(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374194
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】流動床炉用散気ノズル
(51)【国際特許分類】
F23C 10/20 20060101AFI20180806BHJP
F23G 5/30 20060101ALI20180806BHJP
F27B 15/10 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
F23C10/20ZAB
F23G5/30 B
F27B15/10
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-63828(P2014-63828)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-183988(P2015-183988A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉村 秀一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 郁仁
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04779547(US,A)
【文献】
特許第3194886(JP,B2)
【文献】
実開昭59−048432(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C10/20
F23G5/30
F27B15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床炉内に設置される散気ノズル(10)であって、そのノズル(10)の摩耗し易い又は摩耗した露出面に、鋼板(21)表面に耐摩耗層(22)を溶接肉盛した耐摩耗性保護板(15’)を溶接(16)して取付け、その耐摩耗性保護板(15’)はその表裏面に貫通する孔(17)が形成されて、その孔(17)に流動物(b)が入り込んで滞留することによってセルフライニング作用がなされ、かつ、前記耐摩耗性保護板(15’)の孔(17)の内側周縁を前記ノズル露出面に溶接(16’)したことを特徴とする流動床炉用散気ノズル。
【請求項2】
流動床炉内に設置される散気ノズル(10)の保護方法であって、そのノズル(10)の摩耗し易い又は摩耗した露出面に、鋼板(21)表面に耐摩耗層(22)を溶接肉盛した耐摩耗性保護板(15’)を溶接(16)して取付け、その耐摩耗性保護板(15’)によってノズル(10)の流動物(b)による摩耗を抑制し、さらに、前記耐摩耗性保護板(15’)にその表裏面に貫通する孔(17)を形成し、その耐摩耗性保護板(15’)の孔(17)の内側周縁を前記ノズル露出面に溶接(16’)して、前記孔(17)に流動物(b)が入り込んで滞留することによってセルフライニング作用がなされるようにしたことを特徴とする流動床炉用散気ノズルの保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流動床ボイラや流動床焼却炉等の流動床炉内に設けられる散気ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流動床ボイラは、燃焼により加熱された流動砂を熱回収室と燃焼室の相互間に循環させて熱回収を行うものである(特許文献1、
図2参照)。流動床焼却炉は、炉底部に流動砂を充填し、その流動床に被焼却物を投入して焼却する(特許文献2、
図1、
図2、特許文献3、
図4参照)。
【0003】
これらの流動床は、何れにおいても、床底に複数の散気ノズルが上方に向いて設置され、この各散気ノズルから空気を流動床(層)内に送り込んで砂等の流動物を流動させるものである(特許文献1、
図2、特許文献2、
図2、特許文献3、
図1、
図6参照)。その散気ノズル1は、従来、
図8に示すように、円柱状ブロック2の下面から中程に至った後、側面に開口する通気路3を形成し、その通気路3の下端から空気管4によって空気aを送り込んで、流動床内に散気する構成が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2528711号公報
【特許文献2】特開2002−295818号公報
【特許文献3】特開2008−8575号公報
【特許文献4】特許第3194886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記散気ノズル1は、流動床において、砂等の流動物と接触し続けるため、その接触面(露出面)は経時とともに摩耗する。このため、定期点検時等において、その露出面がある程度摩耗すると、寿命と判断してノズル1を取り替えている。この取り替え作業は煩雑であり、コスト面において問題である。
この取り替え頻度を少なくするため、ノズル自体を耐摩耗性の材料で製作することもなされているが、空気を噴出するという作用から、上記のように、ブロック2は、その内部に通気路3を形成する必要があり(特許文献3
図1、
図7参照)、高い耐摩耗を有する材料であると、その通気路3を形成するのが困難であり、高い耐摩耗性を有する材料を使用していないのが実情である。
【0006】
また、ノズル1の露出面に、耐摩耗層を溶接肉盛り(硬化肉盛り)して耐摩耗性を向上させることが考えられる。しかし、散気ノズル1は、各流動床に固有の専用品であるため、その専用品であるノズルに個別に耐摩耗層を溶接肉盛りすることは、手間がかかり、コスト面において問題となる。このとき、定期点検時等において、摩耗の激しい場所にある散気ノズル1のみを、硬化肉盛りを施した物に交換することも考えられるが、その管理面で手間がかかる問題がある。
【0007】
この発明は、以上の実状の下、簡単かつ安価にして散気ノズルの寿命を長くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、この発明は、散気ノズルの摩耗し易い又は摩耗した露出面に、鋼板表面に耐摩耗層を溶接肉盛した耐摩耗性保護板を溶接して取付けることとしたのである。
鋼板表面に耐摩耗層を溶接肉盛した耐摩耗性鋼板は量販品であり(特許文献4等)、その耐摩耗性鋼板から、上記耐摩耗性保護板を切り取れば(溶断すれば)、ノズル表面に直接に硬化肉盛りするのに比べて安価となる。
