(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被検出部は、装着される前記複数種のテープカートリッジのうち、最も多く作動する前記プッシュスイッチに対応する前記被検出部を、前記テープカートリッジに備えるプラテンから最も近い位置の前記被検出部に割り当てたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のテープカートリッジ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、従来のテープカセットでは、両面粘着テープとフィルムテープとの間の狭いスペースに凹状空間が設けられているため、被検出部をコンパクトに構成せざるを得ない。このため、検出対象となるフィルムテープの属性情報の情報量が制限され、或いは検出が不安定になるおそれがある。
一方、広いスペースを確保すべく、例えばテープカセット(テープカートリッジ)の下面に被検出部を設けると、カセット装着部側の検出部が光センサー等である場合には、埃等により誤検出が生ずるおそれがある。また、カセット装着部側の検出部がマイクロスイッチ等である場合には、テープカセットを浮き上がらせる力が作用し、これを押える構造が必要になる。
【0005】
本発明は、被検出部用の大きなスペースを必要とすること無く、確実な厚み検出を可能とするテープカートリッジを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープカートリッジは、装着ベース部と装着ベース部を囲む装着周壁部とを有し、着脱方向の厚みの異なる複数種のテープカートリッジが装着可能なカートリッジ装着部と、複数種のテープカートリッジの厚みに対応して、装着ベース部からの設置距離が異なるように装着周壁部に突設され、装着されたテープカートリッジの厚みを検出するための複数のプッシュスイッチと、を備えたテープ印刷装置に、着脱可能に装着される為のテープカートリッジであって、カートリッジ装着部に対し着脱される場合に、複数のプッシュスイッチが臨む複数の被検出部を外周
面に有し、複数の被検出部は、
テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着されている状態で、プッシュスイッチが対峙する凹入部と、凹入部に対して装着方向の奥側に位置し、着脱方向に延び、カートリッジ装着部に装着される際に、滑動しながらプッシュスイッチを作動させる滑り部
と、を有し、滑り部は、外周面に凹設されていることを特徴とする。
本発明の他のテープカートリッジは、装着ベース部と装着ベース部を囲む装着周壁部とを有し、着脱方向の厚みの異なる複数種のテープカートリッジが装着可能なカートリッジ装着部と、複数種のテープカートリッジの厚みに対応して、装着ベース部からの設置距離が異なるように装着周壁部に突設され、装着されたテープカートリッジの厚みを検出するための複数のプッシュスイッチと、を備えたテープ印刷装置に、着脱可能に装着される為のテープカートリッジであって、カートリッジ装着部に対し着脱される場合に、複数のプッシュスイッチが臨む複数の被検出部を外周面に有し、複数の被検出部は、カートリッジ装着部に装着された状態で、プッシュスイッチが対峙した場合に、プッシュスイッチを第1の作動状態とする凹入部と、凹入部に対して装着方向の奥側に位置し、カートリッジ装着部に装着された状態で、プッシュスイッチが対峙した場合に、プッシュスイッチを第1の作動状態とは異なる第2の作動状態とする滑り部と、を有し、凹入部は、カートリッジ装着部に装着された状態で第1の作動状態となるプッシュスイッチの個数が複数種のテープカートリッジの間で異なるように、カートリッジ装着部に装着された状態における装着ベース部からの離間距離が複数種のテープカートリッジの間で異なることを特徴とする。
この場合、滑り部は、外周面に凹設されていることが好ましい。
【0007】
この構成によれば、テープ印刷装置の複数のプッシュスイッチに対応する複数の被検出部がテープカートリッジの外周面に設けられているため、被検出部用の大きなスペースを必要とすることがない。このため、テープカートリッジの大型化を抑制することができる。また、各プッシュスイッチのばね力は、装着方向と交差する方向に作用するため、装着ベースから浮き上がらせる力として作用させることがない。さらに、プッシュスイッチは着脱方向に延びた滑り部により滑動しながら作動(動作)されるため、テープカートリッジの厚みを検出するためのプッシュスイッチをスムーズに作動させることができる。
また、この構成によれば、プッシュスイッチのステムを、滑り部に簡単に接触させることができる。
【0008】
この場合、滑り部は、カートリッジ装着部への装着に際し、プッシュスイッチを案内する装着ガイド斜面を含むことが好ましい。
【0009】
また、滑り部は、滑り部は、カートリッジ装着部からの離脱に際し、プッシュスイッチを案内する離脱ガイド斜面を含むことが好ましい。
【0010】
この構成によれば、プッシュスイッチにおける第1の作動状態および第2の作動状態を円滑に行わせることができる。すなわち、プッシュスイッチによって、テープカートリッジの着脱の円滑さが損なわれることがない。
【0013】
一方、上ケースと下ケースとを有するカートリッジケースを、更に備え、複数種のテープカートリッジは、装着方向の手前側に位置し、厚みが同一の上ケースと、装着方向の奥側に位置し、厚みが異なる下ケースとを有し、テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着されている状態で、複数のプッシュスイッチのうち、作動されていない状態のものを少なくとも1つ有し、プッシュスイッチが対峙する凹入部は、上ケースに設けられていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、厚みの異なる複数のテープカートリッジにおいて、被検出部(厚みを指標する定位置)を簡単に構成することができる。また、複数種のテープカートリッジにおいて、上ケースを共通化することができ、被検出部を設けることによるコストアップを抑制することができる。
【0015】
