(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電動モータ(31)を駆動源とする駆動部(30)と、その駆動部(30)の前記電動モータ(31)のロータ軸(34a)の回転を減速して出力する歯車減速機構部(40)と、その歯車減速機構部(40)からの出力によって回転される回転軸(72)を有し、その回転軸(72)の回転運動をスライド部材(73)の直線運動に変換して、そのスライド部材(73)により被駆動部材を直線駆動する直動機構部(70)とを備えてなる電動式直動アクチュエータにおいて、
前記歯車減速機構部(40)を前記直動機構部(70)のハウジング(71)に接続可能なギヤケース(48)内に収容してサブユニット化し、前記駆動部(30)および前記直動機構部(70)に対して着脱自在に取り付けたことを特徴とする電動式直動アクチュエータ。
前記ギヤケース(48)が、前記ハウジング(71)に接続可能なベース板(49)と、連結手段(53)によりベース板(49)に連結されてベース板(49)の片面を覆うカバー(50)とからなる請求項1又は2に記載の電動式直動アクチュエータ。
前記連結手段(53)が、前記ベース板(49)の片面に形成された嵌合凹部(54)に対する前記カバー(50)の周壁(51)端部の圧入による請求項3に記載の電動式直動アクチュエータ。
前記連結手段(53)が、前記カバー(50)の周壁(51)端部に設けられた複数の弾性変形可能な爪部(101)の前記ベース板(49)に形成された係合孔(102)へのスナップフィットの係合による請求項3に記載の電動式直動アクチュエータ。
前記歯車減速機構部(40)における入力ギヤ(42)および出力ギヤ(43)のそれぞれを軸方向の両端部を支持する両持ち支持とした請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電動式直動アクチュエータ。
前記歯車減速機構部(40)における前記ギヤケース(48)とそのギヤケース(48)内に組み込まれた複数のギヤ(42、43、44、45)の少なくとも一方を自己潤滑性を有する樹脂または焼結材からなるものとした請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電動式直動アクチュエータ。
電動式直動アクチュエータ(20)によりブレーキパッド(14)を直線駆動し、そのブレーキパッド(14)でディスクロータ(10)を押圧して、そのディスクロータ(10)に制動力を付与するようにした電動式ブレーキ装置において、
前記電動式直動アクチュエータ(20)が請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電動式直動アクチュエータからなり、その電動式直動アクチュエータ(20)におけるスライド部材(73)にブレーキパッド(14)を接続したことを特徴とする電動式ブレーキ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載された電動式直動アクチュエータにおいては、組立て順序に制約があって直動機構部の組立て後、歯車減速機構部の組付けを行う必要があり、組立てに非常に手間がかかり、その組立ての容易化を図る上において改善すべき点が残されている。
【0006】
また、直動機構部と歯車減速機構部のいずれか一方が破損した場合、直動機構部と歯車減速機構部の両方を分解する必要があるため、補修にも手間がかかり、その補修の容易化を図る上においても改善すべき点が残されている。
【0007】
この発明の課題は、上記電動式直動アクチュエータの組立ておよび補修等のメンテナンスの容易化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明に係る電動式直動アクチュエータにおいては、電動モータを駆動源とする駆動部と、その駆動部の前記電動モータのロータ軸の回転を減速して出力する歯車減速機構部と、その歯車減速機構部からの出力によって回転される回転軸を有し、その回転軸の回転運動をスライド部材の直線運動に変換して、そのスライド部材により被駆動部材を直線駆動する直動機構部とを備えてなる電動式直動アクチュエータにおいて、前記歯車減速機構部を前記直動機構部のハウジングに接続可能なギヤケース内に収容してサブユニット化した構成を採用したのである。
【0009】
また、この発明に係る電動式ブレーキ装置においては、電動式直動アクチュエータによりブレーキパッドを直線駆動し、そのブレーキパッドでディスクロータを押圧して、そのディスクロータに制動力を付与するようにした電動式ブレーキ装置において、前記電動式直動アクチュエータがこの発明に係る上記電動式直動アクチュエータからなり、その電動式直動アクチュエータにおけるスライド部材によりブレーキパッドを直線駆動させる構成を採用したのである。
