特許第6374168号(P6374168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6374168異方性熱案内被覆を有する熱エネルギ案内装置及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374168
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】異方性熱案内被覆を有する熱エネルギ案内装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20180806BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20180806BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   H01L23/36 D
   H01L23/36 M
   H05K7/20 F
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-9239(P2014-9239)
(22)【出願日】2014年1月22日
(65)【公開番号】特開2014-187355(P2014-187355A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2017年1月20日
(31)【優先権主張番号】13/848,827
(32)【優先日】2013年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】アーカン メーメット ディディ
(72)【発明者】
【氏名】野村 壮史
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−258527(JP,A)
【文献】 特開2005−057088(JP,A)
【文献】 特開平04−211150(JP,A)
【文献】 特開2003−273293(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0176517(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
23/34 −23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギ源と、前記熱エネルギ源の表面と熱的連通する異方性熱案内被覆とを具備する熱エネルギ案内装置において、前記異方性熱案内被覆は、第一層及び第二層を含む複数の層を有し、前記第一層は前記熱エネルギ源の表面に接触し、前記第二層は前記第一層に接触し、前記第一層は第一熱伝導率を有し、前記第二層は第二熱伝導率を有し、前記複数の層は、熱エネルギ管理目標に応じて前記熱エネルギ源からの熱エネルギを案内するために前記熱エネルギ源の表面に不均一に配置され、前記第一層は第一の複数の熱伝導性粒子を含む第一絶縁材料から形成され、前記第一層は熱伝導性粒子の第一濃度を有し、前記第二層は第二の複数の熱伝導性粒子を含む第二絶縁材料から形成され、前記第二層は熱伝導性粒子の第二濃度を有し、前記第一濃度は前記第二濃度を上回っている、熱エネルギ案内装置。
【請求項2】
前記異方性熱案内被覆は熱エネルギ源の形状と合致する同形被覆である、請求項1に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項3】
前記熱エネルギ源は電子構成要素あるいはモータである、請求項1に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項4】
さらに、前記異方性熱案内被覆と熱的連通する熱エネルギ取り込み装置を具備し、前記熱エネルギ管理目標は、前記熱エネルギ取り込み装置へ前記熱エネルギ源からの熱を案内することを有する、請求項1に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項5】
前記第一層と第二層との層境界面は前記熱エネルギ源の表面と実質的に垂直である、請求項1に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項6】
前記熱エネルギ源の表面は実質的に線型である、請求項1に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項7】
前記複数の層の厚さが前記熱エネルギ源の表面に沿って変化する、請求項1に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項8】
前記複数の層の厚さは前記熱エネルギ源の表面に沿って不均一に変化する、請求項1に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項9】
熱エネルギ源と、前記熱エネルギ源の表面と熱的連通する異方性熱案内被覆とを具備する熱エネルギ案内装置において、前記異方性熱案内被覆は熱エネルギ源の形状と合致する同形被覆であり、前記異方性熱案内被覆は第一の複数の層と第二の複数の層とを有し、前記第一の複数の層は第一層と第二層とを有し、これら第一層と第二層は各々第一熱伝導率を有し、前記第二の複数の層は第三層と第四層とを有し、該第三層と第四層は各々第二熱伝導率を有し、前記第一の複数の層の前記第一層は前記熱エネルギ源の表面に接触し、
前記第二の複数の層の第三層は前記第一の複数の層の第一層と前記第一の複数の層の第二層との間に接触して配置され、前記第一の複数の層の第二層は前記第二の複数の層の第三層と前記第二の複数の層の第四層との間に接触して配置され、前記第一層及び前記第二層は第一の複数の熱伝導性粒子を含む第一絶縁材料から形成され、前記第一層及び前記第二層は熱伝導性粒子の第一濃度を有し、前記第三層及び前記第四層は第二の複数の熱伝導性粒子を含む第二絶縁材料から形成され、前記第三層及び前記第四層は熱伝導性粒子の第二濃度を有し、前記第一濃度は前記第二濃度を上回っている、熱エネルギ案内装置。
【請求項10】
前記第一層は前記熱エネルギ源の表面に接触し、前記第二層は前記熱エネルギ源に接触し、前記第一層は前記第二層に接触する、請求項9に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項11】
前記第一層は第三層と前記熱エネルギ源の表面との間に配置される、請求項9に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項12】
第一位置における前記異方性熱案内被覆の第一厚さは、前記第一層の第一厚さと前記第三層の第一厚さとを有し、第二位置における前記異方性熱案内被覆の第二厚さは、前記第一層の第二厚さと前記第三層の第二厚さとを有し、前記第一層の前記第一厚さは、前記第一層の前記第二厚さより薄い、請求項9に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項13】
前記第一の複数の熱伝導性粒子は、金属粒子、グラファイト粒子、繊維複合粒子、セラミック粒子、又は、これらの組み合わせを含んでいる、請求項9に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項14】
