特許第6374236号(P6374236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6374236シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物及び有機無機ハイブリッド膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374236
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物及び有機無機ハイブリッド膜
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20180806BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20180806BHJP
   C08G 71/04 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   C08L75/04
   C08K5/5415
   C08G71/04
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-135144(P2014-135144)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-14076(P2016-14076A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年4月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】辻本 智雄
(72)【発明者】
【氏名】福岡 弘直
(72)【発明者】
【氏名】蔵岡 孝治
【審査官】 松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−291143(JP,A)
【文献】 特表2002−518532(JP,A)
【文献】 特開2014−078648(JP,A)
【文献】 特開2008−056759(JP,A)
【文献】 特開平07−118543(JP,A)
【文献】 特開平06−136321(JP,A)
【文献】 特開2006−299178(JP,A)
【文献】 特開2000−063661(JP,A)
【文献】 特開2016−000809(JP,A)
【文献】 米国特許第06120905(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
C08G 18/00 − 18/87
C08G 71/00 − 71/04
C09D 1/00 − 10/00
C09D 101/00 − 201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)〜(4)で表される水酸基を含有する基の少なくとも1つを繰り返し単位として有するポリヒドロキシウレタン樹脂と、アルコキシシラン化合物と、を含み、
該アルコキシシラン化合物が3官能アルコキシシラン化合物及び4官能アルコキシシラン化合物を含み、
前記3官能アルコキシシラン化合物の含有量は、前記アルコキシシラン化合物の総モル量に対して、10〜50モル%であり、
前記4官能アルコキシシラン化合物の含有量は、前記アルコキシシラン化合物の総モル量に対して、50〜90モル%である、
シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
【化1】
【化2】

【化3】

【化4】
(上記式(1)〜(4)中、A及びBは、各々独立して、構造中に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のいずれかを含むか又は含まない、炭素数1〜100の基を示す。)
【請求項2】
前記Aが、下記式(i)〜(iv)のいずれかで表される基である、請求項1に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
【化5】
(上記式(i)中、n1は0〜50の整数である。)
【化6】
(上記式(ii)中、n2は1〜50の整数である。)
【化7】
(上記式(iii)中、n3は3〜50の整数である。)
【化8】
【請求項3】
前記ポリヒドロキシウレタン樹脂が、前記Aが上記式(i)で表される基であるポリヒドロキシウレタン樹脂と、前記Aが上記式(ii)で表される基であるポリヒドロキシウレタン樹脂と、を含む、請求項2に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記Bが、芳香環含有脂肪族炭化水素基である、請求項1〜3いずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
前記Bが、キシリレン基である、請求項1〜4いずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
【請求項6】
アルコキシシラン化合物が、テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
【請求項7】
前記アルコキシシラン化合物1.0モルに対して、1.0〜10モルの水を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物から得られる、有機無機ハイブリッド膜。
【請求項9】
