多いセシウム−スズ−ヨウ素化合物などの、セシウム、スズ、およびヨウ素の様々な比を代わりにまたはさらに含んでもよく、それぞれは、Cs
xSn
yI
zの比を有する。このような実施形態において、xは、0.1〜100のあらゆる値(整数または非整数)であってもよい。一部の実施形態において、xは、およそ0.5〜1.5であってもよい(そして、やはり、整数である必要はない)。同様に、yは、0.1〜100のあらゆる値(整数または非整数)であってもよい。一部の実施形態において、yは、およそ0.5〜1.5であってもよい(そして、やはり、整数である必要はない)。同様に、zは、0.1〜100のあらゆる値(整数または非整数)であってもよい。一部の実施形態において、zは、およそ2.5〜3.5であってもよい。さらに、CsSnI
3は、他の材料、例えば、SnF
2で、間のすべての値(整数または非整数)を含めて、0.1:1〜100:1の範囲のCsSnI
3:SnF
2の比で、ドープされまたはそれと配合され得る。
【0031】
さらに、薄いコーティングのIFLは、二層を含んでもよい。したがって、薄いコーティングのIFLが金属酸化物(例えば、アルミナなど)を含む例に戻ると、薄いコーティングのIFLは、TiO
2−プラス−金属酸化物を含んでもよい。このような薄いコーティングのIFLは、メソポーラスTiO
2または他の活性材料単独と比較して電荷再結合に抵抗するより大きい能力を有し得る。さらに、TiO
2層の形成において、二次TiO
2コーティングが、本開示の一部の実施形態によって、TiO
2粒子の十分な物理的相互接続を提供するためにしばしば必要である。二層の薄いコーティングのIFLをメソポーラスTiO
2(または他のメソポーラス活性材料)上にコーティングすることは、金属酸化物とTiCl
4の両方を含む化合物を使用するコーティングの組合せを含み、金属酸化物と二次TiO
2コーティングとの組合せを含む二層の薄いコーティングのIFLをもたらし、これは、それ自体でいずれか一方の材料の使用に対する性能改善を提供し得る。
【0032】
一部の実施形態において、IFLは、チタネートを含んでもよい。一部の実施形態によるチタネートは、一般式M’TiO
3であってもよく、式中;M’は、あらゆる2+のカチオンを含む。一部の実施形態において、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、またはPbのカチオン形態を含んでもよい。一部の実施形態において、IFLは、チタネートの単一種を含んでもよく、他の実施形態において、IFLは、チタネートの2種または3種以上の異なる種を含んでもよい。一実施形態において、チタネートは、式SnTiO
3を有する。別の実施形態において、チタネートは、式BaTiO
3を有してもよい。なお別の実施形態において、チタネートは、式CaTiO
3を有してもよい。
【0033】
説明の意味で、およびいかなる限定も意図せず、チタネートは、ペロブスカイト結晶構造を有し、MAPbI
3成長変換プロセスを強力にシードする(strongly seed)。チタネートはまた一般的に、例えば強誘電性挙動、十分な電荷キャリア移動度、光透過性、エネルギーレベルのマッチング、および高誘電定数などの他のIFL要件を満たす。
【0034】
本明細書において検討されるあらゆる界面材料は、ドープされた組成物をさらに含んでもよい。界面材料の特性(例えば電気的、光学的、機械的特性など)を変更するために、化学量論的または非化学量論的材料を、1種またはそれより多い元素(例えばNa、Y、Mg、N、Pなど)を1ppb〜50mol%の範囲の量でドープしてもよい。界面材料の一部の例には:NiO、TiO
2、SrTiO
3、Al
2O
3、ZrO
2、WO
3、V
2O
5、MO
3、ZnO、グラフェンおよびカーボンブラックが含まれる。これらの界面材料についての可能なドーパントの例には:Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Nb、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ga、Sn、In、B、N、P、C、S、As、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物(例えばシアン化物、シアネート、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルテート、カルバモイルジシアノメタニド、ジシアノニトロソメタニド、ジシアナミド、およびトリシアノメタニド)、およびあらゆるその酸化状態にあるAlが含まれる。本明細書におけるドープされた界面材料への言及は、界面材料化合物中の成分元素の比を限定することを意図しない。
【0035】
図10は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス4400の定型図である。デバイス4400の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図10は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス4400は、第1および第2の基板4401および4407を含む。第1の電極(ITO)4402は、第1の基板4401の内側表面上に配置され、第2の電極(Ag)4406は、第2の基板4407の内側表面上に配置される。活性層4450は、2つの電極4402と4406の間に挟まれている。活性層4450は、第1のIFL(例えばSrTiO
3など)4403、光活性材料(例えばMAPbI
3など)4404、および電荷輸送層(例えばスピロ−OMeTADなど)4405を含む。
【0036】
前に検討された薄いコーティングのIFLおよびそれらをTiO
2上にコーティングする方法は、一部の実施形態において、液体電解質を含むDSSCにおいて用いられてもよい。したがって、薄いコーティングのIFLの例に戻り、一例として
図1に戻って参照すると、
図1のDSSCは、メソポーラス層1505の上にコーティングされた上に記載されたとおりの薄いコーティングのIFLをさらに含み得る(すなわち、薄いコーティングのIFLは、メソポーラス層1505と色素1504の間に挿入される)。
【0037】
一実施形態において、ペロブスカイト材料デバイスを、PbI
2をSrTiO
3コーティングされたITO基板上にキャストすることにより処方してもよい。PbI
2を、浸漬プロセスによりMAPbI
3に変換してもよい。このプロセスを、以下でより詳細に説明する。この変換プロセスは、SrTiO
3なしの基板の調製と比較して(光学分光法により観察されるとおり)より完全である。
【0038】
一部の実施形態において、DSSCの文脈で前に検討された薄いコーティングのIFLは、例えば、PV(例えば、ハイブリッドPVまたは他のPV)、電界効果トランジスタ、発光ダイオード、非線形光学デバイス、メモリスタ、キャパシタ、整流器、整流アンテナなどの半導体デバイスのあらゆる界面層で使用されてもよい。さらに、一部の実施形態の薄いコーティングのIFLは、これに限定されないが、本開示の様々な実施形態の以下、すなわち、活性材料および添加剤(例えば、一部の実施形態において、ケノデオキシコール酸または1,8−ジヨードオクタン)などの固体ホール輸送材料のいずれか1種またはそれより多いものを含めて、本開示で検討される他の化合物と組み合わせて様々なデバイスのいずれかにおいて用いられてもよい。
【0039】
一部の実施形態において、異なる材料から作製された複数のIFLは、互いに隣接して配列されて複合体IFLを形成してもよい。この配置は、2種の異なるIFL、3種の異なるIFL、またはより多い数の異なるIFLすらも関係する。得られる複数層のIFLまたは複合体IFLを、単一材料IFLの代わりに使用してもよい。例えば、
図4の例に示されるとおり、複合体IFLを、セル2610中でIFL2626としておよび/またはIFL2627として使用してもよい。複合体IFLは単一材料IFLとは異なる一方で、複数層のIFLを有するペロブスカイト材料PVのアセンブリは、単一材料IFLのみを有するペロブスカイト材料PVのアセンブリとは実質的に異ならない。
【0040】
一般に、複合体IFLは、IFLに好適な、本明細書において検討されたあらゆる材料を使用して作製してもよい。一実施形態において、IFLは、Al
2O
3の層およびZnOまたはM:ZnO(ドープされたZnO、例えばBe:ZnO、Mg:ZnO、Ca:ZnO、Sr:ZnO、Ba:ZnO、Sc:ZnO、Y:ZnO、Nb:ZnOなど)の層を含む。一実施形態において、IFLは、ZrO
2の層およびZnOまたはM:ZnOの層を含む。ある特定の施形態において、IFLは複数の層を含む。一部の実施形態において、複数層のIFLは一般に、導体層、誘電体層、および半導体層を有する。特定の実施形態において、層は、例えば導体層、誘電体層、半導体層、誘電体層、および半導体層などを繰り返してもよい。複数層のIFLの例には、ITO層、Al
2O
3層、ZnO層、および第2のAl
2O
3層を有するIFL;ITO層、Al
2O
3層、ZnO層、第2のAl
2O
3層、および第2のZnO層を有するIFL;ITO層、Al
2O
3層、ZnO層、第2のAl
2O
3層、第2のZnO層、および第3のAl
2O
3層を有するIFL;および所望される性能特性を達成するために必要な数の層を有するIFLが含まれる。前に検討したとおり、ある化学量論比への言及は、様々な実施形態によるIFL層中の成分元素の比を限定することを意図しない。
【0041】
複合体IFLとして2つまたはそれより多い隣接するIFLを配列させることは、各IFL材料からの貢献が単一IFL中で強化され得るペロブスカイト材料PVセル中の単一IFLより高い性能を有し得る。例えば、ITOが導体電極である、ITO層、Al
2O
3層、およびZnO層を有するアーキテクチャにおいて、Al
2O
3は誘電材料であり、ZnOはn型半導体であり、ZnOは良好な性能の電子輸送特性(例えば移動度など)を有する電子アクセプターとして作用する。さらに、Al
2O
3は、ITOに良好に付着する物理的に堅牢な材料であり、表面の欠陥をキャッピングすること(例えば電荷捕獲など)により表面を均質化し、暗電流の抑制によりデバイスダイオード特性を改善する。
【0042】
図11は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス4500の定型図である。デバイス4500の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図11は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス4500は、第1および第2の基板4501および4508を含む。第1の電極(例えばITOなど)4502は、第1の基板4501の内側表面上に配置され、第2の電極(例えばAgなど)4507は、第2の基板4508の内側表面上に配置される。活性層4550は、2つの電極4502と4507の間に挟まれている。活性層4550は、第1のIFL(例えばAl
2O
3など)4503、第2のIFL(例えばZnOなど)4504、光活性材料(例えばMAPbI
3など)4505、および電荷輸送層(例えばスピロ−OMeTADなど)4506を含む、複合体IFLを含む。
