(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記ラックから排出される空気の温度が第1の所定の範囲の上限値より高いという条件と、前記ラックに吸入される空気の温度が第2の所定の範囲の上限値より高いという条件との少なくとも一方を満たすとき、該ラックに対して設けられた前記送風機の回転数を増加させる、ことを特徴とする請求項2に記載の空調システム。
前記制御手段は、前記ラックから排出される空気の温度が第1の所定の範囲の下限値より低いという条件と、前記ラックに吸入される空気の温度が第2の所定の範囲の下限値より低いという条件との少なくとも一方を満たすとき、該ラックに対して設けられた前記送風機の回転数を減少させる、ことを特徴とする請求項2または3に記載の空調システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る空調システムの全体概要を示す側面図である。
図1に示す通り、本実施の形態に係る空調システム100は、複数のラック2を設置した被空調室1内の空調を、ファンユニット10を用いて行うシステムである。
【0016】
空調システム100の具体的な構成について、
図1〜
図5を参照して説明する。
図2は、
図1のA−A線矢視図である。また、
図3は、
図1のB−B線矢視図である。また、
図4は、
図1のC−C線矢視図である。
図5は、
図3および
図4のD−D線矢視図である。なお、
図1から
図5においては、空気の流れを破線の矢印で示している。
【0017】
被空調室1には、複数のラック2が設置されている。
図2に示す通り、本実施の形態における被空調室1には、6つのラック2が連続して列(ラック列と呼ぶ)をなすように設置されている。ラック2は複数の電子機器装置を搭載している。ラック2は、冷気C1を吸入する吸入面(前面2aと呼ぶ)と暖気W1を排出する面(背面2bと呼ぶ)とを有している。ラック2は、1つの列において、前面2aが同じ方向を向くように設置されている。
【0018】
そして、被空調室1には、複数のラック列(
図2では2列)が含まれている。ラック列は互いに所定の間隔を有して設置されている。また、一方のラック列に含まれるラック2と他のラック列のラック2とは、前面2a同士が対向するように設置されている。
【0019】
また、ラック2の前面2aに吸入される冷気と、背面2bから排出される暖気とが混在しないように、被空調室1には、ラック2の前面2a側の空間と、背面2b側の空間とを仕切る仕切り1aが設けられている。この仕切り1aの材質は特に限定されず、設置することにより冷気と暖気とが混在しないものであればよい。
【0020】
なお、
図1の被空調室1の周囲には、例えば、廊下などの空間(
図1では、廊下9)がある。廊下9と、被空調室1とは、互いの空気が行き来しないように、壁8等によって区切られた空間である。なお、上記廊下9等の区間は、
図2に示す通り、被空調室1の全周にある構成であってもよいし、一部のみにある構成であってもよい。
【0021】
被空調室1と、被空調室1の天井の上の空間(天井裏空間3と呼ぶ)とは、天井板4によって分離されている。つまり、天井板4の被空調室1側の面が、被空調室1の天井である。
【0022】
天井裏空間3は、仕切り板5によって、上部層と下部層とに分離された二層構造(二重構造)をなしている。天井裏空間3のうち、天井板4と仕切り板5との間の空間、つまり、仕切り板5の面のうち被空調室1側の面が面している空間(レタンチャンバ6と呼ぶ)は、被空調室1から吸入された空気(暖気W1)の戻り側の通路(戻り通路)となる。また、天井裏空間3のうち、仕切り板5の上部の空間(サプライチャンバ7と呼ぶ)は、被空調室1に対し、冷たい空気(冷気C1)を送り込む(供給する)送風側の通路(供給通路)となる。なお、仕切り板5の上部の空間とは、
図1に示す通り、仕切り板5の面のうち、レタンチャンバ6側の面とは反対側の面が面している空間である。
【0023】
レタンチャンバ6は、天井板4の上側の面(天井板4の被空調室1側の面とは反対側の面)の全面にわたって連続している。同様に、サプライチャンバ7は、仕切り板5の上側の面(レタンチャンバ6側の面とは反対側の面)の全面にわたって連続している。
【0024】
