(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374217
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】メタルマスク及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B41N 1/24 20060101AFI20180806BHJP
B41C 1/14 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
B41N1/24
B41C1/14
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-103132(P2014-103132)
(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公開番号】特開2015-217610(P2015-217610A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】300071823
【氏名又は名称】株式会社ボンマーク
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貞雄
【審査官】
亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−347165(JP,A)
【文献】
特開2011−168831(JP,A)
【文献】
特開昭59−074291(JP,A)
【文献】
特開2001−172790(JP,A)
【文献】
米国特許第04913783(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 1/24
B41C 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるワット浴に添加剤としてクエン酸塩を用いたメッキ浴組成により、メタルマスクを製造することを特徴とするメタルマスクの製造方法。
【請求項2】
硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるワット浴に添加剤としてクエン酸塩を用いたメッキ浴組成により、メタルマスクを製造する方法であって、
前記メッキ浴組成として、硫酸ニッケル100〜400g/L、塩化ニッケル30〜60g/L、クエン酸塩15〜40g/Lを含むことを特徴とするメタルマスクの製造方法。
【請求項3】
クエン酸塩として、クエン酸3ナトリウムを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のメタルマスクの製造方法。
【請求項4】
硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるワット浴に添加剤としてクエン酸塩を用いたメッキ浴組成により、製造することを特徴とするメタルマスク。
【請求項5】
メッキ浴組成として、硫酸ニッケル100〜400g/L、塩化ニッケル30〜60g/L、クエン酸塩15〜40g/Lを含むことを特徴とする請求項4記載のメタルマスク。
【請求項6】
クエン酸塩として、クエン酸3ナトリウムを用いることを特徴とする請求項4又は請求項5記載のメタルマスク。
【請求項7】
メタルマスクの表面粗さの凹凸の平均間隔Smが23μm以下であることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のメタルマスク。
【請求項8】
メタルマスクの結晶の配向性において、(111)面、(200)面及び(220)面のピーク強度の合計に対する(220)面のピーク強度比が0.4以上であることを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載のメタルマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メタルマスク及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子部品等の実装のためにプリント配線基板にハンダペースト(クリームハンダ)、導体ペースト等を塗布形成するに際し、高精度なパターン印刷を可能にさせるスクリーン印刷が採用されている。特に高精度なパターン印刷が望まれる場合には、スクリーン印刷用の版材として、メタルマスク等のスクリーン印刷版が用いられる。
【0003】
メタルマスクを用いたスクリーン印刷は、被印刷物面に接触させて、あるいは僅かに離れて位置するメタルマスクの一方の面(スキージ面)から他方の面(被印刷物側の面)に、スキージあるいは加圧等で被印刷物面に押し付けながら、メタルマスクに設けられたパターン状の孔から印刷インクその他の付着材料を押し出すことで、被印刷物表面に印刷が行われる。この印刷方法は、被印刷物が平板状である場合に好適である。
【0004】
近年、電子機器ないし電子部品の小型化に伴い、プリント配線基板にハンダペーストを塗布形成するためにメタルマスクに設ける孔のパターンは、極微細でかつ孔相互の間の距離(孔のピッチ)が極めて短くなりつつある。また、高精細なパターンを形成するべく、メタルマスクと被印刷物との間は基本的に接触状態とするのが有利である。
【0005】
このように、極微細な孔が密集したメタルマスクは、印刷時に被印刷物と接触した際に、ハンダペーストやフラックスの粘性や表面張力、さらにはメタルマスクの被印刷物面と被印刷物の印刷面との押圧による接着力等により、被印刷物と密着してしまい、版離れが悪くなり易い。版離れが悪化した状態のまま無理に両者を引き剥がすと、前記パターン状の孔におけるハンダペーストの被印刷物への抜けが悪くなり、該孔の内壁にハンダペーストが付着して、印刷されたパターン形状が崩れる原因となる。また、ハンダペーストが被印刷物に飛散して、印刷面の汚れや印刷されたパターン形状におけるエッジの滲みの原因ともなる。
【0006】
