(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のインクジェットプリンターは、インクジェットヘッドに対向する位置に溝が形成されているので、紙などのメッシュ状ではない印刷媒体(以下「非メッシュ媒体」と言う。)に印刷を実行する場合にも、インクジェットヘッドに対向する位置において、非メッシュ媒体がインクジェットヘッド側とは反対側から直接支持されていない。そのため、従来のインクジェットプリンターは、インクジェットヘッドに対向する位置において、インクジェットヘッドと、非メッシュ媒体との距離を特定の範囲内に維持することができず、インクジェットヘッドと、非メッシュ媒体との接触を防ぐために、インクジェットヘッドを非メッシュ媒体から十分に離隔する必要がある。したがって、従来のインクジェットプリンターは、非メッシュ媒体への印刷の品質が高くはないという問題がある。
【0006】
従来のインクジェットプリンターにおいて、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体との両方に高品質の印刷を実行するためには、プラテンに対して着脱可能であって、プラテンに取り付けられている状態でプラテンの溝の開口を覆ってその表面で非メッシュ媒体を支持する蓋体を備えることが考えられる。すなわち、従来のインクジェットプリンターは、蓋体がプラテンから取り外された状態でメッシュ媒体に印刷を実行し、蓋体がプラテンに取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行するようにすれば良い。
【0007】
なお、プラテンに対して着脱可能な蓋体を備えているインクジェットプリンターは、蓋体がプラテンに取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合、非メッシュ媒体に「波うち」や「カール」が生じて非メッシュ媒体が蓋体から浮き上がる可能性がある。しかしながら、このような浮き上がりによるインクジェットヘッドと、非メッシュ媒体との接触を防ぐために、インクジェットヘッドを非メッシュ媒体から十分に離隔することは、上述したように非メッシュ媒体への印刷の品質を低下させることになる。したがって、プラテンに対して着脱可能な蓋体を備えているインクジェットプリンターは、蓋体がプラテンに取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合、蓋体からの非メッシュ媒体の浮き上がりを防止するために、蓋体によって非メッシュ媒体を吸着保持する必要がある。
【0008】
また、プラテンに対して着脱可能な蓋体を備えているインクジェットプリンターは、蓋体を1つのみ備えている場合、複数の蓋体を備えていて蓋体同士の間に段差が生じ得る構成と比較して、蓋体全体における表面の平面度を特定の範囲内に維持することができるので、非メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。
【0009】
ここで、近年、インクジェットプリンターにおいては、用途や印刷媒体の多様化とともに大型化が急速に進展している。したがって、プラテンに対して着脱可能な蓋体を備えている大型のインクジェットプリンターは、蓋体を1つのみ備えている場合、蓋体の幅が例えば3.2mなど、利用者が両腕を広げた幅よりも長くなるために、利用者が1人で蓋体の着脱を行うことが困難であることが生じる可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体との両方に高品質の印刷を可能にするための着脱可能な蓋体の利用者による着脱作業を容易化することができるインクジェットプリンターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のインクジェットプリンターは、印刷媒体に向けてインク滴を吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに対向する位置に溝が形成されていて前記印刷媒体を支持するプラテンと、前記プラテンに支持されている前記印刷媒体を搬送する媒体搬送手段と、前記溝の内部から気体を吸引する吸気手段と、前記プラテンに対して着脱可能であって、前記プラテンに取り付けられている状態で前記溝の開口を覆ってその表面で前記印刷媒体を支持する蓋体と、前記プラテンから取り外された前記蓋体を収納する収納部と、前記プラテンおよび前記収納部の間における前記蓋体の移動を案内する案内機構とを備えており、前記プラテンは、前記インクジェットヘッドおよび前記溝の間に配置されている前記印刷媒体を支持し、前記蓋体は、前記プラテンに取り付けられている状態で前記吸気手段によって前記溝の内部から気体が吸引される場合に前記溝の外部から前記溝の内部に気体を通過させるための貫通孔が前記表面に複数形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体との両方に高品質の印刷を可能にするための着脱可能な蓋体が取り付けられるプラテンと、プラテンから取り外された蓋体を収納する収納部との間における蓋体の移動を案内機構によって案内するので、利用者による蓋体の着脱作業を容易化することができる。
【0013】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記案内機構は、リンク機構であっても良い。
【0014】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、案内機構がリンク機構以外の機械機構である構成と比較して、簡単な構成で実現されることができるので、大型化することがない。
【0015】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記リンク機構は、延在方向に直交する軸を中心に回転可能に支持されていて前記蓋体を挟む状態で互いに平行に配置されている一対のリンクを備えており、前記一対のリンクは、互いに対向する長穴が形成されており、前記蓋体は、前記長穴に回転可能な状態で挿入される軸部を前記リンクの延在方向に直交する方向における両側に備えており、前記軸部は、前記長穴に沿ってスライド可能であっても良い。