請求項に記載の有機無機ハイブリッド膜を備える、コートフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物及び有機無機ハイブリッド膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内容物保存を目的とする包装材料としては、透明性、軽量性などの理由からプラスチックフィルムや容器の使用が主流になっている。食品、医薬品、化粧品などの包装に用いられるプラスチックフィルムには、各種ガスに対するバリア性、透明性のほか、内容物に応じて、多様な機能が要求されるため、異種の樹脂材料や樹脂材料と金属材料とを組み合わせた複合フィルムが広く用いられている。かかる複合フィルムとしては、例えば、機能性を付与する樹脂や金属材料を基材フィルム上にコーティング等することによりコートフィルムを基材フィルム上に設けたものや、異種の樹脂を共押出等により貼り合わせる押し出しラミネートや、フィルムとフィルムを接着剤等で貼り合わせるドライラミネート等によりラミネートフィルムを基材フィルム上に設けたものが知られている。
【0003】
ところで、包装材料には、内容物の性能を保持するという目的から、特に、酸素に対する高いバリア性が要求される。
【0004】
包装材料にバリア性を付与する目的で、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)や塩化ビニリデン樹脂(PVDC)がバリア層として広く使用されているが、使用に際して制限がある。例えば、EVOHは、ポリプレピレン(PP)などの樹脂と共押出し等することにより複合フィルムに使用されるが、有機溶剤への溶解性に劣ることからコーティング法によるフィルムの作製には不向きである。PVDCは、コーティング法による成形が可能であるため、コートフィルムとして食品包装用途等で使用されているものの、塩素を含むため、廃棄する際の問題点が指摘されている。
【0005】
そこで、EVOHやPVDCの代替樹脂が検討されている。例えば、特許文献1では、少なくとも2つの五員環環状カーボネートを有する化合物と、少なくとも2つのアミノ基を有するアミン化合物とをモノマー単位とし、これらモノマー単位の付加反応により得られる特定構造のポリヒドロキシウレタン樹脂から構成されるガスバリア性フィルムが開示されており、溶融成型法及びコーティング法のいずれによっても成形が可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−172144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で開示されている樹脂も、酸素バリア性が十分ではなく、また、具体的に開示されている樹脂は、溶剤がテトラヒドロフラン等の特定のものに限られるなど、コートフィルムとして使用するのに制限がある。また、本発明者らが検討したところ、塗膜の表面硬度が低いため、ベタツキ等の問題があり、ラミネートフィルムやコートフィルムとして使用する場合に取り扱い性等の観点から問題がある。
【0008】
本発明は、ガスバリア性及び水蒸気バリア性に優れ、表面硬度の高い有機無機ハイブリッド膜を与えるシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる有機無機ハイブリッド膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定のポリヒドロキシウレタン樹脂とアルコキシシラン化合物を含む樹脂組成物であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
〔1〕
下記式(1)〜(4)で表される水酸基を含有する基の少なくとも1つを繰り返し単位として有するポリヒドロキシウレタン樹脂と、アルコキシシラン化合物と、を含み、
該アルコキシシラン化合物が3官能アルコキシシラン化合物及び4官能アルコキシシラン化合物を含み、
前記3官能アルコキシシラン化合物の含有量は、前記アルコキシシラン化合物の総モル量に対して、10〜50モル%であり、
前記4官能アルコキシシラン化合物の含有量は、前記アルコキシシラン化合物の総モル量に対して、50〜90モル%である、
シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
【化1】
【化2】

【化3】

【化4】
(上記式(1)〜(4)中、A及びBは、各々独立して、構造中に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のいずれかを含むか又は含まない、炭素数1〜100の基を示す。)
〔2〕
前記Aが、下記式(i)〜(iv)のいずれかで表される基である、前項〔1〕に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
【化5】
(上記式(i)中、n1は0〜50の整数である。)
【化6】
(上記式(ii)中、n2は1〜50の整数である。)
【化7】
(上記式(iii)中、n3は3〜50の整数である。)
【化8】
〔3〕
前記ポリヒドロキシウレタン樹脂が、前記Aが上記式(i)で表される基であるポリヒドロキシウレタン樹脂と、前記Aが上記式(ii)で表される基であるポリヒドロキシウレタン樹脂と、を含む、前項〔2〕に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
〔4〕
前記Bが、芳香環含有脂肪族炭化水素基である、前項〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
〔5〕
前記Bが、キシリレン基である、前項〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
〔6〕