【0043】
図13〜20は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの定型図である。デバイスの様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図13〜18は定型図であり;したがって、それらに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイスの例は、本開示を通して説明される層および材料を含む。デバイスは、基板層(例えばガラスなど)、電極層(例えばITO、Agなど)、複合体IFLであってもよい界面層(例えばZnO、Al
2O
3、Y:ZnO、および/またはNb:ZnOなど)、光活性層(例えばMAPbI
3、FAPbI
3、5−AVA・HCl:MAPbI
3、および/またはCHP:MAPbI
3など)、および電荷輸送層(例えばスピロ−OMeTAD、PCDTBT、TFB、TPD、PTB7、F8BT、PPV、MDMO−PPV、MEH−PPV、および/またはP3HTなど)を含んでもよい。
【0044】
図13は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6100の定型図である。デバイス6100の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図13は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス6100は、基板(例えばガラスなど)6101を含む。第1の電極(例えばITOなど)6102は、基板6101の内側表面上に配置され、第2の電極(例えばAgなど)6107は、2つの電極6102と6107の間に挟まれた活性層6150の最上部上に配置される。活性層6150は、第1のIFL(例えばAl
2O
3など)6103、第2のIFL(例えばZnOなど)6104、光活性材料(例えばMAPbI
3など)6105、および電荷輸送層(例えばスピロ−OMeTADなど)6106を含む、複合体IFLを含む。
【0045】
図14は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6200の定型図である。デバイス6200の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図14は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス6200は、基板(例えばガラスなど)6201を含む。第1の電極(例えばITOなど)6202は、基板6201の内側表面上に配置され、第2の電極(例えばAgなど)6206は、2つの電極6202と6206の間に挟まれた活性層6250の最上部上に配置される。活性層6250は、IFL(例えばY:ZnOなど)6203、光活性材料(例えばMAPbI
3など)6204、および電荷輸送層(例えばP3HTなど)6205を含む。
【0046】
図15は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6300の定型図である。デバイス6300の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図15は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス6300は、基板(例えばガラスなど)6301を含む。第1の電極(例えばITOなど)6302は、基板6301の内側表面上に配置され、第2の電極(例えばAgなど)6309は、2つの電極6302と6309の間に挟まれた活性層6350の最上部上に配置される。活性層6350は、第1のIFL(例えばAl
2O
3など)6303、第2のIFL(例えばZnOなど)6304、第3のIFL(例えばAl
2O
3など)6305、および第4のIFL(例えばZnOなど)6306、光活性材料(例えばMAPbI
3など)6307、および電荷輸送層(例えばPCDTBTなど)6308を含む、複合体IFLを含む。
【0047】
図16は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6400の定型図である。デバイス6400の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図16は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス6400は、基板(例えばガラスなど)6401を含む。第1の電極(例えばITOなど)6402は、基板6401の内側表面上に配置され、第2の電極(例えばAgなど)6409は、2つの電極6402と6409の間に挟まれた活性層6450の最上部上に配置される。活性層6450は、第1のIFL(例えばAl
2O
3など)6403、第2のIFL(例えばZnOなど)6404、第3のIFL(例えばAl
2O
3など)6405、および第4のIFL(例えばZnOなど)6406、光活性材料(例えば5−AVA−HCl:MAPbI
3など)6407、および電荷輸送層(例えばPCDTBTなど)6408を含む、複合体IFLを含む。
【0048】
図17は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6500の定型図である。デバイス6500の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図17は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス6500は、基板(例えばガラスなど)6501を含む。第1の電極(例えばITOなど)6502は、基板6501の内側表面上に配置され、第2の電極(例えばAgなど)6506は、2つの電極6502と6506の間に挟まれた活性層6550の最上部上に配置される。活性層6550は、IFL(例えばNb:ZnOなど)6503、光活性材料(例えばFAPbI
3など)6504、および電荷輸送層(例えばP3HTなど)6505を含む。
【0049】
図18は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6600の定型図である。デバイス6600の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図18は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス6600は、基板(例えばガラスなど)6601を含む。第1の電極(例えばITOなど)6602は、基板6601の内側表面上に配置され、第2の電極(例えばAgなど)6606は、2つの電極6602と6606の間に挟まれた活性層6650の最上部上に配置される。活性層6650は、IFL(例えばY:ZnOなど)6603、光活性材料(例えばCHP;MAPbI
3など)6604、および電荷輸送層(例えばP3HTなど)6605を含む。
【0050】
図19は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6700の定型図である。デバイス6700の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図19は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス6700は、基板(例えばガラスなど)6701を含む。第1の電極(例えばITOなど)6702は、基板6701の内側表面上に配置され、第2の電極(例えばAlなど)6707は、2つの電極6702と6707の間に挟まれた活性層6750の最上部上に配置される。活性層6750は、IFL(例えばSrTiO
3など)6703、光活性材料(例えばFAPbI
3など)6704、第1の電荷輸送層(例えばP3HTなど)6705および第2の電荷輸送層(例えばMoOxなど)6706を含む。
【0051】
図20は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6800の定型図である。デバイス6800の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図16は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されなければならない。デバイス6800は、基板(例えばガラスなど)6801を含む。第1の電極(例えばITOなど)6802は、基板6801の内側表面上に配置され、第2の電極(例えばAlなど)6811は、2つの電極6802と6811の間に挟まれた活性層6850の最上部上に配置される。活性層6850は、第1のIFL(例えばAl
2O
3など)6803、第2のIFL(例えばZnOなど)6804、第3のIFL(例えばAl
2O
3など)6805、第4のIFL(例えばZnOなど)6806、および第5のIFL(例えばAl
2O
3など)6807、光活性材料(例えばFAPbI
3など)6808、第1の電荷輸送層(例えばP3HTなど)6809および第2の電荷輸送層(例えばMoOxなど)6810を含む、複合体IFLを含む。
【0052】
ペロブスカイト材料
ペロブスカイト材料は、PVまたは他のデバイスの1つまたはそれより多い側面に組み込まれてもよい。一部の実施形態によるペロブスカイト材料は、一般式CMX
3[ここで、Cは、1種またはそれより多いカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオン若しくはカチオン様化合物)を含み;Mは、1種またはそれより多い金属(例は、Fe、Co、Ni、Cu、Sn、Pb、Bi、Ge、Ti、およびZrを含む)を含み;Xは、1種またはそれより多いアニオンを含む]のものであってもよい。一部の実施形態において、Cは、1種またはそれより多い有機カチオンを含んでもよい。
【0053】
ある特定の実施形態において、Cは、アンモニウム、一般式[NR4]
+(式中、R基は、同じかまたは異なる基であり得る)の有機カチオンを含んでもよい。好適なR基には、これに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはその異性体;あらゆるアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy(式中、x=1〜20であり、y=1〜42であり、環状、分岐または直鎖である);アルキルハライド、CxHyXz(x=1〜20であり、y=0〜42であり、z=1〜42であり、X=F、Cl、Br、またはIである);あらゆる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレンなど);少なくとも1個の窒素が環内に含まれる環状複合体(例えば、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロキノリンなど);あらゆる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィドなど);あらゆる窒素含有基(窒素酸化物、アミン);あらゆるリン含有基(ホスフェート);あらゆるホウ素含有基(例えば、ボロン酸など);あらゆる有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸など);およびそれらのエステルまたはアミド誘導体;アルファ、ベータ、ガンマ、およびより大きい誘導体を含む、あらゆる(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギン、セリン、ヒスチジン、5−アンモニウム吉草酸など);あらゆるケイ素含有基(例えば、シロキサンなど);ならびにあらゆるアルコキシ基、−OC
