(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態に係る服薬支援装置1を示す図であり、(A)は上面図、(B)は正面図である。また、
図2は、服薬支援装置1の分解斜視図である。なお、以下に述べる上下、左右、前後といった方向は、特段の断りがない限り、
図1(A)に示す矢印F方向を前、矢印B方向を後とした場合の方向を示す。
【0009】
服薬支援装置1は内部に装置本体2を備えている。装置本体2の前面は前面カバー3で覆われ、装置本体2の左右の両側面は側面カバー5、5で覆われ、装置本体2の背面は背面カバー7で覆われ、装置本体2の上面は上面カバー9で覆われている。
【0010】
前面カバー3には、中央上部に正面視略長方形の開口11が形成されており、開口11には、略長方形のタッチパネル13が構成されている。
開口11の下側には、正面視で向かって右側に扉部70が設けられている。扉部70には、奥側に向かうにつれて内部側に傾斜する凹部75が備えられている。凹部75には、左右に側壁78(78a、78b)が形成され、凹部75の底部には観音開き扉71が設けられている。
観音開き扉71は、右扉72と左扉73とで構成されている。右扉および左扉は、それぞれ開口の両側縁を中心として開閉自在に支持されている。右扉72の基部72bの上部、左扉73の基部73bの上部には、右扉72および左扉73をそれぞれ閉じる方向に付勢するためのばね74(74a、74b)がそれぞれ設けられている。
開口11の下側には、正面視で向かって左側にボタン孔15が形成されている。ボタン孔15には、ボタン17が配置されている。
ボタン17の下部には、赤外線センサ19が配置されている。
扉部70の下部には、複数のスピーカ孔61が形成され、スピーカ孔61の後側には、スピーカ63が配置されている。
複数のスピーカ孔61の下部、すなわち、前面カバー3の中央下部には、USBメモリを接続可能な差込口65が設けられている。差込口65には、差込口を被覆するための差込口カバー67が形成されている。
【0011】
装置本体2の四隅には、柱8(8A〜8D)が立設されており、これら各柱8(8A〜8D)の上端部は、フレーム12で連結されている。柱8(8A〜8D)とフレーム12とは、本体枠2aを形成している。
本体枠2aの内側には、周方向に等間隔に4個のカセット23(23A〜23D)が装填されている。各カセット23(23A〜23D)には、縦に7個のピルケース27がそれぞれ収容され、各ピルケース27には図示を省略した薬剤が収容される。
装置本体2に装填されたピルケース27は、観音開き扉71を介して、ユーザに提供される。
【0012】
上面カバー9には、中央部から前方にかけて上面カバー9の形状に沿うカセット挿入部52が形成されている。カセット挿入部52の
図2において右側には、カセットを挿入するための開口からなるカセット挿入口54が形成されている。各カセット23(23A〜23D)は、カセット挿入口54を介して装置本体2に出し入れされる。
カセット挿入部52には、カセット挿入口54と隣接する位置にセンサ穴56が形成されている。センサ穴56の内部には、不図示の蓋開閉感知センサが備えられている。
【0013】
上面カバー9には、カセット挿入部52を開閉する上蓋51が備えられている。上蓋51は、上面カバー9の中央部側の基部53を中心として上下方向に開閉可能とされている。
上蓋51の表面51aには、略正方形の鍵凹部57が形成されており、鍵凹部57には、上蓋が開閉されないようにロックするための鍵穴58が形成されている。
また、上蓋51の裏面51bには、上蓋51が閉じられた際にセンサ穴56に挿入される位置に突起55が形成されている。また、上蓋51の基部には、取っ手59が設けられている。
【0014】
そして、上蓋が閉じられ突起がセンサ穴に挿入された状態で、蓋開閉感知センサが突起を検知することで、上蓋が閉じられていることを検出することができるように構成されている。また、上蓋51が開けられ、突起55がセンサ穴56から引き抜かれると、蓋開閉感知センサを介して上蓋51が開けられたことが検出される。本実施の形態では、後述するように、カセット23(23A〜23D)を装填した回転籠が回転軸35を基点に回転するが、上蓋51が開けられた状態では、回転軸35が回転しないよう制御されている。
