【文献】
齋藤祐也、ベンジャブール アナス、岸山祥久、中村武弘,Evaluation of Downlink System-level Performance for Non-orthogonal multiple Access(NOMA),電子情報通信学会技術研究報告,2013年 2月20日,第112巻、第443号,第249−254ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2は、下りリンクにおけるNOMA及びSICの説明図である。
図2には、無線基地局BSのカバレッジエリア内で、無線基地局BSの近辺にユーザ端末UE1が位置し、無線基地局BSの遠方にユーザ端末UE2が位置する場合が示されている。無線基地局BSから各ユーザ端末UEへの下り信号のパスロスは、無線基地局BSから離れると共に増加する。このため、無線基地局BSから遠いユーザ端末UE2の受信SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)は、無線基地局BSの近くのユーザ端末UE1の受信SINRよりも低くなる。
【0013】
NOMAでは、チャネルゲイン(例えば、受信SINR、RSRP(Reference Signal Received Power))やパスロスなどに応じて送信電力を異ならせることで、同一の無線リソースに対して複数のユーザ端末UEが非直交多重される。例えば、
図2では、ユーザ端末UE1、UE2に対する下り信号が異なる送信電力で同一の無線リソースに多重される。受信SINRが高いユーザ端末UE1に対する下り信号には相対的に小さい送信電力が割り当てられ、受信SINRが低いユーザ端末UE2に対する下り信号には相対的に大きな送信電力が割り当てられる。
【0014】
また、NOMAでは、逐次干渉キャンセラ型の信号分離法であるSICにより受信信号から干渉信号を除去することで、自端末に対する下り信号が抽出される。自端末に対する下り信号にとっては、同一無線リソースに非直交多重された自端末よりも送信電力が大きな他端末に対する下り信号が干渉信号になる。このため、自端末よりも送信電力の大きな他端末に対する下り信号をSICによって受信信号から除去することで、自端末に対する下り信号が抽出される。
【0015】
例えば、
図2において、ユーザ端末UE2の受信SINRは、ユーザ端末UE1の受信SINRよりも低いので、ユーザ端末UE2に対する下り信号は、ユーザ端末UE1に対する下り信号より大きな送信電力で送信される。このため、無線基地局BSに近いユーザ端末UE1は、自端末に対する下り信号だけでなく、同一の無線リソースに非直交多重されたユーザ端末UE2に対する下り信号を干渉信号として受信する。ユーザ端末UE1は、ユーザ端末UE2に対する下り信号をSICにより除去することで、自端末に対する下り信号を抽出して適切に復号する。
【0016】
一方で、ユーザ端末UE1の受信SINRは、ユーザ端末UE2の受信SINRよりも高いので、ユーザ端末UE1に対する下り信号は、ユーザ端末UE2に対する下り信号よりも小さな送信電力で送信される。このため、無線基地局BSから遠いユーザ端末UE2は、同一無線リソースに非直交多重されたユーザ端末UE1に対する下り信号による干渉を無視できるため、SICによる干渉除去を行うことなく、自端末に対する下り信号を抽出して適切に復号する。
【0017】
このように、下りリンクにおいてNOMAを適用する場合、同一の無線リソースに対して、チャネルゲインが異なる複数のユーザ端末UE1及びUE2を多重できるので、周波数利用効率を向上させることができる。
【0018】
ここで、NOMAの送信処理について説明する。
図3は、NOMAの送信処理を説明するためのフローチャートである。まず、各ユーザ端末(UE)は、無線基地局(BS)から参照信号を受信して、この参照信号に基づいてチャネルゲインを推定する。そして、各ユーザ端末は、チャネルゲインを無線基地局にフィードバックする(ステップST01)。なお、参照信号としては、CSI−RS(Channel State Information Reference Signal)、DM−RS(DeModulation Reference Signal)、CRS(Cell-Specific Reference Signal)などを用いてもよい。
【0019】
次に、無線基地局は、サブバンド毎にカバレッジエリア内に属する全ユーザ端末から1組の候補ユーザセット(candidate user set)を選択する(ステップST02)。候補ユーザセットとは、サブバンドに非直交多重されるユーザ端末の候補の組み合わせを示している。ここで、サブバンドとは、周波数方向に連続する所定数の無線リソース(例えば、リソースブロック(RB)など)で構成される周波数帯域である。また、各サブバンドを構成する無線リソース数(例えば、RB数)(サブバンドサイズ)や、システム帯域(ワイドバンド)を構成するサブバンド数は、ユーザ端末に割り当てられるシステム帯域のサイズに応じて変更できる。
【0020】
サブバンド毎の候補ユーザセットの総数は、カバレッジエリア内に属するユーザ端末の総数をM、非直交多重されるユーザ端末数をNとして、下記式(1)で表わされる。なお、以下の一連の演算処理(ステップST03−ST06)は、全ての候補ユーザセットに対して実施される(全検索(exhaustive search))。
【数1】
【0021】
次に、無線基地局は、各ユーザ端末からフィードバックされたチャネルゲインに基づいて、候補ユーザセットの各ユーザ端末に割り当てるサブバンドの送信電力を算出する(ステップST03)。次に、無線基地局は、算出された送信電力に基づいて、非直交多重の適用下で想定される各ユーザ端末におけるサブバンドのSINR(スケジューリング用のSINR)を算出する(ステップST04)。次に、無線基地局は、算出されたSINRからMCS(Modulation and Coding Scheme)セットのブロック誤り率(BLER:Block Error Rate)を求め、各ユーザ端末におけるサブバンドのスケジューリング用のスループットを算出する(ステップST05)。
【0022】