xH
y(式中、x=0〜20であり、y=1〜42である)が含まれる。
【0054】
ある特定の実施形態において、Cは、ホルムアミジニウム、一般式[R
2NCRNR
2]
+(式中、R基は、同じかまたは異なる基であり得る)の有機カチオンを含んでもよい。好適なR基には、これに限定されないが、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはその異性体;あらゆるアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy(式中、x=1〜20であり、y=1〜42であり、環状、分岐または直鎖);アルキルハライド、CxHyXz(x=1〜20であり、y=0〜42であり、z=1〜42であり、X=F、Cl、Br、またはIである);あらゆる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレンなど);少なくとも1個の窒素が環内に含まれる環状複合体(例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ジヒドロピリミジン、(アゾリジニリデンメチル)ピロリジン、トリアゾールなど);あらゆる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィドなど);あらゆる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);あらゆるリン含有基(ホスフェート);あらゆるホウ素含有基(例えば、ボロン酸など);あらゆる有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそれらのエステルまたはアミド誘導体;アルファ、ベータ、ガンマ、およびより大きい誘導体を含む、あらゆるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5−アンモニウム吉草酸など);あらゆるケイ素含有基(例えば、シロキサンなど);ならびにあらゆるアルコキシ基、−OCxHy(式中、x=0〜20であり、y=1〜42である)が含まれる。
【化1】
【0055】
式1は、上記のとおり[R
2NCRNR
2]
+の一般式を有するホルムアミジニウムカチオンの構造を例示する。式2は、ペロブスカイト材料中でカチオン「C」をとして作用し得るいくつかのホルムアミジニウムカチオンの構造の例を例示する。
【化2】
【0056】
ある特定の実施形態において、Cは、グアニジニウム、一般式[(R
2N)
2C=NR
2]
+(式中、R基は、同じかまたは異なる基であり得る)の有機カチオンを含んでもよい。好適なR基には、これに限定されないが、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはその異性体;あらゆるアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy(式中、x=1〜20であり、y=1〜42であり、環状、分岐または直鎖);アルキルハライド、CxHyXz(x=1〜20であり、y=0〜42であり、z=1〜42であり、X=F、Cl、Br、またはIである);あらゆる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレンなど);少なくとも1個の窒素が環内に含まれる環状複合体(例えば、オクタヒドロピリミド[1,2−a]ピリミジン、ピリミド[1,2−a]ピリミジン、ヘキサヒドロイミダゾ[1,2−a]イミダゾール、ヘキサヒドロピリミジン−2−イミンなど);あらゆる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィドなど);あらゆる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);あらゆるリン含有基(ホスフェート);あらゆるホウ素含有基(例えば、ボロン酸など);あらゆる有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそれらのエステルまたはアミド誘導体;アルファ、ベータ、ガンマ、およびより大きい誘導体を含む、あらゆるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5−アンモニウム吉草酸);あらゆるケイ素含有基(例えば、シロキサンなど);ならびにあらゆるアルコキシ基、−OCxHy(式中、x=0〜20であり、y=1〜42である)が含まれる。
【化3】
【0057】
式3は、上記のとおり[(R
2N)
2C=NR
2]
+の一般式を有するグアニジニウムカチオンの構造を例示する。式4は、ペロブスカイト材料中でカチオン「C」をとして作用し得るいくつかのグアニジニウムカチオンの構造の例を例示する。
【化4】
【0058】
ある特定の実施形態において、Cは、エテンテトラミンカチオン、一般式[(R
2N)
2C=C(NR
2)
2]
+(式中、R基は、同じかまたは異なる基であり得る)の有機カチオンを含んでもよい。好適なR基には、これに限定されないが、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはその異性体;あらゆるアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy(式中、x=1〜20であり、y=1〜42であり、環状、分岐または直鎖);アルキルハライド、CxHyXz(x=1〜20であり、y=0〜42であり、z=1〜42であり、X=F、Cl、Br、またはIである);あらゆる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレンなど);少なくとも1個の窒素が環内に含まれる環状複合体(例えば、2−ヘキサヒドロピリミジン−2−イリデンヘキサヒドロピリミジン、オクタヒドロピラジノ[2,3−b]ピラジン、ピラジノ[2,3−b]ピラジン、キノキサリノ[2,3−b]キノキサリンなど);あらゆる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィドなど);あらゆる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);あらゆるリン含有基(ホスフェート);あらゆるホウ素含有基(例えば、ボロン酸など);あらゆる有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそれらのエステルまたはアミド誘導体;アルファ、ベータ、ガンマ、およびより大きい誘導体を含む、あらゆるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5−アンモニウム吉草酸);あらゆるケイ素含有基(例えば、シロキサンなど);ならびにあらゆるアルコキシ基、−OC
xH
y(式中、x=0〜20であり、y=1〜42である)が含まれる。
【化5】
【0059】
式5は、上記のとおり、一般式[(R
2N)
2C=C(NR
2)
2]
+を有するエテンテトラミンカチオンの構造を例示する。式6は、ペロブスカイト材料中でカチオン「C」として作用し得る、いくつかのエテンテトラミニオンの構造の例を例示する。
【化6】
【0060】
ある特定の実施形態において、Cは、イミダゾリウムカチオン、一般式[CRNRCRNRCR]
+(式中、R基は、同じかまたは異なる基であり得る)の芳香族性、環状有機カチオンを含んでもよい。好適なR基には、これに限定されないが、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはその異性体;あらゆるアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy(式中、x=1〜20であり、y=1〜42であり、環状、分岐または直鎖);アルキルハライド、CxHyXz(x=1〜20であり、y=0〜42であり、z=1〜42であり、X=F、Cl、Br、またはIである);あらゆる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレンなど);少なくとも1個の窒素が環内に含ま7れる環状複合体(例えば、2−ヘキサヒドロピリミジン−2−イリデンヘキサヒドロピリミジン、オクタヒドロピラジノ[2,3−b]ピラジン、ピラジノ[2,3−b]ピラジン、キノキサリノ[2,3−b]キノキサリンなど);あらゆる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィドなど);あらゆる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);あらゆるリン含有基(ホスフェート);あらゆるホウ素含有基(例えば、ボロン酸など);あらゆる有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそれらのエステルまたはアミド誘導体;アルファ、ベータ、ガンマ、およびより大きい誘導体を含む、あらゆるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5−アンモニウム吉草酸);あらゆるケイ素含有基(例えば、シロキサンなど);ならびにあらゆるアルコキシ基、−OCxHy(式中、x=0〜20であり、y=1〜42である)が含まれてもよい。
【化7】
【0061】
一部の実施形態において、Xは、1種またはそれより多いハロゲン化物を含んでもよい。ある特定の実施形態において、Xは、第16族アニオンを代わりにまたはさらに含んでもよい。ある特定の実施形態において、第16族アニオンは硫化物またはセレン化物であってもよい。ある特定の実施形態において、Xは、1種またはそれより多い擬ハロゲン化物(シアン化物、シアネート、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルテート、カルバモイルジシアノメタニド、ジシアノニトロソメタニド、ジシアナミド、およびトリシアノメタニド)を代わりにまたはさらに含んでもよい。ある特定の実施形態において、各有機カチオンCは、各金属Mより大きくてもよく、各アニオンXは、カチオンCと金属Mの両方と結合することができてもよい。様々な実施形態によるペロブスカイト材料の例には、CsSnI
z(本明細書で前に検討されたもの)およびCs
xSn
yI
z(x、y、およびzは、前の検討に従って変化するもの)が含まれる。他の例には、一般式CsSnX
3(式中、Xは、I
3、I
2.95F
0.05;I
2Cl;ICl
2;およびCI