【0010】
この発明に係る電動式直動アクチュエータのように、歯車減速機構部をサブユニット化して直動機構部および駆動部と別体とすることにより、歯車減速機構部、直動機構部および駆動部のそれぞれを別工程で組み立てることができる。そして、歯車減速機構部、直動機構部および駆動部の各部の組立て後、各部を互いに接続することで電動式直動アクチュエータの組立てとすることができ、電動式直動アクチュエータを容易に組立てることができる。
【0011】
また、歯車減速機構部をサブユニット化することで、歯車減速機構部と直動機構部のいずれか一方が破損した場合の補修に際しては、歯車減速機構部および直動機構部の両方を分解する必要がなく、補修等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0012】
ここで、駆動部および前記直動機構部をサブユニット化しておくことによって、電動式直動アクチュエータをより容易に組立てることができる。
【0013】
この発明に係る電動式直動アクチュエータにおいて、ギヤケースとして、ハウジングに接続可能なベース板と、連結手段によりベース板に連結されてベース板の片面を覆うカバーとからなるものを採用することができる。
【0014】
上記ギヤケースにおける連結手段として、ベース板の片面に形成された嵌合凹部にカバーの周壁端部を圧入する構成のものや、カバーの周壁端部に設けられた複数の弾性変形可能な爪部をベース板に形成された係合孔にスナップフィットさせる構成のものを採用することができる。
【0015】
ここで、歯車減速機構部における入力ギヤおよび出力ギヤのそれぞれを軸方向の両端部を支持する両持ち支持とすると、片持ち支持する場合に比較して安定した支持状態を得ることができ、入力ギヤおよび出力ギヤを精度よく回転させることができる。
【0016】
また、歯車減速機構部におけるギヤケースと、そのギヤケース内に組み込まれた歯車減速機の複数のギヤの少なくとも一方を自己潤滑性を有する樹脂または焼結材からなるものとすると、軸受を不要とすることができ、コストの低減と組立ての容易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る電動式直動アクチュエータにおいては、上記のように、歯車減速機構部をサブユニット化したことにより、その電動式直動アクチュエータを歯車減速機構部、直動機構部および駆動部のそれぞれに区分けして別工程で組み立てることができ、その組立て後、各部を互いに接続することで電動式直動アクチュエータの組立てとすることができるので、電動式直動アクチュエータを容易に組立てることができる。
【0018】
また、歯車減速機構部と直動機構部のいずれか一方が破損した場合の補修に際し、歯車減速機構部および直動機構部の両方を分解する必要がないため、補修等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1および
図2に示すように、電動式ブレーキ装置は、図示省略した車輪と一体に回転するディスクロータ10の外周囲にキャリパ11を設け、そのキャリパ11の一端部にディスクロータ10のアウタ側面の外周部と軸方向で対向する爪部12を設け、その爪部12でアウタ側ブレーキパッド13を支持している。
【0021】
また、ディスクロータ10のインナ側面の外周部にインナ側ブレーキパッド14を対向配置し、そのインナ側ブレーキパッド14をキャリパ11の他側部に設けられた電動式直動アクチュエータ20によりディスクロータ10に向けて移動させるようにしている。
【0022】
ディスクロータ10のインナ側面の外周部にはマウント17が設けられている。マウント17は図示省略したナックルに支持されて固定の配置とされ、
図2に示すように、その両側部に設けられた対向一対のピン支持片18の端部それぞれにディスクロータ10に対して直交方向に延びるスライドピン19が設けられ、そのスライドピン19のそれぞれによってキャリパ11がスライド自在に支持されている。
【0023】
また、マウント17は、図では詳細に示されていないが、アウタ側ブレーキパッド13およびインナ側ブレーキパッド14のそれぞれを回転不能(回り止め)とする状態でディスクロータ10に向けて移動可能に支持している。
【0024】
図3に示すように、電動式直動アクチュエータ20は、駆動部30と、歯車減速機構部40と、直動機構部70とからなる。ここで、
図4(a)、(b)は歯車減速機構部40を示し、
図5(a)、(b)は駆動部30を示す。さらに、
図6(a)、(b)は直動機構部70を示し、駆動部30、歯車減速機構部40および直動機構部70の各部はサブユニット化されて単品構造とされている。
