特許第6374276号(P6374276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミスミの特許一覧

<>
  • 特許6374276-設計支援方法及び設計支援用プログラム 図000002
  • 特許6374276-設計支援方法及び設計支援用プログラム 図000003
  • 特許6374276-設計支援方法及び設計支援用プログラム 図000004
  • 特許6374276-設計支援方法及び設計支援用プログラム 図000005
  • 特許6374276-設計支援方法及び設計支援用プログラム 図000006
  • 特許6374276-設計支援方法及び設計支援用プログラム 図000007
  • 特許6374276-設計支援方法及び設計支援用プログラム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374276
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】設計支援方法及び設計支援用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   G06F17/50 632
   G06F17/50 626Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-182470(P2014-182470)
(22)【出願日】2014年9月8日
(65)【公開番号】特開2016-57766(P2016-57766A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年7月21日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年4月7日 ウェブサイト http://jp.misumi−ec.com/、http://jp.misumi−ec.com/ec/ideanote/、http://jp.misumi−ec.com/news/ideanote/2014/04/ に公開
(73)【特許権者】
【識別番号】505191168
【氏名又は名称】株式会社ミスミ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 邦嘉
【審査官】 松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−140378(JP,A)
【文献】 特開2003−242185(JP,A)
【文献】 特開2010−009181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者による入力操作を受け付ける操作入力部と、機械部品のデータが保持された機械部品データベースにアクセスして、機械部品データを取得するためのデータベースインターフェースと、表示部とを備えたコンピュータにより、機械部品の組み立て設計を支援する設計支援方法であって、
前記コンピュータが、使用者による前記操作入力部の操作に応じて、第1機械部品と、該第1機械部品に組み付けられる第2機械部品とを選択する機械部品選択ステップと、
前記機械部品選択ステップにおいて選択された前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから取得する機械部品データ取得ステップと、
前記機械部品選択ステップにおいて選択された前記第2機械部品がバネ部品であるときに、該バネ部品のデータから、該バネ部品の一方の端部の形状を示す第1端部データと、該バネ部品の他方の端部の形状を示す第2端部データとを生成するバネ端部データ生成ステップと、
前記第1機械部品と前記バネ部品との組み上がり状態を、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記表示部に表示する組み上がり状態表示ステップと
を含むことを特徴とする設計支援方法。
【請求項2】
使用者による入力操作を受け付ける操作入力部と、機械部品のデータが保持された機械部品データベースにアクセスして、機械部品データを取得するためのデータベースインターフェースと、表示部とを備えたコンピュータを、
使用者による前記操作入力部の操作に応じて、第1機械部品と、該第1機械部品に組み付けられる第2機械部品とを選択する機械部品選択部と、
前記機械部品選択部により選択された前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから取得する機械部品データ取得部と、
前記機械部品選択部により選択された前記第2機械部品がバネ部品であるときに、該バネ部品のデータから、該バネ部品の一方の端部の形状を示す第1端部データと、該バネ部品の他方の端部の形状を示す第2端部データとを生成するバネ端部データ生成部と、
前記第1機械部品と前記バネ部品との組み上がり状態を、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記表示部に表示する組み上がり状態表示部と