【0016】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、蓋体の軸部がリンクの長穴に沿ってリンクに対してスライド可能であるので、蓋体の軸部がリンクに対してスライド不可能である構成と比較して、プラテンの近傍に収納部を設けることができる。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、大型化することがない。
【0017】
また、本発明のインクジェットプリンターは、前記蓋体を1つのみ備えていても良い。
【0018】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、蓋体がプラテンに取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合に、複数の蓋体を備えていて蓋体同士の間に隙間が生じ得る構成と比較して、蓋体の貫通孔を介した非メッシュ媒体の吸引状態を蓋体全体において場所によらず一様にすることができるので、非メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。また、本発明のインクジェットプリンターは、蓋体がプラテンに取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合に、複数の蓋体を備えていて蓋体同士の間に段差が生じ得る構成と比較して、蓋体全体における表面の平面度を特定の範囲内に維持することができるので、非メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。特に、本発明のインクジェットプリンターは、大型機である場合に、1つのみ備えている蓋体が大きく重くなるが、収納部に収納されていた蓋体をプラテンに取り付ける動作と、プラテンから取り外された蓋体を収納部に収納する動作とを案内機構によって容易に案内することができるので、案内機構を備えている利点が大きい。
【0019】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記インクジェットヘッドは、前記媒体搬送手段による前記印刷媒体の搬送経路に対して鉛直方向における上側に配置されており、前記収納部は、前記搬送経路に対して鉛直方向における下側に配置されていても良い。
【0020】
インクジェットプリンターは、インクジェットヘッドが存在しない鉛直方向における下側の空間が空いていることがある。本発明のインクジェットプリンターは、プラテンから取り外された蓋体を鉛直方向における下側の空間に収納することによって、鉛直方向における下側の空間を有効に活用することができるので、プラテンから取り外された蓋体をインクジェットヘッドが存在する鉛直方向における上側の空間に収納する構成と比較して、大型化することがない。
【0021】
また、本発明のインクジェットプリンターは、前記プラテンに対する前記蓋体の着脱状態を検出する着脱状態検出手段を備えており、前記吸気手段は、前記蓋体が前記プラテンに取り付けられていると前記着脱状態検出手段によって検出された場合に、前記蓋体が前記プラテンから取り外されていると前記着脱状態検出手段によって検出された場合と比較して、強い吸引力で前記溝の内部から気体を吸引しても良い。
【0022】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、蓋体がプラテンから取り外された状態でメッシュ媒体に印刷を実行する場合に、蓋体がプラテンに取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合と比較して、弱い吸引力でプラテンの溝の内部から吸気手段によって気体を吸引するので、メッシュ媒体がプラテンの溝側に大きく撓むことを抑えることができる。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。また、本発明のインクジェットプリンターは、蓋体がプラテンに取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合に、蓋体がプラテンから取り外された状態でメッシュ媒体に印刷を実行する場合と比較して、強い吸引力でプラテンの溝の内部から吸気手段によって気体を吸引するので、蓋体からの非メッシュ媒体の浮き上がりを抑える機能を向上することができる。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、非メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。すなわち、本発明のインクジェットプリンターは、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体とのそれぞれに適切な吸引力でプラテンの溝の内部から吸気手段によって気体を吸引するので、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体との両方に高品質の印刷を実行することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のインクジェットプリンターは、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体との両方に高品質の印刷を可能にするための着脱可能な蓋体の利用者による着脱作業を容易化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態に係るインクジェットプリンター10の外観斜視図である。
図2は、インクジェットプリンター10の側面断面図である。