3のいずれか1個またはそれより多いものであってもよい)の化合物が含まれる。他の実施形態において、Xは、CsおよびSnと比較したXの合計の比がCsSnX
3の一般的化学量論をもたらすような量でI、Cl、F、およびBrのいずれか1種またはそれより多いものを含んでもよい。一部の実施形態において、Xを構成する元素の合わせた化学量論は、Cs
xSn
yI
zに関して前に検討されたとおり、I
zと同じ規則に従ってもよい。さらに他の例には、一般式RNH
3PbX
3[ここで、Rは、C
nH
2n+1(nは、0〜10の範囲である)であってもよい]の化合物が含まれ、Xは、カチオンRNH
3および金属Pbと比較したXの合計の比が、RNH
3PbX
3の一般的化学量論をもたらすような量でF、Cl、Br、およびIのいずれか1種またはそれより多いものを含んでもよい。さらに、Rの一部の具体例には、H、アルキル鎖(例えば、CH
3、CH
3CH
2、CH
3CH
2CH
2など)、およびアルファ、ベータ、ガンマ、およびより大きい誘導体を含む、アミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5−アンモニウム吉草酸など)が含まれる。
【0062】
複合体ペロブスカイト材料デバイス設計
一部の実施形態において、本開示は、1種またはそれより多いペロブスカイト材料を含む、PVおよび他の類似のデバイス(例えばバッテリ、ハイブリッドPVバッテリ、FET、LED、非線形光学デバイス(NLO)、導波管など)の複合体設計を提供してもよい。例えば、1種またはそれより多いペロブスカイト材料は、一部の実施形態の第1および第2の活性材料のいずれかまたは両方(例えば、
図5の活性材料2810および2815など)として作用してもよい。より一般的に言えば、本開示の一部の実施形態は、1種またはそれより多いペロブスカイト材料を含む活性層を有するPVまたは他のデバイスを提供する。このような実施形態において、ペロブスカイト材料(すなわち、いずれか1種またはそれより多いペロブスカイト材料(単数または複数)を含む材料)は、様々なアーキテクチャの活性層で用いられてもよい。さらに、ペロブスカイト材料は、活性層のいずれか1種またはそれより多い成分(例えば、電荷輸送材料、メソポーラス材料、光活性材料、および/または界面材料などであり、これらのそれぞれは、以下により詳細に検討される)の機能(単数または複数)を果たし得る。
【0063】
一部の実施形態において、同じペロブスカイト材料は、複数のこのような機能を果たし得るが、他の実施形態において、複数のペロブスカイト材料がデバイスに含まれてもよく、各ペロブスカイト材料は1つまたはそれより多いこのような機能を果たす。ある特定の実施形態において、ペロブスカイト材料がどのような役割を果たし得るとしても、それは、様々な状態でデバイス中で調製されおよび/またはそこに存在してもよい。例えば、一部の実施形態においてそれは実質的に固体であってよい。他の実施形態において、それは溶液であってもよく(例えば、ペロブスカイト材料は、液体に溶解されて、その個別のイオン性サブ種で前記液体中に存在するなどしてもよく);またはそれは、懸濁液(例えば、ペロブスカイト材料粒子のものなど)であってもよい。溶液または懸濁液は、コーティングされてもいてもよく、またはそうでなければデバイス内で(例えば、メソポーラス、界面、電荷輸送、光活性、若しくは他の層などのデバイスの別の構成要素上に、および/または電極上に)堆積されてもよい。一部の実施形態におけるペロブスカイト材料は、デバイスの別の構成要素の表面上に(例えば、薄膜固体としての蒸着によるなどして)その場で形成されてもよい。ペロブスカイト材料を含む固体または液体層を形成するあらゆる他の適切な手段が用いられてもよい。
【0064】
一般的に、ペロブスカイト材料デバイスは、第1の電極、第2の電極、および第1と第2の電極の間に少なくとも部分的に配置された、ペロブスカイト材料を含む活性層を含んでもよい。一部の実施形態において、第1の電極は、アノードおよびカソードの一方であってもよく、第2の電極は、アノードおよびカソードの他方であってもよい。ある特定の実施形態による活性層は、電荷輸送材料;液体電解質;メソポーラス材料;光活性材料(例えば、色素、ケイ素、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、ヒ化ガリウム、リン化ゲルマニウムインジウム、半導体ポリマー、他の光活性材料など);および界面材料のいずれか1種またはそれより多いものを含む、いずれか1種またはそれより多い活性層成分を含んでもよい。これらの活性層成分のいずれか1種またはそれより多いものは、1種またはそれより多いペロブスカイト材料を含んでもよい。一部の実施形態において、活性層成分の一部またはすべては、サブ層に全体的または部分的に配列されていてもよい。例えば、活性層は、界面材料を含む界面層;メソポーラス材料を含むメソポーラス層;および電荷輸送材料を含む電荷輸送層のいずれか1つまたはそれより多いものを含んでもよい。
【0065】
一部の実施形態において、例えば色素などの光活性材料は、これらの層のいずれか1つまたはそれより多いものの上にコーティングされても、またはそうでなければ、配置されてもよい。ある特定の実施形態において、いずれか1つまたはそれより多い層は、液体電解質でコーティングされてもよい。さらに、界面層は、一部の実施形態による活性層のいずれか2つ以上の他の層の間に、および/または層とコーティングの間(色素とメソポーラス層の間など)に、および/または2つのコーティングの間(液体電解質と色素の間など)に、および/または活性層成分と電極の間に含まれてもよい。本明細書での層(複数)への言及は、最終配列(例えば、デバイス内に別個に定義できる各材料の実質的な個別の部分)のいずれかを含んでもよく、および/または層(単数)への言及は、各層における材料(単数または複数)のその後の混合の可能性にかかわらず、デバイスの構築中の配列を意味してもよい。層は、一部の実施形態において個別的であっても、実質的に隣接する材料を含んでもよい(例えば、層は、
図1に定型的に例示されたとおりであってもよい)。他の実施形態において、層は、実質的に混合されていてもよく(例えば、BHJ、ハイブリッド、および一部のDSSCセルの場合におけるように)、この例は、
図4における光活性層2616内の第1および第2の活性材料2618および2620により示される。
【0066】
一部の実施形態において、第1および第2の活性材料2618および2620の混合層を含む光活性層2616に加えて、個別的隣接層2627、2626、および2622を含む、
図4のデバイスによっても示されるとおりのデバイスは、これらの2種類の層の混合物を含んでもよい。いずれの場合でも、どのような種類であってもいずれか2つ以上の層は、ある特定の実施形態において、大きな接触表面積を達成するようなやり方で互いに隣接して(および/または互いと混合されて)配置されてもよい。ある特定の実施形態において、ペロブスカイト材料を含む層は、大きな接触表面積を達成するように1つまたはそれより多い他の層に隣接して配置されてもよい(例えば、ここで、ペロブスカイト材料は、低い電荷移動度を示す)。他の実施形態において、大きな接触表面積は、必ずしも必要でなくてもよい(例えば、ここで、ペロブスカイト材料は、高い電荷移動度を示す)。
【0067】
一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスは、1つまたはそれより多い基板を任意に含んでもよい。一部の実施形態において、第1および第2の電極のいずれか一方または両方は、基板上にコーティングされても、またはそうでなければ配置されてもよく、それにより、電極は、実質的に基板と活性層の間に配置される。デバイスの構成の材料(例えば、基板、電極、活性層および/または活性層の成分)は、様々な実施形態において全体的または部分的に剛性または可撓性のいずれかであってもよい。一部の実施形態において、電極は、基板として作用し、それにより、別個の基板に対する必要性をなくしてもよい。
【0068】
さらに、ある特定の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスは、集光材料(例えば、
図2に表される例のPVで描かれたとおりの集光層1601などの、集光層におけるもの)を任意で含んでもよい。さらに、ペロブスカイト材料デバイスは、いずれか1種またはそれより多い添加剤、例えば、本開示の一部の実施形態に関して上で検討された添加剤のいずれか1種またはそれより多いものを含んでもよい。
【0069】
ペロブスカイト材料デバイスに含まれてもよい様々な材料の一部の説明は、
図7を参照して部分的に行われる。
図7は、一部の実施形態によるペロブスカイト材料デバイス3900の定型図である。デバイス3900の様々な構成要素が、隣接材料を含む個別的層として例示されるが、
図7は定型図であり;したがって、それに従う実施形態は、本明細書で前に検討された「層」の使用と一致して、このような個別的層、および/または実質的に混合された非隣接層を含んでもよいことが理解されるべきである。デバイス3900は、第1および第2の基板3901および3913を含む。第1の電極3902は、第1の基板3901の内側表面上に配置され、第2の電極3912は、第2の基板3913の内側表面上に配置される。活性層3950は、2つの電極3902と3912の間に挟まれている。活性層3950は、メソポーラス層3904;第1および第2の光活性材料3906および3908;電荷輸送層3910、およびいくつかの界面層を含む。
【0070】
図7は、活性層3950のサブ層が界面層によって分離され且つさらには界面層が各電極3902および3912上に配置される実施形態によるデバイス3900の例をさらに例示する。特に、第2、第3、および第4の界面層3905、3907、および3909は、それぞれ、メソポーラス層3904、第1の光活性材料3906、第2の光活性材料3908、および電荷輸送層3910のそれぞれの間に配置される。第1および第5の界面層3903および3911は、それぞれ、(i)第1の電極3902とメソポーラス層3904の間;および(ii)電荷輸送層3910と第2の電極3912の間に配置される。したがって、
図7に描かれるデバイスの例のアーキテクチャは、基板−電極−活性層−電極−基板として特徴付けられてもよい。活性層3950のアーキテクチャは、界面層−メソポーラス層−界面層−光活性材料−界面層−光活性材料−界面層−電荷輸送層−界面層として特徴付けられてもよい。前に述べられたとおりに、一部の実施形態において、界面層は存在することを必要としないか;または1つ若しくはそれより多い界面層は、すべてではないが、ある特定の、活性層の構成要素間、および/またはデバイスの構成要素間のみに含まれてもよい。
【0071】
基板、例えば、第1および第2の基板3901および3913のいずれか一方または両方は、可撓性または剛性であってもよい。2つの基板が含まれる場合、少なくとも一方は電磁(EM)放射線(例えば、UV、可視、またはIR放射線など)に対して透明または半透明であるべきである。1つの基板が含まれる場合、それは同様に透明または半透明であってもよいが、それは、デバイスの一部がEM放射線を活性層3950と接触させる限り、そうである必要はない。好適な基板材料には、ガラス;サファイア;酸化マグネシウム(MgO);マイカ;ポリマー(例えば、PET、PEG、ポリプロピレン、ポリエチレンなど);セラミック;ファブリック(例えば、綿、絹、羊毛など);木材;壁板;金属;およびそれらの組合せのいずれか1種またはそれより多いものが含まれる。