して機能させることを特徴とする設計支援用プログラム。
【請求項3】
使用者による入力操作を受け付ける操作入力部と、機械部品のデータが保持された機械部品データベースにアクセスして、機械部品データを取得するためのデータベースインターフェースと、表示部とを備えたコンピュータにより、機械部品の組み立て設計を支援する設計支援方法であって、
前記コンピュータが、使用者による前記操作入力部の操作に応じて、第1機械部品と、該第1機械部品に組み付けられる第2機械部品とを選択する機械部品選択ステップと、
前記機械部品選択ステップにおいて選択された前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから取得する機械部品データ取得ステップと、
前記機械部品選択ステップにおいて選択された前記第2機械部品がバネ部品であるときに、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから、該バネ部品の一方の端部の形状を示す第1端部データと、該バネ部品の他方の端部の形状を示す第2端部データとを取得する端部データ取得ステップと、
前記第1機械部品と前記バネ部品との組み上がり状態を、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記表示部に表示する組み上がり状態表示ステップと
を含むことを特徴とする設計支援方法。
【請求項4】
使用者による入力操作を受け付ける操作入力部と、機械部品のデータが保持された機械部品データベースにアクセスして、機械部品データを取得するためのデータベースインターフェースと、表示部とを備えたコンピュータを、
使用者による前記操作入力部の操作に応じて、第1機械部品と、該第1機械部品に組み付けられる第2機械部品とを選択する機械部品選択部と、
前記機械部品選択部により選択された前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから取得する機械部品データ取得部と、
前記機械部品選択部により選択された前記第2機械部品がバネ部品であるときに、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから、該バネ部品の一方の端部の形状を示す第1端部データと、該バネ部品の他方の端部の形状を示す第2端部データとを取得する端部データ取得部と、
前記第1機械部品と前記バネ部品との組み上がり状態を、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記表示部に表示する組み上がり状態表示部と
して機能させることを特徴とする設計支援用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品の組み立て設計を支援する設計支援方法及び設計支援用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械設計者による組み立て設計を支援するために、種々のCADアプリケーションが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたCADアプリケーションにおいては、設計者による機械部品の選択操作に応じて、機械部品を組み立てた状態を順次ディスプレイに表示することにより、設計者が組み立て状態を確認できるようになっている。
【0004】
そして、設計者が、組み立て態様によって変形する機械部品(リベット、スプリング、ゴム等)を選択したときには、選択された機械部品の既存のCADデータ(形状原形データ)を、組み立て態様に応じて変形する形状計算を行って、組み立て態様に適合するCADデータ(形状変形データ)を算出する。
【0005】
このようにして算出した形状変形データを用いることにより、機械部品が組み上がった状態を適切にディスプレイに表示できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−200644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
部品メーカーから提供されるバネのデータは自由長のものがほとんどである。そして、バネを介して組み立てられ、動作の過程でバネが逐次変形する製品について、自由長のデータのままのバネを配置してディスプレイに表示すると、バネと他部品間の干渉が必ず発生する。
【0008】
また、上記製品について、動作シミュレーションをディスプレイに表示する場合に、上述した干渉を回避して、動作の過渡状態におけるバネの変形形状をディスプレイに表示するために、特許文献1に記載された設計支援方法を用いて、過渡状態でのバネの形状変形データを順次算出することは、パソコン等の閲覧システムの演算能力に照らすと現実的には困難である。
【0009】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、バネを介して組み立てられた製品の動作シミュレーションの表示を、バネと他部品との干渉を生じることなく、容易且つ迅速に行うことができる設計支援方法、及び設計支援用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、本発明の設計支援方法の第1の態様は、
