特許第6374286号(P6374286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374286
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】消火設備
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/64 20060101AFI20180806BHJP
   A62C 37/08 20060101ALI20180806BHJP
   A62C 37/36 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   A62C35/64
   A62C37/08
   A62C37/36
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-202721(P2014-202721)
(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-67798(P2016-67798A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−055505(JP,A)
【文献】 特開2008−245779(JP,A)
【文献】 特開平05−253314(JP,A)
【文献】 特開2011−120717(JP,A)
【文献】 特開2012−249792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/64
A62C 37/08
A62C 37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の防火区画毎に、
閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、
防護区画の火災を検出する火災感知器と、
ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填により弁体を閉駆動して閉鎖し、前記シリンダ室の排水により前記弁体を開駆動して開放させる主弁と、外部から開制御を受けた場合に前記シリンダ室の加圧水を排水して前記主弁を開駆動させる作動用電動弁とを備えた予作動弁装置と、
前記スプリンクラーヘッドの開放作動による前記予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、
前記防護区画に設けた火災感知器による火災検出、又は前記火災感知器による火災検出と前記減圧検出器による減圧検出を判別した場合に前記予作動弁装置の作動用電動弁の開制御により前記主弁を開放して前記スプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部と、
を備えた消火設備に於いて、
前記作動用電動弁と前記主弁のシリンダ室との間に電動弁を設け、
前記制御部は、前記作動用電動弁の運用停止信号を検出した場合に前記電動弁を閉制御することを特徴とする消火設備。
【請求項2】
請求項1記載の消火設備に於いて、前記電動弁と前記作動用電動弁との直列接続と並列に、又は前記作動用電動弁と並列に、手動起動弁を接続したことを特徴とする消火設備。
【請求項3】
請求項1記載の消火設備に於いて、前記制御部は、前記火災感知器により火災を検出した場合に、前記電動弁の開制御を禁止することを特徴とする消火設備。
【請求項4】
複数の防火区画毎に、
閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、
防護区画の火災を検出する火災感知器と、
ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填により弁体を閉駆動して閉鎖し、前記シリンダ室の排水により前記弁体を開駆動して開放させる主弁と、外部から開制御を受けた場合に前記シリンダ室の加圧水を排水して前記主弁を開駆動させる作動用電動弁とを備えた予作動弁装置と、
前記スプリンクラーヘッドの開放作動による前記予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、
前記防護区画に設けた火災感知器による火災検出、又は前記火災感知器による火災検出と前記減圧検出器による減圧検出を判別した場合に前記予作動弁装置の作動用電動弁の開制御により前記主弁を開放して前記スプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部と、
を備えた消火設備に於いて、
前記作動用電動弁と前記主弁のシリンダ室との間に、前記作動用電動弁を交換する場合に閉操作される仕切弁を設けたことを特徴とする消火設備。
【請求項5】
請求項4記載の消火設備に於いて、前記仕切弁と前記作動用電動弁との直列接続と並列に、又は前記作動用電動弁と並列に、手動起動弁を接続したことを特徴とする消火設備。
【請求項6】
請求項1又は4記載の消火設備に於いて、
前記作動用電動弁の交換を開始する場合に運用停止位置に操作し、前記交換が終了した場合に運用停止解除位置に操作する運用停止スイッチを設け、
前記制御部は、前記運用停止スイッチによる運用停止操作の入力を検出した場合に、交換する前記作動用電動弁の断線監視の禁止、交換する作動用電動弁を設けた防護区画の火災検出又は火災検出と減圧検出を判別した場合の作動用電動弁の開制御の禁止、及び前記運用停止スイッチが運用停止位置にあることを示す注意警報を行うことを特徴とする消火設備。
【請求項7】
