【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は独立請求項に記載の発明によって解決される。本発明の有利な実施形態および変形実施例は、従属項および以下の記載と図から示される。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によるセラミック多層コンデンサは、基体(Grundkorper)を備える。好ましくはこの基体は直方体形状を有する。この基体は、誘電体層(複数)を備え、これらの誘電体層は積層方向に沿って配設されて積層体とされている。これらの誘電体層は、好ましくはセラミック層として形成されている。この基体は、さらに第1および第2の電極層を備え、これらは上記のセラミック層の間に配設されている。たとえばそれぞれの第1および第2の電極層は、同じ層レベルに互いに離間して配設されていてよい。さらにこれらの第1および第2の電極層は、それぞれ上記の積層体の異なる層レベルに配設されていてよい。
【0007】
もう1つの実施形態によれば、上記の基体は第1の外部接続部(Ausenkontaktierung)を備える。この外部接続部は、好ましくはこの基体の第1の側面に配設されており、上記の第1の電極層と電気的に導通して接続されている。好ましくはこの第1の電極層は、上記の第1の外部接続部と直接電気的に導通して接続されている。すなわちこの第1の電極層は、上記の第1の外部接続部に直接接しており、この第1の外部接続部と直接接続されている。この第1の電極層は、好ましくは上記の第1の側面まで達している。
【0008】
この基体は、さらに第2の外部接続部を備え、この第2の外部接続部は、上記の基体の第1の側面に対向している第2の側面上に配設されており、この第2の外部接続部と電気的に導通して接続されている。上記の第2の電極層は、好ましくは上記の第2の外部接続部と直接電気的に導通して接続されている。すなわちこの第2の電極層は、上記の第2の外部接続部に直接接しており、この第2の外部接続部と直接接続されている。この第2の電極層は、好ましくは上記の第2の側面まで達している。
【0009】
1つの実施形態によれば、上記の基体は、積層方向に沿って幅Bを有する。ここでBは、上記の多層デバイスの基体の、積層方向に沿った空間的拡がりを示す。この基体はさらに、上記の第1の側面に垂直な方向に高さHを有する。このようにこの高さHは、この基体の第1の側面に垂直な方向での、この基体の空間的拡がりとして理解される。好ましくはこの高さHは、上記の基体の第2の側面に垂直な方向に延在している。この基体はさらに、上記の高さHに垂直な方向かつ上記の積層方向に垂直な方向に長さLを有する。このようにこの長さLは、上記の幅Bおよび高さHに垂直な方向における上記の基体の空間的拡がりを示す。
【0010】
もう1つの実施形態によれば、上記の高さHに対する幅Bの比には、B/H≧0.2の関係がある。好ましい1つの実施形態によれば、B/H≧0.3となっている。さらに好ましい1つの実施形態によれば、B/H≧1.0となっている。とりわけ好ましい1つの実施形態によれば、B/H≒0.35となっている。
【0011】
もう1つの実施形態によれば、上記の幅Bに対する長さLの比は、L/B≧1となっている。さらに好ましくは、L/B≦5となっており、とりわけ好ましくは、L/B≦3.5となっている。
【0012】
もう1つの実施形態によれば、上記の高さHに対する長さLの比は、L/H≧0.8となっている。1つの好ましい実施形態によれば、L/H≧1となっている。さらに好ましい1つの実施形態によれば、L/H≧1.2となっている。
【0013】
ここで示した上記の基体の高さHと幅Bとの間の関係によって、ここで説明するセラミック多層コンデンサでは、有効断面積(Nutz-Querschnitt)、すなわち容量を決定する面積に対する上記の電極層のリード部断面積(Zufuhrungsquerschnitt)の比を顕著に大きくすることができる。これにより、ここで記載するセラミック多層コンデンサは、とりわけ小さなESR値(等価直列抵抗、equivalent series resistance, aquivalenter Serienwiderstand)を備える。たとえばここで記載する、たとえば4μF〜10μFの容量を有するセラミック多層コンデンサは、100kHz〜1MHzでの動作において3mΩ〜5mΩのESR値を備えてよい。