使用者による入力操作を受け付ける操作入力部と、機械部品のデータが保持された機械部品データベースにアクセスして、機械部品データを取得するためのデータベースインターフェースと、表示部とを備えたコンピュータにより、機械部品の組み立て設計を支援する設計支援方法であって、
前記コンピュータが、使用者による前記操作入力部の操作に応じて、第1機械部品と、該第1機械部品に組み付けられる第2機械部品とを選択する機械部品選択ステップと、
前記機械部品選択ステップにおいて選択された前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから取得する機械部品データ取得ステップと、
前記機械部品選択ステップにおいて選択された前記第2機械部品がバネ部品であるときに、該バネ部品のデータから、該バネ部品の一方の端部の形状を示す第1端部データと、該バネ部品の他方の端部の形状を示す第2端部データとを生成するバネ端部データ生成ステップと、
前記第1機械部品と前記バネ部品との組み上がり状態を、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記表示部に表示する組み上がり状態表示ステップと
を含むことを特徴とする。
【0011】
かかる本発明の設計支援方法によれば、前記コンピュータは、前記機械部品選択ステップにより、前記第1機械部品に組み付けられる前記第2機械部品が選択されたときに、前記機械部品データ取得ステップにより、前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを取得する。
【0012】
また、前記第2機械部品がバネであったときには、前記コンピュータは、前記バネ端部データ生成ステップにより、前記バネ部品の一方の端部について前記第1端部データを生成すると共に、前記バネ部品の他方の端部について前記第2端部データを生成する。そして、前記コンピュータは、前記組み上がり状態表示ステップにより、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記第1機械部品と前記バネ部品の組み上がり状態を前記表示部に表示する。
【0013】
この場合、前記コンピュータは、前記第1機械部品の位置の変化によって、前記バネ部品が伸長又は収縮しても、前記バネ部品の中間部分(前記バネ部品の両端部の間の部分)を表示する必要がない。そのため、前記バネ部品の伸長状態及び収縮状態の形状を算出する演算を不要として、前記第1機械部品と前記バネ部品が組み上がった状態での動作シミュレーン表示を、前記第1機械部品と前記バネ部品との干渉を回避して、容易かつ迅速に行うことができる。
【0014】
また、本発明の設計支援用プログラムの第1の態様は、
使用者による入力操作を受け付ける操作入力部と、機械部品のデータが保持された機械部品データベースにアクセスして、機械部品データを取得するためのデータベースインターフェースと、表示部とを備えたコンピュータを、
使用者による前記操作入力部の操作に応じて、第1機械部品と、該第1機械部品に組み付けられる第2機械部品とを選択する機械部品選択部と、
前記機械部品選択部により選択された前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから取得する機械部品データ取得部と、
前記機械部品選択部により選択された前記第2機械部品がバネ部品であるときに、該バネ部品のデータから、該バネ部品の一方の端部の形状を示す第1端部データと、該バネ部品の他方の端部の形状を示す第2端部データとを生成するバネ端部データ生成部と、
前記第1機械部品と前記バネ部品との組み上がり状態を、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記表示部に表示する組み上がり状態表示部と
して機能させることを特徴とする。
【0015】
かかる本発明の設計支援用プログラムを実行することにより、前記コンピュータは、前記機械部品選択部、前記機械部品データ取得部、前記バネ端部データ生成部、及び前記組み上がり状態表示部として機能する。
【0016】
そして、前記機械部品選択部により、前記第1機械部品及び前記第2機械部品とが選択されたときに、前記機械部品データ取得部が、前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを取得する。
【0017】
また、前記第2機械部品がバネであったときには、前記バネ端部データ生成部が、前記バネ部品の一方の端部について前記第1端部データを生成すると共に、前記バネ部品の他方の端部について前記第2端部データを生成する。そして、前記組み上がり状態表示部は、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記第1機械部品と前記バネ部品の組み上がり状態を前記表示部に表示する。
【0018】