【0028】
図1および
図2に示すように、インクジェットプリンター10は、床に設置される支持部11と、印刷前の印刷媒体90が巻き付けられて印刷媒体90を繰り出すための繰り出しローラー12と、印刷後の印刷媒体90を巻き取るための巻き取りローラー13と、繰り出しローラー12側から巻き取りローラー13側に印刷媒体90を搬送するための媒体搬送手段としてのグリッドローラー14と、グリッドローラー14と印刷媒体90を挟むためのピンチローラー15と、繰り出しローラー12およびグリッドローラー14の間で印刷媒体90に張力を与えるテンションバー16と、巻き取りローラー13およびグリッドローラー14の間で印刷媒体90に張力を与えるテンションバー17と、矢印10aで示す主走査方向に延在する軸18aを中心に支持部11に回転可能に支持されていてテンションバー16を回転可能に支持する回転支持部18と、主走査方向に延在する軸19aを中心に支持部11に回転可能に支持されていてテンションバー17を回転可能に支持する回転支持部19とを備えている。
【0029】
繰り出しローラー12および巻き取りローラー13は、矢印10aで示す主走査方向に延在していて、支持部11に回転可能に支持されている。
【0030】
グリッドローラー14およびピンチローラー15は、矢印10aで示す主走査方向に延在していて、回転可能に支持されている。
【0031】
テンションバー16およびテンションバー17は、矢印10aで示す主走査方向に延在している。
【0032】
図3は、後述するプラテン31の近傍の側面断面図である。
【0033】
図1および
図3に示すように、インクジェットプリンター10は、矢印10aで示す主走査方向に延在しているガイドレール21と、主走査方向に移動可能にガイドレール21に支持されているキャリッジ22と、キャリッジ22に搭載されていて印刷媒体90に向けてインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッド23と、ガイドレール21、キャリッジ22およびインクジェットヘッド23を覆うケース24とを備えている。
【0034】
インクジェットヘッド23は、グリッドローラー14による印刷媒体90の搬送経路に対して、矢印10aで示す主走査方向と、主走査方向に直交する矢印10bで示す副走査方向との両方に直交する矢印10cで示す鉛直方向における上側に配置されている。
【0035】
ケース24は、開閉可能である開閉部24aを備えている。開閉部24aは、矢印10aで示す主走査方向に延在する軸24bを中心に開閉可能である。
【0036】
図1〜
図3に示すように、インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド23に対向する位置に溝31aが形成されていて印刷媒体90を支持するプラテン31と、プラテン31の溝31aに落ちたインクを溜めるインク貯留部32と、プラテン31の溝31aの内部から気体を吸引する吸気手段としてのファン、ブロアーなどの送風機33と、インク貯留部32に設置されていて送風機33へのインクの進入を防止するフィルター34と、繰り出しローラー12側から巻き取りローラー13側への印刷媒体90の搬送方向においてプラテン31より上流側で印刷媒体90を支持する上流側支持部35と、繰り出しローラー12側から巻き取りローラー13側への印刷媒体90の搬送方向においてプラテン31より下流側で印刷媒体90を支持する下流側支持部36と、下流側支持部36内に配置されていて下流側支持部36に支持されている印刷媒体90上のインクを乾燥させるためのアフターヒーター37とを備えている。
【0037】
プラテン31は、矢印10bで示す副走査方向にグリッドローラー14によって搬送される印刷媒体90を支持している。プラテン31は、インクジェットヘッド23および溝31aの間に配置されている印刷媒体90を支持するものである。
【0038】
プラテン31の溝31aの形成方向は、溝31aに対して矢印10cで示す鉛直方向における上側の位置における印刷媒体90の搬送方向に対して直交している。
【0039】
下流側支持部36は、開閉可能である開閉部36aを備えている。開閉部36aは、矢印10aで示す主走査方向に延在する軸36bを中心に開閉可能である。なお、図示していないが、アフターヒーター37は、開閉部36aに設置されることも可能である。
【0040】
インクジェットプリンター10は、プラテン31に対して着脱可能である蓋体41を備えている。蓋体41は、プラテン31に取り付けられている状態で、プラテン31の溝31aの開口31bを覆って、その表面41aで印刷媒体90を支持するようになっている。
【0041】
なお、プラテン31の溝31aは、蓋体41が開口31bを覆っている場合に、ある程度の気密状態が蓋体41によって作り出される必要がある。
【0042】
図4は、蓋体41と、後述するリンク機構50との斜視図である。
【0043】
図3および
図4に示すように、蓋体41は、表面41aに吸着孔41bが複数形成されている。蓋体41は、矢印10aで示す主走査方向に延在する軸部41cを、主走査方向における両側に備えている。吸着孔41bは、蓋体41がプラテン31に取り付けられている状態で送風機33(
図2参照。)によってプラテン31の溝31aの内部から気体が吸引される場合に、溝31aの外部から溝31aの内部に気体を通過させるための貫通孔である。
【0044】
図2および
図3に示すように、インクジェットプリンター10は、プラテン31から取り外された蓋体41を収納する収納部42を備えている。収納部42は、グリッドローラー14による印刷媒体90の搬送経路に対して矢印10cで示す鉛直方向における下側に配置されている。収納部42は、蓋体41が載置される載置台42aを備えている。載置台42aは、下流側支持部36に対して矢印10aで示す主走査方向、矢印10bで示す副走査方向および鉛直方向の何れにも移動しないように、図示していない部材に支持されている。
【0045】