【0025】
図3および
図5に示すように、駆動部30は、電動モータ31を駆動源としている。電動モータ31は、モータケース32と、そのモータケース32内に組み込まれた固定配置のステータ33と、そのステータ33内に組み込まれた回転可能なロータ34とからなり、上記ステータ33のコイル33aに対する通電によってロータ34を回転させるようにしている。
【0026】
ここで、ロータ34はロータ軸34aを有し、そのロータ軸34aがモータケース32の対向一対の端板のそれぞれに軸受35を介して回転自在に支持され、そのロータ軸34aの一方の軸端部がモータケース32の端板を貫通して外部に臨んでいる。駆動部30は、このようにモータケース32に収納・密封されたサブユニット化されている。
【0027】
図3および
図4に示すように、歯車減速機構部40は、電動モータ31のロータ軸34aに取付けられた入力ギヤ42の回転を一次減速ギヤ列G
1および二次減速ギヤ列G
2により順次減速して出力ギヤ43を減速回転させる歯車減速機41からなり、一次減速ギヤ列G
1の出力側アイドルギヤ44および二次減速ギヤ列G
2の入力側アイドルギヤ45は一体化され、上記入力側アイドルギヤ45の内側に組み込まれた複列配置の軸受46を介してギヤ軸47を中心に回転自在に支持されている。
【0028】
図4に示すように、歯車減速機構部40は、ギヤケース48内に歯車減速機41を収容することによってサブユニット化されている。ギヤケース48は、ベース板49と、そのベース板49の片面全体を覆うカバー50からなる。カバー50は、周壁51を外周に有し、その周壁51の開口端部の外周にフランジ52が設けられている。
【0029】
カバー50は、連結手段53によりベース板49に連結されて、フランジ52がベース板49に衝合する連結状態とされる。連結手段53として、ここでは、ベース板49の片面に嵌合凹部54を設け、その嵌合凹部54にカバー50の外周に設けられた周壁51の端部を圧入固定している。
【0030】
図3および
図4に示すように、ギヤ減速機41のギヤケース48内への収容に際し、入力ギヤ42については、その軸方向の両端部をベース板49およびカバー50のそれぞれに軸受55を介して回転自在に支持している。入力ギヤ42はスプライン56による嵌合によってロータ軸34aの軸端部に着脱自在に取り付けられる。なお、嵌合方法はこれに限定されない。
【0031】
また、一次減速ギヤ列G
1および二次減速ギヤ列G
2におけるアイドルギヤ44、45については、そのアイドルギヤ44、45を支持するギヤ軸47の両端部をベース板49およびカバー50のそれぞれで支持している。
【0032】
さらに、出力ギヤ43については、その軸方向の両端部をベース板49およびカバー50のそれぞれに軸受57を介して回転自在に支持している。その出力ギヤ43はスプライン58による嵌合によって後述する直動機構部70の回転軸72の軸端部に着脱自在に接続される。なお、嵌合方法はこれに限定されない。
【0033】
サブユニット化された歯車減速機構部40は、
図3に示すように、フランジ52およびベース板49を貫通して電動モータ31のモータケース32にねじ込まれるボルト59の締め付けによりサブユニット化された駆動部30に連結される。その連結に際し、電動モータ31におけるモータケース32の端板に円形突出部60を設け(
図5参照)、その突出部60をベース板49の背面に形成された嵌合孔61に嵌合している。
【0034】
また、歯車減速機構部40は、フランジ52およびベース板49を貫通して直動機構部70のハウジング71に設けられたフランジ71aにねじ込まれるボルト62の締め付けによって直動機構部70に連結される。その連結に際し、ハウジング71のインナ側の端部をベース板49の背面に形成された嵌合孔63に嵌合している。
【0035】
図3、
図6および
図7に示すように、直動機構部70は、歯車減速機構部40の出力ギヤ43が軸端部にスプライン嵌合されて、その出力ギヤ43からの出力によって回転される回転軸72の回転運動を回転・運動変換機構80を介してハウジング71の内径面に沿ってスライド自在に支持されたスライド部材として外輪部材73の直線運動に変換し、その外輪部材73により被駆動部材としてのインナ側ブレーキパッド14を直線駆動する(
図1参照)。
【0036】
ここで、ハウジング71はキャリパ11に設けられており、その内側には軸支持部材74が組み込まれている。軸支持部材74は円盤状をなし、その中央部にはボス部74aが設けられている。軸支持部材74は、ハウジング71のインナ側端部の内周に設けられた環状突出部75によってハウジング71のインナ側端部から抜け出るのが防止されている。
【0037】
