(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、記録ヘッドの所定方向の端部におけるノズルを用いてオーバーラップ領域の印刷を行う。ここで、本発明者らの知見によれば、記録ヘッドの所定方向の端部におけるノズルから吐出されるドットの液滴量および着弾位置は、記録ヘッドの所定方向の中央部におけるノズルから吐出されるドットの液滴量および着弾位置と異なる場合があるため、オーバーラップ領域においてバンディングが発生するおそれがある。特に、第1記録ヘッドおよび第2記録ヘッドの較正(相対的な位置調整)が不十分である場合、このバンディングは顕著となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のヘッドを用いるインクジェット記録技術において、バンディングの発生を抑制するための技術を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインクジェット記録装置は、上記課題を解決するために、複数のヘッドおよび該複数のヘッドによるインクの吐出を制御する制御手段を備え、該複数のヘッドの各々には、第一方向に配列された複数のノズルからなるノズル列が、第一方向に交差する第二方向に複数列並置されており、該複数のヘッドのうち少なくとも一組の二つのヘッドでは、互いに第一方向に一部のノズルがオーバーラップするように配置されており、該制御手段は、当該二つのヘッドに対して、(i)オーバーラップしているノズル同士では何れか一方のヘッドのノズルからインクを吐出させるとともに、(ii)オーバーラップしているノズルのうち、第一方向において同一または隣接する位置に配置された各々のヘッドのノズルからなる少なくとも一組のノズル組については、インクの吐出対象における第二方向の位置に応じてインクを吐出するヘッドを異ならせ、(iii)該二つのヘッドのうち少なくとも一方のヘッドでは、オーバーラップしているノズルのうち該ノズル列の末端に配置されたノズルから吐出を行わないように制御することを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズル同士では何れか一方のヘッドのノズルからインクを吐出させるとともに、オーバーラップしているノズルのうち、第一方向において同一または隣接する位置に配置された各々のヘッドのノズルからなる少なくとも一組のノズル組については、インクの吐出対象における第二方向の位置に応じてインクを吐出するヘッドを異ならせることで、二つのヘッドの各々によって記録される領域の境界をぼかし、バンディングを抑制することができる。但し、ノズル列の末端に配置されたノズルから吐出される液適量が変動するため、ノズル列の末端に配置されたノズルによって、二つのヘッドの各々によって記録される領域の境界付近を印刷するようにすると、当該境界付近に小さい又は大きいドットが記録され、バンディングが発生するおそれがある。これに対し、上記の構成によれば、少なくとも一方のヘッドにおいては、ノズル列の末端に配置されたノズルを用いずに当該境界付近を記録するため、バンディングの発生を抑制することができる。
【0009】
また、上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えた二つのヘッドにおいて、オーバーラップしているノズルのうち第一方向において同一または隣接する位置に配置された上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの組み合わせを用いて、二つのヘッドの各々によって記録される領域の境界付近をぼかすことにより、二つのヘッド間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを抑制することができる。
【0010】
本発明に係るインクジェット記録装置では、一態様において、上記二つのヘッドは、同一色のインクを吐出する複数の上記ノズル列を備えており、当該同一色のインクを吐出するノズル列において、一つのノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルと、他のノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルとが、互いに第一方向において同一または最も近い位置に配置されてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えた二つのヘッドにおいて、オーバーラップしているノズルのうち第一方向において同一または隣接する位置に配置された上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの組み合わせを用いて、二つのヘッドの各々によって記録される領域の境界付近をぼかし、さらに、同一色のインクを吐出するノズル列同士に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの第一方向における位置を同一または隣接する位置とすることにより、二つのヘッド間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。
【0012】
本発明に係るインクジェット記録装置では、一態様において、上記制御手段は、上記二つのヘッドのうち一方のヘッドにおける上記オーバーラップしているノズルによって記録される領域、および、他方のヘッドにおける上記オーバーラップしているノズルによって記録される領域が、何れも第一方向に連続するように上記二つのヘッドを制御してもよい。