請求項記載の消火設備に於いて、前記制御部は、前記注意警報として、スイッチ注意灯の作動と所定時間毎の音響警報の出力を行うことを特徴とする消火設備。
【請求項8】
複数の防火区画毎に、
閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、
防護区画の火災を検出する火災感知器と、
ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填により弁体を閉駆動して閉鎖し、前記シリンダ室の排水により前記弁体を開駆動して開放させる主弁と、外部から開制御を受けた場合に前記シリンダ室の加圧水を排水して前記主弁を開駆動させる作動用電動弁とを備えた予作動弁装置と、
前記スプリンクラーヘッドの開放作動による前記予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、
前記防護区画に設けた火災感知器による火災検出、又は前記火災感知器による火災検出と前記減圧検出器による減圧検出を判別した場合に前記予作動弁装置の作動用電動弁の開制御により前記主弁を開放して前記スプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部と、
を備えた消火設備に於いて、
前記作動用電動弁と前記主弁のシリンダ室との間に設けた電動弁と、
前記作動用電動弁の交換を開始する場合に運用停止位置に操作し、前記交換が終了した場合に運用停止解除位置に操作する運用停止スイッチと、
を設け
前記制御部は、前記運用停止スイッチによる運用停止操作の入力を検出した場合に前記電動弁を閉制御し、前記運用停止スイッチによる運用停止解除操の入力を検出した場合に前記電動弁を開制御することを特徴とする消火設備。
【請求項9】
請求項8記載の消火設備に於いて、
前記制御部は、前記運用停止スイッチによる運用停止操作の入力を検出した場合に、交換する前記作動用電動弁の断線監視の禁止、交換する作動用電動弁を設けた防護区画の火災検出又は火災検出と減圧検出を判別した場合の作動用電動弁の開制御の禁止、及び前記運用停止スイッチが運用停止位置にあることを示す注意警報を行うことを特徴とする消火設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器による火災検出時に予作動弁を開放して2次側配管に加圧消火用水を供給した後にスプリンクラーヘッドの作動で放水させる消火設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スプリンクラーヘッドの破損などによる誤放水を防止する消防設備として予作動式のスプリンクラー設備が知られている。
【0003】
予作動式スプリンクラー設備は、防護区画毎に予作動弁装置を設置しており、予作動弁装置は予作動弁として知られた主弁を備え、通常は主弁を閉駆動して加圧水が供給された1次側とスプリンクラーヘッドを接続した2次側とを切り離している。また、主弁の2次側配管には加圧消火用水を充水するか又は圧縮空気を充填している。
【0004】
予作動弁装置は、予作動弁制御盤で火災感知器による火災発報とスプリンクラーヘッドによる減圧検出の両方を判別した場合、又は火災感知器による火災発報を判別した場合、電動弁を用いた遠隔制御弁の開制御により主弁を開駆動し、スプリンクラーヘッドから消火用水を放水させる。
【0005】
ここで、従来の予作動弁装置に使用する主弁は、ピストンシリンダ機構により弁体を開閉駆動しており、この駆動型式として、減圧開放型と加圧開放型がある。
【0006】
減圧開放型の主弁は、ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填することにより弁体を閉位置に駆動して閉鎖しており、一方、シリンダ室の排水による減圧で弁体を開位置に駆動して開放するようにしている。
【0007】
また、加圧開放型の主弁は、ピストンシリンダ機構のシリンダ室を排水側に開放した状態で弁体を閉位置に駆動して閉鎖しており、一方、シリンダ室に対する1次側の加圧水の供給により弁体を開位置に駆動して開放するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−055505号公報
【特許文献2】特開平04−189372号公報
【特許文献3】特開平04−276271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、予作動弁装置に設けた作動用電動弁は主弁を開閉駆動する遠隔制御弁として機能する重要な機器であり、作動用電動弁が正常に機能する可否かを定期点検や自動試験等により確認しており、作動用電動弁が故障した際には、速やかに新品と交換する作業を必要とする。
【0010】
しかしながら、予作動弁装置に減圧駆動型の主弁を設けていた場合、交換のために故障した作動用電動弁を取り外すと、シリンダ室の加圧水が排水され、主弁が開駆動され、2次側に消火用水を充水してしまう。
【0011】
このため作動用電動弁の交換作業が終了して動作を確認した後に、主弁のシリンダ室に1次側から消火用水を加圧充填して閉駆動して設備運用状態に戻す必要があり、作動用電動弁を交換をした後の復旧に手間と時間がかかる問題がある。
【0012】
また、予作動弁制御盤は多数の防護区画に設置した予作動弁装置の監視制御を行っており、作動用電動弁を交換するために故障した作動用電動弁を取り外すと、予作動弁制御盤で断線が検出されて断線警報が不必要に出力される問題がある。
【0013】
また、作動用電動弁の交換作業中に、その防護区画で火災が発生した場合、予作動弁制御盤は、交換作業中の作動用電動弁に開制御信号を送って動作させようとし、例えば取り外している信号線に駆動電圧が印加されることで、短絡事故を起こしたり、作業員が感電するといった不足の事態を招く恐れもある。
