特許第6374303号(P6374303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社TAIYOの特許一覧

<>
  • 特許6374303-電動グリッパ装置 図000002
  • 特許6374303-電動グリッパ装置 図000003
  • 特許6374303-電動グリッパ装置 図000004
  • 特許6374303-電動グリッパ装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374303
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】電動グリッパ装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   B25J15/08 C
   B25J15/08 H
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-230463(P2014-230463)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-93861(P2016-93861A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204240
【氏名又は名称】株式会社TAIYO
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】澤田 謙
【審査官】 藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−087256(JP,A)
【文献】 実開昭55−134183(JP,U)
【文献】 特開2005−238400(JP,A)
【文献】 特開昭60−25688(JP,A)
【文献】 特開昭59−59391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの内蔵された本体部と、
前記本体部に設けられ、ワークを把持するための一対の把持部材と、
前記モータのモータ軸の先端に固定された、かさ歯車構造のモータギアと、
前記モータギアの回転中心軸と直交する回転中心軸を持ち、互いに対向配置された状態で前記モータギアとそれぞれ噛合され、当該モータギアの回転に応じて互いの回転方向が逆向きとなった状態で回転される、かさ歯車構造の第1ギアおよび第2ギアと、
前記第1ギアの第1ギア軸にその基端部が固定された第1駆動アームと、
前記第2ギアの第2ギア軸にその基端部が固定された第2駆動アームと、
前記本体部に固定された第1ステーと、
前記第1ステーと対向するように前記本体部に固定された第2ステーと、
前記第1ステーの先端部にその基端部が回動自在に支持された第1従動アームと、
前記第2ステーの先端部にその基端部が回動自在に支持された第2従動アームと
を備え、
前記第1駆動アームの先端部が前記一対の把持部材における一方の把持部材の基端部に回動自在に支持され、
前記第2駆動アームの先端部が前記一対の把持部材における他方の把持部材の基端部に回動自在に支持され、
前記一方の把持部材の基端部と前記第1ステーとの間には、前記第1駆動アームと平行な状態となるように前記第1従動アームの先端部が前記一方の把持部材の基端部に回動自在に支持され、
前記他方の把持部材の基端部と前記第2ステーとの間には、前記第2駆動アームと平行な状態となるように前記第2従動アームの先端部が前記他方の把持部材の基端部に回動自在に支持され
前記第1ステーと前記第2ステーは、前記第1ギアおよび前記第2ギアを間に挟んで互いに向かい合うように前記本体部から突出し、前記第1ギア軸および前記第2ギア軸の軸線とは直交する方向に延びている
ことを特徴とする電動グリッパ装置。
【請求項2】
前記一方の把持部材および前記他方の把持部材は、前記第1ギアおよび前記第2ギアが互いに逆向きとなった状態で回転されることに応じて互いに近接する方向または互いに離反する方向へ移動される
ことを特徴とする請求項1に記載の電動グリッパ装置。
【請求項3】
前記第1ギアおよび前記第2ギアによる回転が前記一方の把持部材および前記他方の把持部材における互いに近接する方向または互いに離反する方向への移動に非線形変換される
