(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに向き合った2つの磁性体板と、前記2つの磁性体板の端部の少なくとも一部を連結する磁性体を含む連結部と、前記2つの磁性体板の間に空間部とを有する磁性体コアと、
前記2つの磁性体板の少なくとも1つの前記空間部に面する側に配置された送電コイルと、
を備える送電アンテナと、
受電コイルを備える受電アンテナと
を備え、
前記受電アンテナは、前記空間部に配置可能であることを特徴とするアンテナ装置。
前記受電アンテナが前記空間部に配置されている場合に、前記送電コイルに流す電流によって発生する磁束線の少なくとも一部が、前記送電コイルと、前記受電コイルと、前記空間部と、前記2つの磁性体板と、前記連結部とを通過する閉ループをなすことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
前記連結部側の辺における前記2つの磁性体板の間の距離よりも、前記連結部側の辺の対辺における前記2つの磁性体板の間の距離の方が大きいことを特徴とする、請求項5に記載のアンテナ装置。
前記磁性体コアは、連結部で連結されていない開口部を有し、前記開口部の少なくとも一部に磁性体を含む可動式の蓋を設けることを特徴とする、請求項1〜7いずれか1項に記載のアンテナ装置。
前記送電アンテナ又は前記受電アンテナは、前記送電アンテナと前記受電アンテナとの位置決めをするための位置決め部を備えることを特徴とする請求項1〜11いずれか1項に記載のアンテナ装置。
互いに向き合った2つの磁性体板と、前記2つの磁性体板の端部の少なくとも一部を連結する磁性体を含む連結部と、前記2つの磁性体板の間に空間部とを有する磁性体コアと、
前記2つの磁性体板の少なくとも1つの前記空間部に面する側に配置された送電コイルと、
を備える送電アンテナを具備する送電側電子機器と、
受電コイルを備える受電アンテナを具備する受電側電子機器と
を含み、
前記受電アンテナが前記空間部に配置されるように前記送電側電子機器と前記受電側電子機器とを組み合わせて配置可能であることを特徴とする電子機器。
前記受電アンテナが前記空間部に配置されるように前記送電側電子機器と前記受電側電子機器とを組み合わせて配置されている場合に、前記送電コイルに流す電流によって発生する磁束線の少なくとも一部が、前記送電コイルと、前記受電コイルと、前記空間部と、前記2つの磁性体板と、前記連結部とを通過する閉ループをなすことを特徴とする請求項16に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0013】
(アンテナ装置の実施形態)
本実施形態に係るアンテナ装置1は、送電アンテナ2と受電アンテナ3とを備える。
図1は、本実施形態におけるアンテナ装置1の送電アンテナ2と受電アンテナ3とをそれぞれ送電側電子機器4と受電側電子機器5とに組み込んで使用する形態を示す斜視図である。
図1(A)は、送電側電子機器4と受電側電子機器5とが組み合わせて配置されていない状態を示す。
図1(B)は、送電側電子機器4と受電側電子機器5とが組み合わせて配置されている状態を示す。すなわち、
図1(B)は、受電アンテナ3が組み込まれた部分が、送電アンテナ2が組み込まれた部分に配置されている状態を示しており、この状態で送受電が行われる。
【0014】
図2は、本実施形態に係る送電アンテナ2を示し、
図2(A)は斜視図であり、
図2(B)はA−A’断面図である。送電アンテナ2は、磁性体コア20と送電コイル25とを備える。磁性体コア20は、空間部23を介して互いに向き合った2つの磁性体板21と、2つの磁性体板21の端部の少なくとも一部を連結する磁性体を含む連結部22とを有している。送電コイル25は、2つの磁性体板21のうち少なくとも一方の磁性体板21の空間部23に面する側に配置される。好ましくは、送電アンテナ2は樹脂の外装を備える。
【0015】
(磁性体コアの説明)
ここで本実施形態に係る磁性体コア20についてさらに説明する。