【0014】
本発明は、弁部が常時充水されている作動用電動弁を交換する場合に起きる主弁の開駆動や監視制御の異常を未然に防止可能とする消火設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(交換用の電動弁を設けた消火設備)
本発明は、
複数の防火区画毎に、
閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、
防護区画の火災を検出する火災感知器と、
ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填により弁体を閉駆動して閉鎖し、シリンダ室の排水により弁体を開駆動して開放させる主弁と、外部から開制御を受けた場合にシリンダ室の加圧水を排水して主弁を開駆動させる作動用電動弁とを備えた予作動弁装置と、
スプリンクラーヘッドの開放作動による予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、
防護区画に設けた火災感知器による火災検出、又は火災感知器による火災検出と減圧検出器による減圧検出を判別した場合に予作動弁装置の作動用電動弁の開制御により主弁を開放してスプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部と、
を備えた消火設備に於いて、
作動用電動弁と主弁のシリンダ室との間に電動弁を設け、
制御部は、作動用電動弁の運用停止信号を検出した場合に電動弁を閉制御することを特徴とする。
【0016】
(手動起動弁の接続)
ここで、電動弁と作動用電動弁との直列接続と並列に、又は作動用電動弁と並列に、手動起動弁を接続する。
【0017】
(火災検出による電動弁の閉制御禁止)
制御部は、火災感知器により火災を検出した場合に、電動弁の開制御を禁止する。
【0018】
(交換用仕切弁を設けた消火設備)
また、本発明の別の形態にあっては、
複数の防火区画毎に、
閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、
防護区画の火災を検出する火災感知器と、
ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填により弁体を閉駆動して閉鎖し、シリンダ室の排水により弁体を開駆動して開放させる主弁と、外部から開制御を受けた場合に前記シリンダ室の加圧水を排水して主弁を開駆動させる作動用電動弁とを備えた予作動弁装置と、
スプリンクラーヘッドの開放作動による予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、
防護区画に設けた火災感知器による火災検出、又は火災感知器による火災検出と減圧検出器による減圧検出を判別した場合に予作動弁装置の作動用電動弁の開制御により主弁を開放してスプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部と、
を備えた消火設備に於いて、
作動用電動弁と主弁のシリンダ室との間に、作動用電動弁を交換する場合に閉操作される交換用仕切弁を設けたことを特徴とする。
【0019】
ここで、交換用仕切弁と作動用電動弁との直列接続と並列に、又は作動用電動弁と並列に、手動起動弁を接続する。
【0020】
(作動用電動弁交換中の断線監視解除、開制御禁止、注意警報)
作動用電動弁の交換を開始する場合に運用停止位置に操作する運用停止スイッチを設け、
制御部は、運用停止スイッチによる運用停止操作の入力を検出した場合に、交換する作動用電動弁の断線監視の禁止、交換する作動用電動弁を設けた防護区画の火災検出又は火災検出と減圧検出を判別した場合の作動用電動弁の開制御の禁止、及び運用停止スイッチが運用停止位置にあることを示す注意警報を行う。
【0021】
ここで、制御部は、注意警報として、スイッチ注意灯の作動と所定時間毎の音響警報の出力を行う。
【0022】
(運用停止スイッチによる電動弁制御)
本発明は、
複数の防火区画毎に、
閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、
防護区画の火災を検出する火災感知器と、
ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填により弁体を閉駆動して閉鎖し、シリンダ室の排水により弁体を開駆動して開放させる主弁と、外部から開制御を受けた場合にシリンダ室の加圧水を排水して主弁を開駆動させる作動用電動弁とを備えた予作動弁装置と、
スプリンクラーヘッドの開放作動による予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、
防護区画に設けた火災感知器による火災検出、又は火災感知器による火災検出と減圧検出器による減圧検出を判別した場合に予作動弁装置の作動用電動弁の開制御により主弁を開放してスプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部と、
を備えた消火設備に於いて、
作動用電動弁と主弁のシリンダ室との間に設けた電動弁と、
作動用電動弁の交換を開始する場合に運用停止位置に操作し、交換が終了した場合に運用停止解除位置に操作する運用停止スイッチと、
を設け
制御部は、運用停止スイッチによる運用停止操作の入力を検出した場合に電動弁を閉制御し、運用停止スイッチによる運用停止解除操作の入力を検出した場合に電動弁を開制御することを特徴とする。
【0023】
(作動用電動弁交換中の断線監視解除、開制御禁止、注意警報)