【0013】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えた二つのヘッドにおいて、二つのヘッドの各々によって記録される領域がそれぞれ連続していることによって、第一方向に連続するドットが、ヘッドを跨いで記録されることを避けることができる。これにより、二つのヘッド間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。
【0014】
本発明に係るインクジェット記録装置では、一態様において、上記制御手段は、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルによって記録される領域の第一方向における幅が、第一方向における単位幅の2倍以下となるように上記二つのヘッドを制御するものであり、上記第一方向における単位幅は、上記二つのヘッドの一方のヘッドにおける、同一色のインクを吐出する上記ノズル列の数と同数の、第一方向において互いに隣接するノズルによって記録される領域の第一方向における幅であってもよい。
【0015】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えた二つのヘッドにおいて、オーバーラップしているノズルのうち上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの組み合わせを用いて、二つのヘッドの各々によって記録される領域の境界付近をぼかし、さらに、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルによって記録される範囲の第一方向における幅を短くすることにより、二つのヘッド間の特に主走査方向における較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。
【0016】
本発明に係るインクジェット記録装置では、一態様において、上記制御手段は、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの各々が第二方向に連続して記録する幅が互いに同一であるように上記二つのヘッドを制御してもよい。
【0017】
上記の構成によれば、二つのヘッドの各々によって記録される領域の境界付近において、一つのノズルによって連続して記録される第二方向における幅が同一となるため、ノズル毎の記録領域間の変動を抑え、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。
【0018】
本発明に係るインクジェット記録装置では、一態様において、上記制御手段は、上記二つのヘッドに対して、何れのヘッドにおいても、オーバーラップしているノズルのうち上記ノズル列の末端に配置されたノズルから吐出を行わないように制御してもよい。
【0019】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えた二つのヘッドにおいて、何れのヘッドにおいても、ノズル列の末端に配置されたノズルを用いずに当該境界付近を記録するため、バンディングの発生を好適に抑制することができる。
【0020】
本発明に係るインクジェット記録方法は、複数のヘッドを用いたインクジェット記録方法であって、該複数のヘッドの各々には、第一方向に配列された複数のノズルからなるノズル列が、第一方向に交差する第二方向に複数列並置されており、該複数のヘッドのうち少なくとも一組の二つのヘッドでは、互いに第一方向に一部のノズルがオーバーラップするように配置されており、当該二つのヘッドに対して、(i)オーバーラップしているノズル同士では何れか一方のヘッドのノズルからインクを吐出させるとともに、(ii)オーバーラップしているノズルのうち、第一方向において同一または隣接する位置に配置された各々のヘッドのノズルからなる少なくとも一組のノズル組については、インクの吐出対象における第二方向の位置に応じてインクを吐出するヘッドを異ならせ、(iii)該二つのヘッドのうち少なくとも一方のヘッドでは、オーバーラップしているノズルのうち該ノズル列の末端に配置されたノズルから吐出を行わないように制御するヘッド制御工程を包含することを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、本発明に係るインクジェット記録装置と同等の効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置によれば、複数のヘッドを用いるインクジェット記録技術において、ヘッド同士の較正が不十分であるときのバンディングの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供する。なお、本明細書において「記録」とは、インクを記録媒体上に吐出することによって、記録媒体上に画像を形成することを指す。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置10の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、ヘッド1、ヘッド2、キャリッジ3、記録媒体搬送部4および主制御部5を備えている。主制御部5は、吐出制御部(制御手段)6および走査制御部7を備えている。
【0026】
記録媒体8は、何らかの記録を行うべき物体であれば特に限定されないが、例えば、紙、布、樹脂シート、金属シート等のシート材を用いることができる。また、記録のためのインクも特に限定されず、記録媒体8の材質、記録媒体8上に形成すべき画像等に応じて適宜選択すればよい。
【0027】
ヘッド1およびヘッド2はそれぞれ、公知のインクジェットノズルを複数個備えており、各ノズルからのインクの吐出のタイミングは、それぞれ吐出制御部6によって制御される。