アルコキシシラン化合物が、テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとを含む、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
〔7〕
前記アルコキシシラン化合物1.0モルに対して、1.0〜10モルの水を含む、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物。
〔8〕
前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物から得られる、有機無機ハイブリッド膜。
〔9〕
前項〔8〕に記載の有機無機ハイブリッド膜を備える、コートフィルム。

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガスバリア性及び水蒸気バリア性に優れ、表面硬度の高い有機無機ハイブリッド膜を与えるシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる有機無機ハイブリッド膜を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
〔シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物〕
本実施形態のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物は、下記式(1)〜(4)で表される水酸基を含有する基の少なくとも1つを繰り返し単位として有するポリヒドロキシウレタン樹脂と、アルコキシシラン化合物と、を含む。シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物の性状は、特に限定されないが、例えば、ゾル液が挙げられる。
【化9】
【化10】

【化11】

【化12】
(上記式(1)〜(4)中のA及びBは、各々独立して、構造中に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のいずれかを含むか又は含まない、炭素数1〜100の基を示す。)
【0014】
なお、「含む」とは、ポリヒドロキシウレタン樹脂と、アルコキシシラン化合物と、が単独で存在している場合のほか、アルコキシシラン化合物が一部加水分解、一部重縮合している場合、ポリヒドロキシウレタンのヒドロキシル基とアルコキシシランの加水分解物とが反応している場合も含むことを意味する。
【0015】
〔ポリヒドロキシウレタン樹脂〕
ポリヒドロキシウレタン樹脂は、上記式(1)〜(4)で表される水酸基を含有する基の少なくとも1つを繰り返し単位として有する。
【0016】
上記式(1)〜(4)中のAは、構造中に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のいずれかを含むか又は含まない、炭素数1〜100の基である。Aの炭素数は、好ましくは1〜50であり、より好ましくは2〜50である。
【0017】
Aが酸素原子を含む基である場合、酸素原子は、水酸基、エーテル基、エステル基、アルデヒド基、カルボン酸基、エポキシ基、ラクトン環として含まれうる。このなかでも、Aは、溶解性の観点から、水酸基、エーテル基を含むことが好ましい。このようなAとしては、特に限定されないが、例えば、下記式(i)〜(iv)のいずれかで表される基であることが好ましく、下記式(i)及び/又は下記式(ii)で表される基であることがより好ましい。このような基を用いることにより、溶解性に加え、ガスバリア性がより向上する傾向にある。
【0018】
ポリヒドロキシウレタン樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ポリヒドロキシウレタン樹脂を2種以上用いる場合において、ポリヒドロキシウレタン樹脂は、Aが下記式(i)で表される基であるポリヒドロキシウレタン樹脂と、Aが下記式(ii)で表される基であるポリヒドロキシウレタン樹脂と、を含むことが好ましい。
【化13】
(上記式(i)中、n1は、好ましくは0〜50の整数であり、より好ましくは1〜22の整数であり、さらに好ましくは1〜10の整数である。)
【化14】
(上記式(ii)中、n2は、好ましくは1〜50の整数であり、より好ましくは1〜22の整数であり、さらに好ましくは1〜10の整数である。)
【化15】
(上記式(iii)中、n3は、好ましくは3〜50の整数であり、より好ましくは3〜22の整数であり、さらに好ましくは3〜10の整数である。)
【化16】
【0019】
Aが窒素原子を含む基である場合、窒素原子は、1〜3級アミン基、アミド基、イミド基、ニトロ基、ラクタムとして含まれうる。
【0020】
Aが硫黄原子を含む基である場合、硫黄原子は、チオエステル基、チオール基として含まれうる。
【0021】
酸素原子、窒素原子及び硫黄原子を含まない炭素数1〜100の基としては、特に限定されないが、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基などの鎖状脂肪族炭化水素基;イソホロニレン基などの環状脂肪族炭化水素基;キシリレン基、ジフェニルメチレン基などの芳香族基と脂肪族炭化水素基とからなる芳香環含有脂肪族炭化水素基;メタフェニレン基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0022】
その他、Aは、フェニル基、ベンジル基などの芳香族基;シクロアルキル基等の脂環族基を含有してもよい。
【0023】