前記第一絶縁材料はシリコンであり、前記第二絶縁材料はシリコンである、請求項9に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項15】
熱エネルギ源と、前記熱エネルギ源の表面と熱的連通する異方性熱案内被覆とを具備する熱エネルギ案内装置において、前記異方性熱案内被覆は、第一層、第二層及び第三層を有し、前記第一層及び前記第三層は第一熱伝導率を有し、前記第二層は、前記第一層及び前記第三層の第一熱伝導率とは異なる第二熱伝導率を有し、前記熱エネルギ源の表面の第一位置における該表面に垂直な前記異方性熱案内被覆の第一横断面は前記第一層と前記第三層との一方のみを含み、前記熱エネルギ源の表面の第二位置における該表面に垂直な前記異方性熱案内被覆の第二横断面は前記第一層、前記第二層、及び前記第三層を含み、前記第二層は前記第一層と前記第三層との間に配置される、熱エネルギ案内装置。
【請求項16】
前記異方性熱案内被覆は更に第四層を有し、前記第四層は前記第二熱伝導率を有し、前記第一横断面と前記第二横断面との少なくとも一方は前記第四層を含む、請求項15に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項17】
前記第一層と前記第三層との少なくとも一方は第一の複数の熱伝導性粒子を含む第一絶縁材料から形成され、前記第一層と前記第三層との少なくとも一方は熱伝導性粒子の第一濃度を有し、前記第二層と前記四層との少なくとも一方は第二の複数の熱伝導性粒子を含む第二絶縁材料から形成され、前記第二層と前記第四層との少なくとも一方は熱伝導性粒子の第二濃度を有し、前記第一濃度は前記第二濃度を上回っている、請求項16に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項18】
前記第二層は前記第一層と前記第三層との間に配置され、前記第三層は前記第二層と前記第四層との間に配置される、請求項16に記載の熱エネルギ案内装置。
【請求項19】
前記異方性熱案内被覆は熱エネルギ源の形状と合致する同形被覆である、請求項15に記載の熱エネルギ案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は概して、熱エネルギ案内装置に関するものであり、より詳細には、異方性熱案内被覆(anisotropic thermal guiding coating)を有する熱エネルギ案内装置と、異方性熱案内被覆を有する熱エネルギ案内装置を製造するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの装置が、様々な量及び種類の熱エネルギを発する。例えば、電子構成部品、内燃機関、モータ、及び、電気機械装置などは、周囲へ散逸させられる熱エネルギを発するであろう。このように発せられた熱エネルギを、周囲への散逸を制御すること、及び、熱エネルギの可能な受け入れのための所望位置へ発せられた熱エネルギを案内することの少なくとも一方によるように管理することが望まれるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、異方性熱案内被覆を有する熱エネルギ案内装置、及び、異方性熱案内被覆を有する熱エネルギ案内装置を製造するための方法に対して、必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、熱エネルギ案内装置は、熱エネルギ源と、熱エネルギ源の表面と熱的連通(thermal communication:熱的関係をもって接続)する異方性熱案内被覆とを有している。異方性熱案内被覆は、第一層及び第二層を含む複数の層を有している。第一層は第一熱伝導率を有し、第二層は第二熱伝導率を有している。複数の層は、熱エネルギ管理目標に応じて熱エネルギ源からの熱エネルギを案内するために熱エネルギ源の表面に不均一に配置される。
【0005】
もう一つの実施形態において、熱エネルギ案内装置を製造するための方法は、熱エネルギ源を準備することと、異方性熱エネルギ案内被覆が熱エネルギ源の表面と熱的連通するように、不均一なように異方性熱案内被覆により熱エネルギ源の表面を覆うこと、とを有している。異方性熱案内被覆は、第一層及び第二層を含む複数の層を有している。第一層は第一熱伝導率を有し、第二層は第二熱伝導率を有している。複数の層は、熱エネルギ管理目標に応じて熱エネルギ源からの熱エネルギを案内するために熱エネルギ源の表面に不均一に配置される。
【0006】
さらにもう一つの実施形態において、熱エネルギ案内装置は、熱エネルギ源と、熱エネルギ源の表面と熱的連通する異方性熱案内被覆とを有している。異方性熱案内被覆は、熱エネルギ源の形状に合致する同形被覆である。異方性熱案内被覆は、第一層及び第二層を含む複数の層を有している。第一層は第一熱伝導率を有し、第二層は第二熱伝導率を有している。第一層は、複数の熱伝導性粒子を含むシリコンから形成される。第二層は、シリコンから形成され、熱伝導性粒子を含まない。
【0007】
本開示の実施形態により提供されるこれらの及び追加的な特徴は、図面に関しての以下の詳細な記述を考慮して、より完全に理解されるであろう。
【0008】
本特許又は出願は、色彩が施された少なくとも一つの図面を含んでいる。色彩図面を備える本特許又は特許出願公開のコピーは、請求及び必要費用の支払い時に特許庁により提供されるであろう。
【0009】
図面に示されている実施形態は、実例であり、本質的な例示であり、開示に限定されることを意図されていない。実例の実施形態の以下の詳細な記述は、同じ要素が同じ参照番号により示される以下の図面に関して読まれるときに、理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による熱エネルギ源と異方性熱案内被覆とを有する熱エネルギ案内装置を概略的に描いている図である。
図2A】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による電子装置と熱エネルギ取り込み装置と均一熱案内被覆とを有する熱エネルギ案内装置を概略的に描いている図である。
図2B】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による図2Aの熱エネルギ案内装置の等温線図を概略的に描いている図である。
図3A】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による電子装置と熱エネルギ取り込み装置と不均一異方性熱案内被覆とを有する熱エネルギ案内装置を概略的に描いている図である。
図3B】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による図3Aの熱エネルギ案内装置の等温線図を概略的に描いている図である。
図4】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による図2Aの熱エネルギ案内装置及び図3Aの熱エネルギ案内装置にための電子装置に沿う距離に対する温度の表示を概略的に描いている図である。