【0015】
この服薬支援装置1では、一人のユーザに対し、薬剤7日分が管理される。所定の時刻になると、例えばカセット23Aに収納された最下段のピルケース27が観音開き扉71から押し出される。ユーザは、押し出されたピルケース27を手で取り出し、その薬剤を服用する。次の時刻になると、例えばカセット23Dに収納されたピルケース27が観音開き扉71から押し出される。
ユーザは、手で取り出し、その薬剤を服用する。ユーザは、この服用を繰り返して、1日に4回、設定時刻に服用する薬剤を服用できる。設定時刻としては、例えば、朝食後、昼食後、夕食後、就寝前の4回を設定することができる。
【0016】
図3は、服薬支援装置1の内部の平面図である。
服薬支援装置1の内側中央部には、回転機構が設置されている。
すなわち、服薬支援装置1の内側中央部には、上下端が回転自在に支持された回転軸35が配置され、この回転軸35には、不図示の支持板が一体に固定されている。この支持板には、環状に形成された不図示の回転籠が固定されている。この回転籠は、不図示のモータにより回転駆動される。
【0017】
本実施の形態では、服薬支援装置1の小型化のため、回転機構の回転半径が小さく設計され、回転機構がこの回転半径で回転した場合の円周に合わせた形状(回転形状)に合わせた形状の各カセット23(23A〜23D)およびピルケース27が用いられている。
【0018】
すなわち、
図2、
図3に示すように、回転籠には、回転籠の中心に対して偏位した状態で周方向に等間隔に4個のラック21(21A〜21D)が重ねて配置されている。偏位させてラック21(21A〜21D)を配置することで、回転軸35からラック21(21A〜21D)の前端までの距離を小さく形成することができ、これにより、服薬支援装置1を小型化できる。
各ラック21(21A〜21D)は上方201、前方下部202、および後方中央部203が開口し、側面および後方の両端部が略L字型のL字壁24(24A〜24D)により囲われている。各ラック21(21A〜21D)には、上方の開口から、各カセット23(23A〜23D)が装填される。
【0019】
服薬支援装置1の正面視で、ラック21Aと対向する位置には、中央から横に外れた位置に設けられる観音開き扉71が設けられている。
ラック21Aの背部には、ラック21Dが設けられており、ラック21Aの背部とラック21Dに向かって左側のL字壁24Dとは、所定の間隔をあけて隣り合っている。ラック21Dは、服薬支援装置1の正面視で右側を前方となる向きに備えられている。
ラック21Dの背部には、ラック21Cが設けられており、ラック21Dの背部とラック21Cに向かって左側のL字壁24Cとは、所定の間隔をあけて隣り合っている。ラック21Cは、服薬支援装置1の後ろ側が前方となる向きに備えられている。
ラック21Cの背部には、ラック21Bが設けられており、ラック21Cの背部とラック21Bに向かって左側のL字壁24Bとは、所定の間隔をあけて隣り合っている。ラック21Bは、服薬支援装置1の正面視で左側を前方となる向きに備えられている。
ラック21Bの背部には、ラック21Aが設けられており、ラック21Bの背部とラック21Aに向かって左側のL字壁24Aとは、所定の間隔をあけて隣り合っている。ラック21Aは、服薬支援装置1の正面視で前側を前方となる向きに備えられており、上述のように、観音開き扉71と対向する位置に設けられている。
【0020】
また、観音開き扉71に対向する位置に配置されるラック21A(
図3参照。)の後部には、後述する押出し機構30が設けられている。押出し機構30は、観音開き扉71とも対向する位置に設けられており、回転軸35に隣接している。すなわち、服薬支援装置1の中心部分から横に外れた位置に設けられている。
観音開き扉71と、ラック21A(