図3は本実施形態に係る磁性体コア20を示し、(A)は斜視図であり、(B)はA−A’断面図である。磁性体コア20は、空間部23を介して互いに向き合った2つの磁性体板21と、2つの磁性体板21の端部の少なくとも一部を連結する磁性体を含む連結部22とを有している。好ましくは、磁性体コア20の2つの磁性体板21と連結部22とは、一体に形成される。なお、磁性体コア20の2つの磁性体板21と連結部22とは、それぞれ別体の部品として形成され、該別体の部品が接合されてなるものでもよい。また好ましくは、磁性体板21は略矩形であって平板状である。なお、磁性体板21は略矩形でなくてもよい。また磁性体板21は、平板状でなくてもよい。例えば磁性体板21は、曲線で囲まれた図形であってもよく、また曲面で構成される形態であってもよい。
【0016】
また、2つの磁性体板21は、空間部23を介して略平行に向き合う。また該2つの磁性体板21それぞれの端部、すなわちそれぞれの1辺は、連結部22により連結される。なお、連結部22は、1辺の一部のみ、例えば辺の端部や辺の中間部を部分的に連結してもよい。また、連結部22は、1辺だけでなく2辺以上を連結してもよい。
【0017】
受電アンテナ3は、2つの磁性体板21の間の連結部22で連結されていない部分から空間部23に挿入される。この連結部22で連結されていない部分を開口部24と呼ぶ。
【0018】
本実施形態に係る磁性体コア20は、断面形状がコの字である。磁性体コア20の断面形状がコの字である場合、部材の端部に取り付けられている受電アンテナ3を空間部23に挿入しやすい。また、棒状、ベルト状、カード状など長辺を有する部材の中間に取り付けられている受電アンテナ3であっても空間部23に挿入しやすい。好ましくは、2つの磁性体板21のうち一方の磁性体板21における連結部22側の辺からその対辺までの長さが、他方の磁性体板21における連結部22側の辺からその対辺までの長さと異なる。すなわち、2つの磁性体板21は、連結部22側の辺からその対辺までの長さが互いに異なる。このような構成にすれば、受電アンテナ3が取り付けられている部材をより挿入しやすい。
【0019】
また好ましくは、本実施形態に係る磁性体コア20の材料として、Fe系、Fe−Si系、センダスト、パーマロイ、アモルファス等の金属磁性体や、MnZn系フェライト、NiZn系フェライト、あるいは、上記磁性材からなる磁性粒子に結合剤としての樹脂を加えて作製した磁性樹脂材や、磁性粒子に少量のバインダを加えて圧縮成型して作成する圧粉成型材料を用いる。これらの材料は、好ましくは、比透磁率、加工容易性、成型容易性、などの材料の特性に応じて選択される。また好ましくは、2つの磁性体板21と連結部22とは同じ材料からなる。このようにすれば磁性体コア20の内部における比透磁率の不連続が減少し、磁気損失が減少する。
【0020】
図4は、本実施形態に係る受電アンテナ3を示す図である。
図4(A)は受電アンテナ3の斜視図であり、
図4(B)はそのA−A’断面図である。受電アンテナ3は、受電コイル31と、磁性体シート33とが設けられる。受電コイル31は磁性体シート33の一面に配置される。好ましくは、受電アンテナ3は外装32が設けられ、受電コイル31と磁性体シート33とは外装32の中に収納される。また好ましくは、外装32は樹脂である。
【0021】
図5は、本実施形態に係るアンテナ装置1において、受電アンテナ3が送電アンテナ2の空間部23に挿入されている状態を示す断面図である。
図5が示すように、受電アンテナ3は送電アンテナ2の空間部23に配置可能であり、配置された状態で送受電が行われる。
【0022】
ここで、本実施形態に係るアンテナ装置1の用途である電磁誘導を用いた非接触給電について説明する。電磁誘導は、磁束が変動する環境において導体に誘導起電力が発生する現象である。電磁誘導の現象を発生させる構成としては、1組のコイルを用いる構成が一般的である。一方のコイル(1次コイル)に電流(好ましくは交流電流)を流すことによって時間変動する磁束を発生させ、他方のコイル(2次コイル)にこの磁束を鎖交させて誘導起電力を発生させる。1組のコイルの間には結合係数kが定義される。結合係数kは、1次コイルで発生した磁束と2次コイルに鎖交する磁束との比であり、0以上1以下の値をとる無次元数である。結合係数kは、1次コイルと2次コイルとを通過する磁束線の経路の比透磁率が高いほど、1に近づく。例えば、一般的なトランスにおいては、1次コイルと2次コイルとが比透磁率の高い連続した共通のコアを有し、そのコアが磁束線の閉ループを構成する。この構成によって結合係数kがおおよそ0.98以上となっている。結合係数kが1に近づくほど、1次コイルと2次コイルとの間の送受電効率が高くなると言える。