ことを特徴とする請求項2に記載の電動グリッパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動グリッパ装置に関し、特に、FA(Factory Automation)組立工程における製品の自動組立、部品搬送、検査等において、ワークを把持して位置決や測長等を行うためのモータ駆動による電動グリッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動グリッパ装置においては、モータによって正逆回転されるカム部材と、レールに沿って直線摺動する一対の把持部材とを備え、一対の把持部材のそれぞれのカムフォロア(駆動ピン)をカム部材に摺動自在に嵌合させる一対のカム溝が当該カム部材に螺旋状に形成され、モータによるカム部材の正逆回転により一対の把持部材がレールに沿って互いに接近・離隔摺動するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の電動グリッパ装置におけるカム部材のカム溝は、モータの回転トルクによって生ずる把持部材の推力がどの位置でも一定となるように、アルキメデスの渦巻き線に沿う螺旋状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−226506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の電動グリッパ装置においては、モータによるカム部材の回転運動を把持部材のカムフォロア(駆動ピン)における直線運動に変換したときの当該把持部材のストローク範囲が当該カム部材の半径に制限されているために短く、このストローク範囲を長くするにはカム部材の半径を大きくしなければならず、その場合には装置全体が大型化してしまうという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の電動グリッパ装置においては、カム部材、カムフォロアおよび把持部材を直線摺動させるための直線ガイドが必要であり、その直線ガイドには有限軌道方式および無限軌道方式の双方共に高精度な研削加工が要求され、その構成が複雑化するという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、小型であり、かつ簡易な構成でありながら直線ガイドを用いることなく把持部材を移動させることのできる電動グリッパ装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、モータ(10)の内蔵された本体部(2)と、前記本体部(2)に設けられ、ワーク(5)を把持するための一対の把持部材(3、4)と、前記モータ(10)のモータ軸(10a)の先端に固定された、かさ歯車構造のモータギア(11)と、前記モータギア(11)の回転中心軸と直交する回転中心軸を持ち、互いに対向配置された状態で前記モータギア(11)とそれぞれ噛合され、当該モータギア(11)の回転に応じて互いの回転方向が逆向きとなった状態で回転される、かさ歯車構造の第1ギア(12)および第2ギア(13)と、前記第1ギア(12)の第1ギア軸(12a)にその基端部(15a)が固定された第1駆動アーム(15)と、前記第2ギア(13)の第2ギア軸(13a)にその基端部(16a)が固定された第2駆動アーム(16)と、前記本体部(2)に固定された第1ステー(17)と、前記第1ステー(17)と対向するように前記本体部(2)に固定された第2ステー(18)と、前記第1ステー(17)の先端部(17b)にその基端部(21a)が回動自在に支持された第1従動アーム(21)と、前記第2ステー(18)の先端部(18b)にその基端部(22a)が回動自在に支持された第2従動アーム(22)とを備え、前記第1駆動アーム(15)の先端部(15c)が前記一対の把持部材(3、4)における一方の把持部材(3)の基端部(3a)に回動自在に支持され、前記第2駆動アーム(16)の先端部(16c)が前記一対の把持部材(3、4)における他方の把持部材(4)の基端部(4a)に回動自在に支持され、前記一方の把持部材(3)の基端部(3a)と前記第1ステー(17)との間には、前記第1駆動アーム(15)と平行な状態となるように前記第1従動アーム(21)の先端部(21c)が前記一方の把持部材(3)の基端部(3a)に回動自在に支持され、前記他方の把持部材(4)の基端部(4a)と前記第2ステー(18)との間には、前記第2駆動アーム(16)と平行な状態となるように前記第2従動アーム(22)の先端部(22c)が前記他方の把持部材(4)の基端部(4a)に回動自在に支持され、前記第1ステー(17)と前記第2ステー(18)は、前記第1ギア(12)および前記第2ギア(13)を間に挟んで互いに向かい合うように前記本体部(2)から突出し、前記第1ギア軸(12a)および前記第2ギア軸(13a)の軸線とは直交する方向に延びていることを特徴とする。
【0009】