図3参照。)と、押出し機構30とが、服薬支援装置1の回転軸35から横に外れた位置に前後に並んで設けられているため、ラック21Aに装填されるピルケース27は、服薬支援装置1の正面視で、中央から横に外れた位置から観音開き扉71を介して排出される。
【0021】
この構成によれば、例えば、各ラック21(21A〜21D)を回転軸35を中心として十字型に4箇所設ける場合と比べ、回転籠にラック21(21A〜21D)を複数配置しても、回転籠の回転半径R(
図3参照。)を短くすることができ、服薬支援装置1を小型化できる。
【0022】
ラック21(21A〜21D)に装填されるカセット23(23A〜23D)は、前端部左側41が弧状に形成されるとともに、前端部右側43、後端部左側45および後端部右側47がともに角型状に形成されている。
前端部左側41に形成される弧の形状は、カセット23(23A〜23D)が配置された回転籠が回転軸35を中心に回転する際、装置本体2の本体枠2a、前面カバー3、側面カバー5、5、背面カバー7(
図2参照。)と接触しないよう設計される回転機構の回転半径R(
図3参照。)により描かれる円周Cの内部に収まることのできる範囲で最大の弧となるように形成されるものである。
前端部右側43、後端部左側45、後端部右側47の角型形状は、ともに略直角の形状とされている。
【0023】
ピルケース27は、カセット23(23A〜23D)の内部に装填できるよう、カセット23(23A〜23D)よりも一回り小さく形成されている。すなわち、
図3に示すように、カセット23(23A〜23D)の内幅と、ピルケース27の外幅との間には、わずかな隙間δが形成されている。
ピルケース27の形状はカセット23(23A〜23D)と略同一であり、前端部左側22が弧状に形成されるとともに、前端部右側29、後端部左側37および後端部右側28がともに角型に形成されている。前端部左側22は、回転半径Rに沿って形成されている。
また、ピルケース27は、高さが低く構成されており(
図2参照。)、ピルケース27の高さは、カセット23(23A〜23D)に7段重ねて配置可能な高さに設定されている。
【0024】
カセット23(23A〜23D)およびピルケース27を以上のように構成することで、服薬支援装置1を小型化し、回転半径Rが小さくなったとしても、ピルケース27の前端部左側22は、最大限の容積を確保できるよう回転半径Rに沿って弧状に形成され、弧状に形成する必要のない前端部右側29、後端部左側37および後端部右側28がともに角型に形成され、ピルケース27が最大限の容積を確保できるよう形成されているため、ピルケース27の前端部27C、後端部ともに最大限の容積を確保することができる。そのため、小型化された服薬支援装置1の大きさに対して最大限の容積を確保したピルケース27を得ることができる。
なお、ピルケース27の形状は、必ずしも前述の形状に限定されるものではない。
例えば、他の部材との兼ね合いによっては、ピルケース27の前端部左側22を直線状に切欠いてなる形状に形成するようにしてもよいし、ピルケース27のその他の角部を、弧状または直線状に切欠いた形状に形成するようにしてもよい。
【0025】
各ラック21(21A〜21D)は、回転籠がモータにより回転駆動されることで、周方向に移動可能とされ、前面カバー3のすぐ裏側に位置することになるラック21(21A〜21D)は、観音開き扉71に対向するように構成されている。観音開き扉71は右扉72と左扉73とを備えている。右扉72は右端のヒンジ72aを中心に開閉し、左扉73は左端のヒンジ73aを中心に開閉される。
このとき、弧状に形成されたピルケース27の前端部左側22が左扉73と対向する位置に、角型に形成されたピルケース27の前端部右側29が右扉72と対向する位置に、それぞれ配置される。
【0026】
図3および
図8Aに示すように、左扉73の裏面(内側)には、当接部としてのリブ76が突出形成されている。右扉72の裏面(内側)には当接部としてのリブ77が突出形成されている。