現在まで、メタルマスクの版離れ改善に関して、種々の改良が為されており、例えば、スルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてホウ酸の代わりにクエン酸塩を添加したメッキ浴組成で、メタルマスクを製造することにより、結晶が微細結晶構造となり、皮膜硬度と表面粗さとヤング率が向上し、しかも環境にもやさしいメタルマスクの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2008−213472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のスルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてホウ酸の代わりにクエン酸塩を添加したメッキ浴組成で、メタルマスクを製造した場合は、メッキ液の使用時間が長くなると、スルファミン酸とニッケル及びクエン酸塩が反応して緑色の反応生成物が発生し易くなる。そして、緑色の反応生成物はアノードバック内に入っているニッケル電極とフィルターに付着する。緑色の反応生成物がニッケル電極に付着すると、通電が悪くなり、安定的にメッキがされないので、1〜2ヶ月に一度程度の割合でニッケル電極を洗浄していた。また、フィルターが目詰まりを起こすと、メッキ液の濾過が進まず、メッキ皮膜の表面にざらつきが発生し、メッキ不良の原因となっていた。また、表面粗さの凹凸の平均間隔Smが大きくなり、目が粗く均一性に欠けるという問題点があった。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるワット浴に添加剤としてクエン酸塩を用いたメッキ浴組成により、メタルマスクを製造することにより、緑色の反応生成物の発生が抑えられ、表面粗さの凹凸の平均間隔Smが小さく、目が細かく均一性のあるメタルマスク及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るメタルマスクの製造方法においては、硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるワット浴に添加剤としてクエン酸塩を用いたメッキ浴組成により、メタルマスクを製造するものである。
【0011】
また、メッキ浴組成として、硫酸ニッケル100〜400g/L、塩化ニッケル30〜60g/L、クエン酸塩15〜40g/Lを含むものである。
【0012】
また、クエン酸塩として、クエン酸3ナトリウムを用いるものである。
【0013】
また、この発明に係るメタルマスクにおいては、硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるワット浴に添加剤としてクエン酸塩を用いたメッキ浴組成により、製造するものである。
【0014】
また、硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるワット浴に添加剤としてクエン酸塩を用いたメッキ浴組成であって、硫酸ニッケル100〜400g/L、塩化ニッケル30〜60g/L、クエン酸塩15〜40g/Lを含むものである。
【0015】
また、クエン酸塩として、クエン酸3ナトリウムを用いるものである。
【0016】
また、メタルマスクの表面粗さの凹凸の平均間隔Smが23μm以下である。
【0017】
また、メタルマスクの結晶の配向性において、(111)面、(200)面及び(220)面のピーク強度の合計に対する(220)面のピーク強度比が0.4以上である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるワット浴に添加剤としてクエン酸塩を用いたメッキ浴組成により、メタルマスクを製造することにより、緑色の反応生成物の発生を抑えることができる。また、表面粗さの凹凸の平均間隔Smが小さく、目が細かく皮膜の表面粗さが均一となる。また、結晶の配向性において、(111)面、(200)面及び(220)面のピーク強度の合計に対する(220)面のピーク強度比が0.40以上となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの皮膜硬度(電流密度1A/dm
2の時)を示す特性図である。
【
図2】この発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの皮膜硬度(電流密度1A/dm
2、2A/dm
2の時)を示す表である。
【
図3】この発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの皮膜硬度(クエン酸3ナトリウム35g/Lの時)を示す特性図である。
【
図4】この発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの皮膜硬度(クエン酸3ナトリウム35g/Lの時)を示す表である。
【
図5】この発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの結晶の配向性のピーク強度比(クエン酸3ナトリウム30g/L、NTS3g/Lの時)を示す特性図である。
【
図6】この発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの結晶の配向性のピーク強度比(クエン酸3ナトリウム30g/L、NTS3g/Lの時)を示す表である。
【
図7】この発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクのメッキ皮膜の表面粗さを示す特性図である。
【
図8】この発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクのメッキ皮膜の表面粗さを示す表である。
【
図9】比較例として従来のスルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてクエン酸塩を添加したメッキ浴組成で作製したメタルマスクのメッキ皮膜の表面粗さを示す特性図である。
【
図10】比較例として従来のスルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてクエン酸塩を添加したメッキ浴組成で作製したメタルマスクのメッキ皮膜の表面粗さを示す表である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施例1.
