特許第6374164号(P6374164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6374164環境に優しい吸収性構造体を製造するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374164
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】環境に優しい吸収性構造体を製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20180806BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   A61F13/15 329
   A61F13/532 210
【請求項の数】14
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2013-534199(P2013-534199)
(86)(22)【出願日】2011年10月20日
(65)【公表番号】特表2013-540024(P2013-540024A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2011005286
(87)【国際公開番号】WO2012052173
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年6月19日
(31)【優先権主張番号】10447025.7
(32)【優先日】2010年10月20日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513094217
【氏名又は名称】ドライロック テクノロジーズ エンフェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ファン マルデレン,バルト
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−507384(JP,A)
【文献】 特開2007−209786(JP,A)
【文献】 特開2010−068954(JP,A)
【文献】 特開2010−088529(JP,A)
【文献】 特開2008−142220(JP,A)
【文献】 特開2005−059579(JP,A)
【文献】 特開2007−050380(JP,A)
【文献】 特開平04−341368(JP,A)
【文献】 特開2000−247303(JP,A)
【文献】 特開昭63−283777(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0266478(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 −13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性粒子状ポリマー材料のパターンを含む感水性で吸収性のサンドイッチ構造を製造する方法において:
a−キャリア層および/または補助層として少なくとも1つの本質的にエンドレスの層を提供するステップと
b−前記キャリア層のための本質的にエンドレスの支持手段を提供するステップと、
c−前記支持手段上に前記キャリア層を配置するステップであって、
それによって前記キャリア層が前記支持手段の接触面と接触し、
それによって、前記キャリア層、前記キャリア支持手段の接触面、およびクラスター化手段の間の相対速度が本質的に0になるステップと;
d−粒子材料供給手段から吸収性粒子状ポリマー材料流を供給するステップと;
e−クラスター化手段の穿孔を介して前記吸収性粒子状ポリマー材料を誘導するステップと;
f−本質的にエンドレスの材料を補助材料として提供するステップと;
g−前記キャリア層および前記補助層をそれらの間にはさまれる前記吸収性粒子状ポリマー材料と組み合わせるステップとを含み;
h−前記クラスター化手段によって前記吸収性粒子状ポリマー材料が前記キャリア層に向けて誘導され、それによって吸収性粒子状ポリマー材料の印刷パターンが形成され;
I−位置決め手段によって前記印刷パターンが配置され、それによって前記キャリア材料上に吸収性粒子状ポリマー材料のポケットパターンが形成されて、
前記キャリア層と前記補助層とが、ステップgにおいて、ほぼ永続する第1の取り付け部と、取り外し可能な第2の取り付け部とで結合されて、連続する側面取り付け領域と、断続的な長手方向に間隔を空けた中間取り付け領域の選択されたパターンとが設けられることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記方法が、前記キャリア層および補助層を連結して吸収性粒子状ポリマー材料のパターンを形成する前に、前記位置決め手段によって、ポケット間パターンゾーンから前記ポケットパターン中に吸収性粒子状ポリマー材料を排出するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記方法が、前記クラスター化手段の前記穿孔によって捕捉されていない吸収性粒子状ポリマー材料を前記クラスター化手段から除去するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法において、前記方法が、前記クラスター化手段の底部開口部を介して前記キャリア層に向けて実質的にすべての吸収性粒子状ポリマー材料を排出するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法において、前記クラスター化手段が回転ドラムであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法において、前記方法が、吸収性粒子状ポリマー材料が全く堆積されない時間を形成するために、前記吸収性粒子状ポリマー材料流を中断するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法において、少なくとも1つのキャリア層および/または補助層が、液体透過性の不織布、紙、またはティッシュの形態で提供されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法において、不均一にポケットに入れるパターンを得るために位置決め手段として空気流を使用する前に、前記吸収性粒子状ポリマー材料を実質的に均一な印刷パターンで前記キャリア材料に供給することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の吸収性構造体の使用において、女性用衛生衣類、幼児用おむつ、幼児用パンツ、成人用失禁衣類から選択される吸収性物品中での使用。
【請求項10】
吸収性粒子状ポリマー材料のパターンを含む複合構造体を製造するための装置において:
a−所望の穿孔パターンを有するクラスター化手段と、
b−前記クラスター化手段の前記穿孔の入口領域中に吸収性粒子状ポリマー材料を供給するために配置された吸収性粒子状ポリマー材料供給手段と、
c−キャリア層を供給するキャリア層供給手段と、前記クラスター化手段の出口領域に近接して前記キャリア層を移動させる支持手段と、
d−所望のポケットパターンを有する位置決め手段と、
e−吸収性粒子状ポリマー材料パターンを有する前記キャリア層を取り付け手段に向けて移動させる移送手段とを含み、
前記取り付け手段が、ほぼ永続する第1の取り付け部と、取り外し可能な第2の取り付け部とを形成するように構成され、
前記装置が、さらに、
f−連続する側面取り付け領域と、断続的な長手方向に間隔を空けた中間取り付け領域の選択されたパターンと、を設ける周辺手段を含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、吸収性粒子状ポリマー材料の前記パターンの上に補助層を提供するための少なくとも1つの被覆手段が提供されることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の装置において、少なくとも1つの超音波取り付け手段が提供されることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項10乃至12の何れか1項に記載の装置において、前記位置決め手段が空気流手段によって提供されることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項10乃至13の何れか1項に記載の装置において、前記クラスター化手段が、エンドレス回転ドラムの形態で提供されることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア層と、補助層と、それらの間に配置される吸収性粒子状ポリマー材料とからなるサンドイッチ構造を製造するための方法および装置に関する。本発明の方法は、所望の所定パターンのクラスターの吸収性粒子状ポリマー材料を移動するキャリア層上に堆積し、補助層を加え、続いて少なくとも部分的に互いに層を取り付けることでサンドイッチ構造を高い製造速度および比較的低コストで形成できる。このような方法は、吸収性物品中、好ましくは、たとえば女性用衛生衣類、幼児用おむつ、幼児用パンツ、および/または成人用失禁衣類などの使い捨ての物品中に使用される吸収性構造体の製造に特に有用である。したがって、本発明の方法によって、セルロース繊維および/または化学バインダーを実質的に使用しない吸収性構造体を製造でき、したがって非常に環境に優しいと考えられる。
【背景技術】
【0002】
近年、製造、販売、デザイン、フィット感、着用感、分配、廃棄物処理、材料およびエネルギーの消費、輸送費および保管費などの種々の問題を解決するために、可撓性でより薄く軽量の吸収性構造体に対する要求が高まっている。
【0003】
吸収性構造体を形成するためにセルロース繊維のマトリックス中に吸収性粒子状ポリマー材料を導入することで、吸収性粒子状ポリマー材料による液体の吸収、分散、および維持が可能となり、同時にセルロース繊維マトリックスがグリッドとして機能して、吸収性粒子状ポリマー材料が所望の位置に維持されることが、当技術分野において知られている。しかし、通常は木材パルプまたはフラッフであるセルロース繊維が存在すると、比較的厚く嵩高い製品が得られ、フラッフの製造方法は、樹木の伐採と、種々の化学物質での木材パルプの処理とを伴い、原材料および最終製品の輸送は、通常、比較的長距離にわたって行われるので、製品および方法はあまり環境に優しくないと考えられる。したがって、ここでは木材パルプを使用せずにそのような吸収性構造体を製造することも望まれている。
【0004】
1つ以上のキャリア層またはその間に結合した吸収材料からなる可撓性で薄く軽量の吸収性構造体を製造するために、多くの試みが行われている。しかし、吸収材料、結合材料、および/またはキャリア層との間の物理的および/または化学的相互作用によって、機能的および/または構造的要求にもかかわらず、吸収、分散、および/または保持性能の低下が生じることが多い。
【0005】
乾燥状態、部分的、および/または最大限に液体が充填された状態のいずれにおいても、吸収性構造体が吸収性粒子状ポリマー材料を保持できるような方法で、吸収性粒子状ポリマー材料を吸収性構造体に区画化、束縛、および/または結合することによって、吸収性粒子状ポリマー材料を少なくとも部分的に固定することが重要であることが分かっている。しかし、十分な構造的完全性を得ることができないと、液体管理が不十分となり、吸収性構造体の凝集、吸収、分散、輸送および/または保持性能などの機能的性能の低下、ならびに部分的または全体的な破壊が生じる。
【0006】
使用中の吸収性構造体中での吸収性粒子状ポリマー材料の区画化、束縛、および/または結合を維持できるようにするために、製造プロセス中に所定の望ましい位置、パターンでこのような吸収性粒子状ポリマー材料を堆積することが必要である。したがって、吸収性粒子状ポリマー材料を実質的に連続的に特異的で明確で離散的に配置されたパターンで比較的高速で移動するキャリア層上に堆積できることが非常に望ましい。
【0007】
キャリア層の長さに沿って断続的および離散的に配置された粒子状材料の選択された領域を有する複合構造体の製造方法を提供するために複数の試みが行われており、欧州特許第1621166号明細書には、キャリア材料とカバー材料との間に囲まれたあるパターンの粒子状材料を有するサンドイッチ構造の形成方法が記載されている。この方法は、外部サンドイッチ層を形成するための実質的に平坦なキャリア材料および実質的に平坦なカバー材料を提供するステップを含む。さらなるステップは、支持パターンを有するキャリア材料用の本質的にエンドレスの支持手段およびキャリア材料保持手段を提供する。固定フレームに対してあるキャリア速度でキャリア材料が支持手段上に配置され、それによって、キャリア手段が、支持表面を有する支持パターンに接触し、それによってキャリア材料とキャリア支持手段の接触面との間の相対速度が実質的に0になる。吸収性粒子状材料が提供され、吸収性粒子状材料の量があらかじめ計量される。カバー材料およびキャリア材料は、それらの間に配置された吸収性粒子状材料と組み合わされ、固定手段によって固定される。キャリア材料は、支持手段の支持パターン上の領域によってのみ支持され、キャリア保持手段によって変形することで、支持されていない領域にくぼみが形成される。吸収性粒子状材料はキャリア材料のくぼみの中に広がり、それによって外層の間にはさまれた粒子状材料のパターンが形成される。
【0008】