制御部は、運用停止スイッチによる運用停止操作の受付けを検出した場合に、交換する作動用電動弁の断線監視の禁止、交換する作動用電動弁を設けた防護区画の火災検出又は火災検出と減圧検出を判別した場合の作動用電動弁の開制御の禁止、及び運用停止スイッチが運用停止位置にあることを示す注意警報を行う。
【発明の効果】
【0024】
(交換用の電動弁を設けた消火設備の効果)
本発明は、複数の防火区画毎に、閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、 防護区画の火災を検出する火災感知器と、ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填により弁体を閉駆動して閉鎖し、シリンダ室の排水により弁体を開駆動して開放させる主弁と、外部から開制御を受けた場合にシリンダ室の加圧水を排水して主弁を開駆動させる作動用電動弁とを備えた予作動弁装置と、スプリンクラーヘッドの開放作動による予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、防護区画に設けた火災感知器による火災検出、又は火災感知器による火災検出と減圧検出器による減圧検出を判別した場合に予作動弁装置の作動用電動弁の開制御により主弁を開放してスプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部とを備えた消火設備に於いて、作動用電動弁と主弁のシリンダ室との間に電動弁を設け、制御部は、作動用電動弁の運用停止信号を検出した場合に電動弁を閉制御するようにしたため、交換に先立ち制御部の遠隔操作により電動弁を閉制御して閉じておくことで、故障した作動用電動弁を取り外してもシリンダ室の加圧水は排水されることがなく、作動用電動弁の交換作業に伴う主弁の開放誤動作を確実に防止して開放誤動作に対する復旧作業を不要とし、作動用電動弁の交換作業の負担を低減可能とする。
【0025】
(手動起動弁の接続による効果)
ここで、電動弁と作動用電動弁との直列接続と並列に、又は作動用電動弁と並列に、手動起動弁を接続するようにしたため、特に電動弁と作動用電動弁との直列接続と並列に手動起動弁を接続している場合には、作動用電動弁の交換中であっても、手動起動弁を開操作することでシリンダ室からの排水により主弁を開駆動可能とし、作動用電動弁の交換中に、その防護区画で、万一、火災が発生した場合に、予作動弁装置側の手動起動弁の開操作で作動したスプリンクラーヘッドからの散水による消火を可能とする。
【0026】
(火災検出による電動弁の閉制御禁止による効果)
また、制御部は、火災感知器により火災を検出した場合に、電動弁の開制御を禁止するようにしたため、火災による作動用電動弁の開制御により主弁を確実に開駆動してスプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水して消火可能とする。
【0027】
(交換用の仕切弁を設けた消火設備)
また、本発明の別の形態にあっては、複数の防火区画毎に、閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、防護区画の火災を検出する火災感知器と、ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填により弁体を閉駆動して閉鎖し、シリンダ室の排水により弁体を開駆動して開放させる主弁と、外部から開制御を受けた場合に前記シリンダ室の加圧水を排水して主弁を開駆動させる作動用電動弁とを備えた予作動弁装置と、スプリンクラーヘッドの開放作動による予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、防護区画に設けた火災感知器による火災検出、又は火災感知器による火災検出と減圧検出器による減圧検出を判別した場合に予作動弁装置の作動用電動弁の開制御により主弁を開放してスプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部とを備えた消火設備に於いて、作動用電動弁と主弁のシリンダ室との間に、作動用電動弁を交換する場合に閉操作される仕切弁を設けるようしたため、交換に先立ち現場操作として電動弁を閉操作して閉じておくことで、故障した作動用電動弁を取り外してもシリンダ室の加圧水は排水されることがなく、作動用電動弁の交換作業に伴う主弁の開放誤動作を確実に防止して開放誤動作に対する復旧作業を不要とし、作動用電動弁の交換作業の負担を低減可能とする。
【0028】
(手動起動弁の接続による効果)
ここで、仕切弁と作動用電動弁との直列接続と並列に、又は作動用電動弁と並列に、手動起動弁を接続するようにしたため、特に仕切弁と作動用電動弁との直列接続と並列に手動起動弁を接続している場合には、作動用電動弁の交換中であっても、手動起動弁を開操作することでシリンダ室からの排水により主弁を開駆動可能とし、作動用電動弁の交換中に、その防護区画で、万一、火災が発生した場合に、予作動弁装置側の手動起動弁の開操作で作動したスプリンクラーヘッドかの散水による消火を可能とする。
【0029】
(作動用電動弁交換中の断線監視解除、開制御禁止、注意警報による効果)