図5A】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による半径方向に延在する層を有する異方性熱案内被覆により覆われた熱エネルギ源を有する熱エネルギ案内装置を概略的に描いている図である。
図5B】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による図5Aの熱エネルギ案内装置の等温線図を概略的に描いている図である。
図6A】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による周方向に延在する層を有する異方性熱案内被覆により覆われた熱エネルギ源を有する熱エネルギ案内装置を概略的に描いている図である。
図6B】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による図6Aの熱エネルギ案内装置の等温線図を概略的に描いている図である。
図7A】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による半径方向に延在する層と周方向に延在する層との両方を有する異方性熱案内被覆により覆われた熱エネルギ源を有する熱エネルギ案内装置を概略的に描いている図である。
図7B】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による図7Aの熱エネルギ案内装置の等温線図を概略的に描いている図である。
図8A】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による熱案内装置を製造するための方法を概略的に描いている図である。
図8B】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による図8Aに描かれた方法により製造された熱エネルギ案内装置を概略的に描いている図である。
図9】ここに図示及び開示された一つ以上の実施形態による熱エネルギ案内装置を製造するための方法を概略的に描いている図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここに開示された実施形態は、異方性熱案内被覆を有する熱エネルギ案内装置と、異方性熱案内被覆を有する熱エネルギ案内装置を製造するための方法とを含んでいる。全体的に図面を参照すると、ここに開示されたような熱エネルギ案内装置は、熱エネルギ源と、熱エネルギ源の表面と熱的連通する異方性熱案内被覆とを有しても良い。ここに開示された異方性熱案内被覆は、異なる熱伝導率を有する複数の層を有し、これら複数の層は、これらの複数の層が熱エネルギ源の表面に不均一に配置されるときに、周囲環境への熱エネルギ源からの均一熱流を最大化し、周囲環境への熱エネルギ源からの均一熱流を最小化し、一つ以上の位置への不均一熱流を最適化し、又は、熱エネルギ取り込み装置へ熱を案内するなどのように、熱エネルギ管理目標に応じて熱エネルギ源からの熱エネルギを案内する。このように案内された熱エネルギは、さらなる使用のために、取り込まれ、又は、受け入れられても良い。異方性熱案内被覆を有する様々な熱エネルギ案内装置及び異方性熱案内被覆を有する熱エネルギ案内装置を製造するための方法が、対応する図面を特に参照してここにより詳細に述べられるであろう。
【0012】
図1を参照すると、熱エネルギ案内装置100が概略的に描かれている。熱エネルギ案内装置100は、熱エネルギ源110と、熱エネルギ源110の表面と熱的連通する異方性熱案内被覆120とを有している。熱エネルギ源110は、熱エネルギを発する任意の装置であっても良い。例えば、幾つかの実施形態において、熱エネルギ源110は、集積回路のような電子構成要素又は電子構成部品であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源110は、化学エネルギを電気エネルギへ変換する副次的結果として熱エネルギを発する電池であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源110は、熱エネルギを発するモータ又は内燃機関であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源110は、熱エネルギを発する電気機械装置であっても良い。熱エネルギ源110は、任意の形状であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源110は、矩形又は円形に形成されても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源110は、奇異に形状されても良い。さらに、幾つかの実施形態において、熱エネルギ源110は、熱エネルギを発する一つの構成部品を有しても良く、一方、他の実施形態において、熱エネルギ源110は、熱エネルギを発する複数の構成部品を有しても良い。
【0013】
依然として図1を参照すると、異方性熱案内被覆120が、熱エネルギ源110の表面と熱的連通する。幾つかの実施形態において、異方性熱案内被覆120は、熱エネルギ源110の形状と合致する同形被覆である。幾つかの実施形態において、異方性熱案内被覆120は、異方性熱案内被覆120が堅くて熱エネルギ源110の形状に適合しない実施形態におけるように、熱エネルギ源110の形状に合致しない。
【0014】
異方性熱案内被覆120は、複数の層を有する。複数の層は、第一層122と第二層124とを有する。図1に描かれた異方性熱案内被覆120が二つの層を有する一方で、幾つかの実施形態において、異方性熱案内被覆120が二つの層より多くを有することが理解されるべきである。二つの層より多くを有する幾つかの実施形態において、一つ以上の追加層が第一層122と同じ材料から形成されても良い。同様に、二つの層より多くを有する幾つかの実施形態において、一つ以上の追加層が第二層124と同じ材料から形成されても良い。例えば、幾つかの実施形態において、異方性熱案内被覆120は、第一層122及び第二層124の材料を交互に繰り返す熱エネルギ源110の表面に積層された複数の層を有しても良い。幾つかの実施形態において、異方性熱案内被覆120は、三つ以上の層構造を交互に繰り返す熱エネルギ源110の表面に積層された複数の層を有しても良い。図1に描かれた実施形態において、第一層122は、第二層124と熱エネルギ源110との間に配置されている。しかしながら、他の実施形態において、第二層124は、第一層122と熱エネルギ源110との間に配置されている。
【0015】
図1を依然として参照すると、第一層122は第一熱伝導率K1を有し、第二層124は第二熱伝導率K2を有する。第一熱伝導率K1は、第二熱伝導率K2と異なっている。幾つかの実施形態において、第一熱伝導率K1は、第二熱伝導率K2より大きい。他の実施形態において、第一熱伝導率K1は、第二熱伝導率K2より小さい。第一層及び第二層の熱伝導率は、第一層122及び第二層124の異なる物理組成のために異なるかもしれない。例えば、幾つかの実施形態において、第一層122は複数の熱伝導性粒子を有しているかもしれず、一方、第一層122の第一熱伝導率K1が第二層124の第二熱伝導率K2より大きくなるように、第二層124は熱伝導性粒子を有していないかもしれない。熱伝導性粒子は、金属粒子(例えば、銅、アルミニウム、銀、金、その他)、グラファイト粒子、繊維複合粒子、セラミック粒子、又は、これらの組み合わせを含んでいるかもしれない。
