特許第6374262号(P6374262)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374262
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】消音装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/02 20060101AFI20180806BHJP
   F01N 13/14 20100101ALI20180806BHJP
【FI】
   F01N1/02 S
   F01N13/14
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-158949(P2014-158949)
(22)【出願日】2014年8月4日
(65)【公開番号】特開2016-29269(P2016-29269A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2017年6月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-147617(P2014-147617)
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100137822
【弁理士】
【氏名又は名称】香坂 薫
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤橋 克己
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−101757(JP,A)
【文献】 特開昭57−012190(JP,A)
【文献】 特開平08−226316(JP,A)
【文献】 特開平02−072291(JP,A)
【文献】 特開平08−137479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/02
F01N 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口を有し、前記開口のうち第1の開口が騒音源に連結される管路と、
前記管路における第1の開口から第2の開口側に離れた位置の壁面に径外方向へ突出して設けられ、前記壁面側の端部が前記管路と連通し、他端部が閉塞した管状の消音器と、を備え、
前記騒音源から発生する騒音の波長がλである場合に、前記消音器の長さがλ/4であり、
前記消音器は、当該消音器内の温度上昇を抑制することにより前記消音器内における音速を低下させる温度抑制部を有し、
前記温度抑制部は、前記消音器の端部のうち、前記管路の壁面側の端部に設けられ、前記管路内から前記消音器内へ、空気の流入を抑制するとともに音の伝搬は許容して、前記消音器内の温度上昇を抑制する空気遮断部を有し、
前記空気遮断部は、前記管路内に空気を封入する薄膜部材である、
消音装置。
【請求項2】
両端に開口を有し、前記開口のうち第1の開口が騒音源に連結される管路と、
前記管路における第1の開口から第2の開口側に離れた位置の壁面に径外方向へ突出して設けられ、前記壁面側の端部が前記管路と連通し、他端部が閉塞した管状の消音器と、を備え、
前記騒音源から発生する騒音の波長がλである場合に、前記消音器の長さがλ/4であり、
前記消音器は、当該消音器内の温度上昇を抑制することにより前記消音器内における音速を低下させる温度抑制部を有し、
前記温度抑制部は、前記消音器の端部のうち、前記管路の壁面側の端部に設けられ、前記管路から前記消音器への熱の伝搬を抑制する熱遮断部を有する、
消音装置。
【請求項3】
両端に開口を有し、前記開口のうち第1の開口が騒音源に連結される管路と、
前記管路における第1の開口から第2の開口側に離れた位置の壁面に径外方向へ突出して設けられ、前記壁面側の端部が前記管路と連通し、他端部が閉塞した管状の消音器と、を備え、
前記騒音源から発生する騒音の波長がλである場合に、前記消音器の長さがλ/4であり、
前記消音器は、当該消音器内の温度上昇を抑制することにより前記消音器内における音速を低下させる温度抑制部を有し、
前記温度抑制部は、前記消音器を冷却する水冷式の冷却装置を有する、
消音装置。
【請求項4】
両端に開口を有し、前記開口のうち第1の開口が騒音源に連結される管路と、
前記管路における第1の開口から第2の開口側に離れた位置の壁面に径外方向へ突出して設けられ、前記壁面側の端部が前記管路と連通し、他端部が閉塞した管状の消音器と、を備え、
前記騒音源から発生する騒音の波長がλである場合に、前記消音器の長さがλ/4であり、
前記消音器は、当該消音器内の温度上昇を抑制することにより前記消音器内における音速を低下させる温度抑制部を有し、
