特許第6374369号(P6374369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374369
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】織機における緯糸測定装置
(51)【国際特許分類】
   D03D 47/27 20060101AFI20180806BHJP
   D03D 47/28 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   D03D47/27
   D03D47/28
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-218068(P2015-218068)
(22)【出願日】2015年11月6日
(65)【公開番号】特開2017-89026(P2017-89026A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】503169552
【氏名又は名称】ウステル・テヒノロジーズ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】濱口 真崇
(72)【発明者】
【氏名】稲村 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】カルステン メーデル
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−522920(JP,A)
【文献】 特公昭45−013176(JP,B1)
【文献】 特開平08−311745(JP,A)
【文献】 特開平08−113849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 29/00−51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸部から引き出され、緯入れノズルにより緯入れされる緯糸のパラメータを測定する織機における緯糸測定装置において、
前記緯糸測定装置は、緯糸測定部を備えた緯糸センサーと、緯糸を前記緯糸測定部へ案内する緯糸案内部とからなり、前記緯糸案内部は、緯糸を前記緯糸測定部の測定位置から離れた非測定位置へ移動させる移動手段を備え、前記非測定位置は、前記緯糸測定部の測定位置を含む垂直平面から横方向にずれた位置に設定されていることを特徴とする織機における緯糸測定装置。
【請求項2】
前記移動手段は、緯糸を前記測定位置と前記非測定位置との間を弧状に移動させることを特徴とする請求項1に記載の織機における緯糸測定装置。
【請求項3】
前記移動手段はロータリソレノイドにより構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の織機における緯糸測定装置。
【請求項4】
前記給糸部の下流に緯糸テンサーが設けられ、前記緯糸テンサーと緯糸測長貯留装置との間に前記緯糸測定装置が配置されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の織機における緯糸測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、織機の緯入れに供給する緯糸のパラメータを測定する織機における緯糸測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エアジェット織機において、給糸部から緯入れノズルに供給される緯糸は、同じ給糸ボビンから供給されている緯糸であっても、緯糸の太さあるいは緯糸の質量等に関するパラメータが長周期で変動している。
【0003】
例えば、特許文献1には、エアジェット織機において、緯糸の質量、直径、毛羽立ち、緯糸に含有する異物等のパラメータを連続的に測定する糸センサーを緯糸ボビンと緯糸貯蔵装置との間に設けた構成が開示されている。制御装置は、糸センサーにより測定されたパラメータに基づき、加速ノズル(緯入れノズル)や中継ノズル(補助ノズル)における空気効率を含む最適なノズル開放時間を計算する。
【0004】