次に、無線基地局は、各ユーザ端末の瞬時スループットと平均スループットとから、候補ユーザセットのスケジューリングメトリックを算出する(ステップST06)。スケジューリングメトリックとしては、例えば、PF(Proportional Fairness)スケジューリングメトリックを算出する。PFスケジューリングメトリックM
sj、bは、平均スループットをT
k、瞬時スループットをR
k、bとして、下記式(2)で表わされる。なお、PFスケジューリングメトリックM
sj、bは、b番目のサブバンドにおけるj番目の候補ユーザセットのPFスケジューリングメトリックであることを示している。また、kは、候補ユーザセット内のk番目のユーザ端末を示している。
【数2】
【0023】
無線基地局は、ステップST03−ST06を全ての候補ユーザセットについて行い、サブバンドにおいてスケジューリングメトリックを最大化するユーザセットを選択する(ステップST07)。そして、無線基地局は、ステップST02−ST07をサブバンド毎に行い、各サブバンドについてスケジューリングメトリックを最大化するユーザセットを選択する。また、無線基地局は、選択されたユーザセットについて、割り当てられたサブバンドの平均SINRを算出して、各ユーザ端末に対するサブバンド毎のMCSを選択する。なお、MCSは全サブバンドに共通して選択されてもよい。また、他のスケジューリングメトリックに基づいてユーザセットが選択されても良い。
【0024】
次に、無線基地局は、ユーザセットを構成する各ユーザ端末に対する下り信号を同一のサブバンドに割り当て、各ユーザ端末に対してサブバンド毎に異なる送信電力で下り信号を非直交多重して送信する(ステップST08)。また、無線基地局は、サブバンド毎に決定された送信電力及び/又はMCSを示す情報を、動的(dynamic)又は準静的(semi-static)に各ユーザ端末に通知する。動的に通知する場合、例えば、下り制御情報(DCI:Downlink Control Information)として下り制御チャネル(PDCCH(Physical Downlink Control Channel)又はEPDCCH(Enhanced PDCCH))により通知してもよい。また、準静的に通知する場合、RRC(Radio Resource Control)レイヤやMAC(Medium Access Control)レイヤなどの上位レイヤシグナリングにより通知されてもよい。
【0025】
次に、無線基地局にユーザセットとして選択された各ユーザ端末は、自端末に対する下り信号だけでなく、同一の無線リソースに非直交多重された他端末に対する下り信号を受信する(ステップST09)。そして、各ユーザ端末は、自端末よりもチャネルゲインが低く、送信電力が大きな他端末に対する下り信号をSICで除去し、自端末に対する信号を抽出(分離)する。この場合、自端末よりもチャネルゲインが高く、送信電力の小さな他端末に対する下り信号については、干渉信号のままとして除去されずに自端末への信号を復号する。
【0026】
ところで、上述のようなNOMAの送信処理において、各ユーザ端末に割り当てるサブバンド毎の送信電力の決定方式が検討されている。FTPA(Fractional Transmission Power Allocation)は、各ユーザ端末のサブバンド毎のチャネルゲインの大きさに基づいて、送信電力を一意に決定する方式である。なお、FTPAは、FTPC(Fractional Transmission Power Control)と呼ばれても良く、他の呼称を用いて表現されても良い。
【0027】
例えば、同一の無線リソースに割り当てられるユーザ端末数がK、サブバンド数がnである場合、FTPAでは、以下の式(3)に基づいて、同一の無線リソースに割り当てられる各ユーザ端末の送信電力が決定される。
【数3】
ここで、P
k、bは、k(1≦k≦K)番目のユーザ端末のb番目のサブバンドの送信電力である。P
bは、b(1≦b≦n)番目のサブバンドの総送信電力である。h
k、bは、k番目のユーザ端末のb番目のサブバンドのチャネル係数である。N
k、bは、k番目のユーザ端末のb番目のサブバンドにおける他のセルからの干渉と、雑音との和である。また、α(0≦α≦1)は、システム効率と公平性を制御するパラメータである。なお、α=0である場合、非直交多重されるユーザ端末間の送信電力は等しくなり、α→1である場合、チャネルゲインが低いユーザ端末に、より大きな送信電力が割り当てられる。
【0028】
なお、式(3)において、
【数4】
は、k番目のユーザ端末のb番目のサブバンドにおけるチャネルゲインを示す。
【0029】
また、FSPA(Full Search Power Allocation)は、NOMAを適用するユーザの組み合わせに対して、各ユーザ端末のサブバンド毎のチャネルゲインの大きさに基づいて、複数の送信電力の組み合わせ(送信電力セット)を全検索(exhaustive search)する方式である。FSPAでは、検索により決定された送信電力セットに基づいて、同一の無線リソースに割り当てられる各ユーザ端末の送信電力が決定される。ここで、送信電力セットの要素は、各ユーザ端末の送信電力値であっても良いし、総送信電力に対する各ユーザ端末の送信電力比であっても良い。なお、FSPAも、他の呼称を用いて表現されても良い。
【0030】
FTPAおよびFSPAは、NOMAのゲインの自由度が高いという利点を有するが、各ユーザ端末にMCS及び送信電力に関する情報を通知する必要があるため、通知する情報量やスケジューリングの演算量が比較的大きいという問題点がある。また、送信信号の品質が大きくなる(例えば、EVM(Error Vector Magnitude)が大きくなる)ようなMCS及び送信電力の組み合わせが候補セットに含まれるように構成されるため、MCS及び送信電力の組み合わせに依存するような送信信号の品質劣化に対するロバスト性が小さくなる。
【0031】
ここで、通知する情報量を削減する観点から、決定されたMCS及び送信電力を、個別に通知するのではなく、ジョイント符号化(joint encoding)することが考えられる。しかしながら、ジョイント符号化を適用する場合であっても、同一の無線リソースに対して非直交多重されるユーザ端末数が増加すると、MCS及び送信電力の組み合わせの数が増加することは避けられない。したがって、適応制御に必要な情報の通信オーバヘッドが増加するため、スループットが低下するおそれがある。