【0028】
また、ヘッド1およびヘッド2は、キャリッジ3に搭載されており、キャリッジ3によって主走査方向に駆動される。これによって、ヘッド1およびヘッド2を、記録媒体1に対して相対的に主走査方向に移動させることができる。また、記録媒体搬送部4は、記録媒体1を主走査方向に交差する副走査方向に搬送するものであり、例えば、公知の搬送ローラ等によって構成することができる。これによって、ヘッド1およびヘッド2を、記録媒体1に対して相対的に副走査方向に移動させることができる。キャリッジ3および記録媒体搬送部4は、走査制御部7によって制御される。
【0029】
(ヘッドの配置)
インクジェット記録装置10におけるヘッドの配置は特に限定されず、インクジェット記録装置10は、複数のヘッドを備え、当該複数のヘッドの各々には、第一方向に配列された複数のノズルからなるノズル列が、第一方向に交差する第二方向に複数列並置されており、当該複数のヘッドのうち少なくとも一組の二つのヘッドでは、互いに第一方向に一部のノズルがオーバーラップするように配置されているものであればよいが、一例として
図2に示すような配置であってもよい。
【0030】
すなわち、
図2に示すように、インクジェット記録装置10では、ヘッド1およびヘッド2がスタガ配置(Staggered Layout)されており、ヘッド1は、副走査方向に配列されたノズルA1〜8からなるノズル列11aと、副走査方向に配列されたノズルB1〜8からなるノズル列11bとを備えており、ヘッド2は、副走査方向に配列されたノズルC1〜8からなるノズル列11cと、副走査方向に配列されたノズルD1〜8からなるノズル列11dとを備えている。ヘッド1のノズルA5〜8およびB5〜8と、ヘッド2のノズルC1〜4およびD1〜4とは、副走査方向にオーバーラップしている。換言すれば、ヘッド1およびヘッド2は、ヘッド1のノズルA5〜8およびB5〜8を主走査方向に平行移動させて、ヘッド2のノズルC1〜4およびD1〜4と重ね合わせることができるように配置されている。
【0031】
また、ノズルA1〜8、B1〜8、C1〜8およびD1〜8は、それぞれ、同一色のインクを吐出し得るように構成されている。すなわち、ノズル列11a〜11dは、同一色のインクを吐出するように構成されている。
【0032】
なお、
図2に示す各ヘッド、各ノズル列および各ノズルの数および配置はあくまでも一例であり、インクジェット記録装置10が備えるヘッドの数は2以上であれば特に限定されない。また、各ヘッドの相対的な配置(特に、ヘッド間でオーバーラップするノズルの数)は、全ヘッドのうち少なくとも一組の二つのヘッドにおいて、互いに副走査方向に一部のノズルがオーバーラップするように配置されていれば特に限定されない。更に、各ヘッドが備えるノズル列は、少なくともインクの色の数に対して同じ数だけあればよく、各ノズル列が備えるノズルの数はオーバーラップするノズルの数より多ければ特に限定されない。なお、同一色のインクを複数のノズル列から吐出する場合は、同一色のインクを吐出するノズル列の数は2以上であれば特に限定されない。また、同一色のインク以外にも異なる色のインクを吐出するノズル列をさらに備えていてもよい。
【0033】
便宜上、本実施形態において、ノズル列はヘッド1,2において2列のみを有するように記載しているが、1列または3列以上を備えていてもよい。また、副走査方向の両端部のノズル列が同一色のインクを吐出することに限定されず、副走査方向のノズル列の任意の位置で同一色のインクを吐出してもよい。
【0034】
(動作例)
続いて、本実施形態に係るインクジェット記録装置10のいくつかの動作例、および、参考例を説明する。
図3〜10は、それぞれ、インクジェット記録装置10の動作例1〜8を説明する図であり、
図11は、参考例1に係るインクジェット記録装置の動作を説明する図であり、
図12は、参考例2に係るインクジェット記録装置の動作を説明する図である。
【0035】
図3〜12では、紙面左から右へ向かう方向を主走査方向とし、紙面上から下へ向かう方向を副走査方向とする。
【0036】
図3〜12において、(a)は、ヘッド1、2間の較正(相対位置調整)が十分である場合を示し、(b)は、ヘッド1、2間の副走査方向における較正(相対位置調整)が不十分である場合を示す。詳細には、(a)に示す例では、ヘッド1のノズルA5〜8(
図8に示す動作例6では、ノズルA4〜8)と、ヘッド2のノズルC1〜4(
図8に示す動作例6では、ノズルC1〜5)とは、それぞれ副走査方向において同一の位置にあるのに対し、(b)に示す例では、ヘッド1のノズルA5〜8(
図8に示す動作例6では、ノズルA4〜8)と、ヘッド2のノズルC1〜4(
図8に示す動作例6では、ノズルC1〜5)とが、それぞれ副主走査方向においてずれた(隣接した)位置に存在する。同様に、(a)に示す例では、ヘッド1のノズルB5〜8(
図8に示す動作例6では、ノズルB4〜8)と、ヘッド2のノズルD1〜4(
図8に示す動作例6では、ノズルD1〜5)とは、それぞれ副走査方向において同一の位置にあるのに対し、(b)に示す例では、ヘッド1のノズルB5〜8(
図8に示す動作例6では、ノズルB4〜8)と、ヘッド2のノズルD1〜4(
図8に示す動作例6では、ノズルD1〜5)とが、それぞれ副走査方向においてずれた(隣接した)位置に存在する。
【0037】
図3〜12の(a)および(b)において、各図の右側にヘッド1、2を示し、各図の左側にヘッド1、2によって記録されるドットEを示す。各ドットEには、各ドットEを記録したノズルと同じ模様が付されている。すなわち、