特許文献1の糸センサーは、緯糸の通過可能な測定溝からなる測定領域を有する。測定溝は上方に開口した溝で構成され、測定溝の緯糸進行方向における両側には、緯糸の案内素子を備えた支持体が設置されている。緯糸は、案内素子に保持され、測定溝内を通過する。案内素子の支持体は、空気シリンダーからなる移動手段に連結され、空気シリンダーの作動により、上下方向に移動される。
【0005】
エアジェット織機の運転中、空気シリンダーの非作動状態において、案内素子は下降位置にあり、緯糸が糸センサーの測定溝内を通過するように、緯糸を案内する。緯糸が測定溝を通過している間、糸センサーは緯糸のパラメータを測定する。空気シリンダーの作動時には、支持体を介して案内素子が上方に移動されるため、緯糸は測定溝から離脱され、測定溝の上方位置を通過するようになる。案内素子が上方に移動し、緯糸が測定溝から離脱すると、糸センサーは、緯糸の無い状態で測定を行い、零に平衡される(零平衡とは、緯糸のパラメータを測定するための基準レベルを再設定する作業と考えられるので、以下は、基準レベル設定作業として説明する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2014−522920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
緯糸のボビンから引き出されている緯糸は、引き出し直後に設けられた2枚の板バネからなる緯糸テンサーにより把持され、所定の張力を付与されている。しかし、緯糸テンサーは、板バネの間に風綿が堆積するか、あるいは緯糸テンサーの把持力調整部品の破損等により、緯糸の把持力が低下し、緯糸緩みを発生させる恐れがある。
【0008】
特許文献1の糸センサーでは、基準レベル設定作業時に、緯糸は案内素子によって測定溝の上方位置に移動される構成であるため、緯糸緩みが発生すると、2つの案内素子の間の緯糸が測定溝内に垂れ下がり、糸センサーにより測定される恐れがある。緯糸緩みにより垂れ下がった緯糸が糸センサーにより測定されると、基準レベル設定作業が阻害される。基準レベルの正確な設定が損なわれると、緯糸のパラメータの測定データに誤りが生じ、緯入れ制御が正確に行えなくなる。
【0009】
本願発明は、緯糸のパラメータの非測定時における緯糸緩みによる緯糸センサーの基準レベルの設定不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1は、給糸部から引き出され、緯入れノズルにより緯入れされる緯糸のパラメータを測定する織機における緯糸測定装置において、前記緯糸測定装置は、緯糸測定部を備えた緯糸センサーと、緯糸を前記緯糸測定部へ案内する緯糸案内部とからなり、前記緯糸案内部は、緯糸を前記緯糸測定部の測定位置から離れた非測定位置へ移動させる移動手段を備え、前記非測定位置は、前記緯糸測定部の測定位置を含む垂直平面から横方向にずれた位置に設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項1によれば、緯糸案内部が非測定位置に移動し、緯糸のパラメータの非測定状態にある時、緯糸は、緩みにより垂れ下がっても、緯糸測定部に位置することが無く、緯糸センサーの基準レベル設定作業を阻害することが無い。また、緯糸緩みによる影響を考慮する必要が無いため、緯糸案内部の移動量を可能な限り小さく設定することができる。緯糸案内部の移動量の縮小は、緯糸の屈曲による張力上昇を防止し、緯糸の損傷や切断等の発生を防止することができる。
【0012】
請求項2は、前記移動手段は、緯糸を前記測定位置と前記非測定位置との間を弧状に移動させることを特徴とする。請求項2によれば、垂直方向の移動及び横方向の移動を別々に行わせて緯糸を移動させる場合に比べて、緯糸測定部の測定位置と非測定位置との間の移動時間及び移動量を小さくすることができ、緯糸のパラメータの基準レベル設定作業の時間を短縮することができる。
【0013】
請求項3は、前記移動手段はロータリソレノイドにより構成されていることを特徴とする。請求項3によれば、移動手段としてサーボモータ等を使用する場合に比べて、緯糸案内部の移動手段を小型化できるとともに移動手段の制御が容易となり、また、通電時間も短いので、省エネにも寄与することができる。このため、緯糸のパラメータの非測定状態における緯糸緩みによる影響を簡単な構成により防止することができる。
