特許第6374246号(P6374246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374246
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】ガイド装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/035 20060101AFI20180806BHJP
   B29D 30/26 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B65H23/035
   B29D30/26
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-141406(P2014-141406)
(22)【出願日】2014年7月9日
(65)【公開番号】特開2016-16948(P2016-16948A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅貴
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−074934(JP,U)
【文献】 特開2009−046286(JP,A)
【文献】 特開平09−272238(JP,A)
【文献】 特開2005−193453(JP,A)
【文献】 特開平10−146901(JP,A)
【文献】 特開2008−260218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/00−23/16
B65H 23/24−23/34
B65H 27/00
B29D 30/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板からガイド板が立設した断面L字型の一対のガイドが対向して配置されており、搬送中のシート状ゴム材料の幅に応じて前記一対のガイドを開閉させ、前記シート状ゴム材料のエッジ部に前記ガイド板を接触させることにより、ベルトコンベア上を搬送される前記シート状ゴム材料の搬送をガイドするガイド装置であって、
前記一対のガイドのそれぞれの底板に、複数の凹部と凸部が形成されており、
一方の前記ガイドの底板の凸部が、対向した他方の前記ガイドの底板の凹部に嵌合して、底板を側方から見て面一となるように連結するように構成されている
ことを特徴とするガイド装置。
【請求項2】
前記一対のガイドの底板の上面側エッジ部にR加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載のガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベア上を搬送されるシート状ゴム材料をガイドするガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造に際しては、ゲージが薄い種々のシート状ゴム材料が搬送されるが、この搬送にローラーコンベアを用いると、ローラーコンベア間にシート状ゴム材料が落ち込んでしわが生じる恐れがあるため、一般にベルトコンベアが用いられている。このとき、搬送中のシート状ゴム材料が蛇行することがあり、この蛇行を防止するために種々のガイド装置が用いられている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
図4は従来のガイド装置の一例を模式的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。また、図4の(c)はガイド装置のガイド上をシート状ゴム材料が搬送されている状態を示す斜視図である。
【0004】
このガイド装置は、図4に示すように、底板15a、15bからガイド板17a、17bが立設した断面L字型の一対のガイド1a、1bが対向して配置されている。搬送コンベア20により搬送されたシート状ゴム材料6は、対向したガイド1a、1bのガイド板17a、17bに、両端のエッジ部6aの各々が接した状態で物理的に位置決めされながら底板15a、15b上を搬送される。
【0005】
また、このガイド装置は、搬送中のシート状ゴム材料6の各エッジ部6aをガイド1a、1bのガイド板17a、17bに適切に接触させるために、搬送されるシート状ゴム材料6の幅寸法に応じて一対のガイド1a、1bを開閉させることにより、図4(c)中の矢印のようにガイド板17a、17bの間隔を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−325228号公報
【特許文献2】特開2003−159694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のガイド装置の場合、幅広のシート状ゴム材料を搬送しようとすると、対向したガイド1a、1bの底板15a、15bが互いに離れて2つの底板15a、15bの間に隙間16ができる。そして、この隙間16が大きくなると、搬送中のシート状ゴム材料6が隙間16に落ち込んでしまい、各エッジ部6aとガイド板17a、17bとの間に隙間が生じる。この結果、搬送中のシート状ゴム材料6の蛇行を防止することが困難になる。
【0008】
このようなシート状ゴム材料6の落ち込みは、対向したガイド1a、1bの底板15a、15b同士が接触している場合、即ち、シート状ゴム材料6が最小幅のときには発生しないが、それ以外の場合には底板15a、15bの間に間隔16が形成されるため、シート状ゴム材料6の落ち込みが発生する。
【0009】
そこで、本発明は、幅広のシート状ゴム材料の搬送に際しても、ガイドの底板間の隙間へのシート状ゴム材料の落ち込みを防止し、搬送中のシート状ゴム材料の蛇行の発生を適切に防止することができるガイド装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
請求項1の発明は、
底板からガイド板が立設した断面L字型の一対のガイドが対向して配置されており、搬送中のシート状ゴム材料の幅に応じて前記一対のガイドを開閉させ、前記シート状ゴム材料のエッジ部に前記ガイド板を接触させることにより、ベルトコンベア上を搬送される前記シート状ゴム材料の搬送をガイドするガイド装置であって、
前記一対のガイドのそれぞれの底板に、複数の凹部と凸部が形成されており、
一方の前記ガイドの底板の凸部が、対向した他方の前記ガイドの底板の凹部に嵌合して、底板を側方から見て面一となるように連結するように構成されている
