(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、撮像装置などに搭載されるイメージセンサとしてはCMOSイメージセンサ(以下、CMOSと略称する)が主流となっている。
【0003】
CMOSは、その構造上、全ての画素を同時に露光させ、その結果得られる画素信号を同時に読み出すことができない。そこで、画素をライン単位で順次走査して露光と画素信号の読み出す、いわゆるローリングシャッタを行うようになっている。ただし、全ての画素の露光タイミングを一致させることができる、いわゆるグローバルシャッタ機能を備えるCMOSも存在する。
【0004】
図1は、CMOSによるローリングシャッタを説明するための図であり、動画像を構成する連続した0枚目のフレームf0、1枚目のフレームf1、2枚目のフレームf2、・・・を示している。各フレームは、0乃至h−1ライン分の画素で構成される。
【0005】
上述したように、ローリングシャッタでは、ライン単位で露光、読み出しが行われる。例えば、撮像される動画像のフレームレートが30fpsである場合、上下に隣接するラインの読み出しタイミングの時間差は、1/(30×h)秒となる。1/(30×h)秒は微少な時間ではあるが、累積されると無視できないものとなり、例えば、同一フレームのある程度離れた2本のラインに着目すると、これら2本のラインの読み出しタイミングは、同時刻とは言い難く、この時間差によりフレームに歪みが生じる。
【0006】
次に、ローリングシャッタに起因してフレームに生じる歪について説明する。
【0007】
図2は、動画撮像の被写体とする風景(家、ビルなどの建物)を示している。この被写体を、例えば、エンジンがかけられた状態で停車している自動車に固定されたビデオカメラにより、破線で囲まれた撮像範囲を動画像として撮像する場合を想定する。ただし、該ビデオカメラは、エンジンの振動により、左右に微小振動しているものとする。
【0008】
図3は、微小振動がある停車状態で撮像された動画像の1フレームを示している。同図に示されるように、動画像のフレームには、ビデオカメラの微小振動に起因する微小な左右振れ(以下、歪高周波成分と称する)が生じてしまうので、このままでは鑑賞には堪えられないものとなる。
【0009】
そこで、従来、このような歪高周波成分を補正する方法が確立されている。具体的には、時間的に近い2枚のフレーム(例えば、時間的に隣り合うn−1枚目のフレームとn枚目のフレーム)間で被写体の同一部位が写っている位置を特定する画素マッチング処理が行われ、2枚のフレーム間で各画素の対応関係が求められて、この対応関係に基づいてフレームに生じた歪高周波成分が補正される。
【0010】
図4は、
図3に示された歪高周波成分が生じているフレームに対して歪補正を行った結果を示している。2枚のフレーム間で各画素の対応関係を正確に求めることができれば、同図に示されるように、歪高周波成分を補正することができる。ただし、
図3に示された歪補正前と、
図4に示された歪補正後でフレームとで画角を比較して明らかなように、歪補正後のフレームは、画角が狭められてしまうことになる。
【0011】
次に、上述したように自動車に固定されているビデオカメラで、自動車の走行中に進行方向に対して垂直な方向(真横方向)を撮影した場合を考える。
【0012】
図5は、走行しながら動画像を撮像した場合の撮像範囲の移動を示している。すなわち、自動車が図面上右方向に走行した場合、該ビデオカメラによる撮像範囲も、破線で示されるように、図面上の右方向に移動される。
【0013】
図6は、走行中で撮像された動画像の1フレームを示している。同図に示されるように、動画像のフレームには、
図3の場合と同様、歪高周波成分が生じており、さらに、本来は直立していた家やビルが斜めに傾いて写ってしまう歪(以下、以下、歪低周波成分)が生じている。これは、同一のフレームにおける0ライン目が撮像されたタイミングと、mライン目(mは1からh−1までの整数)が撮像されたタイミングが同時ではなく、差があるためである。
【0014】
図6に示されたような歪高周波成分と歪低周波成分がフレームに生じている動画像についても、このままでは鑑賞に堪えられないものである。よって、従来、これらの歪補正についても様々方法が存在する。具体的には、上述した歪高周波成分の補正と同様、時間的に近い2枚のフレーム間で画素マッチング処理が行われ、2枚のフレーム間の各画素の対応関係に基づき、フレームに生じた歪み(歪高周波成分と歪低周波成分からなるもの)が一括して補正される。
【0015】
図7は、