【0016】
第一層122及び第二層124の合成の状況において依然として図1を参照すると、幾つかの実施形態において、第一層122は複数の熱伝導性粒子を含む第一絶縁材料から形成され、第一層122の第一熱伝導率K1が第二層124の第二熱伝導率K2より大きくなるように、第二層は熱伝導性粒子を含まない第二絶縁材料から形成される。このような幾つかの実施形態において、第一絶縁材料は第二絶縁材料と同じであり、一方、他のこのような実施形態においては、第一絶縁材料が第二絶縁材料と異なっている。第一絶縁材料及び第二絶縁材料の少なくとも一方は、シリコンを含んでいても良い。幾つかの実施形態において、第一絶縁材料及び第二絶縁材料の少なくとも一方は、ナイロン又はエポキシのようなシリコン以外の絶縁材料であっても良い。一つの非限定の例において、第一絶縁材料は熱伝導性粒子を含むシリコンであり、第一層122が複数の銅粒子を含むシリコンから形成されて第二層124が実質的に熱伝導性粒子のないシリコンから形成されるときのように、第二絶縁材料は熱伝導性粒子を含まないシリコンである。
【0017】
第一層122及び第二層124の合成の状況において依然として図1を参照すると、幾つかの実施形態において、第一層122は第一の複数の熱伝導性粒子を含む第一絶縁材料から形成され、第一層122の第一熱伝導率K1が第二層124の第二熱伝導率K2より大きくなるように、第二層は第二の複数の熱伝導性粒子を含む第二絶縁材料から形成される。第一の複数の熱伝導性粒子の熱伝導性粒子は、第二の複数の熱伝導性粒子の熱伝導性粒子と異なっている。幾つかの実施形態において、第一絶縁材料は、第二絶縁材料と同じであり、一方、他の実施形態において、第一絶縁材料は、第二絶縁材料と異なっている。
【0018】
第一層122及び第二層124の合成の状況において依然として図1を参照すると、幾つかの実施形態において、第一層122は第一濃度(first concentration)を有して第一の複数の熱伝導性粒子を含む第一絶縁材料から形成され、第二層は第二濃度(second concentration)を有して第二の複数の熱伝導性粒子を含む第二絶縁材料から形成される。第一層122における第一の複数の熱伝導性粒子の第一濃度は、第一層122の第一熱伝導率K1が第二層124の第二熱伝導率K2より大きくなるように、第二層124における第二の複数の熱伝導性粒子の第二濃度を上回っている。幾つかのこのような実施形態において、第一絶縁材料は第二絶縁材料と同じであり、一方、他のこのような実施形態においては、第一絶縁材料が第二絶縁材料と異なっている。上述したように、第一絶縁材料及び第二絶縁材料の少なくとも一方は、シリコンを含んでも良い。幾つかの実施形態において、第一絶縁材料及び第二絶縁材料の少なくとも一方は、ナイロン又はエポキシのようなシリコン以外の絶縁材料であっても良い。幾つかの実施形態において、第一の複数の熱伝導性粒子の熱伝導性粒子は、第二の複数の熱伝導性粒子の同じ熱伝導性粒子であり、一方、他の実施形態において、第一の複数の熱伝導性粒子の熱伝導性粒子は、第二の複数の熱伝導性粒子の熱伝導性粒子と異なっている。
【0019】
図1を依然として参照すると、複数の層(第一層122及び第二層124を含む)は、熱エネルギ管理目標に応じて熱エネルギ源110からの熱エネルギを案内するために、熱エネルギ源110の表面に不均一に配置されている。幾つかの実施形態において、複数の層は、複数の層の厚さが熱エネルギ源110の表面に沿って変化するように、熱エネルギ源110の表面に不均一に配置される。例えば、図1に描かれたように、第一位置130における異方性熱案内被覆120の第一厚さ131は、第一層122の第一厚さ132と第二層124の第一厚さ134とを含んでいる。第二位置140における異方性熱案内被覆120の第二厚さ141は、第一層122の第二厚さ142と第二層124の第二厚さ144とを含んでいる。図1に図示されたように、第一層122の第一厚さ132は、第一層122の第二厚さ142より薄い。図1が熱エネルギ源110の表面に沿って不均一な厚さを有する複数の層を描く一方で、幾つかの実施形態においては、図3Aから3Bを参照して以下にさらに詳細に述べられるであろうように、様々な層の向き及び方向の少なくとも一方が互いに関して不均一であるよう複数の層が熱エネルギ源110の表面に不均一に配置されるときのように、複数の層は、異なるように又は追加的なように不均一に配置される。
【0020】
図1を依然として参照すると、異方性熱案内被覆120の複数の層は、熱エネルギ管理目標に応じて熱エネルギ源110からの熱エネルギを案内するために、熱エネルギ源110の表面に不均一に配置されている。幾つかの実施形態において、熱エネルギ管理目標は、周囲環境への熱エネルギ源110からの均一熱流を最大化することであるかもしれない(例えば、図5Aから5Bを参照して以下にさらに詳細に述べられるであろうように)。幾つかの実施形態において、熱エネルギ管理目標は、周囲環境への熱エネルギ源110からの均一熱流を最小化することであるかもしれない(例えば、図6Aから6Bを参照して以下にさらに詳細に述べられるであろうように)。幾つかの実施形態において、熱エネルギ管理目標は、一つ以上の位置への不均一熱流を最適化することであるかもしれない(例えば、図7Aから7Bを参照して以下にさらに詳細に述べられるであろうように)。幾つかの実施形態において、熱エネルギ管理目標は、異方性熱案内被覆120と熱的連通する吸熱装置のような熱エネルギ取り込み装置へ熱を案内することであるかもしれない。異方性熱案内被覆120は、これらのここで特に述べられた以外の多くの熱エネルギ管理目標に応じて熱エネルギ源110からの熱エネルギを案内するかもしれないことが、理解されるべきである。
【0021】
図2Aを参照すると、熱エネルギ案内装置200が概略的に描かれている。熱エネルギ案内装置200は、電子装置210a、210b、熱エネルギ取り込み装置220、及び、均一熱案内被覆230を有している。熱エネルギ取り込み装置220は、電子装置210a、210bと熱的連通する。均一熱案内被覆230は、電子装置210a、210bと熱的連通し、熱エネルギ取り込み装置220と熱的連通する。
【0022】
図2Aを依然として参照すると、電子装置210a、210bは、マイクロプロセッサ、集積回路、又は、他の電子構成部品のように、作動において熱エネルギを発生するかもしれない。幾つかの実施形態において、電子装置210a、210bは、作動中に同じ熱エネルギ量を発生するかもしれず、一方、他の実施形態において、電子装置210a、210bは、作動中に異なる熱エネルギ量を発生するかもしれない。図2Aは二つの電子装置210a、210bを描いている一方で、幾つかの実施形態は、一つだけの電子装置又は二つの電子装置より多くを有しても良い。
【0023】
図2Aを依然として参照すると、熱エネルギ取り込み装置220は、電子装置210a、210bからの熱エネルギが向けられるかもしれない任意の装置であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ取り込み装置220は、アルミニウム熱発散装置のような吸熱装置であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ取り込み装置220は、アルミニウム熱発散装置以外の吸熱装置であっても良い。