前記温度抑制部は、前記消音器内に設置されると共に前記管路に向けて風を送る送風機を有する、
消音装置。
【請求項5】
両端に開口を有し、前記開口のうち第1の開口が騒音源に連結される管路と、
前記管路における第1の開口から第2の開口側に離れた位置の壁面に径外方向へ突出して設けられ、前記壁面側の端部が前記管路と連通し、他端部が閉塞した管状の消音器と、を備え、
前記騒音源から発生する騒音の波長がλである場合に、前記消音器の長さがλ/4であり、
前記消音器は、当該消音器内の温度上昇を抑制することにより前記消音器内における音速を低下させる温度抑制部を有し、
前記温度抑制部は、前記管路から前記消音器内への空気の流入を抑制するガイドを有する、
消音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調のダクトや内燃機関の排気管等において、低周波の騒音を低減するために、サイドブランチ型の消音器を管路に設置することが知られている。例えば、本出願人が先に開示した特許文献1には、両端に開口を有し、前記開口のうち第1の開口が騒音源に連結される管路と、前記管路における第1の開口から第2の開口側に離れた位置の壁面に径外方向へ突出して設けられ、前記壁面側の端部が前記管路と連通し、他端部が閉塞した管状の消音器とを備える消音装置が開示されている。この特許文献1に記載の消音装置は、前記騒音源から発生する騒音の波長がλである場合に、前記消音器の長さをλ/4とし、前記管路の第1の開口から前記消音器の接合位置までの長さと前記管路の第2の開口から前記消音器の接合位置までの長さとを夫々(2n+1)λ/4(但し、nは0を含む自然数)とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−101757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に記載のような消音装置は、より小型化することができれば、適用範囲を広げることができる。そこで、本発明は、このような問題に鑑み、消音効果が得られ、かつ、従来よりも小型化できる消音装置に関する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、消音装置を構成する管路内の温度上昇を抑制することで、従来よりも管路を短くできることを見出した。
【0006】
詳細には、本発明は、両端に開口を有し、前記開口のうち第1の開口が騒音源に連結される管路と、前記管路における第1の開口から第2の開口側に離れた位置の壁面に径外方向へ突出して設けられ、前記壁面側の端部が前記管路と連通し、他端部が閉塞した管状の消音器と、を備え、前記騒音源から発生する騒音の波長がλである場合に、前記消音器の長さがλ/4であり、前記消音器は、当該消音器内の温度上昇を抑制する温度抑制部を有する、消音装置である。
【0007】
本発明に係る消音装置は、管路の途中に、長さがλ/4の消音器を連通させ、ることで、効果的に消音できる。波長(λ)は、音速の影響を受け、音速は温度の影響を受ける。消音器内の温度が高くなると音速が速くなり、波長が長くなり、結果として、消音器の長さが相対的に長くなる。本発明に係る消音装置では、消音器内の温度上昇を抑制することで、従来(温度抑制部を設けない場合)よりも、音速が遅くなり、波長を短くすることができる。その結果、消音器の長さを従来と比較して短くすることができる。その結果、消音装置を従来よりも小型化することができる。
【0008】
本発明に係る消音装置において、例えば、前記温度抑制部は、前記消音器内の温度上昇を抑制する屈曲部を有するものでもよい。屈曲部を設けることで、消音器内への空気の流入が抑制され、空気を伝達媒体とする熱の移動が抑制される。その結果、消音器内の温度
上昇が抑制される。屈曲部は、複数でもよい。屈曲部を複数設け、消音器の路を複雑化することで、消音器内の温度上昇をより効果的に抑制できる。
【0009】
また、本発明に係る消音装置において、例えば、前記温度抑制部は、前記消音器の端部のうち、前記管路の壁面側の端部に設けられ、前記管路内から前記消音器内へ、空気の流入を抑制するとともに音の伝搬は許容して、前記消音器内の温度上昇を抑制する空気遮断部を有するものでもよい。管路内から消音器内への空気の流入を抑制することで、空気を伝達媒体とする熱の移動が抑制される。その結果、消音器内の温度上昇が抑制される。一方、管路内から消音器内への音の伝搬は許容されることから、消音効果は維持することができる。
【0010】
また、本発明に係る消音装置において、例えば、前記温度抑制部は、前記消音器の端部のうち、前記管路の壁面側の端部に設けられ、前記管路から前記消音器への熱の伝搬を抑制する熱遮断部を有するものでもよい。管路から消音器への熱の伝搬を抑制することで、管路や消音器を伝達媒体とする熱の移動が抑制される。その結果、消音器内の温度上昇が抑制される。