【0014】
もう1つの実施形態によれば、上記の基体は、第3の電極層(複数)を備え、この第3の電極層は、上記の第1の外部接続部とも、また上記の第2の外部接続部とも電気的に導通して接続されていない。この第3の電極層は、好ましくはどの外部接続とも電気的に導通して接続されていない。この第3の電極層は、以下では自由電極(フローティング電極)と呼称される。
【0015】
もう1つの実施形態によれば、この第3の電極層は、上記の第1の電極層と重なっている。換言すれば、これらの第3の電極層はそれぞれ、少なくとも1つの部分領域を備え、この部分領域は、上記の積層体の積層方向において投影したと考えた場合に、上記の第1の電極層の少なくとも1つの部分領域によって覆われるようになっていてよい。この第3の電極層は、さらに上記の第2の電極層と重なってよい。たとえば第1および第2の電極層はそれぞれ、上記の基体の同じ層レベルにおいて互いに離間して配設されていてよく、それぞれ少なくとも1つの、他の層レベルに配設された第3の電極と重なってよい。
【0016】
第1,第2の電極および第3の自由電極の利用、すなわち直列接続された内部電極の利用は、絶縁破壊電界強度を有利に増大することができ、これは本発明の多層コンデンサの堅牢性および信頼性に貢献する。以上によって、さらに上記の誘電体層厚、すなわちセラミック層の層厚を小さくすることが可能となり、この結果、セラミックの単位体積当たりの電極層の断面積が大きくなり、またこれによって上記のESR値(等価直列抵抗、equivalent series resistance, aquivalenter Serienwiderstand)が改善され、使用電流に対するこのデバイスの電流耐性が改善される。
【0017】
1つの実施形態によれば、上記のセラミック層(複数)は3μm〜200μmの層厚を有する。もう1つの好ましい実施形態によれば、これらのセラミック層は、10μm〜100μmの層厚を有する。とりわけ好ましくは、これらのセラミック層は、約25μmの層厚を有する。
【0018】
もう1つの実施形態によれば、上記の電極層(複数)は0.1μm〜10μmの層厚を有する。1つの好ましい実施形態によれば、これらの電極層は、1μm〜4μmの層厚を有する。とりわけ好ましくは、これらの電極層は、約3.5μmの層厚を有する。
【0019】
もう1つの実施形態によれば、上記の基体は、少なくとも10個のセラミック層を備える。もう1つの実施形態によれば、この基体は、少なくとも10個の第1の電極層を備える。もう1つの実施形態によれば、この基体は、少なくとも10個の第2の電極層を備える。
【0020】
もう1つの実施形態によれば、上記の基体に設けられる第1の電極層の数とこの基体の幅Bとは、以下の関係がある。
上記の幅Bに対する第1の電極層の数の比≧10/mm
換言すれば、この基体は、幅1mm当たりで少なくとも10個の第1の電極層を備える。さらにこの基体は、好ましくは、幅1mm当たりで少なくとも10個の第2の電極層を備える。
【0021】
もう1つの実施形態によれば、上記の電極層は貴金属でない金属を含む。好ましくはこれらの電極層は、銅を含む。1つの好ましい実施形態によれば、これらの電極層は銅から成っている。特に上記の多層コンデンサの焼結後には、これらの電極層は純粋な銅から成っている。銅の熱伝導性および導電性が高いので、ここで記載する多層コンデンサはとりわけ小さなESR値(等価直列抵抗、equivalent series resistance, aquivalenter Serienwiderstand)を得ることができる。貴金属でない金属を用いることにより、さらにこの多層コンデンサの製造プロセスを安価に行うことができる。