従来技術の試みでは、サンドイッチ構造の製造方法、およびポケット中に離散的な粒子状材料クラスターを得る機構が記載されているが、上記方法には1つ以上の欠点があると考えられる。従来技術の方法は、吸収性粒子状材料パターンの精度および再現性が不足しており、不安定な予備計量、形成、および輸送の手段を有する。粒子状材料の輸送およびクラスター化に必要な大型で高価な予備計量、形成、および吸引の手段は、それぞれの製品の概念/サイズ/吸収性に関して非常に特異的に設定変更する必要があり、設計、構築、取り付け、および取り替えが非常に費用がかかる。さらに、これらの装置は、通常製造中の運転に、比較的多量のエネルギーを消費し、多くの資源が使われる。さらにウェブ材料は、粒子材料のクラスター化および堆積に関して非常に狭い許容範囲内での操作が必要であり、比較的限定された製造速度でのみ操作可能であり、大型で複雑な機械および設備が必要であり、これらは過度の引き裂き、摩耗、メンテナンス、洗浄、調節などにさらされる。従来技術の製品の固定および/または備え付け手段は、化学接着剤、のり、またはバインダーの使用も伴い、これらは環境に対して悪影響を与え、プロセスのコストが増加する。また、従来技術の方法では、キャリア層が少なくとも十分にガス透過性となる必要があり、一方、たとえば幼児用おむつなどの流体を取り扱い保管する製品の多くの用途では、キャリア層が液体および実質的にガスが不浸透性のバリア層で構成されることが望ましい。このような不十分で効果的でない方法、ならびに複雑な製造プロセスのため、従来技術の方法はいずれも経済的、技術的、および/または環境的に有利とならない。
【0009】
したがって、製造プロセス中の資源の消費および/または浪費が限定され、高い製造速度で移動するキャリア層の表面上に特異的で明確で離散的に配置されたパターンで連続して粒子状材料を一貫して配置し収容するための、信頼性があり、環境に優しく、費用対効果が高く、メンテナンスが容易な方法および装置が当技術分野において依然として必要とされている。
【0010】
前述の問題および関連する問題に対処するための徹底調査の結果として、本発明者らは、そのような概念および構造を得るためのより好適で有利な製造方法を見いだし、それについて以下により詳細に説明する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、実質的にセルロースを含有せずおよび実質的に接着剤を含有しない吸収性構造体を形成するための、あらかじめ画定された所望のパターンでキャリア層へ堆積された粒子状材料、好ましくは吸収性粒子状ポリマー材料を有する複合構造体の製造方法に関する。
【0012】
特に、本発明は、粒子状材料のパターンを含むサンドイッチ構造の製造方法において:
a−キャリア層および/または補助層として少なくとも1つの本質的にエンドレスの層を提供するステップと
b−前記キャリア層のための本質的にエンドレスの支持手段を提供するステップと、
c−前記支持手段上に前記キャリア層を配置するステップであって、
それによって前記キャリア層が前記支持手段の接触面と接触し、
それによって、前記キャリア層、前記キャリア支持手段の接触面、およびクラスター化手段の間の相対速度が本質的に0になるステップと;
d−粒子材料供給手段から粒子状材料流を供給するステップと;
e−クラスター化手段の穿孔を介して粒子状材料を誘導するステップと;
f−本質的にエンドレスの材料を補助材料として提供するステップと;
g−前記補助層および前記キャリア層をそれらの間にはさまれる前記粒子状材料と組み合わせるステップとを含み;
g−前記クラスター化手段によって、前記粒子状材料があらかじめ指定した位置でキャリア層上に堆積され、それによって前記キャリア層上に粒子状材料の印刷パターンが形成され、それによって粒子状材料の一次パターンが形成されることを特徴とし、さらに
i−超音波またはヒートシール取り付け手段を提供するステップを含む方法を提供する。
【0013】
この方法は、クラスター化手段に近接した粒子状材料堆積位置に本質的にエンドレスのキャリア層を提供するステップを含む。本発明の好ましい位置実施形態において、所望の穿孔パターンを有するクラスター化手段が、本質的にエンドレスの回転ドラム中に組み込まれ、クラスター化手段は、回転ドラム上に交換可能に搭載することも、回転ドラムと一体とすることもできる。キャリア層は、固定フレームに対してあるキャリア速度で実質的にエンドレスの支持手段の上に配置され、それによってキャリア層は支持手段と接触し、それによってキャリア層、支持手段、およびクラスター化手段および/またはドラムの間の相対速度が好ましくは本質的に0となる。あるいは、クラスター手段が静止しており、キャリア層とクラスター手段との間の相対速度が0ではないが、これは好ましくない。粒子状材料は、粒子状材料供給手段によって提供され、粒子状材料流はクラスター化手段に向けられる。粒子状材料は、クラスター化手段の穿孔の入口領域によって集められ、排出されるまではクラスター化手段の穿孔の出口領域および/または入口領域に少なくとも部分的に保持される。キャリア層は好ましくは、支持手段の表面領域の少なくとも一部の上で支持される一方、穿孔中に捕らえられ保持される粒子状材料がキャリア材料上に堆積される。
【0014】
本発明の一実施形態においては、これによって得られた個別に堆積された粒子状材料クラスターを上に有するキャリア層の複合構造は、たとえば不織布、ティッシュ、紙、熱可塑性材料などの補助層が補足される、および/またはたとえばのり、結合、接合部などの取り付け手段が取り付けられることで、粒子状材料クラスターがそれらの間で比較的固定されて、吸収性構造体の形態で使用可能なサンドイッチ構造が得られる。
【0015】
好ましい一実施形態においては、補助層によって、粒子状材料クラスターが固定および/または束縛される、および/または超音波接合、熱結合、および/または圧力接合手段によって取り付け手段が外層と互いに封止、結合、および/または連結される。取り付け手段によって、好ましくは粒子状材料クラスターのポケットおよび/または区画が形成および/または画定され、それによって結合および/または接合領域は、粒子状材料および/またはのりを本質的に含まない。経済的、環境的、および技術的な理由で、粒子状材料クラスターを1つ以上の外層に対して固定する、ポケットに入れる、封入する、結合するおよび/または連結するために、粒子状材料クラスターを多量の熱可塑性材料、のり、バインダー、および/または接着剤で意図的に覆わないことが好ましいが、粒子状材料クラスターは、超音波接合手段などの取り付け手段によって外層の間に取り付けパターンを提供することによって、好ましくはポケットに入れられる。
【0016】
強度、捕捉、吸収、分散、輸送、保持などのさらなる機能的および/または構造的利点を得て組み込むために、追加の材料および/または層を設けることができる。たとえば液体透過性分散層および/または液体不透過性吸い上げ層を、吸収性構造体に加えたり吸収性構造体と一体化させたりすることができる。
【0017】
本発明の別の一態様は、粒子状材料クラスターを含む複合構造体を製造するための装置において:
a−所望の穿孔パターンを有するクラスター化手段と
b−前記クラスター化手段の穿孔の入口領域中に粒子状材料を供給するために配置された粒子状材料供給手段と、
c−キャリア層を供給するキャリア層供給手段と、クラスター化手段の出口領域に近接して前記キャリア層を移動させる支持手段と
d−粒子状材料クラスターを有する前記キャリア層をクラスター化手段から離れるように移動させる移送手段と、
e−前記粒子状材料クラスターの上に補助層を供給する被覆手段と
を含む装置を提供する。
【0018】
本発明は、キャリア層上に堆積された所定の選択された粒子状材料クラスターを有する複合構造体を形成するための装置も提供する。この装置は、入口領域および出口領域を含む穿孔を有するクラスター化手段と、粒子状材料をクラスター化手段に供給する粒子状材料供給手段とを含む。キャリア層供給手段はキャリア層を提供する一方、支持手段は、クラスター化手段の出口領域の近くの堆積位置にキャリア層を移動させる。クラスター化手段は、好ましくは、粒子供給手段によって提供される粒子状材料流の粒子状材料を捕捉し、収集し、保持するように配置される。クラスター化手段中の穿孔は、入口領域によって粒子状材料流が捕捉および収集されるように設計され、好ましくは粒子状材料は出口領域に向かって集中することで、穿孔中で蓄積して粒子状材料クラスターが形成されて、好ましくは粒子状材料クラスターのばらばらの印刷パターンでキャリア層上に堆積できる状態となる。支持手段は、クラスター化手段の穿孔の出口領域に好ましくは近接した、最も好ましくは接触した堆積位置にキャリア層を移動させる。キャリア層の堆積面上に堆積されるまでばらばらの粒子状材料クラスターが固定されるように、好ましくは、キャリア層の堆積面と、クラスター化手段の外部接触面との間で選択されたレベルの加圧接触が得られる。代替的一実施形態においては、キャリア層の堆積面とクラスター化手段の外部接触面との間で実質的な加圧接触は行われず、粒子状材料流によって供給される粒子状材料は、キャリア層上に直ちに捕捉され、収集され、堆積する。これは典型的には、静止したクラスター化手段と移動するキャリア層との場合に使用される。堆積後、移送手段によってキャリア層が移動し、その上に堆積された粒子状材料はクラスター化手段から離れる。好ましい一実施形態においては、キャリア層上に堆積された粒子状材料クラスターは、被覆手段によって補助層で覆われて、たとえば吸収性ポリマー材料領域が形成される。より好ましい一実施形態においては、複合構造体の粒子状材料クラスターは、キャリア層と任意の好適な補助層との間で比較的固定、結合、連結、および/または他の方法で拘束される。好ましくは、区画またはクラスターの形態で間に閉じ込められ、および/または固定、結合、連結、および/または拘束された粒子状材料を有するキャリア層および補助層の複合サンドイッチ構造を得るための取り付け手段が提供される。
【0019】
好ましい一実施形態において、粒子状材料供給手段は、正確、連続的、および制御可能に必要な粒子状材料の量、大きさ、および/または速度をクラスター化手段に向けて提供するための振動、巻き取り、および/または回転手段を含む。さらに好ましくは、粒子状材料が、このような振動、巻き取り、および/または回転手段と、クラスター化手段との間に供給管手段によって移送され、これの代わりに、ガス圧力手段を配置して、クラスター化手段の入口領域に粒子状材料流を案内し向かわせることもできる。好ましい一実施形態において、供給管は、実質的に長手方向、垂直方向、および/または収束するものであり、粒子状材料は実質的に重量を有するので、供給管からクラスター化手段への粒子の位相に重力を利用することができる。しかし、機械的(空気流)、静電的(粒子材料の耐電など)、または電磁気的(粒子が磁界と相互作用する場合の磁石など)、および/またはその他の手段などのさらなる移送手段を、このような粒子状材料流のクラスター化手段への移送および/または移送の促進に使用することができる。
【0020】
好ましい一実施形態においては、供給管手段に入る粒子の量、大きさ、および/または速度を制御するために、体積、重量、またはその他の種類の計量供給手段が提供される。さらに好ましくは、粒子状材料流は、除去手段中の制御手段によって方向変換させて、再使用のために回収管手段によって粒子供給手段に向けて移動させることができ、および/またはあまり好ましくないが後の使用のために収集手段によって製造システムから別の貯蔵設備に案内することができ、および/または回復不能な損傷、異物混入、汚損、および/または使用不能の場合には廃棄することができる。
【0021】
好ましい一実施形態において、クラスター化手段は、円筒状の外殻を有することが好ましい実質的にエンドレスの回転ドラムと一体となっている。好ましい一実施形態においては、交換可能、カスタマイズ可能、および/または調節可能なクラスター化手段を有するエンドレスの回転ドラムが提供される。ドラムは、供給管手段の開口部と一列に並んで作動し、それによって粒子状材料は、クラスター化手段の穿孔パターンのそれぞれの入口領域および/または出口領域を介して落下し、案内され、誘導され、押し出され、および/または減圧されることで、所望の印刷パターンが得られる。
【0022】
クラスター化手段の穿孔が不十分に充填(または最終的に「ちょうど充填」)されることが好ましい。重量計量供給システムを好ましくは有する粒子材料供給手段と、適切な寸法および形状の管、パイプ、またはコンベア供給管手段とを併用することで、確実に適切な重量が供給され、穿孔に集められ、出口領域によって堆積され、それによってクラスター化手段の穿孔パターンにより規定される粒子状材料クラスターの所望の印刷パターンが形成される。
【0023】
好ましい一実施形態において、入口領域は、鋭い稜によって互いに分離された急傾斜を有する漏斗状の形状であり、そのため実質的な量の粒子状材料は入口領域の間および/または入口領域の傾斜上にはとどまらず、キャリア材料上への計画された堆積のために出口領域間に向けて容易に移送される。好ましい一実施形態において、均一、不均一、または複合的な穿孔パターンを得るために、大きいものと小さいものとの組み合わせの入口領域および出口領域が提供される。
【0024】