【0011】
また、本発明に係る消音装置において、例えば、前記温度抑制部は、消音器を冷却する冷却装置、消音器内に設置され、管路に向けて風を送る送風機、管路から消音器内への空気の流入を抑制するガイドのうち、少なくとも何れか一つを含むものでもよい。これらによっても、消音器内の温度上昇を抑制することができる。
【0012】
また、本発明に係る消音装置において、前記管路の第1の開口から前記消音器の接合位置までの長さと前記管路の第2の開口から前記消音器の接合位置までの長さとが夫々(2n+1)λ/4(但し、nは0を含む自然数)としてもよい。管路の途中に、長さがλ/4の消音器を連通させ、更に、管路の第1の開口から消音器の接合位置までの長さと管路の第2の開口から消音器の接合位置までの長さとを夫々(2n+1)λ/4(但し、nは0を含む自然数)とすることで、より効果的に消音できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、消音効果が得られ、かつ、従来よりも小型化できる消音装置に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1実施形態に係る消音装置の平面図を示す。
図2図2は、比較例に係る消音装置の平面図を示す。
図3図3は、比較例に係る消音装置における、サイドブランチ内の温度と発電機運転時間との関係を示す。
図4図4は、温度測定位置が記入された、第1実施形態に係る消音装置の平面図を示す。
図5図5は、第1実施形態に係る消音装置における、サイドブランチ内の温度と発電機運転時間との関係を示す。
図6図6は、第2実施形態に係る消音装置の平面図を示す。
図7図7は、第3実施形態に係る消音装置の平面図を示す。
図8図8は、第4実施形態に係る消音装置の平面図を示す。
図9図9は、第5実施形態に係る消音装置の平面図を示す。
図10図10は、第6実施形態に係る消音装置の平面図を示す。
図11図11は、変形例1に係る消音装置の平面図を示す。
図12図12は、変形例2に係る消音装置の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、本発明に係る消音装置を内燃機関を有する発電機の消音装置として用いる場合を一例として説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明は以下で説明する態様に限定されない。例えば、本発明は、空調のダクトや燃料電池の空気導入管などの消音装置として用いることができる。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る消音装置の平面図を示す。消音装置10は、管路1とサイドブランチ(枝管)2を備える。第1実施形態に係る消音装置10は、発電機20の上部に設置されている。消音装置10は、騒音源としての発電機20に接続され、発電機20の排気と共に放出される騒音を低減する。発電機20の内燃機関は、ガソリンや軽油を気化させ、シリンダ内で空気と混合して燃焼させ、この燃焼時の膨張によりピストンを往復動させることで動力として出力する所謂レシプロエンジンである。なお、騒音源は、発電機20に限らず、内燃機関を搭載する建機や車両、空調機、ボイラー、燃料電池など、騒音を発し、且つ通気を必要とするものであれば良い。
【0017】
管路1は、排気管として発電機20に接続されている。管路1は、直線状であり、両端に開口を有し、一方の開口を第1の開口11、他方の開口を第2の開口12とし、第1の開口11が発電機20の上部に位置する排気ポートに連結されている。第2の開口12は、上方に向けて開口している。
【0018】
管路1とサイドブランチ2が交わる点を分岐点23とすると、管路1の第1の開口11から第2の開口へ抜ける騒音の通過方向において上流側である第1の開口11から分岐点23までが上流側管路14であり、分岐点23から第2の開口12までを下流側管路15である。
【0019】
サイドブランチ2は、本発明の消音器に相当し、管路1の第1の開口11と第2の開口12との間であって、第1の開口11寄りの壁面13に径外方向へ突出して設けられている。サイドブランチ2は、端部のうち、管路1の壁面13側の端部21が管路1の内空と連通し、他端が閉塞面22である管状の消音器である。なお、管路1の内径とサイドブランチ2の内径は、ほぼ同じである。
【0020】
サイドブランチ2には、本発明の温度抑制部の一例として、サイドブランチ2を屈曲させた屈曲部26が設けられている。具体的には、サイドブランチ2は、一端が壁面13に接続され、他端が屈曲部26に接続され、管路1の軸方向と直交する直線状の第1領域24、第1領域24の他端に接続され、サイドブランチ2を90度屈曲させる屈曲部26、一端が屈曲部26に接続され、他端に閉塞面22を有する、管路1の軸方向と平行な直線状の第2領域25によって構成されている。