【0023】
一方、非接触給電に用いる送電アンテナ2と受電アンテナ3とは、非接触であるゆえ、トランスのように連続した共通のコアを有することができない。すなわち、トランスの構成と対比して説明すると、まず、送電コイル25及び受電コイル31はそれぞれ1次コイル及び2次コイルに相当する。また、送電アンテナ2の磁性体コア20がトランスの1次コイルのコアに相当し、受電アンテナ3の磁性体シート33がトランスの2次コイルのコアに相当する。ここでトランスとは異なり、コアの間に比透磁率の低い空間部分が存在する。したがって結合係数kをできるだけ1に近づけるためには、送電アンテナ2のコアと受電アンテナ3のコアとを通過する磁束線の閉ループの経路において、空間部分の距離を最小化した構成とすることが有効である。このことを、本実施形態に係るアンテナ装置1に当てはめて具体的に説明する。
【0024】
上述の通り、本実施形態に係るアンテナ装置1は送電アンテナ2と受電アンテナ3とを備える。ここで、本実施形態に係るアンテナ装置1の構成において送電アンテナ2と受電アンテナ3との間の結合係数kを求めるために、電磁界シミュレータを用いて3次元電磁界解析を行い、磁束密度分布を計算した。計算の条件としては、送電コイル25の外径を17mm×21mmとし、磁性体コア20の比透磁率を1000とし、空間部23の厚み、すなわち2つの磁性体板21の間隔を4mmとしている。また、受電アンテナ3の磁性体シート33の比透磁率を100とし、厚みを0.2mmとしている。
図6は磁束密度分布の計算結果を示す。
図6(A)は計算した磁束密度分布のベクトル表示であり、黒に近いほど磁束密度が高いことを示している。送電コイル25で発生した磁束は、磁性体コア20の外側の空間にほとんど漏れることなく、主に磁性体コア20の内部に集中する。これは磁性体コア20が比透磁率の高い磁性体を材料としており、磁性体コア20の外部の空間に比べて比透磁率が高く磁気抵抗が低いことによるものである。
図6(B)は、計算した磁束密度ベクトルの流線である磁束線の一部を
図5に重ねて模式的に示している。送電コイル25で発生した磁束線は、空間部23と、受電アンテナ3に含まれる受電コイル31と、一方の磁性体板21と、連結部22と、他方の磁性体板21とを通過して送電コイル25に戻る閉ループをなす磁束線6a、及び、空間部23と、受電アンテナ3に含まれる受電コイル31と、磁性体シート33と、連結部22と、磁性体板21とを透過して送電コイル25に戻る閉ループをなす磁束線6bを含む。本実施例では、磁性体コアの比透磁率が磁性シートの比透磁率よりも高く、また磁性体の体積も大きいので、磁束線6bが優位となり、磁束は主に磁性体コア20を経路(磁路)とする閉ループとなる。
【0025】
一方、比較のために平板状の送電アンテナ92と受電アンテナ93とが組み合わされているアンテナ装置91の例を示す。アンテナ装置91の構成についても、本実施形態に係るアンテナ装置1と同様に、磁束密度分布を計算した。送電アンテナ92の形状が平板状であることの他は、アンテナ装置1に係る計算の場合と計算の条件は同様である。
図7(A)は計算した磁束密度分布のベクトル表示であり、黒に近いほど磁束密度が高いことを示している。なお、磁束密度分布のレンジ、色諧調は
図6(A)と同一にしている。
図7(B)は、計算した磁束密度ベクトルの流線である磁束線の一部を比較例のアンテナ装置91を示す断面図に重ねて示している。送電コイル925で発生した磁束線96は、受電アンテナ93に含まれる受電コイル931と、磁性体シート933と、外部空間と、送電アンテナ92の磁性体板921とを通過して送電コイル925を終点とする閉ループを構成する。このとき、磁束線96が通過する比透磁率の低い外部空間の距離は、本実施形態に係るアンテナ装置1の構成における空間部23よりも大きい。したがって、本実施形態に係るアンテナ装置1の構成において磁束線6が通過する経路の磁気抵抗の方が、比較例のアンテナ装置91の構成において磁束線96が通過する経路の磁気抵抗よりも低い。