この場合、前記コンピュータは、前記第1機械部品の位置の変化によって、前記バネ部品が伸長又は収縮しても、前記バネ部品の中間部分(前記バネ部品の両端部の間の部分)を表示する必要がない。そのため、前記バネ部品の伸長状態及び収縮状態の形状を算出する演算を不要として、前記第1機械部品と前記バネ部品が組み上がった状態での動作シミュレーン表示を、前記第1機械部品と前記バネ部品との干渉を回避して、容易かつ迅速に行うことができる。
【0019】
次に、本発明の設計支援方法の第2の態様は、
使用者による入力操作を受け付ける操作入力部と、機械部品のデータが保持された機械部品データベースにアクセスして、機械部品データを取得するためのデータベースインターフェースと、表示部とを備えたコンピュータにより、機械部品の組み立て設計を支援する設計支援方法であって、
前記コンピュータが、使用者による前記操作入力部の操作に応じて、第1機械部品と、該第1機械部品に組み付けられる第2機械部品とを選択する機械部品選択ステップと、
前記機械部品選択ステップにおいて選択された前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから取得する機械部品データ取得ステップと、
前記機械部品選択ステップにおいて選択された前記第2機械部品がバネ部品であるときに、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから、該バネ部品の一方の端部の形状を示す第1端部データと、該バネ部品の他方の端部の形状を示す第2端部データとを取得する端部データ取得ステップと、
前記第1機械部品と前記バネ部品との組み上がり状態を、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記表示部に表示する組み上がり状態表示ステップと
を含むことを特徴とする。
【0020】
かかる本発明によれば、前記端部データ取得ステップにより、前記機械部品データベースから、前記第1端部データ及び前記第2端部データを取得することにより、前記第1の態様の設計支援方法と同様に、前記バネ部品の伸長状態及び収縮状態の形状を算出する演算を不要として、前記第1機械部品と前記バネ部品が組み上がった状態での動作シミュレーン表示を、前記第1機械部品と前記バネ部品との干渉を回避して、容易かつ迅速に行うことができる。
【0021】
また、本発明の設計支援用プログラムの第2態様は、
使用者による入力操作を受け付ける操作入力部と、機械部品のデータが保持された機械部品データベースにアクセスして、機械部品データを取得するためのデータベースインターフェースと、表示部とを備えたコンピュータを、
使用者による前記操作入力部の操作に応じて、第1機械部品と、該第1機械部品に組み付けられる第2機械部品とを選択する機械部品選択部と、
前記機械部品選択部により選択された前記第1機械部品及び前記第2機械部品のデータを、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから取得する機械部品データ取得部と、
前記機械部品選択部により選択された前記第2機械部品がバネ部品であるときに、前記データベースインターフェースを介して前記機械部品データベースから、該バネ部品の一方の端部の形状を示す第1端部データと、該バネ部品の他方の端部の形状を示す第2端部データとを取得する端部データ取得部と、
前記第1機械部品と前記バネ部品との組み上がり状態を、前記第1機械部品と前記バネ部品との一方の組み付け部に前記第1端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示すると共に、前記第1機械部品と前記バネ部品の他方の組み付け部に前記第2端部データによる前記バネ部品の端部形状を表示することによって、前記表示部に表示する組み上がり状態表示部と
して機能させることを特徴とする。
【0022】
かかる本発明によれば、前記端部データ取得部により、前記機械部品データベースから、前記第1端部データ及び前記第2端部データを取得することにより、前記第1の態様の設計支援用プログラムと同様に、前記バネ部品の伸長状態及び収縮状態の形状を算出する演算を不要として、前記第1機械部品と前記バネ部品が組み上がった状態での動作シミュレーン表示を、前記第1機械部品と前記バネ部品との干渉を回避して、容易かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の設計支援方法を実行するコンピュータシステムの構成図。
図2】バネ部品が組み付けられた製品の組み上がり状態を表示する処理のフローチャート。
図3】バネ部品のデータの説明図。
図4】バネ部品の第1端部データ及び第2端部データの生成処理の説明図。
図5】第1端部データ及び第2端部データを用いた組み上がり状態の表示処理の説明図。
図6】第1端部データ及び第2端部データを用いた組み上がり状態の第1の表示例。
図7】第1端部データ及び第2端部データを用いた組み上がり状態の第2の表示例。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図1図7を参照して説明する。
【0025】