インクジェットプリンター10は、プラテン31および収納部42の間における蓋体41の移動を案内する案内機構としてリンク機構50を備えている。
【0046】
図3および
図4に示すように、リンク機構50は、蓋体41を挟む状態で互いに平行に配置されている一対のリンク51を備えている。
【0047】
リンク51は、リンク51の延在方向に直交する矢印10aで示す主走査方向に延在する軸51aを備えている。軸51aは、下流側支持部36に対して主走査方向、矢印10bで示す副走査方向および矢印10cで示す鉛直方向の何れにも移動しないように、図示していない部材に回転可能に支持されている。
【0048】
一対のリンク51は、互いに対向する長穴51bが形成されている。蓋体41の軸部41cは、リンク51の長穴51bに挿入されていて、長穴51b内で回転可能であるとともに、長穴51bに沿ってスライド可能である。
【0049】
図5は、インクジェットプリンター10のブロック図である。
【0050】
図5に示すように、インクジェットプリンター10は、種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部61と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部62と、PC(Personal Computer)などの外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部63と、上述したインクジェットヘッド23と、キャリッジ22(
図1参照。)をガイドレール21(
図1参照。)に沿って矢印10a(
図1参照。)で示す主走査方向に移動させるためのキャリッジ駆動装置64と、繰り出しローラー12(
図1参照。)を回転させるための繰り出しローラー駆動装置65と、巻き取りローラー13(
図1参照。)を回転させるための巻き取りローラー駆動装置66と、グリッドローラー14(
図2参照。)を回転させるためのグリッドローラー駆動装置67と、上述した送風機33と、プラテン31(
図2参照。)に対する蓋体41(
図2参照。)の着脱状態を検出する着脱状態検出手段としての着脱状態検出装置69と、各種のデータを記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶デバイスである記憶部70と、インクジェットプリンター10全体を制御する制御部71とを備えている。
【0051】
着脱状態検出装置69は、プラテン31に対する蓋体41の着脱状態を検出することができれば、どのような構成であっても良い。例えば、着脱状態検出装置69は、蓋体41がプラテン31に取り付けられた場合に蓋体41に接触する接触式のセンサーであっても良いし、プラテン31に取り付けられた状態の蓋体41を検出する光学式などの非接触式のセンサーであっても良い。
【0052】
制御部71は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部70に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0053】
制御部71は、キャリッジ駆動装置64を制御してキャリッジ22をガイドレール21に沿って矢印10aで示す主走査方向に移動させることによって、キャリッジ22に搭載されているインクジェットヘッド23を印刷媒体90に対して主走査方向に相対的に移動させる。このとき、制御部71は、印刷媒体90に向けてインクジェットヘッド23によってインク滴を吐出させることによって、主走査方向における印刷を実行する。そして、制御部71は、主走査方向における印刷が終了する度に、グリッドローラー駆動装置67を制御してグリッドローラー14を回転させることによって、グリッドローラー14と、ピンチローラー15(
図3参照。)とによって挟まれている印刷媒体90を矢印10b(
図1参照。)で示す副走査方向に移動させる。すなわち、制御部71は、インクジェットヘッド23と、印刷媒体90とを副走査方向に相対移動させることによって、インクジェットヘッド23による印刷媒体90への副走査方向における印刷位置を変更する。そして、制御部71は、副走査方向における新たな印刷位置において再び主走査方向における印刷を実行する。このように、インクジェットヘッド23に対して印刷媒体90が所定量ずつ副走査方向に送られることによって、印刷パスが構成される。なお、制御部71は、グリッドローラー駆動装置67による印刷媒体90の搬送に応じて、所定のタイミングで繰り出しローラー駆動装置65を制御して繰り出しローラー12を回転させることによって、グリッドローラー14によって搬送されるための印刷媒体90を繰り出しローラー12から繰り出させる。また、制御部71は、グリッドローラー駆動装置67による印刷媒体90の搬送に応じて、所定のタイミングで巻き取りローラー駆動装置66を制御して巻き取りローラー13を回転させることによって、インクジェットヘッド23によって印刷された印刷媒体90を巻き取りローラー13に巻き取らせる。
【0054】
次に、インクジェットプリンター10の動作について説明する。
【0055】
インクジェットプリンター10の制御部71は、外部から送信されてきた印刷データを通信部63を介して受信すると、この印刷データに基づいて上述したようにインクジェットヘッド23、キャリッジ駆動装置64、繰り出しローラー駆動装置65、巻き取りローラー駆動装置66およびグリッドローラー駆動装置67を制御することによって、インクジェットヘッド23による印刷を実行する。
【0056】
制御部71は、インクジェットヘッド23による印刷を実行する場合に、送風機33を駆動することによって、プラテン31の溝31aの内部の気体を送風機33によって吸い出す。このとき、制御部71は、
図6に示す動作を実行する。
【0057】
図6は、送風機33を駆動する場合のインクジェットプリンター10の動作のフローチャートである。
【0058】