リブ76は、左扉73のヒンジ73aの側の裏面から突出長さL1となるよう垂直に立ち上がり、先端76bから左扉73の基部73bの側にかけては、緩やかに傾斜する傾斜面76aとされている。また、リブ77は、右扉72のヒンジ72aの側の裏面から突出長さL2となるよう垂直に立ち上がり、先端77bから右扉72の基部72bの側にかけては、緩やかに傾斜する傾斜面77aとされている。
リブ76の先端76bは、服薬支援装置1にピルケース27を装填した際に、弧状に形成されたピルケース27の前端部左側22と対向する位置に設けられている。また、リブ77の先端77bは、服薬支援装置1にピルケース27を装填した際に、角型に形成されたピルケース27の前端部右側29と対向する位置に設けられている。
【0027】
突出長さL1、L2は、それぞれ長さが異なり(不均等)、L1>L2となるよう構成されている。
すなわち、突出長さL1、L2は、ピルケース27が前方に押し出され、観音開き扉71と当接する際に、リブ76、77とピルケース27の前端部27Cとが同時に当接する長さに形成されている。
なお、突出長さL1、突出長さL2は、ピルケース27の前端部27Cの形状に応じて適宜に変更することができる。
【0028】
各カセット23(23A〜23D)には、4種類の別異の塗色が施される。そして、この各カセット23(23A〜23D)に対応するピルケース27には同種色合いの塗色が施され、この塗色により設定時刻に服用する薬剤のピルケース27の誤配置が防止されている。
【0029】
図3に示すように、ラック21Aの後方であり、観音開き扉71に対向する位置には、ピルケース27を押し出し、引き戻すための、押し出し機構30が固定配置されている。
この押出し機構30は押出しブロック31を備え、押出しブロック31は、図示の位置を待機位置として、矢印Xの方向に往復動する。押出し機構30は、不図示のモータにより、不図示のギヤを介して矢印Xの方向に往復動する。
【0030】
つぎに、ピルケースの押出し機構について説明する。
図4は、
図3の矢視A図であり、待機位置の押出し機構30を示す。押出し機構30は引き戻し機構32を備えている。
この引き戻し機構32は、押出しブロック31に配置されたピルケース戻し爪(引き戻し部材)33と、ラック21Aの下面に配置された板状カム(カム部材)34とを備えている。ピルケース戻し爪33は、ばね35により上方に付勢されている。押出し機構30の押出しブロック31にはピルケース支え部36が設けられている。
【0031】
つぎに、
図5を参照し、押出し機構30が、カセット25に充填された最下段のピルケース27を押し出す過程について説明する。
図5A、
図5Bに示すように、押出し機構30が前進すると、引き戻し機構32のピルケース戻し爪33が、ばね35のばね力に抗して、カム34の凸面34Aに沿って下降する。押出し機構30が、さらに前進すると、
図5Cの位置に至り、ピルケース戻し爪33が、カム34の凸面34Aを乗り越えて、ばね35の付勢力で上方に突出し、ピルケース27の下面の窪み部27Aに進入する。本実施形態では、ピルケース27の下面に窪み部27Aが形成されている。
【0032】
押出し機構30が、さらに前進すると、
図5Dの位置に至り、ピルケース支え部36の先端36Aがピルケース27の後端27Bに当接する。
押出し機構30が、さらに前進すると、
図5Eに示すように、最下段のピルケース27が、ピルケース支え部36により押し出される。
ピルケース戻し爪33は、ピルケース27の押出し動作に機能しない。ただし、ピルケース支え部36が、最下段のピルケース27を押し出す途中にあっては、ピルケース戻し爪33がピルケース27の窪み部27Aに嵌まっているため、最下段のピルケース27を手前側に引き抜こうとしても、引き抜くことはできない。
ピルケース27が、ピルケース支え部36により押し出されると、カセット25に設けた蓋26が、基部26Aを基点に開かれ、ピルケース27の前端部27Cが突出する。
ピルケース27が押し出されると、蓋26がピルケース27を下から支えるため、落下せず、ピルケース27をその場に止まらせることができる。
【0033】
押出し機構30のストローク限界においては、
図5Fに示すように、押出しブロック31が、最下段のピルケース27を所定の寸法だけ押し出す。この際には、ピルケース27の前端部27Cが、観音開き扉71を押し退けて、