図3〜12の(a)および(b)において、各図の左側に示される各ノズルは、各図の右側に示される、副走査方向において同一または隣接する位置にある同じ模様を有するドットEを記録することを示す。なお、各図の左側に示される白抜きのノズルは、インクを吐出しないノズルを示す。
【0038】
動作例1〜8では、吐出制御部6は、ヘッド1、2に対して、(i)オーバーラップしているノズル同士では何れか一方のヘッドのノズルからインクを吐出させるとともに、(ii)オーバーラップしているノズルのうち、第一方向において同一または隣接する位置に配置された各々のヘッドのノズルからなる少なくとも一組のノズル組については、インクの吐出対象における主走査方向の位置に応じてインクを吐出するヘッドを異ならせる。詳細には、
図3に示す動作例1、
図4に示す動作例2、
図5に示す動作例3、
図6に示す動作例4、
図9に示す動作例7では、ノズルA7とC3、B7とD3が上記少なくとも一組のノズル組に該当する。
図7に示す動作例5では、ノズルA7とC3、B6とD2が上記少なくとも一組のノズル組に該当する。
図8に示す動作例6では、ノズルA5とC2、A6とC3、A7とC4、B5とD2、B6とD3、B7とD4が上記少なくとも一組のノズル組に該当する。また、
図10に示す動作例8では、ノズルA8とC4、B8とD4が上記少なくとも一組のノズル組に該当する。このように構成することで、ヘッド1、2の各々によって記録される領域の境界をぼかし、バンディングを抑制することができる。
【0039】
特に、動作例1〜8では、ヘッド1、2のうち一方のヘッドに含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルと、他方のヘッドに含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルとが、互いに副走査方向において同一または隣接する位置に配置される。詳細には、
図3に示す動作例1、
図4に示す動作例2、
図5に示す動作例3、
図6に示す動作例4、
図9に示す動作例7では、ノズルA7と、ノズルC3とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置され、ノズルB7と、ノズルD3とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置される。また、
図7に示す動作例5では、ノズルA7と、ノズルC3とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置され、ノズルB6と、ノズルD2とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置される。また、
図8に示す動作例6では、ノズルA5〜7の各々と、ノズルC2〜4の各々とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置され、ノズルB5〜7の各々と、ノズルD2〜4の各々とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置される。また、
図10に示す動作例8では、ノズルA8と、ノズルC4とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置され、ノズルB8と、ノズルD4とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置される。このように構成することで、ヘッド1、2間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを抑制することができる。
【0040】
一方、
図12に示す参考例2では、オーバーラップしているノズルのうち、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルについて、インクの吐出対象における主走査方向の位置に応じてインクを吐出するヘッドを異ならせることがない。そのため、
図12の(b)に示すように、ヘッド1、2の副走査方向での較正が不十分である場合に、主走査方向に直線状で現れる顕著なバンディングが発生してしまう。
【0041】
また、動作例1〜8では、吐出制御部6は、ヘッド1、2のうち少なくとも一方のヘッドでは、オーバーラップしているノズルのうちノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1から吐出を行わないように制御する。ノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1から吐出される液適量は他のノズルと比較すると安定せず、液滴量自体も少なくなることが多く、かつ、着弾位置のズレの発生も顕著なため、ノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1によって、ヘッド1、2の各々によって記録される領域の境界付近を印刷するようにすると、当該境界付近に小さいドットが記録され、また、着弾位置のズレによりドット位置が他のドットと重なるようなことも多く、バンディングが発生するおそれがある。これに対し、動作例1〜8では、少なくとも一方のヘッドにおいては、ノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1を用いずに当該境界付近を記録するため、上述のような現象によるバンディングの発生を抑制することができる。特に、動作例1〜7では、吐出制御部6は、ヘッド1、2に対して、何れのヘッドにおいても、オーバーラップしているノズルのうちノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルから吐出を行わないように制御するため、何れのヘッドにおいても、ノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1を用いずに当該境界付近を記録するため、バンディングの発生を好適に抑制することができる。