図6に示すように、インクジェットプリンター10の制御部71は、蓋体41がプラテン31に取り付けられているか否かを着脱状態検出装置69からの検出結果に基づいて判断する(S81)。
【0059】
制御部71は、蓋体41がプラテン31に取り付けられているとS81において判断すると、プラテン31の溝31aの内部から気体を送風機33によって第1の吸引力で吸引することを開始する(S82)。
【0060】
制御部71は、蓋体41がプラテン31に取り付けられていない、すなわち、蓋体41がプラテン31から取り外されているとS81において判断すると、プラテン31の溝31aの内部から気体を送風機33によって第1の吸引力より弱い第2の吸引力で吸引することを開始する(S83)。
【0061】
制御部71は、S82またはS83の処理が終了すると、プラテン31に対する蓋体41の着脱状態が変更されたか否かを着脱状態検出装置69からの検出結果に基づいて判断する(S84)。
【0062】
制御部71は、プラテン31に対する蓋体41の着脱状態が変更されたとS84において判断すると、S81の処理を実行する。
【0063】
制御部71は、プラテン31に対する蓋体41の着脱状態が変更されていないとS84において判断すると、インクジェットヘッド23による印刷が終了したか否かを判断する(S85)。
【0064】
制御部71は、インクジェットヘッド23による印刷が終了していないとS85において判断すると、S84の処理を実行する。
【0065】
制御部71は、インクジェットヘッド23による印刷が終了したとS85において判断すると、送風機33による吸引を終了して(S86)、
図6に示す動作を終了する。
【0066】
次に、プラテン31に対する蓋体41の着脱について説明する。
【0067】
利用者は、
図3に示すように蓋体41がプラテン31に取り付けられている状態から、蓋体41をプラテン31から取り外す場合、まず、
図7(a)に示すように開閉部24aおよび開閉部36aを開く。
【0068】
次いで、利用者は、
図7(b)に示すように蓋体41を手で持って移動させた後、
図8(a)に示すように蓋体41を収納部42に収納する。
【0069】
最後に、利用者は、
図8(b)に示すように開閉部24aおよび開閉部36aを閉じる。
【0070】
利用者は、
図8(b)に示すように蓋体41が収納部42に収納されている状態から、蓋体41をプラテン31に取り付ける場合、蓋体41をプラテン31から取り外す場合とは逆の手順で蓋体41をプラテン31に取り付けることができる。
【0071】
なお、利用者は、インクジェットプリンター10によって印刷媒体90としてメッシュ媒体に印刷を実行させる場合には、
図8(b)に示すように蓋体41が収納部42に収納されている状態にして、インクジェットプリンター10に印刷を実行させる。また、利用者は、インクジェットプリンター10によって印刷媒体90として非メッシュ媒体に印刷を実行させる場合には、
図3に示すように蓋体41がプラテン31に取り付けられている状態にして、インクジェットプリンター10に印刷を実行させる。
【0072】
以上に説明したように、インクジェットプリンター10は、蓋体41がプラテン31から取り外された状態でメッシュ媒体に印刷を実行することによって、インクジェットヘッド23から吐出されたインク滴がメッシュ媒体を介して送風機33によってプラテン31の溝31a側に吸引されるとともに、インクジェットヘッド23から吐出されたインク滴のうちメッシュ媒体を通り抜けたインクがプラテン31の溝31aに収集されるので、インクジェットヘッド23から吐出されてメッシュ媒体を通り抜けたインク滴がメッシュ媒体を汚損することを抑えることができ、結果として、メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。
【0073】
また、インクジェットプリンター10は、蓋体41がプラテン31に取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行することによって、非メッシュ媒体が蓋体41の吸着孔41bを介して送風機33によって吸引されて蓋体41からの浮き上がりが抑えられるので、インクジェットヘッド23を非メッシュ媒体に十分に近付けた状態で印刷を実行することができる。したがって、インクジェットプリンター10は、非メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。
【0074】
すなわち、インクジェットプリンター10は、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体との両方に高品質の印刷を実行することができる。
【0075】
インクジェットプリンター10は、蓋体41がプラテン31から取り外された状態でメッシュ媒体に印刷を実行する場合に(S83)、蓋体41がプラテン31に取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合(S82)と比較して、弱い吸引力でプラテン31の溝31aの内部から送風機33によって気体を吸引するので、メッシュ媒体がプラテン31の溝31a側に大きく撓むことを抑えることができる。したがって、インクジェットプリンター10は、メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。
【0076】
また、インクジェットプリンター10は、蓋体41がプラテン31に取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合(S82)に、蓋体41がプラテン31から取り外された状態でメッシュ媒体に印刷を実行する場合(S83)と比較して、強い吸引力でプラテン31の溝31aの内部から送風機33によって気体を吸引するので、蓋体41からの非メッシュ媒体の浮き上がりを抑える機能を向上することができる。したがって、インクジェットプリンター10は、非メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。