【0032】
以上からわかるように、従来のNOMA送信処理に係る送信電力の決定方式では、NOMAにより得られるゲインを劣化させずに、ユーザ端末に通知する必要のある情報量を低減することが実現できていないという課題があった。
【0033】
そこで、本発明者らは、MCS及び送信電力とNOMAの割り当てとの関係を検討した結果、MCSが大きければ大きいほどセル中央ユーザ端末に、MCSが小さければ小さいほどセル端ユーザ端末に無線リソースを割り当てる確率が高いことを発見した。また、NOMA多重の場合、ユーザ端末がセル中央に位置するほど電力配分が小さく、セル端に位置するほど電力配分が大きいことを発見した。ここで、MCSが大きいとは、当該MCSによって実現され得る理想的な通信スループットの値が大きいことをいう。言い換えると、MCSが大きいとは、LTEシステムなどで規定されるMCS番号(MCS index)の値が大きいということでもある。以下、変調方式及び符号化率並びに送信電力の組み合わせを、MCSP(MCS and Power)セットと呼ぶ。なお、MCSPセットは、他の呼称を用いて表現されても良い。
【0034】
これらの発見に基づいて、本発明者らは、本発明を想到するに至った。具体的には、本発明者らは、全てのMCSPセットからスケジューラが選択可能な、つまりユーザ端末に通知可能なMCSPセットの候補を、上記の背景を踏まえて限定することを着想した。これにより、NOMAのゲインを劣化させることなく、ユーザ端末に通知すべき情報量を低減することが可能となる。
【0035】
以下、本発明の一実施の形態(以下、本実施の形態と呼ぶ)に係る無線通信方法を詳細に説明する。本実施の形態では、ユーザ端末からフィードバックされたチャネルゲインに基づきスケジューリングした結果、選択されたMCSPセットが予め規定されたMCSPセットに含まれる場合にはそのままスケジューリングを決行する。一方、予め規定されたMCSPセットに含まれない場合は、当該MCSPセットを除外して、再度スケジューリングメトリックを最大化するセットを決定する。
【0036】
なお、本実施の形態では、各ユーザ端末に割り当てるサブバンド毎の送信電力の決定方式にFSPAを用いるものとし、複数の候補送信電力の組み合わせ(候補送信電力セット)の中から送信電力セットを選択するものとする。ただし、送信電力の決定方式は、これに限られない。
【0037】
図4は、本実施の形態に係る動作のフローチャートを示す図である。ステップST01−ST09は
図3と同じであるため、説明を省略する。
【0038】
無線基地局は、ステップST07で所定のユーザセットを選択し、当該ユーザセットに対するMCSPセットを選択する。ステップST21では、ステップST07で選択したMCSPセットが、予め規定された組み合わせ(予め規定されたMCSPセット)に含まれるかを判定する。予め規定されたMCSPセットに含まれる場合(ステップST21−YES)、ステップST08に進み、決定されたMCSPセットに基づくスケジューリングを適用して、データ送信を実施する。
【0039】
一方、予め規定されたMCSPセットに含まれない場合(ステップST21−NO)、選択したユーザセット及び送信電力セットの組み合わせを選択候補から除外して(ステップST22)、再度ステップST07に戻る。例えば、候補ユーザセット毎に候補送信電力セットを記憶しておき、選択した所定の候補ユーザセットに対して選択した候補送信電力セットを今後選択しないようにする処理を行う。これにより、予め規定されたMCSPセットのうち、スケジューリングメトリックをできるだけ大きくするMCSPセットを選択することが可能となる。なお、所定の条件に従って(例えば、所定の時間が経過したなど)、除外処理を全て又は一部解除する構成としても良い。また、スケジューリングの実行時には毎回除外処理を全て又は一部解除する構成としても良い。
【0040】
予め規定されたMCSPセットの例について、以下で説明する。無線基地局は、予め規定されたMCSPセットを用いてユーザ端末に割り当てをすることができ、当該MCSPセットに関する情報をユーザ端末に通知することができる。ここでは、NOMA多重を前提として、MCSPセットを限定する場合を想定する。
【0041】
なお、選択候補となるMCS及び送信電力の値は、それぞれ5つの値が規定されているものとする。例えば、候補となるMCSの値をMCS1−MCS5とすると、MCS1は(64QAM、3/4)、MCS2は(64QAM、1/2)、MCS3は(16QAM、3/4)、MCS4は(16QAM、1/2)、MCS5は(QPSK、3/4)を示す。この中では、MCS1が最大のMCSであり、MCS5が最小のMCSを表す。また、候補となる送信電力の値は、P(割り当て可能な総電力値)、P1(=0.2P)、P2(=0.3P)、P3(=0.4P)、P4(=0.5P)とする。なお、送信電力については、上記の値の差分を用いても良い。しかしながら、候補となるMCS及び電力値は、これらに限られない。
【0042】
図5は、本実施の形態に係る予め規定されたMCSPセットの一例を示す図である。
図5には、MCSPセットとしてセット1−セット8が示されるとともに、各セットを表すユーザ端末への通知ビットと、ユーザセットを構成する2つのユーザ端末(UE1、UE2)に適用可能なMCSPセットが示されている。
【0043】
図5では、MCSPセットに関する通知ビットは、ジョイント符号化されている。当該ジョイント符号化は、サブバンド毎に行われても良いし、全サブバンドまとめて行われても良い。なお、
図5の予め規定されたMCSPセットは、通知ビットが3ビットであり、8個のMCSPセットを規定するものであるが、当該構成に限られない。例えば、規定されるセット数及び通知ビット長が増減されていても良いし、MCSPセット以外に別のパラメータが関連付けられていても良い。
【0044】
セット1−セット3は、送信電力を割り当てるユーザ端末が1つであり、OMAに相当する。例えば、セット1は、UE1に対して、MCSをMCS1として、送信電力をPとするOMAの割り当てを示す。なお、NOMAのみ適用する場合、つまりNOMA/OMAの動的スイッチングを行わない場合は、セット1−セット3に示すようなOMAを示すセットは設定不要である。