【0042】
一方、
図11に示す参考例1では、ノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1によって、ヘッド1、2の各々によって記録される領域の境界付近を印刷するため、
図11の(a)および(b)に示すように、当該境界付近に小さいドットが記録され、バンディングが発生するおそれがある。
【0043】
また、動作例1〜4、6〜8では、ノズル列11a〜11dにおいて、一つのノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルと、他のノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルとが、互いに副走査方向において同一または最も近い位置に配置される。詳細には、
図3に示す動作例1、
図4に示す動作例2、
図5に示す動作例3、
図6に示す動作例4、
図9に示す動作例7では、ノズル列11aのノズルA7と、ノズル列11bのノズルB7と、ノズル列11cのノズルC3と、ノズル列11dのノズルD3とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置される。また、
図8に示す動作例6では、ノズル列11aのノズルA5〜7の各々と、ノズル列11bのノズルB5〜7の各々と、ノズル列11cのノズルC2〜4の各々と、ノズル列11dのノズルD2〜4の各々とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置される。また、
図10に示す動作例8では、ノズル列11aのノズルA8と、ノズル列11bのノズルB8と、ノズル列11cのノズルC4と、ノズル列11dのノズルD4とが、副走査方向において同一または隣接する位置に配置される。
【0044】
このように構成することで、ヘッド1、2間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。すなわち、各ノズル列間において、副走査方向において異なる位置に上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルが存在する場合、ヘッド1、2間の較正が不十分であると、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの位置が相対的にずれ、オーバーラップ部分(上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルによって記録される領域)と、非オーバーラップ部分(オーバーラップ部分に隣接する上記少なくとも一組のノズル組に属さないノズルによって記録される領域)との境界において、ドット間隔に差異が生じ、上記境界に挟まれた領域において濃淡が生じる。ゆえに、各ノズル列間における上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの位置は、副走査方向において近接しており、上記境界に挟まれた領域が狭くなることが好ましい。
【0045】
例えば、動作例1と動作例5とを比較する。動作例1では、ノズル列11a〜11dにおいて、一つのノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルと、他のノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルとが、互いに副走査方向において同一または最も近い位置に配置されている。一方、動作例5では、ノズル列11a〜11dにおいて、一つのノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルと、他のノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルとが、互いに副走査方向において同一または最も近い位置に配置されていない。つまり、動作例5では、ノズル列11a、11cの上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルに対して同一または最も近い位置となるノズル列11b、11dのノズルはノズルB7、D3又はノズルB8、D4であるが、ノズル列11b、11dの上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルはノズルB6、D2が選択されている。このように、動作例1と動作例5では、同一色を吐出するノズル列における互いの上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの副走査方向における位置が異なっており、その他の条件について同等であるが、動作例1では、動作例5に比べて、よりバンディングを抑制することができる。
【0046】
また、動作例1〜4、7、8のように、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルによって記録される領域J(オーバーラップ部分)の副走査方向における幅Fが、ヘッド1、2の一方のヘッドにおいて、非オーバーラップ部分での副走査方向に互いに隣接する二つのノズルによって記録される領域の副走査方向における単位幅Gの2倍以下であることが好ましく、単位幅Gの1.5倍以下であることがより好ましい。
【0047】