【0014】
請求項4は、前記給糸部の下流に緯糸テンサーが設けられ、前記緯糸テンサーと緯糸測長貯留装置との間に前記緯糸測定装置が配置されることを特徴とする。請求項4によれば、緯糸テンサーの不具合により緯糸テンサーと緯糸測長貯留装置との間の緯糸に緯糸緩みが生じても、緩んだ緯糸の一部が緯糸測定装置の測定溝に進入しないため、緯糸センサーの基準レベル設定作業は緯糸緩みにより阻害されない。
【発明の効果】
【0015】
本願発明は、緯糸のパラメータの非測定時における緯糸緩みによる緯糸センサーの基準レベルの設定不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】緯糸測定装置を配設したエアジェット織機の概略図である。
図2】緯糸測定装置を示す斜視図である。
図3】緯糸測定装置の正面図である。
図4】測定位置の緯糸案内部を示す動作図である。
図5】非測定位置の緯糸案内部を示す動作図である。
図6】第2の実施形態における緯糸案内部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を図1図5に基づいて説明する。なお、本願明細書においては、図1の上側を織機の上方として説明し、緯糸の進行方向を下流、緯糸の進行方向と反対側を上流として説明する。図1は、エアジェット織機1の緯入れ側の構成を示している。
【0018】
エアジェット織機1の側方のフレーム(図示せず)又は床面(図示せず)に固定したブラケット(図示せず)には、給糸部2が設置されている。給糸部2から引き出された緯糸Yの下流には、順に、緯糸テンサー3、緯糸測定装置4、緯糸測長貯留装置5及びタンデムノズル6が配設されている。タンデムノズル6の下流には、スレー7上に、緯入れノズル8、緯糸案内通路9を形成する変形筬10及び補助ノズル11が配設されている。
【0019】
給糸部2は、緯糸Yを巻付けた緯糸ボビンで形成されている。緯糸テンサー3は、緯糸Yを挟んで配置された2枚の板バネから構成されている。緯糸Yは板バネの圧力で挟持され、緯糸測長貯留装置5側へ引き出される緯糸Yに設定された張力が付与される。
【0020】
緯糸測長貯留装置5は、後述する緯糸測定装置4を介して引き出された緯糸Yを静止した貯留ドラム12に巻き付ける回転式のヤーンガイド13、貯留ドラム12に巻き付けられた緯糸Yを係止する緯糸係止ピン14及び貯留ドラム12から引き出される緯糸Yの引き出し量を検出するバルーンセンサー15を有する。
【0021】
緯糸係止ピン14は、ソレノイドからなる駆動部を備え、ソレノイドの励磁により貯留ドラム12側へ突出して緯糸Yを係止し、ソレノイドの非励磁により貯留ドラムから離間して緯糸Yを解除する。バルーンセンサー15は、光電式センサーで構成され、緯入れ時にタンデムノズル6及び緯入れノズル8によって引き出される緯糸Yのバルーン回数を検出し、設定された回数を検出すると、後述する制御装置24からの指令信号により緯糸係止ピン14のソレノイドが作動し、緯糸Yを係止する。
【0022】
タンデムノズル6及び緯入れノズル8は、圧縮エアの噴射により、貯留ドラム12から緯糸Yを引き出し、引き出した緯糸Yを経糸開口内(図示せず)に位置する変形筬10の緯糸案内通路9に緯入れする機能を有する。補助ノズル11は、圧縮エアの噴射により、緯入れされた緯糸Yを緯糸案内通路9に沿って搬送する機能を有する。
【0023】
タンデムノズル6に接続されたタンデムエアバルブ16及び緯入れノズル8に接続されたメインエアバルブ17は、共通のメインエアタンク18に接続されている。メインエアタンク18は、メインレギュレータ19を介して配管20により、図示しないコンプレッサー等の圧縮エア源に接続されている。補助ノズル11は、複数本を群として1つのサブエアバルブ21に接続されている。サブエアバルブ21は、サブエアタンク22及びサブレギュレータ23を介して、配管20に接続されている。
【0024】
制御装置24には、緯糸測長貯留装置5の緯糸係止ピン14、バルーンセンサー15、タンデムエアバルブ16、メインエアバルブ17及びサブエアバルブ21がそれぞれ配線25、26、27、28、29により電気的に接続されている。
【0025】