なお、本実施の形態において、ラック2は2列であり、各列のラック2の数は6つであることを例に説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
天井板4には、
図1および
図3に示す通り、開口4a(第1の開口)と、開口4b(第2の開口)とが形成されている。開口4aは、被空調室1とレタンチャンバ6とを通じる。なお、
図3には、説明の便宜上、
図2に示したラック2が破線で、壁8が一点鎖線で示されている。開口4aは、被空調室1のラック2から排出された暖気W1を吸込み、当該暖気W1をレタンチャンバ6に送り込む。開口4aが形成される天井板4上の位置は、暖気W1を吸い込むことができる位置であればよく、ラック2から排出された暖気W1によって形成されるホットアイルの上部であることが好ましい。
【0026】
なお、
図3に示す開口4aの形状および数は、一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。開口4aの形状は、暖気W1を吸い込むことが可能な形状であればよい。また、開口4aの数は、暖気W1を被空調室1内に滞留させることなく好適に吸い込むことができる数であればよい。
【0027】
開口4bは、被空調室1と、サプライチャンバ7とを、ファンユニット10のダクト12を介して通じる。開口4bが形成される天井板4上の位置は、被空調室1に対し、ラック2の前面2aに冷気C1を送り込むことができる位置であることが好ましい。例えば、開口4bが形成される位置は、ラック2の前面2a同士が向かい合って設置されることによって形成された通路(コールドアイル)の上部であることが好ましい。
【0028】
開口4bには、送風機11を含むファンユニット10が取り付けられている。ファンユニット10は、送風機11と、上述したダクト12と、送風機11の回転数を制御する制御部13(不図示)とを含んでいる。制御部13は、後述する制御装置20からの指示に従い、該制御部13に関連付けられた送風機11の回転数を制御する。
【0029】
ファンユニット10の送風機11は、サプライチャンバ7を通過した冷気C1を被空調室1に供給するものである。送ファンユニット10は、
図3に示す通り、前面2a同士が対向して設置された2つのラック2に対し、1つ設けられている。以降、あるラック2の前面2aに冷気C1を送り込むファンユニット10を、「ラック2に対応するファンユニット10」と呼ぶ。
【0030】
天井板4上には、
図3に示す通り、加湿器41が設置されている。加湿器41は、レタンチャンバ6に送り込まれた暖気W1に対し、除湿または加湿を行うことにより、空気を所定の湿度に調整するものである。これにより、外乱による湿度の変化が起こった場合であっても、空調システム100は、安定した湿度の空気を被空調室1に送ることができる。加湿器41の数は、特に限定されるものではなく、空気の湿度を安定させることができる数であればよい。
【0031】
また、加湿器41は、気化式加湿器であることが好ましい。また、加湿器41は、
図3に示す通り、廊下9上のように、被空調室1上部ではない位置に設置されることが好ましい。これにより、例えば、加湿器41からの漏水リスクを被空調室1内から遠ざけることができる。
【0032】
次に、
図1、
図4および
図5を参照して、サプライチャンバ7について説明する。なお、
図4には、説明の便宜上、
図2に示した壁8が一点鎖線で示されている。仕切り板5上には、
図1、
図4および
図5に示す通り、開口5a(第3の開口)が設けられている。開口5aは、被空調室1と、サプライチャンバ7とを、ファンユニット10のダクト12を介して連結するためのものである。つまり、天井板4と、仕切り板5とには、夫々同じ平面位置に上述した開口4bと開口5aとが形成されている。そして、ダクト12は、一端が上述した開口4bに接続され、他端が開口5aに接続されている。これにより、レタンチャンバ6内の暖気W1がダクト12内に入らないようになっている。
【0033】
なお、本実施の形態では、開口4bと開口5aとが同じ大きさであることを例に説明を行うが本発明はこれに限定されるものではない。開口4bと開口5aとは、ダクト12で接続可能な大きさであればよい。また、ダクト12の材質は特に限定されず、フレキシブルな特性を有したものであればよい。
【0034】
仕切り板5上には、