この場合、上ケースと下ケースとは、分解治具により装着方向に分解可能に構成され、装着方向の手前側から厚みを指標する定位置を構成する凹入部の端面は、分解治具が突き当てられる突当て面を構成していることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、分解治具用に設けられた突当て面を含む部位を利用して、被検出部を構成することができる。この点でも、被検出部を設けることによるコストアップを抑制することができる。
【0017】
また、装着周壁部の周方向に分散配置された複数のプッシュスイッチに対応し、複数の被検出部は、カートリッジケースにおける外周面の周方向に分散配置されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、複数のプッシュスイッチを、スペース的に無理なく配置することができる。また、複数のプッシュスイッチのばね力を、カートリッジケースを押えておく力として機能させることができ、カートリッジケースの位置ズレを抑制することができる。
【0019】
この場合、被検出部は、装着される複数種のテープカートリッジのうち、最も多く作動するプッシュスイッチに対応する被検出部を、テープカートリッジに備えるプラテンから最も近い位置の被検出部に割り当てたことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、厚いテープカートリッジを装着した時に、プッシュスイッチのばね力を、カートリッジケースの位置ズレを抑制することができる。
【0021】
また、装着ガイド斜面は、着脱方向のうちの装着方向と鋭角を為すことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、テープカートリッジの装着動作を円滑に行うことができる。
【0023】
同様に、離脱ガイド斜面は、着脱方向のうちの離脱方向と鋭角を為すことが好ましい。
【0024】
この構成によれば、テープカートリッジの離脱動作を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープカートリッジにつき、これが装着されるテープ印刷装置と共に説明する。このテープ印刷装置は、装着したテープカートリッジから印刷テープおよびインクリボンを繰り出しながら印刷を行い、印刷テープの印刷済み部分を切断して、ラベル(テープ片)を作成するものである。
【0027】
[テープ印刷装置の概要]
図1は、テープ印刷装置およびこれに装着されるテープカートリッジの外観斜視図である。同図に示すように、テープ印刷装置1は、外殻を構成する装置ケース3と、テープカートリッジ100が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部5と、カートリッジ装着部5を開閉する開閉蓋7と、を備えている。装置ケース3の上面には、奥側にカートリッジ装着部5が設けられ、中央にディスプレイ11が設けられ、手前側にキーボード13が設けられている。開閉蓋7の近傍には、指掛け用の窪入部15が設けられている。開閉蓋7は、この窪入部15に指を掛けて引き上げることにより開放される。そして、装置ケース3の側面(左側面)には、印刷テープ102が排出される縦長のテープ排出口17が設けられている。
【0028】
また、テープ印刷装置1は、カートリッジ装着部5に立設された印刷ヘッド21を有する印刷機構部23と、カートリッジ装着部5の裏側空間に内蔵したテープ送り機構部25と、テープ排出口17の近傍に内蔵したテープ切断機構部27と、を備えている。ユーザーは、キーボード13から印刷情報を入力し、ディスプレイ11で印刷情報を確認した後、キー操作により印刷を実行する。印刷が指令されると、テープ送り機構部25が駆動することで、印刷テープ102とインクリボン110とが並走する。さらに、印刷機構部23からインクリボン110に加えられる熱によって、インクリボン110のインクを印刷テープ102に転写によることで印刷が行われる。この印刷送りにより、印刷テープ102はテープ排出口17から排出されてゆき、印刷が完了すると、テープ切断機構部27が駆動して、印刷テープ102の印刷済み部分が切り離される。
【0029】
[テープカートリッジの概要]
図2および
図5に示すように、テープカートリッジ100は、印刷テープ102をテープコア104に巻回したテープロール106を備えている。また、テープカートリッジ100は、インクリボン110を繰出しコア112に巻回したリボンロール114と、使用後のインクリボン110を巻き取る巻取りコア116と、を備えている。また、テープカートリッジ100は、印刷ヘッド21が当接すると共に印刷テープ102およびインクリボン110を送るプラテンローラー120(プラテン)と、を備えている。さらに、テープカートリッジ100は、これらテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120を収容したカートリッジケース130を備えている。このように、本実施形態のテープカートリッジ100は、外殻をカートリッジケース130で覆われた、いわゆるシェル構造を有している。
【0030】
また、テープカートリッジ100には、テープ印刷装置1に装着されたときに、印刷ヘッド21が挿入される挿入開口134が、カートリッジケース130に形成されている。テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成され印刷テープ102が送り出されるテープ送出口138を備えている。なお、詳細は後述するが、テープロール106は、カートリッジケース130の内側に突設した円筒状のコア軸192に回転自在に支持されている。
【0031】
上記のテープ送り機構部25により、プラテンローラー120および巻取りコア116が駆動されると、印刷テープ102はテープコア104から繰り出され、インクリボン110は繰出しコア112から繰り出される。繰り出された印刷テープ102およびインクリボン110は、プラテンローラー120の部分で並走し、印刷ヘッド21によって印刷に供される。印刷が行われた印刷テープ102の繰出し端部(印刷済部分)は、テープ送出口138からテープ排出口17に向かって送り出される。一方、インクリボン110は、挿入開口134の周壁部分を周回し、巻取りコア116に巻き取られる。なお、テープカートリッジ100は、印刷テープ102のテープ幅に応じて、厚みの異なる複数種(実施形態のものは、3種類)が用意されている。
【0032】
[テープ印刷装置の詳細]
図1および