【0024】
上述したように、均一熱案内被覆230は、電子装置210a、210bと熱的連通し、熱エネルギ取り込み装置220と熱的連通する。均一熱案内被覆230は、電子装置210a、210bによって発せられた熱エネルギの少なくとも一部を熱エネルギ取り込み装置220へ向かわせるように機能するかもしれない。幾つかの実施形態において、均一熱案内被覆230は、熱エネルギ案内装置200の幅を横断する同じ厚さを有するシリコンの均一層である。他の実施形態において、均一熱案内被覆230は、シリコン以外の材料から形成されても良い。
【0025】
図2Bを参照すると、図2Aの熱エネルギ案内装置200の等温線図が概略的に描かれている。熱エネルギ案内装置200内の各点の温度は色によって表され、濃青色は描かれた最低温度であり、濃赤色は描かれた最高温度である。熱エネルギ案内装置200の色は、等温線図のために公知の方法で各位置の温度を表すために、熱エネルギ案内装置200内の様々な位置において濃青色から濃赤色へ変化する。さらに、図2Bは、熱エネルギ案内装置200内の様々な位置における正規化された熱流ベクトルを描いている。熱流ベクトルのそれぞれは、ベクトルが始まる位置における熱エネルギの移動方向を描いている。
【0026】
図2Bに描かれた実施形態において、電子装置210aは第一熱量を発生し、電子装置210bは第一熱量の三分の二の第二熱量を発生する。電子装置210aの最高温度は152.65℃(425.8K)である。図2Bに描かれた熱流ベクトルによって図示されたように、熱エネルギは、方向的に均一に電子装置210a、210bから散逸される。
【0027】
図3Aを参照すると、電子装置310a、310b、熱エネルギ取り込み装置320、及び、不均一異方性熱案内被覆330を有する熱エネルギ案内装置300が、概略的に描かれている。熱エネルギ取り込み装置320は、電子装置310a、310bと熱的連通する。不均一異方性熱案内被覆330は、電子装置310a、310bと熱的連通し、熱エネルギ取り込み装置320と熱的連通する。
【0028】
依然として図3Aを参照すると、電子装置310a、310bは、マイクロプロセッサ、集積回路、又は、他の電子構成部品のように、作動において熱エネルギを発生するかもしれない。幾つかの実施形態において、電子装置310a、310bは、作動中に同量の熱エネルギを発生するかもしれず、一方、他の実施形態において、電子装置310a、310bは、作動中に異なる量の熱エネルギを発生するかもしれない。図3Aは二つの電子装置310a、310bを描いている一方で、幾つかの実施形態は、一つだけの電子装置又は二つの電子装置より多くを有しても良い。比較のために、図3Aの電子装置310a、310bは、図2Aの電子装置210a、210bと同じである。しかしながら、他の実施形態において、図3Aの電子装置310a、310bは、図2Aの電子装置210a、210bと異なっていても良い。
【0029】
図3Aを依然として参照すると、熱エネルギ取り込み装置320は、電子装置310a、310bからの熱エネルギが向けられるかもしれない任意の装置であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ取り込み装置320は、アルミニウム熱発散装置のような吸熱装置であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ取り込み装置320は、アルミニウム熱発散装置以外の吸熱装置であっても良い。比較のために、図3Aの熱エネルギ取り込み装置320は、図2Aの熱エネルギ取り込み装置220と同じである。しかしながら、他の実施形態において、図3Aの熱エネルギ取り込み装置320は、図2Aの熱エネルギ取り込み装置220と異なっていても良い。
【0030】
上述したように、不均一異方性熱案内被覆330は、電子装置310a、310bと熱的連通し、熱エネルギ取り込み装置320と熱的連通する。不均一異方性熱案内被覆330は、電子装置310a、310bから離れる熱を案内する。幾つかの実施形態において、不均一異方性熱案内被覆330は、電子装置310aの温度勾配を最小化するような熱管理目標を達成するために、熱エネルギ取り込み装置320の表面に設置されても良い。ここで使用されるような装置の「温度勾配」は、装置内の任意の位置での最低温度と、装置内の任意の位置での最高温度との間の差である。
【0031】
依然として図3Aを参照すると、幾つかの実施形態において、不均一異方性熱案内被覆330は、以下にさらに詳細に述べられるであろう図9に描かれた方法によるように、電子装置310a、310b及び熱エネルギ取り込み装置320上に積層噴出されても良い。幾つかの実施形態において、不均一異方性熱案内被覆330は、三次元プリンタによって電子装置310a、310b及び熱エネルギ取り込み装置320上に三次元プリントされても良い。他の実施形態において、不均一異方性熱案内被覆330は、別の構成部品として形成されて、電子装置310a、310b及び熱エネルギ取り込み装置320上に後に固定されても及び熱的に結合されても良い。
【0032】
不均一異方性熱案内被覆330は、図1の異方性熱案内被覆120の厚さの変化を参照して上述されたように、複数の層の厚さが電子装置310a、310b及び熱エネルギ取り込み装置320の表面に沿って変化するよう電子装置310a、310bの表面上に及び熱エネルギ取り込み装置320の表面上に不均一に配置される複数の層を有している。幾つかの実施形態において、不均一異方性熱案内被覆330の複数の層は、様々な層の向き及び方向の少なくとも一方が、互いに関して不均一であるように、不均一に配置されても良い。例えば、図3Aに描かれているように、不均一異方性熱案内被覆330の複数の層は、熱エネルギ案内装置300の幅を横断して、厚さを変化させ、及び、向きと方向とを変化させ、配置される。幾つかの実施形態において、図3Aの不均一異方性熱案内被覆330は、図1の異方性熱案内被覆120又はここに述べられた任意の他の被覆を有しても良い。
【0033】
依然として図3Aを参照すると、不均一異方性熱案内被覆330は、複数の熱伝導性粒子を含むシリコンから形成されても良い。図3Aに描かれた実施形態において、不均一異方性熱案内被覆330は、400W/m*Kの熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含むシリコンから形成される。幾つかの実施形態において、不均一異方性熱案内被覆330は、400W/m*K以外の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含んでも良い。幾つかの実施形態において、不均一異方性熱案内被覆330は、不均一異方性熱案内被覆が純粋なシリコン層と熱伝導性粒子を含むシリコン層とを有する実施形態のように、異なる熱伝導率を有する複数の層を有しても良い。
【0034】