また本発明において、前記一方の把持部材(3)および前記他方の把持部材(4)は、前記第1ギア(12)および前記第2ギア(13)が互いに逆向きとなった状態で回転されることに応じて互いに近接する方向または互いに離反する方向へ移動されることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明において、前記第1ギア(12)および前記第2ギア(13)による回転が前記一方の把持部材(3)および前記他方の把持部材(4)における互いに近接する方向または互いに離反する方向への移動に非線形変換される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、モータギア(11)の回転により第1ギア(12)および第2ギア(13)が対向配置された状態で互いに逆方向に回転したとき、第1ギア(12)にその基端部(15a)が固定された第1駆動アーム(15)と、第2ギア(13)にその基端部(16a)が固定された第2駆動アーム(16)とが、それぞれ第1従動アーム(21)および第2従動アーム(22)を介して互いに近接または離反するように回転するため、当該第1駆動アーム(15)に回動自在に支持された一方の把持部材(3)と、第2駆動アーム(16)に回動自在に支持された他方の把持部材(4)とを互いに近接または離反するように移動させることができ、かくして小型であり、かつ簡易な構成でありながら直線ガイドを用いることなく把持部材(3、4)を直線的に移動させることのできる電動グリッパ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態における電動グリッパ装置の全体外観構成を示す外観図である。
図2】本実施の形態における把持部材の駆動機構の構成を示す構成図である。
図3】本実施の形態における把持部材のX軸方向およびY軸方向への移動量の算出に供する図である。
図4】本実施の形態における把持力の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
<電動グリッパ装置の構成>
図1および図2(A)、(B)に示すように、本実施の形態における電動グリッパ装置1は、本体部2と、一対の把持部材3、4とにより構成されている。
【0015】
本体部2は、その内部にステッピングモータ(以下、これをモータと呼ぶ。)10等を収納し、その上端面に2本の直線状の溝2a、2bが互いに対向するように形成されている。
【0016】
一対の把持部材3、4は、当該本体部2の内部から溝2a、2bを貫通するように設けられた2本の腕部3b、4bを有し、当該一対の腕部3b、4bによって例えば円形状のワーク5を外側から挟み付けるように把持するものである。
【0017】
モータ10のモータ軸10aの先端部には、かさ歯車でなるモータギア11が固定されている。このモータギア11には、当該モータギア11の回転中心軸と直交する回転中心軸を持つかさ歯車でなる第1ギア12、第2ギア13が互いに対向配置された状態で噛合されている。この第1ギア12および第2ギア13は、互いに対向配置された状態でモータギア11の回転に応じて同時に従動回転されるが、その際、第1ギア12の回転方向と第2ギア13の回転方向とは互いに逆向きになる。
【0018】
第1ギア12には第1ギア軸12aが一体に固定されており、当該第1ギア軸12aが第1駆動アーム15の円形状でなる基端部15aの貫通孔に嵌合固定されている。この第1駆動アーム15は、その先端部にピン15cが形成されている。
【0019】
同様に、第2ギア13には第2ギア軸13aが一体に固定されており、当該第2ギア軸13aが第2駆動アーム16の円形状でなる基端部16aの貫通孔に嵌合固定されている。この第2駆動アーム16は、その先端部にピン16cが形成されている。
【0020】
ここで、第1ギア12の第1ギア軸12aに固定された第1駆動アーム15および第2ギア13の第2ギア軸13aに固定された第2駆動アーム16は、第1ギア12および第2ギア13に固定された状態において、第1駆動アーム15が把持部材3の設けられた矢印A方向に指向されるとともに第2駆動アーム16が把持部材4の設けられた矢印B方向に指向されている。
【0021】
一対の把持部材3、4は、矢印AB方向に沿って平行な正面視長方形状の基端部3a、4aおよび当該基端部3a、4aから直交する矢印CD方向に沿って鉛直に延びた腕部3b、4bが一体となって形成されている。一対の把持部材3、4の基端部3a、4aは本体部2の内部に収納されており、腕部3b、4bだけが本体部2の内部から溝2a、2bを介して外部に露出されている。
【0022】