図6に示された歪高周波成分と歪低周波成分が生じているフレームに対して歪補正を行った結果を示している。2枚のフレーム間で各画素の対応関係を正確に求めることができれば、同図に示されるように、歪高周波成分と歪低周波成分についても一括して補正することができる。
【0016】
ただし、走行中に撮像された動画像のフレームは、
図5に示されたように撮像範囲が変化するので、歪高周波成分と歪低周波成分を補正した後のフレームは、
図4に示された歪高周波成分を補正した後のフレームよりもさらに画角が狭められたものとなる。
【0017】
ところで、
図3に示された、停止状態で撮像された動画像の画素マッチング処理は、各フレームの撮像範囲が微小振動分しか変化していないので、探索範囲を狭くすることができる。よって、2枚のフレーム間における対応位置を比較的容易に正確に検出することができる。
【0018】
一方、
図6に示された、走行中に撮像された動画像の画素マッチング処理は、各フレームの撮像範囲が異なるので、探索範囲を広げる必要がある。これは演算量が増えることに加えて、2枚のフレーム間における対応位置が誤検出されてしまう可能性も増すことになる。2枚のフレーム間における対応位置が誤検出され、これに基づいて歪補正が行われると、補正前の状態よりもさらに鑑賞に堪えがたい動画像になってしまう不具合も起こり得る。
【0019】
そこで従来、そのような不具合を抑止する方法として、画素マッチング処理の精度が良い場合にだけ歪補正を行い、悪い場合は補正を行わなかったり、走行中に撮像されるなどした、連続するフレームに同一方向への動きがある場合には、歪み調整値を小さくしたりすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本開示を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、その前に、本開示の概要について説明する。
【0036】
<本開示の概要>
本実施の形態において、歪低周波成分とは、動画像のフレームに生じる歪のうち、動画像のフレームレートよりも低域の成分を指し、歪高周波成分とは、動画像のフレームレートよりも高域の成分を指すものとする。
【0037】
一般に、人間の視覚特性は、停止した状態で撮像された、撮影範囲が変化しない動画像を鑑賞した場合、画像内の細部の変化を認識することができ、移動中に撮像された、撮影範囲が変化する動画像を鑑賞した場合、画像内の大まかな変化は認識できるものの、細部の変化は認識できないことが知られている。
【0038】
具体的には、例えば、
図3に示されたようなフレームからなる動画像を鑑賞した場合、生じている歪高周波成分は認識できる。したがって、このままでは鑑賞に堪えがたいので、歪高周波成分を補正することが望ましい。
【0039】
一方、
図6に示されたようなフレームからなる動画像を鑑賞した場合、生じている歪低周波成分(本来は直立している被写体の傾き))は認識できるものの、歪高周波成分は認識できない。したがって、この場合、歪低周波成分だけを補正すれば、鑑賞に堪え得るものとなる。
【0040】
そこで、本実施の形態である画像処理装置では、歪低周波成分が大きい場合には、歪低周波成分のみを補正し、歪高周波成分をあまり補正しないようにする。また、歪低周波成分が小さい場合には、歪低周波成分と歪高周波成分を補正するようにする。
【0041】
図8は、
図6に示された、走行中に動画撮像された歪高周波成分と歪低周波成分が生じているフレームを、本実施の形態である画像処理装置により歪補正した結果を示している。
【0042】
同図に示されるように、本開示の実施の形態である画像処理装置により、歪補正した場合、フレームに歪高周波成分が残ることもあるが、動画像として鑑賞するには差し支えないものとなる。
【0043】
<本実施の形態である画像処理装置の構成例>
図9は、本実施の形態である画像処理装置の構成例を示している。
【0044】
この画像処理装置10は、画像データ保持部11、画素マッチング部12、積分部13、重み計算部14、位置変換データ保持部15、変換累積部16、変形量制御部17、および変形部18から構成される。
【0045】
画像処理装置10には、動画像を構成するフレームが順次入力され、画像データ保持部11、画素マッチング部12、および変形部18に入力される。これらに同時に入力されるフレームをf枚目のフレームとする。
【0046】
画像データ保持部11は、画像処理装置10に順次入力される動画像のフレームを1フレーム周期分だけ遅延して後段の画素マッチング部12に出力する。
【0047】
