特許第6374297号(P6374297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374297
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】転圧機械の排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/26 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   E01C19/26
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-222578(P2014-222578)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-89409(P2016-89409A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】早坂 喜憲
(72)【発明者】
【氏名】竹内 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 篤
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−158892(JP,A)
【文献】 特開2011−256767(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0305717(US,A1)
【文献】 特開2013−249663(JP,A)
【文献】 特開2002−242121(JP,A)
【文献】 特開昭63−297722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/26
E01C 23/09
F01N 3/02
F01N 3/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体内に搭載されたエンジンの後側にメインポンプを直結し、該エンジンの駆動により上記メインポンプから吐出される作動油を走行用油圧モータに供給することにより上記車体の左右に備えられた転圧輪を駆動して車両を走行させる油圧走行装置と、
上記エンジンの排気管路上に設けられ、該エンジンの排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集する後処理装置と、
上記左右何れか一方の転圧輪と上記車体の側壁との間に形成される隅部に配設された燃料タンクと、
上記他方の転圧輪と上記車体の側壁との間に形成される隅部に配設された作動油タンクと、
上記メインポンプと共に上記エンジンに直結された補助ポンプと、
上記後処理装置に捕集された粒子状物質を焼却する再生処理の際に、上記補助ポンプの吐出圧を上昇させて上記エンジンの負荷を増大させる吐出圧上昇手段とを備え、
上記他方の転圧輪と上記車体の側壁との間に形成される隅部にケーシングが配設され、該ケーシング内が隔壁により上下に2分割され、画成された上下何れか一方の室は上記作動油タンクとされ、他方の室はバルブ室として内部に上記吐出圧上昇手段が配設されていることを特徴とする転圧機械の排気浄化装置。
【請求項2】
上記作動油タンク及び上記空間は、上記補助ポンプに対して前後方向に略一致する位置に配設された
ことを特徴とする請求項1に記載の転圧機械の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転圧機械の排気浄化装置に係り、詳しくは転圧機械に走行用動力源として搭載されたエンジンからの排ガス中の粒子状物質を捕集する後処理装置を備えた排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の転圧機械、例えばマカダムローラでは前部車体内にエンジンを動力源としたHST(Hydro Static Transmission)を搭載して、走行輪を兼ねた前部及び後部転圧輪を駆動するように構成されている。例えば特許文献1に記載されているように、マカダムローラの前部転圧輪は前部車体の左右両側に配設されており、それらの前部転圧輪と前部車体の左右両側壁との間の隅部を利用して、その一方にHSTの作動油を貯留する作動油タンクが配設され、他方に燃料タンクが配設されている。
【0003】
ところで、ディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒子状物質の対策として、エンジンの排気系には粒子状物質を捕集するための後処理装置を装備することが求められている。この種の後処理装置は、排ガス中の粒子状物質を後処理装置上に捕集することで大気中への排出を防止しているが、粒子状物質の捕集により後処理装置は次第に目詰まりする。そこで、トラックや油圧ショベルなどでは粒子状物質の捕集限界を超える以前に後処理装置上の粒子状物質を燃焼させる再生処理が定期的に実施されている。
【0004】
粒子状物質を燃焼させるには後処理装置を昇温する必要があり、そのためにエンジン負荷を増大させて排気温度の上昇により後処理装置の昇温を促進する手法が実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−158892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなエンジン負荷を増大させる手法を実施するには、前部車体内の何れかの場所に、油圧回路上で負荷を発生させる負荷掛け用の追加機器を配設する必要がある。