【0026】
実際、
図6(A)と
図7(A)とを比較すると、受電コイル31、931の近傍における磁束密度の表示色が、
図6(A)では黒に近く、
図7(A)では白に近い。このことから、本実施形態に係るアンテナ装置1の方が、比較例のアンテナ装置91よりも磁束密度が高いことが分かる。本実施形態に係るアンテナ装置1と比較例のアンテナ装置91とのそれぞれの磁束密度分布の計算結果からそれぞれの結合係数kを計算した。その結果は次の表(1)の通りである。
【表1】
このように本実施形態に係るアンテナ装置1の結合係数kは、比較例のアンテナ装置91の結合係数kよりも大きくなっている。このことは、比較例のアンテナ装置91よりも本実施形態に係るアンテナ装置1の方が、送受電効率が高くなることを示している。
【0027】
以上の通り、本実施形態に係る送電アンテナ2を用いて送電コイル25で発生する磁束線が、送電コイル25から空間部23、送電アンテナ2、一方の磁性体板21、連結部22、他方の磁性体板21を通過して閉ループをなすことにより、送電アンテナ2と受電アンテナ3との間の結合係数kが大きくなり、ひいては送受電効率が高くなる。
【0028】
(磁性体コアの変形例1)
図8は、磁性体コア20の変形例1を示す図である。
図8(A)は変形例1の磁性体コア20の斜視図であり、
図8(B)はそのA−A’断面図であり、
図8(C)はそのB−B’断面図である。変形例1の磁性体コア20と本実施形態に係る磁性体コア20とは、連結部22が磁性体板21の3辺を連結している点で相違する。すなわち、磁性体コア20の形状がポケット形状となっており、開口部24が1か所のみある。ここで、磁性体板21の3辺を連結する連結部22のうち、開口部24がある辺の対辺を連結している連結部22を底面連結部22aと呼び、その他の2辺を連結する2つの連結部22を側面連結部22bと呼ぶ。以下、底面連結部22aと側面連結部22bとを区別する必要が無い場合は、これらを総称して連結部22と呼ぶ。変形例1の磁性体コア20を備える送電アンテナ2に対して、受電アンテナ3は、連結部22の無い1辺、すなわち1か所の開口部24を通って空間部23に挿入される。磁性体コア20が変形例1のような形状である場合、部材の端部に取り付けられている受電アンテナ3を空間部23に挿入しやすい。変形例1の磁性体コア20の場合、本実施形態に係る磁性体コア20と比べて連結部22によって2つの磁性体板21が連結されている部分が増えており、2つの磁性体板21の間をつなぐ経路の磁気抵抗がより低くなる。このことによって、本実施形態に係る磁性体コア20よりも変形例1の磁性体コア20を備える送電アンテナ2の方が、空間部23に挿入した受電アンテナ3との間の結合係数kが大きくなり、ひいては送受電効率が高くなる。なお、
図8は、連結部22が磁性体板21の3辺を連結している様子を示すが、連結部22が磁性体板21の隣接する2辺のみを連結していてもよい。
【0029】
(磁性体コアの変形例2)
図9は、磁性体コア20の変形例2を示す図である。
図9(A)は斜視図であり、
図9(B)はそのA−A’断面図であり、
図9(C)はそのB−B’断面図である。変形例2の磁性体コア20と本実施形態に係る磁性体コア20とは、連結部22が磁性体板21の1辺だけでなくその対辺も連結している点で相違する。すなわち、略矩形であって平板状の2つの磁性体板21が略平行に向き合い、連結部22が該磁性体板21それぞれの向かい合う2辺を連結している。言い換えれば、変形例2の磁性体コア20は、底面連結部22aを有さず、側面連結部22bのみを有する。変形例2において、磁性体コア20の空間部23は磁性体コア20を貫通する穴となっており、開口部24が向かい合う2辺にある。また、変形例2の磁性体コア20は、断面形状がロの字であるといえる。変形例2の磁性体コア20を備える送電アンテナ2に対して、受電アンテナ3は、2辺にある開口部24のいずれかを通って空間部23に挿入される。