第1駆動アーム15のピン15cは、図中矢印A方向側にある一方の把持部材3の基端部3aの図中B方向寄りの貫通孔3h1に対してすべり軸受け構造により回動自在に支持されている。同様に、第2駆動アーム16のピン16cは、図中矢印B方向側にある他方の把持部材4の基端部4aの図中矢印A方向寄りの貫通孔4h1に対してすべり軸受け構造により回動自在に支持されている。
【0023】
ところで、本体部2には、矢印AB方向に沿って平行であり、第1ギア12および第2ギア13を間に挟んで互いに向かい合うように当該本体部2から突出した状態で固定された角柱状の第1ステー17、第2ステー18が設けられている。この第1ステー17、第2ステー18の先端部には、ピン17b、18bが形成されている。
【0024】
第1ステー17のピン17bは、第1従動アーム21の円形状でなる基端部21aの貫通孔にすべり軸受け構造により回動自在に支持されている。この第1従動アーム21は、第1駆動アーム15と同一長さであり、その先端部にピン21cが形成されている。
【0025】
同様に、第2ステー18のピン18bは、第2従動アーム22の円形状でなる基端部22aの貫通孔にすべり軸受け構造により回動自在に支持されている。この第2従動アーム22は、第2駆動アーム16と同一長さであり、その先端部にピン22cが形成されている。
【0026】
第1従動アーム21のピン21cは、一方の把持部材3の基端部3aにおける図中矢印A方向寄りの貫通孔3h2にすべり軸受け構造により回動自在に支持されている。同様に、第2従動アーム22のピン22cは、他方の把持部材4の基端部4aにおける図中矢印B方向寄りの貫通孔4h2に対して回動自在に支持されている。
【0027】
したがって、一対の把持部材3、4における基端部3a、4aは、第1駆動アーム15、第2駆動アーム16と回動自在に連結されるとともに、第1従動アーム21、第2従動アーム22と回動自在に連結されている。
【0028】
ここで、把持部材3の基端部3aにおける貫通孔3h1と貫通孔3h2との距離は、第1駆動アーム15の基端部15aの貫通孔と第1従動アーム21の基端部21aの貫通孔との距離と同じである。同様に、把持部材4の基端部4aにおける貫通孔4h1と貫通孔4h2との距離は、第2駆動アーム16の基端部16aの貫通孔と第2従動アーム22の基端部22aの貫通孔との距離と同じである。
【0029】
これにより、一対の把持部材3、4における2つの基端部3a、4aは、第1ステー17、第2ステー18に対して平行な状態を維持したまま支持されることになり、また、第1駆動アーム15および第1従動アーム21、第2駆動アーム16および第2従動アーム22についても互いに平行な状態を維持したまま支持されることになる。
【0030】
なお、この場合も、第1ステー17のピン17bに回動自在に支持された第1従動アーム21および第2ステー18のピン18bに回動自在に支持された第2従動アーム22は、第1従動アーム21が把持部材3側の矢印A方向に指向されるとともに第2従動アーム22が把持部材4側の矢印B方向に指向されている。
【0031】
すなわち、把持部材3については、モータ10のモータ軸10aの回転により第1ギア12が回転された場合でも、第1駆動アーム15、基端部3a、第1従動アーム21による平行四辺形状態が維持されたままとなる。
【0032】
これにより把持部材3では、第1駆動アーム15が第1ギア軸12aを回転中心として回動するとともに、第1従動アーム21が基端部21aを回転中心として回動する際、第1駆動アーム15と第1従動アーム21との平行状態が維持され、第1駆動アーム15の回動に追従して第1従動アーム21が駆動される。なお、把持部材3では、第1ギア12、第1駆動アーム15、基端部3a、第1従動アーム21および第1ステー17により左側平行四辺形リンク機構が構成される。
【0033】
同様に、把持部材4については、モータ10のモータ軸10aの回転により第2ギア13が回転された場合でも、第2駆動アーム16、基端部4a、第2従動アーム22による平行四辺形状態が維持されたままとなる。
【0034】
これにより把持部材4では、第2駆動アーム16が第2ギア軸13aを回転中心として回動するとともに、第2従動アーム22が基端部22aを回転中心として回動する際、第2駆動アーム16と第2従動アーム22との平行状態が維持され、第2駆動アーム16の回動に追従して第2従動アーム22が駆動される。なお、把持部材4では、第2ギア13、第2駆動アーム16、基端部4a、第2従動アーム22および第2ステー18により右側平行四辺形リンク機構が構成される。
【0035】
ここで、図3に示すように、第2駆動アーム16の腕長を「d」、第2ステー18の長手方向をx軸とし、把持部材4の腕部4bの長手方向をy軸とした場合、当該腕部4bのx軸方向への移動量x1は、次の(式1)により表される。