上記式(1)〜(4)中のBは、炭素数1〜100の基であれば特に限定されないが、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基などの鎖状脂肪族炭化水素基;イソホロニレン基などの環状脂肪族炭化水素基;キシリレン基、ジフェニルメチレン基などの芳香族基と脂肪族炭化水素基とからなる芳香環含有脂肪族炭化水素基;メタフェニレン基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。このなかでも、ガスバリア性向上の観点から、芳香環含有脂肪族炭化水素基が好ましく、キシリレン基がより好ましく、メタキシリレン基がさらに好ましい。
【0024】
Bの炭素数は、好ましくは1〜50であり、より好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは2〜10であり、よりさらに好ましくは6〜10である。
【0025】
ポリヒドロキシウレタン樹脂の含有量は、アルコキシド化合物の総量に対して、好ましくは10〜100質量%であり、より好ましくは30〜70質量%であり、さらに好ましくは40〜60質量%である。ポリヒドロキシウレタン樹脂の含有量が10質量%以上であることにより、有機無機ハイブリッド膜に亀裂が難くなる傾向にある。また、ポリヒドロキシウレタン樹脂の含有量が100質量%以下であることにより、得られる有機無機ハイブリッド膜の膜厚が薄くなり、しわが生じ難くなる傾向にある。
【0026】
ポリヒドロキシウレタン樹脂の含有量は、シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物の総量に対して、好ましくは2.5〜21.5質量%であり、より好ましくは7.5〜16.0質量%であり、さらに好ましくは9.5〜14.0質量%である。ポリヒドロキシウレタン樹脂の含有量が2.5質量%以上であることにより、ガスバリア性、水蒸気バリア性がより向上する傾向にある。また、ポリヒドロキシウレタン樹脂の含有量が21.5質量%以下であることにより、成膜性がより向上する傾向にある。
【0027】
〔ポリヒドロキシウレタン樹脂の製造方法〕
ポリヒドロキシウレタン樹脂は、特に限定されないが、例えば、環状カーボナート含有化合物と、多官能アミン化合物と、を溶剤の存在下あるいは非存在下で、40〜200℃の温度で4〜24時間反応させることにより得ることができる。
【0028】
(環状カーボナート含有化合物)
環状カーボナート含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(5)で示される化合物が挙げられる。
【化17】
(上記式(5)中、Aは、構造中に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のいずれかを含むか又は含まない、炭素数1〜100の基を示す。ここで、Aは、上記と同様のものを例示することができる。)
【0029】
上記式(5)中、Aとしては、特に限定されないが、例えば、上記式(i)〜(iv)のいずれかで表される基であることが好ましく、上記式(i)及び/又は上記式(ii)で表される基であることがより好ましい。このような基を用いることにより、溶解性に加え、ガスバリア性がより向上する傾向にある。
【0030】
本実施形態で用いられる環状カーボナート含有化合物は、IR分析において、1800cm-1付近にカーボナート基由来の吸収が認められることにより、その構造を確認できる。
【0031】
本実施形態で用いられる環状カーボナート含有化合物は、特に限定されないが、例えば、式(5)の化合物の場合、下記式(6)で表されるエポキシ化合物をカーボナート化することにより製造できる。カーボナート化は、例えば、原材料であるエポキシ化合物を、触媒の存在下、大気圧あるいは加圧した二酸化炭素雰囲気において反応させる方法等により実施できる。
【化18】
(式(6)中、Aは、構造中に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のいずれかを含むか又は含まない、炭素数1〜100の基を示す。ここで、Aは、上記と同様のものを例示することができる。n1は、好ましくは0〜50の整数であり、より好ましくは1〜22の整数であり、さらに好ましくは1〜10の整数である。)
【0032】
上記式(6)中、Aとしては、特に限定されないが、例えば、上記式(i)〜(iv)のいずれかで表される基であることが好ましく、上記式(i)及び/又は上記式(ii)で表される基であることがより好ましい。このような基を用いることにより、溶解性に加え、ガスバリア性がより向上する傾向にある。
【0033】
上記エポキシ化合物と二酸化炭素との反応に使用される触媒としては、特に限定されないが、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどのハロゲン化塩類;4級アンモニウム塩が挙げられる。また、触媒の使用量は、原料のエポキシ化合物100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。また、これら触媒となる塩類の溶解性を向上させるために、トリフェニルホスフィンなどを同時に使用してもよい。
【0034】
上記エポキシ化合物と二酸化炭素との反応は、有機溶剤の存在下で行うこともできる。この際に用いる有機溶剤としては、前述の触媒を溶解するものであれば使用可能である。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤が挙げられる。
【0035】
(多官能アミン化合物)