図5F、
図8Dに示すように、観音開き扉71の外側に突出する。この場合には、ピルケース戻し爪33が、カム34のカムプロフィールに沿って下降して、ピルケース27の窪み部27Aから脱出する。ピルケース戻し爪33が、窪み部27Aから脱出することで、
図5Fの状態では、観音開き扉71の外側に突出したピルケース27の前端部27Cを手で掴んで、ピルケース27をカセット25から引き出すことができる。
この実施形態では、押出し機構30が、最下段のピルケース27を所定寸法だけ押し出した時に、ユーザが、手を使って、押し出されたピルケース27の前端部27Cを掴んで、服薬支援装置1から取り出すことができる。所定寸法は、手を使ってピルケース27の前端部27Cを掴むことができる寸法に設定される。
ピルケース27を押し出す過程では、
図5E,Fに示すように、ピルケース支え部36が、上段のピルケース27を支える。したがって、最下段のピルケース27を押し出す過程で、上段のピルケース27が落下することはない。
この実施形態では、ピルケース支え部36の先端36Aが、ピルケース27の後端27Bに当接して、ピルケース27を押し出すため、一旦、ピルケース27が押し出された後には、ユーザが、誤ってピルケース27をカセット25内に押し込むなどしても、ピルケース27がカセット25内に押し込まれることがない。
【0034】
つぎに、
図6を参照して、ピルケース27がユーザに取り出された状態について説明する。ピルケース27が、ユーザの手によって、取り出された状態を示す
図6Aの状態では、押出し機構30のピルケース支え部36が、上段のピルケース27を支えている。この状態から、押出し機構30が後退を開始すると、
図6Bの状態を経て、
図6C〜Eの状態に至る。
図6C〜Eの状態では、上段のピルケース27が、ピルケース支え部36の前端テーパ面36Bに沿ってゆっくりと降下する。そして、
図6Fの状態で、上段のピルケース27が平行な状態を保って最下段に落下する。
図6F〜Gの過程では、ピルケース戻し爪33が、ばね35のばね力に抗して、カム34の凸面34Aに沿って下降し、ピルケース27の窪み部27Aから脱出する。そして、
図6Hの待機位置に至る。
【0035】
つぎに、
図7を参照して、最下段のピルケース27が引き抜かれなかった場合に、最下段のピルケース27を引き戻す過程について説明する。
図7Aに示すように、ピルケース27が引き抜かれなかった場合、押出し機構30の後退を開始すると、
図7Bに示すように、ピルケース戻し爪33が、カム34のカム面に沿って上昇し、ピルケース27の窪み部27Aに嵌る。
ピルケース戻し爪33が、窪み部27Aに嵌った状態で、押出し機構30の後退を継続すると、
図7B〜Dに示すように、ピルケース戻し爪33が、ピルケース27をカセット25の奥側へ移動させる。
【0036】
図7A〜Cの過程では、ピルケース支え部36が、上段のピルケース27を支えるため、ピルケース27の引き戻しはスムーズである。
図7D〜Eの過程では、ピルケース戻し爪33が、ばね35のばね力に抗して、カム34の凸面34Aに沿って下降し、ピルケース27の窪み部27Aから脱出する。そして、
図7Fの待機位置に至る。
【0037】
この構成によれば、ピルケース27がユーザの手元に渡らない場合、ピルケース27がカセット25の外に放置されず、誤飲が防止できる。
【0038】
ピルケース27が押し出される際には、観音開き扉71とピルケース27の前端部27Cとが接触する。つぎに、
図3、
図8を参照して、ピルケース27が押し出され、観音開き扉71を開けて排出される過程について説明する。
図8Aに示すように、ピルケース27が押し出されると、リブ76とピルケース27の前端部左側22と、リブ77とピルケース27の前端部右側29とが同時に当接する。
このとき、さらにピルケース27を押し出すと、
図8Bに示すように、左扉73と右扉72とがばねの付勢力に抗して略同時に観音開きに開く。
さらにピルケース27を押し続けると、