x1=d・cosθ…………………………………………………………………………(式1)
【0036】
また、腕部4bのy軸方向への移動量y1は、次の(式2)により表される。なお、これは把持部材3の腕部3bについても同様である。
y1=d・sinθ…………………………………………………………………………(式2)
【0037】
<電動グリッパ装置の動作>
このような構成の電動グリッパ装置1における一対の把持部材3、4によりワーク5を把持するときの動作について説明する。
【0038】
電動グリッパ装置1においては、ワーク5を一対の把持部材3、4により把持する場合、モータ10のモータ軸10aの一方向への回転によりモータギア11を介して対向配置された第1ギア12、第2ギア13が互いに逆方向に回転駆動される。例えば、第1ギア12が図中時計周り(CW)方向へ回転されると、第2ギア13が図中反時計周り(CCW)方向へ回転される。
【0039】
このとき第1ギア12には、第1駆動アーム15が一体に固定されているため、当該第1ギア12の図中時計周り方向への回転に伴って当該第1駆動アーム15が図中時計周り方向へ回転される。同時に、第1従動アーム21についても、把持部材3の基端部3aおよび第1ステー17に対して回動自在に支持されているため、第1駆動アーム15と第1従動アーム21との間の平行状態が維持されたまま、図中時計回り方向へ従動回転される。
【0040】
同様に、第2ギア13についても、第2駆動アーム16が一体に固定されているため、当該第2ギア13の図中反時計周り方向への回転に伴って当該第2駆動アーム16が図中反時計周り方向へ回転される。同時に、従動アーム22についても、把持部材3の基端部3aおよび第2ステー18に対して回動自在に支持されているため、第2駆動アーム16と第2従動アーム22との間の平行状態が維持されたまま、図中反時計回り方向へ従動回転される。
【0041】
このように、第1駆動アーム15と第1従動アーム21との平行状態が維持されたまま、両者が同時に図中時計回り方向へ回転されると、把持部材3の腕部3bが直立状態を維持されたまま矢印E方向から矢印F方向へ円弧状(逆U字状)のカーブ(軌跡)を描きながらワーク5を挟み付ける方向(矢印B方向へ向かって)へ直線的に平行移動される。
【0042】
同様に、第2駆動アーム16と第2従動アーム22との平行状態が維持されたまま、両者が同時に図中反時計回り方向へ回転されると、把持部材4の腕部4bが直立状態を維持されたまま矢印H方向から矢印G方向へ円弧状(逆U字状)のカーブ(軌跡)を描きながらワーク5を挟み付ける方向(矢印A方向へ向かって)へ直線的に平行移動される。
【0043】
この結果、電動グリッパ装置1では、一対の把持部材3、4の腕部3b、4bを直線的にガイドする手段が存在しなくても、第1ギア12および第2ギア13の回転量に応じて当該腕部3b、4bが互いに近づくように直線的に平行移動されるので、2本の腕部3b、4bによりワーク5が挟み付けられて把持される。
【0044】
次に、電動グリッパ装置1において、一対の把持部材3、4により把持されたワーク5を解放するときの動作について説明する。この場合、モータ10のモータ軸10aの他方向への回転によりモータギア11を介して対向配置された第1ギア12、第2ギア13がワーク5を把持するときとは逆方向にそれぞれ回転駆動される。例えば、第1ギア12が図中反時計周り(CCW)方向へ回転されると、第2ギア13が図中反時計周り(CCW)方向へ回転される。
【0045】
このとき、第1ギア12の図中反時計周り方向への回転に伴って第1駆動アーム15が図中反時計周り方向へ回転される。同時に、第1従動アーム21についても、第1駆動アーム15と第1従動アーム21との間の平行状態が維持されたまま、図中反時計回り方向へ従動回転される。
【0046】
同様に、第2ギア13の図中時計周り方向への回転に伴って第2駆動アーム16が図中時計周り方向へ回転される。同時に、第2従動アーム22についても、第2駆動アーム16と第2従動アーム22との間の平行状態が維持されたまま、図中時計回り方向へ従動回転される。
【0047】
このように、第1駆動アーム15と第1従動アーム21との平行状態が維持されたまま、両者が同時に図中反時計回り方向へ回転されると、把持部材3の腕部3bが直立状態を維持されたまま矢印F方向から矢印E方向へ円弧状(逆U字状)のカーブ(軌跡)を描きながらワーク5を解放する方向(矢印A方向へ向かって)へ直線的に平行移動される。
【0048】