図3に示すように、カートリッジ装着部5は、テープカートリッジ100の平面形状と相補的な形状に形成されると共に、装着可能な複数種のテープカートリッジ100のうち、最大厚のテープカートリッジ100に対応する深さを有して、窪入形成されている。この場合、カートリッジ装着部5の底板部を構成する装着ベース部31と、側板部を構成する装着周壁部33とは、樹脂等で一体に形成(成形)されている。カートリッジ装着部5と上記のテープ排出口17との間には、スリット状のテープ排出経路35が形成されており、この部分に、上記のテープ切断機構部27が内蔵されている。
【0033】
カートリッジ装着部5の装着ベース部31には、テープカートリッジ100が装着されたときにそのテープカートリッジ100のコア軸192が嵌合して位置決めされる位置決め突起41が立設されている。また、装着ベース部31には、ヘッドカバー43に覆われた印刷ヘッド21と、プラテンローラー120を回転駆動するプラテン駆動軸45と、巻取りコア116を回転駆動する巻取り駆動軸47と、が立設されている。また、巻取り駆動軸47の近傍に位置して装着ベース部31には、印刷テープ102の種別(属性情報)を検出するテープ検出部51と、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めを解除するコア解除部53と、が設けられている。
【0034】
さらに、装着ベース部31には、その対角位置に一対の小突起55が設けられ、加えて装着したテープカートリッジ100の中間部を掛け止めする一対の掛止め片57が設けられている。そして、装着ベース部31の裏側空間には、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を回転させるモーターおよびギヤ列(いずれも、図示省略)等で構成される、上記のテープ送り機構部25が内蔵されている。テープ送り機構部25は、ギヤ列で動力分岐し、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を同期回転させる。
【0035】
印刷機構部23は、サーマルヘッドで構成された印刷ヘッド21と、印刷ヘッド21を支持すると共に回動させるヘッド支持フレーム61と、を有している。また、印刷機構部23は、ヘッド支持フレーム61を介して印刷ヘッド21を印刷位置と退避位置との間で回動させるヘッドリリース機構(図示省略)と、印刷ヘッド21(およびヘッド支持フレーム61)を覆うヘッドカバー43と、を有している。
【0036】
ヘッドリリース機構は、上記の開閉蓋7の開閉に連動して作動し、開閉蓋7の閉塞動作に連動して印刷ヘッド21を印刷位置に移動(回動)させる。また、ヘッドリリース機構は、開放動作に連動して印刷ヘッド21を退避位置に移動(回動)させる。印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、テープカートリッジ100のプラテンローラー120にインクリボン110および印刷テープ102を介して当接し、退避位置に移動した印刷ヘッド21は、プラテンローラー120から離間する。これにより、テープカートリッジ100を着脱する際に、印刷テープ102やインクリボン110の印刷ヘッド21への干渉が防止される。
【0037】
印刷ヘッド21には、複数の発熱素子が設けられ、複数の発熱素子は、プラテンローラー120の軸方向と同方向に列設されている。そして、印刷テープ102およびインクリボン110の送りと、複数の発熱素子の選択的駆動により印刷が行われる。
【0038】
ヘッドカバー43は、平面視略矩形に形成されおり、上記の装着ベース部31(カートリッジ装着部5)と一体に形成(成形)されている。また、ヘッドカバー43は、装着ベース部31から垂直に大きく突出しており、その内側において印刷ヘッド21の回動を許容し、外側においてテープカートリッジ100の装着ガイドとして機能する。
【0039】
テープ検出部51は、複数のマイクロスイッチ51aで構成されており、後述するテープカートリッジ100の検出受け部178に対して選択的に係合し、印刷テープ102のテープ色、材質等の種別を検出する。そして、この検出結果に基づいて、印刷ヘッド21やテープ送り機構部25の駆動が制御される。なお、印刷テープ102のテープ幅は、テープカートリッジ100の厚みとして、後述する厚み検出スイッチ65により検出される。
【0040】
コア解除部53は、繰出しコア112用および巻取りコア116用の2つの解除ピン53aで構成されている。詳細は後述するが、カートリッジケース130には、繰出しコア112および巻取りコア116にそれぞれ掛止めされる回転止めフック206が設けられている(
図6参照)、テープカートリッジ100を装着すると、これら回転止めフック206に解除ピン53aが係合し、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めが解除される。
【0041】
プラテン駆動軸45は、プラテンローラー120に挿入される固定軸45aと、固定軸45aの基部に回転自在に軸支されたスプライン形状の可動軸45bとを有している。テープ送り機構部25の回転動力は、この可動軸45bに伝達され、更に可動軸45bからプラテンローラー120に伝達される。同様に、巻取り駆動軸47は、固定軸47aと、固定軸47aに回転自在に軸支されたスプライン形状の可動軸47bと、を有している。この場合も、テープ送り機構部25の回転動力は、可動軸47bに伝達され、更に可動軸47bから巻取りコア116に伝達される。
【0042】
テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、位置決め突起41にコア軸192(テープコア104)が係合し、プラテン駆動軸45にプラテンローラー120が係合し、更に巻取り駆動軸47に巻取りコア116が係合する。そして、開閉蓋7を閉塞すると、印刷ヘッド21が回動し、印刷テープ102およびインクリボン110を挟んでプラテンローラー120に当接して、テープ印刷装置1は印刷待機状態となる。
【0043】
一方、
図3に示すように、カートリッジ装着部5の装着周壁部33には、装着されたテープカートリッジ100の厚みを検出するための複数の厚み検出スイッチ65が設けられている。実施形態のテープカートリッジ100には、例えば12mm幅の印刷テープ102を搭載した薄手のテープカートリッジ100Aと、18mm幅の印刷テープ102を搭載した中間厚のテープカートリッジ100Bと、24mm幅の印刷テープ102を搭載した厚手のテープカートリッジ100Cと、が用意されている(