図4に示す通り、冷却デバイス51が設置されている。本実施の形態で使用する冷却デバイス51は、例えば、冷却コイルである。冷却コイルの例としては、該冷却コイルで使用する冷水の温度が15度〜25度である、ドライコイルが挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。冷却デバイス51は、入力された暖気W1を冷却し、冷気C1をレタンチャンバ6に排出する。冷却デバイス51は、図示しない熱源機器に接続しており、この熱源機器が冷水を供給することにより、所定の温度の冷気C1を排出する。冷却デバイス51の数は、特に限定されるものではなく、所定の温度の冷気C1を排出することが可能な数であればよい。
【0035】
なお、ダクト12は、送風機11毎に、物理的に仕切られて設けられる構成であってもよい。また、複数の送風機11に対し、1つのダクト12が設けられる構成であってもよい。本実施の形態においては、1つの送風機11に対し、1つのダクト12が対応付けられて設けられることを例に説明を行う。
【0036】
また、冷却デバイス51は、
図5では、仕切り板5に対し、垂直に立てられた状態で設置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。冷却デバイス51は、仕切り板5に対し、所定の角度をなすように設けられる構成であってもよい。
図6は、冷却デバイス51の設置の変形例を示す図である。
図6に示す通り、冷却デバイス51が、仕切り板5に対して所定の角度をなすように設けられることにより、冷却デバイス51の全面を効率的に利用することができる。
【0037】
また、冷却デバイス51は、
図4に示す通り、廊下9上のように、被空調室1上部ではない位置に設置されることが好ましい。これにより、例えば、冷却デバイス51および冷却デバイス51に接続している冷水を供給するための配管からの漏水リスクを被空調室1内から遠ざけることができる。
【0038】
また、レタンチャンバ6と、サプライチャンバ7とは逆に設けられる構成であってもよい。
図1に示すように、レタンチャンバ6の上部にサプライチャンバ7を設けることにより、より消費電力を低減することができる。なぜならば、暖気は上方に向かい、冷気は下方に向かう性質を有しているため、少ない電力で、サプライチャンバ7まで、暖気を上昇させることができるためである。
【0039】
(空調システム100の空気の流れ)
次に、
図1から
図5を参照して、空気の流れについて説明する。ラック2の背面2bから排出された暖気W1は、開口4aからレタンチャンバ6に流入する。そして、暖気W1は、冷却デバイス51によって冷却される。冷却デバイス51は、冷却した空気(冷気C1)をサプライチャンバ7に排出する。サプライチャンバ7を通過する冷気C1は、ダクト12を通り、送風機11によって、被空調室1内に供給される。そして、送風機11から供給された冷気C1は、ラック2の前面2aからラック2内に吸入される。
【0040】
(制御装置20について)
次に、ファンユニット10の制御部13を制御する制御装置(制御手段)20について説明を行う。制御装置20は、例えば、廊下9等の被空調室1の外側の領域に設けられるものである。これにより、被空調室1内の領域を有効に利用することができる。したがって、ラック2の設置効率を向上させることができる。
【0041】
図7は、本実施の形態に係る制御装置20の機能構成を示す機能ブロック図である。
図7に示す通り、制御装置20は、1以上の制御部(13−1〜13−N(Nは自然数))と、1以上の前面側温度計(21−1〜21−M(Mは自然数))と、1以上の背面側温度計(22−1〜22−L(Lは自然数))とに通信可能に接続されている。
【0042】
なお、本実施の形態では、複数の制御部13−1〜13−Nの夫々を区別しない場合、または、総称する場合には、これらを制御部13と呼ぶ。同様に、前面側温度計21−1〜21−Mの夫々を区別しない場合、または、総称する場合には、これらを前面側温度計21と呼び、背面側温度計22−1〜22−Mの夫々を区別しない場合、または、総称する場合には、これらを背面側温度計22と呼ぶ。
【0043】