画素マッチング部12は、同時に入力されるf−1枚目のフレームと、f枚目のフレームと、時間的に隣接する2枚のフレームを処理対象として画素マッチング処理を行い、f−1枚目のフレームの各画素に対応するf枚目のフレームの画素の位置を特定する。
【0048】
ここで、f−1枚目のフレームの各画素の座標を(x
p,y
p)とし、それに対応するf枚目のフレームの画素の座標を(x
c,y
c)とした場合、f−1枚目のフレームの各画素に対応するf枚目のフレームの画素の位置関係は、次式(1)に示されるように、関数Gとして示すことができる。換言すれば、関数Gは、座標(x
p,y
p)を、座標を(x
c,y
c)に投影するものといえる。
【0050】
なお、画素マッチング処理によって関数Gを求める方法については、例えば、”B. K. P. Horn and B. G. Schunck, “Determining optical flow”, AI Memo 572, Massachusetts Institute of Technology, 1980”に記載の方法を適用すればよい。なお、この他の既存の任意の方法を適用することもできる。
【0051】
画素マッチング部12は、求めた関数G(
図9においては、Previous To Currentと記述する)を積分部13、および変換累積部16に出力する。
【0052】
積分部13は、f−1枚目のフレームの各画素に対応するf枚目のフレームの画素の位置関係を示す関数Gに基づき、次式(2)を用いて、f−1枚目のフレームからf枚目のフレームへの移動量の平均値(x
gmv,y
gmv)を算出する。式(2)において、NumOfPixelsは、フレーム内の画素の総数を意味する。
【0054】
以下、f−1枚目のフレームからf枚目のフレームへの移動量の平均値(x
gmv,y
gmv)を大局的動きベクトル(Global Motion Vector)とも称する。
【0055】
ところで、画素マッチング部12から出力される関数Gについては不正確である可能性が残っているが、積分部13にて積分していることにより、ランダムノイズ(関数Gの不正確さ)は除去できているので、結果として、大局的動きベクトルは正確であるといえる。
【0056】
積分部13は、算出した大局的動きベクトルを重み計算部14、および変形部18に出力する。
【0057】
重み計算部14は、入力される大局的動きベクト
ルに基づいて、フレーム内に生じている細部の揺らぎ(歪高周波成分)の補正量を決定付ける重み係数Wを決定する。
【0058】
図10は、大局的動きベクト
ルと重み係数との関係を示している。なお、同図の横軸は大局的動きベクト
ルの大きさ、縦軸は重み係数の値であり、横軸の大局的動きベクト
ルにおける閾値TH1およびTH2、並びに、縦軸の重み係数における最大値Wmaxおよび最小値Wminは予め設定されている値であって、例えば、TH1=20画素、TH2=60画素、Wmax=0.7、Wmin=0.1とする。
【0059】
この場合、大局的動きベクトルの大きさが、画素換算で20以下であれば、フレームに生じている歪高周波成分を70%補正することになる。また、大局的動きベクトルの大きさが、画素換算で60以上であれば、フレームに生じている歪高周波成分を10%しか補正しないことになる。
【0060】
図9に戻る。位置変換データ保持部15は、変形量制御部17から入力される関数Fnを1フレーム周期分だけ遅延させて、関数Fpとして変換累積部16に出力する。ただし、現在着目するf枚目のフレームが0枚目である場合、関数Fpは存在しないので、その代わりに、初期設定である、恒等変換Iを出力する。
【0061】
変換累積部16は、次式(3)に従い、画素マッチング部12から入力される関数Gと、位置変換データ保持部15から入力される関数Fpを乗算して関数Fcを算出して変換量制御部17に出力する。
【0063】
ここで、関数Gはf−1枚目のフレームの各画素に対応するf枚目のフレームの画素の位置関係を示し、関数Fpは、現在着目しているf枚目のフレームよりも以前に存在する基準フレームの各画素に対応するf−1枚目のフレームの画素の位置関係を示すものである。
【0064】
よって、関数Fcは、基準フレームの各画素に対するf枚目のフレームの画素の位置関係を示すものとなり、f枚目のフレームに生じている細部の揺らぎを完全に補正する場合の位置関係を表していることになる。
【0065】
変形量制御部17は、変換累積部16から入力される関数Fcと、重み計算部14から入力される重み係数Wに基づき、次式(4)に従って関数Fnを演算し、位置変換データ保持部15および変形部18に出力する。ただし、式(4)におけるIは恒等変換を表す。