図9参照)。なお、印刷テープ102の幅とは、印刷テープ102が送り出される方向と交差する方向における印刷テープ102の長さである。
【0044】
これら厚みの異なる3種類のテープカートリッジ100A,100B,100Cに対応して、装着周壁部33には、3個の厚み検出スイッチ65が周方向に分散するように配設されている。各厚み検出スイッチ65は、例えばプッシュスイッチ(マイクロスイッチ)で構成されている。3個の厚み検出スイッチ65のうち、第1の検出スイッチ65Aは、印刷ヘッド21(ヘッドカバー43)の近傍に配設され、第2の検出スイッチ65Bは、上記のテープ検出部51の近傍に配設され、第3の検出スイッチ65Cは、上記一方の小突起55の近傍に配設されている。
【0045】
詳細は後述するが、これら3個の厚み検出スイッチ65A,65B,65Cは、3種類のテープカートリッジ100A,100B,100Cの厚みに対応して、装着ベース部31からの設置距離が異なるように配設されている。そして、3個の厚み検出スイッチ65A,65B,65Cは、それぞれ検出回路(図示省略)に接続されており、検出回路は、各厚み検出スイッチ65のON−OFFである検出および非検出の二値化データに基づいて、装着されたテープカートリッジ100の厚みを検出する。
【0046】
図1および
図4に示すように、開閉蓋7は、奥側に設けたヒンジ部71を介して、装置ケース3に回動自在に、すなわち開閉自在に取り付けられている。開閉蓋7は、開閉蓋本体73と、開閉蓋本体73の中央に設けた覗き窓75と、を有している。また、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されヒンジ部71に回動自在に軸支された一対の軸支片77と、開閉蓋本体73の裏面に突設され印刷ヘッド21を回動させる作動レバー79と、を有している。さらに、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されテープカートリッジ100を押し込む2つの押込み突起81と、開閉蓋本体73の裏面に突設され、内蔵する蓋閉塞検出スイッチ(図示省略)を作動させる(ONにする)押下突起83と、を有している。
【0047】
覗き窓75は、横長に形成され、開閉蓋本体73とは別体となる透明(可視光に対し透明)な樹脂で構成されている。この覗き窓75越しに、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100が、視認(印刷テープ102の種別やテープ残量)できるようになっている。また、一対の軸支片77、作動レバー79、2つの押込み突起81および押下突起83と、開閉蓋本体73とは、樹脂で一体に形成(成形)されている。
【0048】
作動レバー79は、開閉蓋本体73の裏面から突出しており、開閉蓋7の閉塞に伴って、カートリッジ装着部5の側方に設けたスリット開口87に挿入される。スリット開口87に挿入された作動レバー79は、上記のヘッドリリース機構を作動させ、印刷ヘッド21をプラテンローラー120に向かって回動させる。同様に、押下突起83は、開閉蓋7の閉塞に伴って、スリット開口87に隣接する矩形開口91に挿入され、蓋閉塞検出スイッチを作動(ON)させる。
【0049】
一方の押込み突起81は、テープカートリッジ100のプラテンローラー120の近傍位置に対応している。他方の押込み突起81は、上記のテープ検出部51の直上位置に対応している。開閉蓋7を閉塞すると、2つの押込み突起81は、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5の装着ベース部31に着座するようにこれを押し込むと共に、テープカートリッジ100の浮き上がりを防止する。
【0050】
[テープカートリッジの詳細]
次に、
図2、
図5および
図6を参照して、テープカートリッジ100について詳細に説明する。なお、テープカートリッジ100の説明では、
図2を例に、テープカートリッジ100の上正面である装着方向手前の面を「表面」と、逆側の装着方向奥側の面を「裏面」と、左側の側面を「左側面」と、右側の側面を「右側面」と、上側の円弧状の側面を「先端面」と、下側の側面を「基端面」と、称呼するものとする。
【0051】
テープカートリッジ100は、上述のように、カートリッジケース130と、これに収容したテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120と、を備えている。また、テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成され挿入開口134と、プラテンローラー120の近傍において左側面に形成したテープ送出口138と、テープロール106が収容されている部位の表面、左側面および右側面に亘って貼着された識別シール141(
図1参照)と、を備えている。識別シール141には、カートリッジケース130に収容されている印刷テープ102のテープ幅やテープ色、材質等が、表面および左側面の2箇所に表示されている。
【0052】
カートリッジケース130は、テープカートリッジ100の外郭を構成するものであり(シェル構造)、右側面の基端側が幾分突出した、平面視「L」字状の外観を呈している。表裏方向においてカートリッジケース130は、カートリッジ装着部5に装着したときに奥側となる下ケース150と、手前側となる上ケース152と、で構成されている。本実施形態のカートリッジケース130は、上ケース152が透明な樹脂の成型品で構成され、下ケース150が不透明な樹脂の成型品で構成されている。上述のように、テープカートリッジ100には、厚み(テープカートリッジ100が装着される方向における長さ)の異なる複数種のものが用意されている。テープカートリッジ100Aないし100Cにおいて、この厚みの相違は、下ケース150で調整され、上ケース152は共通の部品として用いられる。
【0053】
上ケース152は、カートリッジケース130の表面を構成する天壁部156と、天壁部156の周縁部に垂設された上周壁部158と、で一体に形成(成形)されている。また、下ケース150は、カートリッジケース130の裏面を構成する底壁部160と、底壁部160の周縁部に立設された下周壁部162と、上記の挿入開口134を画成すべく底壁部160に立設された開口周壁部164と、で一体に形成(成形)されている。
【0054】