制御装置24の指令信号により、タンデムエアバルブ16及びメインエアバルブ17が開弁され、タンデムノズル6及び緯入れノズル8から圧縮エアが噴射されるとともに緯糸係止ピン14の作動により緯糸Yが解除されると、緯入れが開始される。緯入れが開始されると、補助ノズル11は、サブエアバルブ21が開弁されて、圧縮エアを噴射する。緯糸Yは、補助ノズル11から噴射される圧縮エアにより緯糸案内通路9内を搬送される。
【0026】
タンデムノズル6及び緯入れノズル8は、緯入れ開始後、設定時間が経過すると、タンデムエアバルブ16及びメインエアバルブ17が制御装置24からの指令により閉弁され、圧縮エアの噴射を停止する。バルーンセンサー15が貯留ドラム12から引き出される緯糸Yのバルーン回数を検出し、設定されたバルーン回数をカウントすると、緯糸係止ピン14は制御装置24からの指令により作動されて緯糸Yを係止し、緯入れを終了する。また、補助ノズル11は、制御装置24からの指令によりサブエアバルブ21を閉弁し、圧縮エアの噴射を停止する。
【0027】
緯糸テンサー3と緯糸測長貯留装置5との間には、緯糸測定装置4が設置されている。緯糸測定装置4は、図2及び図3に示すように、緯糸センサー30及び緯糸案内部31から構成されている。緯糸センサー30は、筐体32からなり、筐体32の一端側をU字状に切り込むことにより、測定溝33からなる緯糸測定部34を形成している。
【0028】
測定溝33は、筐体32を緯糸テンサー3と緯糸測長貯留装置5との間に設置した時、エアジェット織機1の上方に向けて垂直方向に延びて外部に開口し、測定溝33内に上方から緯糸Yを挿入することができる。筐体32には、静電容量式センサー又は光電式センサーあるいは双方のセンサーが内蔵され、緯糸センサー30を構成している。緯糸センサー30は配線35により制御装置24と電気的に接続されている。緯糸センサー30は、緯糸測定部34の測定溝33内に挿入された緯糸Yにおける太さ、質量、密度、毛羽立ち、あるいは付着物等のパラメータの内の1つあるいは複数を測定し、制御装置24に送信することができる。
【0029】
緯糸案内部31は、緯糸測定部34を挟んで、緯糸Yの進行方向両側に配置された緯糸ガイド36、37、緯糸ガイド36、37の移動手段38及び緯糸ガイド36、37の移動に対するストッパー39を備えている。緯糸ガイド36は、上方に開口するU字状の保持溝40を有し、支持アーム41により支持されている(図3参照)。緯糸ガイド37は、緯糸ガイド36と同一形状で構成され、U字状の保持溝42及び支持アーム43を有する。
【0030】
移動手段38は、本体44に内蔵されたロータリソレノイドにより構成され、配線45により制御装置24と電気的に接続されている。本体44は、緯糸センサー30の筐体32にボルト46(図3参照)により固定されたブラケット47に固定されている。ロータリソレノイドの両側に突出した回転軸48の両端部には、緯糸案内部31の支持アーム41、43の基端部が固定されている。
【0031】
従って、移動手段38は、ロータリソレノイドが制御装置24からの指令に基づき回転されると、緯糸ガイド36、37の保持溝40に保持された緯糸Yを測定位置(図3の実線位置)と測定位置から離れた非測定位置(図3の仮想線位置)との間に弧状に移動させることができる。
【0032】
測定位置は、緯糸測定部34の測定溝33内において、緯糸Yのパラメータを緯糸センサー30により測定可能な位置に設定され、測定溝33内の垂直平面A上に設定されている。非測定位置は、測定位置を含む垂直平面Aからずれた位置に設定されている。なお、測定位置と非測定位置との間の弧状の移動軌跡は、緯糸Yと測定溝33の壁面との接触を可能な限り回避できるように設定することが好ましい。
【0033】
ストッパー39は、外周面に弾性部材49を巻付けた円柱形に構成され、緯糸案内部31の一方の支持アーム41側に向けて突出するようにブラケット47に固定されている。ストッパー39は、図3に示すように、緯糸ガイド36に対して、実線で示した測定位置よりも下方への回転を規制し、仮想線で示した非測定位置よりも上方への回転を規制している。
【0034】