製造プロセス中のクラスター化手段の過剰充填を防止するために、好ましくは穿孔の空隙容積が、印刷しようとする粒子状材料の体積よりも大きい。適切に設計されたクラスター化手段および十分に、効果的に、および効率的に動作する装置の場合、製造プロセスの精度および信頼性を大きく高めることもでき、それによって掃き落とし手段も不要となり、それによって原材料の使用が最適化され、投資費用が限定され、維持費が削減される。しかし必要な場合には、粒子状材料の任意の「過剰充填」、移動、および/または誤配置は、スクレーパー、ブラシ、空気ブロー、真空吸引などの掃き落とし手段によって、クラスター手段の1つ以上の利用可能な入口領域まで案内および/または再誘導することができ、および/または再利用、収集、および/または廃棄のためにクラスター化手段から移動させるために回収手段または収集手段まで案内することもできる。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態による方法および装置によって、経済的、環境的、技術的、および/または商業的に有利である、高く評価される薄い、可撓性の、および/または軽量の複合構造体が得られるが、それは、これらが、多量および嵩高い量のフラッフおよび木材パルプなどの繊維状吸収材料を使用せずに得られ(「フラッフレス」参照)、多量で高価となる量ののり、バインダー、接着剤、および/または他の熱可塑性材料を使用しないため(「のりなし」参照)ではない。これは、今までのところ従来技術では先例がなく、産業、社会、および消費者に非常に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明を実施するための概略的なプロセスを示している。
図2図2は、本発明の一実施形態によるドラム上に搭載されたクラスター化手段の概略上面図を示している。
図3図3は、本発明の一実施形態によるクラスター化手段の概略上面図を示している。
図4図4は、本発明の一実施形態による印刷パターンにより堆積された粒子状材料クラスターを有するキャリア層の概略上面図を示している。
図5図5は、本発明の一実施形態によるクラスター化手段の断面概略図を示している。
図6図6は、本発明の一実施形態による印刷された粒子状材料クラスターの断面概略図を示している。
図7図7は、本発明の一実施形態により本発明を実施するための装置の概略図を示している。
図8図8は、図7に示される装置の一部の概略拡大断面図を示している。
図9図9は、本発明による吸収性物品の好ましい一実施形態としてのおむつの平面図であり、上部の層は部分的に切り取られている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、粒子状材料シートのばらばらで所定の印刷パターンを形成するために、任意選択で取り付け手段によって、好ましくはキャリア層と補助層との間で、クラスター化、封入、および/または固定された粒子状材料、好ましくは吸収性ポリマー材料などの吸収性粒子状材料、より好ましくは吸収性粒子状ポリマー材料を含む複合構造体において、吸収性製品、好ましくは、女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、ならびに成人用失禁衣類などの個人向け衛生産業の使い捨て吸収性物品中に使用するための複合構造体を製造するための方法および装置に関する。
【0028】
他に定義されるのでなければ、技術用語および科学用語などの本発明の開示に使用されるすべての用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されている意味を有する。さらなるガイダンスによる、用語の定義は、本発明の教示をより十分に理解するために含まれている。
【0029】
本明細書において使用される場合、以下の用語は以下の意味を有する:
本明細書において使用される場合、「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかに他のことを示すのでなければ、単数および複数の両方の指示物を意味する。例として、「1つの区画(a compartment)」は、1つまたは2つ以上の区画を意味する。
【0030】
パラメーター、量、時間の長さなどの測定可能な値に言及する場合に本明細書において使用される「約」は、以下の変動が本開示の発明の実質に適切である限りにおいて、指定の値のおよび指定の値からの、±20%以下、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、さらにはより好ましくは±1%以下、さらにより好ましくは±0.1%以下の変動を含むことを意味する。しかし、修飾語「約」によって言及される値自体も明確に開示されるものと理解されたい。
【0031】
本明細書において使用される場合、「吸収性物品」、「吸収性衣類」、「吸収性製品」、「吸収物品」、「吸収衣類」、「吸収製品」などは、同義で使用され、身体滲出物を吸収し含有する機構を意味し、特に、身体から排出された種々の液体を吸収し含有するために、着用者の身体に対してまたはその近傍に配置される機構を意味する。吸収性物品としては、女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、成人用失禁衣類、種々のおむつおよびパンツのホルダー、ライナー、タオル、吸収インサートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において使用される場合、「吸収性成分」は、吸収性構造体の構造的構成要素、たとえば、マルチピース吸収性コア中の複数の部品の中の1つなどの吸収性コアの1部品を意味する。
【0033】
本明細書において使用される場合、「吸収性要素」は、特定の機能に好適な特定の液体取り扱い特性を有する1種類以上の材料から形成された、吸収性構造体の機能性構成要素の一部、たとえば、液体捕捉層、液体分散層、または液体貯蔵層を意味する。
【0034】
本明細書において使用される場合、「吸収インサート」は、吸収性物品中に挿入するために適合しており、そのように挿入したときに吸収性構造体として機能する機構を意味する。
【0035】
本明細書において使用される場合、「吸収層」は、吸収性構造体の個別の識別可能なシート状またはウェブ状の要素を意味する用語を意味し、これは、別のそのような要素に対して分離したままで比較的移動可能であってよいし、別のそのような要素と永久的に結合したままとなるように取り付けたり連結したりすることもできる。各吸収層自体は、類似または種々の組成の数個の層、シート、および/またはウェブの積層体または組み合わせを含むことができる。
【0036】
本明細書において使用される場合「吸収性ポリマー材料」、「吸収性ゲル化材料」、「AGM」、「高吸収剤」、「高吸収材料」、「高吸収性ポリマー」、「SAP」などは、同義で使用され、Centrifuge Retention Capacity試験(EDANA 441.2−01)を使用して測定してその重量の少なくとも5倍、好ましくは少なくとも約10倍以上の0.9%塩水溶液を吸収できる任意の好適な粒子状(たとえば、フレーク状、粒子状、顆粒状、または粉末状)または繊維状の架橋ポリマー材料を意味する。
【0037】
本明細書において使用される場合、「吸収性ポリマー材料領域」は、隣接する層が多数の吸収性ポリマー材料で分離される吸収性構造体の領域を意味する。吸収性粒子状ポリマー材料領域中のこれらの隣接層の間の付随的な接触は、意図的であっても(たとえば結合領域)、意図的でなくてもよい(たとえば製造の人工産物)。
【0038】
本明細書において使用される場合、「吸収性粒子状ポリマー材料」は、乾燥状態で流動性となるように粉末、顆粒、フレークなどの粒子状形態である吸収性ポリマー材料を意味する。
【0039】
本明細書において使用される場合、「吸収性構造体」は、身体滲出物の吸収、分散、および保持に好適な材料または材料の組み合わせを含む吸収性物品の要素を意味する。
【0040】
本明細書において使用される場合、「吸収」は、液体が材料中に取り込まれる過程を意味する。
【0041】
本明細書において使用される場合、「捕捉層」、「捕捉領域」、「捕捉表面」、または「捕捉材料」などは、より速い液体取り込み能力を有する層を意味する。
【0042】
「吸収性」は、毛細管現象、浸透圧作用、溶媒作用、化学的作用、またはその他の作用を含む種々の手段によって流体を取り込む材料の能力である。
【0043】
本明細書において使用される場合、「成人用失禁衣類」は、失禁する成人が着用することが意図された、身体滲出物を吸収し含有するための吸収性物品を意味する。
【0044】
本明細書において使用される場合、「接着力」は、異なる材料をそれらの界面で互いに維持する力を意味する。
【0045】
本明細書において使用される場合、「接着剤」は、溶液中または加熱した場合に流動性である場合も流動性でない場合もある材料であって、材料を互いに結合させるために使用される材料を意味する。
【0046】
本明細書において使用される場合、「吸着」は、材料の表面によって液体が取り込まれる過程を意味する。
【0047】
本明細書において使用される場合、「エアレイする」は、繊維または粒子を空気流中に分散させ、圧力または真空によって空気流から移動スクリーン上にそれらを凝縮させることによってウェブを形成することを意味し;エアレイによって製造された繊維のウェブを本明細書においては「エアレイド」と呼び;布の完全性を得るために1つ以上の技術によって結合させたエアレイドウェブを、本明細書では「エアレイド不織布」と呼ぶ。
【0048】
本明細書において使用される場合、「見掛け密度」、「密度」などは、サンプルの坪量を厚さで割った値を意味し、その値では適切な単位換算が行われている。本明細書において使用される見掛け密度は、単位g/cmを有する。
【0049】
本明細書において使用される場合「取り付ける」、「取り付けた」、および「取り付け」は、用語「固定する」、「貼る」、「留める」、「のりでつける」、「結合する」、「連結する」、および「結び付ける」の同等語と同義である。
【0050】
本明細書において使用される場合、「幼児用おむつ」は、使用者が脚の間に引き上げ、着用者の腰の周囲で固定する、子供が着用し、身体滲出物を吸収し含有することが意図された吸収性物品を意味する。
【0051】
本明細書において使用される場合、「幼児用パンツ」は、身体滲出物を吸収し含有するために子供の胴体下部を覆うことが意図された、子供のおむつから下着への移行期に使用するために販売される吸収性物品を意味し、この物品は、パンツ衣類のように一般に構成され、腰回り部分が完成した状態で製造され、そのため使用者が着用者の腰の周囲で物品を固定する必要がなくなる。
【0052】
本明細書において使用される場合、「背面領域」は、着用者の背面の近くに配置されることが意図される吸収性物品またはその一部の部分を意味する。
【0053】
本明細書において使用される場合、「裏地」は、製品の裏面を支持し補強するウェブまたは他の材料を意味する。
【0054】
「坪量」は、グラム/平方メートル、g/m、またはgsmの単位で報告されるサンプルの単位面積当たりの重量である。
【0055】
本明細書において使用される場合「身体滲出物」、「身体性滲出物」、「身体性流体」、「体液」、「身体性排出物」、「身体排出物」、「液体」などは、同義で使用され、尿、血液、膣分泌物、母乳、汗、および糞便を意味するが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本明細書において使用される場合、「バインダー」、「接着剤」、「のり」、「樹脂」、「プラスチック」などは、同義で使用され、一般に固体形態(たとえば粉末、フィルム、繊維)、または発泡体として、または液体形態(たとえばエマルジョン、分散液、溶液)であり、たとえば含浸、吹き付け、印刷、発泡体塗布などによって使用され、機能的および/または構造的成分、要素、および材料の取り付けまたは結合のために使用される、たとえば感熱接着剤および/または感圧接着剤、ホットメルト、熱活性化接着剤、熱可塑性材料、化学活性化接着剤/溶媒、硬化性材料などの物質を意味する。
【0057】
本明細書において使用される場合、「結合強度」は、結合した表面の間の接着の量を意味する。これは、結合する基部から材料層を分離するのに必要な応力の尺度の1つである。
【0058】
本明細書において使用される場合、「毛細管現象」、「毛細管作用」、または「毛細管運動」などは、多孔質媒体を通過する液体の流動の現象を意味するために使用される。
【0059】
本明細書において使用される場合、「シャーシ」は、その上に物品の構造体の残りの部分が組み立てられる、または重ねられる、吸収性物品の基礎的な構成要素を意味し、たとえばおむつにおいては、着用するために構成される場合におむつをブリーフまたはパンツの形状にする構造的要素であり、たとえばバックシート、トップシート、またはトップシートとバックシートとの組み合わせである。
【0060】
本明細書において使用される場合、「セルロース繊維」は、たとえば綿、リネンなどのセルロースを主成分とする天然繊維を意味し;木材パルプ繊維はセルロース繊維の一例であり;再生セルロース(レーヨン)、あるいは部分または完全アセチル化セルロース誘導体(たとえば酢酸セルロースまたは三酢酸セルロース)などのセルロースから誘導される人造繊維もセルロース繊維と見なされる。
【0061】
本明細書において使用される場合、「クラスター」などは、粒子および/または繊維の集塊を意味する。
【0062】
本明細書において使用される場合、「化学硬化繊維」、化学修飾繊維」、「化学架橋繊維」、「捲縮繊維」などは、同義で使用され、乾燥条件および水性条件の両方の下で、たとえば化学硬化剤の添加(たとえばコーティング、含浸などによって)、繊維自体の化学構造の変化(たとえばポリマー鎖の架橋などによって)などによって、繊維の剛性を増加させるために化学的手段で硬化させた任意の繊維を意味する。
【0063】
本明細書において使用される場合、「凝集力」は、類似の材料を互いに分離することに対する抵抗性を意味する。
【0064】
本明細書において使用される場合、「comprise」(含む)、「含むこと」(comprising)、および「含む」(comprises)、ならびに「構成される」(comprised of)は、「含む」(include)、「含むこと」(including)、「含む」(includes)、または「含有する」(contain)、「含有すること」(containing)、「含有する」(contains)と同義であり、その目的語の存在、たとえばある成分の存在を明示しており、従来技術で周知または開示されている追加の記載されていない成分、特徴、要素、部材、ステップの存在を排除および除外するものではない、包括的な用語または制限のない用語である。