上ケース152における上周壁部158の下端面には、適宜の間隔で複数の接合ピン170が設けられる一方、下ケース150の下周壁部162には、この複数の接合ピン170に対応して複数の接合孔172が設けられている(
図5参照)。下ケース150に、テープロール106やリボンロール114等の構成部品をセットした後、複数の接合孔172に複数の接合ピン170を圧入するように上ケース152を接合することにより、テープカートリッジ100が組み立てられる。なお、各接合孔172は、成形の容易性を考慮し貫通孔となっている。
【0055】
一方、下ケース150の左側面および右側面には、上記の一対の掛止め片57に掛け止めされる一対の掛止受け部174が設けられている(
図2および
図6参照)。装着したテープカートリッジ100の一対の掛止受け部174に、カートリッジ装着部5側の一対の掛止め片57が掛け止めされることにより、テープカートリッジ100の浮き上がりが防止される。また、下ケース150の裏面には、上記の一対の小突起55が幾分余裕をもって嵌合する嵌合小穴176が設けられている(
図6参照)。装着したテープカートリッジ100の一対の嵌合小穴176に、カートリッジ装着部5側の一対の小突起55が嵌合することにより、装着ベース部31上におけるテープカートリッジ100の簡単な位置決めが為される。
【0056】
さらに、下ケース150の裏面には、基端面側の左隅部(表面側から見て右隅部)に位置して、上記のテープ検出部51に対応する検出受け部178が設けられている(
図6参照)。検出受け部178は、テープ検出部51の複数のマイクロスイッチ51aに対応する部分に構成され、この部分に設けた受け穴178aの有無により、複数のビットパターンを得るようにしている。すなわち、このビットパターンが、上記した印刷テープ102のテープ幅を除く種別に対応している。
【0057】
一方、
図2、
図5および
図8に示すように、上ケース152における上周壁部158には、周方向の4箇所に凹入部182が形成されている。また、この4箇所に凹入部182に対応して、下ケース150の下周壁部162には、周方向の4箇所に厚肉部184が形成されている。そして、各厚肉部184の上周壁部158側の端面が、後述する分解治具(図示省略)の一部が突き当てられる突当て面186を構成している。
【0058】
特に図示しないが、分解治具は、使用済みテープカートリッジ100を分解するに際し、表裏反転したテープカートリッジ100を、上記の4箇所の突当て面186の部分で受ける4本の支柱と、貫通孔で構成された下ケース150の4つの接合孔172に挿通する4本の抜きピンと、を有している。テープカートリッジ100を4本の支柱にセットした状態で、4本の抜きピンを下降させ、下ケース150の裏側から4つの接合孔172に挿入する。これにより、4本の抜きピンが、上ケース152の4本の接合ピン170を、同時に押し出す(抜き出す)ようにして、下ケース150と上ケース152とを分解する。
【0059】
このように、上ケース152の4箇所に凹入部182と、下ケース150の4箇所に厚肉部184および4箇所の突当て面186とは、テープカートリッジ100の要分解部位として、カートリッジケース130に形成されている。また、これら凹入部182、厚肉部184および突当て面186は、厚肉部184の外側に形成した滑り部188と共に、上記の厚み検出スイッチ65に対応するテープカートリッジ100の被検出部180を構成している。なお、実施形態のものでは、4箇所の被検出部180のうちの3箇所の被検出部180が、上記3個の厚み検出スイッチ65に対応している(詳細は、後述する)。
【0060】
図5に示すように、カートリッジケース130内の上側空間(先端面側)には、広くテープロール106が収容されるテープ収容エリア190が構成されている。テープ収容エリア190の中央には、下ケース150に一体に形成(成形)されたコア軸192が立設されている。コア軸192は、円筒状に形成されており、その外周面にはテープロール106(テープコア104)が回転自在に軸支されている。また、プラテンローラー120の近傍に位置してテープ収容エリア190には、繰り出された印刷テープ102をプラテンローラー120に導くテープガイド194が、下ケース150に一体に立設されている。
【0061】
すなわち、カートリッジケース130の内部には、テープロール106を起点とし、テープガイド194およびプラテンローラー120を経てテープ送出口138に至るテープ送り経路196が構成されている。テープロール106から繰り出された印刷テープ102は、テープガイド194を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120からテープ送出口138に導かれる。
【0062】
テープロール106は、印刷テープ102およびテープコア104を有すると共に、ロール状の印刷テープ102の両端面に貼着された2枚の円形フィルム198を有している。この2枚の円形フィルム198は、テープコア104に巻回した印刷テープ102のバラケを防止している。また、テープコア104には、図示では省略したが、逆転止め機構が組み込まれている。テープカートリッジ100を持ち運びするときには、この逆転止め機構により、印刷テープ102の逆転が防止される。一方、テープカートリッジ100をテープ印刷装置1のカートリッジ装着部5に装着すると、上記の位置決め突起41により逆転止め機構の逆転止めが解除され、印刷テープ102の送りが可能になる。
【0063】
カートリッジケース130内の基部右側には、挿入開口134に隣接してリボン収容エリア200が構成されている。リボン収容エリア200の右寄りには、リボンロール114(繰出しコア112)を回転自在に支持する繰出し側軸受部202が、また左寄りには、巻取りコア116を回転自在に支持する巻取り側軸受部204が、それぞれカートリッジケース130に一体に形成されている。すなわち、上ケース152および下ケース150に、それぞれ繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204が形成されている。
【0064】
下ケース150に形成された繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204の切欠き部分には、先端部をこれら繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204に臨ませた回転止めフック206が、それぞれ一体に形成されている。そして、一方の回転止めフック206は繰出しコア112に、他方の回転止めフック206は巻取りコア116に、それぞれ回転止め状態に係合されている。