【0045】
また、セット4−セット8は、送信電力を割り当てるユーザ端末が2つであり、NOMAに相当する。例えば、セット4は、UE1のMCSがMCS2かつ送信電力がP1、UE2のMCSがMCS2かつ送信電力が(P−P1)であるNOMAの割り当てを示す。
【0046】
なお、
図5の予め規定されたMCSPセットは、全ユーザ端末(UE1、UE2)をまとめてジョイント符号化する構成であるが、当該構成に限られない。例えば、ユーザ端末毎にMCSPセットをジョイント符号化した対応関係を保持し、
図5に示す通知ビットの代わりに、ユーザ端末毎のMCSPセットを表す別の情報を通知する構成としても良い。
【0047】
また、
図5のようなMCSPセットの対応表(MCSPテーブル)を、常に固定とするのではなく、準静的(semi-static)に変更する構成としても良い。
図6に、本実施の形態に係るMCSPテーブルを変更する一例を示す。
図6Aは、時刻1におけるMCSPテーブルを示す。また、
図6Bは、時刻1と異なる時刻2におけるMCSPテーブルを示す。本実施の形態においては、
図6A及び
図6Bのように、MCSPテーブルを準静的又は長期的に変更して、当該MCSPテーブルに関する情報を上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、報知信号など)を用いてユーザ端末に通知しても良い。一方、スケジューラより選択されたMCSPセットは、動的(dynamic)又は短期的にPDCCHを用いて、所定のユーザ端末又はユーザセットに対して通知される。
【0048】
図6のセット4のように、MCSPセットに含まれる所定のパラメータが、semi-staticな更新で十分な場合(例えば、P1の使用される可能性が低い場合)には、MCSPテーブルをsemi-staticに更新することで、MCSPテーブルのセット数を減らすことができる。これにより、UEに対して通知すべきMCSPセットに関する情報量を、大きく減らすことが可能となる。
【0049】
また、MCSPセットに示されるユーザ端末が、どのような端末であるかを関連付けておいても良い。例えば、UE1はセル中央に位置するユーザ端末であり、UE2はセル端に位置するユーザ端末であるとして予め規定されたMCSPセットが生成されていても良い。
【0050】
ここで、
図5の予め規定されたMCSPセットを用いて、
図4のフローチャートの処理の一例を説明する。この例では、ステップST07でユーザセットとしてユーザ端末UE1及びUE2が選択され、UE1のMCSPセットが(MCS3、P2)で、UE2のMCSPセットが(MCS5、P−P2)と選択されたとする。ステップST21の判定において、上記のMCSPセットは、予め規定されたMCSPセットに含まれないと判断される(ステップST21−NO)。
【0051】
次に、ステップST22で、候補ユーザセット及び候補送信電力セットから、ユーザセット(UE1、UE2)が送信電力セット(P2、P−P2)となる組み合わせを選択しないように除外する。再びステップST07に戻り、ユーザセットとしてユーザ端末UE1及びUE2が選択され、UE1のMCSPセットが(MCS3、P3)で、UE2のMCSPセットが(MCS5、P−P3)と選択されたとする。このMCSPセットは、予め規定されたMCSPセットに含まれると判断されるため(ステップST21−YES)、スケジューリングは有効となり、データ送信が実施される。
【0052】
無線基地局からユーザ端末へのMCSPセットに関する情報の通知は、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、報知情報)を用いて行うことができる。
【0053】
また、複数のユーザ端末が多重されるMCSPセットの場合、送信電力に関する情報量を削減することができる。例えば、2つのユーザ端末が多重されるMCSPセットの場合、送信電力に関する情報は、片方のユーザ端末に対するもののみ通知すれば足りる。例えば、UE1及びUE2に対する送信電力がそれぞれPx及びPyであるとすれば、Py=P−Pxの関係があるため、Px及びPyのいずれかを通知すれば良い。ユーザ端末では、2つのユーザ端末に対するMCSPセットについて通知された送信電力が1つだけの場合、総送信電力Pから差分をとるように構成しておくことで、もう一方の送信電力を得ることができる。
【0054】
また、MCSPセットを示す通知ビットの送信は、例えば、PDCCH/EPDCCHの制御情報(DCI)によるシグナリング、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)などを用いて行うことができる。DCIによるシグナリングは、サブバンド毎、ユーザ端末毎の通知が容易であることから、通知ビットの送信に適している。
【0055】
なお、本実施の形態では、各ユーザ端末は、無線基地局が各ユーザ端末に割り当てるDM−RSポートによって、自端末がユーザセットのどの端末に該当するかを判断する。DM−RS(DeModulation Reference Signal)は、ユーザ端末がPDSCHの復調に必要な伝送路推定を行うことができるように、無線基地局により挿入される参照信号である。特に、複数アンテナを用いたMIMO(Multi Input Multi Output)伝送においては、ユーザ端末毎に異なるDM−RSポートを用いてDM−RSが送信されることが考えられる。例えば、DM−RSポートとしてDM−RSポート1及びDM−RSポート2の2つが利用可能である場合、DM−RSポート1を使用する端末はUE1であり、DM−RSポート2を使用する端末はUE2であると判断しても良い。
【0056】
ただし、ユーザ端末の判断方法は、上記に限定されない。例えば、無線基地局が上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)により通知した情報に基づいて判断しても良い。さらに、無線基地局が各ユーザ端末に対して、明示的に各ユーザ端末がSICの復号処理に関するどの端末に該当するかを通知しても良い。