変形例2の磁性体コア20の場合も、本実施形態に係る磁性体コア20と比べて連結部22によって2つの磁性体板21が連結されている部分が増えており、2つの磁性体板21の間をつなぐ経路の磁気抵抗がより低くなる。このことによって、本実施形態に係る磁性体コア20よりも変形例2の磁性体コア20を備える送電アンテナ2の方が、送電アンテナ2と空間部23に挿入した受電アンテナ3との間の結合係数kが大きくなり、ひいては送受電効率が高くなる。また、変形例2の磁性体コアを備える送電アンテナ2は、受電アンテナ3が棒状、ベルト状、カード状など長辺を有する部材の中間に取り付けられている場合にも、送電アンテナ2を貫通するように挿入することができる。
【0030】
(磁性体コアのその他の変形例)
図10は磁性体コア20のその他の変形例を示す。
図10(A)は、断面形状がV字である磁性体コア20を示す。すなわち、略矩形であって平板状の2つの磁性体板21が互いに非平行に向き合い、連結部22が磁性体板21の間の距離が小さい側の1辺を連結している。言い換えれば、連結部22側の辺における2つの磁性体板21の間の距離よりも、連結部22側の辺の対辺における2つの磁性体板21の間の距離の方が大きい。したがって
図10(A)の磁性体コア20を備える送電アンテナ2によれば、開口部24における2つの磁性体板21の間の距離が大きいため、受電アンテナ3を空間部23に挿入しやすい。
【0031】
図10(B)は、断面形状がY字である磁性体コア20を示す。すなわち本実施形態に係る磁性体コア20の2つの磁性体板21が、連結部22側の辺の対辺から連結部22とは反対方向に互いの距離が大きくなるように延長されている。好ましくは、少なくとも一方の磁性体板21が角度を有して延長されている。また好ましくは、少なくとも一方の磁性体板21が外側に広がるような曲率を有する曲面として延長されている。このことによって、開口部24における2つの磁性体板21の間の距離が大きく、受電アンテナ3を空間部23に挿入しやすい。さらに、
図10(A)の磁性体コア20と比較して、受電アンテナ3が挿入されて配置される部分において2つの磁性体板21の間の距離が小さい。このことによって、送電アンテナ2と受電アンテナ3との結合係数kが大きくなり、ひいては送受電効率が高くなる。
【0032】
図10(C)は、断面形状がU字形状をなす磁性体コア20を示す。すなわち本実施形態に係る磁性体コア20と比べると、連結部22が曲率を有する部材となっている。また、
図10(D)は、断面形状が半楕円形状をなす磁性体コア20を示す。
図10(D)の場合、2つの磁性体板21と連結部22とが共に曲率を有する部材となっている。
図10(C)及び
図10(D)の磁性体コア20は、好ましくは2つの磁性体板21と連結部22とが一体に形成されてなる。これにより、金属磁性体材料の板材を曲げ加工することによって、磁性体コア20を容易に製造可能である。
【0033】
以上、磁性体コア20の変形例を示した。好ましくは、その他の変形例で示した磁性体コア20においても、変形例1の磁性体コア20と同様に底面連結部22aに隣接する辺に側面連結部22bを設ける。このようにすれば連結部22によって2つの磁性体板21が連結される部分が増え、磁性体コア20の磁気抵抗をより低くすることができる。
【0034】
(磁性体コアに蓋を設けた変形例)
図11は、本実施形態に係る磁性体コア20の開口部24に磁性体を含む可動式の蓋26を設けた態様を示す。蓋26が閉じている場合、変形例2の磁性体コア20と同様の形状である。好ましくは、蓋26は磁性体コア20と同じ材料からなる。
図11に示す変形例においては、蓋26を開いて受電アンテナ3を空間部23に挿入する。また受電アンテナ3を挿入した後に、蓋26を閉じる。本変形例によれば、特に、受電アンテナ3が棒状やベルト状など長手方向と短手方向の長さが大きく異なる部材の中間に取り付けられている場合に、空間部23に挿入しやすく、且つ、蓋26により磁性体コア20の磁気抵抗をさらに低くすることができる。このことによって、受電アンテナ3を挿入しやすくすることと、送電アンテナ2と受電アンテナ3との結合係数kが大きくなり、ひいては送受電効率が高くなることとを両立できる。なお、蓋26を設ける位置は、連結部22側の辺の対辺の開口部24に限られない。その他の開口部24に蓋26を設けても、蓋26を閉じることにより、送電アンテナ2と受電アンテナ3との結合係数kが大きくなる。