このように構成することで、よりバンディングを抑制することができる。つまり、オーバーラップ部分Jの副走査方向における幅Fを小さくすることで、特に、主走査方向の較正ズレの発生によって、主走査方向のドット間隔に差異が生じて副走査方向に発生する濃淡箇所の領域が限定的になるため、特に画像記録などの同色領域が広いような場合には、視認性のバンディングを効果的に抑制することができる。
【0048】
例えば、動作例1と動作例6とを比較する。動作例1のオーバーラップ部分Jの副走査方向における幅Fは、非オーバーラップ部分での副走査方向に互いに隣接する二つのノズルによって記録される領域の副走査方向における単位幅Gに、ヘッド1、2間の副走査方向の較正ズレ分が足された距離となる。一方、動作例6のオーバーラップ部分Jの副走査方向における幅Fは、非オーバーラップ部分での副走査方向に互いに隣接する二つのノズルによって記録される領域の副走査方向における単位幅Gの3倍に、ヘッド1、2間の副走査方向の較正ズレ分が足された距離となる。つまり、動作例1と動作例6では、副走査方向における上記少なくとも一組のノズル組に属するノズル数の差分、つまり、単位幅Gの2倍分だけオーバーラップ部分Jの副走査方向における幅Fが異なっている。
【0049】
その他の条件について同等であるが、動作例1では、動作例6に比べて、よりバンディングを抑制することができる。つまり、オーバーラップ部分Jの副走査方向における幅Fを小さくすることで、特に主走査方向の較正ズレの発生によって、主走査方向のドット間隔に差異が生じて発生する副走査方向における濃淡箇所の領域が限定的になるため、特に画像記録などの同色領域が広いような場合には、視認性のバンディングを効果的に抑制することができる。
【0050】
また、オーバーラップ部分Jを小さくすると、当然、副走査方向における上記少なくとも一組のノズル組に属するノズル数も少なくなり、スタガ配置されたヘッド1、2のオーバーラップ配置の領域を小さくすることが可能となる。これにより、副走査方向における記録動作の効率を低下させずに、バンディングを抑制することができる。
【0051】
なお、単位幅Gは同一色のインクを吐出するノズル列の数によって異なる。本実施形態では、同一色のインクを吐出するノズル列の数が2のため、単位幅Gは2ドット分となるが、例えば、同一色のインクを吐出するノズル列の数が3の場合には、単位幅Gは3ドット分となる。このとき、ヘッドでの同一色のインクを吐出するノズル列同士のノズル位置は副走査方向において異なる位置に形成されている。すなわち、副走査方向における単位幅Gとは、同一色を吐出するノズル列数に対応するドット数で決まる幅であり、詳細には、ヘッド1、2の一方のヘッドにおける、同一色のインクを吐出するノズル列の数と同数の、第一方向において互いに隣接するノズルによって記録される領域の第一方向における幅を指す。
【0052】
また、動作例1、4、6、7では、吐出制御部6は、ヘッド1における上記オーバーラップしているノズルによって記録される領域、および、ヘッド2における上記オーバーラップしているノズルによって記録される領域が、何れも副走査方向に連続するように制御する。これにより、副走査方向に連続するドットが、ヘッドを跨いで記録されることを避けることができる。これにより、ヘッド1、2間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。
【0053】
例えば、動作例1と動作例2とでは、動作例1では、ヘッド1における上記オーバーラップしているノズルによって記録される領域、および、ヘッド2における上記オーバーラップしているノズルによって記録される領域が、何れも副走査方向に連続しており、動作例2では、ヘッド1における上記オーバーラップしているノズルによって記録される領域、および、ヘッド2における上記オーバーラップしているノズルによって記録される領域が、副走査方向に連続していない(図中H参照)点において異なっており、その他の条件について同等であるが、動作例1では、動作例2に比べて、よりバンディングを抑制することができる。
【0054】
また、動作例1、2、5、6、8では、吐出制御部6は、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの各々が主走査方向に連続して記録する幅が互いに同一であるように制御する。詳細には、
図3に示す動作例1、
図4に示す動作例2、
図7に示す動作例5、
図8に示す動作例6、および、
図10に示す動作例8では、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの各々が主走査方向に連続して記録する幅Iは全て2となっている。なお、幅Iは2ドット以上であれば特に限定されないが、幅Iが長すぎる場合には、動作例10のように主走査方向に直線状で現れるバンディングが発生してしまうため、視認性のバンディングを抑制するためには、幅Iは0.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以下である。
【0055】
このように、単一のノズルから主走査方向に連続して記録するドット組の幅Iを同一とすることによって、同一のヘッド内で吐出される連続ドットの周期が同じとなり、連続ドット間の変動を抑えることができ、よりバンディングを抑制することができる。すなわち、主走査方向に連続する吐出量が異なる場合(例えば、2連続吐出と、5連続吐出との場合)、吐出液量および着弾位置が異なる場合がある。そのため、連続吐出量を同一にすることで、ヘッドの違いによる特性誤差以外の誤差を小さくすることができる。
【0056】
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、主制御部5の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0057】