【0065】
本明細書において使用される場合、「カバーストック」は、下にある吸収性コア材料を収容し隠すために使用される軽量不織材料を意味し;例は、女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、ならびに成人用失禁衣類の吸収性コアを覆うフェーシング層または材料である。
【0066】
本明細書において使用される場合、吸収性物品の「クロッチ領域」は、吸収性物品の全長(すなわち、y寸法)の約50%を意味し、ここで、クロッチ点は、クロッチ領域の長手方向中央に位置する。すなわち、クロッチ領域は、最初に吸収性物品クロッチ点の位置を特定し、次に吸収性物品の全長の25%の距離の前方および後方で測定することによって求められる。
【0067】
本明細書において使用される場合「横方向(CD)」、「側方」、または「横断方向」などは、同義で使用され、長手方向と直交する方向を意味し、横断方向の±45°の範囲内の方向を含んでいる。
【0068】
本明細書において使用される場合、「硬化」は、通常は加熱してその場所にとどまらせることで、樹脂、バインダー、またはプラスチックを、布の中または上で硬化させる過程を意味し;硬化は、溶媒の除去または架橋によって行うことができ、それによってそれらを不溶性にすることができる。
【0069】
本明細書において使用される場合「おむつ」、「従来のおむつ」、「おむつ状」、「おむつ状衣類」などは、同義で使用され、接着テープファスナー、またはフックループファスナーなどの従来のファスナーによって使用中に着用者の臀部付近で取り外し可能に接続可能な前ウエスト部および後ウエスト部を典型的には含む使い捨ての吸収性物品を意味する。使用中、この物品は、着用者の脚の間に配置され、ファスナーがおむつの後ウエスト部を前ウエスト部に固定するために取り外し可能に取り付けられ、それによってウエスト付近でおむつが固定される。前ウエスト部および後ウエスト部は、比較的延伸できないまたは延伸可能な部材によって接続される(本明細書において使用される場合、用語「延伸可能」は、材料に力が加えられたときに伸びることができる材料を意味し、伸びに対してある程度の抵抗が生じる)。したがって、このような物品は、ファスナーが取り付けられたときに、一般に引っ張ることで着用者の臀部上を上下できるようには構成されていない。
【0070】
「使い捨て」は、洗濯、あるいは他の方法での保管または再使用が意図されていない物品を示すために本明細書において使用される(すなわち、これらは、1回の使用後に排気されることが意図されており、好ましくは、環境に適合した方法での再資源化、堆肥化、またはその他の方法での廃棄が意図されている)。
【0071】
本明細書において使用される場合、「分散層」などは、同義で使用され、内部で液体を輸送、分散、および分布する能力を有する透過性層を意味する。
【0072】
本明細書において使用される場合、「ドライレイする」は、乾燥繊維から不織ウェブを製造する方法の1つを意味し;これらの用語は、カードウェブの形成、および不規則なウェブのエアレイによる形成に適用され;ドライレイによって製造された繊維のウェブを本明細書では「ドライレイド」と呼び;布の完全性を得るために1つ以上の技術によって結合させたドライレイドウェブを、本明細書では「ドライレイド不織布」と呼ぶ。
【0073】
本明細書において使用される場合、「乾燥強度」は、指定の条件下で乾燥させた直後、または標準的な実験室雰囲気である時間のコンディショニングを行った後の、乾燥状態の条件で測定される結合部の強度を意味する。
【0074】
本明細書において使用される場合、「布」は、繊維、フィラメント、および/またはヤーンから製造されたシート構造体を意味する。
【0075】
本明細書において使用される場合は、「女性用衛生衣類」は、身体性滲出物を吸収および含有するために女性によって着用することが意図された吸収性衛生物品を意味する。
【0076】
本明細書において使用される場合は、「繊維」は、不織布、ヤーン、および生地が製造される基本的な糸状構造体を意味する。その幅の少なくとも4倍の長さを有することが粒子とは異なり;「天然繊維」は、動物(羊毛、絹)、植物(綿、亜麻、ジュート)、または鉱物(アスベスト)起源のいずれかであり、一方、「人造繊維」は、化合物(ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、アクリルなど)から合成されたポリマー、または改質天然ポリマー(レーヨン、アセテート)または無機物(ガラス)のいずれかであってよい。「繊維」および「フィラメント」は同義で使用される。
【0077】
本明細書において使用される場合、「フィルム」、「箔」などは、同義で使用され、プラスチックまたは独立気泡発泡体などの本質的に非吸収性の材料の薄いシートを意味する。本発明においては、特に不織布に該当しない材料を意味する。
【0078】
本明細書において使用される場合、「フラッフパルプ」はドライレイするために特に製造された木材パルプを意味する。
【0079】
本明細書において使用される場合、「前方領域」は、着用者の前方の近くに配置されることが意図された吸収性物品またはその一部の部分を意味する。
【0080】
本明細書において使用される場合、「衣類に対向する層」は、そのような要素が存在する場合のバックシート、サイドパネル、ウエストファスナーなどのシャーシの要素を意味する。
【0081】
本明細書において使用される場合、「熱活性化接着剤」は、組立体に熱、あるいは熱および圧力を加えることによって粘着性または流動性になる乾燥接着剤を意味する。
【0082】
本明細書において使用される場合、「ヒートシール接着剤」は、隣接する接着面の一方または両方に熱が加えられることによって接着面の間で溶融する熱可塑性接着剤を意味する。
【0083】
本明細書において使用される場合、「ハイロフト」は、低密度、厚い、または嵩高い布の一般用語を意味する。
【0084】
本明細書において使用される場合、「ホットメルト接着剤」は、加熱すると急速に溶融し、冷却すると硬化して強い結合を形成する固体材料を意味し;ほとんど瞬間的な結合のために使用される。
【0085】
本明細書において使用される場合、「親水性」は、水によって濡れるまたは水を吸収する場合の親和性を有することを意味する。
【0086】
本明細書において使用される場合は、「疎水性」は、水によって濡れるまたは水を吸収する場合の親和性を有しないことを意味する。
【0087】
本明細書において使用される場合、「固定層」は、粒子状材料を固定、結合、連結、および/または保持する目的で粒子状材料に取り付けることができる層を意味する。
【0088】
本明細書において使用される場合、「連結する」、「連結した」、および「連結」は、ある要素を直接別の要素に取り付けることによって、ある要素が別の要素に直接固定される構成、およびある要素を1つまたは複数の中間部材に取り付け、次にこの中間部材を別の要素に取り付けることによって、ある要素が別の要素に間接的に固定される構成を含むことを意味する。
【0089】
本明細書において使用される場合、「編成」は、針または類似の道具を用いて繊維のループを絡み合わせる技術を意味する。
【0090】
「層」は、吸収性物品の識別可能な構成要素を意味し、「層」と呼ばれるいずれの部分も、実際には、必要な種類の材料の数枚のシートまたはウェブの積層体または組み合わせを含むことができる。本明細書において使用される場合、用語「層」は、用語「複数の層」および「層状」を含む。「上部」は、着用者に対向する層にもっとも近く対向している吸収性物品の層を意味し;逆に、用語「下部」は、衣類に対向する層にもっとも近く対向している吸収性物品の層を意味する。「層」は、x寸法の幅と、y寸法の長さと、z寸法の厚さまたはキャリパーとを有する三次元構造体であり、前記x−y寸法は、実質的に物品の面内にあるが、本発明による吸収性物品の種々の部材、層、および構造体は、全体的に平面であっても、そうでなくてもよく、任意の所望の構成の形状または断面であってよいことに留意されたい。
【0091】
本明細書において使用される場合、「機械方向(MD)」、「長手方向」などは、同義で使用され、構造体の最大直線寸法に対して平行な方向を意味し、長手方向の±45°以内の方向を含む。
【0092】
本明細書において使用される場合、「主面」は、全体的に平面またはシート状の構造要素の最大の広さの表面を表し、これらの表面を、末端および側端の小さい方の表面と区別するために使用される用語を意味し、すなわち、ある長さ、ある幅、およびある厚さを有する要素において、厚さは3つの寸法の最小のものであり、主面は、長さと幅とによって画定される面であり、したがって最大の広さを有する。
【0093】
本明細書において使用される場合、「質量流」は、チャネルフロー作用によって、ある吸収性要素または構成要素から別の吸収性要素または構成要素への液体の流動を意味する。
【0094】
本明細書において使用される場合、「機械的結合」は、絡ませることによって繊維を結合させる方法を意味する。これは、繊維のニードリング、ステッチングによって、あるいは高圧空気または水のジェットの使用などによって行うことができる。
【0095】
本明細書において使用される場合、「不織布」は、摩擦および/または粘着および/または接着によって結合した一定方向または不規則に配向した繊維で製造されたシート、ウェブ、またはバットを意味し、紙は除外され、追加のニードリングが行われる場合も行われない場合もある、製織、編成、タフティング、結合用の糸またはフィラメントが組み込まれるステッチボンディング、または湿式粉砕によるフェルト化による製品も除外される。繊維は、天然であっても、人造であってもよく、ステープルまたは連続フィラメントであってもよいし、その場で形成されてもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mmを超える範囲の直径を有し、これらは、短繊維(ステープル繊維、またはチョップドファイバーと呼ばれる)、連続単繊維(フィラメントまたはモノフィラメント)、連続フィラメントの撚りのない束(トウ)、および連続フィラメントの撚りがかけられた束(ヤーン)のいくつかの形態で販売されている。不織布は、メルトブロー、スパンボンド、溶剤紡糸、エレクトロスピニング、およびカーディングなどの多くの方法で形成することができる。不織布の坪量は、通常、g/平方メートル(gsm)の単位で表される。
【0096】
本明細書において使用される場合「パンツ」、「トレーニングパンツ」、「閉鎖型おむつ」、「事前締結済みおむつ」、「プルオンおむつ」、および「おむつパンツ」などは、同義で使用され、典型的には、最初に両足をそれぞれの脚開口部に誘導し、次にパンツを着用者の足から腰および臀部を覆うウエスト領域まで引き上げることに着用者に装着され、着用者の腰の上で引き上げたり引き下げたりすることができる吸収性物品を意味する。典型的には、このような物品は、一体型または取り外し可能な部材によって着用者の腰の周囲で接続しうる前ウエスト部および後ウエスト部を含むことができる。パンツは、限定するものではないが、再締結可能なおよび/または再締結不可能な結合(たとえば、シーム、溶着、接着剤、粘着結合、ファスナーなど)を使用して物品の複数の部分を互いに連結することなどの任意の好適な技術によって予備成形することができる。パンツは、物品の周囲に沿った任意の場所で予備成形することができる(たとえば、側部締結、前ウエスト締結)。
【0097】
本明細書において使用される場合、「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、たとえば、ブロック、グラフト、ランダム、および交互コポリマー、ターポリマーなど、ならびにそれらのブレンドおよび変性物を意味するが、これらに限定されるものではない。具体的に他に限定されるのでなければ、用語「ポリマー」は、分子の任意の可能な空間配置を含んでおり、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびランダムな対称性を含むが、これら限定されるものではない。
【0098】
本明細書において使用される場合は、「後部」は、着用者の背面の近くに配置されることが意図される吸収性物品またはその一部の部分を意味する。
【0099】
本明細書において使用される場合、「樹脂」は、固体または半固体のポリマー材料を意味する。
【0100】
本明細書において使用される場合、「実質的にセルロースを含有しない」は、その薄さ、可撓性、および吸収性に実質的に影響を与えずに20重量%未満のセルロース系繊維を含有する、10%未満のセルロース系繊維を含有する、5%未満のセルロース系繊維を含有する、セルロース系繊維を含有しない、または微量以下のセルロース系繊維を含有する吸収性物品、構造体、またはコアを意味する。
【0101】
本明細書において使用される場合、「熱結合」は、熱および/または高圧を使用することによって繊維を結合させる方法を意味する。
【0102】
本明細書において使用される場合、「熱可塑性」は、ある溶融温度を有し、融点以下の熱を加えることで流動させたり所望の形状に成形したりすることができるポリマー材料を意味する。
【0103】
本明細書において使用される場合、「超音波的」は、振動によって局所的に熱を発生させ、それによって熱可塑性繊維を互いに結合させるための高周波音の使用を意味する。
【0104】
本明細書において使用される場合、「水吸収性」、「液体吸収性」、「吸収性」、「吸収」などは、同義で使用され、少なくとも水を吸収するが、典型的には他の水性流体、および典型的には少なくとも尿または血液などの身体滲出物の他の部分をも吸収する化合物、材料、製品を意味する。
【0105】
