(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374241
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】検査兼修正具
(51)【国際特許分類】
B25B 15/00 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
B25B15/00 630C
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-137923(P2014-137923)
(22)【出願日】2014年7月3日
(65)【公開番号】特開2016-13604(P2016-13604A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 義行
(72)【発明者】
【氏名】花岡 重徳
【審査官】
須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−047181(JP,U)
【文献】
実開昭55−179769(JP,U)
【文献】
実開平05−026265(JP,U)
【文献】
米国特許第06095016(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B15/00−15/06
B25B13/48−13/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定部材に板材をビス止めして形成した平坦面の凹凸を検査しかつ修正する検査兼修正具であって、
棒状の柄部と、前記平坦面の凹凸を検査する検査部と、前記平坦面から突出しているビスを増し締めする増し締め部と、を備え、
前記検査部は、一直線状に形成された先端部を有する板材から構成され、前記柄部の先端側に設けられており、
前記増し締め部は、前記柄部の先端側に設けられたドライバ部と、前記柄部の後端側に設けられた操作部と、を有し、前記ドライバ部は、前記操作部での操作により回転するように構成されている、検査兼修正具。
【請求項2】
前記ドライバ部は、前記操作部での操作により前記検査部の先端部よりも前方及び後方に移動するように構成されている、請求項1に記載の検査兼修正具。
【請求項3】
前記ドライバ部と前記操作部とは軸体にて連結され、前記操作部の回転操作及び押引操作が前記軸体を介して前記ドライバ部に伝達されて前記ドライバ部の回転及び前後移動を実現させるように構成されている、請求項2に記載の検査兼修正具。
【請求項4】
前記軸体は、前記柄部を兼ねる筒体に収容されている、請求項3に記載の検査兼修正具。
【請求項5】
前記検査部の前記先端部の幅は、ビスの間隔に対応する所定寸法に設定されている、請求項1から4の何れか一項に記載の検査兼修正具。
【請求項6】
前記検査部の前記先端部には、ビスの間隔に対応する所定寸法の目盛りが設けられている、請求項1から4の何れか一項に記載の検査兼修正具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査兼修正具に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物の天井の一般的な工法として、野縁等の桟材に石膏ボード等の板材をビス止めして下地面を形成しておき、この下地面に壁紙を糊付けして仕上げる工法が採用されている。この工法で使用される壁紙は一般的に薄く、下地面の凹凸(ビスの突出や石膏ボードの継目の段差)を拾いやすいため、壁紙の貼付け作業の前には下地面の凹凸検査を行い、凹凸が発見された際には修正しておくのが好ましい。
【0003】
従来は、このような天井下地面の凹凸検査を行う際に、直線状の刃先縁を有するパテベラ(例えば、特許文献1参照)を検査具として流用していた。すなわち、このようなパテベラの刃先縁を下地面に当接させた状態でパテベラを下地面に沿って滑らせて凹凸検査を行っていた。そして、ビスの突出等の凹凸が発見された場合には、ドライバ等の工具を用いて凹凸を修正していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3165629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたようなパテベラやドライバを使用した天井下地面の検査・修正作業には、以下のような問題があった。まず、凹凸の有無を検査する検査具とビスを増し締めする工具とを用意する必要があるとともに、修正が必要な場合はこれらを持ち替えなければならず、作業が煩雑であった。また、作業の対象が床面よりかなり高い位置(例えば住宅の場合で2.4m前後)に存在することから、床面からの作業は極めて困難で足場や脚立等を必要とし、作業性が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、凹凸の検査作業及び修正作業を効率良く行うことができる検査兼修正具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る検査兼修正具は、所定部材に板材をビス止めして形成した平坦面の凹凸を検査しかつ修正する検査兼修正具であって、棒状の柄部と、平坦面の凹凸を検査する検査部と、平坦面から突出しているビスを増し締めする増し締め部と、を備え、検査部は、柄部の先端側に設けられており、増し締め部は、柄部の先端側に設けられたドライバ部と、柄部の後端側に設けられた操作部と、を有し、ドライバ部は、操作部での操作により回転するように構成されているものである。
【0008】