多官能アミン化合物としては、特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノへキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの鎖状脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,6−シクロヘキサンジアミン、ピペラジン、2,5−ジアミノピリジンなどの環状脂肪族ポリアミン;キシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンが挙げられる。このなかでも、ガスバリア性の観点から、キシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族ポリアミンが好ましく、より好ましくはメタキシリレンジアミンである。
【0036】
(溶剤)
ポリヒドロキシウレタン樹脂の製造方法において用いられる溶剤としては、特に限定されず、使用する原料及び得られたポリヒドロキシウレタン樹脂に対して不活性な有機溶剤が好ましく、例えば、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、トリクロルエチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。
【0037】
本実施形態におけるポリヒドロキシウレタン樹脂を製造する際、特に触媒を使用する必要はないが、反応を促進させるために、触媒を使用することも可能である。そのような触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジンなどの塩基性触媒;テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウリレートなどのルイス酸触媒などが挙げられる。これらの触媒の使用量は、特に限定されないが、使用するカーボネート化合物と多官能アミン化合物の総量(100質量部)に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。
【0038】
〔アルコキシシラン化合物〕
本実施形態で用いられるアルコキシシラン化合物としては、特に限定されないが、例えば、具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等の一般式Si(OR14(ここでR1は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される4官能アルコキシシラン化合物;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等である。好ましくはテトラメトキシシランとメチルトリメトキシシラン等の一般式R2Si(OR33(ここでR2は炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基などのアリール基、ビニル基などの不飽和炭化水素基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基を示し、R3は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される3官能アルコキシシラン化合物;その他、2官能アルコキシシラン化合物及び1官能アルコキシシラン化合物が挙げられる。このなかでも、3官能アルコキシシラン化合物と4官能アルコキシシラン化合物とを含むことが好ましく、テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとを含むことがより好ましい。このようなアルコキシシラン化合物を用いることにより、ガスバリア性及び膜の柔軟性がより向上し、膜に亀裂が生じにくい傾向にある。
【0039】
3官能アルコキシシラン化合物の含有量は、アルコキシシラン化合物の総モル量に対して、好ましくは10〜50モル%であり、より好ましくは15〜40モル%であり、さらに好ましくは20〜30モル%である。3官能アルコキシシラン化合物の含有量が10モル%以上であることにより、成膜性がより向上する傾向にある。また、3官能アルコキシシラン化合物の含有量が50モル%以下であることにより、硬度及びガスバリア性がより向上する傾向にある。
【0040】
4官能アルコキシシラン化合物の含有量は、アルコキシシラン化合物の総モル量に対して、好ましくは50〜90モル%であり、より好ましくは60〜85モル%であり、さらに好ましくは70〜80モル%である。4官能アルコキシシラン化合物の含有量が50モル%以上であることにより、硬度及びガスバリア性がより向上する傾向にある。4官能アルコキシシラン化合物の含有量が90モル%以下であることにより、成膜性がより向上する傾向にある。
【0041】
アルコキシシラン化合物の含有量は、シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物の総量に対して、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましくは15〜35質量%であり、さらに好ましくは20〜30質量%である。アルコキシシラン化合物の含有量が10質量%以上であることにより、硬度及びガスバリア性がより向上する傾向にある。また、ポリヒドロキシウレタン樹脂の含有量が40質量%以下であることにより、成膜性がより向上する傾向にある。
【0042】
〔その他の成分〕
本実施形態のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物は、必要に応じてアルコール溶媒、水、酸触媒を含んでもよい。
【0043】
(アルコール溶媒)