【0009】
このとき、上記耐摩耗性保護板にその表裏面に貫通する孔を形成し、その
耐摩耗性保護板の孔の内側周縁を上記ノズル露出面に溶接した構成とすることができる。このようにすれば、耐摩耗性保護板は、その周縁の溶接によるノズル表面への固定のみならず、孔の内側周縁への溶接によっても固定力が担保されるため、ノズル(ブロック2)への取付け安定性が向上する。また、その孔内に、流動物が入って滞留することによってセルフライニング作用がなされるため、ノズルの耐摩耗性も向上する。
【0010】
以上の構成の散気ノズルの耐摩耗性を向上させたノズル保護構造は、種々の方法によって構成できるが、例えば、ノズルの摩耗し易い又は摩耗した露出面に、鋼板表面に耐摩耗層を溶接肉盛した耐摩耗性保護板を溶接して取付け、その耐摩耗性保護板によってノズルの流動物による摩耗を抑制した保護方法を採用することができる。このとき、上記と同様に、耐摩耗性保護板がその表裏面に貫通する孔を有し、その孔の内側周縁を上記ノズル露出面に溶接する方法を採用することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、以上のように構成したので、簡単かつ安価にして散気ノズルの寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明に係る散気ノズルの一実施形態の一部の断面図
【
図2】同実施形態の耐摩耗性保護板を示し、(a)は平面図、(b)は切断正面図
【
図4】同実施形態の耐摩耗性保護板を示し、(a)は平面図、(b)は切断正面図
【
図5】耐摩耗性保護板用耐摩耗性鋼板の製作説明用斜視図
【
図6】(a)、(b)はそれぞれ耐摩耗性保護板の各例の平面図
【
図7】同散気ノズルのさらに他の実施形態の一部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明に係る散気ノズルの一実施形態を
図1、
図2に示し、この実施形態の散気ノズル10も、従来と同様に、円柱状ブロック(ノズル本体)12にその下面から中程に至った後、側面に開口する通気路13を形成し、その通気路13の下端に空気管14を接続したものである。そのブロック12及び空気管14は、ステンレス鋼(SUS:Steel Use Stainless)又は耐熱鋼(SUH:Steel Use Heat Resisting)等を適宜に使用する。通気路13の開口13aはブロック12の周囲に最適な散気(空気噴出)が行われるようにその周囲任意の位置に、1個でも良いが、複数を等間隔に設けることができる。
【0014】
この実施形態は、この散気ノズル10において、ブロック12の上面に耐摩耗性保護板15を設けた点が特徴である。
その耐摩耗性保護板15は鋼板表面に耐摩耗層を溶接肉盛した耐摩耗性鋼板20から切り取る(溶断する)。その耐摩耗性鋼板20は、例えば、
図5に示すように、ブロック12と同質のステンレス鋼又は耐熱鋼等の鋼板21上にその幅方向に溶接ビードcを形成するとともに、その溶接ビードcを長さ方向に連続して(
図5(a)参照)耐摩耗層22を肉盛り溶接したものである(同図(b)参照)。
【0015】
その耐摩耗性鋼板20から得た耐摩耗性保護板15を、
図1に示すように、ブロック12の上面全域にその周囲を溶接16して取付ける(固定する)。その溶接16は、全周に連続しても間欠的であっても良い。この耐摩耗性保護板15をブロック12上面に取付けることによって、最も摩耗し易いブロック12上面が耐摩耗性となって散気ノズル10の寿命が長くなる。
【0016】
図3、
図4には耐摩耗性保護板の他の実施形態を示し、この実施形態に係る散気ノズル10の耐摩耗性保護板15’はその中心に表裏面に貫通する孔17を形成したものである。この孔17の大きさは、後記のセルフライニングの効果等を考慮して適宜に決定する。
【0017】
この耐摩耗性保護板15’も同様に、
図3に示すように、ブロック12の上面全域にその周囲を溶接16して取付ける。このとき、
耐摩耗性保護板15’の孔17の内側周縁もブロック12に溶接16’する。この溶接16’も、全周に連続しても間欠的であっても良く、この溶接16’によって、耐摩耗性保護板15’はブロック12により強固に取付けられる。また、この散気ノズル10が流動床内に設置されて、流動作用がなされると、同図に示すように、その孔17内に砂等の流動物bが入り込む。この流動物bが入って滞留することによってセルフライニング作用がなされ、ノズル10の耐摩耗性は孔17を設けない場合に比べて低下することは無い。また、孔17内側周縁の溶接16’は、外周縁の溶接16が流動物bにより摩耗するのに対し、流動物bの滞留によって摩耗し難いため、耐
摩耗性保護板15’がより脱落し難い利点もある。
【0018】
上記孔17は、上記セルフライニング性を有効に得ることができて耐摩耗性保護板15’の耐摩耗性を担保し得る限りにおいて、その大きさや配置は任意である。例えば、
図6(a)に示す周り四等分位に孔17を適宜数設けたもの等としたり、同(b)に示すように、
図4の実施形態において、孔17の周りに表裏面に貫通する周囲等間隔の孔17’を設けたりすることができる。
また、散気ノズル10の露出面の何れに耐摩耗性保護板15、15’を取付けるかは、ノズル10の設置位置などによって摩耗面が異なるため、その摩耗面に摩耗度合いに応じて適宜に取付ければ良い。例えば、ブロック12の上面のみならず、側面も摩耗するのであれば、
図7に示すように、ブロック12の上面及び側面にこの耐摩耗性保護板15、15’を適宜に溶接16、16’によって取付ける。このとき、ブロック12は角柱状としてその側面を平面とする。耐摩耗性保護板15、15’の取付けは、ブロック12の上面や側面の全域でなくても、部分的でもよい。
さらに、この耐摩耗性保護板15、15’は、定期点検時等において、摩耗した散気ノズル10のその摩耗面に取付けることもできる。
【符号の説明】
【0019】
1、10 散気ノズル
2、12 散気ノズルのブロック(ノズル本体)
3、13 散気ノズルの通気路
13a 散気口(空気噴出口)
4、14 空気管
15、15’ 耐摩耗性保護板
16、16’ 溶接部
17、17’ 孔
20 耐摩耗性鋼板
21 耐摩耗性鋼板の鋼板
22 同耐摩耗層
a 空気
b 流動物
c 溶接ビード