【0022】
もう1つの実施形態によれば、上記の第1および第2の側面は、表面処理されている。たとえばこれらの第1および第2の側面は、ラッピングされていてよい。さらに、これらの第1および第2の側面は、研磨、ラビング、またはプラズマエッチングされていてもよい。表面処理された側面を用いることにより、上記の外部接続部と上記の第1あるいは第2の電極層とのとりわけ良好な接続が有利に達成できる。特に上記の第1および第2の側面の表面処理によって、個々の第1の電極層間あるいは個々の第1の電極層に存在するセラミック材料を後退させることができ、これらの第1および第2の電極層をプロセス技術で確実に上記の基体の表面に取り付けることができる。たとえば上記の外部接続部は、次にガスを流して焼成すること無しに、たとえば標準的なスパッタ処理を用いて取り付けることができる。
【0023】
もう1つの実施形態によれば、上記の第1および第2の外部接続部は、それぞれ少なくとも1つの第1のスパッタ層を備え、これらの第1のスパッタ層は、上記の第1または第2の電極層と直接接続されている。好ましくは上記の基体の第1の側面上に第1のスパッタ層が取り付けられ、この第1のスパッタ層は、この基体からの第1の電極層(複数)の出口面(Austrittsflachen)と直接接続している。同様にこの基体の第2の側面上に第1のスパッタ層が取り付けられていてよく、この第1のスパッタ層は、この基体からの第2の電極層(複数)の出口面(Austrittsflachen)と直接接続していてよい。これらのスパッタ層は、たとえば0.1μm〜1.5μmの層厚を有してよい。好ましくはこれらの第1のスパッタ層は、クロムを含み、またはクロムから成っている。
【0024】
もう1つの実施形態によれば、上記の第1および第2の外部接続部は、それぞれ1つの第2のスパッタ層を備え、これらの第2のスパッタ層は、好ましくは上記の第1の電極層上に直接取り付けられている。これらの第2のスパッタ層は、好ましくは銅を含み、または銅からなっている。
【0025】
もう1つの実施形態によれば、上記の第1および第2の外部接続部は、それぞれ1つの第3のスパッタ層を備え、これらの第3のスパッタ層は、好ましくは上記の第2の電極層上に直接取り付けられている。これらの第3のスパッタ層は、好ましくは金を含みまたは金からなっている。代替としてこれらの第3のスパッタ層は、銀を含んでよく、または銀から成っていてよい。
【0026】
もう1つの実施形態によれば、上記のセラミック層は、以下の式で表されるセラミック材料を含んでいる。
Pb
(1-1.5a-0.5b+1.5d+e+0.5f)A
aB
b(Zr
1-xTi
x)
1-c-d-e-f
Li
dC
eFe
fSi
cO
3 + y・PbO (I)
ここでAは、La,Nd,Y,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,ErおよびYbから成るグループから選択され、Bは、Na,KおよびAgから成るグループから選択され、Cは、Ni,Cu,CoおよびMnから成るグループから選択されており、0<a<0.12,0.05≦x≦0.3,0≦b<0.12,0≦c<0.12,0≦d<0.12,0≦e<0.12,0≦f<0.12,0≦y<1であり、ここで
b+d+e+f>0である。
【0027】
好ましくは、特にZrリッチなPZT混晶層が相図から選択される。さらにb+d+e+f>0の条件によって、上記のセラミック材料における、上記で規定されたグループA(希土類元素)からなるドーピング剤の他に、Li,Na,K,Ag,Fe,Ni,Cu,CoおよびMnから成るグループから少なくとも1つの元素(リチウム,鉄およびグループBとC)が存在しなければならない。以上により1000℃〜1120℃の温度で焼結可能なセラミック材料が準備され、これは他の高い温度に耐えられない物質/材料との組み合わせを、既にこのセラミック材料の製造プロセスの間に可能としている。たとえばこのセラミック材料を、たとえば銀または銅のような貴金属でない金属からなる電極層と共に焼結すること(同時焼成プロセス、"Cofiring"-Verfahren)が可能となる。さらにこのセラミック材料は、グループAのみからドーピングされたPZT材料と比較して、大きな反転電界強度(Schaltfeldstarke)および/または大きな比誘電率(誘電定数、Dielektrizitatskonstante)を有する。