後者の場合、主制御部5は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである主制御部5の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、主制御部5に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0058】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0059】
また、主制御部5を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)(登録商標)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0060】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
<付記事項>
以上のように、一実施形態において、インクジェット記録装置10は、ヘッド1、2およびヘッド1、2によるインクの吐出を制御する吐出制御部6を備え、ヘッド1、2の各々には、副走査方向に配列されたノズルA1〜8、B1〜8、C1〜8、D1〜8からなるノズル列11a、11b、11c、11dが、副走査方向に交差する主走査方向に複数列並置されており、ヘッド1、2では、互いに副走査方向に一部のノズル(例えば、
図3に示す例におけるノズルA5〜8、B5〜8、C1〜4、D1〜4)がオーバーラップするように配置されており、吐出制御部6は、当該ヘッド1、2に対して、(i)オーバーラップしているノズル同士では何れか一方のヘッドのノズルからインクを吐出させるとともに、(ii)オーバーラップしているノズルのうち、副走査方向において同一または隣接する位置に配置された各々のヘッドのノズルからなる少なくとも一組のノズル組(例えば、
図3に示す例におけるノズルA7、B7、C3、D3)については、インクの吐出対象における主走査方向の位置に応じてインクを吐出するヘッドを異ならせ、(iii)ヘッド1、2のうち少なくとも一方のヘッドでは、オーバーラップしているノズルのうちノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1から吐出を行わない(ヘッド1のノズルA8、B8のみを吐出させない場合も含む)ように制御する。
【0062】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズル同士では何れか一方のヘッドのノズルからインクを吐出させるとともに、オーバーラップしているノズルのうち、副走査方向において同一または隣接する位置に配置された各々のヘッドのノズルからなる少なくとも一組のノズル組については、インクの吐出対象における主走査方向の位置に応じてインクを吐出するヘッドを異ならせることで、ヘッド1、2の各々によって記録される領域の境界をぼかし、バンディングを抑制することができる。但し、ノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1から吐出される液適量は少ないため、ノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1によって、ヘッド1、2の各々によって記録される領域の境界付近を印刷するようにすると、当該境界付近に小さいドットが記録され、バンディングが発生するおそれがある。これに対し、上記の構成によれば、少なくとも一方のヘッドにおいては、ノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1を用いずに当該境界付近を記録するため、バンディングの発生を抑制することができる。
【0063】
また、上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えたヘッド1、2において、オーバーラップしているノズルのうち副走査方向において同一または隣接する位置に配置された上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの組み合わせ(例えば、
図3に示す例におけるノズルA7およびC7の組み合わせ、ノズルB7およびD3の組み合わせ)を用いて、ヘッド1、2の各々によって記録される領域の境界付近をぼかすことにより、ヘッド1、2間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを抑制することができる。
【0064】
インクジェット記録装置10では、一実施形態において、ヘッド1、2は、同一色のインクを吐出する複数のノズル列11a〜11dを備えており、当該同一色のインクを吐出するノズル列11a〜11dにおいて、一つのノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズル(例えば、
図3に示す例におけるノズルA7およびB7)と、他のノズル列に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズル(例えば、
図3に示す例におけるノズルC3およびD3)とが、互いに副走査方向において同一または最も近い位置に配置されてもよい。