図1を参照して、本発明の設計支援方法を実行するコンピュータシステム1は、CPU、メモリ、記憶装置、各種インターフェース等を備えたコンピュータ本体10と、コンピュータ本体10に接続されたディスプレイ20、キーボード21、マウス22、及びタブレット23を備えている。また、コンピュータ本体10は、機械部品のデータ31,32,…が保持された機械部品データベース30にアクセスして、機械部品のデータ31,32,…を取得可能に構成されている。
【0026】
なお、キーボード21、マウス22、及びタブレット23は、本発明の使用者による入力操作を受け付ける操作入力部に相当する。
【0027】
また、機械部品データベース30は、コンピュータ本体10に直接接続された外部記憶装置に保持されていてもよく、コンピュータ本体10内に配置された記憶装置に保持されていてもよい。或いは、インターネット等の通信ネットワークを介してアクセス可能なサーバー上に置かれていてもよい。
【0028】
コンピュータ本体10は、ハードディスク等に保持された設計支援用のプログラム(CADアプリケーション)をメモリに読み出してCPUで実行することによって、機械部品選択部11、機械部品データ取得部12、バネ端部データ生成部13、及び組み上がり状態表示部14として機能する。
【0029】
また、コンピュータ本体10は、機械部品データベース30にアクセスして機械部品データを取得するために、DB(データベース)インターフェース15を備えている。
【0030】
なお、コンピュータ本体10が、インターネット上に公開された設計支援用のウェブサイトにウェブブラウザを介してアクセスし、ウェブサイトから送信されるウェブページに組み込まれたアプレットをウェブブラウザにより動作させて、ウェブサイトから機械部品のデータを受信し、機械部品の組み上がり状態をディスプレイに表示させる構成としてもよい。この場合には、アプレットの動作により、機械部品選択部11、機械部品データ取得部12、バネ端部データ生成部13、及び組み上がり状態表示部14の機能が実現される。また、アプレットのプログラムは、本発明の設計支援用プログラムに相当する。
【0031】
以下、図2に示したフローチャートに従って、コンピュータシステム1により実行される、使用者(機械製品の設計者)による機械部品の組み立て設計を支援するための処理について説明する。
【0032】
使用者が、コンピュータ本体10を起動して、キーボード21、マウス22等による入力操作によりCADアプリケーションを実行させると、STEP1で、機械部品選択部11がディスプレイ20に機械部品の選択メニューを表示する。そして、使用者が、機械部品を選択すると、機械部品データ取得部12は、DBインターフェース15を介して機械部品データベース30にアクセスし、選択された機械部品のデータ(部品種、同一部品種の区分、形状等を示すデータ)を取得する。
【0033】
なお、STEP1の処理は、本発明の設計支援方法における機械部品選択ステップ、及び機械部品データ取得ステップに相当する。
【0034】
続くSTEP2及びSTEP2から分岐したSTEP10は、バネ端部データ生成部13による処理である。バネ端部データ生成部13は、STEP2で、使用者により選択された機械部品がバネ部品であるか否かを判断する。そして、使用者により選択された機械部品がバネ部品であるときはSTEP10に分岐して、第1端部データ及び第2端部データを生成する。
【0035】
ここで、機械部品データベース30に保持された各バネ部品の形状データは、図3に示した圧縮バネ51,52及び引っ張りバネ53のように、外力が加わっていない自然長の状態での形状を示すデータとなっている。
【0036】
そして、使用者により選択されたバネ部品(本発明の第2機械部品に相当する)を、伸長、圧縮等により変形させて、使用者により選択された他の機械部品(本発明の第1機械部品に相当する)に組み付ける際に、上述した特許文献1に記載された手法にように、バネ部品の自然長のデータ(形状原形データ)を、変形態様に応じて変形する形状計算を行うとすると、変形態様毎に形状計算を行わなければならず、演算負荷が大きくなって迅速な組み上がり状態の表示が難しくなる。
【0037】
そこで、バネ端部データ生成部13は、STEP10で、図4に示したように、バネ部品の自然長の形状60を示す形状原形データから、一方の端部の形状61を示す第1端部データと、他方の端部の形状62を示す第2端部データとを生成する。
【0038】
なお、STEP2及びSTEP10の処理は、本発明の設計支援方法におけるバネ端部データ生成ステップに相当する。
【0039】
続くSTEP3〜STEP4は、組み上がり状態表示部14による処理である。組み上がり状態表示部14は、図5に示したように、第1端部データにより示されるバネ部品75の一方の端部の形状75aと、第2端部データにより示されるバネ部品75の他方の端部の形状75bとを用いて、バネ部品75が組み付けられた製品の動作前後におけるバネ部品の長さW1,W2等を演算により算出し(STEP3)、組み上がり状態をディスプレイ20に表示する(STEP4)。
【0040】
なお、STEP3〜STEP4の処理は、本発明の設計支援方法における組み上がり状態表示ステップに相当する。