また、作動用電動弁の交換を開始する場合に運用停止位置に操作する運用停止スイッチを設け、制御部は、運用停止スイッチによる運用停止操作の入力を検出した場合に、交換する作動用電動弁の断線監視の禁止、交換する作動用電動弁を設けた防護区画の火災検出又は火災検出と減圧検出を判別した場合の作動用電動弁の開制御の禁止、及び運用停止スイッチが運用停止位置にあることを示す注意警報を行うようにしたため、作動用電動弁の交換作業に先立ち制御部の運用停止スイッチを運用停止位置に操作しておくことで、作動用電動弁を取り外しても断線警報は不必要に出力されず,また、作動用電動弁を交換している防護区画で火災が発生しても交換中の作動用電動弁に開制御信号が不必要に出力されることを確実に防止可能とし、更に、運用停止スイッチが運用停止位置にあることを示す注意警報として、スイッチ注意灯の作動と所定時間毎の音響警報の出力することで、作動用電動弁が交換作業中にあることが分かり、また、交換作業が終了した後の運用停止スイッチの戻し忘れを防止可能とする。
【0030】
(運用停止スイッチによる電動弁制御の効果)
本発明は、複数の防火区画毎に、閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、防護区画の火災を検出する火災感知器と、ピストンシリンダ機構のシリンダ室に所定の圧力の加圧水充填により弁体を閉駆動して閉鎖し、シリンダ室の排水により弁体を開駆動して開放させる主弁と、外部から開制御を受けた場合にシリンダ室の加圧水を排水して主弁を開駆動させる作動用電動弁とを備えた予作動弁装置と、スプリンクラーヘッドの開放作動による予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、防護区画に設けた火災感知器による火災検出、又は火災感知器による火災検出と減圧検出器による減圧検出を判別した場合に予作動弁装置の作動用電動弁の開制御により主弁を開放してスプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部とを備えた消火設備に於いて、作動用電動弁と前記主弁のシリンダ室との間に設けた電動弁と、作動用電動弁の交換を開始する場合に運用停止位置に操作し、交換が終了した場合に運用停止解除位置に操作する運用停止スイッチとを設け、制御部は、運用停止スイッチによる運用停止操作の入力を検出した場合に電動弁を閉制御し、運用停止スイッチによる運用停止解除操作の入力を検出した場合に電動弁を開制御するようにしたため、運用停止スイッチの運用停止位置への操作により電動弁を閉制御して、交換作業に伴う主弁の開放誤動作を確実に防止し、また、運用停止スイッチの運用停止解除位置への操作により電動弁を開制御し、交換作業の終了に伴う電動弁の復旧忘れを防止可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】予作動式の消火設備の概略を示した説明図
図2】交換用電動弁を設けた予作動弁装置の実施形態を示した説明図
図3】予作動弁制御盤における機能構成を示したブロック図
図4】作動用電動弁の交換に伴う予作動弁制御盤の監視制御を示したフローチャート
図5】交換用仕切弁を設けた予作動弁装置の実施形態を示した説明図
図6】交換用電動弁を設けた予作動弁装置の他の実施形態を示した説明図
図7】交換用仕切弁を設けた予作動弁装置の他の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0032】
[予作動スプリンクラー消火設備の概要]
図1は予作動スプリンクラー消火設備の概略を示した説明図であり、湿式予作動スプリンクラー消火設備を例にとっている。
【0033】
図1に示すように、建物の地下階などのポンプ室には消火ポンプ10を設置し、モータ12により駆動する。モータ12はポンプ制御盤14により起動・停止の運転制御を受ける。モータ12により駆動された消火ポンプ10は水源水槽15からの消火用水を吸入し、建物の高さ方向に配置した給水本管16に加圧消火用水を供給する。なお、以下の説明では、加圧消火用水を単に加圧水とする場合がある。
【0034】
消火ポンプ10に対しては呼水槽17を設ける。また消火ポンプ10の起動に使用する圧力タンク18を設ける。圧力タンク18は給水本管16に接続し、配管内の加圧消火用水を導入して内部の空気を圧縮している。圧力タンク18には圧力スイッチ20を設け、圧力スイッチ20は給水本管16の管内圧力が規定圧力以下に低下した減圧を検出してポンプ制御盤14に減圧検出信号を出力し、これによってモータ12を駆動して消火ポンプ10を起動する。
【0035】
給水本管16からは建物の例えば階別の防護区画毎に分岐管22を引き出している。例えば図示の防護区画A1に引き出した分岐配管22の分岐部分には予作動弁装置24を設け、中継器34を介して予作動弁制御盤36との間を信号線接続している。予作動弁装置24の2次側の分岐配管22には閉鎖型のスプリンクラーヘッド26を設け、2次側配管内には加圧消火用水を充水している。
【0036】
またスプリンクラーヘッド26を設置した防護区画には火災感知器35を設置し、火災感知器35からの感知器線を、自火報受信機38を介して予作動弁制御盤36に接続している。分岐配管22の末端側には末端試験弁28を設け、その2次側を、オリフィス30を介して排水配管32に接続している。
【0037】
[予作動弁装置の構成]
図2は交換用電動弁を設けた予作動弁装置の実施形態を示した説明図である。図2に示すように、予作動弁装置24は予作動弁として機能する減圧開放型の主弁42を備えている。主弁42の1次側には手動操作により開閉する制御弁40を設け、ポンプ設備から分岐配管22により加圧消火用水の供給を受けている。主弁42の2次側の分岐配管22は防護区画に引き出され、そこに閉鎖型のスプリンクラーヘッド26を接続している。
【0038】
主弁42は通常状態で閉鎖しており、その2次側の分岐配管22には充水弁56を開いて1次側から供給した加圧水を充填している。
【0039】