【0021】
発電機20から放出される騒音のうち、特に低周波は、発電機20の内燃機関の各シリンダの燃焼タイミング等に基づいた周期の音波として現れる。サイドブランチ2は、この低周波の低減を主として設計される。具体的には、この低周波の波長をλとすると、サイドブランチ2は、管路1と接合する管路1の壁面13(分岐点23の近傍)から反対側端部の内壁面(閉塞面22)までの長さL3がλ/4として設計される。換言すると、サイドブランチ2は、第1領域24の一端から、屈曲部26を通り、第2領域25の他端(閉塞面22)までの長さL3がλ/4として設計される。
【0022】
サイドブランチ2の長さをλ/4とすることで、発電機20から放出された波長λの音波が、上流部側管路14を通り、分岐点23でサイドブランチ2内へ分岐し、閉塞面22
で反射して分岐点23に戻る際、分岐点23で発電機20からの音波との干渉で音圧が低減される。
【0023】
このように長さがλ/4のサイドブランチ2を管路1の途中に設けることで波長λの騒音を干渉により低減させることができる。また、例えば、管路1の第1の開口11からサイドブランチ2の接合位置(分岐点23)までの長さL1と、管路1の第2の開口12からサイドブランチ2の接合位置(分岐点23)までの長さL2とを夫々(2n+1)λ/4(但し、nは0を含む自然数)としてもよい。これにより、より効果的に消音することができる。長さがλ/4のサイドブランチ2を管路1の途中に設けることで波長λの騒音を干渉により低減させることができ、管路1の第1の開口11からサイドブランチ2の接合位置(分岐点23)までの長さL1と、管路1の第2の開口12からサイドブランチ2の接合位置(分岐点23)までの長さL2とを夫々(2n+1)λ/4(但し、nは0を含む自然数)とすることで、効果的に消音することができることについては、本出願人が先に開示した特許文献1(特開2014−101757号公報)に記載されている通りである。したがって、詳細な説明は割愛する。なお、サイドブランチ2の接続位置を上記のように設計することで、より効果的に消音することができるが、サイドブランチ2の接続位置は、自由に設計してもよい。
【0024】
第1実施形態に係る消音装置10は、屈曲部26を有することで、サイドブランチ2が直線状の場合と比較して、サイドブランチ2内への空気の流入が抑制され、空気を伝達媒体とする熱の移動が抑制される。その結果、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することができる。
【0025】
ここで、サイドブランチ2の長さは、上記のように、消音効果を得るためにλ/4に設計される。また、低減したい音の周波数をf[Hz]、波長をλ[m]、音速をc[m/s]とすると、波長(λ)は式1によって表すことができる。また、音速cは、温度をt[℃]とすると、式2によって表すことができる。
λ=c/f・・・式1
c=331.5×(1+t/273)^(1/2)・・・式2
【0026】
つまり、波長(λ)は、音速の影響を受け、音速は温度の影響を受ける。サイドブランチ2内の温度が高くなると音速が速くなり、波長が長くなり、結果として、サイドブランチ2の長さが相対的に長くなる。第1実施形態に係る消音装置10では、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することで、音速が遅くなり、波長を短くすることができる。その結果、サイドブランチ2の長さをサイドブランチ2を直線状とした場合と比較して短くすることができる。その結果、消音装置10の小型化を実現できる。
【0027】
<実施例1>
ここで、第1実施形態に係る消音装置10の実験結果について説明する。図2は、比較例に係る消音装置の平面図を示す。比較例に係る消音装置10xは、サイドブランチ2xが直線状である点で、第1実施形態に係る消音装置10と構成が異なる。比較例に係る消音装置10xは、サイドブランチ2xの長さが1880mmに設計されている。これは、サイドブランチ2x内の温度を78℃とした場合の卓越周波数の1/4波長である。図2のP1からP3は、温度の測定位置を示す。P1は、管路1xの一方の開口11x近傍、P2は、第1実施形態のサイドブランチ2の屈曲部26に相当する位置、P3は、サイドブランチ2xの閉塞面22x近傍である。なお、図2における符号の数字に続くアルファベット「x」は、第1実施形態と区別するために付したものである。特に説明する場合を除き、図2において符号の数字が第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同様の機能を有するものとする。図3は、比較例に係る消音装置における、サイドブランチ内の温度と発電機運転時間との関係を示す。図3のP1からP3は、図2の温度測定位置
に対応している。