アルコール溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等が挙げられる。アルコール溶媒の含有量は、上記アルコキシシラン化合物1.0モルに対して、好ましくは2.0〜50モルであり、より好ましくは5.0〜20モルであり、さらに好ましくは8.0〜15である。アルコール溶媒の含有量が50モル以下であることにより、溶媒留去に要するエネルギーが減少する傾向にある。アルコール溶媒の含有量が2.0モル以上であることにより、得られる有機無機ハイブリッド膜に亀裂が入り難くなる傾向にある。
【0044】
(酸触媒)
酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等の無機、有機酸が挙げられる。酸触媒の含有量は、上記アルコキシシラン化合物1.0モルに対して、好ましくは0.0010〜1.0モルであり、より好ましくは0.010〜0.10モルであり、さらに好ましくは0.020〜0.080である。酸触媒の含有量が1.0モル以下であることにより、加水分解速度が低下し、膜の表面性がより良好となる傾向にある。また、酸触媒の含有量が0.0010モル以上であることにより、加水分解速反応がより効率的に進行する傾向にある。
【0045】
(水)
水の含有量は、上記アルコキシシラン化合物1.0モルに対して、好ましくは1.0〜10モルであり、より好ましくは1.5〜8.0モルであり、さらに好ましくは2.0〜5.0である。水の含有量が10モル以下であることにより、膜の性状がより向上する傾向にある。また、水の含有量が1.0モル以上であることにより、加水分解速度がより向上する傾向にある。
【0046】
〔シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記アルコキシシラン化合物、水、酸触媒、アルコール溶媒を混合し、これに上記ポリヒドロキシウレタン化合物あるいはポリヒドロキシウレタン化合物のアルコール溶液を添加し、室温にて混合することによりゾル液を得る方法が挙げられる。
【0047】
〔有機無機ハイブリッド膜〕
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、上記シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物から得られる。有機無機ハイブリッド膜は、ガスバリア性を有する包装材として好適である。このような有機無機ハイブリッド膜は、ゾルゲル法によって好適に得られる。より具体的には、所定の条件で製膜することにより、ポリヒドロキシウレタン樹脂と、アルコキシシラン化合物とが、水素結合、場合によっては縮合反応し、ガスバリア性及び水蒸気バリア性に優れ、表面硬度の高い有機無機ハイブリッド膜を形成することができるが、本実施形態はかかる作用に限定されない。
【0048】
成形方法としては、特に限定されないが、例えば、シリカ−ポリヒドロキシウレタンゾル液を基材フィルム上に、スピンコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、リバースコーター、バーコーター、スプレーコーター、スリットコーター等によってシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物を塗布し、溶剤を揮発させる方法などが挙げられる。
【0049】
塗布後には、数分〜一晩程度室温に放置し、その後、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃、さらに好ましくは80〜100℃程度の温度で、数10分〜数時間以上乾燥して成膜する。
【0050】
有機無機ハイブリッド膜の膜厚は、好ましくは0.20〜10μmであり、より好ましくは0.50〜8.0μmであり、さらに好ましくは1.0〜5.0μmである。
【0051】
基材フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム;ナイロン6やナイロン66、メタキシレンアジパミド(N−MXD6)などのポリアミド系樹脂フィルム;ポリ乳酸などの生分解性フィルム;ポリアクリロニトリル系フィルム;ポリ(メタ)アクリル系フィルム;ポリカーボネート系フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系フィルム;ポリビニルアルコール系フィルム;その他ポリイミド等とこれらの樹脂の共重合体フィルム等が挙げられる。このなかでも、接着性の観点から、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム等が好ましい。また、これらの高分子材料は必要に応じて、例えば、公知の帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの添加剤を含んでもよい。
【0052】
〔コートフィルム〕
本実施形態のコートフィルムは、上記有機無機ハイブリッド膜を備える。コートフィルムは、食品、医薬品、化粧品などの各種包装材料分野において用いることができる。
【実施例】
【0053】
以下に実施例、比較例に基づき本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、その主旨を超えない限り本実施例に限定されるものではない。なお、本実施例で用いる評価方法等は下記のとおりである。また、本実施例中の部および%は、特に断らない限り質量基準である。
【0054】
〔製造例1〕(環状カーボナート化合物の製造)