【0072】
前に述べられたとおり、電極(例えば、
図7の電極3902および3912の一方)は、アノードまたはカソードのいずれであってもよい。一部の実施形態において、一方の電極はカソードとして機能してもよく、他方はアノードとして機能してもよい。電極3902および3912のいずれか一方または両方は、リード、ケーブル、ワイヤ、またはデバイス3900へおよび/またはデバイス3900からの電荷輸送を可能にする他の手段に連結されていてもよい。電極は、あらゆる導電性材料を構成してもよく、少なくとも一方の電極は、EM放射線に対して透明若しくは半透明であるべきであり、および/またはEM放射線が活性層3950の少なくとも一部と接触させることが可能であるように配列されるべきである。好適な電極材料には、酸化インジウムスズまたはスズドープ酸化インジウム(ITO);フッ素ドープ酸化スズ(FTO);酸化カドミウム(CdO);酸化亜鉛インジウムスズ(ZITO);酸化アルミニウム亜鉛(AZO);アルミニウム(Al);金(Au);カルシウム(Ca);マグネシウム(Mg);チタン(Ti);鋼;炭素(およびその同素体);およびそれらの組合せのいずれか1種またはそれより多いものが含まれてもよい。
【0073】
メソポーラス材料(例えば、
図7のメソポーラス層3904に含まれる材料など)は、あらゆる孔含有材料を含んでもよい。一部の実施形態において、孔は、約1〜約100nmの範囲の直径を有してもよく;他の実施形態において、孔直径は、約2〜約50nmの範囲であってもよい。好適なメソポーラス材料には、本明細書で他の箇所にて検討されたあらゆる界面材料および/またはメソポーラス材料;アルミニウム(Al);ビスマス(Bi);インジウム(In);モリブデン(Mo);ニオブ(Nb);ニッケル(Ni);ケイ素(Si);チタン(Ti);バナジウム(V);亜鉛(Zn);ジルコニウム(Zr);前述の金属のいずれか1種またはそれより多い酸化物(例えば、アルミナ、セリア、チタニア、酸化亜鉛、ジルコニアなど);前述の金属のいずれか1種またはそれより多いものの硫化物;前述の金属のいずれか1種またはそれより多いものの窒化物;ならびにそれらの組合せのいずれか1種またはそれより多いものが含まれる。
【0074】
光活性材料(例えば、
図7の第1または第2の光活性材料3906または3908など)は、あらゆる光活性化合物、例えば、ケイ素(場合によっては、単結晶シリコン)、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、ヒ化ガリウム、リン化ゲルマニウムインジウム、1種またはそれより多い半導体ポリマー、およびそれらの組合せのいずれか1種またはそれより多いものを含んでもよい。ある特定の実施形態において、光活性材料は、色素(例えば、N719、N3、他のルテニウム系色素など)を代わりにまたはそれに加えて含んでもよい。一部の実施形態において、色素(どのような組成のものであっても)は、別の層(例えば、メソポーラス層および/または界面層)の上にコーティングされてもよい。一部の実施形態において、光活性材料は、1種またはそれより多いペロブスカイト材料を含んでもよい。ペロブスカイト材料含有光活性物質は、固体形態のものであってもよく、または一部の実施形態において、それは、ペロブスカイト材料を含む懸濁液または溶液を含む色素の形態であってもよい。このような溶液または懸濁液は、他の色素と同様なやり方で他のデバイス構成要素の上にコーティングされてもよい。一部の実施形態において、固体ペロブスカイト含有材料は、あらゆる適切な手段(例えば、蒸着、溶液堆積、固体材料の直接配置など)によって堆積されてもよい。様々な実施形態によるデバイスは、1種、2種、3種、またはそれより多い光活性化合物(例えば、1種、2種、3種、またはそれより多いペロブスカイト材料、色素、またはそれらの組合せ)を含んでもよい。複数の色素または他の光活性材料を含むある特定の実施形態において、2種以上の色素または他の光活性材料のそれぞれは、1つまたはそれより多い界面層によって分離されていてもよい。一部の実施形態において、複数の色素および/または光活性化合物は、少なくとも部分的に混合されてもよい。
【0075】
電荷輸送材料(例えば、
図7における電荷輸送層3910の電荷輸送材料)は、固体電荷輸送材料(すなわち、口語的には標識固体電解質)を含んでもよく、またはそれは、液体電解質および/またはイオン液体を含んでもよい。液体電解質、イオン液体、および固体電荷輸送材料のいずれも、電荷輸送材料と称されてもよい。本明細書で使用されるとおり、「電荷輸送材料」は、電荷キャリアを収集しおよび/または電荷キャリアを輸送することができる、固体、液体、またはそうでないもののあらゆる材料を指す。例えば、一部の実施形態によるPVデバイスにおいて、電荷輸送材料は、電荷キャリアを電極に輸送することができてもよい。電荷キャリアには、ホール(この輸送は、電荷輸送材料をまさに「ホール輸送材料」と適切に名付けられるようにさせ得る)および電子が含まれてもよい。PVまたは他のデバイスにおけるカソードまたはアノードのいずれかに関連する電荷輸送材料の配置に応じて、ホールはアノードに向けて、電子はカソードに向けて輸送されてもよい。一部の実施形態による電荷輸送材料の好適な例には、ペロブスカイト材料;I
−/I
3−;Co複合体;ポリチオフェン(例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)およびその誘導体、またはP3HTなど);ポリヘプタデカニルカルバゾールジチエニルベンゾチアジアゾールおよびその誘導体(例えば、PCDTBTなど)などのカルバゾール系コポリマー;ポリシクロペンタジチオフェン−ベンゾチアジアゾールおよびその誘導体(例えば、PCPDTBTなど)、ポリベンゾジチオフェニル−チエノチオフェンジイルおよびその誘導体(例えば、PTB6、PTB7、PTB7−th、PCE−10など)などの他のコポリマー;ポリ(トリアリールアミン)化合物およびその誘導体(例えば、PTAAなど);スピロ−OMeTAD;ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体(例えば、MDMO−PPV、MEH−PPVなど);フラーレンおよび/またはフラーレン誘導体(例えば、C60、PCBMなど);ならびにそれらの組合せの1種またはそれより多いものが含まれてもよい。
【0076】
ある特定の実施形態において、電荷輸送材料は、電荷キャリア(電子またはホール)を収集することができ、および/または電荷キャリアを輸送することができる固体または液体の、あらゆる材料が含まれてもよい。したがって、一部の実施形態の電荷輸送材料は、N型またはP型の活性および/または半導電体材料であってもよい。電荷輸送材料は、デバイスの電極のうち一方の最も近くに配置されてもよい。それは、一部の実施形態において、電極に隣接して配置されてもよいが、他の実施形態において、界面層は、電荷輸送材料と電極の間に配置されてもよい(例えば、第5の界面層3911を有する
図7に示されるとおりのものなど)。ある特定の実施形態において、電荷輸送材料のタイプは、それが最も近い電極に基づいて選択されてもよい。例えば、電荷輸送材料がホールを収集しおよび/または輸送する場合、それは、ホールをアノードへ輸送するようにアノードに最も近くてもよい。しかしながら、電荷輸送材料は、代わりに、カソードの最も近くに配置され、電子をカソードへ輸送するように選択されるかまたは構築されてもよい。
【0077】
前に述べられたとおり、様々な実施形態によるデバイスは、あらゆる2つの他の層および/または材料間に界面層を任意に含んでもよいが、一部の実施形態によるデバイスは、いかなる界面層も含む必要がない。したがって、例えば、ペロブスカイト材料デバイスは、0、1、2、3、4、5つ、またはそれを超える界面層を含んでもよい(例えば、
図7のデバイス例であり、これは、5つの界面層3903、3905、3907、3909、および3911を含む)。界面層は、本明細書で前に検討された実施形態に従う薄いコーティングの界面層(例えば、アルミナおよび/若しくは他の金属酸化物粒子、ならびに/またはチタニア/金属酸化物二層、ならびに/または本明細書で他の箇所にて検討されたとおりの薄いコーティングの界面層に従う他の化合物を含むもの)を含んでもよい。一部の実施形態による界面層は、2つの層または材料間に電荷輸送および/または収集の増強のためのあらゆる適切な材料を含んでもよく;それはまた、いったん電荷が界面層に隣接する材料の1つから離れて輸送されると、電荷再結合の可能性を妨げまたは減少させるのを助け得る。好適な界面材料には、本明細書で他の箇所にて検討されたあらゆるメソポーラス材料および/または界面材料;Al;Bi;Co;Cu;Fe;In;Mn;Mo;Ni;白金(Pt);Si;Sn;Ta;Ti;V;W;Nb;Zn;Zr;前述の金属のいずれかの酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニアなど);前述の金属のいずれかの硫化物;前述の金属のいずれかの窒化物;官能化されたまたは非官能化されたアルキルシリル基;黒鉛;グラフェン;フラーレン;カーボンナノチューブ;ならびにそれらの組合せ(一部の実施形態において、組み合わせられた材料の二層を含む)の1種またはそれより多いものが含まれてもよい。一部の実施形態において、界面層は、ペロブスカイト材料を含んでもよい。
【0078】
図7の定型図によるデバイスは、一部の実施形態において、PV、例えば、DSSC、BHJ、またはハイブリッド太陽電池であってもよい。一部の実施形態において、
図7によるデバイスは、並列若しくは直列マルチセルPV、バッテリ、ハイブリッドPVバッテリ、FET、LEDS、および/または本明細書で検討されたあらゆる他のデバイスを構成してもよい。例えば、一部の実施形態のBHJは、電極3902および3912に対応する2つの電極、およびヘテロ接合界面に少なくとも2種の材料(例えば、活性層3950の材料および/または層のいずれか2種)を含む活性層を含んでもよい。ある特定の実施形態において、他のデバイス(例えば、ハイブリッドPVバッテリ、並列または直列マルチセルPVなど)は、
図7の活性層3950に対応する、ペロブスカイト材料を含む活性層を含んでもよい。要するに、
図7のデバイス例の描写の定型化された性質は、
図7に従う様々な実施形態のデバイスの許容される構造またはアーキテクチャをいかなる意味においても限定してはならない。
【0079】
ペロブスカイトデバイスのさらなるより具体的な実施形態例は、デバイス例のさらなる定型化された描写の観点から検討される。これらの描写(
図8〜
図18)の定型化された性質は、同様に、一部の実施形態において
図8〜
図18のいずれか1つまたはそれより多いものに従って構築されてもよいデバイスのタイプを制限することを意図しない。すなわち、
図8〜
図18で示されたアーキテクチャは、あらゆる適切な手段(本明細書で他の箇所にて明示的に検討されたものと、本開示の利益によって当業者には明らかであろう他の適切な手段との両方を含む)に従って、BHJ、バッテリ、FET、ハイブリッドPVバッテリ、直列マルチセルPV、並列マルチセルPV、および本開示の他の実施形態の他の同様なデバイスを提供するように適合されてもよい。