【0028】
図4は、温度測定位置が記入された、第1実施形態に係る消音装置の平面図を示す。第1実施形態に係る消音装置10は、比較例と同様に、サイドブランチ2の長さが1880mmに設計されている。これは、サイドブランチ2内の温度を78℃とした場合の卓越周波数の1/4波長である。温度の測定位置を示すP1からP3は、比較例に係る消音装置10xとの温度比較ができるよう、比較例に係る消音装置10xに対応する位置に設けられている。P1は、管路1の一方の開口11近傍、P2は、サイドブランチ2の屈曲部26、P3は、サイドブランチ2の閉塞面22近傍に位置する。図5は、第1実施形態に係る消音装置における、サイドブランチ内の温度と発電機運転時間との関係を示す。図5のP1からP3は、図4の温度測定位置に対応している。
【0029】
図3図5に示すように、例えば、P2では、サイドブランチ内の温度が約175℃から約150℃まで低下している。このように、屈曲部26を設けたサイドブランチ2を有する第1実施形態に係る消音装置10は、直線状のサイドブランチ2xを有する比較例に係る消音装置10xに比べて、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制できることが確認された。従って、第1実施形態に係る消音装置10では、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することで、音速が遅くなり、波長を短くすることができる。その結果、サイドブランチ2の長さは、比較例に係る消音装置10xよりも短くすることができる。その結果、消音装置10の小型化を実現できる。また、比較例に係る消音装置10xは、サイドブランチ2xが直線状であるため、消音装置10xの設置平面が大きくなり、発電機20の上面内に収まっていない(図2参照)。一方、第1実施形態に係る消音装置10は、サイドブランチ2が屈曲部26を有しており、消音装置10の設置平面が小さくなり、発電機20の上面内に収まっている(図4参照)。
【0030】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る消音装置の平面図を示す。第2実施形態に係る消音装置10aは、サイドブランチ2が直線状であり、サイドブランチ2の一端に、本発明の温度抑制部の一例である空気遮断部26aが設けられている点で、第1実施形態に係る消音装置10と構成が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明は割愛する。
【0031】
第2実施形態に係る消音装置10aは、比較例に係る消音装置10xと同じく、サイドブランチ2が直線状である。また、直線状のサイドブランチ2の一端には、空気遮断部26aが設けられている。空気遮断部26aは、サイドブランチ2の端部のうち、管路1の壁面13側の端部に設けられ、管路1内からサイドブランチ2内へ、空気の流入を抑制するとともに音の伝搬は許容することで、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制する。空気遮断部26aは、耐熱性の薄膜部材、例えばシリカクロス耐熱シート等によって構成することができる。
【0032】
空気遮断部26aは、管路1内からサイドブランチ2内へ、空気の流入を抑制するとともに音の伝搬は許容する。そのため、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することができる。その結果、第2実施形態に係る消音装置10aでは、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することで、音速が遅くなり、波長を短くでき、サイドブランチ2の長さを空気遮断部26aを設けない場合と比較して短くすることができる。その結果、消音装置10aの小型化を実現できる。
【0033】
なお、空気遮断部26aは、第1実施形態に係る消音装置10のように屈曲部26を有するサイドブランチ2の一端に設けてもよい。この場合、屈曲部26を有するサイドブランチ2による温度抑制効果と空気遮断部26aによる温度抑制効果により、サイドブラン
チ2内の温度上昇をより効果的に抑制できる。
【0034】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る消音装置の平面図を示す。第3実施形態に係る消音装置10bは、サイドブランチ2が直線状であり、サイドブランチ2の一端に、本発明の温度抑制部の一例である熱遮断部26bが設けられている点で、第1実施形態に係る消音装置10と構成が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明は割愛する。
【0035】