図8Cに示すように、傾斜面76aと弧状の前端部左側22とが当接しながら左扉73を開き、傾斜面77aと角型の前端部右側29とが当接しながら右扉72を開く。
ピルケース27の押出しが完了すると、
図8Dに示すように、ピルケース27の左右側面に左扉73、右扉72のリブが接触した状態に保持される。
【0039】
以上説明したように、
図3に示すように、カセット23(23A〜23D)の内幅と、ピルケース27の外幅との間に、所定の隙間δが形成されているため、観音開き扉71の開放時にピルケース27の前端部27Cに大きな抵抗(不均等な抵抗)がかかると、ピルケース27が斜めになって、ピルケース27がカセット23(23A〜23D)の内幅間に拘束され、ピルケース27が排出されない恐れがある。
本実施形態では、リブ77の突出長さL1とピルケース27の前端部左側22とが当接するときに、同時にリブ76の突出長さL2とピルケース27の前端部右側29とが当接する長さにリブ76、77を形成した。
そのため、ピルケース27が前方に押し出され、観音開き扉71と当接する際に、リブ76、77とピルケース27の前端部27Cとが同時に当接し、ピルケース27の前端部27Cに大きな抵抗がかからず、観音開き扉71をスムーズに開放できる。
ピルケース27を一部弧状とした場合にも、ピルケース27を押し出した場合に観音開き扉71を略同時に開き動作を開始させることができ、観音開き扉71の開き動作開始後もピルケース27の前端部27Cの形状に沿って右扉72と左扉73とが開かれる。したがって、右扉72、左扉73のうち一方のみに力が加わってしまうことがなく、各扉が異なったタイミングで開いてしまうことを確実に防止することができる。
これにより、ピルケース27がカセット23(23A〜23D)の内幅間に拘束されることがなくなり、ピルケース27を正確に排出できる。
【0040】
また、このように、各扉を略同時に開くことができるので、ピルケース27を一部弧状に形成した場合にも、ピルケース27を観音開き扉71から押し出す際に、ピルケース27の前端部27Cが左右に傾いた状態で押し出されてしまうことがなく、押出方向に直線的に排出することができる。
そして、ピルケース27の前端部27Cが左右に傾くことがないので、ピルケース27の排出時に、ピルケース27が左右に傾き、観音開き扉71から排出されないという不都合を回避できる。
【0041】
また、傾斜面76a、77aが備えられているため、観音開き扉71が開いた後、右扉72、左扉73がピルケース27の排出を妨げない。ピルケース27を滞らずに排出できる。
【0042】
また、本実施の形態においては、左扉73および右扉72が観音開き式に開くため、排出されるピルケース27が排出された際に、ピルケースの左右両側に左扉73および右扉72が位置する。ピルケース27は、高さが低く、上面と下面とが開口した左扉73および右扉72でふさがれることがないため、ユーザは指を大きく開くことなく排出されたピルケースの上面と下面をつかんで引出すことができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、ピルケースがユーザによって取り出され、または所定時間の経過により引き戻された場合、右扉72は、基部72bの上部に備えられたばね74aのばね力により閉じられる。また、左扉73は、基部73bの上部に備えられたばね74bのばね力により閉じられる。そのため、右扉72、左扉73を閉じるための他の方法を要せずに簡易な構成とすることができるとともに、部品点数を減らすこともできる。
【0044】
以上、一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。あくまでも本発明の一実施の態様を例示するものであるから、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更、及び応用が可能である。
【0045】
例えば、本実施の形態では、右扉72、左扉73の裏面に、ピルケース27の前端部27Cと当接する当接部としてリブ76、77を備えたが、必ずしもこの構成に限られない。例えば、リブでなく突片を設けるなど、他の構成に応用が可能である。