【0035】
(送電アンテナの変形例)
上述の通り、送電アンテナ2において、送電コイル25は磁性体コア20の2つの磁性体板21の少なくとも一方の空間部23に面する側に貼り付けられて配置される。好ましくは、送電コイル25は面状であって薄い形状である。また、送電コイル25は、好ましくは、送電コイル25の厚みは1mm以下である。このようにすることで、送電アンテナ2の小型化につながる。また好ましくは、送電コイル25は渦巻状のスパイラルコイルである。また好ましくは、送電コイル25にはAl、Cu又はこれらを主成分とする合金からなる単線を巻回したものを用いる。また好ましくは、送電コイル25には、単線よりも細い細線を複数本束ねた並行線、編線を用いてもよく、厚みの薄い平角線又は扁平線を用いて1層、又は2層のα巻としてもよい。特に送電コイル25に薄さを求める場合にはパターニングにより形成したFPC(Flexible Print Circuit)コイルを用いることもできる。
【0036】
また好ましくは、磁性体コア20の2つの磁性体板21のそれぞれに送電コイル25を配置する。
図12は磁性体コア20の2つの磁性体板21のそれぞれに送電コイル25を配置した場合を示す。
図12(A)は斜視図であり、
図12(B)はA−A’断面図である。このように送電コイル25が2つに増えることによって、発生する磁束が大きくなり、磁性体コア20内部の磁束密度を大きくできる。ただし、2つの送電コイル25に流す交流電流の位相をそれぞれ合わせる必要がある。一方、
図2のように送電コイル25を1つ配置した場合は、2つの磁性体板21の間の距離を送電コイル25の厚みの分だけ小さくでき、送電アンテナ2全体の厚みを小さくすることができる。
【0037】
(受電アンテナの変形例)
上述の通り、受電アンテナ3は、受電コイル31と、磁性体シート33とが設けられる。受電コイル31は磁性体シート33の1面に貼り付けられる。受電コイル31の形状は送電コイル25の形状と同様であるため、説明を省略する。磁性体シート33の材料としては、磁性体コア20と同様に好ましくは、Fe系、Fe−Si系、センダスト、パーマロイ、アモルファス等の金属磁性体や、MnZn系フェライト、NiZn系フェライト、あるいは、上記磁性材からなる磁性粒子に結合剤としての樹脂を加えて作製した磁性樹脂材や、磁性粒子に少量のバインダを加えて圧縮成型して作成する圧粉成型材料などを用いる。また、磁性体シート33の厚みは、好ましくは0.2−0.3mmである。好ましくは、受電アンテナ3は外装32が設けられ、受電コイル31と磁性体シート33とは外装32の中に収納される。好ましくは、外装32は樹脂であり、ウェアラブル端末としての受電側電子機器5のバンド部に相当するものであってもよい。
【0038】
好ましくは、受電アンテナ3は磁性体シート33が設けられず、非磁性体のみで構成される。すなわち、受電コイル31の導電体として非磁性体、例えば銅線を用い、外装32は樹脂などを用いることで、非磁性体のみで受電アンテナ3を構成できる。
図13は磁性体シート33を設けない受電アンテナ3の断面を示す。
図13(A)は斜視図であり、
図13(B)はA−A’断面図である。磁性体シート33を設けない受電アンテナ3は、
図4に示す磁性体シート33を設けた受電アンテナ3よりも厚みを小さくすることができる。
【0039】
ここで、アンテナ装置1が磁性体シート33を設けない受電アンテナ3を備えた場合について、電磁界シミュレータを用いて3次元電磁界解析を行い、本変形例に係るアンテナ装置1の結合係数kを計算した。計算の条件は、磁性体シート33を設けないことの他は、磁性体シート33を設けた受電アンテナ3を備えるアンテナ装置1に係る計算の条件と同様である。
図14は、計算した磁束密度分布のベクトル表示であり、黒に近いほど磁束密度が高いことを示している。なお、磁束密度分布のレンジ、色諧調は
図6(A)及び
図7(A)と同一にしている。結合係数kの計算結果を上述の表(1)に加えたのが次の表(2)である。