【0080】
図8は、様々な実施形態に従うデバイス4100の例を描く。デバイス4100は、第1および第2のガラス基板4101および4109を含む実施形態を例示する。各ガラス基板は、その内側表面上に配置されたFTO電極(それぞれ、第1の電極4102および第2の電極4108)を有し、各電極は、その内側表面上に堆積された界面層を有し:TiO
2第1界面層4103は、第1の電極4102上に堆積され、Pt第2界面層4107は、第2の電極4108上に堆積される。これらの2つの界面層間に挟まれたものは:メソポーラス層4104(TiO
2を含む);光活性材料4105(ペロブスカイト材料MAPbI
3を含む);および電荷輸送層4106(ここではCsSnI
3を含む)である。
【0081】
図9は、メソポーラス層を省略するデバイス4300の例を描く。デバイス4300は、第1および第2の界面層4303および4305(それぞれ、チタニアおよびアルミナを含む)間に挟まれたペロブスカイト材料光活性化合物4304(MAPbI
3を含む)を含む。チタニア界面層4303は、FTO第1電極4302上にコーティングされ、そして次に、これは、ガラス基板4301の内側表面上に配置される。スピロ−OMeTAD電荷輸送層4306は、アルミナ界面層4305上にコーティングされ、金の第2電極4307の内側表面上に配置される。
【0082】
本開示の利益によって当業者に明らかであろうように、様々な他の実施形態、例えば、複数の光活性層(
図7のデバイス例の光活性層3906および3908により例示されるとおりのもの)を有するデバイスが可能である。一部の実施形態において、上で検討されたとおり、各光活性層は、界面層で分離されてもよい(
図7で第3の界面層3907により示されるとおり)。さらに、メソポーラス層は、第1の電極3902上に配置されているメソポーラス層3904により
図7で例示されるような電極上に配置されてもよい。
図7は、前記2つのものの間に配置された介在界面層3903を描くが、一部の実施形態において、メソポーラス層は、電極上に直接配置されてもよい。
【0083】
追加のペロブスカイト材料デバイス例
他のペロブスカイト材料デバイスアーキテクチャ例は、本開示の利益によって当業者に明らかであろう。例には、これに限定されないが、以下のアーキテクチャ:(1)液体電解質−ペロブスカイト材料−メソポーラス層;(2)ペロブスカイト材料−色素−メソポーラス層;(3)第1のペロブスカイト材料−第2のペロブスカイト材料−メソポーラス層;(4)第1のペロブスカイト材料−第2のペロブスカイト材料;(5)第1のペロブスカイト材料−色素−第2のペロブスカイト材料;(6)固体電荷輸送材料−ペロブスカイト材料;(7)固体電荷輸送材料−色素−ペロブスカイト材料−メソポーラス層;(8)固体電荷輸送材料−ペロブスカイト材料−色素−メソポーラス層;(9)固体電荷輸送材料−色素−ペロブスカイト材料−メソポーラス層;および(10)固体電荷輸送材料−ペロブスカイト材料−色素−メソポーラス層のいずれかを有する活性層を含むデバイスが含まれる。各アーキテクチャ例の個別の構成要素(例えば、メソポーラス層、電荷輸送材料など)は、各構成要素についての上での検討に従ってもよい。さらに、各アーキテクチャ例は、以下により詳細に検討される。
【0084】
前述の活性層の一部の特定の例として、一部の実施形態において、活性層は、液体電解質、ペロブスカイト材料、およびメソポーラス層を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかの活性層は、実質的にアーキテクチャ:液体電解質−ペロブスカイト材料−メソポーラス層を有してもよい。あらゆる液体電解質が適切であり得;あらゆるメソポーラス層(例えば、TiO
2など)が適切であり得る。一部の実施形態において、ペロブスカイト材料は、メソポーラス層上に堆積され、その上に液体電解質でコーティングされてもよい。一部のこのような実施形態のペロブスカイト材料は、色素として少なくとも部分的に作用してもよい(したがって、それは、光活性であってもよい)。
【0085】
他の実施形態例において、活性層は、ペロブスカイト材料、色素、およびメソポーラス層を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかの活性層は、実質的にアーキテクチャ:ペロブスカイト材料−色素−メソポーラス層を有してもよい。色素は、メソポーラス層上でコーティングされてもよく、ペロブスカイト材料は、色素コーティングされたメソポーラス層上に配置されてもよい。ペロブスカイト材料は、これらの実施形態のいくつかにおいてホール輸送材料として機能してもよい。
【0086】
さらに他の実施形態例において、活性層は、第1のベロブスカイト材料、第2のペロブスカイト材料、およびメソポーラス層を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかの活性層は、実質的にアーキテクチャ:第1のペロブスカイト材料−第2のペロブスカイト材料−メソポーラス層を有してもよい。第1および第2のペロブスカイト材料は、それぞれ同じペロブスカイト材料(単数または複数)を含んでもよく、またはそれらは異なるペロブスカイト材料を含んでもよい。第1および第2のペロブスカイト材料のいずれか一方は、光活性であってもよい(例えば、このような実施形態の第1および/または第2のペロブスカイト材料は、色素として少なくとも部分的に機能してもよい)。
【0087】
ある特定の実施形態例において、活性層は、第1のペロブスカイト材料および第2のペロブスカイト材料を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかの活性層は、実質的にアーキテクチャ:第1のペロブスカイト材料−第2のペロブスカイト材料を有してもよい。第1および第2のペロブスカイト材料は、それぞれ同じペロブスカイト材料(単数または複数)を含んでもよく、またはそれらは異なるペロブスカイト材料を含んでもよい。第1および第2のペロブスカイト材料のいずれか一方は、光活性であってもよい(例えば、このような実施形態の第1および/または第2のペロブスカイト材料は、色素として少なくとも部分的に機能してもよい)。さらに、第1および第2のペロブスカイト材料のいずれか一方は、ホール輸送材料として機能することができてもよい。一部の実施形態において、第1および第2のペロブスカイト材料の一方は、電子輸送材料として機能し、第1および第2のペロブスカイト材料の他方は、色素として機能する。一部の実施形態において、第1および第2のペロブスカイト材料は、
図5において、それぞれ、第1および第2の活性材料2810および2815について示された配列におけるような(または
図4において、それぞれ、p型およびn型材料2618および2620によって同様に示されるような)、第1のペロブスカイト材料と第2のペロブスカイト材料の間での高い界面面積を達成するように活性層内に配置されてもよい。
【0088】
さらなる実施形態例において、活性層は、第1のペロブスカイト材料、色素、および第2のペロブスカイト材料を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかの活性層は、実質的にアーキテクチャ:第1のペロブスカイト材料−色素−第2のペロブスカイト材料を有してもよい。第1および第2のペロブスカイト材料のいずれか一方は、電荷輸送材料として機能してもよく、第1および第2のペロブスカイト材料の他方は、色素として機能してもよい。一部の実施形態において、第1および第2のペロブスカイト材料の両方は、重複する、同様の、および/または同一の機能に少なくとも部分的に作用してもよい(例えば、両方は、色素として作用してもよく、および/または両方は、ホール輸送材料として作用してもよい)。
【0089】
一部の他の実施形態例において、活性層は、固体電荷輸送材料およびペロブスカイト材料を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかの活性層は、実質的にアーキテクチャ:固体電荷輸送材料−ペロブスカイト材料を有してもよい。例えば、ペロブスカイト材料および固体電荷輸送材料は、
図5において、それぞれ、第1および第2の活性材料2810および2815について示された配列におけるような(または
図4において、それぞれ、p型およびn型材料2618および2620によって同様に示されたような)、高い界面面積を達成するように活性層内に配置されてもよい。
【0090】
他の実施形態例において、活性層は、固体電荷輸送材料、色素、ペロブスカイト材料、およびメソポーラス層を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかの活性層は、実質的にアーキテクチャ:固体電荷輸送材料−色素−ペロブスカイト材料−メソポーラス層を有してもよい。これらの実施形態のいくつかの他の活性層は、実質的にアーキテクチャ:固体電荷輸送材料−ペロブスカイト材料−色素−メソポーラス層を有してもよい。ペロブスカイト材料は、一部の実施形態において第2の色素として作用してもよい。ペロブスカイト材料は、このような実施形態において、このような実施形態の活性層を含むPVまたは他のデバイスにより吸収される可視光のスペクトルの幅を増加させ得る。ある特定の実施形態において、ペロブスカイト材料はまた、色素とメソポーラス層の間、および/または色素と電荷輸送材料の間の界面層としてまた、または、代わりに作用してもよい。
【0091】
一部の実施形態例において、活性層は、液体電解質、色素、ペロブスカイト材料、およびメソポーラス層を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかの活性層は、実質的にアーキテクチャ:固体電荷輸送材料−色素−ペロブスカイト材料−メソポーラス層を有してもよい。これらの実施形態のいくつかの他の活性層は、実質的にアーキテクチャ:固体電荷輸送材料−ペロブスカイト材料−色素−メソポーラス層を有してもよい。ペロブスカイト材料は、光活性材料、界面層、および/またはそれらの組合せとして作用してもよい。
【0092】
一部の実施形態は、ペロブスカイト材料を含むBHJ PVデバイスを提供する。例えば、一部の実施形態のBHJは、光活性層(例えば、
図3の光活性層2404など)を含んでもよく、これは、1種またはそれより多いペロブスカイト材料を含んでもよい。このようなBHJの光活性層は、DSSC活性層に関して上で検討された、上で列挙された構成要素例のいずれか1つまたはそれより多いものをまた、または、代わりに含んでもよい。さらに、一部の実施形態において、BHJ光活性層は、上で検討されたDSSC活性層の実施形態例のいずれか1つによるアーキテクチャを有してもよい。
【0093】
一部の実施形態において、本明細書で検討されるとおりのPVまたは他のデバイスに組み込まれた、ペロブスカイト材料を含む活性層のいずれかは、活性層内の包含物に適切であると本明細書でやはり検討され様々な追加の材料のいずれかをさらに含んでもよい。例えば、ペロブスカイト材料を含むあらゆる活性層は、本明細書で検討される様々な実施形態による界面層をさらに含んでもよい(例えば、薄いコーティングの界面層など)。さらなる一例として、ペロブスカイト材料を含む活性層は、