【0065】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えたヘッド1、2において、オーバーラップしているノズルのうち副走査方向において同一または隣接する位置に配置された上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの組み合わせを用いて、ヘッド1、2の各々によって記録される領域の境界付近をぼかし、さらに、同一色のインクを吐出するノズル列11a〜11d同士に含まれる上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの副走査方向における位置を同一または隣接する位置とすることにより、ヘッド1、2間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。
【0066】
インクジェット記録装置10では、一実施形態において、吐出制御部6は、ヘッド1、2のうち一方のヘッドにおける上記オーバーラップしているノズル(例えば、
図3に示す例におけるノズルA5〜8、B5〜8)によって記録される領域、および、他方のヘッドにおける上記オーバーラップしているノズル(例えば、
図3に示す例におけるノズルC1〜4、D1〜4)によって記録される領域が、何れも副走査方向に連続するようにヘッド1、2を制御してもよい。
【0067】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えたヘッド1、2において、二つのヘッドの各々によって記録される領域がそれぞれ連続していることによって、副走査方向に連続するドットが、ヘッドを跨いで記録されることを避けることができる。これにより、ヘッド1、2間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。
【0068】
インクジェット記録装置10では、一実施形態において、吐出制御部6は、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルによって記録される領域Jの副走査方向における幅Fが、副走査方向における単位幅Gの2倍以下となるようにヘッド1、2を制御するものであり、上記副走査方向における単位幅は、ヘッド1、2の一方のヘッドにおける、同一色のインクを吐出するノズル列(11aおよび11b、または、11cおよび11d)の数と同数の、副走査方向において互いに隣接するノズルによって記録される領域の副走査方向における幅であってもよい。
【0069】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えたヘッド1、2において、オーバーラップしているノズルのうち上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの組み合わせを用いて、ヘッド1、2の各々によって記録される領域の境界付近をぼかし、さらに、当該少なくとも一組のノズル組に属するノズルによって記録される範囲の副走査方向における幅Fを短くすることにより、ヘッド1、2間の較正が不十分である場合にも、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。
【0070】
インクジェット記録装置10では、一実施形態において、吐出制御部6は、上記少なくとも一組のノズル組に属するノズルの各々が主走査方向に連続して記録する幅Iが互いに同一であるようにヘッド1、2を制御してもよい。
【0071】
上記の構成によれば、ヘッド1、2の各々によって記録される領域の境界付近において、一つのノズルによって連続して記録される主走査方向における幅Iが同一となるため、ノズル毎の記録領域間の変動を抑え、バンディングが顕著になることを好適に抑制することができる。
【0072】
インクジェット記録装置10では、一実施形態において、吐出制御部6は、ヘッド1、2に対して、何れのヘッドにおいても、オーバーラップしているノズルのうちノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルから吐出を行わないように制御してもよい。
【0073】
上記の構成によれば、オーバーラップしているノズルを備えたヘッド1、2において、何れのヘッドにおいても、ノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1を用いずに当該境界付近を記録するため、バンディングの発生を好適に抑制することができる。
【0074】
一実施形態において、インクジェット記録方法は、ヘッド1、2を用いたインクジェット記録方法であって、ヘッド1、2の各々には、副走査方向に配列された複数のノズルA1〜8、B1〜8、C1〜8、D1〜8からなるノズル列11a〜11dが、副走査方向に交差する主走査方向に複数列並置されており、ヘッド1、2では、互いに副走査方向に一部のノズルがオーバーラップするように配置されており、当該ヘッド1、2に対して、(i)オーバーラップしているノズル同士では何れか一方のヘッドのノズルからインクを吐出させるとともに、(ii)オーバーラップしているノズルのうち、副走査方向において同一または隣接する位置に配置された各々のヘッドのノズルからなる少なくとも一組のノズル組については、インクの吐出対象における主走査方向の位置に応じてインクを吐出するヘッドを異ならせ、(iii)ヘッド1、2のうち少なくとも一方のヘッドでは、オーバーラップしているノズルのうちノズル列11a〜11dの末端に配置されたノズルA8、B8、C1、D1から吐出を行わないように制御するヘッド制御工程を包含する。
【0075】
上記の構成によれば、インクジェット記録装置10と同等の効果を奏する。
【0076】
また、インクジェット記録装置10を動作させるためのプログラムであって、コンピュータにインクジェット記録装置10の機能を実現させるプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。