【0077】
すなわち、インクジェットプリンター10は、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体とのそれぞれに適切な吸引力でプラテン31の溝31aの内部から送風機33によって気体を吸引するので、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体との両方に高品質の印刷を実行することができる。
【0078】
なお、インクジェットプリンター10は、蓋体41がプラテン31に取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合と、蓋体41がプラテン31から取り外された状態でメッシュ媒体に印刷を実行する場合とで、同一の吸引力でプラテン31の溝31aの内部から気体を吸引するようになっていても良い。
【0079】
インクジェットプリンター10は、蓋体41の軸部41cがリンク51の長穴51bに沿ってリンク51に対してスライド可能であるので、蓋体41の軸部41cがリンク51に対してスライド不可能である構成と比較して、プラテン31の近傍に収納部42を設けることができる。したがって、インクジェットプリンター10は、大型化することがない。なお、インクジェットプリンターは、大型機である場合、利用者から「省スペース化」が要請されることが多い。したがって、インクジェットプリンター10は、大型機である場合に、大型化することがないという利点が大きい。
【0080】
なお、インクジェットプリンター10は、リンク機構50として
図4に示す構成以外の構成を備えていても良い。例えば、インクジェットプリンター10は、
図4に示す構成では蓋体41に軸部41cが設けられていてその軸部41cが挿入される長穴51bがリンク51に形成されているが、逆に、リンク51に軸部が設けられていてその軸部が挿入される長穴が蓋体41に形成されていても良い。また、インクジェットプリンター10は、リンク51が長穴51bに代えて軸部41cの直径より僅かに大きい直径の単なる穴が形成されていて、蓋体41の軸部41cがリンク51に対してスライド不可能であっても良い。
【0081】
インクジェットプリンター10は、案内機構がリンク機構であるので、案内機構が例えばチェーンを利用した機構など、リンク機構以外の機械機構である構成と比較して、簡単な構成で実現されることができる。したがって、インクジェットプリンター10は、大型化することがない。
【0082】
なお、インクジェットプリンター10は、案内機構としてリンク機構以外の機械機構を備えていても良い。
【0083】
インクジェットプリンター10は、収納部42に収納されていた蓋体41をプラテン31に取り付ける動作と、プラテン31から取り外された蓋体41を収納部42に収納する動作とをリンク機構50によって案内することができるので、リンク機構50のような案内機構を備えていない構成と比較して、利用者の作業性を向上することができる。すなわち、インクジェットプリンター10は、メッシュ媒体と、非メッシュ媒体との両方に高品質の印刷を可能にするための着脱可能な蓋体41が取り付けられるプラテン31と、プラテン31から取り外された蓋体41を収納する収納部42との間における蓋体41の移動をリンク機構50によって案内するので、利用者による蓋体41の着脱作業を容易化することができる。
【0084】
なお、インクジェットプリンター10は、利用者による蓋体41の着脱作業を容易化することができるので、利用者に蓋体41を大きな力を必要とせずに着脱させることができる。したがって、インクジェットプリンター10は、利用者に蓋体41を安全かつ迅速に着脱させることができる。
【0085】
また、インクジェットプリンター10は、リンク機構50のような案内機構を備えているので、プラテン31に対して蓋体41を利用者に正確に取り付けさせることができる。インクジェットプリンター10は、プラテン31に対して蓋体41が正確に取り付けられると、蓋体41がプラテン31に取り付けられた状態で印刷が実行される非メッシュ媒体に対する印刷品質を向上することができる。
【0086】
また、インクジェットプリンター10は、リンク機構50のような案内機構を備えているので、開閉部36aが小さくても、収納部42に対して蓋体41を利用者に容易に出し入れさせることができる。
【0087】
インクジェットプリンター10は、プラテン31から取り外された蓋体41を、インクジェットヘッド23が存在しない矢印10cで示す鉛直方向における下側の空間に収納することによって、鉛直方向における下側の空間を有効に活用することができるので、プラテン31から取り外された蓋体41をインクジェットヘッド23が存在する鉛直方向における上側の空間に収納する構成と比較して、大型化することがない。
【0088】
なお、インクジェットプリンター10は、グリッドローラー14による印刷媒体90の搬送経路に対して矢印10cで示す鉛直方向における下側のうち主に下流側支持部36に対して鉛直方向における下側に収納部42が配置されているが、これ以外の箇所に収納部42が配置されていても良い。例えば、インクジェットプリンター10は、グリッドローラー14による印刷媒体90の搬送経路に対して鉛直方向における下側のうち主に上流側支持部35に対して鉛直方向における下側に収納部42が配置されていても良いし、グリッドローラー14による印刷媒体90の搬送経路に対して鉛直方向における上側に配置されていても良い。
【0089】
また、インクジェットプリンター10は、
図8(b)に示すように蓋体41を矢印10aで示す主走査方向および矢印10bで示す副走査方向の両方に延在するように収納部42に収納するようになっているが、これ以外の状態で蓋体41を収納部42に収納するようになっていても良い。例えば、インクジェットプリンター10は、
図9に示すように、蓋体41を主走査方向および矢印10cで示す鉛直方向の両方に延在するように収納部42に収納するようになっていても良い。また、インクジェットプリンター10は、蓋体41を、