【0057】
以上のように、本実施の形態の無線通信方法によれば、スケジューラが選択できるMCSPセットの候補を限定できるため、NOMAのゲインを劣化させることなく、ユーザ端末に通知すべき情報量を低減することが可能となる。また、本実施の形態の無線通信方法は、スケジューラが選択したMCSPセットと予め規定されたMCSPセットとを比較して、一致しない場合には候補ユーザセット及び候補送信電力セットから選択されたユーザセット及び送信電力セットを除外して再度スケジューリングを実行させれば足りるため、既存のスケジューラから大きく変更を加えることなく実現できる。
【0058】
(無線通信システムの構成例)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの一例について、詳細に説明する。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
図7は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成の一例を示す図である。なお、
図7に示す無線通信システム1は、例えば、LTEシステム又はLTE−A(LTEアドバンスト(LTE-Advanced))システムが包含されるシステムである。この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4G、又はFRA(Future Radio Access)と呼ばれても良い。
【0060】
図7に示す無線通信システム1は、無線基地局10(10A、10B)と、この無線基地局10と通信する複数のユーザ端末20(20A、20B)とを含んでいる。無線基地局10は、上位局装置30と接続され、この上位局装置30は、コアネットワーク40に接続される。各ユーザ端末20は、セルC1、C2において無線基地局10と通信を行うことができる。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)などが含まれるが、これに限定されるものではない。また、無線基地局10間が有線接続(光ファイバ、X2インタフェースなど)又は無線接続されていても良い。
【0061】
なお、無線基地局10は、マクロセルを形成するマクロ基地局、eNodeB(eNB)などであってもよいし、スモールセルを形成するスモール基地局、マイクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB、RRH(Remote Radio Head)などであってもよい。また、無線基地局10は、送受信ポイントと呼ばれていてもよい。各ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。
【0062】
無線通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはNOMA(Non-Orthogonal Multiple Access)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が適用される。また、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が適用されても良い。
【0063】
NOMAは周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア、サブバンドなど)に分割し、サブバンド毎にユーザ端末20の信号を異なる送信電力で非直交多重するマルチキャリア伝送方式であり、OFDMAは、周波数帯域を複数のサブバンドに分割し、各サブバンドにユーザ端末20の信号を直交多重して通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域幅を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数のユーザ端末20が互いに異なる帯域を用いることで、ユーザ端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0064】
ここで、無線通信システム1で用いられる通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有される下り共有データチャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、EPDCCH、PCFICH、PHICHなど)、報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)などを有する。PDSCHにより、下りデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、EPDCCH(Enhanced PDCCH)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQ(Hybrid ARQ)の送達確認信号(例えば、ACK/NACK)が伝送される。
【0065】
また、上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有される上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)、ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)などを有する。PUSCHにより、上りデータや上位制御情報が伝送される。PUCCH又はPUSCHにより、下りリンクのチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)、ACK/NACKなどの上り制御情報が伝送される。
【0066】
図8は、本実施の形態に係る無線基地局の全体構成の一例を示す図である。無線基地局10は、送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インタフェース106とを備えている。
【0067】