前面側温度計21は、ラック2の前面2a側に設置され、前面2aから吸入する冷気C1の温度を計測する。前面側温度計21は、ラック2毎に設置されるものであってもよいし、所定の数のラック2毎に、設けられるものであってもよい。また、前面側温度計21の設置位置は特に限定されず、冷気C1の温度が計測可能な位置であればよい。前面側温度計21の設置位置は、例えば、コールドアイル上の天井(天井板4の被空調室1側の面上)であってもよいし、ラック2の前面2aであってもよい。本実施の形態では、前面側温度計21は、前面2a同士が対向して設置された2つのラック2に対し、1つ設けられていることを例に説明を行う。
【0044】
背面側温度計22は、ラック2の背面2b側に設置され、背面2bから排出される暖気W1の温度を計測する。背面側温度計22は、ラック2毎に設置されるものであってもよいし、所定の数のラック2毎に、設けられるものであってもよい。また、背面側温度計22の設置位置は特に限定されず、暖気W1の温度が計測可能な位置であればよい。背面側温度計22の設置位置は、例えば、ホットアイル上の天井(天井板4の被空調室1側の面上)であってもよいし、ラック2の背面2bであってもよい。本実施の形態では、背面側温度計22は、ラック2毎に設けられていることを例に説明を行う。
【0045】
制御装置20は、各前面側温度計21および各背面側温度計22から計測結果(温度)を受信する。
【0046】
図7に示す通り、制御装置20は、記憶部201および指示送信部202を備えている。
【0047】
記憶部201には、前面側温度計21および背面側温度計22の設置位置を示す情報(位置情報)と、前面側温度計21および背面側温度計22が設置されたラック2の前面2a側の空間(コールドアイル)の上部に設置されたファンユニット10を示す情報(ファンユニット情報)とが関連付けられて格納されている。なお、記憶部201は、制御装置20内に内蔵されるものであってもよいし、制御装置20の外部に接続される記憶装置で実現されるものであってもよい。
【0048】
また、所定数のラック2に対し、1つの前面側温度計21および/または1つの背面側温度計22が設置される構成の場合に、記憶部201に記憶される情報について説明する。この場合、記憶部201には、所定数のラック2の夫々に対応するファンユニット10を示すファンユニット情報の集合と、前面側温度計21および/または背面側温度計22の設置位置を示す位置情報とが関連付けて格納される。
【0049】
なお、記憶部201に上記情報が格納されるタイミングは、前面側温度計21または背面側温度計22が設置されたタイミングであってもよいし、空調システム100が運用を開始するタイミングであってもよいし、その他のタイミングであってもよい。
【0050】
指示送信部202は、各前面側温度計21および/または各背面側温度計22から計測結果を受信する。指示送信部202は、計測結果を送信した前面側温度計21または背面側温度計22が設置されている位置を特定する。そして、指示送信部202は、特定した位置の位置情報に関連付けられたファンユニット情報を、記憶部201から取得する。その後、指示送信部202は、取得したファンユニット情報が示すファンユニット10の送風機11の回転数を、受信した計測結果に基づいて制御する指示を生成する。このとき、指示送信部202は、該ファンユニット10の送風機11の回転数を算出し、該送風機11が該回転数になるように制御する指示を生成してもよい。そして、指示送信部202は、生成した指示を、該ファンユニット10の制御部13に対し、送信する。
【0051】
例えば、指示送信部202は、背面側温度計22の温度が第1の所定の範囲(例えば、25度〜35度)の上限値より高いとき、背面側温度計22が設置されたラック2に対応するファンユニット10の送風機11の回転数を上げる指示を、該ファンユニット10の制御部13に送信する。
【0052】
これにより、制御装置20は、所定の値より高い温度の暖気W1を排出しているラック2に送風する冷気C1の量を増やすことができる。
【0053】
また、指示送信部202は、例えば、前面側温度計21の温度が第2の所定の範囲(例えば、15度〜25度)の上限値より高いとき該前面側温度計21が設置されたラック2に対応するファンユニット10の送風機11の回転数を上げる指示を、該ファンユニット10の制御部13に送信する。
【0054】
これにより、制御装置20は、冷気C1の温度が所定の値より高い位置における冷気C1の量を増やすことができる。
【0055】