本明細書において使用される場合、「着用者に対向する層」は、そのような要素が存在する場合のトップシート、レッグカフ、およびサイドパネルなどの吸収性物品の内面を形成するシャーシの要素を意味する。
【0106】
本明細書において使用される場合、「製織」は、2組以上のヤーンを直角に折り合わせて布を形成する方法を意味し;製織によって製造された繊維のウェブは、本明細書において「織布」と呼ばれる。
【0107】
本明細書において使用される場合、「ウェブ材料」は、一方向、すなわち長手方向の広がりまたは長さ、またはウェブ材料に対してデカルト座標のx方向で実質的に終わりのない材料を意味する。この用語には、実質的に終わりのない材料から切断または他の方法で分離された実質的に制限のない一連の断片が含まれる。必要ではないが、多くの場合、ウェブ材料は、長手方向の広がり(すなわちx方向)よりもはるかに小さい厚さ寸法(すなわちz方向)を有する。典型的には、ウェブ材料の幅(y方向)は、厚さよりもはるかに大きいが、長さよりは小さい。必要ではないが、多くの場合、このような材料の厚さおよび幅は、ウェブの長さに沿って実質的に一定である。限定の意図はまったくないが、このようなウェブ材料は、セルロース系繊維材料、ティッシュペーパー、織布または不織布材料などであってよい。必要ではないが、典型的には、ウェブ材料は、ロール形態、またはスプール上、または箱の中で折りたたまれた状態で供給される。個別の配送物は、次に実質的に終わりのない構造体を形成するために互いに継ぎ合わせることができる。ウェブ材料は、多層不織布、コーティングされたティッシュペーパー、不織布/フィルム積層体などの数枚のウェブ材料から構成されてよい。ウェブ材料は、添加された結合材料、粒子、親水化剤などの他の材料を含むことができる。
【0108】
「湿潤破裂強度」は、湿潤状態で、ウェブの面に対して垂直な変形にさらされたときの、エネルギーを吸収する層の能力の尺度である。
【0109】
本明細書において使用される場合、「湿潤強度」は、時間、温度、および圧力の指定の条件下で浸漬して液体から除去した直後に測定される接合部の強度を意味する。この用語は、水に浸漬した後の強度を表すために当技術分野において一般に使用されている。
【0110】
本明細書において使用される場合、「ウェットレイ」は、修正した製紙技術を使用することによって繊維の水性分散体からウェブを形成することを意味し;ウェットレイによって製造された繊維のウェブを、本明細書では「ウェットレイド」と呼ばれる。
【0111】
本明細書において使用される場合、「吸い上げ層」などは、同義で使用され、液体を表面で輸送、分散、および分布させる能力がより大きい実質的に不透過性の層を意味する。
【0112】
本明細書において使用される場合、「木材パルプ」は、ビスコースレーヨン、紙、ならびに女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、ならびに成人用失禁衣類などの製品の吸収性コアを製造するために使用されるセルロース系繊維を意味する。
【0113】
本明細書において使用される場合、「x−y寸法」は、物品、構造体、または要素の厚さと直交する面を意味する。x寸法およびy寸法は、一般に、物品、構造体、または要素の幅および長さに対応する。
【0114】
本明細書において使用される場合、「z寸法」は、物品、構造体、または要素の長さおよび幅と直交する寸法を意味する。z寸法は、一般に、物品、構造体、または要素の厚さに対応する。
【0115】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内に含まれるすべての数および分数、ならびに記載の端点を含んでいる。他に定義されるのでなければ、本発明の開示に使用される技術用語および科学用語などのすべての用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されている意味を有する。さらなる案内による、用語の定義は、本発明の教示をより十分に理解するために含まれている。
【0116】
本明細書において提供される本発明の詳細な説明および添付の図面を検討すれば、吸収性物品中に使用でき、特に、女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、ならびに成人用失禁衣類などの使い捨て吸収性物品中に使用できる複合構造体、吸収性構造体を得るために本発明による方法および装置を使用できることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、本明細書に特に説明され示される方法、装置、吸収性構造体、および吸収性物品に限定されるものではないが、以下の説明は、特に、吸収性使い捨て幼児用おむつ製品の複合構造体および吸収性構造体の製造に関するものである。
【0117】
本発明は、あらかじめ計画された所望のパターンで堆積された粒子状材料を含む複合構造体を製造するための方法および装置より得られた製品が、液体を吸収、分散、および保持するためにより効果的に使用できるという発見に基づいている。女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、ならびに成人用失禁衣類などの吸収性物品は、身体滲出物を吸収し、分散させ、輸送し、含有する。これらは、着用者と接触する衣服または寝具などの他の物品の身体滲出物による漏れ、汚れ、濡れ、またはその他の汚染を防止することも意図している。使い捨ておむつなどの使い捨て吸収性物品は、乾燥状態または身体滲出物が充填された状態で数時間着用されうる。したがって、物品が乾燥しているときと、吸収性物品に身体滲出物が最大限または部分的に充填されているときの両方で、着用者に対する吸収性物品のフィット性および快適性を改善し、同時に、吸収性物品の吸収および含有の機能を維持または向上するための試みが行われている。
【0118】
おむつなどの一部の吸収性物品は、吸収性ポリマー材料などの粒子状材料、より好ましくは吸収性粒子状ポリマー材料を含有する。このような吸収性粒子状材料は、液体を吸収して膨潤し、最適の吸収性、フィット性、および/または快適性を意図する場合、特定のパターンまたは配列で吸収性構造体中に配置されると実際により効果的となる。吸収性粒子状材料が吸収性物品中の意図される位置にとどまることが望ましいので、吸収性物品が乾燥しているとき、部分的に濡れたとき、および/または最大限に濡れたときに、吸収性粒子状材料が意図した位置に依然として固定、結合、連結、および/または拘束されるように、このような粒子状材料はクラスター化され、望ましくは吸収性物品中に比較的固定される。
【0119】
使用中の容易さおよび快適性のため、ならびにより有利で簡潔な包装および保管のため、吸収性であることに加えて、おむつなどの吸収性物品は、望ましくは薄い、可撓性および/または軽量であってもよい。多量に使用されることが多い吸収性物品は、安価であることも望ましくなりうる。フラッフの追加などの吸収性物品中の吸収性粒子状ポリマー材料のクラスター化および固定の一部の技術では、吸収性物品が嵩高くなり、それによって厚さが増加し、可撓性が低下し、および/または吸収性物品のコストが増加する。吸収性粒子状ポリマー材料を吸収性物品中に固定する別の技術は、吸収性物品が濡れたときの固定の維持が、乾燥状態のときほど有効ではない場合がある。したがって、薄い、可撓性、および/または安価な吸収性物品を得ることができるように、指定の量の吸収性粒子状材料を計量供給し、それを所望の粒子状材料クラスターにクラスター化し、それを所望のパターンに堆積して配置することができる方法および装置が依然として必要とされている。
【0120】
図1を参照すると、本発明は、好ましくはキャリア層401上に個別に分散して堆積し、選択された量の粒子状材料201を含有する複数のばらばらの粒子状材料クラスターを有する複合構造体700を形成するための装置を提供することができる。この例示的に示される装置は、穿孔304を有するクラスター化手段250、および粒子状材料201をクラスター化手段250に供給するための粒子状材料供給手段200を含む。ウェブ供給手段400はキャリア層401を供給し、支持手段600は、クラスター化手段250の近傍でキャリア層401を移動させ、クラスター化手段250は、好ましくは実質的にエンドレスの回転ドラム100の形態で提供される。
【0121】
クラスター化手段250は、穿孔304のパターンを含み、これらは好ましくは出口領域304bに連結した入口領域304aの形態であり、キャリア層401上に粒子状材料クラスター703の所望の印刷パターン320を形成し提供するように配列される。支持手段600は、好ましくはキャリア層401の支持面412と実質的に接触する。キャリア堆積ゾーン415からキャリア堆積物間ゾーン416への粒子状材料201の望ましくない移動を防止するために、支持手段600は、好ましくは、キャリア層401の堆積面411と出口領域304bとの間の十分近い関係を確実にする。本発明の実施に必要ではないが、キャリア堆積ゾーン415からキャリア堆積物間ゾーン416への粒子状材料201の望ましくない移行および/または移動を防止するために、キャリア層401の堆積面411と、クラスター化手段250の出口領域304bおよび出口間ゾーン309との間の接近した加圧接触関係を予見することも非常に推奨される。この接近した堆積接触によって、材料を実質的に失うことなく、キャリア層401の堆積面411上への粒子状材料201の有利な堆積および印刷が保証される。
【0122】
結果として得られる印刷パターン320は、所望のおよび実質的に間隔を開けた粒子状材料クラスター703を形成し、好ましくは粒子状材料クラスター703の間に何ら実質的な量の粒子状材料201を有さない。前記粒子状材料クラスター703を挟むための、たとえば不織布、紙、ティッシュ、織布、布、ウェブ、有孔フィルムまたは箔などの液体透過性繊維ウェブなどの補助層501が、被覆手段500によって供給され、好ましくはキャリア層401と補助層501との間に多量の吸収性ポリマー材料が含まれる。あるいは、補助層501は、キャリア層と補助層との間に粒子状材料クラスター703を挟むことが可能なのり、接着剤、バインダー、樹脂、熱可塑性材料などの均一層および/または不均一層を表すこともできる。しかし、この比較的費用がかかり、技術的に問題があり、環境的に負担の大きい本発明の別の実施形態は、たとえば典型的な不織布、紙、またはティッシュ状の層の上には好ましくない。
【0123】
クラスター化手段250は好適には、キャリア層401のキャリア堆積ゾーン415の上に粒子状材料201の選択された流れを向かわせるために構成され配置される。他の粒子状材料201もクラスター化手段250によって希望通りに導入できることを理解されたい。たとえばK−Tron weight and loss feeder,Model N° K10sの種類の粒子送出システムなどの粒子供給手段200は、必要量の粒子状材料201を供給管205からクラスター化手段250中に送出するように構成することができる。粒子状材料201は、重力および/または他の物理的な力によって穿孔304に到達する。特定の実施形態においては、従来の空気コンベヤシステムを使用して、粒子状材料201および得られる粒子状材料流を、クラスター化手段250の所望の位置へ移動させ誘導することができる。あるいは、このような力は、粒子状材料201が磁界に応答する場合には、たとえば電気機械的な力であってよく、粒子を穿孔304まで誘導するために磁石が配置される。あるいは、追加の空気コンベヤを使用せずに重力の影響下で、粒子状材料201は、たとえば、供給管205を介して間接的におよび/または直接的にクラスター化手段250まで、重力または体積的に評価し、誘導し、供給することができる。
【0124】
任意選択で、キャリア層401の堆積ゾーン415で機能する真空吸引システムを設けることで、穿孔304および/または堆積ゾーン415に向かう空気流を発生させることもできる。このような真空吸引システムは、指定の真空セクション内で好適なレベルの真空を発生させ、クラスター化手段250内で所望の真空レベルが得られる。クラスター化手段250および/またはドラム100の内部で発生するこのような特定の真空レベルは、製造ラインの個別の状況に依存することは容易に理解されよう。たとえば、ドラム100の回転速度が速いと、比較的高い真空レベルがクラスター化手段250内に必要となりうる。さらに、粒子状材料201をクラスター化手段250中に移送するための移送手段を使用すると、さらに高い真空レベルの使用が必要となりうる。真空レベルはキャリア層401の多孔度にも依存し、可能性のあるキャリア層401の使用が、たとえば繊維ウェブ材料および/または有孔のフィルムおよび箔に限定されることも容易に理解されよう。以上の理由と、高いエネルギー消費を考慮すると、この真空吸引の使用は、本発明の代替的な一実施形態であるが、もっとも好ましい実施形態の1つではない。位置決め手段として機能するこれらの真空手段は、ポケットに入れる前の最終ポケット位置に印刷粒子状材料を安定化、配置、および/または再配置するために使用することができる。しかし印刷パターンおよびポケットに入れる位置は、好ましくは、互いに一致させることができるが一致する必要はなく、その理由は、たとえば限定された表面領域上に印刷しながら、ポケットに入れる直前に、すべての利用可能な未結合領域に材料を広げることが望ましい場合があり、それによって、ポケットに入れた際に、利用可能な表面領域での個別のクラスター化粒子状材料を最大限に分布させることができ、位置決め手段によって克服されるので、クラスター化手段の技術仕様によって限定されないからである。
【0125】
エネルギー使用がより少なくキャリア層401の選択の自由度がより高い、より経済的および環境的に有益な製造方法が好ましい。広範な試験に関して、種々の製造速度で広範な粒子状材料201を使用するために、重力の使用で十分であることが示された。