図4及び図5において、緯糸測定装置4の動作を説明する。エアジェット織機1の運転中、緯糸案内部31の移動手段38が制御装置24の指令により作動され、支持アーム41、43を図の反時計方向に回転し、図4のように、緯糸ガイド36、37を測定位置に配置して停止する。緯糸ガイド36、37の保持溝40に保持されている緯糸Yは、測定溝33内の測定位置に挿入された状態で、緯糸測長貯留装置5へ向けて進行する。
【0035】
緯糸Yは、測定位置を進行する間に緯糸センサー30により、例えば太さに関するパラメータを連続して測定される。測定されたパラメータは、緯糸センサー30から制御装置24に送信され、蓄積される。これらの測定されたパラメータは、種々解析されて、例えば緯入れ制御等の制御データとして利用される。
【0036】
緯糸測定装置4では、緯糸Yのパラメータ測定に先立ち、パラメータを測定するための基準となるレベルを設定する基準レベル設定作業が必要となる。基準レベル設定作業は、例えば、エアジェット織機1の運転初期や運転中に各種要因で停止した場合の再起動時、あるいは予め任意に設定した運転時間毎に行われる。
【0037】
基準レベル設定作業を行う場合は、エアジェット織機1の運転中、制御装置24の指令により移動手段38が作動されると、図5のように、緯糸案内部31の支持アーム41、43は時計方向に回転され、非測定位置に移動される。緯糸Yは、非測定位置に弧状に移動されるため、測定位置から距離D1だけ上方に移動されて緯糸測定部34の測定溝33から抜け出し、さらに、測定溝33内の測定位置を含む垂直平面A(図3参照)から横方向に距離D2だけずれた非測定位置に移動される。
【0038】
緯糸Yが非測定位置に移動されると、緯糸センサー30は、緯糸Yの存在しない測定溝33内でのセンサー感度を測定し、測定データを制御装置24に送信する。制御装置24は、測定データを基に緯糸センサー30の基準レベルを設定し、緯糸Yのパラメータの測定に利用する。
【0039】
緯糸Yを非測定位置に移動させ、基準レベル設定作業を行っている間に、例えば緯糸テンサー3の把持力が何らかの要因により低下した場合、緯糸Yの張力が緩み、緯糸Yが自重により、仮想線で示した緯糸Y1のように下方へ垂れ下がる場合がある。しかし、本実施形態では、緯糸Yは緯糸測定部34の測定溝33の上方位置より距離D2だけ測定溝33から横方向にずれた非設定位置に移動されているため、垂下した緯糸Yが緯糸測定部34に垂れ下がることが無い。従って、緯糸センサー30のセンサー感度の測定を行う基準レベル設定作業における基準レベルの設定不良を生じさせる恐れが無い。
【0040】
本実施形態では、緯糸案内部31が非測定位置に移動し、緯糸Yのパラメータの非測定状態にある時、緯糸Yは、緩みにより垂れ下がっても、緯糸測定部34に位置することが無く、緯糸センサー30の基準レベル設定作業を阻害することが無い。また、緯糸緩みによる影響を考慮する必要が無いため、緯糸案内部31の移動量を可能な限り小さく設定することができる。緯糸案内部31の移動量の縮小は、移動時の緯糸Yの屈曲による張力上昇を防止し、緯糸Yの損傷や切断等の発生を防止することができる。
【0041】
また、本実施形態では、緯糸Yを弧状に移動させるように構成したため、測定位置と非測定位置との間の移動時間及び移動量を、垂直方向の移動及び横方向の移動を別々に行わせて緯糸Yを移動させる場合に比べて小さくすることができ、緯糸Yのパラメータの基準レベル設定作業の時間を短縮することができる。また、緯糸案内部31の移動手段38をロータリソレノイドにより構成したため、サーボモータ等を使用する場合に比べて移動手段38を小型化できるとともに移動手段38の制御が容易となり、また、通電時間も短いので、省エネにも寄与することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図6は第2の実施形態を示したもので、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号にて説明し、詳細な説明を省略する。第2の実施形態は、緯糸Yが測定位置と非測定位置との間を直線的に移動させる構成である。緯糸測定装置4の緯糸センサー30は第1の実施形態と同一の構成である。緯糸案内部50は、緯糸ガイド51(緯糸測定部34の一方の側のみ示している)及び移動手段52を備えている。
【0043】