また、指示送信部202は、例えば、背面側温度計22の温度が第1の所定の範囲(例えば、25度〜35度)の下限値より低いとき、該背面側温度計22が設置されたラック2に対応するファンユニット10の送風機11の回転数を下げる指示を、該ファンユニット10の制御部13に送信する。
【0056】
これにより、制御装置20は、暖気W1の排出量が小さい、つまり、電子機器装置の稼働率が小さいラック2に対し、冷気C1の送風量を減らすことができる。
【0057】
また、指示送信部202は、例えば、前面側温度計21の温度が第2の所定の範囲(例えば、15度〜25度)の下限値より低いとき該前面側温度計21が設置されたラック2に対応するファンユニット10の送風機11の回転数を下げる指示を、該ファンユニット10の制御部13に送信する。
【0058】
これにより、冷気C1の供給量を適量に制御することができる。
【0059】
その後、ファンユニット10の制御部13は、制御装置20から送信された指示に基づき、送風機11の回転数を制御する。具体的には、制御部13は、送風機11の周波数を制御することにより、送風機11の回転数を制御する。なお、送風機11の回転数の制御方法は周波数を制御することに限定されるものではなく、どのような方法を用いてもよい。
【0060】
なお、本実施の形態では、各送風機11に対応付けられた制御部13が、制御装置20に基づき送風機11の回転数を制御することについて説明を行ったが、制御装置20が各送風機11を制御してもよい。
【0061】
送風機11の回転数が増えると、冷気C1の供給量も増える。よって、開口4aからレタンチャンバ6に戻る暖気W1の量も増える。反対に、送風機11の回転数が少なくなると、冷気C1の供給量が減り、レタンチャンバ6に戻る暖気W1の量も減る。このように、送風機11の回転数を制御することにより、空調システム100は、被空調室1内で循環する空気の量を調整することができる。
【0062】
(ハードウェア構成について)
図7に示した制御装置20および制御部13のハードウェア構成について説明する。
図7に示した制御装置20の各部および制御部13は、
図8に例示するハードウェア資源で実現してもよい。即ち、
図8に示す構成は、RAM(Random Access Memory)101、ROM(Read Only Memory)102、通信インタフェース103、記憶媒体104およびCPU(Central Processing Unit)105を備える。CPU105は、ROM102または記憶媒体104に記憶された各種ソフトウェアプログラム(コンピュータプログラム)を、RAM101に読み出して実行することにより、制御装置20および制御部13の全体的な動作を司る。すなわち、本実施の形態において、CPU105は、ROM102または記憶媒体104を適宜参照しながら、制御装置20が備える各機能(各部)および制御部13の機能を実行するソフトウェアプログラムを実行する。
【0063】
また、本実施の形態を例に説明した本発明は、制御装置20および制御部13に対して、上記説明した機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給した後、そのコンピュータプログラムを、CPU105がRAM101に読み出して実行することによって達成される。
【0064】
また、係る供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能なメモリ(一時記憶媒体)またはハードディスク装置等のコンピュータ読み取り可能な記憶デバイスに格納すればよい。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを表すコード或いは係るコンピュータプログラムを格納した記憶媒体によって構成されると捉えることができる。
【0065】
上述した本実施の形態では、
図7に示した制御装置20における各ブロックおよび制御部13に示す機能を、
図8に示すCPU105が実行する一例として、ソフトウェアプログラムによって実現する場合について説明した。しかしながら、
図7に示した各ブロックに示す機能は、一部または全部を、ハードウェアの回路として実現してもよい。
【0066】
(効果)