【0126】
粒子状材料供給手段200によって供給される粒子状材料201は、入口領域304aの側で穿孔パターン300の幅310と同じまたはわずかに大きい幅に達する均一な粒子状材料流で供給されることが好ましい。均一性を改善するために、振動供給手段200を使用することができる。好ましい一実施形態において、近位開口部206および遠位開口部207を有する供給管205を使用することで、粒子材料流を特定の領域上に集中させることができる。このような供給管205は、種々の好適な長手方向および横方向の形状を有することができ、好ましくはクラスター化手段250の寸法および形状、その穿孔パターン300、その穿孔304、および所望の印刷パターン320を考慮して設計される。粒子状材料流を入口領域304aまで効果的および効率的に誘導するために、供給管205はクラスター化手段250に向かって収束してもよい。穿孔304に供給される粒子の量および質を制御するために、粒子供給手段200は、好ましくは重力、体積、またはその他の種類の連続供給および計量供給システム204を有する。このような粒子供給手段は、New Jersey、New Yorkに拠点を有するAcrison,Inc.より提供され供給されている。
【0127】
吸収性ポリマー材料、より好ましくは吸収性粒子状ポリマー材料などの粒子材料201は、顆粒、球状、フレーク、繊維状などの種々の形状または形態で提供され使用される場合があり、約10μm〜1000μmの平均粒度を有し、好ましくは約5重量%未満が5μmの粒度を有し、好ましくは約5重量%未満が約1200μmを超える粒度を有する不規則な形状の粒子からなることが多い。吸収性物品中に使用される吸収性構造体に使用する場合、身体滲出物などの液体と接触して膨潤できる吸収材料が選択される。このような材料は、顆粒形態で、ドイツのEssenのEvonik、ベルギーAntwerpのBASF、日本の大阪の日本触媒、および日本の東京のSan−Diaより供給されている。これらは、Centrifuge Retention Capacity試験(Edana 441.2−01)を使用して測定してその重量の少なくとも5倍の0.9%生理食塩水溶液を吸収できる架橋ポリマー材料である。
【0128】
ウェブ供給手段400は、当技術分野において周知の種類の従来のスピンドルおよび供給ロール制御機構を含むことができる。たとえば、好適な機構は、Rockford,Illinoisに拠点を有する企業のMartin Automatic Inc.より入手可能である。
【0129】
キャリア層401は、好ましくはガイドシステム402によって所望の位置まで送ることができ、補助層501は、好ましくはガイドシステム502によって所望の位置まで送ることができ、支持手段600は、好ましくは張力手段603によって制御可能に引っ張られ、ガイド手段601および602によって運転される。複合材料700は、好ましくはガイド手段603によって案内され、所望の材料702は、好ましくはガイド手段604によって案内される。
【0130】
キャリア層401は、装置を通過する処理に十分な強度を有し、好ましくは経済的、環境的、および使用に適合している任意の好適な材料ウェブであってよい。キャリア層401は、紙または繊維ティッシュ、織布または不織布、セルロースウェブまたはバット、エアレイドまたはウェットレイド構造などを含むことができる。あるいは、キャリア層401は、多孔質フィルムまたは繊維ウェブなどの多孔質でガス透過性のウェブ材料である。
【0131】
補助層501は、装置を通過する処理に十分な強度を有し、好ましくは経済的、環境的、および使用に適合している任意の好適な材料ウェブであってよい。キャリア層401は、紙または繊維ティッシュ、織布または不織布、セルロースウェブまたはバット、エアレイドまたはウェットレイド構造などを含むことができる。あるいは、キャリア層401は、多孔質フィルムまたは繊維ウェブなどの多孔質でガス透過性のウェブ材料である。さらに補助層501は、たとえば、キャリア層401とともに粒子状材料クラスター703を挟むことが可能なのり、接着剤、バインダー、樹脂、熱可塑性材料などのスプレー、フィルム、および/または層を表すこともできる。
【0132】
キャリア層401および/または補助層501は、長手方向に本質的にエンドレスのウェブ材料であってもよい。好ましいウェブ材料の1つは、スパンボンド層、メルトブローン層、およびさらなるスパンボンド層を含むいわゆるSMS材料である。永久的に親水性の不織布、特に耐久性親水性コーティングを有する不織布が非常に好ましい。別の好ましい材料はSMMS構造を含む。別の好ましいウェブ材料は、セルロース系繊維、紙またはティッシュシート、またはその他のエアレイド、ドライレイド、またはウェットレイド材料を含有する不織布であり、これらの製品は、製品の吸い上げ能力を大きく改善する。ウェブ材料401および501は、2つ以上の別の材料シートから得ることも、代替的には一体となった材料シートから得ることもできる。好ましい不織材料は、PE、PET、最も好ましくはPPなどの合成繊維から得られる。不織布の製造に使用されるポリマーは本来疎水性であるため、これらには好ましくは親水性コーティングがコーティングされる。
【0133】
クラスター化手段250は、好ましくはドラム100の上に搭載することも、ドラム100と一体とすることもでき、ドラム100は、その円周方向および/または幅方向に沿って穿孔パターン300で配列された穿孔304を有し、したがってその内面101から外面102への半径方向でドラム100に直接または観察的に孔開けまたは穿孔が行われている。あるいは、本発明の別の一実施形態によると、クラスター化手段250は、移送ローラーのシステム上で移動する実質的にエンドレスのベルトに交換可能に搭載される、および/または一体的に組み込まれる。好適なベルト形成システムは、Green Bay,Wisconsinに拠点を有する企業のPaper Converting Machine Companyより入手可能である。所望の製造方向および速度に沿った所定の表面速度でのクラスター化手段250の回転、あるいはその他の移動および移送のために、従来の電気モーターなどの駆動手段が構成し配置される。本発明の種々の構成は、有利に所望の複合構造体を得ることができ、少なくとも約0.5m/秒、好ましくは少なくとも約1m/秒、より好ましくは少なくとも約3m/秒、最も好ましくは7m/秒を超える高表面速度で動作させることができる。
【0134】
キャリア層401は、ドラム100上に搭載された、またはドラム100と一体となったクラスター化手段250の外側周囲面の上またはその近くに送出される。ドラム100が回転すると、ドラム100の移動面によって、クラスター化手段250が移動し、キャリア層401の堆積面415上への粒子状材料クラスターの意図する堆積を考慮すると、支持手段600によってキャリア材料401がクラスター化手段250に近づき、離れていく。簡略化のため、本質的に円形の外周を表す「ドラム」という表現が使用されるが、所望の穿孔パターン300が得られる任意の種類のエンドレス本体を使用できることは、当業者には明らかであろう。このような本体の表面は、孔の空いたアルミニウム板のように剛性であっても、ベルトのように柔軟であってもよい。好ましくは、強化アルミニウム板を有する鋼製フレームでできたドラム100が使用される。
【0135】
図2を参照すると、本発明による好ましい一実施形態において、ドラム100の外面102は、動作上は、一連の所定の物品セグメント275に分割することができる。ドラム100に搭載され組み込まれたそれぞれの物品セグメント275は、一般に、1つの吸収性物品中に配置される吸収性構造体に対応している。ドラムの外面102は、複数のプレート手段260をさらに含むことができ、これらは、クラスター化手段250を含みドラム100の周囲に沿って連続して配置され長手方向に間隔が開けられており、それによって、キャリア層401上に粒子状材料201を堆積可能な一連の搭載可能なクラスター化手段250が得られる。好ましくは、物品セグメント275、プレート手段260、およびクラスター化手段250は、円形ドラム100を補完するように設計される。ドラム100を構成する別の部分は、運転中に発生する力および応力に耐えるのに十分強い金属などの材料で構成される。
【0136】
穿孔304は、限定するものではないが円形、楕円形、正方形、長方形、三角形などの種々の形状を有することができる。図2に示される穿孔パターン300は、規則的な間隔および大きさの円形の穿孔304を有する正方形のグリッドである。別の穿孔パターン300は、六角形、菱形、斜方晶、平行四辺形、三角形、長方形、ならびにそれらの任意およびすべての組み合わせおよび派生物であってよい。あるいは、種々の大きさおよび形状の穿孔304を有する不規則な穿孔パターン300を使用することで、結果として非常に特殊および/または複雑な印刷パターン320を形成することができる。グリッド線303の間の間隔は規則的でも不規則でもよい。あるいは穿孔304の構成は、穿孔パターン300の中心線に対して発散するまたは収束する選択された角度に合わされた比較的長い軸を有するよう配置された1つ以上の細長い形状で配置することもできる。所望の穿孔304、ならびにそれらのそれぞれの入口領域304aおよび出口領域304bの容積は、さらに個別のクラスター化手段250の高さ305によって形成される。
【0137】
図4を参照すると、穿孔パターン300によって印刷パターン320が決定され、それによって、粒子状材料201は、キャリア層401上のキャリア堆積ゾーン415に送られ、好ましくはキャリア堆積物間ゾーン416上には送られない。にも関わらず、位置決め手段は、材料をキャリア堆積物間ゾーン416をそれらのポケットパターンに移動させることができ、それによって複合構造体中の粒子状材料201のクラスター化および分布が最適化され、粒子状材料201がキャリア層401と補助層402との間の取り付け部を妨害するのが防止される。
【0138】
図5を参照すると、クラスター化手段250は、好ましくはクラスター化手段250の供給側の入口間の稜303、およびクラスター化手段250の堆積側の出口間ゾーン309である穿孔間ゾーンによって互いに分離された穿孔304のパターンを含む。穿孔304は、ドラムの内面101に対応する上部開口部302、ドラムの外面102に対応する底部開口部301、および高さ305を有する。上部開口部302および底部開口部301は、互いに大きさおよび形状が変化することができ、上部開口部302は、この場合、横方向の辺306および長手方向の辺307を有する長方形であり、底部開口部301は、この場合、直径308の円である。好ましい一実施形態において、上部開口部302は底部開口部301よりも大きく、したがって入口領域304a中で細くなる漏斗構造を形成し、粒子材料201を効率的に収集でき、出口領域304b中に容易に滑って移動する。好ましい一実施形態において、上部開口部302は、隣接する上部開口部302の間の入口間の稜303が非常に鋭く狭くなるように設計され、それによってこれらの入口間の稜303の上で実質的に粒子状材料201が残存および/または蓄積することができなくなり、したがって実質的にすべての粒子状材料201が穿孔304によって集められる。
【0139】
穿孔304が過剰充填されると、すなわち穿孔304が受け取ることができる量よりも多くの、または穿孔304を介して直ちに排出できる量よりも多くの粒子状材料201が存在する場合、「過剰充填」を有する。次に、粒子状材料201が蓄積し、穿孔304の上部開口部302の高さを超えるまで上昇する。その場合、掃き落とし手段208によって、粒子状材料201の表面の高さをドラム100の内面101の高さまでならし、したがって過剰の粒子状材料201を除去することで、穿孔304の容積と本質的に相当する体積のみの粒子状材料201が、堆積中にキャリア材料401に移される。掃き落とし手段208は、たとえば耐久性材料でできたスクレーパーバーであっても、あるいは図1に示されるように、ドラム100の内面101上の近くに搭載された回転するブラシまたはホイール208であっても、目的に合った任意の他の好適な解決法であってもよい。このような掃き落とし208手段は、隣接する上部開口部302の間の稜303の上に存在する任意の粒子状材料201の排出も行う。穿孔304が不十分に充填される場合、すなわち粒子状材料供給手段200によってクラスター化手段250の穿孔304中に、堆積プロセス中に排出できるよりも少ない粒子状材料201(体積基準で)が供給される場合、「充填不足」となる。粒子状材料201の体積によって機能するのではなく、正確な重量の粒子状材料201を有することが重要となる用途ではこのことが好ましい。
【0140】
前述の説明のように、掃き落とし手段を有する過剰充填法の機能は、体積定量供給システムとして機能することができ、穿孔304の規定の体積、寸法、および形状は、体積定量供給および印刷の空間として機能し、粒子状材料201の密度および粒度が非常に均一である場合、または定量供給される粒子の重量がそれらの体積よりも妥当性が低い場合に優れた結果が得られる。
【0141】
しかし多くの場合、対応する体積よりも正確な重量を定量供給することが必要となる。そのような粒子状材料201は、本来不規則な密度を有することが多く、および/またはこのような不規則な密度は、取り扱いおよび輸送によって悪化することが多く、そのときの振動によって、粒子状材料201が分離して、低密度の粒子が上に、高密度の粒子が下に移動する。次に体積方法の使用は、製品間で重要な重量差が生じることがありこれは望ましくないので、重量定量供給が好ましい。
【0142】