【0028】
低い焼結温度は、さらに、このセラミック材料の小さな結晶粒サイズ(Korngrosen)の形成を促進し、これはこの誘電体の特性を好ましくするように作用する。正確には、このPZTセラミックの誘電体特性は、一般的にドメインサイズ(Domanengrose)によって決定される。ドメインとは、同じ分極を有するセラミックにおける領域のことである。このドメインサイズは、結晶粒サイズに依存している。結晶粒当たりのドメインの数は、結晶粒サイズと共に増加する。変化したドメインサイズは、このセラミックの材料特性に影響を与える。このためこの結晶粒サイズあるいは結晶粒成長を制御できるようにすることは重要である。
【0029】
好ましくは上記のドーピングされたチタン酸ジルコン酸鉛セラミックは、一般式ABO3で記述されるペロブスカイト格子を備え、Aはこのペロブスカイト格子のAサイトを示し、BはBサイトを示す。
【0030】
このペロブスカイト格子は、ドーピングおよび空位に対し大きな許容範囲を有する。
【0031】
上記のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のペロブスカイト構造は、一般式ABO
3で記述される。このPZT結晶格子の単位格子は、立方体で記述される。上記のAサイトはPb
2+イオンによって占有され、これらはこの立方体の頂点に位置している。
それぞれの立方体面の中央には、それぞれ1つのO
2-イオンが位置している。
この立方体に中心には、Ti
4+イオンおよびZr
4+イオン(Bサイト)が存在している。この構造は、金属イオンの他の金属イオンおよび欠陥(Fehlstellen)との置換に対して大きな許容範囲を有し、これにより良好にドーピングすることができる。
【0032】
ドーピングによって導入されたイオンと置換されたイオンとの間の大きさの違いによって、この高対称性配位多面体の歪がもたらされる。この歪は、この結晶の対称中心を変化させ、分極率に影響を与える。
【0033】
様々なドーピング可能性は、ドーピングイオンの価数によって分類される。等原子価ドーピング、すなわち1つのイオンを同じ価数を有する他のイオンによって置換することは、このセラミック材料のおける可能な空位に影響を与えない。低い価数のカチオン(アクセプター)を高い価数のカチオンと置換すると、アニオン格子における空位が生成される。高原子価のカチオン(ドナー)は、これらが低価数のカチオンを置換された場合、このカチオン格子の空位の原因となる。アクセプターおよびドナーのドーピングは、それぞれこの材料特性の特徴的変化をもたらす。アクセプターがドーピングされたセラミックは、「硬質」セラミックと呼ばれ、ドナーがドーピングされたセラミックは「軟質」セラミックと呼ばれる。
【0034】
たとえばNd
3+(またはグループAの他の希土類元素の1つ)を用いたAサイトへのドーピングは、ドナードーピングである。ネオジムのイオン半径のために、これはPb
2+サイトに組み込まれる。Pb空位が適宜形成されることによって電荷の均等化が行われる。ドーピングの効果は格子の寸法変化であり、単位格子間の長い距離で作用する相互作用への影響である。
【0035】
たとえばK
+またhFe
3+を用いたAサイトあるいはBサイトへのドーピングは、アクセプタードーピングである。カリウムのイオン半径のために、これはPb
2+サイトへ組み込まれ、これに対しFe
3+は、Zr
4+サイトあるいはTi
4+サイトへ組み込まれる。Pb