【0007】
しかしながら、マカダムローラの前部車体内には、さらに負荷掛け用の追加機器を設置するスペース的な余地がなく、また油圧ポンプや作動油タンクから離間した位置に負荷掛け用の追加機器を設置すると、長い油圧配管を要すると共に管路抵抗が増大してしまうという別の問題が発生する。このため、抜本的な解決策が従来から要望されていた。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、周辺の機器の設置レイアウトに影響を及ぼすことなく、油圧ポンプや作動油タンクの近接位置に負荷掛け用の追加機器を設置して油圧配管の管路長を短縮することができる転圧機械の排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の転圧機械の排気浄化装置は、車体内に搭載されたエンジンの後側にメインポンプを直結し、エンジンの駆動によりメインポンプから吐出される作動油を走行用油圧モータに供給することにより車体の左右に備えられた転圧輪を駆動して車両を走行させる油圧走行装置と、エンジンの排気管路上に設けられ、エンジンの排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集する後処理装置と、左右何れか一方の転圧輪と車体の側壁との間に形成される隅部に配設された燃料タンクと、他方の転圧輪と車体の側壁との間に形成される隅部に配設された作動油タンクと、メインポンプと共にエンジンに直結された補助ポンプと、後処理装置に捕集された粒子状物質を焼却する再生処理の際に、補助ポンプの吐出圧を上昇させてエンジンの負荷を増大させる吐出圧上昇手段とを備え、他方の転圧輪と車体の側壁との間に形成される隅部にケーシングが配設され、ケーシング内が隔壁により上下に2分割され、画成された上下何れか一方の室は作動油タンクとされ、他方の室はバルブ室として内部に吐出圧上昇手段が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の転圧機械の排気浄化装置によれば、左右の転圧輪と車体の側壁との間にそれぞれデッドスペースとして形成された隅部に燃料タンクと作動油タンクとが配設されるが、燃料タンクに比して作動油タンクは小容量であるため、作動油タンクの上下何れかにはデッドスペースの空間が残存し、この空間内に吐出圧上昇手段を配設することにより、周辺の機器の設置レイアウトに影響を及ぼすことなく吐出圧上昇手段を設置できる。そして、このレイアウトによれば、作動油タンクと吐出圧上昇手段とが近接すると共に、車体内の補助ポンプの側方に作動油タンク及び吐出圧上昇手段が位置することから、補助ポンプと作動油タンク及び吐出圧上昇手段とが前後方向に近い位置に配設され、それらの部材を接続する油圧配管の管路長を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のマカダムローラを示す側面図である。
図2】前部車体を左斜め後方より見た斜視図である。
図3】前部車体を左斜め後方より見て作動油タンク及びバルブ室内を透視した斜視図である。
図4】前部車体を後方より見た後面図である。
図5】マカダムローラの油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をマカダムローラの排気浄化装置に具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態のマカダムローラを示す側面図である。以下の説明では、車両を基準として前後方向及び左右方向を表現する。
【0013】
マカダムローラ1(以下、車両と称することもある)の車体は、前部転圧輪2を備えた前部車体4と後部転圧輪3を備えた後部車体5とにより構成されている。これらの前部車体4と後部車体5とはアーティキュレート機構6を介して連結されており、前部車体4に設けられた図示しない操舵シリンダの駆動により、アーティキュレート機構6を中心として前部及び後部車体4,5が水平方向に屈曲することで車両1が旋回するようになっている。
【0014】
前部転圧輪2は一対の金属ドラムから構成され、前部車体4の左右に回転可能に支持されている。また、後部転圧輪3は単一の金属ドラムから構成され、後部車体5の左右に設けられた支持アーム5aにより回転可能に支持されている。前部転圧輪2は内蔵した走行用油圧モータ7により駆動され、後部転圧輪3は内蔵した走行用油圧モータ8により駆動され、これにより車両1が走行する。
【0015】
前部車体4上にはステアリング10を備えた操作台11が設置され、操作台11の後側にはステアリング10に対応して運転席12が設置されている。なお、締固め作業中にオペレータが左右の転圧際を容易に視認可能なように、図示はしないが、ステアリング10及び運転席12は左右一対設けられている。マカダムローラ1に搭乗して何れかの運転席12に着座したオペレータは、ステアリング10及び操作台11の前後進レバー13や足下の図示しないブレーキペダルなどを操作し、その操作に応じて車両1の走行や操舵などが行われる。
【0016】
後部車体5上には、水を貯留した貯水タンク15が設置されている。貯水タンク15には、前部及び後部転圧輪2,3の近接位置に配設された図示しない転圧輪散水ノズルが配管及び散水ポンプを介して接続されている。締め固め作業時には前部及び後部転圧輪2,3への舗装材の付着防止を目的として、貯水タンク15内の水が散水ポンプにより各散水ノズルに供給されて前部及び後部転圧輪2,3へと散水される。