【0067】
式(4)から明らかなように、重み係数Wの値が大きい場合、関数Fnは、ほぼ関数Fcに近いものとなる。この場合、後段の変形部18において、f枚目のフレームに生じている細部の揺らぎが完全に補正される。重み係数Wが小さい場合、関数Fn、ほぼ恒等変換Iとなる、この場合、後段の変形部18において、ほとんど変形(歪補正)は行われない。
【0068】
変形部18は、f枚目のフレームを処理対象とし、変形量制御部17から入力される関数Fnに基づいて、f枚目のフレームに生じている細部の揺らぎ(歪高周波成分)を補正する。また、変形部18は、積分部13から入力される大局的動きベクトルに基づいて、f枚目のフレームに生じている特定の方向への被写体の傾き(歪低周波成分)を補正する。
【0069】
具体的に説明する。関数Fnに基づく歪高周波成分の補正は、f枚目のフレームの関数Fn(x
b,y
b)が示す座標に位置する画素の画素値を、座標(x
b,y
b)に書き込めばよい。
【0070】
大局的動きベクトルに基づく歪低周波成分の補正は、関数H(x
i,y
i)が示す座標に位置する画素の画素値を、座標(x
i,y
i)に書き込めばよい。ここで、関数Hは、次式(5)に示すとおりである。
【0072】
変形部18による歪高周波成分と歪低周波成分の補正は、次式(6)のようにまとめることができる。
【0074】
すなわち、変形部18は、f枚目のフレームの座標(x
o,y
o)に位置する画素の画素値を、座標(x
b,y
b)に書き込む処理を行う。このようにして、すべての座標(x
b,y
b)に画素値を書き込んだフレームを作成することにより、f枚目のフレームを補正することができる。
【0075】
ここで、大局的動きベクトルに基づく歪低周波成分の補正に用いる関数Hについて説明する。
【0076】
図11は、ビデオカメラが図面左側から右側に横方向に移動しながら、静止している直線棒状の被写体を動画像で撮像した場合のf−1枚目のフレームと、f枚目のフレームを示している。なお、静止している被写体51は直立しているものとする。
【0077】
この場合、f−1枚目のフレームには、本来直立している被写体51が、投影像52として斜めに傾いて投影される。同様に、f枚目のフレームにも、本来直立している被写体51が、投影像53として斜めに傾いて投影される。
【0078】
この2枚のフレームから大局的動きベクトル(x
gmv,y
gmv)を求めると、x
gmv<0,y
gmv=0となる。x
gmvの大きさは、投影像52(または投影像53)の0ライン目からh−1ライン目までのx方向のずれ量に相当する。したがって、同図に示されるf枚目のフレームを、補正後のf枚目のフレームになるように変形する補正が関数Hとなる。
【0079】
次に、
図12は、ビデオカメラが図面上側から下側に縦方向に移動しながら、静止している直線棒状の被写体を動画像で撮像した場合のf−1枚目のフレームと、f枚目のフレームを示している。なお、静止している被写体61は直立しているものとする。
【0080】
この場合、f−1枚目やf枚目のフレームには、直線棒状の被写体61が、本来の長さよりも短い投影像62または63として投影される。
【0081】
この2枚のフレームから大局的動きベクトル(x
gmv,y
gmv)を求めると、x
gmv=0,y
gmv<0となる。y
gmvの大きさは、同図に示したように、投影像62と投影像63のy方向のずれ量である。従って、f枚目のフレームにおける(h+y
gmv)の長さの投影像63を、理想的に歪のないフレームにおける被写体64に変形(拡大または縮小)する補正が関数Hとなる。
【0082】
<画像処理装置10の動作>
次に、画像処理装置10による歪補正処理について説明する。
図13は、画像処理装置10による歪補正処理を説明するフローチャートである。
【0083】
歪補正処理の前提として、後述するステップS3以降において、画像処理装置10に対して、動画像を構成するフレームが所定のフレームレートで順次入力されるものとする。
【0084】
ステップS1においては、画像処理装置10に対して入力される、処理対象とするフレームの番号を表すパラメータfが0にリセットされる。ステップS2においては、位置変換データ保持部15が、現状において変形量制御部17から関数Fnが入力されていないので、変換累積部16に対して出力する位置変換データ(関数Fp)の初期設定を恒等変換Iとする。
【0085】