エポキシ化合物1(エチレングリコールジグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製、商品名 デナコールEX−810)224g、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製)200g、LiBr(東京化成工業株式会社製)4.4gをマグネチックスタラー、冷却管を備えた1Lガラス製反応器に仕込んだ。次に攪拌下、二酸化炭素を連続にて吹き込みながら、100℃まで昇温し、8時間反応を継続した。反応液をIR分析したところ、910cm-1付近のエポキシ基由来の吸収からエポキシ転化率は97%となった。また、1800cm-1付近にカーボナート基由来の吸収が認められ、カーボナート化が進行していることを確認した。次に、反応液に酢酸エチル450gを添加し、分液ロートに移した。その後、イオン交換水で水洗し、酢酸エチル層をエバポレーターに移し酢酸エチルを減圧留去させ、液状物を270g取得した。
【0055】
〔製造例2〕(ポリヒドロキシウレタン樹脂の製造)
マグネチックスタラー、冷却管を備えた1lフラスコに製造例1で得られた化合物76.2g、メタノール180g、メタキシリレンジアミン(東京化成工業株式会社製)32.7gを仕込んだ。その後、70℃に設定したオイルバスに浸し、8時間、攪拌し、ポリヒドロキシウレタン樹脂のメタノール溶液を取得した。
【0056】
〔実施例1〕
テトラメトキシシラン(信越化学工業製、以下「TMOS」ともいう。)、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業製、以下「MTMOS」ともいう。)、蒸留水、硝酸、メタノールをモル比0.75:0.25:4:0.05:10の割合で秤量し、これに製造例2記載のポリヒドロキシウレタン樹脂のメタノール溶液をポリヒドロキシウレタン樹脂がアルコキシド総重量の50wt%になるように添加し、室温にて4時間混合することによりゾル液(シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物)を得た。
【0057】
取得したゾル液を膜厚70μmのポリプロピレンフィルム基材上に3000rpm、30秒にてスピンコーティングし、送風乾燥器にて80℃、12hr乾燥させ、膜厚1.1μmの有機無機ハイブリッド膜を作製した。
【0058】
(ガスバリア性試験)
作製した有機無機ハイブリッド膜のガスバリア性について、ツクバリカセイキ製K−315Nを使用し、JIS−K7126(圧力センサ法)に準拠して酸素透過率を評価した。測定は40℃で行った。その結果を表1に示す。
【0059】
(水蒸気バリア性試験)
また、作製した有機無機ハイブリッド膜の水蒸気バリア性について、JIS―Z0208に準拠し、カップ法で透湿度を評価した。測定は40℃90%RHの条件で行った。その結果を表1に示す。
【0060】
(表面硬度)
更に、作製した有機無機ハイブリッド膜の鉛筆硬度(表面硬度)について、JIS K5600−5−4に準拠し、鉛筆引っかきを用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0061】
〔実施例2〕
TMOS及びMTMOSの使用割合(モル比)をTMOS:MTMOS=0.7:0.3に変えた以外は実施例1と同様の操作によりゾル液(シリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物)を得た。また、酸素透過率、透湿度及び鉛筆硬度についても実施例と同様に試験を行った。その結果を表1に示す。
【0062】
〔比較例1〕
製造例2に記載のポリヒドロキシウレタン樹脂のメタノール溶液を膜厚70μmのポリプロピレンフィルム基材上に3000rpm、30秒にてスピンコーティングし、送風乾燥器にて80℃、12hr乾燥させた。得られた膜はボイドが発生し、フィルムとして使用できない状態であった。
【0063】
〔比較例2〕
製造例2に記載のポリヒドロキシウレタン樹脂のメタノール溶液を膜厚25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材上に3000rpm、30秒にてスピンコーティングし、送風乾燥器にて80℃、12hr乾燥させ、膜厚1.6μmのフィルムを作製した。実施例1と同様の方法で、透湿度及び鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
〔比較例3〕
バーコーターを用い、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚さ:20μm)のコロナ処理面上に上記製造例2に記載のポリヒドロキシウレタン樹脂のメタノール溶液を塗布した。その後、塗布したフィルムをドライヤーで乾燥し、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚さ:40μm)のコロナ処理面上にローラーを用いて貼った。次に、50℃のオーブンで15時間硬化してラミネートフィルム(樹脂層の厚さ:5μm)を得た。得られたラミネートフィルムについて下記の方法により酸素透過率を測定した。その結果を表1に示す。
【0065】
ラミネートフィルムの樹脂層(ガスバリア層)について、JIS K−7126(ガスクロ法)に準拠して酸素透過率(cc/m2・day・atm)を測定した。酸素透過率測定装置(GTRテック株式会社製、差圧式ガス・水蒸気透過率測定装置GTR−10XAOK)を用いて、温度23℃の条件下で測定を行った。
【0066】
【表1】
【0067】
以上、詳述したように本発明によれば、ガスバリア性、水蒸気バリア性、更には表面硬度の高いシリカ−ポリヒドロキシウレタン有機無機ハイブリッド膜を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のシリカ−ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物からなる有機無機ハイブリッド膜は、食品、医薬品、化粧品などの各種包装材料分野において産業上の利用可能性を有する。