図2で表されるPVの例において描かれたとおりの集光層1601などの、集光層をさらに含んでもよい。
【0094】
ペロブスカイト材料活性層の処方
前に検討したとおり、一部の実施形態において、活性層中のペロブスカイト材料は、式CMX
3−yX’
y(0≧y≧3)を有してもよく、ここで、Cは、1種またはそれより多いカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、第1族金属、第2族金属、ホルムアミジニウム、グアニジニウム、エテンテトラミンおよび/または他のカチオン若しくはカチオン様化合物)を含み;Mは、1種またはそれより多い金属(例えば、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Hg、Sn、Pb、Bi、Ge、Ti、Zn、およびZrが含まれる)を含み;XおよびX’は、1種またはそれより多いアニオンを含む。一実施形態において、ペロブスカイト材料は、CPbI
3−yyCl
yを含んでもよい。ある特定の実施形態において、ペロブスカイト材料を、例えば、以下に記載するステップを使用して基板層上へのドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、またはインクジェット印刷などにより、PVデバイス中の活性層として堆積してもよい。
【0095】
まず、鉛ハロゲン化物前駆体インクを形成する。鉛ハロゲン化物の量を、グローブボックス(すなわち、空気を含まない環境中での材料操作を可能にするのぞき窓を含む、グローブを有する制御された雰囲気のボックス)の内側の清潔で乾燥したバイアル中で秤量してもよい。好適な鉛ハロゲン化物には、これに限定されないが、ヨウ化鉛(II)、臭化鉛(II)、塩化鉛(II)、およびフッ化鉛(II)が含まれる。鉛ハロゲン化物は、鉛ハロゲン化物の単一種を含んでもよく、または正確な比の鉛ハロゲン化物混合物を含んでもよい。ある特定の実施形態において、鉛ハロゲン化物混合物は、ヨウ化物、臭化物、塩化物、またはフッ化物の0.001〜100mol%のあらゆる二元、三元、または四元比を含んでもよい。一実施形態において、鉛ハロゲン化物混合物は、約10:90 mol:molの比で塩化鉛(II)およびヨウ化鉛(II)を含んでもよい。他の実施形態において、鉛ハロゲン化物混合物は、約5:95、約7.5:92.5、または約15:85 mol:molの比で塩化鉛(II)およびヨウ化鉛(II)を含んでもよい。
【0096】
代替的に、他の鉛塩前駆体を、鉛ハロゲン化物塩と組み合わせて、または代わりに使用して、前駆体インクを形成してもよい。好適な前駆体塩には、鉛(II)または鉛(IV)および以下のアニオン:硝酸、亜硝酸、カルボン酸、酢酸、アセトニルアセトネート、ホルメート、オキシレート、スルフェート、スルファイト、チオスルフェート、ホスフェート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラ(ペルフルオロフェニル)ボレート、ヒドリド、オキサイド、ペルオキシド、ヒドロキシド、ニトリド、アルセネート、アルセナイト、ペルクロレート、カーボネート、ビカーボネート、クロメート、ジクロメート、ヨーデート、ブロメート、クロレート、クロライト、ハイポクロライト、ハイポブロミド、シアニド、シアネート、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルテート、カルバモイルジシアノメタニド、ジシアノニトロソメタニド、ジシアナミド、トリシアノメタニド、アミド、およびペルマンガネート、のあらゆる組み合わせが含まれてもよい。
【0097】
前駆体インクは、上記のアニオンの塩として、以下の金属イオン:Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Hg、Sn、Pb、Bi、Ge、Ti、Zn、およびZrに対して0〜100%のモル比の鉛(II)または鉛(IV)塩をさらに含んでもよい。
【0098】
溶媒を次いでバイアルに添加して、鉛固体を溶解して、鉛ハロゲン化物前駆体インクを形成してもよい。好適な溶媒は、これに限定されないが、無水N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert−ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、およびこれらの組み合わせが含まれる。一実施形態において、鉛固体を、無水ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解する。鉛固体を、約20℃〜約150℃の温度で溶解してもよい。一実施形態において、鉛固体を、約85℃で溶解する。鉛固体を、溶液を形成するのに必要な時間溶解してもよく、これは、約72時間までの時間にわたって起こり得る。得られた溶液は、鉛ハロゲン化物前駆体インクのベースを形成する。一部の実施形態において、鉛ハロゲン化物前駆体インクは、約0.001M〜約10Mの鉛ハロゲン化物濃度を有してもよい。一実施形態において、鉛ハロゲン化物前駆体インクは、約1Mの濃度を有する。
【0099】
任意に、ある特定の添加剤を鉛ハロゲン化物前駆体インクに添加して、最終的なペロブスカイト結晶性および安定性に影響を与えてもよい。一部の実施形態において、鉛ハロゲン化物前駆体インクは、アミノ酸(例えば、5−アミノ吉草酸、ヒスチジン、グリシン、リシンなど)、アミノ酸ハロゲン化水素(例えば5−アミノ吉草酸塩酸塩など)、IFL表面改修(SAM)剤(例えば本明細書において前に検討されたものなど)またはそれらの組み合わせをさらに含んでもよい。一実施形態において、ホルムアミジニウムクロリドを鉛ハロゲン化物前駆体インクに添加してもよい。他の実施形態において、本明細書において前に検討したあらゆるカチオンのハロゲン化物を使用してもよい。一部の実施形態において、例えばホルムアミジニウムクロリドおよび5−アミノ吉草酸塩酸塩の組み合わせなどを含む鉛ハロゲン化物前駆体インクに、添加剤の組み合わせを添加してもよい。
【0100】
説明の意味で、および開示をメカニズムのいかなる特定の理論に限定することなく、一段階ペロブスカイトデバイス作製における添加剤または対イオンとして使用される場合には、ホルムアミジニウムクロリドおよび5−アミノ吉草酸塩酸塩がペロブスカイトPVデバイスの安定性を改善させることが見出された。二段階方法においてPbI
2前駆体溶液に添加された場合に、PbCbの形態の塩化物が、ペロブスカイトPVデバイス性能を改善することがまた見出された。ホルムアミジニウムクロリドおよび/または5−アミノ吉草酸塩酸塩を鉛ハロゲン化物前駆体溶液(例えばPbI
2など)に直接添加して、単一材料により両方の利点を強化することにより、二段階ペロブスカイト薄膜堆積プロセスを改善し得ることが見出された。同様に、ホルムアミジニウムクロリドおよび5−アミノ吉草酸塩酸塩、またはPbCl
2の鉛ハロゲン化物前駆体溶液への添加により、他のペロブスカイト膜堆積プロセスを改善し得る。
【0101】
ホルムアミジニウムクロリドおよび/または5−アミノ吉草酸塩酸塩を含む添加剤を、得られるペロブスカイト材料の所望の特性に応じて様々な濃度で鉛ハロゲン化物前駆体インクに添加してもよい。一実施形態において、添加剤を約1nM〜約1Mの濃度で添加してもよい。別の実施形態において、添加剤を約1μM〜約1Mの濃度で添加してもよい。別の実施形態において、添加剤を約1μM〜約1mMの濃度で添加してもよい。
【0102】
任意に、ある特定の実施形態において、鉛ハロゲン化物前駆体インクに水を添加してもよい。説明の意味で、および開示をいかなる特定の理論またはメカニズムに限定することなく、水の存在は、ペロブスカイト薄膜結晶成長に影響を与える。通常の環境下で、水は空気からの蒸気として吸収されてもよい。しかしながら、特定の濃度の鉛ハロゲン化物前駆体インクに水を直接添加することによりペロブスカイトPV結晶性を制御することが可能である。好適な水には、蒸留された脱イオン水、または(鉱物を含む)汚染物質を実質的に含まないあらゆる他の水源が含まれる。光I−Vスイープ(light I−V sweeps)に基づいて、ペロブスカイトPVの光電力変換効率が、完全に乾燥したデバイスと比較して、水の添加によりほぼ3倍となり得ることが見出された。
【0103】
得られるペロブスカイト材料の所望の特性に応じて、様々な濃度で鉛ハロゲン化物前駆体インクに水を添加してもよい。一実施形態において、約1nL/mL〜約1mL/mLの濃度で水を添加してもよい。別の実施形態において、約1μL/mL〜約0.1mL/mLの濃度で水を添加してもよい。別の実施形態において、約1μL/mL〜約20μL/mLの濃度で水を添加してもよい。
【0104】
図12は、水ありで(5110)、または水なしで(5120)作製されたペロブスカイトPVを比較する、走査電子顕微鏡の断面からの画像を示す。
図12から読み取れ得るとおり、水が含まれる場合(上側)と比較して作製中に水が排除された場合(下側)には、ペロブスカイト材料層(5111および5121)のかなりの構造変化が存在する。(水により作製された)ペロブスカイト材料層5111は、(水なしで作製された)ペロブスカイト材料層5121よりかなり接触して高密度である。
【0105】
鉛ハロゲン化物前駆体インクを、次いで所望の基板上で堆積してもよい。好適な基板層には、本開示において前に特定されたあらゆる基板層が含まれてもよい。上で注記したとおり、鉛ハロゲン化物前駆体インクを、これに限定されないが、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、またはインクジェット印刷を含む様々な手段により堆積してもよい。ある特定の実施形態において、鉛ハロゲン化物前駆体インクを、約5秒間〜600秒間の間、約500rpm〜約10,000rpmの速度で基板上にスピンコーティングしてもよい。一実施形態において、鉛ハロゲン化物前駆体インクを、約30秒間、約3000rpmで基板上にスピンコーティングしてもよい。鉛ハロゲン化物前駆体インクを、約0%相対湿度〜約50%相対湿度の範囲の湿度で周囲雰囲気で基板上に堆積してもよい。鉛ハロゲン化物前駆体インクを次いで、実質的に水を含まない雰囲気中で、すなわち、20%未満の相対湿度中で乾燥させて、薄膜を形成してもよい。
【0106】
薄膜を次いで、約20℃〜約300℃の温度で約24hまでの間、熱アニーリングしてもよい。一実施形態において、薄膜を、約50℃の温度で約10分間熱アニーリングしてもよい。ペロブスカイト材料活性層を次いで、変換プロセスにより完成させてもよく、前記プロセスにおいて、前駆体膜を、0.001M〜10Mの濃度で、溶媒または溶媒(例えばDMF、イソプロパノール、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルム クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、水など)および塩(例えばヨウ化メチルアンモニウム、ヨウ化ホルムアミジン、ヨウ化グアニジン、ヨウ化1,2,2−トリアミノビニルアンモニウム、5−アミノ吉草酸ヨウ化水素酸塩など)の混合物を含む溶液に浸すかまたは前記溶液で洗浄する。ある特定の実施形態において、薄膜をまた、この段落の第1行と同じやり方で熱的にポストアニーリングしてもよい。