軸支持部材74のボス部74a内には一対の転がり軸受76が軸方向に間隔をおいて組込まれ、その転がり軸受76によって回転軸72が回転自在に支持されている。その回転軸72の一方の軸端部がハウジング71の端板を貫通して外部に臨んでいる。
【0038】
ハウジング71と外輪部材73のアウタ側端部間にはブーツ100が取り付けられ、そのブーツ100によってハウジング71のアウタ側の開口端と外輪部材73の先端部間が密閉されている。これによって、直動機構部70は
図6に示すように、ハウジング71に収納されたサブユニット化がされている。サブユニット化した直動機構部70の回転軸72はサブユニット化された歯車減速機構部40の出力ギヤ43にスプライン58による嵌合とし、ハウジング71のインナ側の端部をベース板49の背面に形成された嵌合孔63に嵌合してボルト62の締め付けによって直動機構部70に着脱自在に連結される。
【0039】
回転・運動変換機構80は、回転軸72と外輪部材73との間に組み込まれた遊星ローラ81の外周に外輪部材73の内周に設けられた螺旋凸条82に噛合する螺旋溝83を同一ピッチで、リード角を相違させて形成し、上記回転軸72の回転により、その回転軸72との接触により遊星ローラ81を自転させつつ公転させて外輪部材73を軸方向に移動させるようにしている。なお、螺旋溝83に代えて、複数の円周溝を螺旋凸条82と同一のピッチで軸方向に等間隔に形成してもよい。
【0040】
ここで、遊星ローラ81は、回転軸72を中心にして回転自在に支持されたキャリヤ84によって回転自在に支持されている。キャリヤ84は軸方向で対向する一対のディスク84a、84bを有し、一方のディスク84aの片面外周部には他方のディスク84bに向けて複数の間隔調整部材84cが周方向に間隔をおいて設けられ、その間隔調整部材84cの端面にねじ込まれるねじ85の締付けによって一対のディスク84a、84bが互いに連結されている。
【0041】
一対のディスク84a、84bのそれぞれは、回転軸72との間に組込まれたすべり軸受86によって回転自在に支持されており、アウタ側ディスク84aを回転自在に支持するすべり軸受86は回転軸72の軸端部に嵌合したワッシャ87および回転軸72の軸端部に取付けた止め輪88によって抜止めされている。
【0042】
また、一対のディスク84a、84bのそれぞれには、軸方向で対向する一対の長孔からなる軸挿入孔89が周方向に間隔をおいて設けられ、その対向一対の軸挿入孔89により両端部がスライド自在に支持された複数のローラ軸90のそれぞれによって遊星ローラ81が回転自在に支持されている。
【0043】
複数のローラ軸90の両端部は、ディスク84a、84bを貫通し、そのディスク84a、84bの外側面から外部に位置する端部外周のそれぞれにリング溝90aが形成され、そのリング溝90aの溝底面に外接するようにして弾性リング91が組付けられている。
【0044】
両端部に設けられる弾性リング91は、周方向の一部に切り離し端を有するC形リングからなり、その断面形状が矩形とされている。この弾性リング91は拡径された状態での組込みとされて縮径方向への復元弾性を有し、その弾性力によりローラ軸90が内向きに付勢され、遊星ローラ81が回転軸72の外径面に圧接されている。このため、回転軸72が回転すると、その回転軸72の外径面に対する摩擦接触によって遊星ローラ81が接触回転する。
【0045】
図1および
図3に示すように、キャリヤ84におけるインナ側ディスク84bと遊星ローラ81の軸方向の対向部間には、遊星ローラ81側から順に、スラスト軸受92、加圧板93および受圧板94が組み込まれ、加圧板93と受圧板94は球面座95を介して接触している。また、受圧板94とローラ軸90の嵌合面間には隙間が設けられ、その隙間の範囲内においてローラ軸90と加圧板93は調心自在とされている。
【0046】
また、キャリヤ84におけるインナ側ディスク84bと回転軸72を回転自在に支持する前述の軸支持部材74間にはバックアッププレート96とスラスト軸受97とが組み込まれ、外輪部材73から遊星ローラ81を介してキャリヤ84に負荷される軸方向の反力を上記スラスト軸受97で支持するようになっている。
【0047】
図1に示すように、外輪部材73のアウタ側端部内には押圧部材98が嵌合されている。押圧部材98の先端面には回り止め溝99が形成され、その回り止め溝99とインナ側ブレーキパッド14のパッドホルダ15に設けられた回り止め突起16の係合によって外輪部材73はインナ側ブレーキパッド14に対して回り止めされている。
【0048】
実施の形態で示す電動式ブレーキ装置は上記の構成からなり、
図1は、ディスクロータ10に対する制動力の解除状態を示し、一対のブレーキパッド13、14はディスクロータ10に対して離反している。