かかる構成を採用すると、棒状の柄部の先端側に設けられた検査部を用いて、平坦面の凹凸(ビスの突出や板材の継目の段差)を検査することができる。また、検査を経て平坦面からビスが突出していることを確認した場合には、柄部の後端側に設けられた増し締め部の操作部を操作することにより、柄部の先端側に設けられた増し締め部のドライバ部を回転させて、突出したビスを増し締めして修正することができる。従って、凹凸検査用の検査具とビス増し締め用の工具とを持ち替える必要がなくなるため、作業の対象が作業床よりかなり高い位置に存在しているもの(例えば天井下地面)であっても、凹凸の検査作業及び修正作業をきわめて効率良く行うことができる。
【0009】
本発明に係る検査兼修正具において、ドライバ部を、操作部での操作により検査部の先端部よりも前方及び後方に移動するように構成することができる。
【0010】
かかる構成を採用すると、検査部で平坦面の凹凸を検査する際に、操作部を操作してドライバ部を検査部の先端部よりも後方(柄部の後端側)に移動させることができるので、検査中にドライバ部が妨げになることがない。一方、平坦面からビスが突出していることを確認した場合には、操作部を操作してドライバ部を検査部の先端部よりも前方に移動(先端から突出)させて、速やかにビスを増し締めすることができる。この結果、作業性を向上させることができる。
【0011】
本発明に係る検査兼修正具において、ドライバ部と操作部とを軸体にて連結し、操作部の回転操作及び押引操作を軸体を介してドライバ部に伝達してドライバ部の回転及び前後移動を実現させるように構成することができる。
【0012】
かかる構成を採用すると、ドライバ部と操作部とを連結する軸体を介して、操作部の回転操作及び押引操作をドライバ部に伝達してドライバ部の回転及び前後移動を実現させることができる。
【0013】
本発明に係る検査兼修正具において、軸体を、柄部を兼ねる筒体に収容することができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、ドライバ部と操作部とを連結する軸体を、柄部を兼ねる筒体に収容して保護することができる。また、筒体は柄部を兼ねるため、柄部と筒体を別々に設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。
【0015】
本発明に係る検査兼修正具において、検査部を、一直線状に形成された先端部を有する板材から構成することができる。
【0016】
かかる構成を採用すると、検査部の先端部を平坦面に当接させた状態で検査部を移動させることで、平坦面の凹凸を検査することができる。
【0017】
本発明に係る検査兼修正具において、検査部の先端部の幅を、ビスの間隔に対応する所定寸法に設定したり、検査部の先端部に、ビスの間隔に対応する所定寸法の目盛りを設けたりすることができる。
【0018】
かかる構成を採用すると、平坦面の凹凸検査と同時に、ビスの間隔が正常か否かを検査することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、凹凸の検査作業及び修正作業を効率良く行うことができる検査兼修正具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る検査兼修正具(ドライバ部を引き込んだ状態)を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る検査兼修正具(ドライバ部を突出させた状態)を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る検査兼修正具の使用状態(ドライバ部を引き込んだ状態)を説明するための説明図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る検査兼修正具の使用状態(ドライバ部を突出させた状態)を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0022】
まず、
図1及び
図2を用いて、本発明の実施形態に係る検査兼修正具1の構成を説明する。本実施形態に係る検査兼修正具1は、所定部材(例えば野縁等の桟材)に板材(例えば石膏ボード)をビス止めして形成した平坦面100(
図3)の凹凸を検査しかつ修正するものであり、
図1に示すように、柄部10と、平坦面100の凹凸を検査する検査部20と、平坦面100から突出しているビスを増し締めする増し締め部30と、を備えている。
【0023】
柄部10は、使用者が把持することができるように棒状の形態を有するものである。本実施形態における柄部10は、増し締め部30を構成する軸体33(後述)を収容する筒体としても機能するものであり、その内部には、軸体33を挿通させるための挿通孔が設けられている。柄部10(筒体)の形態は特に限定されるものではなく、円筒体や角筒体を採用することができる。柄部10は、種々の材料(金属、合成樹脂、木等)で構成することができる。
【0024】
検査部20は、平坦面100の凹凸を検査するためのものである。本実施形態における検査部20は、
図1及び
図2に示すような平面視矩形状の板材から構成されており、その先端部21は一直線状に形成されている。そして、検査部20の先端部21の幅は、ビスの間隔に対応する所定寸法(例えば250mm)に設定されている。検査部20は、柄部10の先端部11に連結部材40を介して取り付けられている。検査部20の平面形状は矩形に限定されるものではなく、三角形、五角形等種々の形状を採用することができる。検査部20は、種々の材料(金属、合成樹脂、木等)で構成することができる。
【0025】
増し締め部30は、平坦面100から突出しているビスを増し締めするためのものであり、
図1及び
図2に示すように、柄部10の先端側に設けられたドライバ部31と、柄部10の後端側に設けられた操作部32と、を有している。ドライバ部31は、ビスを増し締めするためのプラスドライバ(又はマイナスドライバ)を有するものである。操作部32の形態は、使用者が把持して操作することができるような形態であればいかなる形態でもよく、例えば直方体や球体等を採用することができる。
【0026】