【表2】
このように、磁性体シート33を設けない受電アンテナ3を備えても、比較例よりも結合係数kが大きくなっている。
【0040】
(アンテナ装置を組み込む電子機器の例)
図1にアンテナ装置1を電子機器に組み込んだ態様を示した。
図1は電子機器として腕時計型の機器を想定している。電子機器としては他の態様も考えられる。
図15は電子機器としてメガネ型である受電側電子機器5aを示している。
図15(A)はメガネ型電子機器5aのレンズ上部に受電アンテナ3を備えた場合を示す。
図15(B)はメガネ型電子機器5aの眼鏡の弦の部分に受電アンテナ3を備えた場合を示す。
図16(A)は電子機器としてカード型である受電側電子機器5bを示しており、カードの端部に受電アンテナ3が配置されている。
図16(B)はカード型の受電側電子機器5bを対応する送電側電子機器4bに挿入して使用している態様を示す。
図15、
図16のいずれの場合も本実施形態における受電アンテナ3が薄いことを利用してそれぞれの電子機器に受電アンテナ3を配置することができている。このように種々の電子機器に対して本実施形態に係るアンテナ装置1を組み込むことができ、当該電子機器は給電のための端子やケーブルが不要となり、防水性能を高めることができる。
【0041】
(送電アンテナと受電アンテナとの位置を合わせる構成に係る変形例)
アンテナ装置1の送受電機能は、受電アンテナ3が送電アンテナ2の空間部23に挿入されている状態で発揮される。このとき、送電アンテナ2の送電コイル25の中心と受電アンテナ3の受電コイル31の中心とができるだけ近づく方が、結合係数kが大きくなる。別の言い方をすれば、送電アンテナ2の送電コイル25の中心と受電アンテナ3の受電コイル31の中心とが互いにずれた位置に配置されると、結合係数kが小さくなり、ひいては送受電効率が低くなる。したがって、送電アンテナ2の送電コイル25の中心と受電アンテナ3の受電コイル31の中心とをできるだけ合わせて配置することが好ましい。
【0042】
送電アンテナ2の送電コイル25の中心と受電アンテナ3の受電コイル31の中心とを合わせる位置決めをするために、好ましくは、送電アンテナ2、受電アンテナ3それぞれに位置決め部27、34を設ける。
図17は、送電アンテナ2、受電アンテナ3それぞれに位置決め部27、34を設けた例を示す。
図17(A)は、送電アンテナ2に溝状の位置決め部27を設けた場合を示す。
図17(B)は、受電アンテナ3に突起状の位置決め部34を設けた場合を示す。この溝と突起とを組み合わせるように受電アンテナ3を送電アンテナ2に挿入することによって、送電コイル25と受電コイル31との位置決めができる。このようにすれば、送電アンテナ2と受電アンテナ3との結合係数kが大きくなり、ひいては送受電効率が高くなる。なお、位置決め部の構成はこのように送電アンテナ2及び受電アンテナ3のそれぞれに位置決め部27、34を設ける例に限られず、送電アンテナ2又は受電アンテナ3に位置決め部が設けられてもよい。好ましくは、送電アンテナ2、受電アンテナ3の少なくとも一方の外形が位置決め部として機能することによって、送電アンテナ2の送電コイル25の中心と受電アンテナ3の受電コイル31の中心との位置決めをすることができる。例えば、変形例1の磁性体コア20を備える送電アンテナ2に対して、
図16に示したカード型機器を挿入する場合、側面連結部22bが位置決め部としても機能することとなる。このようにすれば、単純な構造と位置決め精度とを両立できる。
【0043】
(ワイヤレス給電用途を考慮した磁性体材料選択の例)
最近、非接触給電を広く実用化するための動きが活発化している。例えば、ブロードバンドワイヤレスフォーラムのワイヤレス電力伝送フォーラムにおいては、ワイヤレス電力伝送に用いる周波数帯を具体的に検討している。この検討を受けたワイヤレス電力伝送技術の利用に関するガイドラインにおいて、利用周波数帯を10kHz〜10MHz、ISM帯(Industry-Science-Medical band:13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz)などと定めている(10kHz未満の周波数帯はもともと電波法の対象外である)。これによって通信用途とワイヤレス電力伝送(非接触給電)用途との間で電波干渉等の問題が起こらないようなすみわけを図っている。