【0017】
図2は前部車体4を左斜め後方より見た斜視図、図3は同じく前部車体4を左斜め後方より見て作動油タンク及びバルブ室内を透視した斜視図、図4は前部車体4を後方より見た後面図である。
前部車体4は前壁4a、左右両側壁4b,4c及び後壁により構成され、その上面はエンジンフード17(図1に示す)及び図示しない床板により閉鎖され、下面は開放され、その内部にはエンジンルーム18が画成されている。なお、図2〜4では前部車体4の内部構成を明らかにするためにエンジンフード17、床板、後壁を省略している。
【0018】
エンジンルーム18内にはエンジン19が搭載され、図示しないエンジンマウントにより支持されている。エンジン19の後側の上方位置には、粒子状物質の捕集機能及び消音機能を兼ね備えた後処理装置20が配設されている。後処理装置20の両側には排気管21,22(図5に示す)が接続され、一方の排気管21はエンジン19に接続され、他方の排気管22は下方に延設されて前部車体4の下部から外部に臨んでいる。
エンジン19の運転中において排ガスは一方の排気管21を経て後処理装置20に案内され、後処理装置20内で粒子状物質を捕集された後に、他方の排気管22を経て前部車体4の外部に排出される。
【0019】
エンジン19の後側の上記した後処理装置20の下方には、その図示しない出力軸にHSTのメインポンプ23が直結され、エンジン19によりメインポンプ23が駆動されるようになっている。また、エンジン19のメインポンプ23の後側には補助ポンプ24(吐出圧上昇手段)が直結され、同じくエンジン19により駆動されるようになっている。
【0020】
図5はマカダムローラの油圧回路図である。
上記のようにエンジン19にはメインポンプ23及び補助ポンプ24が直結されており、メインポンプ23は前後の走行用油圧モータ7,8との間で閉回路を構成している。メインポンプ23から吐出された作動油が走行用油圧モータ7,8に供給され、これにより前部及び後部転圧輪2,3が駆動される。本実施形態では、メインポンプ23及び走行用油圧モータ7,8により油圧走行装置が構成されている。
なお、閉回路からの作動油の漏れに応じて図示しないチャージポンプによりHSTの作動油タンク25から作動油が適宜補充されるが、本発明の趣旨とは直接関係ないため説明は省略する。
【0021】
補助ポンプ24はサクションホース26及びサクションフィルタ27を介して作動油タンク25と接続される一方、バルブホース28を介して負荷掛けバルブ29に接続され、負荷掛けバルブ29はリターンホース30及びリターンフィルタ31を介して作動油タンク25に接続されている。負荷掛けバルブ29は開閉バルブ29a及びリリーフバルブ29bから構成され、これらのバルブ29a,29bがバルブホース28とリターンホース30との間で並列に接続されている。
【0022】
作動油タンク25の作動油はサクションフィルタ27を経て補助ポンプ24により汲み上げられ、補助ポンプ24から吐出された作動油は開閉バルブ29a及びリリーフバルブ29bに供給される。通常時には開閉バルブ29aが開弁されているため、作動油は開閉バルブ29aを流通してリターンフィルタ31を経て作動油タンク25に戻される。また、再生処理の際には開閉バルブ29aが閉弁されるため、作動油の圧力がリリーフバルブ29bの設定圧を越えるまでは作動油の作動油タンク25への流通が阻止され、設定圧を越えると作動油は流通を許容されて作動油タンク25に戻される。
このようなリリーフバルブ29bの動作が繰り返されることにより、補助ポンプ24の吐出圧が上昇する。それに伴ってエンジン19の負荷が増大することから、排気温度の上昇により後処理装置20の昇温が促進され、捕集されている粒子状物質が効率的に焼却される。
【0023】
以上のように補助ポンプ24の吐出圧の上昇のために負荷掛けバルブ29が必要であり、当該バルブ29を何れかの場所に配設すると共に、補助ポンプ24、負荷掛けバルブ29及び作動油タンク25を油圧配管により相互に接続する必要があるが、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、前部車体4内には負荷掛けバルブ29を設置する余地がない。
【0024】
このような問題点を鑑みて本発明者は、前部車体4の左右両側に配設されるエンジン19の燃料タンク33とHSTの作動油タンク25との容量差に着目し、最適な負荷掛けバルブ29の設置場所を見出した。以下、作動油タンク25、負荷掛けバルブ29及び油圧配管の設置状態について詳述する。
【0025】
左右の前部転圧輪2と前部車体4の左右両側壁4b,4cとの間にはそれぞれ隅部が形成されており、このデッドスペースである隅部を利用して、左側の隅部にエンジン19の燃料タンク33が配設され、右側の隅部にHSTの作動油タンク25が配設されている。なお、34は乗降用のステップである。
燃料タンク33に比して作動油タンク25は小容量であるため、作動油タンク25の上下何れかにデッドスペースの空間が残存している。そこで本実施形態では、前部車体4の右側壁4c上の上側位置に作動油タンク25を設置し、その下側に形成された空間内を利用して補助ポンプ24を設置している。
【0026】