第3実施形態に係る消音装置10bは、比較例に係る消音装置10xや第2実施形態に係る消音装置10aと同じく、サイドブランチ2が直線状である。また、直線状のサイドブランチ2の一端には、熱遮断部26bが設けられている。熱遮断部26bは、サイドブランチ2の端部のうち、管路1の壁面13側の端部に設けられ、管路1からサイドブランチ2への、管を伝達媒体とする熱の伝搬を抑制する。熱遮断部26bは、サイドブランチ2と同様に環状であり、断熱材(繊維系断熱材、発砲系断熱材、樹脂等)によって構成することができる。
【0036】
熱遮断部26bは、管路1からサイドブランチ2への熱の伝搬を抑制する。そのため、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制される。その結果、第3実施形態に係る消音装置10bでは、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することで、音速が遅くなり、波長を短くでき、サイドブランチ2の長さを熱遮断部26bを設けない場合と比較して短くすることができる。その結果、消音装置10bの小型化を実現できる。
【0037】
なお、熱遮断部26bは、第1実施形態に係る消音装置10のように屈曲部26を有するサイドブランチ2の一端に設けてもよい。この場合、屈曲部26を有するサイドブランチ2による温度抑制効果と熱遮断部26bによる温度抑制効果により、サイドブランチ2内の温度上昇をより効果的に抑制できる。また、空気遮断部26aを更に設けてもよい。この場合、空気遮断部26aによる温度抑制効果も得られるので、サイドブランチ2内の温度上昇をより効果的に抑制できる。
【0038】
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係る消音装置の平面図を示す。第4実施形態に係る消音装置10cは、サイドブランチ2が直線状であり、サイドブランチ2の外側に、本発明の温度抑制部の一例である冷却装置26cが設けられている点で、第1実施形態に係る消音装置10と構成が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明は割愛する。
【0039】
第4実施形態に係る消音装置10cは、比較例に係る消音装置10xや第2、第3実施形態に係る消音装置10a、10bと同じく、サイドブランチ2が直線状である。また、直線状のサイドブランチ2の外側には、サイドブランチ2を覆うジャケットタイプの冷却装置26cが設けられている。なお、冷却装置26cは、サイドブランチ2に沿って設けられ、内部に水が流れる管からなり、側面には水を排出する複数の孔が形成されたものでもよい。この場合、水を流すと複数の孔から水が排出され、サイドブランチ2を冷却することができる。
【0040】
冷却装置26cは、サイドブランチ2を冷却する。そのため、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することができる。その結果、第4実施形態に係る消音装置10cでは、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することで、音速が遅くなり、波長を短くでき、サイドブランチ2の長さを冷却装置26cを設けない場合と比較して短くすることができる。その結果、消音装置10cの小型化を実現できる。
【0041】
なお、冷却装置26cは、第1実施形態に係る消音装置10のように屈曲部26を有するサイドブランチ2を覆うように設けてもよい。この場合、屈曲部26を有するサイドブランチ2による温度抑制効果と冷却装置26cによる温度抑制効果により、サイドブランチ2内の温度上昇をより効果的に抑制できる。また、空気遮断部26aや熱遮断部26bを更に設けてもよい。この場合、空気遮断部26aや熱遮断部26bによる温度抑制効果も得られるので、サイドブランチ2内の温度上昇をより効果的に抑制できる。
【0042】
<第5実施形態>
図9は、第5実施形態に係る消音装置の平面図を示す。第5実施形態に係る消音装置10dは、サイドブランチ2が直線状であり、サイドブランチ2内に、本発明の温度抑制部の一例である送風機26dが設けられている点で、第1実施形態に係る消音装置10と構成が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明は割愛する。
【0043】
第5実施形態に係る消音装置10dは、比較例に係る消音装置10xや第2、第3、第4実施形態に係る消音装置10a、10b、10cと同じく、サイドブランチ2が直線状である。また、直線状のサイドブランチ2内には、送風機26dが設けられている。送風機26dは、サイドブランチ2内の他端側(閉塞面22側)に設けられ、管路1に向けて風を送り出す。なお、送風機26dは、サイドブランチ2の中央や一端付近に設けてもよい。
【0044】