【0041】
また、CADアプリケーション又は上述したウェブプラウザによるアプレットの実行により、バネ部品75の組み上がり状態をディスプレイ20に表示する場合、バネ部品75の上端及び下端の取り付け位置(拘束位置)を規定することによって、組み立て状態を表示する。
【0042】
図5は、上板70に固定して取り付けられたシャフト71に、バネ部品75を介して下板72を上下方向に移動自在に組み付けた組立品を示している。左側のL1では、バネ部品75が圧縮して取り付けられて長さがW1になった状態が、バネ部品75の端部の形状75a,75bのみによって示され、中間部分のBについては表示が省略されている。また、右側のR1では、バネ部品75がさらに圧縮されて長さがW2になった状態が、バネ部品75の端部の形状75a,75bのみによって示されている。
【0043】
なお、バネ部品75の端部の形状75a,75bのデータとして、同一のデータを用いてもよい。
【0044】
L1,R1のように表示することによって、バネ部品75が圧縮した全体形状、及びバネ部品75が伸長した全体形状のデータを、演算により算出することが不要となる。そのため、組み付けられたバネ部品75の形状が変形した状態での組み上がり状態を、容易かつ迅速にディスプレイ20に表示することができ、これにより、使用者による組み上がり状態の確認を効率よく行って設計を支援することができる。
【0045】
図5に示したように、バネ部品75の中間部分の表示を省略しても、使用者がバネ部品75の組み付け状態を確認する上では支障がない。
【0046】
また、バネ以外の機械部品が選択されたときには、STEP10でのバネ部品の第1端部データ及び第2端部データの生成は行われないため、組み上がり状態表示部14は、機械部品データベースから取得された機械部品の形状データをそのまま使用して、組立演算を行い、組み上がり状態をディスプレイ20に表示する。
【0047】
続くSTEP5は、機械部品選択部11による処理である。機械部品選択部11は、STEP5で、機械部品の選択メニューにおいて組立終了の操作がなされたときに、STEP6に進んで処理を終了する。一方、機械部品の選択メニューにおいて組立終了の操作がなされていないときには、STEP1に戻って機械部品の選択処理を行う。
【0048】
次に、図6のL2,R2は、圧縮バネであるバネ部品85,86が組み付けられた別の組立品の表示例を示したものである。図6の組立品は、レバー80に連結された第1昇降部材83に、バネ部品85,86を介して第2昇降部材82が取り付けられたものであり、レバー80の上下操作に応じて、第2昇降部材82がガイド81に沿って上下動する。
【0049】
L2はレバー80が上げられた状態であり、バネ部品85,86が取り付けられた状態となっている。一方、R2はレバー80が下げられた状態であり、バネ部品85,86が圧縮した状態となっている。そして、バネ部品85,86は、第1端部データ及び第2端部データにより、取付け箇所の端部の形状85a,85b,86a,86bのみが表示され、中間部分については表示が省略された形になっている。
【0050】
また、図7のL3,R3は、引張りバネが組み付けられた組立品の表示例を示したものである。図7の組立品は、レバー90に連結された昇降部材92をバネ部品95,96により天板97から吊り下げて取り付けられたものであり、レバー90の上下操作に応じて、昇降部材92がガイド91に沿って上下動する。
【0051】
L3はレバー90が上げられた状態であり、バネ部品95,96が取り付けられた状態となっている。一方、R3はレバー90が下げられた状態であり、バネ部品95,96が伸長した状態となっている。そして、バネ部品95,96は、第1端部データ及び第2端部データにより、取付け箇所の端部の形状95a,95b,96a,96bのみが表示され、中間部分については表示が省略された形になっている。
【0052】
なお、本実施形態においては、バネ端部データ生成部13により、バネ部品の形状データ(全体データ)から、バネの端部の形状を示す第1端部データ及び第2端部データを生成する例を示したが、バネ部品の第1端部データ及び第2端部データを、予め機械部品データに保持しておき、バネ部品が選択されたときに、選択されたバネ部品の第1端部データ及び第2端部データを機械部品データベースから取得(ダウンロード)するようにしてもよい。
【0053】
この場合、機械部品データベースから第1端部データ及び第2端部データを取得する構成が、本発明のバネ端部データ取得部に相当し、機械部品データベースから第1端部データ及び第2端部データを取得する処理が、本発明のバネ端部データ取得ステップに相当する。
【符号の説明】
【0054】
1…コンピュータシステム、10…コンピュータ本体、11…機械部品選択部、12…機械部品データ取得部、13…バネ端部データ生成部、14…組み上がり状態表示部、15…DBインターフェース、20…ディスプレイ、21…キーボード、22…マウス、23…タブレット、30…機械部品データベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7