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信される下りデータは、上位局装置30から伝送路インタフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
【0068】
ベースバンド信号処理部104は、入力された下りデータに対して、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤの処理、下りデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)レイヤの送信処理(例えば、RLC再送制御の送信処理)、MAC(Medium Access Control)再送制御(例えば、HARQの送信処理)、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理を行い、各送受信部103に転送する。また、下りリンクの制御データに対して、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換などの送信処理を行い、各送受信部103に転送する。
【0069】
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。
【0070】
一方、上りリンクによりユーザ端末20から無線基地局10に送信されるデータについては、各送受信アンテナ101で受信されてアンプ部102に入力される。アンプ部102は、各送受信アンテナ101から入力される無線周波数信号を増幅して各送受信部103に送る。増幅された無線周波数信号は、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
【0071】
ベースバンド信号処理部104は、入力されたベースバンド信号に含まれる上りデータに対して、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理、逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse Discrete Fourier Transform)処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理などを行い、伝送路インタフェース106を介して上位局装置30に転送する。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0072】
図9は、本実施の形態に係るユーザ端末の構成例を示すブロック図である。ユーザ端末20は、複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205とを備えている。
【0073】
下りリンク信号は、複数の送受信アンテナ201で受信されてアンプ部202に入力される。アンプ部202は、各送受信アンテナ201から入力される無線周波数信号を増幅して各送受信部203に送る。無線周波数信号は、各送受信部203でベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、ベースバンド信号に対して、FFT処理、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などが行われる。下りリンク信号に含まれる下りデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理を行う。また、下りリンク信号のうち、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
【0074】
一方、上りデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204は、入力された上りデータに対して、再送制御(例えば、HARQの送信処理)、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理などを行い、各送受信部203に転送する。各送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
【0075】
図10は、本実施の形態に係る無線基地局が有するベースバンド信号処理部の構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すように、ベースバンド信号処理部104は、スケジューリング部301、制御部302、下り制御情報生成部303、下り制御情報符号化・変調部304、下り送信データ生成部305、下り送信データ符号化・変調部306、下りチャネル多重部307を備えている。なお、
図10では、一部の構成のみを示しているが、ベースバンド信号処理部104は、必要な構成を不足なく備えているものとする。
【0076】
スケジューリング部301は、各ユーザ端末20のチャネルゲインに応じて、任意の無線リソースに非直交多重されるユーザ端末の組み合わせ(ユーザセット)を複数の候補ユーザセットから選択する。スケジューリング部301は、例えば、各サブバンドにおいてPF(Proportional Fairness)スケジューリングメトリックを最大化するユーザセットを選択するように構成しても良い。ユーザ端末20からフィードバックされたチャネルゲインなどのチャネル状態情報は、送受信部103で受信され、スケジューリング部301に入力される。
【0077】
なお、チャネル状態情報に含まれるチャネルゲインは、チャネルの受信品質を示すものであればよく、CQI、受信SINR、SNR、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSSI(Reference Signal Strength Indicator)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)などでもよく、また瞬時値でもよいし、長期平均値でもよい。また、チャネルゲインは、ユーザ端末からフィードバックされた情報に限られない。例えば、他の無線基地局にフィードバックされたチャネルゲインを取得して用いても良いし、当該ユーザ端末の近傍のユーザ端末からフィードバックされたチャネルゲインから求められても良い。
【0078】