2+空位(A空孔"A-Vakanzen")の減少および/またはこれに対応した酸素空位の形成によって電荷の均等化が行われる。このドーピングの効果は、結晶粒成長と焼き締り(Sinterverdichtung)を促進する酸素空位の形成であり、これらはこの焼結温度でKアクセプタによってもたらされる。冷却のプロセスにおいて、Ndドナーとの再結合が準中性の{Nd/K}欠陥対の形成下で行われ、完成したセラミックにおいては、鉛あるいは酸素の空位が全く無いかまたはごくわずかの濃度で存在する。
【0036】
このドーピングは、この材料の結晶粒成長に作用し、この結晶粒成長は、注入されるドーピングの濃度に依存している。ここで少ないドーピング量は、結晶粒成長に寄与するが、これに対してドーピングイオンの量が多すぎると結晶粒成長を阻害する可能性がある。
【0037】
ドナーがドーピングされたPZT材料の特性は、NdがPbサイトを占有する上記の場合のように、大きくなったドメイン移動度(Domanenbeweglichkeit)にほぼ基づいており、このドメイン移動度はPb空位によってもたらされるものである。この空位は、小さな電界によってもすでにこのドメインが影響されるように働く。これは、ドーピングされていないPZTセラミックと比べて、ドメイン境界の容易な移動性をもたらし、これによって大きな誘電率をもたらす。
【0038】
このセラミック材料には、アクセプターおよびドナーのドーピングが同時に存在している。これは、このセラミックがこれら両方のドーピング方法の内の1つのみでドーピングされた場合に起こる良くない特性を補償するように働く。たとえばアクセプターのドーピングのみが存在すると、これはしばしば誘電率の低下をもたらし、すなわちこの誘電率はドーピングされていないセラミックより小さくなる。ドナーのドーピングのみが存在すると、結晶粒成長が阻害され、このセラミック体の結晶粒は、望ましい大きさに達しない。これらのドーピングが組み合わされて存在することで、ドーピングされていないセラミックからこれらの点が良い方向に取り除かれる。本発明によるセラミックは大きな誘電率を備え、この大きな誘電率は低い焼結温度でももたらされる。
【0039】
1つの好ましい実施形態によれば、0.1≦x≦0.2である。これはこの範囲で分極曲線(Polarisationskurven)を良好に設定することができるからである。
【0040】
もう1つの実施形態によれば、0≦y<0.05となっている。
【0041】
もう1つの実施形態によれば、0.001<b<0.12となっており、ここで好ましくはd=e=f=0となっている。
【0042】
もう1つの実施形態によれば、0.001<e<0.12となっており、ここで好ましくはb=d=f=0となっている。
【0043】
もう1つの好ましい実施形態によれば、Bはナトリウム(Na)である。以上によってこれらの材料特性は、特に1つの希土類元素のみを含むPZT材料に比べて焼結温度を低下させるようにかつ同時に反転電界強度を大きくするように、とりわけ有利に影響を与える。
【0044】
もう1つの好ましい実施形態によれば、上記の比誘電率は、1kV/mm、好ましくは2kV/mmの電界強度において、0kV/mmの電界強度での比誘電率の少なくとも60%となっている。さらに好ましくは、このセラミック材料の2〜5kV/mm、好ましくは1kV/mm〜10kV/mmの電界強度での比誘電率(誘電定数、Dielektrizitatskonstante)は、0kV/mmの電界強度での比誘電率の少なくとも60%となっている。測定は好ましくはこのセラミック材料が125℃の温度の場合に行われる。
【0045】
もう1つの好ましい実施形態によれば、上記のセラミック材料は、1kV/mm、好ましくは2kV/mmの電界強度で、少なくとも500、好ましくは1500の比誘電率を有する。さらに好ましくは、上記のセラミック材料は、2〜5kV/mm、好ましくは1〜10kV/mmの電界強度で、少なくとも500、好ましくは1500の比誘電率を有する。これらの測定は好ましくはこのセラミック材料が125℃の温度の場合に行われる。
【0046】