同様に、第2駆動アーム16と第2従動アーム22との平行状態が維持されたまま、両者が同時に図中時計回り方向へ回転されると、把持部材3の腕部3bが直立状態を維持されたまま矢印G方向から矢印H方向へ円弧状(逆U字状)のカーブ(軌跡)を描きながらワーク5を解放する方向(矢印B方向へ向かって)へ直線的に平行移動される。
【0049】
この結果、電動グリッパ装置1では、一対の把持部材3、4の腕部3b、4bを直線的にガイドする手段が存在しなくても、第1ギア12および第2ギア13の回転量に比例して当該腕部3b、4bが互いに離れるように直線的に平行移動されるので、2本の腕部3b、4bにより把持されていたワーク5が解放される。
【0050】
かくして電動グリッパ装置1では、モータ10のモータ軸10aの回転によりモータギア11を介して対向配置された第1ギア12、第2ギア13が互いに逆方向に回転駆動され、左側平行四辺形リンク機構については矢印B方向または矢印A方向へ移動されるとともに、右側平行四辺形リンク機構については矢印A方向または矢印B方向へ移動されるため、モータ軸10aの回転運動を左側平行四辺形リンク機構および右側平行四辺形リンク機構の軸対象運動に非線形変換することができる。
【0051】
ところで、把持部材3は、第1ギア12と一体に固定された第1駆動アーム15が当該第1ギア12の回転量に応じて、当該腕部3bが矢印AB方向へ直線的に平行移動するが、第1駆動アーム15が矢印AB方向と平行になるような第1ステー17近傍の仮想位置J付近を回転しているときには、当該第1駆動アーム15の回転量が腕部3bの矢印CD方向への移動には大きく寄与するものの、矢印AB方向への移動には殆ど寄与しないため、当該腕部3bの水平方向(矢印AB方向)の移動速度は遅い。
【0052】
同様に、把持部材4は、第2ギア13と一体に固定された第2駆動アーム16が当該第2ギア13の回転量に応じて、当該腕部4bが矢印AB方向へ直線的に平行移動するが、第2駆動アーム16が矢印AB方向と平行になるような第2ステー18近傍の仮想位置L付近を回転しているときには、当該第2駆動アーム16の回転量が腕部4bの矢印CD方向への移動には大きく寄与するものの、矢印AB方向への移動には殆ど寄与しないため、当該腕部4bの水平方向(矢印AB方向)の移動速度は遅い。
【0053】
これに対して、把持部材3、4は、第1および第2駆動アーム15、16が矢印CD方向と平行になるような仮想位置K付近を回転しているときには、当該第1および第2駆動アーム15、16の回転量が腕部3b、4bの矢印AB方向への移動に大きく寄与するため、当該腕部3b、4bの水平方向(矢印AB方向)の移動速度が速くなる。
【0054】
なお、把持部材4の腕部4bによるワーク5に対する把持力pは、図4に示すように、モータ10により第2駆動アーム16が回転するときの仮想円CRの円周上の座標P(x、y)における接線力Fに等しいとみなすことができる。同様に、把持部材3の腕部3bによるワーク5に対する把持力についても、同様に考えることができる。
【0055】
ここで、第2駆動アーム16の腕長を仮想円CRの半径r、第2ステー18の長手方向をx軸とし、把持部材4の腕部4bの長手方向をy軸とした場合、原点座標O(0、0)および座標P(x、y)で示される腕長rの第2駆動アーム16を回転駆動するモータ10の角速度をω(ω=dθ/dt)、トルクをτ、モータ10の出力(仕事率)をuとすると、このモータ10の出力uは、次の(式3)により表される。
u=τ・ω…………………………………………………………………………………(式3)
【0056】
また、座標P(x、y)におけるモータ10の出力uは、仮想円CRの円周上の周速rωと接線力Fとの積であり、次の(式4)により表される。
u=F・rω………………………………………………………………………………(式4)
【0057】
この(式3)を(式4)に代入することにより、次の(式5)が導かれる。
τ・ω=F・rω…………………………………………………………………………(式5)
【0058】
この(式5)を整理することにより、座標P(x、y)における接線力Fは、次の(式6)で表すことができ、この接線力Fを把持部材4の腕部4bによるワーク5に対する把持力pとみなすことができる。
F=τ/r…………………………………………………………………………………(式6)
【0059】
この接線力F(把持力p)は、X成分FxとY成分Fyで表すことができ、次の(式7)で表される。
F=Fx+Fy
=F・sinθ+F・cosθ………………………………………………………(式7)
【0060】
これにより、X成分FxおよびY成分Fyは、(式6)および(式7)に基づいて次の(式8)および(式9)で表すことができる。