ドライバ部31と操作部32とは、柱状の軸体33によって連結されており、操作部32の回転操作及び押引操作が、軸体33を介してドライバ部31に伝達されてドライバ部31の回転及び前後移動を実現させるようになっている。
図1は、ドライバ部31を検査部20の先端部21よりも後方に移動させた(引き込んだ)状態を示すものであり、
図2は、ドライバ部31を検査部20の先端部21よりも前方に移動させた(突出させた)状態を示すものである。軸体33は、上述したとおり、柄部10を兼ねる筒体に収容されている。操作部32及び軸体33は、種々の材料(金属、合成樹脂、木等)で構成することができる。
【0027】
次に、
図3及び
図4を用いて、本実施形態に係る検査兼修正具1の使用方法について説明する。
【0028】
<検査>
まず、使用者は、
図3に示すように、検査兼修正具1の柄部10を把持するとともに増し締め部30の操作部32を引いてドライバ部31を検査部20の先端部21よりも後方に移動させた(引き込んだ)状態で、検査部20の先端部21を平坦面100に当接させる。そして、使用者は、検査部20の先端部21を平坦面100に当接させたまま、検査部20の先端部21を所定方向に滑らせることにより、平坦面100の凹凸(ビスの突出や板材の継目の段差)の有無を検査する。
【0029】
<修正>
使用者は、凹凸検査を経た結果、平坦面100からビスが突出していることを確認した場合に、
図4に示すように増し締め部30の操作部32を押してドライバ部31を検査部20の先端部21よりも前方に移動(突出)させる。その後、使用者は、増し締め部30の操作部32を回転操作することによりドライバ部32を回転させて、突出したビスを増し締めする。使用者は、増し締めを終えたら、増し締め部30の操作部32を引いてドライバ部31を引き込んだ状態で検査兼修正具1を所定の場所に保管することができる。
【0030】
以上説明した実施形態に係る検査兼修正具1においては、棒状の柄部10の先端側に設けられた検査部20を用いて、平坦面100の凹凸(ビスの突出や板材の継目の段差)を検査することができる。また、検査を経て平坦面100からビスが突出していることを確認した場合には、柄部10の後端側に設けられた増し締め部30の操作部32を操作することにより、柄部10の先端側に設けられた増し締め部30のドライバ部31を回転させて、突出したビスを増し締めして修正することができる。従って、凹凸検査用の検査具とビス増し締め用の工具とを持ち替える必要がなくなるため、作業の対象が作業床よりかなり高い位置に存在している天井下地面(平坦面100)であっても、凹凸の検査作業及び修正作業をきわめて効率良く行うことができる。
【0031】
また、以上説明した実施形態に係る検査兼修正具1においては、検査部20で平坦面100の凹凸を検査する際に、操作部32を操作してドライバ部31を検査部20の先端部21よりも後方(柄部10の後端側)に移動させることができるので、検査中にドライバ部31が妨げになることがない。一方、平坦面100からビスが突出していることを確認した場合には、操作部32を操作してドライバ部31を検査部20の先端よりも前方に移動(先端部21から突出)させて、速やかにビスを増し締めすることができる。この結果、作業性を向上させることができる。
【0032】
また、以上説明した実施形態に係る検査兼修正具1においては、ドライバ部31と操作部32とを連結する軸体33を介して、操作部32の回転操作及び押引操作をドライバ部31に伝達してドライバ部31の回転及び前後移動を実現させることができる。
【0033】
また、以上説明した実施形態に係る検査兼修正具1においては、ドライバ部31と操作部32とを連結する軸体33を、柄部10を兼ねる筒体に収容して保護することができる。また、筒体は柄部10を兼ねるため、柄部10と筒体を別々に設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。
【0034】
また、以上説明した実施形態に係る検査兼修正具1においては、検査部20の先端部12が一直線状となっているため、この先端部21を平坦面100に当接させた状態で検査部20を移動させることで、平坦面100の凹凸を検査することができる。
【0035】
また、以上説明した実施形態に係る検査兼修正具1においては、検査部20の先端部21の幅を、ビスの間隔に対応する所定寸法に設定しているため、平坦面100の凹凸検査と同時に、ビスの間隔が正常か否かを検査することができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、検査部20の先端部21の幅をビスの間隔に対応する所定寸法に設定した例を示したが、検査部20の先端部21に、ビスの間隔に対応する所定寸法の目盛りを設けることもできる。このような構成を採用しても、ビスの間隔が正常か否かを検査することができる。
【0037】
また、本実施形態においては、軸体33を介してドライバ部31と操作部32とを連結して増し締め部30を構成した例を示したが、増し締め部の構成はこれに限られるものではない。例えば、電気的な信号を伝達するための有線(又は無線)の信号伝達手段でドライバ部と操作部とを接続し、この信号伝達手段を介して操作部での回転・押引操作に係る信号をドライバ部に伝達してドライバ部の回転や前後移動を実現させるようにドライバ部を駆動する構成を採用することもできる。この際、ボタンやスティック等で回転・押引操作を行う操作部を採用してもよい。
【0038】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、かかる実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0039】
1…検査兼修正具
10…柄部
20…検査部
21…(検査部の)先端部
30…増し締め部
31…ドライバ部
32…操作部
33…軸体
100…平坦面