本実施の形態に係る空調システム100によれば、より消費電力を低減することができる。なぜならば、ラック2から排出された暖気W1がレタンチャンバ6を通り、冷却デバイス51で冷却されるからである。そして、冷気C1がダクト12を介して送風機11から被空調室1内に送風され、送風機11によって送風された冷気C1は、ラック2の前面2aからラック2内に吸入されるからである。
【0067】
これにより、空調システム100は、機器の配線が配置される床下の空間を用いた空調方式と異なり、該配線の影響を受けることなく、空調を行うことができる。
【0068】
また、2台のラックに対し、1つの送風機11を設ける構成により、空調システム100は、あるラック列に含まれるラック2に搭載された電子機器装置の数や稼働率に応じて、ラック2に送風する冷気C1の量を調整することができる。したがって、本実施の形態に係る空調システム100は、より好適に空調に掛かる消費電力を低減することができる。
【0069】
また、天井裏空間3を二重構造とすることにより、フリーアクセスフロアを構築する必要がない。したがって、フリーアクセスフロアを構築する構成に比べ、イニシャルコストを削減することができる。
【0070】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について、
図9を参照して説明する。本実施の形態では、本発明の課題を解決する最小の構成について説明を行う。
【0071】
図9は、本実施の形態に係る空調システム200の概念を説明するための図である。なお、説明の便宜上、前述した第1の実施の形態で説明した図面に含まれる部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
本実施の形態に係る空調システム200は、電子機器装置(不図示)を搭載したラック2が設置された被空調室1の空調を行う空調システムである。
図9に示す通り、空調システム200は、被空調室1の天井裏空間3が、上部層31と下部層32とに分離した二重構造(二層構造)を成すように形成されている。上部層31と下部層32とのうち、一方の層は被空調室1に空気を供給する供給通路(サプライチャンバ7)であり、他方の層は被空調室1からの空気が戻る戻り通路(レタンチャンバ6)である。
図9においては、上部層31が供給通路であり、下部層32が戻り通路であることを例に説明を行うが、逆であってもよい。
【0073】
上部層31と下部層32とは、仕切り板5によって分離されている。被空調室1の天井板4には、開口(第1の開口)4aと、開口(第2の開口)4bとが設けられている。また、仕切り板5には、開口4bとダクト12を介して連結する開口(第3の開口)5aが設けられている。
【0074】
また、空調システム200は、ラック2の背面2bから排出され開口4aを介してレタンチャンバ6に流入する空気(暖気W1)を冷却し、冷気C1をサプライチャンバ7に排出する冷却デバイス51を備えている。更に、空調システム200は、開口4bに設けられ、サプライチャンバ7を通過した冷気C1を前記被空調室に供給する送風機11を備えている。
【0075】
送風機11は、ラック2における、冷気C1を吸入する側の吸入面(前面2a)が互いに対向するように所定の間隔を有して配置された2つのラック2ごとに、前面2aに冷気C1が吸入されるように設けられている。
【0076】
これにより、ラック2から排出された暖気W1がレタンチャンバ6を通り、冷却デバイス51で冷却される。そして、冷気C1がダクト12を介して送風機11から被空調室1内に送風される。送風機11によって送風された冷気C1は、ラック2の前面2aからラック2内に吸入される。
【0077】
これにより、空調システム200は、上述した第1の実施の形態と同様に、機器の配線が配置される床下の空間を用いた空調方式と異なり、該配線の影響を受けることなく、空調を行うことができる。したがって、本実施の形態に係る空調システム200は、より低い電力で効率的にラック2を冷却することができる。
【0078】
なお、上述した各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、上記各実施の形態にのみ本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者が上記各実施の形態の修正や代用を行い、種々の変更を施した形態を構築することが可能である。