ウェブ供給手段400によって支持手段600上に送出されるキャリア層401は、キャリア層401をクラスター化手段250の外周の近く、好ましくは外周に接触するまで送出する。クラスター化手段250およびキャリア材料401が互いに押し付けられて、それらが出口領域304bをしっかりとシールし、好ましくは互いに本質的に0の速度差で移動する場合、供給手段200によって供給される、好ましくは供給管250によって誘導される粒子状材料201は、クラスター化手段250中から入口領域304aを介して穿孔304中に連続して制御可能に堆積することができ、それによってキャリア層401の堆積ゾーン415上に粒子状材料の印刷パターン320が形成される。好ましくは、印刷される粒子状材料クラスターのさらなる安定化、配置、および/または再配置のために、たとえば真空手段および突出部および/またはくぼみの組み合わせの形態のさらなる位置決めステップがクラスター化手段によって提供される。任意選択で、粒子状材料クラスター703は、たとえばのり、バインダー、スプレー、フィルム、網目構造、ウェブなどの任意の好適な手段によってキャリア層に対して固定、結合、連結、および/またはその他の固定束縛が行われる。
【0143】
重力または他の力のために、粒子状材料201は、底部開口部301から穿孔304を出て、それによって所望の印刷パターン320が得られる。この所望の印刷パターン320は、ドラム100がキャリア材料401から離れるときに実質的に維持される。クラスター化手段250の外面とキャリア材料401の堆積面411との間に比較的閉じたシールが形成されない場合、間隙103によって所望の印刷パターン320ににじみ作用が生じるとがあるが、その理由はドラム100およびキャリア層401が有意な速度で移動し、粒子状材料201が移動するからである。したがって技術的に許容できるかぎり間隙103を小さく維持することが推奨される。
【0144】
しかし、非常に小さな間隙103でさえも、粒子状材料201の性質および粒子状材料201の量に依存するが、1つの穿孔304を介して堆積しようとしても、実際に得られる印刷パターン320が穿孔パターン300とわずかに異なる場合があることは、当業者には明らかである。この作用は、粒子状材料クラスター703を引き離しうる重力によって生じ、それによって、キャリア層401上の粒子状材料の跡705が穿孔304の底部開口部301よりも幅広くおよび/または大きくなり、慣性力によってウェブの移動方向に印刷パターン320がさらに変形することがあり、それによってゆがんだ画像704が形成される。この場合、好ましくは位置決め手段による追加の位置決めステップが使用される。
【0145】
図6は、一連の印刷粒子状材料クラスター703の場合で、前述の種々の力のために、どのようにして、印刷された画像702が、キャリア層401上に堆積される前にクラスター化手段250の穿孔304中に粒子状材料201が依然として捕捉されたままのときの元の形状701と異なりうるかを示している。穿孔304の大きさ、位置、および形状、ならびにクラスター化手段250およびドラム100の関連する寸法、形状、および回転速度を注意深く設計することによって、キャリア材料401上の粒子状材料201を排出した後で、好ましくは最適のポケットに入るパターンを考慮した位置決めステップと組み合わせることで、十分な結果が保証される。
【0146】
補助層401と粒子状材料クラスター703との組み合わせとしての複合構造体700は、移送手段によって前記クラスター化手段250から離されるが、一方、位置決め手段が必要な場合は、粒子状材料クラスター703が許容できないほどは変形せず、粒子状材料201の堆積物間ゾーン416への意図せぬ移動は起こらないか、および/またはたとえば高い機械速度、空気、および材料流、重力、およびその他の力などによって無くなるか無駄になることが保証される。好ましい一実施形態においては、複合構造体700は、たとえば反対側に接触して加圧する長手方向のコンベヤベルト、真空吸引手段などによって、キャリア材料支持手段600から取り外されたときに直ちに安定化する。移送手段は、位置決め手段と一体となっていてよい。
【0147】
次のステップとして、キャリア層401と印刷パターン320によりその上に堆積された粒子状材料クラスター703との上に直接または間接的に、たとえば補助層501などの第2のウェブ材料が直ちに結合または連結され、得られたサンドイッチ構造は、超音波的取り付け手段800によって好ましくはさらに固定され、それによって粒子状材料201は、キャリア層401および補助層501の間で、ポケットまたは区画が形成される手段によって所望の位置および形状で、挟まれ、固定され、接合され、連結され、および/または拘束される。
【0148】
あるいは、補助層501は、たとえば、フィルム、箔、ティッシュ、布、ウェブなどの液体透過性の層またはウェブ材料をも含むことができる。この層は、たとえば紙、ティッシュ、ウェットレイドまたはドライレイド、織布または不織布を含むことができ、および/またはたとえば親水性材料で構成されても、十分に親水性にするために好適に処理された疎水性材料で構成されてもよい。
【0149】
さらに、複合構造体700および/または吸収性構造体は、任意のおよび任意の他の好適な被覆吸収性向上、保護、機能、構造、および/または強化のための材料、布、および/またはウェブ(たとえば捕捉層、サージ層、分散層、吸い上げ層、裏地層、弾性層、着色層、着香層、ローション層、情報層など)などを代替的および/または補完的にさらに組み合わせることができる。
【0150】
たとえば超音波および/または他の熱的機械的、または熱機械的結合技術などの取り付け手段800によって、補助層501は、好ましくはキャリア層401に結合または連結することができ、粒子状材料クラスター703をそれらの間に固定および/または拘束することができる。キャリア層401、粒子状材料クラスター703、および/または補助層501の間のこのようなばらばらの結合または連結部は、グリッド、パターン、線、点などの形態で1つ以上の堆積物間ゾーン416の中に提供することが好ましい場合がある。
【0151】
本発明の特定の一態様においては、実質的に水に影響される吸収性構造体を得るために、超音波取り付け手段800は、実質的に永久的な一次取り付け部および実質的に取り外し可能な二次取り付け部を形成するように構成することができる。得られる取り付け手段によって、システムが実質的に乾燥している場合、および吸収性構造体が部分的または最大限に濡れた場合にも、取り付け手段の強度が、キャリア層401および補助層501を互いに保持するのに十分な大きさである取り付けシステムが得られる。さらに、取り付けシステムの強度は、液体の吸収中に吸収性粒子状ポリマー材料の膨潤による膨張を過度に締め付けないように十分弱く構成される。取り付け手段の強度は、吸収性粒子状ポリマー材料が液体に曝露したときに高吸収性材料の膨潤によって生じる分離力よりも好ましくは弱い。さらに、キャリア層401および/または補助層501のいずれかまたは両方を形成する材料が、そのような層が濡れたときに、過度に引き裂かれることなく取り付け手段を剥離させるのに必要な荷重よりも小さい荷重を加えたときに剥離するように、取り付けシステムは好ましくは構成される。濡れたときに吸収性構造体のいずれかまたは両方の外層を形成する材料を大きく破壊するのに必要な荷重よりも小さい荷重が加えられたときに剥離するようにも、取り付けシステムは好ましくは構成される。典型的には、加えられる荷重は、一般に、粒子状材料が液体を吸収し膨潤したときに吸収性粒子状ポリマー材料が膨張することによって生じる圧力から得られる引張荷重である。適切な取り付け手段は、この圧力に耐えるのに十分な強さで、破壊または引き裂きが実質的に回避されるように構成され配置される。このような超音波接合システムは、たとえばドイツのHerrmannより供給されている。
【0152】
キャリア層401および補助層501を互いに固定するための取り付け手段は、熱結合、音波接合、ステープルによる固定、ステッチングなどの任意の他の好適な接続機構が得られるように構成することもできる。取り付け手段800は、好ましくは、キャリア層401および補助層501の間の粒子状材料クラスター703に使用可能なポケットが得られるように構成することができる。任意選択で、実質的に連続な側面取り付け領域と、断続的な長手方向に間隔を開けた中間取り付け領域の選択されたパターンとを提供する機構を得るための周辺手段をプロセス中に含めることができる。周辺取り付け手段は、音波接合、熱結合、ステッチング、縫製などの他の種類の固定を得るために構成することができる。
【0153】
補助層501は、被覆手段500と、キャリア層401および粒子状材料クラスター703の印刷パターン320を含む複合構造体700に接触するように補助層を送出するように構成された移送ローラーおよびコンベアのガイドシステム502によって好ましくは提供することができる。
【0154】
図7を参照すると、本発明による装置および方法の好ましい一実施形態が示されており、幼児用おむつなどの吸収性物品用の吸収性構造体としての超吸収性粒子シートを非常に高速で製造するのに特に好適である。これは、供給管205、回収管215、およびデフレクター220を有する粒子供給手段200と、所望の穿孔パターン300の穿孔304を含む本質的にエンドレスの回転ドラム100の形態のクラスター化手段250とを含む。回転ドラム100の下で近接して、移動キャリア層401が本質的にエンドレスの支持手段600の上に配置され、好ましくは回転ドラム100と本質的に同じ速度で移動する。粒子201は、ドラム100中のフィーダー手段200から落下し、クラスター化手段250上から穿孔304中に入り、それによって、粒子状材料クラスター703の形成に望ましい量の粒子状材料201が捕捉および収集されて、これらが印刷パターン320により堆積される。吸引セグメント651を有する引き取りドラム650によって、印刷パターン320を有するキャリア層401の複合構造体700が、クラスター化手段250およびドラム100から取り外された後、補助層501で覆われる。ドラム100からの複合構造体700の分離を促進するために、ストリッパーロールを使用することもできる。超音波取り付けシステム800を用いて、種々の材料層を互いに結合および/または連結し、好ましくは、堆積物間ゾーン416中、好ましくは吸収性ポリマー粒子状材料領域全体に永久的および/または取り外し可能な結合および/または連結部を提供することによって、粒子状材料クラスター703中に所定のポケットおよび区画が形成される。任意選択で位置決め手段として機能する吸引セグメント651は、超音波シールによって挟まれ固定されて所望の材料702が形成されるまで、粒子状材料201を所定位置に維持する。引き取りドラム650は、好ましくは超音波工具のアンビルとしても機能する。組み立て作業によって所望の材料702が形成された後、吸収性構造体は、本発明の好ましい一実施形態となり、さらなる下降のために装置の別の領域に向けて送られる。
【0155】
空気などの移送手段225中で浮遊する粒子状材料201の一定で迅速な繰り返しパルスの発生は、多くの用途で長い間望まれており、特に、それらの形状、振動数、およびこれらのパルス中に移送される材料の量に関してどちらも十分に制御されるパルスの発生が望まれている。特に有用な用途の1つは、女性用衛生衣類、幼児用おむつ、幼児用パンツ、および/または成人用失禁衣類などの使い捨て吸収性物品の製造中であり、この場合の製造は、高い製造速度および低いばらつきを目的としている。これは、粒子状材料201を回収管215に押し込むことによって粒子材料流を中断するデフレクター220によって実現することができ、これによって粒子状材料201のパルスを発生させることができる。この利点は、これによってドラム100の特定のセグメントで印刷しないことを選択可能なことである、すなわち粒子材料を有さない穿孔パターン300の特定の領域を残すことが可能なことである。また、ドラム100の印刷しないセグメントによって、ドラムの回転を変動させることができ、それによって、異なる穿孔パターン300を有する異なるドラム100を提供する投資費用、ならびにこのような異なるドラム100を変更するための維持費および製造費を大きく削減することができる。一例として:この解決法では、新生児に適した最小サイズから、よちよち歩きの幼児に適したより大きさサイズまでのあらゆるサイズのおむつなどの吸収性物品に使用可能な複合構造体700または吸収性構造体をまさに1つのドラム100で製造することが可能であり、これは当技術分野において周知の従来技術では不可能であり、高く評価される利点である。
【0156】
図8は、図7に示される方法による印刷パターン320により堆積領域415上の穿孔304を介して粒子状材料201を堆積するクラスター化手段250の一部の概略拡大断面図を示している。穿孔304は、本発明による方法中の4つの例示的かつ非限定的な異なる状態で示されており;第1の状態「A」は、穿孔304が充填される直前または粒子状材料201が完全に排出された後の空の段階であり;第2の状態「B」は、完全に充填された状態であり、これによって穿孔304が粒子状材料201を収集して穿孔304を満たしており;第3の状態「C」は、堆積プロセス(部分的)の始まりであり、これによってキャリア層401とクラスター化手段250の外面とが互いに徐々に離れていき、たとえば実質的にエンドレスの回転ドラム100がキャリア層401から離れる場合には、それによって粒子状材料201を部分的に排出することができ;最後の状態「D」は、粒子状材料クラスター703がキャリア層401上に本質的に完全に堆積されており、粒子状材料201がキャリア層401上に完全に排出された後に、状態「A」に戻り、再び粒子状材料201が捕捉および収集され、別の粒子状材料クラスター703の堆積および印刷パターン320のプロセスのために空隙が満たされる。
【0157】