図3Bを参照すると、図3Aの熱エネルギ案内装置300の等温線図が概略的に描かれている。図2Bと同様に、熱エネルギ案内装置300内の各点の温度は色によって表され、濃青色は描かれた最低温度であり、濃赤色は描かれた最高温度である。熱エネルギ案内装置300の色は、等温線図ために公知の方法で各位置の温度を表すために、熱エネルギ案内装置300内の様々な位置において濃青色から濃赤色へ変化する。さらに、図3Bは、熱エネルギ案内装置300内の様々な位置における正規化された熱流ベクトルを描いている。熱流ベクトルのそれぞれは、ベクトルが始まる位置における熱エネルギの移動方向を描いている。
【0035】
図3Bに描かれた実施形態において、電子装置310aは第一熱量を発生し、電子装置310bは第一熱量の三分の二の第二熱量を発生する。図3Aから3Bの電子装置310a、310bによって発生される熱量は、図2Aから2Bの電子装置210a、210bによって発生される熱量と同じである。依然として図3Bを参照すると、電子装置310aの最高温度は、図2Bの電子装置210aの最高温度152.65℃(425.8K)に比較して、147.05℃(420.2K)である。図3Bに描かれた熱流ベクトルによって図示されたように、熱エネルギは、図2Bに描かれた熱エネルギ散逸様式に比較して、方向的に不均一なように電子装置310a、310bから散逸される。特に、図2Bにおけるより、電子装置310aによってもたらされる熱エネルギのより大きな部分が、図3Bにおける熱エネルギ取り込み装置320へ向けられる。従って、図3Aから3Bの不均一異方性熱案内被覆330は、均一熱案内被覆に比較して、電子装置310a、310bの少なくとも一方の最高温度を低下させる不均一様式において電子装置310a、310bからの熱エネルギを案内するかもしれないことが理解されるべきである。
【0036】
図4を参照すると、図2Aの熱エネルギ案内装置200のための及び図3Aの熱エネルギ案内装置300のための電子装置に沿う距離に対する温度表示が、概略的に描かれている。図4に図示されたように、図3Aの電子装置310aの温度勾配は、図2Aの電子装置210aの温度勾配の約半分である。さらに、図3Aの電子装置310aの最高、最低、及び平均温度は、図2Aの電子装置210aの対応する最高、最低、及び平均温度より低い。従って、図3Aから3Bの不均一異方性熱案内被覆330は、均一熱案内被覆に比較して、電子装置310a、310bの少なくとも一方の温度勾配を低下させ、電子装置310a、310bの少なくとも一方の最高、最低、及び平均温度を低下させる不均一様式において電子装置310a、310bからの熱エネルギを案内するかもしれないことが理解されるべきである。
【0037】
図5Aを参照すると、複数の半径方向に延在する層を有する異方性熱案内被覆520で覆われた熱エネルギ源510を有する熱エネルギ案内装置500が、概略的に描かれている。図5Aに描かれた実施形態において、熱エネルギ源510は、空洞515を取り囲む銅リングである。しかしながら、他の実施形態において、熱エネルギ源510は、熱エネルギを発する任意の装置であっても良い。例えば、幾つかの実施形態において、熱エネルギ源510は、集積回路のような電子構成要素又は電子構成部品であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源510は、化学エネルギを電気エネルギへ変換する副次的結果として熱エネルギを発する電池であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源510は、熱エネルギを発するモータ又は内燃機関であっても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源510は、電子機器又はモータのハウジングであっても良い。
【0038】
依然として図5Aを参照すると、異方性熱案内被覆520は、熱エネルギ源510の表面と熱的連通する。上記したように、異方性熱案内被覆520は、複数の半径方向に延在する層を有する。図5Aに描かれているように、異方性熱案内被覆520の複数の層は、第一層521と第二層522とを有する。第一層521は、熱エネルギ源510の表面と接触する。第二層522は、熱エネルギ源510と接触する。第一層521は、さらに、熱エネルギ源510の表面と接触する層境界面に沿って第二層522と接触する。層境界面は、層境界面が熱エネルギ源510の表面と接触する位置において、熱エネルギ源510の表面と実質的に非平行であっても良い。幾つかの実施形態において、図5Aのように、層境界面は、層境界面が熱エネルギ源の表面と接触する位置において、熱エネルギ源510の表面と実質的に垂直であっても良い。幾つかの実施形態において、異方性熱案内被覆520は、熱エネルギ源510の形状と合致する同形被覆である。
【0039】
依然として図5Aを参照すると、第一層521は第一熱伝導率を有し、第二層522は第一熱伝導率と異なる第二熱伝導率を有する。幾つかの実施形態において、第一層521は、図1を参照して上述されたような第一層122であっても良く、第二層522は、図1を参照して上述されたような第二層124であっても良い。幾つかの実施形態において、第一層521は複数の熱伝導性粒子を含むシリコンから形成され、第二層522は、シリコンから形成され、熱伝導性粒子を含まない。
【0040】
異方性熱案内被覆520は、熱管理目標を達成するために、熱エネルギ源510の表面に被覆される。図5Aに描かれた実施形態において、異方性熱案内被覆520の熱管理目標は、周囲環境への均一熱流を最大化することである。
【0041】
図5Bを参照すると、図5Aの熱エネルギ案内装置の等温線図が概略的に描かれている。熱エネルギ源510の最高温度は58.85℃(332K)であり、熱エネルギ源510の最低温度は31.85℃(305K)である。図5Bに図示したように、熱エネルギは、熱エネルギ源510の内部から均一様式で半径方向外側へ流れる。こうして、複数の半径方法に延在する層を有する異方性熱案内被覆520は、周囲環境への均一熱流を最大化する。熱エネルギは、異方性熱案内被覆520によって熱エネルギ源510内に案内されても良いことが理解されるべきである。
【0042】
図6Aを参照すると、複数の周方向に延在する層を有する異方性熱案内被覆620で覆われた熱エネルギ源510を有する熱エネルギ案内装置600が、概略的に描かれている。異方性熱案内被覆620は、熱エネルギ源510の表面と熱的連通する。上記したように、異方性熱案内被覆620は、複数の周方向に延在する層を有している。図6Aに描かれたように、異方性熱案内被覆620の複数の層は、第一層621及び第二層622を有している。第一層621は、熱エネルギ源510の表面と接触する。第一層621は、第二層622と熱エネルギ源510の表面との間に配置される。幾つかの実施形態において、異方性熱案内被覆620は、熱エネルギ源510の形状と合致する同形被覆である。
【0043】
依然として図6Aを参照すると、幾つかの実施形態において、第一層621は第一熱伝導率を有し、第二層622は第一熱伝導率と異なる第二熱伝導率を有する。幾つかの実施形態において、第一層621は、図1を参照して上述されたような第一層122であっても良く、第二層622は、図1を参照して上述されたような第二層124であっても良い。幾つかの実施形態において、第一層621は複数の熱伝導性粒子を含むシリコンから形成され、第二層622は、シリコンから形成され、熱伝導性粒子を含まない。
【0044】