緯糸ガイド51は、測定溝33の上方へ向けて開口する保持溝53を有するU字形で構成されている。移動手段52は、エアシリンダ54とピストンロッド55により構成されている。緯糸ガイド51の下端は、ピストンロッド55の端部に固定されている。緯糸ガイド51及び移動手段52のエアシリンダ54、ピストンロッド55から構成される緯糸案内部50は、垂直方向に延びる測定溝33に対して筐体32の端部側に傾けて配設されている。
【0044】
移動手段52は制御装置24の指令によりエアシリンダ54を作動する。緯糸ガイド51は、移動手段52の作動により、ピストンロッド55が突出し、実線で示す測定位置と仮想線で示す非測定位置との間を測定溝33に対して交差する方向に移動される。このため、緯糸Yは、緯糸Yの測定位置から上方に距離D3だけ移動して測定溝33から脱出するとともに、測定位置を含む垂直平面Aから横方向に距離D4だけずれた非測定位置に到達する。
【0045】
第2の実施形態は、エアシリンダ54からなる移動手段52により、緯糸ガイド51を測定溝33に対して傾斜方向に移動させるため、緯糸Yの非測定位置を測定位置の上方からずらした位置に設定することができ、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
本願発明は、前記した各実施形態の構成に限定されるものではなく、本願発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
【0047】
(1)第1及び第2の実施形態において、緯糸センサー30の測定溝33の構成は、溝以外の構成、例えば測定位置の一方の壁面が無く、外部に開放された構成でも構わない。
(2)第1の実施形態において、移動手段38は、ロータリソレノイドに限らず、サーボモータなど他の回転式駆動手段を使用しても良い。
【0048】
(3)第1及び第2の実施形態において、基準レベル設定作業は、エアジェット織機1の停止中に行うように設定しても良い。
(4)第2の実施形態において、エアシリンダ54のピストンロッド55と緯糸ガイド51との間にリンク機構を介在し、緯糸ガイド51を弧状に移動させるように構成しても良い。
(5)第1及び第2の実施形態において、移動手段38及び移動手段52は、ロータリソレノイド、サーボモータ及びエアシリンダ54以外のアクチュエータを使用しても構わない。例えば、垂直方向の移動と交差する方向の移動とをそれぞれ別の移動手段により移動しても良い。
【0049】
(6)第1及び第2の実施形態において、緯糸測定装置4は、エアジェット織機1の給糸部2と緯入れノズル8との間であれば、いずれの箇所に設置しても構わない。緯糸Yに緩みが生じる原因は、緯糸テンサー3の不具合だけに限られず、緯糸測定装置4がエアジェット織機1の給糸部2と緯入れノズル8との間のいずれの箇所で設置された場合でも存在する。本実施形態は、給糸部2と緯入れノズル8との間のそれぞれの箇所で起こり得る緯糸緩みに対して、緯糸Yのパラメータの非測定時における緯糸緩みによる緯糸センサー30の基準レベルの設定不良を防止することができる。
(7)緯糸テンサー3は、板バネ以外の、例えばコイルばねあるいはゴム材等の弾性体で構成した張力付与手段により構成しても良い。
(8)緯糸テンサー3及びタンデムノズル6は、一方あるいは双方を省略した構成でも構わない。
(9)第1及び第2の実施形態における緯糸測定装置4は、ウォータジェット織機、レピア織機、グリッパー織機等の各種織機において使用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 エアジェット織機
2 給糸部
3 緯糸テンサー
4 緯糸測定装置
5 緯糸測長貯留装置
8 緯入れノズル
9 緯糸案内通路
11 補助ノズル
24 制御装置
30 緯糸センサー
31、50 緯糸案内部
32 筐体
33 測定溝
34 緯糸測定部
35、45 配線
36、37、51 緯糸ガイド
38、52 移動手段
39 ストッパー
40、42、53 保持溝
41、43 支持アーム
44 本体
47 ブラケット
48 回転軸
49 弾性部材
54 エアシリンダ
55 ピストンロッド
A 垂直平面
D1、D2、D3、D4 距離
Y 緯糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6