そして、スケジューリング部301は、MCSPセットを候補送信電力セットに基づいて選択する。具体的には、スケジューリング部301は、選択したユーザセットの各ユーザ端末20に対して、送信電力の組み合わせ(送信電力セット)を複数の候補送信電力セットから選択する。また、スケジューリング部301は、選択した送信電力セット及びチャネルゲインに基づいて、下りデータの変調方式及び符号化率(MCS)を決定する。また、スケジューリング部301は、選択した変調方式、符号化率及び送信電力のセット(MCSPセット)を用いたスケジューリングの指示を制御部302に出力する。これらのMCSPセットは、サブバンド単位で選択されても良いし、ワイドバンド(複数のサブバンド)単位で選択されても良い。なお、候補ユーザセットや候補送信電力セットは、予め規定されていることが好ましいが、動的に変更する構成としても良い。
【0079】
制御部302は、スケジューリング部301から入力されたMCSPセットが、予め規定されたMCSPセットに含まれるか否かを判定し、当該判定結果に応じてスケジューリング部301を制御する。また、当該判定に基づいて、スケジューリング部301から入力された無線リソースのスケジューリングの指示を有効とするか否かを決定することができる。
【0080】
例えば、制御部302は、判定結果が真である(選択されたMCSPセットが、予め規定されたMCSPセットに含まれる)場合に、入力されたスケジューリングの指示を有効とすることができる。この場合、制御部302は、スケジューリング部301からの入力を下り制御情報生成部303、下り送信データ生成部305及び下りチャネル多重部307に出力する。
【0081】
また、制御部302は、判定結果が偽である(選択されたMCSPセットが、予め規定されたMCSPセットに含まれない)場合に、スケジューリング部301が選択したユーザセット及び送信電力セットの組み合わせを、スケジューリング部301が選択可能な候補ユーザセット及び候補送信電力セットの組み合わせから除外し、MCSPセットを改めて選択するようにスケジューリング部301の制御を行う。
【0082】
なお、この場合、制御部302は、入力されたスケジューリングの指示を無効として、下り制御情報生成部303、下り送信データ生成部305及び下りチャネル多重部307に出力しない構成とすることができる。
【0083】
なお、予め規定されたMCSPセットは、MCSが大きいほど送信電力が小さくなるように関連付けられた複数のMCSPセットから構成されることが好ましい。また、当該予め規定されたMCSPセットは、ユーザ端末20に非直交多元接続(NOMA)を適用することを示すMCSPセットから構成されるが、直交多元接続(OMA)を適用することを示すMCSPセットを含んでいても良い。
【0084】
上記構成に限られず、予め規定されたMCSPセットの対応表(MCSPテーブル)、候補ユーザセット、候補送信電力セットなどを適宜変更する構成としても良い。例えばユーザ端末20から受信したチャネル状態情報に基づいて変更することができる。また、変更後の予め規定されたMCSPセットの対応表(MCSPテーブル)、候補ユーザセット、候補送信電力セットなどに関する情報を、ユーザ端末20に上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、報知情報など)や下位レイヤシグナリング(例えば、PDCCHに含まれる下り制御情報(DCI))により通知する構成としても良い。
【0085】
なお、制御部302は、予め規定されたMCSPセットの対応表(MCSPテーブル)を更新して、当該更新されたMCSPセットに関する情報(例えば、MCSPテーブル)をユーザ端末20に通知し、さらに、スケジューリング部301により選択されたMCSPセットをユーザ端末20に通知するように制御する構成としても良い。
【0086】
ここで、MCSPテーブルの更新及び通知の頻度は、スケジューリング部301により選択されたMCSPセットの通知頻度よりも少ないことが好ましい。言い換えると、制御部302は、スケジューリング部301により選択されたMCSPセットを所定の時間間隔で更新してユーザ端末20に下位レイヤシグナリング(DCIなど)を用いて通知し、MCSPテーブルを上記所定の時間間隔より長い時間間隔で更新してユーザ端末20に上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)を用いて通知するように制御する構成が好ましい。
【0087】
また、制御部302は、ユーザ端末20に対するMCSPセットの通知について、P(送信電力)値に関する情報の通知を上位レイヤシグナリングで準静的に行い、スケジューリング部301により選択されたMCSセットに関する情報の通知を下位レイヤシグナリングで動的に行うように制御する構成としても良い。
【0088】
下り制御情報生成部303は、制御部302から入力されたスケジューリングの指示に従って、PDCCH又はEPDCCHで伝送されるユーザ端末固有の下り制御情報(DCI)を生成する。具体的には、下り制御情報生成部303は、スケジューリング部301が選択したMCSPセットを示すDCIを生成する。下り制御情報生成部303が生成した下り制御情報は、下り制御情報符号化・変調部304へと出力される。
【0089】
ここで、ユーザ端末固有の下り制御情報には、PDSCHの割り当て情報であるDLアサインメント(DL assignment)や、PUSCHの割り当て情報であるULグラント(UL grant)などが含まれる。また、下り制御情報には、各ユーザ端末20に対してCSIのフィードバックを要求する制御情報や、非直交多重された信号の受信処理に必要な情報が含まれる。
【0090】
また、下り制御情報生成部303は、スケジューリング部301が選択したMCSPセットに関する情報(変調及び符号化方式並びに送信電力の組み合わせに関する情報)を下り制御情報に含めるように構成されていても良い。また、当該選択したMCSPセットに関する情報は、選択したユーザセットについてジョイント符号化されていることが好ましい。このジョイント符号化された値は、予め規定されたMCSPセットに関連付けられた値であっても良い。なお、このジョイント符号化は、サブバンド毎に行われてもよいし、全サブバンドまとめて行われてもよい。