主弁42は開閉駆動機構として、シリンダ室44の中に弁体を兼ねたピストン46を、リターンスプリング48を介して摺動自在に配置したピストンシリンダ機構を設けている。設備の使用を開始する場合や火災鎮火に対し設備を復旧する場合、シリンダ室44に1次側の加圧水を、仕切弁68、オリフィス70、逆止弁72を通る経路で充水し、シリンダ室44の圧力を所定圧力に保つことでピストン46をストロークして弁座45に押し当てて弁閉鎖状態としている。
【0040】
主弁42の開放は作動用電動弁50により行う。作動用電動弁50はシリンダ室44をドレイン(排水)に接続する経路に設けており、通常は閉鎖している。作動用電動弁50には例えばリミットスイッチを用いた開閉検出器52を設け、全開又は全閉を検出可能としている。また、作動用電動弁50と並列に手動起動弁54を接続し、手動起動弁54を開操作することで、現場での主弁42の開閉駆動を可能としている。
【0041】
2次側の分岐配管22に接続しているスプリンクラーヘッド26が火災による熱気流を受けて開放すると、開放したスプリンクラーヘッド26からの放水を開始する。このとき主弁42の2次側に設けている減圧検出器60によりスプリンクラーヘッド26の作動による減圧を検出し、減圧検出信号を図1の予作動弁制御盤36に送って主弁42の作動を表示させる。
【0042】
図1に示した予作動弁制御盤36は、例えば防護区画に設置した火災感知器35による火災検出と減圧検出器60による減圧検出を判別した場合、作動用電動弁50に開制御信号を中継器34を介して送って開制御する。
【0043】
作動用電動弁50を開制御すると、シリンダ室44の加圧水が開放した作動用電動弁50を通って排水され、シリンダ室44の圧力が減圧し、1次側からの押圧をピストン46が受けてリターンスプリング48に抗してストロークし、主弁42を開駆動し、開放したスプリンクラーヘッド26に加圧消火用水を送って放水させる。
【0044】
またスプリンクラーヘッド26が開放して放水を開始すると、その1次側の分岐配管22を介して給水本管16の圧力が低下し、この減圧を図1の圧力タンク18に設けている圧力スイッチ20で検出して、ポンプ制御盤14が消火ポンプ10を始動して継続的に加圧水を供給して放水する。
【0045】
また、主弁42の開放による2次側への流水は流水検出器62で検出する。流水検出器62に対しては、主弁42の弁座45の弁体シート面に開口した開口穴からの配管を接続し、オリフィス64及び逆止弁66を介してドレイン側に接続している。
【0046】
主弁42がピストン46のストロークにより開放すると、弁座45からピストン46が離れることで、流水検出器62への配管に1次側の加圧水を供給し、これによって所定時間の遅延タイマ分継続して水圧が加わったときに流水検出器62が作動し、流水検出信号を図1の予作動弁制御盤36に出力して放水表示を行う。このとき流水検出器62に加わる加圧水はオリフィス64及び逆止弁66を通って排水側に流れる。
【0047】
(交換用電動弁の設置)
図2に示す予作動弁装置24にあっては、作動用電動弁50と主弁42のシリンダ室44を結ぶ配管に交換用電動弁74を設け、中継器34を介して図1に示した予作動弁制御盤36からの信号線を接続している。交換用電動弁74は通常は開放しており、作動用電動弁50が故障して交換する際に、図1の予作動弁制御盤36での操作に基づく閉制御信号を受けて閉制御し、故障した作動用電動弁50を新品と交換するために取り外しても、シリンダ室44の加圧水が作動用電動弁50を取り外した配管部分から排出されて閉駆動されることを阻止する。
【0048】
また、交換用電動弁74には例えばリミットスイッチを用いた開閉検出器76を設け、全開又は全閉を検出可能としている。
【0049】
また、交換用電動弁74と作動用電動弁50の直列接続に対し手動起動弁54を並列接続しており、交換用電動弁74を閉制御した状態で故障した作動用電動弁50を取り外した状態であっても、必要に応じて手動起動弁54を開操作することで、シリンダ室44の加圧水を排水して主弁42を開駆動可能としている。
【0050】
[予作動弁制御盤]
(予作動弁制御盤の構成)
図3は予作動弁制御盤の機能構成を予作動弁装置と共に示したブロック図である。図3に示すように、管理人室等に設置した予作動弁制御盤36に対しては中継器34を介して防護区画A1〜An毎に設置した予作動弁装置24を信号線接続している。
【0051】
予作動弁装置24は、図2の予作動弁装置24に設けている作動用電動弁50、開閉検出器52、交換用電動弁74、開閉検出器76、減圧検出器60、流水検出器62及び主弁42を機能ブロックとして取り出して示している。
【0052】
また、防護区画A1〜An毎に設置した火災感知器35は自火報受信機38に接続し、火災感知器35の火災発報による火災信号を自火報受信機38で受信して火災警報を出力すると共に火災を検出した防護区画Aiを示す火災信号を予作動弁制御盤36に出力する。
【0053】
予作動弁制御盤36は、制御部100、操作部102、表示部104、警報部106及び移報部108を備える。
【0054】
制御部100は、例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
【0055】
操作部102は、予作動弁制御盤36の制御動作に必要な各種の操作スイッチを設けており、更に、本実施形態では交換用電動弁74を設けたことに伴い、新たに運用停止スイッチ110を設けている。運用停止スイッチ110は、故障した作動用電動弁50を交換するために交換用電動弁74に閉制御信号を送って閉鎖した場合に、運用停止位置に操作することで、制御部100に作動用電動弁50の交換作業中にあることを認識させる。
【0056】