ステップS3においては、f枚目(いまの場合、0枚目)のフレームが画像データ保持部11に入力される。画像データ保持部11は、このf枚目のフレームを1フレーム周期だけ保持し、次のフレームが画像処理装置10に入力されたタイミングで、次のフレームとともに画素マッチング部12に出力することになる。
【0086】
ステップS4においては、f枚目の次(すなわち、f+1枚目)のフレームが存在するか否かが判定され、存在する場合には処理はステップS5に進められる。なお、存在しない場合、該歪補正処理は終了される。
【0087】
ステップS5においては、パラメータfが1だけインクリメントされる。ステップS6においては、f枚目(いまの場合、1枚目)のフレームが画像処理装置10(の画像データ保持部11、画素マッチング部12、および変形部18)に入力される。これにより、現在のf枚目のフレームと、f−1枚目のフレームが画素マッチング部12に入力され、2枚のフレーム間で画素マッチング処理が行われる。そして、画素マッチング処理の結果として得られる関数Gが積分部13および変換累積部16に入力される。
【0088】
変換累積部16は、ステップS7として、画素マッチング部12からの関数Gと、位置変換データ保持部15が保持している関数Fp(ただし、処理対象が1枚のフレームである場合には関数Fpは恒等変換Iである)を式(3)に従って乗算し、その結果得られる関数Fcを変換量制御部17に出力する。
【0089】
一方、積分部13は、ステップS8として、関数Gに基づき、式(2)に従って大局的動きベクトルを算出して重み計算部14、および変形部18に出力する。重み計算部14は、ステップS9として、大局的動きベクト
ルに基づき、重み係数Wを決定する。
【0090】
なお、ステップS7の処理と、ステップS8およびS9の処理とは、実際には平行して実行される。
【0091】
ステップS10においては、変形量制御部17が、変換累積部16からの関数Fcと、重み計算部14からの重み係数Wに基づき、式(4)に従って関数Fnを演算することにより、1枚フレーム前に対して求めた関数Fnを更新して、位置変換データ保持部15および変形部18に出力する。
【0092】
ステップS11においては、変形部18が、変形量制御部17からの関数Fnに基づいて、f枚目のフレームに生じている細部の揺らぎ(歪高周波成分)を補正し、また、積分部13からの大局的動きベクトルに基づく関数Hに従い、f枚目のフレームに生じている特定の方向への被写体の傾き(歪低周波成分)を補正する。
【0093】
以上の処理により、処理対象であるf枚目のフレームに生じている歪みが補正されたことになる。この後、処理はステップS4に戻されて、ステップS4乃至S11の処理が繰り返され、画像処理装置10に対する動画像のフレームの入力がなくなったときに歪補正処理は終了される。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態である画像処理装置10によれば、CMOSのローリングシャッタに起因する歪みを歪高周波成分と歪低周波成分に分類し、歪低周波数成分の大きさ(大局的動きベクトルの大きさ)に応じて、歪高周波数成分の補正の程度を調整するので、該動画像が鑑賞される場合に目立つ歪みを補正することができる。
【0095】
なお、本実施の形態である画像処理装置10は、画像を補正する画像処理装置に適用できる他、例えば、デジタルビデオカメラなどのCMOSが搭載された電子装置に適用できる。
【0096】
ところで、上述した画像処理装置10の一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0097】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0098】
このコンピュータ100において、CPU101,ROM102,RAM103は、バス104により相互に接続されている。
【0099】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、入力部106、出力部107、記憶部108、通信部109、およびドライブ110が接続されている。
【0100】
入力部106は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部107は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部108は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部109は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ110は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動する。