【0065】
繰出し側軸受部202の近傍に位置してリボン収容エリア200には、繰り出されたインクリボン110をプラテンローラー120に導く第1リボンガイド210が、下ケース150に一体に立設されている。また、上記の開口周壁部164の外周側には、インクリボン110の周回をガイドする複数の第2リボンガイド212が一体に形成されている。
【0066】
すなわち、カートリッジケース130の内部には、リボンロール114を起点とし、第1リボンガイド210、プラテンローラー120および複数の第2リボンガイド212を経て巻取りコア116に至るリボン送り経路214が構成されている。リボンロール114から繰り出されたインクリボン110は、第1リボンガイド210を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120から開口周壁部164(複数の第2リボンガイド212)を周回して巻取りコア116に巻き取られる。
【0067】
リボンロール114は、インクリボン110および繰出しコア112を有すると共に、繰出しコア112に制動負荷を付与する円環状の板ばね220を有している(
図5(b)参照)。板ばね220は、周方向において波状に形成されており、軸方向において上ケース152の天壁部156と繰出しコア112との間に介設されている。すなわち、繰出しコア112には、この板ばね220の弾発力により回転制動負荷が付与される。これにより、巻取りコア116により繰り出されてゆくインクリボン110には、バックテンションが付与されその弛みが防止される。
【0068】
繰出しコア112は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き222が形成されている(
図6参照)。そして、複数の切欠き222には、上記の回転止めフック206が係脱するようになっている。なお、繰出しコア112を支持する下ケース150側の繰出し側軸受部202は円形の開口で構成されているが、上ケース152側の繰出し側軸受部202は、円筒状の突出部分で構成されている。そして、この突出部分に上記の板ばね220が装着されている(いずれも、
図5(b)参照)。
【0069】
同様に、巻取りコア116は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き224が形成されている。そして、複数の切欠き224には、上記の回転止めフック206が係脱する。また、巻取りコア116の内周面にはスプライン溝226が形成され、上記の巻取り駆動軸47にスプライン係合する。これにより、巻取り駆動軸47の回転力が巻取りコア116に伝達され、インクリボン110が巻き取られる。
【0070】
カートリッジケース130内の基部左側には、挿入開口134に隣接してプラテン収容エリア230が構成されている。プラテン収容エリア230の中央には、下ケース150に形成した楕円状(長円状)開口の下軸受部234と(
図6参照)、上ケース152に形成した楕円状(長円状)開口の上軸受部232と(
図5(b)参照)が設けられている。そして、上軸受部232および下軸受部234には、プラテンローラー120が回転自在且つ僅かに横移動可能に支持されている。すなわち、楕円状の上軸受部232および下軸受部234に支持されたプラテンローラー120は、プラテン駆動軸45に係合するホーム位置と、印刷テープ102を挟み込んでテープガイド194に接する挟持位置との間で、横移動(微小移動)可能に構成されている。
【0071】
ところで、このテープカートリッジ100は、印刷テープ102の繰出し端部を、テープ送出口138から外部に僅かに突出された状態で持ち運びされる(
図1参照)。その際、誤って印刷テープ102の繰出し端部に押込み力や引込み力が作用すると、これに引きずられたプラテンローラー120が上記の挟持位置に移動する。これにより、印刷テープ102の繰出し端部が、テープ送出口138からカートリッジケース130内に引き込まれることが防止される。
【0072】
プラテンローラー120は、円筒状のローラー基体240と、ローラー基体240の外周面に装着したゴムローラー242と、を有している。ゴムローラー242は、軸方向において印刷ヘッド21に対応する長さを有しており、印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、印刷テープ102およびインクリボン110を挟み込んでこのゴムローラー242に接触する。また、ローラー基体240の内周面にはスプライン溝244が形成され、上記のプラテン駆動軸45にスプライン係合する。これにより、プラテン駆動軸45の回転力がプラテンローラー120に伝達され、印刷テープ102(およびインクリボン110)が印刷送りされる。
【0073】
[被検出部および厚み検出スイッチの詳細]
次に、
図3、
図7ないし
図9を参照して、第1実施形態に係るテープカートリッジ100の被検出部180の構造について、カートリッジ装着部5に設けた厚み検出スイッチ65の構造と共に詳細に説明する。上述のように、カートリッジ装着部5の装着周壁部33には、3個の厚み検出スイッチ65が配設され、これに対応して、テープカートリッジ100には、その外周面の3箇所に被検出部180が、また1箇所に予備の被検出部180Sが形成されている。
【0074】
図3、
図7および
図9に示すように、カートリッジ装着部5の装着周壁部33には、3個の厚み検出スイッチ65が周方向に分散するように配設されている。上述のように、第1の検出スイッチ65Aは、印刷ヘッド21の近傍に、第2の検出スイッチ65Bは、テープ検出部51の近傍に、第3の検出スイッチ65Cは、一方の小突起55の近傍に、それぞれ配設されている。なお、詳細は後述するが、ここでは、第1の検出スイッチ65Aを、仮に「12mm幅用スイッチ」、第2の検出スイッチ65Bを、仮に「18mm幅用スイッチ」、第3の検出スイッチ65Cを、仮に「24mm幅用スイッチ」と称呼する(
図10参照)。
【0075】
各厚み検出スイッチ65は、装着周壁部33に取り付けられたスイッチ本体280と、スイッチ本体280に回動自在に支持され、テープカートリッジ100(カートリッジケース130)に直接接触してスイッチ本体280を作動(ON−OFF)させるスイッチ端282(ステム)と、を有している(