表示部104は、予作動弁制御盤36の制御動作に必要な各種の表示器や表示灯を設けている。表示部104に設けた表示灯の中には、操作部102に設けている複数のスイッチの何れかが定位にない場合に、これを代表表示するスイッチ注意灯を設けており、操作部102に設けた運用停止スイッチ110を運用停止位置に操作した場合にも、スイッチ注意灯を点灯又は点滅する。また、表示部104には、作動用電動弁50及び交換用電動弁74の開閉を示す表示器を設け、遠隔的に行う開閉動作を確認可能としている。
【0057】
警報部106は火災警報、障害警報を音響出力するスピーカなどを設けている。また、警報部106は、操作部102に設けた運用停止スイッチ110を運用停止位置に操作した場合、運用停止スイッチ110が運用停止位置に切り替わっていることを示す注意警報を音声警報として、所定の時間間隔で繰り返し出力する。
【0058】
移報部108は自火報受信機38を信号線接続しており、自火報受信盤36から防護区画A1〜Anに設置した火災感知器35による防護区画を示す火災信号を移報受信可能としている。
【0059】
(予作動弁制御盤の制御機能)
予作動弁制御盤36の制御部100は、例えばダブルインターロック制御として、防護区画A1〜An毎に、火災感知器35による火災検出と減圧検出器60による減圧検出の両方を判別した場合に、予作動弁装置24に設けた作動用電動弁50に開制御信号を出力して遠隔的に開制御し、これに伴い予作動弁として機能する主弁42を開駆動し、スプリンクラーヘッド26の開放作動に伴う加圧消火用水の放水を可能とする制御を行う。
【0060】
また、制御部100は、別の制御として、火災感知器35による火災検出ができない障害検出、例えば伝送障害、断線、短絡、運用停止、商用電源断などの障害検出と減圧検出器60による減圧検出の両方を判別した場合に、作動用電動弁50に開制御信号を出力して開制御し、これにより主弁42を開駆動し、スプリンクラーヘッド26の開放動作に伴う加圧消火用水の放水を可能とする制御を行う。
【0061】
(作動用電動弁の交換に伴う予作動弁制御盤の制御機能)
予作動弁制御盤36の制御部100は、例えば防護区画A1の作動用電動弁50が故障して交換する場合を例にとると、操作部102による防護区画A1を指定した交換用電動弁74の開操作の受付けを検出した場合、防護区画A1の交換用電動弁74に閉制御信号を出力して閉鎖させる制御を行う。これにより図2に示すように、故障した作動用電動弁50を取り外しても、シリンダ室44の加圧水は排出されず、主弁42の開駆動を防止する。
【0062】
また、制御部100は、操作部102による防護区画A1を指定した交換用電動弁74の開操作の受付けを検出したときに、火災感知器35により火災を検出した場合は、交換用電動弁74の開制御を禁止する制御を行い、火災検出により作動用電動弁50を開制御することで主弁42を確実に開駆動してスプリンクラーヘッド26からの加圧消火用水の放水を可能とする。
【0063】
また、制御部100は、防護区画A1の作動用電動弁50の交換に伴い、操作部102に設けた運用停止スイッチ110による運用停止操作の受付けを検出した場合、表示部104に指示してスイッチ注意灯を点灯又は点滅させ、また、警報部106に指示して運用停止スイッチ110が運用停止位置にあることを示す所定の音声警報又は音響警報を一定時間毎に繰り返し出力させる制御を行う。このため、予作動弁制御盤36側で担当者は運用停止スイッチ110を運用停止位置に操作していることを簡単且つ確実に認識可能となり、作動用電動弁50の交換作業が終了した場合の運用停止スイッチ110の戻し忘れを防止可能とする。
【0064】
また、制御部100は、操作部102に設けた運用停止スイッチ110による運用停止操作の入力を検出した場合、防護区画A1に設けた作動用電動弁50の断線監視を解除するか、断線を検出しても断線警報を出さないようにする制御を行う。このため、故障した作動用電動弁50の交換作業で予作動弁制御盤36からの信号線を取り外して断線状態としても、予作動弁制御盤36から断線警報が出されることはない。
【0065】
また、制御部100は、操作部102に設けた運用停止スイッチ110による運用停止操作の受付けを検出した場合、例えば防護区画A1に設けた火災感知器35による火災検出と減圧検出器60による減圧検出の両方を判別しても、作動用電動弁50に対する開制御信号の出力を禁止する制御を行う。このため作動用電動弁50の交換作業中に、予作動弁制御盤36からの信号線に開制御信号の信号電圧を加えることがなく、短絡事故や感電事故を確実に防止可能とする。
【0066】
なお、制御部100は、運用停止スイッチ110による運用停止操作の入力を検出した場合に交換用電動弁74を閉制御し、運用停止スイッチ110による運用停止解除操作の受付けを検出した場合に交換用電動弁74を開制御するようにしても良い。
【0067】
この制御により、運用停止スイッチ110の運用停止位置への操作により交換用電動弁74を閉制御して、交換作業に伴う主弁42の開放誤動作を確実に防止し、また、運用停止スイッチ110の運用停止解除位置への操作により交換用電動弁74を開制御し、交換作業の終了に伴う交換用電動弁74の復旧忘れを防止可能とする。
【0068】
(作動用電動弁の交換に伴う制御動作)
図4は作動用電動弁の交換に伴う予作動弁制御盤の監視制御を示したフローチャートである。
【0069】
図4において、予作動弁制御盤36の制御部100は、操作部102の操作に基づき、ステップS1(以下「ステップ」は省略)で、操作部102で指定した防護区画の交換用電動弁74に閉制御信号を出力して閉制御し、開閉検出器76による閉検出信号を受信した場合に閉制御信号の出力を停止する。
【0070】