図2に示すように、上記した右側の隅部には、前部車体4の右側壁4cと略一致する高さのケーシング36が配設されており、ケーシング36内は隔壁36aにより上下に2分割され、その上側に画成された室が作動油タンク25として機能する。作動油タンク25内には作動油が貯留されると共に、内部の隔壁36a上には上記したサクションフィルタ27及びリターンフィルタ31が固定されている。下側に画成された室はバルブ室37として機能し、このバルブ室37内の前側壁37aに負荷掛けバルブ29の開閉バルブ29aとリリーフバルブ29bとが一体で固定されている。
【0027】
サクションフィルタ27及びリターンフィルタ31の接続部はバルブ室37内で隔壁36aの下面に露出しており、サクションフィルタ27の接続部には上記したサクションホース26の一端が接続され、サクションホース26は前部車体4の右側壁4cに貫設された透孔38(図2に示す)を介して前部車体4のエンジンルーム18内に引き出され、その他端が補助ポンプ24の吸込側に接続されている。補助ポンプ24の吐出側には上記したバルブホース28の一端が接続され、バルブホース28は前部車体4の右側壁4cに貫設された透孔39を介してバルブ室37内に引き込まれ、その他端が負荷掛けバルブ29の一端に接続されている。
【0028】
負荷掛けバルブ29の他端には上記したリターンホース30の一端が接続され、リターンホース30は前部車体4の右側壁4cに貫設された透孔40を介してエンジンルーム18内に引き出された後、再び透孔41を介してバルブ室37内に引き込まれてリターンフィルタ31の接続部に接続されている。このようなバルブ室37内を迂回したリターンホース30の配置はホース最小曲げ半径を確保するためのものであり、仮に最小曲げ半径が確保できるのであれば、バルブ室37内で負荷掛けバルブ29とリターンフィルタ31とを直接的にリターンホース30で接続してもよい。
【0029】
また、負荷掛けバルブ29とリターンフィルタ31との接続部の口径が相違するため、図2,3に示すように異径のホースをジョイント42により接続してリターンホース30を構成している。勿論、双方の接続部の口径が同一である場合には、このような構成を採る必要はなく、単一のホースをリターンホース30とすればよい。
【0030】
以上のように本実施形態のマカダムローラ1では、右側の前部転圧輪2と前部車体4の右側壁4cとの間に形成されたデッドスペースである隅部に作動油タンク25を配設し、その下側にデッドスペースとして残存している空間(本実施形態ではバルブ室37が位置する箇所)を利用して負荷掛けバルブ29を設置している。従って、前部車体4のエンジンルーム18内に負荷掛けバルブ29を設置する必要がないことから、エンジンルーム18内の機器の設置レイアウトに何ら影響を及ぼすことなく負荷掛けバルブ29を設置することができる。
【0031】
また、このレイアウトによれば、作動油タンク25と負荷掛けバルブ29とが近接すると共に、エンジンルーム18内の補助ポンプ24の右側方にケーシング36が位置することから、補助ポンプ24とケーシング36内の作動油タンク25及び負荷掛けバルブ29とが前部車体4の右側壁4cを隔てて前後方向に近い位置に配設される。よって、サクションホース26、バルブホース28、リターンホース30のそれぞれの管路長を短縮でき、しかも作動油が流通する際の管路抵抗を低減することができる。
【0032】
特に本実施形態では、補助ポンプ24とケーシング36とが前後方向に略一致しているため、補助ポンプ24と作動油タンク25及び負荷掛けバルブ29とが極めて近接している。よって、作動油タンク25(詳しくはサクションフィルタ27)と補助ポンプ24とを接続するサクションホース26、及び補助ポンプ24と負荷掛けバルブ29とを接続するバルブホース28の管路長を最大限に短縮することができる。
【0033】
また、特に本実施形態では、作動油タンク25の下側の空間に単に負荷掛けバルブ29を設置するのではなく、共通のケーシング36により作動油タンク25と一体で形成されたバルブ室37内に負荷掛けバルブ29を設置している。よって、作動油タンク25及びバルブ室37を非常に安価なコストで形成できると共に、バルブ室37内への収容により負荷掛けバルブ29を粉塵や雨水などから保護できるため、そのトラブルを最小限に抑制することができる。
【0034】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ケーシング36内を上下に2分割して、その上側を作動油タンク25とし、下側をバルブ室37として内部に負荷掛けバルブ29を収容したが、これに限るものではない。例えば作動油タンク25とバルブ室37との上下の位置関係を逆にしてもよいし、作動油タンク25とは別個にバルブ室37を形成してもよい。また、作動油タンク25の上下何れかに形成された空間内に単に負荷掛けバルブ29を配設するだけでもよい。
また上記実施形態では、吐出圧上昇手段として負荷掛けバルブ29を用いたが、補助ポンプ24の吐出圧を上昇可能であれば、これに限るものではなく、例えばオリフィスを用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
2 前部転圧輪
3 後部転圧輪
4 前部車体(車体)
4b 左側壁
4c 右側壁
7,8 走行用油圧モータ(走行油圧装置)
19 エンジン
20 後処理装置
23 メインポンプ(走行油圧装置)
24 補助ポンプ
25 作動油タンク
29 負荷掛けバルブ(吐出圧上昇手段)
36 ケーシング
36a 隔壁
37 バルブ室
図1
図2
図3
図4
図5