Fx=(τ/r)・sinθ……………………………………………………………(式8)
Fy=(τ/r)・cosθ……………………………………………………………(式9)
【0061】
したがって、図2に示した仮想位置L付近を第2駆動アーム16が回転している場合、すなわち角度θ(図4)が0度に近い場合、接線力F(把持力p)はY成分Fyだけになり、腕部4bの矢印A方向(x軸方向)への把持力は小さくなる。
【0062】
一方、仮想位置K付近を第2駆動アーム16が回転している場合、すなわち角度θ(図4)が90度に近い場合、接線力F(把持力p)はX成分Fxだけになり、腕部4bの矢印A方向(x軸方向)への把持力は大きくなる。これは、把持部材4についても同様である。
【0063】
このように電動グリッパ装置1では、モータ10のモータ軸10aの回転を、腕部3b、4bによるワーク5に対する把持力p、および、当該腕部3b、4bの移動距離に非線形変換することができるので、ワーク5の大きさや重さに応じた最適な把持力pで当該ワーク5を把持することができる。
【0064】
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態においては、第1ステー17、第2ステー18が互いに対向し、かつ、一方の把持部材3の基端部3aおよび他方の把持部材4の基端部4aと第1ステー17および第2ステー18とが平行な状態で当該第1ステー17および第2ステー18が本体部2に固定されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ステー17、18が互いに対向し、第1従動アーム21、第2従動アーム22を第1駆動アーム15、第2駆動アーム16とが平行な状態を維持するように回動自在に支持することができれば、第1ステー17および第2ステー18が平行な状態でなく傾斜した状態で本体部2に固定されていてもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態においては、把持部材3、4の腕部3b、4bによりワーク5を直接挟み付けることにより把持するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該腕部3b、4bの先端に当該腕部3b、4bとは別構造の爪部をそれぞれ設け、当該爪部によりワーク5を挟み付けて把持するようにしてもよい。
【0066】
さらに、上述した実施の形態においては、第1駆動アーム15のピン15cと、把持部材3の基端部3aにおける貫通孔3h1とがすべり軸受け構造により回動自在に支持されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、すべり軸受け構造ではなく、玉軸受、磁性流体軸受等のその他種々の軸受け構造により回動自在に支持されるようにしてもよい。要は、回動自在に支持されている部分から摺動粉等の発生を抑制できればよいので、摺動粉等の発生に対応すべく回動部分にブーツやジャバラ等でカバーするようにしてもよい。なお、このことは、第1駆動アーム15のピン15cと、把持部材3の基端部3aにおける貫通孔3h1との関係だけではなく、第2駆動アーム16のピン16cと、把持部材4の基端部4aにおける貫通孔4h1との関係、第1従動アーム21、第2従動アーム22と把持部材3、4の基端部3a、4aおよび第1ステー17および第2ステー18のピン17b、18bとの関係においても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本願発明の電動グリッパ装置は、FA(Factory Automation)組立工程における製品の自動組立、部品搬送、検査等に利用するようにした場合について述べた。しかしながら、これに限らず、食品トッピング工程、光学機器アライメント自動化工程、医療用および創薬市場のロボット先端グリッパに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1……電動グリッパ装置、2……本体部、2a、2b……溝、3、4……把持部材、3a、4a……基端部、3b、4b……腕部、10……モータ、10a……モータ軸、11……モータギア、12……第1ギア、13……第2ギア、12a……第1ギア軸、13a……第2ギア軸、15……第1駆動アーム、15a……基端部、15c……ピン、16……第2駆動アーム、16a……基端部、16c……ピン、17……第1ステー、18……第2ステー、17b、18b……ピン、21……第1従動アーム、21a……基端部、21c……ピン、22……第2従動アーム、22a……基端部、22c……ピン。
図1
図2
図3
図4