ことを特徴とするガイド装置である。

【0012】
請求項2の発明は、
前記一対のガイドの底板の上面側エッジ部にR加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載のガイド装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、幅広のシート状ゴム材料の搬送に際しても、ガイドの底板間の隙間へのシート状ゴム材料の落ち込みを防止し、搬送中のシート状ゴム材料の蛇行の発生を適切に防止することができるガイド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係るガイド装置を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るガイド装置を模式的に示す正面図である。
図3】一対のガイドが嵌合していない状態を模式的に示す上面図である。
図4】従来のガイド装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本実施の形態に係るガイド装置を模式的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)はガイド装置のガイド上をシート状ゴム材料が搬送されている状態を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係るガイド装置は、従来のガイド装置と同様に、底板5a、5bからガイド板7a、7bが立設した断面L字型の一対のガイド1a、1bが対向して配置されており、搬送中のシート状ゴム材料6の幅に応じて一対のガイド1a、1bを開閉させ、シート状ゴム材料6のエッジ部6aの各々にガイド板7a、7bを接触させることによりシート状ゴム材料6の搬送をガイドする。
【0018】
しかし、本実施の形態に係るガイド装置は、図1(b)に示すように、一対のガイド1a、1bのそれぞれの底板5a、5bに、複数の凹部4a、4bと凸部3a、3bが形成されており、一方のガイド1aの底板5aの凸部3aと対向した他方のガイド1bの底板5bの凹部4bとが、ガイド1a、1bの間隔を最大まで広げた場合でも、常に互いに嵌合するように構成されている点で従来と異なる。
【0019】
例えば、図1においては、右側のガイド1aの底板5aに3つの凸部3aと4つの凹部4aが形成されており、左側のガイド1bの底板5bに4つの凸部3bと3つの凹部4bが形成され、各ガイド1a、1bが全体としてクシ型形状になっている。また、一対のガイド1a、1bは、シート状ゴム材料6の幅に応じて開閉機構(図示省略)によって凹部と凸部が嵌合した状態で開閉させることができる。
【0020】
このように、対向したガイド1a、1bの底板5a、5bにクシ型の凹凸形状を設け、最大幅のシート状ゴム材料6を搬送する場合でも凹部と凸部が嵌合するように、凹部と凸部の長さを適宜設定することにより、ガイド1a、1bの間隔を広げた場合でも互いの底板5a、5bを連結させることができる。
【0021】
これにより、従来のガイド装置のようにガイドの底板の間に大きな隙間(図4の符号16参照)が形成されることがなく、搬送中のシート状ゴム材料が2つのガイドの底板の間の隙間に落ち込むことがない。
【0022】
この結果、シート状ゴム材料6のエッジ部6aとガイド板7a、7bとを適切に接触させたままガイドしながらシート状ゴム材料6を搬送することができるため、搬送中のシート状ゴム材料6の蛇行を適切に防止することができる。
【0023】
また、図4に示すような従来のガイド装置の場合、ガイド1a、1bの底板15a、15bから搬送コンベア20にシート状ゴム材料6を搬送させる際に、底板15a、15bの上面側エッジ部15cにシート状ゴム材料6が引っ掛かり、蛇行やしわが発生する恐れがあった。
【0024】
このため、図1中のガイド1a、1bの底板5a、5bの上面側エッジ部5cにはR加工が施されていることが好ましい。これにより、搬送中のシート状ゴム材料6が底板5a、5bの上面側エッジ部5cに引っ掛かることを防止して、蛇行やしわの発生を適切に防止することができる。
【0025】
また、本実施の形態に係るガイド装置は、ガイド板7a、7bとシート状ゴム材料6のエッジ部6aとが適切に接触するように、対向したガイド1a、1bの間隔を調整する開閉機構を備えている。
【0026】
この開閉機構は、図2に示すように、電気モーター10に取付けられたタイミングベルト11によりボールネジ12を回転させることにより、搬送中のシート状ゴム材料6の幅に応じてガイド1a、1bを開閉させることができる。なお、図中の13はカップリング、14はLMガイドである。また、開閉機構の駆動設備には、上記した電気モーターに替えてエアシリンダーを用いることができる。
【0027】
また、図1中の符号L1と図3中の符号L2は、何れも一方のガイド1aの底板5aの凸部3aの先端から他方のガイド1bの底板5bの凸部3bの先端までの距離を示している。即ち、図1に示すように、ガイド1a、1bが嵌合している場合には、凸部3aの先端から凸部3bの先端までの距離が凸部3a、3bのオーバーラップ量L1を示す。また、図3に示すようにガイド1a、1bが離れている場合には、凸部3aの先端から凸部3bの先端までの距離がガイド1a、1bの間に形成された隙間16の距離L2を示す。
【0028】
図1に示すように、ガイド1a、1bの底板5a、5bを常に嵌合させて隙間を生じさせないようにするためには、ガイド1a、1bの間隔を最大まで広げた場合であっても、ガイド1a、1bが嵌合してオーバーラップ量L1が0mm以上になるように、それぞれの凸部3a、3bの長さを設定する必要がある。
【0029】
一方、図3に示すように、ガイド1a、1bの間隔を最大まで広げた場合に、ガイド1a、1bが嵌合せず、隙間16の距離L2が0mmよりも大きくなると、従来と同様に、搬送中のシート状ゴム材料が隙間16に落ち込む恐れがあるため蛇行が発生する恐れがある。
【0030】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1a、1b ガイド
3a、3b 凸部
4a、4b 凹部
5a、5b、15a、15b 底板
5c、15c 底板の上面側エッジ部
6 シート状ゴム材料
6a シート状ゴム材料のエッジ部
7a、7b、17a、17b ガイド板
10 電気モーター
11 タイミングベルト
12 ボールネジ
13 カップリング
14 LMガイド
16 隙間
20 搬送コンベア
L1 オーバーラップ量
L2 隙間の距離
図1
図2
図3
図4