この発明によるメタルマスクの製造方法は、硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるメッキ浴(ワット浴と呼ばれる)に添加剤としてクエン酸塩を用いたメッキ浴組成により、メタルマスクを製造する点に特徴を有するものである。なお、クエン酸塩としては、クエン酸、クエン酸アンモニュウム、クエン酸3ナトリウム、クエン酸2ナトリウム、クエン酸1ナトリウム、クエン酸1カリウム、クエン酸3カリウム等があり、クエン酸3ナトリウムが好適である。
すなわち、実施例1における実際のメッキ浴組成としては、硫酸ニッケルが100〜400g/Lであり、好ましくは200〜300g/Lである。硫酸ニッケルを100〜400g/Lの範囲とする理由は、100g/L未満であると、金属の析出の電流効率が悪くなるからであり、400g/Lを超えても効果が変わらないためである。また、塩化ニッケルが30〜60g/Lであり、好ましくは40〜50g/Lである。塩化ニッケルを30〜60g/Lの範囲とする理由は、30g/L未満であると、金属の析出の電流効率が悪くなるからであり、60g/Lを超えても効果が変わらないためである。また、クエン酸3ナトリウムが15〜40g/Lであり、好ましくは20〜35g/Lである。クエン酸3ナトリウムを15〜40g/Lの範囲とする理由は、15g/L未満であると、メッキ液のpH変動が大きくなるからであり、40g/Lを超えても効果が変わらないためである。また、NTS(1.3.6−ナフタリントリスルフォン酸ナトリウム)が0.5〜4g/Lである。NTSを0.5〜4g/Lの範囲とする理由は、0.5g/L未満であると、応力を適切な応力に調整できないためであり、4g/Lを超えると圧縮応力が強くなり過ぎるためである。また、ピット防止剤が5cc/Lである。また、メッキ条件としては、電流密度は0.5〜2A/dm
2であり、好ましくは1〜2A/dm
2である。電流密度を0.5〜2A/dm
2の範囲とする理由は、0.5A/dm
2未満であると、被膜が脆くなるからであり、2A/dm
2を超えると板厚の均一性が悪くなるためである。また、pHは、3.99〜4.29である。更に、液温は、35〜55℃である。
【0021】
これにより、硫酸ニッケルと塩化ニッケルからなるメッキ浴(ワット浴)に添加剤としてクエン酸3ナトリウムを用いたメッキ浴組成で、メタルマスクを製造することができる。
図1はこの発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの皮膜硬度(電流密度1A/dm
2の時)をクエン酸3ナトリウムの濃度別に示す特性図、
図2はこの発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの皮膜硬度(電流密度1A/dm
2及び2A/dm
2の時)をクエン酸3ナトリウムの濃度別に示す表である。この特性図及び表によれば、メタルマスクの皮膜硬度H
Vは、電流密度1A/dm
2の時、NTSの添加量(0.5〜4.0g/L)に応じて皮膜硬度H
Vが421〜464の範囲となった。また、電流密度2A/dm
2の時、NTSの添加量(1.5〜4.0g/L)に応じて皮膜硬度H
Vが429〜464の範囲となった。すなわち、皮膜硬度は従来のスルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてクエン酸塩を添加したメッキ浴組成でメタルマスクを製造した場合と比べて遜色がなかった。
図3及び
図4はこの発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの皮膜硬度(クエン酸3ナトリウム35g/Lの時)を示す特性図及び表である。この特性図及び表によれば、メタルマスクの皮膜硬度H
Vは、電流密度1A/dm
2の時、NTSの添加量(1〜4.0g/L)に応じて皮膜硬度H
Vが429〜464の範囲となった。また、電流密度2A/dm
2の時、NTSの添加量(1.5〜4.0g/L)に応じて皮膜硬度H
Vが429〜464の範囲となった。すなわち、皮膜硬度は従来のスルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてクエン酸塩を添加したメッキ浴組成でメタルマスクを製造した場合と比べて遜色がなかった。
図5及び