【0091】
下り制御情報符号化・変調部304は、入力された下り制御情報を、スケジューリング部301が選択したMCSに従ってチャネル符号化して変調する。変調後の下り制御情報は、下りチャネル多重部307へと出力される。
【0092】
下り送信データ生成部305は、制御部302から入力されたスケジューリングの指示に従って、ユーザ端末20毎に下りデータを生成する。下り送信データ生成部305で生成された下りデータは、上位制御情報と共に、PDSCHで伝送される下り送信データとして下り送信データ符号化・変調部306へ出力される。
【0093】
下り送信データ符号化・変調部306は、各ユーザ端末20に対する下り送信データを、スケジューリング部301が選択したMCSに従ってチャネル符号化して変調する。変調後の下り送信データは、下りチャネル多重部307へと出力される。なお、下り制御情報符号化・変調部304と、下り送信データ符号化・変調部306とで、適用するMCSが異なる構成としても良い。
【0094】
また、下り送信データ生成部305は、RRCレイヤやMACレイヤなどの上位レイヤシグナリング用の制御情報(上位レイヤ制御情報)を生成する構成としてもよい。当該上位レイヤ制御情報は、ワイドバンド単位の符号化率や、サブバンド毎の総送信電力値、MCSPテーブルなど、準静的(semi-static)に制御される情報を含んでもよい。
【0095】
下りチャネル多重部307は、下り制御情報、下り送信データ(上位制御情報を含む)及び下り参照信号を合成して下りリンク信号を生成する。ここで、下り参照信号としては、CRS、CSI−RS、DM−RSなどを用いることができる。具体的には、下りチャネル多重部307は、スケジューリング部301が出力したスケジューリング情報に従い、スケジューリング部301で選択された複数のユーザ端末20宛ての下りリンク信号が、選択された送信電力で送信されるように非直交多重する。下りチャネル多重部307で生成された下りリンク信号は、各種送信処理を経てユーザ端末20に向けて送信される。
【0096】
なお、下りチャネル多重部307に入力されるスケジューリング情報は、制御部302から出力されても良いし、スケジューリング部301から出力されても良い。スケジューリング部301から出力される場合は、制御部302の判定結果に従って、スケジューリングの有効/無効に関する情報が制御部302から下りチャネル多重部307に出力されても良い。
【0097】
図11は、本実施の形態に係るユーザ端末が有するベースバンド信号処理部の構成の一例を示すブロック図である。
図11に示すように、ベースバンド信号処理部204は、下り制御情報受信部401、チャネル推定部402、フィードバック部403、復調・復号部404を備えている。なお、
図11では、一部の構成のみを示しているが、ベースバンド信号処理部204は、必要な構成を不足なく備えているものとする。
【0098】
無線基地局10から送信された下りリンク信号は、各種受信処理を経て下り制御情報、下り送信データ(上位制御情報を含む)、下り参照信号に分離される。下り制御情報は下り制御情報受信部401に入力され、下り参照信号はチャネル推定部402に入力され、下り送信データは復調・復号部404に入力される。
【0099】
下り制御情報受信部401は、下り制御情報を取得してチャネル推定部402、フィードバック部403、復調・復号部404に出力する。下り制御情報受信部401は、取得した下り制御情報に、予め規定されたMCSPセットに関する情報が含まれる場合には、当該情報を復調・復号部404に通知する。
【0100】
チャネル推定部402は、下り参照信号に基づいてチャネル推定してチャネルゲインを取得し、当該チャネルゲインをフィードバック部403及び復調・復号部404に出力する。
【0101】
フィードバック部403は、チャネルゲインを含むチャネル状態情報を無線基地局10に送信する。具体的には、フィードバック部403は、上り共有チャネル(PUSCH)又は上り制御チャネル(PUCCH)を用いて、チャネル状態情報を送信する。
【0102】
復調・復号部404は、受信された下りデータ信号(例えば、PDSCH)の復調、復号、干渉除去(例えば、SIC)などを行う。具体的には、復調・復号部404は、下り制御情報受信部401から入力された予め規定されたMCSPセットに関連付けられた情報に基づいて、下りデータを復調及び復号する。
【0103】
例えば、復調・復号部404は、取得したDCIに含まれた値(予め規定されたMCSPセットに関する値)に対応するMCSPセットを選択し、当該MCSPセットが示す送信電力と、チャネル推定部402から入力されたチャネルゲインと、に基づいてSICによる干渉除去を行う。また、復調・復号部404は、上記選択したMCSPセットが示すMCSに基づいて下りデータを復調及び復調する。なお、下りデータに更新されたMCSPセットに関する情報(例えば、MCSPテーブル)が含まれる場合には、当該情報に基づいて、ユーザ端末20が有する予め規定されたMCSPセットを適宜更新しても良い。
【0104】
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システムによれば、スケジューラが選択できるMCSPセットの候補を限定できるため、NOMAのゲインを劣化させることなく、ユーザ端末に通知すべき情報量を低減するという効果を奏することができる。また、本実施の形態の無線通信システム1では、スケジューリング部301が選択したMCSPセットが予め規定されたMCSPセットに含まれるか否かを制御部302が判定し、一致しない場合には候補ユーザセット及び候補送信電力セットから選択されたユーザセット及び送信電力セットを除外して再度スケジューリングを実行させれば足りるため、スケジューリング部301には大きく変更を加えることなく、上記の効果を享受することができる。
【0105】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。例えば、上述したMCSPセットの構成について適宜変更することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。