【0107】
一部の実施形態において、鉛塩前駆体を基板の上に堆積して、鉛塩薄膜を形成してもよい。基板は、周囲温度におよそ等しい温度を有してもよく、または0〜500℃の制御された温度を有してもよい。鉛塩前駆体を、これに限定されないが、スピンコーティング、スロットダイ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE−CVD、熱的蒸発、またはスプレーコーティングを含む当該技術分野における様々な既知の方法により堆積してもよい。鉛塩前駆体は、液体、気体、または固体であってもよい。一部の実施形態において、鉛塩前駆体は、1種またはそれより多い溶媒を含む溶液であってもよい。例えば、鉛塩前駆体は、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert−ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルムおよびそれらの組み合わせの1種または2種以上を含んでもよい。鉛塩前駆体は、単一の鉛塩(例えばヨウ化鉛(II)、チオシアン酸鉛(II)など)または本明細書において開示されたこれらのあらゆる組み合わせ(例えばPbI
2+PbCl
2;PbI
2+Pb(SCN)
2など)を含んでもよい。鉛塩前駆体はまた、例えばアミノ酸(例えば5−アミノ吉草酸ヨウ化水素酸塩など)、1,8−ジヨードオクタン、1,8−ジチオオクタン、ホルムアミジニウムハロゲン化物、酢酸、トリフルオロ酢酸、メチルアンモニウムハロゲン化物または水などの1種またはそれより多い添加剤を含んでもよい。鉛塩前駆体インクを、実質的に水を含まない雰囲気中で、すなわち、20%未満の相対湿度中で乾燥させて、薄膜を形成してもよい。薄膜を次いで、約20℃〜約300℃の温度で約24hまでの間、熱アニーリングしてもよい。
【0108】
鉛塩前駆体が堆積された後、第2の塩前駆体(例えばヨウ化ホルムアミジン、チオシアン酸ホルムアミジン、またはチオシアン酸グアニジンなど)を鉛塩薄膜上に堆積してもよく、ここで、鉛塩薄膜は、周囲温度におよそ等しい温度を有してもよく、または0〜500℃の制御された温度を有してもよい。第2の塩前駆体を、約25℃〜約125℃の周囲温度でまたは昇温で堆積してもよい。第2の塩前駆体を、これに限定されないが、スピンコーティング、スロットダイ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE−CVD、熱的蒸発、またはスプレーコーティングを含む当該技術分野における様々な既知の方法により堆積してもよい。一部の実施形態において、第2の塩前駆体は、1種またはそれより多い溶媒を含む溶液であってもよい。例えば、第2の塩前駆体は、無水N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert−ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルムおよびそれらの組み合わせの1種または2種以上を含んでもよい。
【0109】
鉛塩前駆体および第2の塩前駆体の堆積後に、基板をアニーリングしてもよい。基板のアニーリングが、鉛塩前駆体および第2の塩前駆体をペロブスカイト材料(例えばFAPbI
3、GAPb(SCN)
3、FASnI
3など)に変換してもよい。周囲圧力(例えば、標高(elevation)および雰囲気条件に応じて約1気圧など)の様々な雰囲気中で、または雰囲気または周囲未満の圧力(例えば、1mTorr〜500mTorrなど)でアニーリングを行ってもよい。アニーリング雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば空気の0〜100g H
2O/m
3など)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO
2、または前記気体のあらゆる組み合わせを含んでもよい。制御された湿度環境には、絶対湿度または相対湿度%が固定値に保持されるか、または絶対湿度または相対湿度%が所定の設定点または所定の関数により変化する環境が含まれてもよい。特定の実施形態において、アニーリングが、0%以上50%以下の相対湿度%を有する、制御された湿度環境中で生じてもよい。他の実施形態において、アニーリングが、0g H
2O/m
3 空気以上20g H
2O/m
3 空気以下を含む、制御された湿度環境中で生じてもよい。一部の実施形態において、アニーリングが、50℃以上300℃以下の温度で生じてもよい。
【0110】
例えば、特定の実施形態において、FAPbI
3ペロブスカイト材料を、以下のプロセスにより形成してもよい。まず、無水DMF中に溶解された、約90:10モルの比のPbCl
2に対するPbI
2を含む鉛(II)ハロゲン化物前駆体を、スピンコーティングまたはスロットダイ印刷により基板上に堆積してもよい。鉛ハロゲン化物前駆体インクを、実質的に水を含まない雰囲気中で、すなわち、20%未満の相対湿度中でおよそ1時間(±15分間)乾燥させて、薄膜を形成してもよい。薄膜を次いで、約10分間、約50℃(±10℃)の温度で熱アニーリングしてもよい。他の実施形態において、鉛ハロゲン化物前駆体を、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE−CVD、原子層堆積、熱的蒸発、またはスプレーコーティングにより堆積してもよい。次に、無水イソプロピルアルコール中に溶解された、25〜60mg/mL濃度のヨウ化ホルムアミジンを含むヨウ化ホルムアミジン前駆体を、スピンコーティングまたはスロットダイ印刷により鉛ハロゲン化物薄膜上に堆積してもよい。他の実施形態において、ヨウ化ホルムアミジン前駆体を、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE−CVD、原子層堆積、熱的蒸発、またはスプレーコーティングにより堆積してもよい。鉛ハロゲン化物前駆体およびヨウ化ホルムアミジン前駆体を堆積した後に、約125℃〜200℃で、約25%相対湿度(約4〜7g H
2O/m
3 空気)で基板をアニーリングして、ホルムアミジニウムヨウ化鉛(FAPbI
3)ペロブスカイト材料を形成してもよい。
【0111】
前の段落に記載されたとおりに鉛ハロゲン化物薄膜を堆積することにより、ヨウ化鉛(II)、塩化鉛(II)、DMF、水、および酸素を含む鉛前駆体薄膜を形成してもよい。鉛前駆体薄膜は、
図21に示されるとおり、12.77±0.1、および30.04±0.1度でx線回折ピークを有する。
【0112】
鉛ハロゲン化物薄膜およびヨウ化ホルムアミジン薄膜を堆積して、その後、前の段落に記載のとおりにアニーリングすることにより、FAPbI
3ペロブスカイト材料が形成されてもよい。上記のやり方で形成したFAPbI
3ペロブスカイト材料は、
図23に例示されるとおり、2Θに関し、14.06±0.1、19.84±0.1、24.30±0.1、28.15±0.1、31.55±0.1、34.63±0.1、40.30±0.1、42.78±0.1、45.48±0.1、49.77±0.1、51.79±0.1、58.13±0.1、58.70±0.1、62.02±0.1、65.75±0.1、67.43±0.1、および72.81±0.1度でのピークを有するx線回折ピークを有する。これらのピークを、それぞれ2147、730、1712、2336、1459、590、695、800、508、737、492、486、484、501、500、480、および450の測定強度を有する。これらの強度は、バックグラウンドの較正がされていない。このデータは、Bruker D8 Discoveryの周囲条件で、5分間の積分時間で、Cu Kアルファ放射線源により収集された。これらのx線回折ピークは、
図22から見てわかるとおり、立方晶構造に対応する。
図22は、立方晶FAPbI
3についてシミュレーションされたx線回折パターンを例示する。見てわかるとおり、シミュレーションされたx線回折ピークは、本明細書において記載されたプロセスにより製造されたFAPbI
3について測定されたx線回折ピークに極めて近似して対応する。
【0113】
このx線回折パターンは、Pm−3m空間群およびおよそa=6.35Åの格子パラメータを有する、単純立方晶構造を有するFAPbI
3に対応する。注目に値するのは、測定されたx線回折パターンがまた、Fm−3m空間群を有する鉛(Pb)にから期待されるであろうものに対応する回折ピークを含むことである。
図25は、Fm−3m空間群を有する鉛のx線回折パターンを例示する。Lejaeghere K., Van Speybroeck V, Van Oost G., Cottenier S., “Error Estimates for Solid−State Density−Functional Theory Predictions: An Overview by Means of the Ground−State Elemental Crystals”, Critical Reviews in Solid State and Materials Sciences 39(1), 1 (2014)。このx線回折パターンは、2Θについて、FAPbI
3ペロブスカイト材料から測定されたある特定のピークに対応する、およそ30、35、51および61度でピークを有する。この鉛は、x線回折測定中にFAPbI
3ペロブスカイト材料のx線誘起された減衰の結果である可能性がある。
【0114】
図24は、上記のステップにより形成された立方晶FAPbI
3ペロブスカイト材料の結晶構造を例示する。
図24は、FA
+イオン7801およびヨウ化物イオン7802を有する立方晶FAPbI
3ペロブスカイト材料を例示し、ヨウ化物イオン7802は、鉛(II)イオン(未ラベル)を中心とした八面体の頂点を形成する。
【0115】
したがって、本発明は、述べられた目的および利点ならびにそれらにおいて固有であるものを達成するように十分に適合される。本発明は、本明細書における教示の利益を有する当業者に明らかな、異なるが同等のやり方で修正または実施されてもよいので、上で開示された特定の実施形態は、単に例示的なものである。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外に、本明細書で示される構築または設計の詳細への限定は意図されない。したがって、上で開示された特定の例示的実施形態は、変更または修正されてもよく、このような変形のすべては、本発明の範囲および趣旨の範囲内とみなされることは明らかである。特に、本明細書で開示される値のあらゆる範囲(「約aから約b」または等しく、「およそaからb」または等しく、「およそa〜b」の形式)は、値のそれぞれの範囲のべき集合(すべての部分集合の集合)を指すと理解されるべきであり、値のより広い範囲内に包含されるあらゆる範囲を示す。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者による明示的におよび明瞭に定義されない限り、それらの単純な、通常の意味を有する。
ペロブスカイト光活性層をプロセシングするための方法。前記方法は、鉛塩前駆体を基板上に堆積して鉛塩薄膜を形成し、第2の塩前駆体鉛塩薄膜状に堆積し、基板をアニーリングしてペロブスカイト材料を形成することを含む。