図7および
図9参照)。また、スイッチ端282は、内蔵ばね(図示省略)により、スイッチ本体280から離れる方向に付勢されている。そして、厚み検出スイッチ65の使用方法は、スイッチ端282が、内蔵ばねの「ばね力」によりスイッチ本体280から離れる方向に回動(作動)している状態を、厚み検出スイッチ65(スイッチ本体280)が「ON」、逆にスイッチ端282が、内蔵ばねに抗してスイッチ本体280に近づく方向に回動(作動)している状態を、厚み検出スイッチ65(スイッチ本体280)が「OFF」、としている。
【0076】
すなわち、スイッチ端282が、カートリッジケース130の凹入部182に位置している状態では、スイッチ端282はスイッチ本体280から離れる方向に回動しており、厚み検出スイッチ65はON(第1の作動状態)となる。一方、テープカートリッジ100を装着する動作に伴い、スイッチ端282が、カートリッジケース130の外周面に配設された、テープカートリッジ100の着脱方向に延びる滑り部188に接触している状態では、スイッチ端282はスイッチ本体280に近づく方向に回動しており、厚み検出スイッチ65はOFF(第2の作動状態)となる。すなわち、滑り部188は、内蔵ばねの力に抗してスイッチ端282を押している状態となる。
【0077】
また、スイッチ端282が、滑り部188から凹入部182に相対的に移動すると、突当て面186を境に、スイッチ本体280(厚み検出スイッチ65)は、OFFからONに切り替わる。同様に、スイッチ端282が、凹入部182から滑り部188に沿って滑動すると、突当て面186を境に、スイッチ本体280(厚み検出スイッチ65)は、ONからOFFに切り替わる。
【0078】
第1の検出スイッチ65A(「12mm幅用スイッチ」)は、薄手のテープカートリッジ100Aが装着されたときに、そのスイッチ端282がこのテープカートリッジ100Aの凹入部182に臨んでONするように配設されている。具体的には、第1の検出スイッチ65Aは、装着ベース部31に近い位置、すなわちカートリッジ装着部5の低い位置に配設されている(
図9および
図10参照)。
【0079】
同様に、第2の検出スイッチ65B(「18mm幅用スイッチ」)は、中間厚のテープカートリッジ100Bが装着されたときに、そのスイッチ端282がこのテープカートリッジ100Bの凹入部182に臨んでONするように配設されている。具体的には、第2の検出スイッチ65Bは、カートリッジ装着部5の中間位置に配設されている(
図9および
図10参照)。
【0080】
同様に、第3の検出スイッチ65C(「24mm幅用スイッチ」)は、厚手のテープカートリッジ100Cが装着されたときに、そのスイッチ端282がこのテープカートリッジ100Cの凹入部182に臨んでONするように配設されている。具体的には、第3の検出スイッチ65Cは、カートリッジ装着部5の高い位置に配設されている(
図9および
図10参照)。
【0081】
詳細は後述するが、例えばカートリッジ装着部5に厚手のテープカートリッジ100Cが装着されると、第1の検出スイッチ65AはOFF、第2の検出スイッチ65BはOFF、第3の検出スイッチ65CはONとなる(
図9参照)。これら3個の厚み検出スイッチ65に接続された上記の検出回路は、第1の検出スイッチ65A、第2の検出スイッチ65Bおよび第3の検出スイッチ65Cが、それぞれONであるかOFFであるかにより、装着されたテープカートリッジ100の厚みに関する種別を検出する(
図10参照)。
【0082】
一方、
図8および
図9に示すように、テープカートリッジ100には、3個の厚み検出スイッチ65に対応して、その外周面の3箇所に被検出部180が設けられている。上述のように、各被検出部180は、上ケース152の上周壁部158に窪入形成した凹入部182と、凹入部182に対応して、下ケース150の下周壁部162に形成した厚肉部184と、厚肉部184の上周壁部158側の端面である突当て面186と、厚肉部184の外面に窪入形成した滑り部188と、を有している。
【0083】
凹入部182は、これに対峙する厚み検出スイッチ65がONとなる溝状の部位であり、内側に向かって断面円弧状に窪入形成されている。また、凹入部182は、上ケース152の厚みに亘って天壁部156を含む上周壁部158の上端から下端まで連続するように形成されている。凹入部182に臨んだ厚み検出スイッチ65のスイッチ端282は、スイッチ本体280から離れる方向に回動し、厚み検出スイッチ65はON(検出作動)する。
【0084】
厚肉部184は、凹入部182に倣って断面円弧状に形成されている。但し、この場合の厚肉部184は、上周壁部158の肉厚分、凹入部182より一回り大きい断面円弧状に形成されている。また、厚肉部184の凹入部182側(上周壁部158側)の端面に相当する突当て面186は、凹入部182の断面形状と同形である。
【0085】
滑り部188は、これに対峙する厚み検出スイッチ65がOFFとなる部分である。本実施形態では、浅い溝状の部位であり、厚肉部184に外面に断面「U」字状に窪入形成されている。また、滑り部188は、下ケース150の厚みに亘って下周壁部162の上端から下端まで連続するように形成されている。この場合、滑り部188は、上端部近傍において最も浅い溝状となっており、本実施形態では、この部分から上側に急角度で深くなるように、また下側に徐々に深くなるように、形成されている。
【0086】
すなわち、厚み検出スイッチ65のスイッチ端282が接触する滑り部188の接触面300には、上記の上端部近傍を境に、上側に急斜面の上誘い斜面302(離脱ガイド斜面)がテープカートリッジ100を離脱させる離脱方向に鋭角に形成され、下側に緩斜面の下誘い斜面304(装着ガイド斜面)がテープカートリッジ100を装着させる装着方向に鋭角に形成されている(
図8(b)参照)。これにより、テープカートリッジ100の着脱に際し、厚み検出スイッチ65のスイッチ端282は、滑り部188と滑動しながら押されつかえることなく、厚み検出スイッチ65を円滑に切り替える。なお、滑り部188は、必ずしも溝となっていなくてもよい。
【0087】