異方性熱案内被覆620は、熱管理目標を達成するために、熱エネルギ源510の表面に被覆される。図6Aに描かれた実施形態において、異方性熱案内被覆620の熱管理目標は、周囲環境への均一熱流を最小化することである。
【0045】
図6Bを参照すると、図6Aの熱エネルギ案内装置の等温線図が概略的に描かれている。熱エネルギ源510の最高温度は141.85℃(415K)であり、熱エネルギ源510の最低温度は34.85℃(308K)である。図6Bに図示したように、熱エネルギは、熱エネルギ源510の内部から均一様式で半径方向外側へ流れる。しかしながら、図6Bの熱エネルギ源510の最高温度は、図5Bの熱エネルギ源510の最高温度より83℃(83K)高く、これは、複数の周方向に延在する層を有する図6Aから6Bの異方性熱案内被覆620が、周囲環境への均一熱流を最小化することを示している。熱エネルギは、異方性熱案内被覆620によって熱エネルギ源510内に案内されても良いことが理解されるべきである。
【0046】
図7Aを参照すると、複数の半径方向に延在する層724と複数の周方向に延在する層722との両方を有する異方性熱案内被覆720で覆われた熱エネルギ源510を有する熱エネルギ案内装置700が、概略的に描かれている。異方性熱案内被覆720は、熱エネルギ源510の表面と熱的連通する。上記したように、異方性熱案内被覆720は、複数の半径方向に延在する層724と複数の周方向に延在する層722とを有している。複数の半径方向に延在する層724は、図5Aから5Bの異方性熱案内被覆520の半径方向に延在する層に関して上述されたように形成されても良い。同様に、複数の周方向に延在する層722は、図6Aから6Bの異方性熱案内被覆620の周方向に延在する層に関して上述されたように形成されても良い。
【0047】
異方性熱案内被覆720は、熱管理目標を達成するために、熱エネルギ源510の表面に被覆される。図7Aに描かれた実施形態において、異方性熱案内被覆720の熱管理目標は、異方性熱案内被覆720の層を適当に配置することによって特定位置への不均一熱流を最適化することである。特に、異方性熱案内被覆720の熱管理目標は、複数の周方向に延在する層722により熱エネルギ源510の上側半分からの周囲環境への均一熱流を最小化し、複数の半径方向に延在する層724により熱エネルギ源510の下側半分からの周囲環境への均一熱流を最大化することである。
【0048】
図7Bを参照すると、図7Aの熱エネルギ案内装置の等温線図が概略的に描かれている。熱エネルギ源510の最高温度は67.85℃(341K)であり、熱エネルギ源510の最低温度は23.85℃(297K)である。図7Bの熱エネルギ源510の最高温度は、図5Bの熱エネルギ源510の最高温度より9℃(9K)高い。図7Bに図示したように、熱エネルギ源510の上側半分からの周囲環境への均一熱流は、複数の周方向に延在する層722により低減され、熱エネルギ源510の下側半分からの周囲環境への均一熱流は、複数の半径方向に延在する層724により増大される。熱エネルギは、異方性熱案内被覆720によって熱エネルギ源510内に案内されても良いことが理解されるべきである。
【0049】
図8Aから9を参照すると、熱エネルギ案内装置100を製造するための方法が概略的に描かれている。本方法は、熱エネルギ源を準備することと、異方性熱エネルギ案内被覆が熱エネルギ源の表面と熱的連通するように、不均一なように異方性熱案内被覆で熱エネルギ源の表面を覆うこと、とを有している。異方性熱案内被覆は、第一層と第二層とを含む複数の層を有する。第一層は第一熱伝導率を有し、第二層は第二熱伝導率を有する。複数の層は、熱エネルギ管理目標に応じて熱エネルギ源からの熱エネルギを案内するために、熱エネルギ源の表面に不均一に配置される。図8Aから9に描かれた特別な方法のそれぞれが、引き続き述べられるであろう。
【0050】
図8Aを特に参照すると、熱エネルギ案内装置を製造するための方法が概略的に描かれている。先ずは、熱エネルギ源810が準備される。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源810は、電子装置、電子構成要素、電池、モータ、内燃機関、又は、ここで述べられた任意の熱エネルギ源であっても良い。次いで、熱エネルギ源810の表面は、異方性熱エネルギ案内被覆が熱エネルギ源の表面と熱的連通するように、不均一なように異方性熱案内被覆で覆われる。図8Aに描かれた実施形態において、熱エネルギ源810の表面は、異方性熱案内被覆を有する熱収縮管820(例えば、マイラチューブなど)を準備し、熱収縮管820内に熱エネルギ源810を設置し、熱収縮管820へ熱を与えることによって被覆される。熱が熱収縮管820へ与えられるときに、熱収縮管820は、図8Bの製造された熱案内装置に描かれたように、異方性熱案内被覆が熱エネルギ源810の表面と熱的連通するよう熱エネルギ源810の形状に合致する。熱収縮管820の異方性熱案内被覆は、ここで述べられた熱案内被覆の任意の構成を有しても良い。
【0051】
図9を特に参照すると、熱エネルギ案内装置900を製造するための方法が概略的に描かれている。先ずは、熱エネルギ源910a、910bが準備される。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源910a、910bは、マイクロプロセッサ、集積回路、又は、他の電子構成部品のような電子構成要素であっても良い。次いで、熱エネルギ源910a、910bの表面は、異方性熱案内被覆960が熱エネルギ源910a、910bの表面と熱的連通するように、不均一なように異方性熱案内被覆960で覆われる。図9に描かれた実施形態において、熱エネルギ取り込み装置920(例えば、吸熱装置、又は、アルミニウム熱発散装置など)の表面もまた、異方性熱案内被覆960で覆われる。図9に描かれた実施形態において、熱エネルギ源910a、910bの表面及び熱エネルギ取り込み装置920の表面は、第一供給ノズル952から第一層962を噴出し、第二供給ノズル954から第二層964を噴出することによって被覆される。第一供給ノズル952によって供給される材料の多数の層及び第二供給ノズル954によって供給される材料の多数の層の少なくとも一方が、熱エネルギ源910a、910b及び熱エネルギ取り込み装置920の少なくとも一方を覆うために提供されても良い。幾つかの実施形態において、熱エネルギ源910a、910b及び熱エネルギ取り込み装置920は、望まれるように異方性熱案内被覆960を製造するために、材料が供給ノズルから供給されるときに、前後に動かされても良い(例えば、コンベアベルトによって)。幾つかの実施形態において、供給ノズルは、望まれるように異方性熱案内被覆960を製造するために、材料が供給されるときに動かされても良い。図9に描かれた実施形態が二つの供給ノズルを有する一方で、他の実施形態は、二つの供給ノズルより多くを有しても良く、これらの供給ノズルのそれぞれが、第一供給ノズル952及び第二供給ノズル954と同じ又は異なる材料を供給しても良い。異方性熱案内被覆960は、ここで述べられた熱案内被覆の任意の構成を有しても良い。
【0052】
ここに述べられた被覆を製造するための特別な方法が図8Aから9を参照して提供されている一方で、ここに述べられた被覆は、三次元プリンタなどのような様々な他の方法によって製造されても良いことが理解されるべきである。