【0101】
以上のように構成されるコンピュータ100では、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105およびバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0102】
コンピュータ100(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア111に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0103】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。
【0104】
本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0105】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
動画像を構成するフレームに生じた歪みを補正する画像処理装置において、
前記フレームの歪みの高周波成分である歪高周波成分を検出する第1の検出部と、
前記フレームの歪みの低周波成分である歪低周波成分を検出する第2の検出部と、
前記歪高周波成分の補正量を決定する補正量決定部と、
検出された前記歪低周波成分に基づき、前記フレームに生じた前記歪低周波成分を補正するとともに、決定された前記補正量に従い、前記フレームに生じた前記歪高周波成分を補正する補正部と
を備える画像処理装置。
(2)
前記補正量決定部は、検出された前記歪低周波成分の大きさに基づき、前記歪高周波成分の補正量を決定する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記第1の検出部は、前記歪高周波成分として、時間的に前後する2枚のフレーム間の画素マッチング処理により、前記2枚のフレームの対応する画素の位置関係を検出し、
前記第2の検出部は、前記歪低周波成分として、前記2枚のフレームの対応する画素の位置関係の平均値を検出する
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記補正量決定部は、検出された前記歪低周波成分の大きさの増加に対して、前記歪高周波成分の補正量を単調減少させる
前記(1)から(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)
検出された前記歪低周波成分の大きさに基づいて重み係数を決定する重み決定部をさらに備え、
前記補正量決定部は、決定された前記重み係数に基づき、前記歪高周波成分の補正量を決定する
前記(1)から(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)
1枚前のフレームに対する前記歪高周波成分の前記補正量と、検出された前記歪高周波成分とを乗算する乗算部をさらに備え、
前記補正量決定部は、さらに、1枚前のフレームに対する前記歪高周波成分の前記補正量と検出された前記歪高周波成分との乗算結果に基づき、前記歪高周波成分の補正量を決定する
前記(1)から(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)
動画像を構成するフレームに生じた歪みを補正するための画像処理装置の画像処理方法において、
前記画像処理装置による、
前記フレームの歪みの高周波成分である歪高周波成分を検出する第1の検出ステップと、
前記フレームの歪みの低周波成分である歪低周波成分を検出する第2の検出ステップと、
前記歪高周波成分の補正量を決定する補正量決定ステップと、
検出された前記歪低周波成分に基づき、前記フレームに生じた前記歪低周波成分を補正するとともに、決定された前記補正量に従い、前記フレームに生じた前記歪高周波成分を補正する補正ステップと
を含む画像処理方法。
(8)
動画像を構成するフレームに生じた歪みを補正するためのコンピュータを、
前記フレームの歪みの高周波成分である歪高周波成分を検出する第1の検出部と、
前記フレームの歪みの低周波成分である歪低周波成分を検出する第2の検出部と、
前記歪高周波成分の補正量を決定する補正量決定部と、
検出された前記歪低周波成分に基づき、前記フレームに生じた前記歪低周波成分を補正するとともに、決定された前記補正量に従い、前記フレームに生じた前記歪高周波成分を補正する補正部と
して機能させるプログラム。