ところで、上述したように複数種のテープカートリッジ100における厚みの相違は、下ケース150の厚みの相違で調整されている。すなわち、装着したテープカートリッジ100において、その下ケース150の上端に形成した突当て面186の装着ベース部31からの高さ位置は、テープカートリッジ100の厚み指標する定位置となっている。
【0088】
したがって、カートリッジ装着部5に、薄手のテープカートリッジ100A(「12mm幅カートリッジ」)が装着されると、第1の検出スイッチ65A(「12mm幅用スイッチ」)、第2の検出スイッチ65B(「18mm幅用スイッチ」)および第3の検出スイッチ65C(「24mm幅用スイッチ」)のいずれもが、ONとなる。
【0089】
また、中間厚のテープカートリッジ100B(「18幅mmカートリッジ」)が装着されると、第1の検出スイッチ65A(「12mm幅用スイッチ」)が、OFFとなり、第2の検出スイッチ65B(「18mm幅用スイッチ」)および第3の検出スイッチ65C(「24mm幅用スイッチ」)が、ONとなる。
【0090】
さらに、厚手のテープカートリッジ100C(「24mm幅用カートリッジ」)が装着されると、第1の検出スイッチ65A(「12mm幅用スイッチ」)および第2の検出スイッチ65B(「18mm幅用スイッチ」)が、OFFとなり、第3の検出スイッチ65C(「24mm幅用スイッチ」)が、ONとなる。
【0091】
[テープカートリッジの厚み検出]
図10は、テープカートリッジ100の厚み(種別)の検出方法を表している。同図に示すように、装着ベース部31から突当て面186まで離間距離(本実施形態の場合は下ケース150の厚み)は、「12mm幅用カートリッジ」、「18mm幅用カートリッジ」、「24mm幅用カートリッジ」の順で大きくなっている(同図(a)参照)。また、厚み検出スイッチ65の位置は、「12mm幅用スイッチ」が「12mm幅カートリッジ」の凹入部182の位置に、「18mm幅用スイッチ」が「18mm幅カートリッジ」の凹入部182の位置に、「24mm幅用スイッチ」が「24mm幅カートリッジ」の凹入部182の位置に、それぞれ臨むようになっている(同図(b)参照)。
【0092】
そして、検出回路は、「12mm幅用スイッチ、「18mm幅用スイッチ」および「24mm幅用スイッチ」の、いずれもがONのときに、装着されたテープカートリッジ100を「12mm幅カートリッジ」と判定する。すなわち、第1の検出スイッチ65A、第2の検出スイッチ65Bおよび第3の検出スイッチ65C、のいずれもがONのときに、薄手のテープカートリッジ100Aが装着されるものと判定する。
【0093】
同様に、「12mm幅用スイッチ」がOFF、「18mm幅用スイッチ」および「24mm幅用スイッチ」がONのときに、装着されたテープカートリッジ100を「18mm幅用カートリッジ」と判定する。すなわち、第1の検出スイッチ65AがOFF、第2の検出スイッチ65Bおよび第3の検出スイッチ65CがONのときに、中間厚のテープカートリッジ100Bが装着されるものと判定する。
【0094】
同様に、「12mm幅用スイッチ」および「18mm幅用スイッチ」がOFF、「24mm幅用スイッチ」)がONのときに、装着されたテープカートリッジ100を「24mm幅用カートリッジ」と判定する。すなわち、第1の検出スイッチ65Aおよび第2の検出スイッチ65BがOFF、第3の検出スイッチ65CがONのときに、厚手のテープカートリッジ100Cが装着されるものと判定する。
【0095】
前述のように、検出回路は、「12mm幅用スイッチ、「18mm幅用スイッチ」および「24mm幅用スイッチ」の、いずれもがONのときに、装着されたテープカートリッジ100を「12mm幅用カートリッジ」と判定する。しかし、テープカートリッジ100が装着されていない状態でも各検出スイッチの状態はいずれもONとなり、「12mm幅用カートリッジ」が装着された状態と全くテープカートリッジ100の装着されていない状態の区別することができない。これに対しては、例えば、予備の被検出部180Sに対峙する位置にテープカートリッジ装着検出専用スイッチを設けることができる。また、全くテープカートリッジ100の装着されていない状態の各スイッチON状態から、装着動作途中において、滑り部188が、これに対峙する厚み検出スイッチ65を押している状態であるスイッチOFF状態を経て、再度スイッチON状態になる状態変化を検出すれば「12mm幅用カートリッジ」が装着された状態と全くテープカートリッジ100の装着されていない状態との区別がつけられる。
【0096】
以上のように、本実施形態のテープカートリッジ100によれば、3個の厚み検出スイッチ65に対応する3つの被検出部180がカートリッジケース130の外周面に設けられているため、被検出部180を設けることによるテープカートリッジ100の大型化を抑制することができる。また、下ケース150の厚みを利用して、テープカートリッジ100の厚み検出を行うようにしているため、被検出部180を設けることによるテープカートリッジ100の構造の複雑化を抑制することができと共に、厚み検出を確実に行うことができる。しかも、被検出部180は、テープカートリッジ100を分解するための要分解部位と兼用させることができる。なお、厚み検出スイッチ65のON−OFF設定が、逆であっても構わないことは言うまでもない。
【0097】
また、厚み検出スイッチ65のばね力は、テープカートリッジ100に側方から作用するため、分散配置した3個の厚み検出スイッチ65のばね力によるホールド効果により、テープカートリッジ100の位置ズレを防止することができる。特に、印刷ヘッド21から押圧力を受けるプラテンローラー120に対し、第1の検出スイッチ65A、第2の検出スイッチ65B、第3の検出スイッチ65Cの順で遠方に配設されている。3種類の印刷テープ102の幅の異なるテープカートリッジ100を同じ確率で使用すると仮定した場合、最もプラテンローラー120に近い位置にある第1の検出スイッチ65Aを、最もOFFとなる可能性の高い「12mm幅用スイッチ」として使用することで(
図10(c)参照)、厚み検出スイッチ65の「ばね力(付勢力)」を、テープカートリッジ100の位置ズレ防止に効率良く利用することができる。
【0098】
なお、本実施形態では、厚みの異なる3種類のテープカートリッジ100を検出するようにしているが、厚み検出スイッチ65および被検出部180の数を増やして、3種類以上のテープカートリッジ100を検出する構成としてもよい。また、厚み検出スイッチ65として、そのスイッチ端282が進退する単純な構造のプッシュスイッチを用いてもよい。