【0053】
ここで述べられた異方性熱案内被覆は、熱エネルギ源によって発せられる熱エネルギが様々な熱エネルギ管理目標に応じて熱エネルギ装置内に案内されることを可能としても良いことが理解されるべきである。さらに、このように案内された熱エネルギは、さらなる使用のために取り込まれ、又は、受け入れられても良いことが理解されるべきである。最後に、ここで述べられた異方性熱案内被覆を熱エネルギ源に提供することは、特別に設計された微小構造を有する大きな合成体から熱エネルギ源を形成することによって熱エネルギを熱エネルギ源内に案内することを試みるときに生じるかもしれない複雑性を避ける一方で、熱エネルギが熱エネルギ源自身の構造内へ案内されることを可能とする。
【0054】
用語「実質的に」及び「約」は、任意の定量的な比較、値、寸法、又は、他の表現に帰するかもしれない不確定の固有の程度を表すために、ここで利用されているかもしれないことが注記される。これらの用語は、さらに、定量的な表現が、未解決の課題の基本目的の変更を結果として生じないで述べられた参照から変化しないかもしれない程度を表すために、ここで利用される。
【0055】
特定の実施形態がここで例示されて述べられた一方で、様々な他の変更及び変形が特許請求の範囲の精神及び範囲を逸脱することなく成されても良いことが理解されるべきである。さらに、特許請求の範囲の様々な態様がここで述べられたが、このような態様は、組み合わされて利用される必要はない。それにより、添付された特許請求の範囲は、特許請求の範囲内の全てのこのような変更及び変形を網羅することが意図されている。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
〔態様1〕
熱エネルギ源と、前記熱エネルギ源の表面と熱的連通する異方性熱案内被覆とを具備する熱エネルギ案内装置において、前記異方性熱案内被覆は、第一層及び第二層を含む複数の層を有し、前記第一層は第一熱伝導率を有し、前記第二層は第二熱伝導率を有し、前記複数の層は、熱エネルギ管理目標に応じて前記熱エネルギ源からの熱エネルギを案内するために前記熱エネルギ源の表面に不均一に配置される、熱エネルギ案内装置。
〔態様2〕
第一位置における前記異方性熱案内被覆の第一厚さは、前記第一層の第一厚さと前記第二層の第一厚さとを有し、第二位置における前記異方性熱案内被覆の第二厚さは、前記第一層の第二厚さと前記第二層の第二厚さとを有し、前記第一層の前記第一厚さは、前記第一層の前記第二厚さより薄い、態様1に記載の熱エネルギ案内装置。
〔態様3〕
前記第一層は、複数の熱伝導性粒子を含んでいる、態様1に記載の熱エネルギ案内装置。
〔態様4〕
前記複数の熱伝導性粒子は、金属粒子、グラファイト粒子、繊維複合粒子、セラミック粒子、又は、これらの組み合わせを含んでいる、態様3に記載の熱エネルギ案内装置。
〔態様5〕
前記第一層は複数の熱伝導性粒子を含む第一絶縁材料から形成され、
前記第二層は第二絶縁材料から形成され、前記第二層は熱伝導性粒子を含まない、態様1に記載の熱エネルギ案内装置。
〔態様6〕
前記第一層が複数の前記熱伝導性粒子を含むシリコンであり、前記第二層が熱伝導性粒子なしのシリコンであるように、第一絶縁材料はシリコンであり、前記第二絶縁材料はシリコンである、態様5に記載の熱エネルギ案内装置。
〔態様7〕
前記第一層は第一の複数の熱伝導性粒子を含む第一絶縁材料から形成され、前記第一層は熱伝導性粒子の第一濃度を有し、
前記第二層は第二の複数の熱伝導性粒子を含む第二絶縁材料から形成され、前記第二層は熱伝導性粒子の第二濃度を有し、前記第一濃度は前記第二濃度を上回っている、態様1に記載の熱エネルギ案内装置。
〔態様8〕
前記異方性熱案内被覆は、前記熱エネルギ源の形状に合致する同形被覆である、態様1に記載の熱エネルギ案内装置。
〔態様9〕
前記熱エネルギ源は、電子構成要素又はモータである、態様1に記載の熱エネルギ案内装置。
〔態様10〕
さらに、前記異方性熱案内被覆と熱的連通する熱エネルギ取り込み装置を具備し、前記熱エネルギ管理目標は、前記熱エネルギ取り込み装置へ前記熱エネルギ源からの熱を案内することを有する、態様1に熱エネルギ案内装置。
〔態様11〕
熱エネルギ源を準備することと、
異方性熱エネルギ案内被覆が前記熱エネルギ源の表面と熱的連通するように前記異方性熱案内被覆によって不均一なように前記熱エネルギ源の表面を覆うこと、とを有する熱エネルギ案内装置を製造するための方法において、前記異方性熱案内被覆は、第一層及び第二層を含む複数の層を有し、前記第一層は第一熱伝導率を有し、前記第二層は第二熱伝導率を有し、前記複数の層は、熱エネルギ管理目標に応じて前記熱エネルギ源からの熱エネルギを案内するために前記熱エネルギ源の表面に不均一に配置される、熱エネルギ案内装置を製造するための方法。
〔態様12〕
前記異方性熱案内被覆によって前記熱エネルギ源の表面を覆う段階は、
前記異方性熱案内被覆を有する熱収縮管を準備することと、
前記熱収縮管内に前記熱エネルギ源を設置することと、
前記異方性熱案内被覆が前記熱エネルギ源と熱的連通するように前記熱収縮管へ熱を与えることとを有する、態様11に記載の方法。
〔態様13〕
前記熱エネルギ源は電気機械装置である、態様12に記載の方法。
〔態様14〕
前記異方性熱案内被覆によって前記熱エネルギ源の表面を覆う段階は、
第一供給ノズルから前記第一層を噴出することと、
第二供給ノズルから前記第二層を噴出することと、を有する態様11の方法。
〔態様15〕
前記熱エネルギ源は電子構成要素である、態様14に記載の方法。
〔態様16〕
前記異方性熱案内被覆によって前記熱エネルギ源の表面を覆うことは、前記熱エネルギ源の表面の前記被覆を三次元プリントすることを有する、態様11に記載の方法。
〔態様17〕
第一位置における前記異方性熱案内被覆の第一厚さは、前記第一層の第一厚さと前記第二層の第一厚さとを有し、第二位置における前記異方性熱案内被覆の第二厚さは、前記第一層の第二厚さと前記第二層の第二厚さとを有し、前記第一層の前記第一厚さは、前記第一層の前記第二厚さより薄い、態様11に記載の方法。
〔態様18〕
熱エネルギ源と、前記熱エネルギ源の表面と熱的連通する異方性熱案内被覆とを具備する熱エネルギ案内装置において、
前記異方性熱案内被覆は、前記熱エネルギ源の形状に合致する同形被覆であり、
前記異方性熱案内被覆は、第一層及び第二層を含む複数の層を有し、
前記第一層は第一熱伝導率を有し、前記第二層は第二熱伝導率を有し、
前記第一層は複数の熱伝導性粒子を含むシリコンから形成され、
前記第二層は、シリコンから形成され、熱伝導性粒子を含まない、熱エネルギ案内装置。
〔態様19〕
前記第一層は前記熱エネルギ源の表面と接触し、前記第二層は前記熱エネルギ源と接触し、前記第一層は前記第二層と接触する、態様18に記載の熱エネルギ案内装置。
〔態様20〕
前記第一層は、前記第二層と前記熱エネルギ源の表面との間に配置される、態様18に記載の熱エネルギ案内装置。
【符号の説明】
【0056】
100 熱エネルギ案内装置
110 熱エネルギ源
120 異方性熱案内被覆
122 第一層
124 第二層
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9