図6はこの発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクの結晶の配向性のピーク強度比(クエン酸3ナトリウム30g/L、NTS3g/Lの時)を示す特性図及び表である。結晶の配向性において、(111)面、(200)面及び(220)面のピーク強度の合計に対する(111)面、(200)面及び(220)面それぞれのピーク強度比を示している。この特性図及び表によれば、メタルマスクの結晶の配向性において、ピーク強度比は、クエン酸3ナトリウム30g/L、NTS3g/Lの時、電流密度(0.5〜2A/dm
2)に応じて結晶の配向性のピーク強度比が変化する。そして、(220)面のピーク強度比は電流密度が1.0〜2.0A/dm
2では0.4以上である微細結晶構造を持つメタルマスクが得られる。
図7及び
図8はこの発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクのメッキ皮膜の表面粗さ(クエン酸3ナトリウム35g/L、電流密度1A/dm
2の時)を示す特性図及び表である。図中、Ra:算術平均粗さ、Rmax:最大高さ、Rz:十点平均粗さ、Sm:山谷(凹凸)平均間隔をそれぞれ示す。この発明の特性図及び表によれば、表面粗さの算術平均粗さRaは0.29〜0.43(μm)で、その平均が0.36(μm)である。最大高さRmaxは3.34〜4.64(μm)で、その平均が4.12(μm)である。十点平均粗さRzは2.86〜3.86(μm)で、その平均が3.33(μm)である。山谷(凹凸)平均間隔Smは16.7〜23(μm)で、その平均が19.83(μm)であり、全体的に小さな値となっている。
また、
図9及び
図10は比較例として従来のスルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてクエン酸塩を添加したメッキ浴組成で作製したメタルマスクのメッキ皮膜の表面粗さ(クエン酸3ナトリウム25g/L、電流密度2A/dm
2の時)を示す特性図及び表である。図中、Ra:算術平均粗さ、Rmax:最大高さ、Rz:十点平均粗さ、Sm:山谷(凹凸)平均間隔をそれぞれ示す。この比較例の特性図及び表によれば、表面粗さの算術平均粗さRaは0.46〜0.6(μm)で、その平均が0.54(μm)である。最大高さRmaxは6.18〜7.4(μm)で、その平均が6.63(μm)である。十点平均粗さRzは4.18〜5.46(μm)で、その平均が4.82(μm)である。山谷(凹凸)平均間隔Smは22.2〜28.9(μm)で、その平均が26.63(μm)であり、全体的に大きな値となっている。そして、山谷(凹凸)平均間隔Smが大きくなるので、目が粗く、皮膜の表面粗さが均一性に欠けるものである。
すなわち、この発明の実施例1におけるメタルマスクの製造方法により作製したメタルマスクのメッキ皮膜の表面粗さの算術平均粗さRa、最大高さRmax、十点平均粗さRzは、従来のスルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてクエン酸塩を添加したメッキ浴組成でメタルマスクを製造した場合と比べて若干改善され、小さな値となっているが、それ程の大きな開きはないと言える。しかし、表面粗さの山谷(凹凸)平均間隔Smは、従来のスルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてクエン酸塩を添加したメッキ浴組成でメタルマスクを製造した場合と比べて大幅に改善され、かなり小さな値となっているので、目が細かく皮膜の表面粗さが均一になるという利点がある。
【0022】
以上のように、硫酸ニッケルと塩化ニッケルのメッキ浴に添加剤としてクエン酸塩、特にクエン酸3ナトリウムを用いたメッキ浴組成により、メタルマスクを作成すると、次のような利点がある。
メッキ液の使用時間が長くなっても、緑色の反応生成物の発生を抑えることができる。従来は緑色の反応生成物がアノードバック内のニッケル電極に付着すると、通電が悪くなり、安定的にメッキがされないので、1〜2ヶ月に一度程度の割合でニッケル電極を洗浄していたが、数か月間の長期に亘って洗浄しなくても済むことが判った。また、長期に亘りフィルターが目詰まりを起こすことがない。また、表面粗さの凹凸の平均間隔Smが約15〜23(μm)と小さく、目が細かく皮膜の表面粗さが均一となる。また、結晶の配向性において、(111)面、(200)面及び(220)面のピーク強度の合計に対する(220)面のピーク強度比が0.40以上となる。また、皮膜強度は従来のスルファミン酸ニッケル浴に添加剤としてクエン酸塩を添加したメッキ浴組成でメタルマスクを製造した場合と比べて遜色がなかった。