図9は、本発明による吸収性構造体を含む吸収性物品の好ましい一実施形態としてのおむつ10の上面図である。しかし、本発明は、女性用衛生衣類、幼児用パンツ、成人用失禁衣類などの他の吸収性物品にも適用可能であることを理解されたい。
【0158】
吸収性物品は、平坦にして、収縮していない状態で示されており、着用者側が見えるようになっている。吸収性要素および吸収性成分などのおむつ10の下にある構造をよりはっきりと示すために、吸収性物品の一部を切り取っている。図9中のおむつ10のシャーシ12は、おむつ10の本体を含む。シャーシ12は、液体透過性トップシート18および/または液体不透過性バックシート20を含む外部カバーを含む。シャーシ12は、トップシート18とバックシート20との間に入れられる吸収性構造体14の一部を含むことができる。シャーシ12は、トップシート18とバックシート20との間に入れられる吸収性構造体14の大部分またはすべてを含むこともできる。シャーシ12は、好ましくはサイドパネルまたは耳22、伸縮性レッグ折り返し部24、および弾性ウエストフィーチャー26をさらに含み、レッグ折り返し部24および弾性ウエストフィーチャー26のそれぞれは、典型的には弾性部材28を含む。おむつ10の一方の端部は、おむつ10の前ウエスト領域30として構成される。反対側の端部は、おむつ10の後ウエスト領域32として構成される。おむつ10の中間部は、クロッチ領域34として構成され、これは第1および第2のウエスト領域30および32の間で長手方向に延在する。ウエスト領域30および32は、着用者のウエスト周囲で引き寄せられて改善されたフィット性および閉じ込め性(たとえば弾性ウエストフィーチャー26)が得られるように弾性要素を含むことができる。クロッチ領域34は、おむつ10が着用されているときに着用者の両脚の間に一般に配置されるおむつ10の部分である。おむつ10には、その長手方向軸36および横軸38が描かれている。おむつ10の周辺部は、おむつ10の外端部によって画定され、その長手方向端部42はおむつ10の長手方向軸36に対して概して平行であり、終端部44は長手方向端部42の間にあり、おむつの横軸38に対して概して平行である。シャーシ12は、締結システムも含み、これは少なくとも1つの締結または固定部材46と、少なくとも1つのランディングゾーン48とを含むことができる。おむつ10中の種々の構成要素は、当技術分野において周知の任意の方法、たとえば均一な連続層、パターン化された層、あるいは分離した線、らせん、または点の配列の接着剤によって、結合、連結、または固定することができる。トップシート18、バックシート20、吸収性構造体14、およびその他の構成要素は、種々の周知の構成で組み立てることができ、これらは当技術分野において周知である。
【0159】
バックシート20は、吸収性構造体14を覆い、好ましくは吸収性構造体14を超えておむつ10の長手方向端部42および終端部44に向かって延在し、トップシート18と連結することができる。バックシート20は、吸収性構造体14によって吸収されおむつ10中に収容された身体滲出物が、ベッドシートおよび下着などの着用者と接触しうる他の外部の物品を汚染するのを防止する。好ましい実施形態においては、バックシート20は、身体滲出物が実質的に不透過性であり、不織布と熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムとの積層体を含む。バックシート20は、蒸気がおむつ10から出ていくことができるが依然として身体滲出物がバックシート20を通過するのは防止する通気性材料を含むことができる。これは半剛性で非伸縮性であってよいし、完全または部分的に伸縮性にすることができ裏地を含んでもよい。バックシート20は、種々の周知の構成で組み立てることができ、これらは当技術分野において周知である。
【0160】
おむつ10は、好ましくは柔軟性、適合性であり、良好なしみ通しを示し、液体吸収材料からのリウェットの傾向が低いトップシート18を含む。トップシート18は、おむつ10が着用された場合に着用者の肌の近くに配置される。このようにして、このようなトップシート18は、吸収性構造体14に向かってより迅速に流れるように身体滲出物が迅速に浸透することができるが、このような身体滲出物がトップシート18を通って逆流できないことが好ましい。トップシート18は、液体および蒸気透過性、好ましくは親水性の材料の広範囲の材料のいずれか1つから構成することができる。トップシート18の上部表面および下部表面は、異なる処理を行うことができ、たとえば、特に吸収性構造体10上に配置されるトップシート18の中央のゾーンまたは領域において液体の通過を促進するために上部表面上に界面活性剤を含むことができ、たとえば、吸収性コア中に含まれる液体がトップシート18と接触して濡らすのを最小限にし、それによってリウェット値を減少させるために下部表面上に疎水性物質を含むことができる。トップシート18は、発疹防止または発疹軽減特性を有する物質(たとえばアロエベラ)でコーティングすることもできる。トップシート18は、前ウエスト領域30、後ウエスト領域32、およびクロッチ領域34の実質的にすべてを含むおむつ10の着用者に対向する領域全体を実質的に覆う。さらに、内部領域のサイドパネル22および/またはウエストフィーチャー層は、同じ1種類のトップシート材料から形成することができ、したがって、トップシート18の材料の長手方向および横方向の延長部分の形成がトップシート18と一体であると言うことができる。あるいは、トップシート18は、トップシート18の幅にわたって変化する複数の異なる材料から形成することができる。このような複数ピース設計によって、トップシート18の好ましい性質および異なるゾーンを得ることができる。トップシート18は、半剛性で非伸縮性であってよいし、完全または部分的に伸縮性にすることもできる。トップシート18は、種々の周知の構成で組み立てることができ、これらは当技術分野において周知である。
【0161】
図9中の吸収性構造体14は、一般にトップシート18とバックシート20との間に配置される。吸収性構造体14は、一般に圧縮可能で、適合性で、着用者の肌を刺激せず、身体滲出物の吸収および保持が可能な任意の吸収材料110を含むことができる。吸収性構造体14は、一般にエアレイドと呼ばれるフラッフパルプなどの吸収性物品中に一般に使用される多種多様な液体吸収材料110を含むことができる。他の好適な吸収材料の例としては、クレープセルロースワッディング;メルトブローンポリマー;化学強化、変性、または架橋セルロース系繊維;ティッシュラップおよびティッシュラミネートなどのティッシュ;吸収性発泡体;吸収性スポンジ;吸収性ポリマー材料;吸収性ゲル化材料;あるいは他の周知の任意の吸収材料、または複数の材料の組み合わせが挙げられる。吸収性構造体14は、少量(典型的には10%未満)の非液体吸収材料、たとえば接着剤、バインダー、プラスチック、ワックス、油などをさらに含むことができる。本発明の種々の実施形態による吸収性構造体14は、おむつ10の長さおよび/または幅の全体に実質的に延在するように構成することができる。しかし、別の本発明による吸収性構造体14は、おむつ10全体と同一の広がりは有さず、たとえばクロッチ領域34などのおむつ10の特定の領域に限定される。種々の実施形態においては、吸収性構造体14はおむつ10の端部まで延在し、吸収材料110はクロッチ領域34またはおむつ10の別の標的ゾーンに集中する。さらに別の一実施形態においては、粒子を吸収材料110と組み合わせることができ、好ましくは吸収性ポリマー材料と、イオン交換樹脂、消臭剤、抗菌剤、バインダー粒子、または他の有益な粒子などのスキンケア粒子とを含むことができる。
【0162】
おむつ10は、閉じ込め壁または折り返し部24の組を使用することもできる。各折り返し部24は、長手方向に延在する壁構造であり、好ましくは吸収性構造体14の各側に配置され、長手方向軸36から横方向に間隔を開けている。折り返し部24の長手方向末端は、たとえば、前および後ウエスト領域30および32中でトップシート18に取り付けまたは連結することができる。好ましくは、折り返し部24の末端は、内側に仮留めされ、たとえば接着剤または音波接合によって下部構造体に取り付けられる。このような構成では、折り返し部24が内側に効果的にかたより、折り返し部24によって改善された漏れ防止特性が示されると一般に考えられる。好ましくは、折り返し部24には弾性部材28が取り付けられ、これは折り返し部24の実質的な長さに沿って延在する。一般的な用途においては、弾性部材28は、折り返し部24の内部に配置され、好ましくは引き延ばした状態で折り返し部24の上部に配置され、次に少なくとも末端で折り返し部24に接着または音波接合される。離されるか、他の方法でゆるめられた場合、弾性部材28は内側に収縮する。おむつ10が着用される場合、弾性部材28は、おむつ10、臀部、および大腿部の間でシールが形成されるように着用者の臀部および大腿部のまわりで折り返し部24を収縮させる機能を果たす。折り返し部24は、種々の周知の構成で組み立てることができ、これらは当技術分野において周知である。
【0163】
おむつ10は、捕捉層またはサージ層などの当技術分野において周知の追加の層を使用することもでき、好ましくはトップシートおよび吸収性コアおよびハイロフトおよび/またはカバーストック層の間に配置することができる。これは、液体が吸収性コアによって吸収されるのに十分な時間を有するように、流れを遅くする機能を果たす。
【0164】
着用者に関して所定の位置におむつ10を維持するために、好ましくは後ウエスト領域32の少なくとも一部が、締結または固定部材46によって、前ウエスト領域30の少なくとも一部に取り付けられて、好ましくは脚開口部および吸収性物品のウエストが形成される。締結または固定部材46は、吸収性物品のウエストの周囲で引張荷重を発生させ、着用者、弾性ウエストフィーチャー26、および折り返し部24の間に擬似的なシールを形成することによって弾性部材28が賞賛され(compliment)、それによって身体滲出物がおむつ10内に収容され、次に吸収される。言い換えると、それによって着用者とおむつ10の端部との間の隙間から漏れが生じない。締結または固定部材46は、たとえば接着剤、機械的ファスナー、フックおよびループの特徴、考えられるひも、および/またはそれらの組み合わせであってよく、すなわち、おむつ10の一端をおむつ10の長手方向の他端に固定する任意のものであってよい。締結または固定部材46は、互いに接着するが他の材料には接着しない共接着性(co−adhesive)であってもよい。締結または固定部材46およびその任意の構成要素は、限定するものではないがプラスチック、フィルム、発泡体、不織ウェブ、織布ウェブ、紙、積層体、繊維強化プラスチックなど、またはそれらの組み合わせなどの、そのような使用に適した任意の材料を含むことができる。締結または固定部材46を構成する材料は、可撓性、伸張性、および/または弾性であることが好ましい場合があり、それによって身体の形状および動きへの適合性を高めることができ、締結システムが着用者の肌を刺激したり傷つけたりする可能性が減少する。好ましくは、バックシート20に永久的に取り付けられたテープファスナーによっておむつ10が着用者に取り付けられる。テープファスナーは、バックシート20に取り付けられるか連結されてそれより延在する横方向に反対側のサイドパネルまたは耳22と接触して、そこで、ファスナーに塗布された結合性化合物のために取り付けられたままの状態で維持される。あるいは、吸収性物品はパンツなどであってよい。この構成においては、吸収性物品はテープファスナーを有しても有しなくてもよい。しかし、特定の使い捨てテープを、このような吸収性物品上に設けることもできる。すべての締結および固定要素46は、種々の周知の構成で組み立てることができ、それらは当技術分野において周知である。
【0165】
ウエスト領域30および32のそれぞれは、中央領域と、典型的にはウエスト領域の外側側方部分を含む一組のサイドパネルまたは耳22とを含む。これらのサイドパネル22は、シャーシ12および/またはバックシート20と一体であってよいし、当技術分野において周知の任意の手段によってそれらの取り付けたり連結したりすることもできる。本発明の好ましい一実施形態において、後ウエスト領域32中に配置されたサイドパネル22は、少なくとも横方向に可撓性、伸張性、および/または伸縮性である(すなわち、伸縮性のサイドパネル)、別の一実施形態において、サイドパネル22は非伸縮性、半剛性、剛性、および/または剛直性である。この種々のサイドパネル22は、周知である。
【0166】
さらに、弾性部材を使用するウエストバンド26は、おむつ10の横部分に沿って配置することができ、そのため着用した場合、着用者のウエストに沿ってウエストバンド26が配置される。一般に、ウエストバンド26は、好ましくはウエストに対してシールを形成し、それによって、弾性ウエストバンド26と着用者のウエストとの間の領域から身体滲出物が漏れなくなる。身体滲出物は主としておむつ10中の吸収材料によって吸収されるが、着用者による液体の放出が、吸収性構造体14の吸収速度能力を超えることを考慮すると、シールは重要である。したがって、ウエストバンド26が液体を収容しながら液体が吸収され、それらは当技術分野において周知である。おむつ10などの吸収性物品は、より良いフィット性、閉じ込め性、および審美的特性を得るために、前および後のイヤーパネル、ウエストキャップフィーチャー、弾性体などの当技術分野において周知の他の特徴、成分、および要素をも含むことができる。これらの特徴は、種々の周知の構成で組み立てることができ、当技術分野において周知である。
図1
図2
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図7
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図9