【0044】
本実施形態に係るアンテナ装置1においては、ワイヤレス給電の用途に供する場合、ワイヤレス電力伝送のガイドラインに沿って、コイルに流す交流電流の周波数として上記利用周波数帯を想定している。磁性体の比透磁率には周波数特性があり、例えばパーマロイの場合、100kHz帯の比透磁率は約5000であり、1kHz帯の比透磁率が約50000である。つまり、100kHz帯の比透磁率は1kHz帯の比透磁率と比べて約10分の1となっている。また、MnZn系フェライトの場合、パーマロイとは異なる周波数特性を有する。
図18は、MnZn系フェライトの比透磁率の周波数特性の例を示す。おおむね1000kHz(1MHz)以下の領域においては、比透磁率が1000以上であるが、1MHzのオーダーにおいては比透磁率の値が急激に低下する。比透磁率の値が低いと磁気抵抗が高くなり、磁気損失が大きいため、磁性体コア20としての用途には向かなくなる。したがって好ましくは、使用する周波数帯に応じてアンテナ装置1を構成する磁性体の材料を選択する。
【0045】
また、本実施形態に係るアンテナ装置1においては、ワイヤレス給電の用途に供する場合、通信用途に供する場合と比較して、送電コイル25及び受電コイル31に大きな電流が流れ、ジュール熱が発生する。その電流の大きさは、例えば1アンペア級や0.1アンペア級である。また、ワイヤレス給電の用途に供する場合にアンテナ装置1において発生する磁束密度も、通信用途に供する場合と比較して高くなる。したがって、交流磁束が磁性体コア20を流れる際に発生するヒステリシス損失や渦電流損失などの磁気損失(コア損失)による発熱も、ワイヤレス給電の用途に供する場合の方が通信用途に供する場合と比較して大きくなる。このようなワイヤレス給電の用途に供するアンテナ装置1の各所における発熱をいかに放熱するかが問題となる場合がある。放熱効率を高めるために、磁性体コア20として熱伝導率が比較的高い材料を用いるとすれば、例えば金属磁性体であるパーマロイが考えられる。また、例えば1MHz未満の低周波領域であれば、比透磁率の値が大きいフェライトを用いることも考えられる。
【0046】
(アンテナ装置全般に係る変形例)
本実施形態に係るアンテナ装置1が備える送電アンテナ2と受電アンテナ3とは、それぞれ電子機器に組み込まれて使用される。本実施形態に係るアンテナ装置1を電子機器に組み込む場合、好ましくは、電子機器の形状に合わせて、受電アンテナ3の形状を変化させる。したがって好ましくは、受電アンテナ3は平面に限らず曲面の形態をとりうる。また好ましくは、送電アンテナ2は受電アンテナ3の形状に合わせた形態をとりうる。
【0047】
電子機器が携帯端末やウェアラブル端末である場合、受電アンテナ3が受電側電子機器5としての携帯端末やウェアラブル端末に組み込まれ、送電アンテナ2が送電側電子機器4としての充電器に組み込まれる。受電アンテナ3が組み込まれた受電側電子機器5である携帯端末やウェアラブル端末は、必要に応じて、送電アンテナ2が組み込まれた送電側電子機器4である充電器を用いて充電する。一般に充電器の大きさに関する制約は少なく、携帯端末やウェアラブル端末の大きさに関する制約は大きい。したがって、送電アンテナ2の大きさよりも受電アンテナ3の大きさの方が制約される。
【0048】
上述の通り、受電アンテナ3の大きさには制約が有り、特に薄くできることにメリットがある。薄型化に際しては、一つには上述したような送受電動作時の発熱を考慮する必要がある。すなわち、受電アンテナ3を構成する部品、特に外部への放熱を担う外装32の熱伝導率、並びに受電コイル31のジュール熱及び磁性体シート33における磁気損失による発熱を合わせて考える必要がある。特に受電コイル31の厚みは、発生するジュール熱の大きさと相関が大きい。十分な放熱ができる構成とした場合、受電コイル31をより薄くすることができ、受電アンテナ3そのものを薄くできる。
【0049】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。