図8(b)に示すような水平でも、
図9に示すような垂直でもなく、斜めに収納部42に収納するようになっていても良い。特に、インクジェットプリンター10は、リンク機構50を備えているので、収納部42における蓋体41の格納姿勢の自由度を向上することができ、インクジェットプリンター10自身の内部の空間を有効に利用されることができる。
【0090】
インクジェットプリンター10は、プラテン31から取り外された蓋体41を収納する収納部42を備えているので、プラテン31から取り外された蓋体41を置いておく空間がインクジェットプリンター10の外部に不要である。したがって、インクジェットプリンター10は、プラテン31から取り外された蓋体41を置いておく空間がインクジェットプリンター10の外部に必要である構成と比較して、利便性を向上することができる。
【0091】
特に、インクジェットプリンター10は、蓋体41を1つのみ備えているので、蓋体41が長尺品となるため、プラテン31から取り外された蓋体41を置いておく空間がインクジェットプリンター10の外部に必要である構成である場合には、プラテン31から取り外された蓋体41を置いておく空間として広い空間が必要である。したがって、インクジェットプリンター10は、収納部42を備えている利点が大きい。
【0092】
インクジェットプリンター10は、蓋体41を1つのみ備えているので、蓋体41がプラテン31に取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合に、複数の蓋体を備えていて蓋体同士の間に隙間が生じ得る構成と比較して、蓋体41の吸着孔41bを介した非メッシュ媒体の吸引状態を蓋体41全体において場所によらず一様にすることができるので、非メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。また、インクジェットプリンター10は、蓋体41を1つのみ備えているので、蓋体41がプラテン31に取り付けられた状態で非メッシュ媒体に印刷を実行する場合に、複数の蓋体を備えていて蓋体同士の間に段差が生じ得る構成と比較して、蓋体41全体における表面の平面度を例えば0.5m以下などの特定の範囲内に維持することができるので、非メッシュ媒体に高品質の印刷を実行することができる。
【0093】
特に、インクジェットプリンター10は、例えば矢印10aで示す主走査方向における印刷媒体90の幅が1.8m〜3m以上にも及ぶような大型機である場合に、1つのみ備えている蓋体41が大きく重くなるが、収納部42に収納されていた蓋体41をプラテン31に取り付ける動作と、プラテン31から取り外された蓋体41を収納部42に収納する動作とをリンク機構50によって容易に案内することができるので、リンク機構50を備えている利点が大きい。
【0094】
インクジェットプリンター10は、矢印10aで示す主走査方向に複数の蓋体を並べて備えている場合、蓋体をプラテン31に取り付ける動作と、蓋体をプラテン31から取り外す動作とを、蓋体の数だけ利用者に繰り返させる必要があるので、利用者にとって手間である。しかしながら、インクジェットプリンター10は、蓋体41を1つのみ備えているので、主走査方向に複数の蓋体を並べて備えている構成と比較して、蓋体41をプラテン31に取り付ける動作と、蓋体41をプラテン31から取り外す動作とに関して、利用者の手間を低減することができる。
【0095】
なお、インクジェットプリンター10は、矢印10aで示す主走査方向に複数の蓋体を並べて備えている構成であっても良い。
【0096】
インクジェットプリンター10は、
図2に示す構成によってプラテン31の溝31aに落ちたインクを溜めるようになっているが、プラテン31の溝31aに落ちたインクを溜める構成として他の構成を備えていても良い。例えば、インクジェットプリンター10は、
図10に示す構成であって良い。
【0097】
図10は、プラテン31の溝31aに落ちたインクを溜める構成として
図2に示す例とは異なる例を示す図である。
【0098】
図10に示すプラテン31の溝31aは、
図2に示すプラテン31の溝31aとは異なり、矢印10cで示す鉛直方向における下側にインクの流路が形成されていない。
図10に示すインクジェットプリンター10は、矢印10a(
図1参照。)で示す主走査方向に延在する管38と、管38の内部およびプラテン31の溝31aを連通する複数(
図10においては断面の関係上、1つのみしか現れていない。)の管39とを備えている。管38は、プラテン31の溝31aに対して矢印10bで示す副走査方向における一方の側に配置されている。プラテン31の溝31aには、管39の内部に連通するための孔31cが管38側に形成されている。例えば、プラテン31には、直径が6mm程度の孔31cが主走査方向に12個程度(
図10においては断面の関係上、1つのみしか現れていない。)形成されている。そして、管38には、フィルター34を介して送風機33が接続されている。したがって、送風機33によるプラテン31の溝31aの内部からの気体の吸引によって、プラテン31の溝31aに落ちたインクをインク貯留部32に溜めることができる。
【0099】
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0100】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成のうち、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)の構成と同様の構成については、インクジェットプリンター10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0101】
図11は、本実施の形態に係るインクジェットプリンター110の一部の斜視図である。
【0102】