続いてS2で運用停止スイッチ110のオン操作となる運用停止操作による入力を検出すると、S3でスイッチ注意灯を点灯し、また、一定間隔で注意警報音の出力を繰り返す。
【0071】
続いてS4で作動用電動弁50に対する信号線の取り外しで断線を検出し、S5で交換中の防護区画であることを検出するとS6に進んで断線警報を禁止し、一方、交換中の防護区画でなければS7に進んで断線警報を出力する。
【0072】
また、S8で防護区画の火災検出と減圧検出を判別した場合、S9で交換中の防護区画であることを検出するとS10に進んで作動用電動弁50の開制御を禁止し、一方、交換中の防護区画でなければS11に進んで作動用電動弁50の開制御を行う。
【0073】
続いて、S12で運用停止スイッチ110のオフ操作となる運用停止解除操作の入力を検出すると、作動用電動弁50の交換作業が完了したと判断してS13に進み、交換用電動弁74を開制御し、また、S14でスイッチ注意灯を消灯すると共に断線警報禁止を解除する復旧処理を行って通常の監視制御に移行する。
【0074】
[交換用仕切弁を用いた予作動弁装置]
図5は交換用仕切弁を設けた予作動弁装置の実施形態を示した説明図である。図5に示すように、本実施形態の予作動弁装置24は、作動用電動弁50と主弁42のシリンダ室44を結ぶ配管に交換用仕切弁78を設け、手動操作により開閉可能としている。
【0075】
交換用仕切弁78は通常は開放位置に操作しており、作動用電動弁50が故障して交換する際に閉鎖位置に操作し、これにより故障した作動用電動弁50を新品と交換するために取り外しても、シリンダ室44の加圧水が作動用電動弁50を取り外した配管部分から排出されて閉駆動されることを阻止する。
【0076】
また、交換用仕切弁78には例えばリミットスイッチを用いた開閉検出器80を設け、全開又は全閉を検出し、予作動弁制御盤36の表示部に開閉状態を表示させている。
【0077】
また、交換用仕切弁78と作動用電動弁50の直列接続に対し手動起動弁54を並列接続しており、交換用仕切弁78を閉操作した状態で故障した作動用電動弁50を取り外した状態であっても、必要に応じて手動起動弁54を開操作することで、シリンダ室44の加圧水を排水して主弁42を開駆動可能としている。
【0078】
それ以外の予作動弁装置24の構成及び機能は図2の実施形態と同じになることから、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0079】
また、図3に示した予作動制御盤36の制御部100による制御は、交換用電動弁74の開制御と閉制御を除いた制御機能と同じになる。これに対応して図4の予作動弁制御盤の監視制御を示したフローチャートは、S1及びS13を除いたと同じ制御となる。
【0080】
このように手動操作により開閉する交換用仕切弁78を設けたことで、現場での開閉操作となるが、交換用電動弁に比べ、設備構成を簡単にしてコストを低減できる。
【0081】
[交換用電動弁を用いた予作動弁装置の他の実施形態]
図6は交換用電動弁を設けた予作動弁装置の他の実施形態を示した説明図である。図6に示すように、本実施形態は、作動用電動弁50と並列に手動起動弁54を接続しており、これとシリンダ室44の間の配管に交換用電動弁74を設けたことを特徴とし、それ以外の構成及び制御機能は図2の実施形態と同じになる。
【0082】
本実施形態にあっては、作動用電動弁50と手動起動弁54の並列接続が従来装置と同じであり、この部分を変更することなく、シリンダ室44との間の配管に交換用電動弁74を設ければよく、交換用電動弁74を設けるための設備変更が簡単となり、例えば既設装置の改修などが簡単且つ容易にできる。更に、手動起動弁54も交換容易となる。
【0083】
[交換用仕切弁を用いた予作動弁装置の他の実施形態]
図7は交換用仕切弁を設けた予作動弁装置の他の実施形態を示した説明図である。図7に示すように、本実施形態は、作動用電動弁50と並列に手動起動弁54を接続しており、これとシリンダ室44の間の配管に交換用仕切弁78を設けたことを特徴とし、それ以外の構成及び制御機能は図5の実施形態と同じになる。
【0084】
本実施形態にあっても、作動用電動弁50と手動起動弁54の並列接続は、従来装置と同じであり、この部分を変更することなく、シリンダ室44との間の配管に交換用仕切弁78を設ければよく、交換用仕切弁78を設けるための設備変更が簡単となり、例えば既設装置の改修などが簡単且つ容易にできる。更に、手動起動弁54も交換容易となる。
【0085】
[本発明の変形例]
(交換用電磁弁)
図2及び図5の実施形態では、モータ駆動により開閉する交換用電動弁74を用いた場合を例にとっているが、オンオフ的な開閉動作を行う電磁弁を用いるようにしても良い。電磁弁はソレノイドに対する通電により開放し、通電を切ることで閉鎖することができ、モータ駆動を行う電動弁に比べ、コスト的に安価であり、また耐久性も高いといえる。
【0086】
(その他)
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0087】
10:消火ポンプ
12:モータ
14:ポンプ制御盤
16:給水本管
18:圧力タンク
20:圧力スイッチ
24:予作動弁装置
26:スプリンクラーヘッド
28:末端試験弁
35:火災感知器
36:予作動弁制御盤
38:自火報受信機
42:主弁
44:シリンダ室
46:ピストン
48:リターンスプリング
50:作動用電動弁
52,76,80:開閉検出器
54:手動起動弁
60:減圧検出器
62:流水検出器
74:交換用電動弁
78:交換用仕切弁
100:制御部
110:運用停止スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7