送風機26dが動作すると、管路1に向けて風が送り出され、管路1からサイドブランチ2内への空気の流入が抑制される。その結果、サイドブランチ2が冷却される。そのため、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することができる。その結果、第5実施形態に係る消音装置10dでは、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することで、音速が遅くなり、波長を短くでき、サイドブランチ2の長さを送風機26dを設けない場合と比較して短くすることができる。その結果、消音装置10dの小型化を実現できる。
【0045】
なお、送風機26dは、第1実施形態に係る消音装置10のように屈曲部26を有するサイドブランチ2内の他端側(閉塞面22側)に設けてもよい。この場合、屈曲部26を有するサイドブランチ2による温度抑制効果と送風機26dによる温度抑制効果により、サイドブランチ2内の温度上昇をより効果的に抑制できる。また、空気遮断部26a、熱遮断部26b、冷却装置26cのうち少なくとも何れか一つを更に設けてもよい。この場合、空気遮断部26a、熱遮断部26b、冷却装置26cによる温度抑制効果も得られるので、サイドブランチ2内の温度上昇をより効果的に抑制できる。
【0046】
<第6実施形態>
図10は、第6実施形態に係る消音装置の平面図を示す。第6実施形態に係る消音装置10eは、サイドブランチ2が直線状であり、サイドブランチ2内に、本発明の温度抑制部の一例であるガイド26eが設けられている点で、第1実施形態に係る消音装置10と構成が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明は割愛する。
【0047】
第6実施形態に係る消音装置10eは、比較例に係る消音装置10xや第2、第3、第4、第5実施形態に係る消音装置10a、10b、10c、10dと同じく、サイドブランチ2が直線状である。また、直線状のサイドブランチ2内には、ガイド26eが設けられている。ガイド26eは、サイドブランチ2内の一端側に設けられ、サイドブランチ2の内壁から内側に突出することで、管路1からサイドブランチ2内への空気の流入を抑制する。ガイド26eの形状や数は、特に限定されない。
【0048】
ガイド26eがサイドブランチ2内に設けられることで、管路1からサイドブランチ2内への空気の流入が抑制される。そのため、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することができる。その結果、第6実施形態に係る消音装置10eでは、サイドブランチ2内の温度上昇を抑制することで、音速が遅くなり、波長を短くでき、サイドブランチ2の長さをガイド26eを設けない場合と比較して短くすることができる。その結果、消音装置10eの小型化を実現できる。
【0049】
なお、ガイド26eは、第1実施形態に係る消音装置10のように屈曲部26を有するサイドブランチ2の一端に設けてもよい。この場合、屈曲部26を有するサイドブランチ2による温度抑制効果とガイド26eによる温度抑制効果により、サイドブランチ2内の温度上昇をより効果的に抑制できる。また、空気遮断部26a、熱遮断部26b、冷却装置26c、送風機26dのうち少なくとも何れか一つを更に設けてもよい。この場合、空気遮断部26a、熱遮断部26b、冷却装置26c、送風機26dによる温度抑制効果も得られるので、サイドブランチ2内の温度上昇をより効果的に抑制できる。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、可能な限り実施形態を組み合わせて実施することができる。
【0051】
例えば、サイドブランチ2は、複数の屈曲部を有するものでもよい。図11は、変形例1に係る騒音装置の平面図を示す。図11に示すように、サイドブランチ2fは、複数の屈曲部を有し、全体として渦巻状としてもよい。また、図12は、変形例2に係る消音装置の平面図を示す。図12に示すように、サイドブランチ2gは、複数の屈曲部を有し、全体として波状としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1・・・管路
11・・・第1の開口
12・・・第2の開口
13・・・壁面
2、2f、2g・・・サイドブランチ
21・・・壁面側の端部
22・・・閉塞面
23・・・分岐点
24・・・第1領域
25・・・第2領域
26・・・屈曲部
26a・・・空気遮断部
26b・・・熱遮断部
26c・・・冷却装置
26d・・・送風機
26e・・・ガイド
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g・・・消音装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12