図11に示すように、インクジェットプリンター110は、矢印10aで示す主走査方向に並んで配置されている2つの下流側支持部136と、2つの下流側支持部136のそれぞれの内部に1つずつ配置されている2つのアフターヒーター137と、主走査方向における中央に配置されている蓋体141および主走査方向において蓋体141を挟む状態で配置されている2つの蓋体142と、2つの蓋体142のそれぞれに対応して配置されている2つのリンク機構150とを、下流側支持部36(
図2参照。)、アフターヒーター37(
図2参照。)、蓋体41(
図2参照。)およびリンク機構50(
図2参照。)に代えてインクジェットプリンター10(
図1参照。)が備えた構成と同様である。
【0103】
下流側支持部136は、繰り出しローラー12(
図1参照。)側から巻き取りローラー13(
図1参照。)側への印刷媒体90(
図1参照。)の搬送方向においてプラテン31より下流側で印刷媒体90を支持するものである。下流側支持部136は、開閉可能である開閉部36aを備えている。
【0104】
アフターヒーター137は、下流側支持部136に支持されている印刷媒体90上のインクを乾燥させるためのものである。なお、図示していないが、アフターヒーター137は、開閉部36aに設置されることも可能である。
【0105】
蓋体141および蓋体142は、プラテン31に対して着脱可能である。蓋体141および蓋体142は、それぞれ、表面41aに吸着孔41bが複数形成されている。吸着孔41bは、プラテン31に取り付けられている状態で送風機33(
図2参照。)によってプラテン31の溝31a(
図2参照。)の内部から気体が吸引される場合に溝31aの外部から溝31aの内部に気体を通過させるための貫通孔である。
【0106】
リンク機構150は、プラテン31および収納部42(
図2参照。)の間における蓋体142の移動を案内する案内機構を構成している。リンク機構150は、矢印10aで示す主走査方向に離れて配置されていて主走査方向に直交する方向に延在している一対のリンク151と、一対のリンク151のそれぞれに1つずつ回転可能に接続されていて主走査方向に直交する方向に延在している一対のリンク152とを備えている。
【0107】
リンク151は、矢印10aで示す主走査方向に延在する軸151aを一端に備えていて、主走査方向に延在する軸151bを他端に備えている。軸151aは、下流側支持部136に対して主走査方向、矢印10bで示す副走査方向および矢印10cで示す鉛直方向の何れにも移動しないように、図示していない部材に回転可能に支持されている。
【0108】
リンク152は、矢印10aで示す主走査方向に延在する軸152aを一端に備えていて、他端がリンク151の軸151bに回転可能に支持されている。
【0109】
次に、プラテン31に対する蓋体141および蓋体142の着脱について説明する。
【0110】
利用者は、
図11に示すように蓋体141および蓋体142がプラテン31に取り付けられている状態から、蓋体141および蓋体142をプラテン31から取り外す場合、まず、
図7(a)に示すように開閉部24aを開く。
【0111】
次いで、利用者は、蓋体141を手で持って、蓋体141用の収納場所に移動させる。このとき、インクジェットプリンター110は、
図12(a)に示す状態になる。なお、蓋体141用の収納場所は、例えば、収納部42であっても良い。
【0112】
次いで、利用者は、
図12(b)に示すように、開閉部36aを開く。
【0113】
次いで、利用者は、
図13(a)に示すようにリンク152を手で持って移動させて、蓋体142の矢印10aで示す主走査方向における両側にリンク152の軸152aを取り付ける。
【0114】
次いで、利用者は、
図13(b)に示すように蓋体142を手で持って移動させて収納部42に収納した後、
図14に示すように開閉部36aを閉じる。
【0115】
最後に、利用者は、
図8(b)に示すように開閉部24aを閉じる。
【0116】
利用者は、
図14に示すように蓋体142が収納部42に収納されている状態から、蓋体141および蓋体142をプラテン31に取り付ける場合、蓋体141および蓋体142をプラテン31から取り外す場合とは逆の手順で蓋体141および蓋体142をプラテン31に取り付けることができる。
【0117】
インクジェットプリンター110は、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10と比較して、次の作用効果を更に得ることができる。すなわち、インクジェットプリンター110は、リンク機構150が蓋体142に着脱可能であるので、収納部42に収納されていた蓋体142をプラテン31に取り付ける動作と、プラテン31から取り外された蓋体142を収納部42に収納する動作とを案内していない時点のリンク機構150を蓋体142から取り外して
図11に示すように小さく収納することができる。したがって、インクジェットプリンター110は、リンク機構150が蓋体142から取り外すことができない構成と比較して、大型化することがない。
【0118】
なお、インクジェットプリンター110は、蓋体141と、2つの蓋体142とを矢印10aで示す主走査方向に並べて備えている構成であるが、リンク機構が着脱可能であって主走査方向に長い蓋体を1つのみ備えている構成であっても良い。インクジェットプリンター110は、多数に分割された蓋体同士が互いに接するように並べる構成である場合には、蓋体全体において面精度の維持や気密性の確保が困難になるため好ましくない。したがって、インクジェットプリンター110は、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10のように、蓋体を1つのみ備えている構成であることが望ましい。しかしながら、インクジェットプリンター110は、必要に応じて、蓋体が少数に分割されていることは差支えない。例えば、蓋体は、中央部などを境として2つ程度に分割されていたり、本実施の形態のように3つ程度に分割されていたりすることは差支えない。