【0049】
上記のような制動力の解除状態において、
図3に示す電動モータ31を駆動すると、その電動モータ31のロータ軸34aの回転が歯車減速機構部40における歯車減速機41により減速され、
図1に示す回転軸72が回転される。
【0050】
回転軸72の外径面には、複数の遊星ローラ81のそれぞれ外径面が弾性接触しているため、上記回転軸72の回転により遊星ローラ81が回転軸72との接触摩擦により、自転しつつ公転する。
【0051】
このとき、遊星ローラ81の外径面に形成された螺旋溝83は外輪部材73の内径面に設けられた螺旋凸条82に噛合しているため、その螺旋溝83と螺旋凸条82の噛合によって、外輪部材73が軸方向に移動し、その外輪部材73に当接されたインナ側ブレーキパッド14がディスクロータ10に当接し、そのディスクロータ10を軸方向に押圧し始める。その押圧力の反力により爪部12に支持されたアウタ側ブレーキパッド13がディスクロータ10に接近する方向に向けてキャリパ11が移動し、アウタ側ブレーキパッド13がディスクロータ10に当接して、そのアウタ側ブレーキパッド13がインナ側ブレーキパッド14とでディスクロータ10の外周部を軸方向両側から強く挟持し、ディスクロータ10に制動力が負荷される。
【0052】
ディスクロータ10の制動後、電動モータ31を逆転させると、外輪部材73が
図1に示す位置まで後退動し、アウタ側ブレーキパッド13およびインナ側ブレーキパッド14がディスクロータ10の挟持を解除し、制動力の解除状態とされる。
【0053】
実施の形態で示すように、歯車減速機構部40における歯車減速機41をギヤケース48内に収容して歯車減速機構部40をサブユニット化することにより、別部品としての駆動部30、歯車減速機構部40および直動機構部70のそれぞれを別工程で組み立てることができる。
【0054】
そして、歯車減速機構部40および直動機構部70の組立て後、歯車減速機構部40におけるギヤケース48を直動機構部70のハウジング71にねじ込まれるボルト62の締め付けによって直動機構部70に連結し、さらに、モータケース32にねじ込まれるボルト59の締め付けによって駆動部30に連結することによって電動式直動アクチュエータ20の組立てとすることができ、電動式直動アクチュエータ20を容易に組立てることができる。
【0055】
また、駆動部30、歯車減速機構部40と直動機構部70のいずれか一方が破損した場合の補修に際しては、破損した側の機構部を分解することで補修を行うことができる。このため、駆動部30、歯車減速機構部40および直動機構部70のそれぞれを分解する必要がなく、補修等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0056】
図4(a)に示す例においては、ベース板49とカバー50とを連結する連結手段53として、ベース板49に形成した嵌合凹部54にカバー50の周壁51の端部を圧入するようにしたが、連結手段53はこれに限定されない。
【0057】
図8および
図9は、連結手段53の他の例を示す。この例においては、カバー50におけるフランジ52のベース板49に対する衝合面に複数の弾性変形可能な爪部101を設け、その爪部101をベース板49に形成された係合孔102にスナップフィットさせるようにしている。
【0058】
上記のように、係合孔102に対する爪部101のスナップフィットによる係合とすることで、ベース板49にカバー50を簡単に連結することができる。
【0059】
なお、
図8および
図9では、ベース板49の背面に複数の弾性変形可能な爪部103を設け、その爪部103をハウジング71およびモータケース32のそれぞれに形成された係合孔104にスナップフィットさせてハウジング71およびモータケース32に対する連結としている。
【0060】
図4(a)に示す例においては、入力ギヤ42を回転自在に支持する軸受55、出力ギヤ43を回転自在に支持する軸受57およびアイドルギヤ45を回転自在に支持する軸受46として、転がり軸受を採用したが、
図10に示すように、軸受55、57、46のそれぞれをすべり軸受としてもよい。そのすべり軸受の採用によってコストの低減を図ることができる。
【0061】
図11においては、入力ギヤ42、出力ギヤ43およびアイドルギヤ44、45のそれぞれを自己潤滑性樹脂により成形している。このような自己潤滑性樹脂からなるギヤを採用することにより、軸受を不要とすることができ、コストの低減を図ることができる。
【0062】
なお、自己潤滑性樹脂に代えて、自己潤滑性を有する焼結材によりギヤを形成してもよい。また、入力ギヤ42、出力ギヤ43およびアイドルギヤ44、45に代えてギヤケース48を自己潤滑性を有する樹脂あるいは焼結材で形成してもよい。