分極ヒステリシスの測定は、この比誘電率(誘電率、Dielektrizitatskonstante)の決定の1つの標準的方法である。周波数依存性の測定には、このヒステリシスループが点毎に測定される準静的方法が知られている。分極測定は、たとえばaixACCT Systems GmbH社のTFアナライザ2000を用いて行うことができる。
【0047】
もう1つの好ましい実施形態によれば、上記のセラミック材料は、反強誘電性の誘電体である。このため好ましくは反強誘電性の斜方晶相(O相)の基本材料PZTが用いられる。この反強誘電性の配列は、複数の分極した部分格子の重ね合わせで特徴付けられ、これらの電気双極子モーメントは互いに打消しあう。このように反強誘電性結晶は、全く自発分極しないが、しかしながら特別な誘電体特性を備えている。この反強誘電体に電界を印加すると、これはまず線形誘電体のように振舞う。所定の臨界電界強度から、突然反強誘電性相への転移が誘発され、それまでの反平行の双極子は、エネルギー的により安定な平行な方向に反転する。これに対し、これの反転した転移は、より小さな電界で起こる。これがいわゆるダブルヒステリシスループとなる。
【0048】
反強誘電性セラミック材料は、強誘電性セラミック材料と比較して分極電界ヒステリシスは大きくはない。これは、コンデンサに用いた場合、より僅かなエネルギー損失をもたらす。この理由から、反強誘電性セラミック材料を使用することが好ましい。
【0049】
純粋かつ様々にドーピングされたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)粉末の製造には、一般的な混合酸化物の方法、または「ゾル−ゲル法」とも呼ばれる、溶剤ベースの方法が用いられる。たとえば成分金属のアセテートまたはアルコラート(Alkoholate)から開始されるが、これらは様々な乾燥処理によって、セラミック前駆体物質である粉砕されたキセロゲル(Xerogele)に変換される。乾燥にはスプレードライおよびスプレーフリーズドライがこれに続くフリーズドライと共にが用いられる。続いてこれらの前駆体は、酸化物に熱分解される。このように製造された粉末は、僅かな労力でデアグロメーション(deagglomerieren)され、さらなる処理のための調整が行われる。
【0050】
ここに記載するセラミック多層コンデンサは、とりわけ小さなESR値(等価直列抵抗、equivalent series resistance、aquivalenter Serienwiderstand)および特に小さなESL値(等価直列インダクタンス、equivalent series inductivity、aquivalente Serieninduktivitat)を示す。
【0051】
これと共に、ここに記載する電極層の構成は、ここで記載される多層コンデンサの製造におけるプロセスを実施するのに有利である。脱バインダにおいてもまた焼結においても、脱バインダおよびプロセスガスのガスの交換/平衡が必要であり、これはここで記載される多層コンデンサに有利である。この構造は側面方向に渡り相対的に短い電極層がより良好にプロセスを実施できるようにすることを助け、この結果、容積においても、従来の多層コンデンサに対して、相対的に大きなセラミック部品が可能である。さらにここで記載する多層コンデンサは、上記の電極層の構成および選択されたこのセラミック層のセラミック材料の相乗効果をもたらし、これは上記のESR値、ESL値および機械的かつ熱的な堅牢さにおいて有利に作用する。とりわけ上記に示したB,H,およびLのアスペクト比および上記の電極層の幾何形状を組み合わせたセラミックは、デバイスの電気的特性および熱的特性を改善する。こうしてたとえば、上記の電極を通る電流が短い経路を取ることができるように作用し(幾何形状効果)、絶縁抵抗(セラミックの特性)の熱的安定性がこのデバイスの電流耐性の特性に対して極めて有利となるように作用する。
【0052】
本発明のセラミック多層デバイスのさらなる有利点および有利な実施形態を、
図1および2に記載した実施形態を参照して、以下に示す。