【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の局面に従うと、部品を互いに接続する方法が提供され、上記方法は、
−開口部を含む第1の部品を設けるステップと、
−固体状態の熱可塑性材料を含む第2の部品を設けるステップと、
−アンダーカットを有するキャビティおよび明確に規定されたキャビティ体積が規定されながら、上記第2の部品が上記開口部の内部に達するように、上記第1の部品および上記第2の部品を互いに配置するステップと、
−上記熱可塑性材料の少なくとも一部が液化して上記キャビティを充填するまで、上記第2の部品にエネルギを作用させるステップと、
−上記熱可塑性材料を再凝固させ、それによって上記第2の部品を上記第1の部品の内部にアンカー固定するステップとを含む。
【0007】
キャビティが明確に規定された体積を有するという事実は、たとえば、キャビティ壁が体積の境界を定め、静水圧下に置かれたとしても熱可塑性材料が当該壁を浸透不可能であることを意味する。これは特に、キャビティ壁が開放セル(開放多孔性)材料、またはそのような孔が静水圧によって生成される材料からなることを除外する。しかし、これは、キャビティの境界が可動ピストンなどのユーザ調節可能手段によって定められるという可能性を除外しない。
【0008】
ゆえに、処理時、キャビティは熱可塑性材料によってたとえば完全に充填される。キャビティはゆえに、鋳型の機能を有する。これによって、規定されたポリマー体積、および場合によっては規定された固化条件の使用が可能になる。
【0009】
キャビティは、以下のうちの1つまたは組合わせで形成され得る。
−開口部は、アンダーカットを有する止まり穴、たとえば周囲の部分および/または複数の径方向特徴によって構成される広がりであり、その場合キャビティは当該穴の少なくとも一部によって形成される。
【0010】
−開口部は、近位側から見るとアンダーカットを形成し、かつ、遠端において補助要素などのさらなる要素によって閉じられた貫通孔であり、そのような補助要素は、キャスティング処理のためにたとえば従来のコネクタによって第1の要素に一時的に固着され得る。
【0011】
−第1の部品と、第1の部品とともに組立てられる第3の部品との間に形成されるキャビティであり、第1の部品の開口部がキャビティの一部を形成する。
【0012】
固体の、まだ液化していない第2の部品の内部に最初に結合されるエネルギは、機械的エネルギであり得る。一例として、機械的エネルギは機械振動エネルギ、特に超音波振動エネルギであり得る。
【0013】
次に液化するため、たとえば機械的エネルギに加えて、さらに機械的圧力を第2の部品に作用させ、たとえばエネルギが第2の部品に作用する間、たとえば第2の部品を第1の部品の表面部分に押付けてもよい。
【0014】
ゆえに、一例では、
−上記熱可塑性材料の少なくとも一部が液化して上記キャビティを充填するまで、上記第2の部品にエネルギを作用させるステップ
は、
−上記熱可塑性材料の少なくとも一部が液化して上記キャビティを充填するまで、機械的圧力および機械的エネルギを上記第2の部品に作用させるステップ
を含む。
【0015】
代案として、エネルギは、この場合少なくとも部分的に透明な第2の部品の内部に結合されるたとえば放射エネルギであってもよい。そして、第2の部品ならびに/または第2の部品と接触するアセンブリの第1の部品および/もしくは他の部品は、放射を吸収して放射を熱に変換する部分を含む。特に、ある実施形態では、レーザ放射などの放射が第2の部品の内部に結合され、第2の部品を通って第1の要素との界面まで伝播し、その表面で放射が吸収される。第1の要素の表面でこのように生成される熱によって、第2の要素は、加熱面と接触する場所で溶融し、この処理は、キャビティが第2の部品の溶融材料によって充填されるまで行われる。
【0016】
さらなる代案として、エネルギは、熱伝導によって、またはたとえばアセンブリの第2もしくは第1の部品もしくは他の部品で生成された電流によって供給されてもよい。
【0017】
組合せも可能である。
第2の部品は、さらなる部品を第1の部品に接続できるように構成され得る。たとえば、第2の部品は、さらなる部品を第1の部品にクランプ留めし得るねじ状の頭部を含み得る。付加的にまたは代替的に、第2の部品は、熱可塑性材料を液化するのに十分な条件下で液化しない材料からなるコア(このコア材料はたとえば、金属、セラミック、または強力な繊維強化複合物製であり得る)を含んでもよく、このコアに対してさらなる部品が、たとえばねじ接続もしくは他の従来の機械的接続によって従来の態様で、またはさらに本発明に従って接続され得る。
【0018】
第1の部品は、たとえば金属製であるか、または場合によってはセラミックもしくは硬質プラスチック材料製であり得、他の材料も除外されない。特に、第1の部品は、たとえばアルミニウムまたはマグネシウム製のダイカスト金属部品であり得る。内部にアンダーカットを有する開口部は、熱可塑性材料用の鋳型と見なすことができる。従来の成形方法とは対照的に、熱可塑性材料は当初の固体状態で挿入され、たとえば機械的エネルギによってその場で液化される。
【0019】
当該処理は一次的な成形処理を構成するが、先行技術の成形処理と比較して、固体状態における材料の移動が少なく、ゆえに押出し成形機またはノズル等を必要としない。これによって、当該処理を高度に充填された熱可塑性材料とともに使用することも可能になる。射出成形などの先行技術の成形方法に対するさらなる利点として、1つのアクセス(またはごく少数のアクセス)が利用可能であるだけでなく、第2の部品の配置後にエネルギのみを供給すればよいので、さまざまな場所または方向からのアクセスが可能である。
【0020】
アンダーカットを有する開口部は一種の鍵穴として作用すると見なすことができ、この鍵は当該処理によってその場で鍵穴の内部にキャスティングされる。ここにおいて、その形状は、一自由度(たとえば引抜に逆らう)以上から最大で全自由度までロック固定するようなものであってもよい。
【0021】
実施形態では、液化後の熱可塑性材料は、特にそれぞれ第1の部品および/または体積を規定する他の部品の界面においても、静水圧下に置かれる。冷却時の静水圧プロファイルによって液化部品の固化条件を制御することができ、これによって、熱収縮を補償するか、または冷却溶融物内の孔形成を抑制することができる。
【0022】
たとえば多孔性要素内の液化可能材料によるアンカー固定とは対照的に、本発明の局面におけるキャビティは、第1の部品と、場合によってはさらなる要素とによって規定される。換言すれば、キャスティングのための規定された鋳型体積が提供され、この規定された体積は、まだ固体状態にあるときに開口部の内部に達するように配置される固体の第2の部品の液化を用いて、かつ第2の部品の少なくとも一部を液化するエネルギを用いて充填される。これによって、キャスティング処理時の材料の流れを完全に制御することができ、最終的に充填される体積が完全に予測可能である。
【0023】
キャビティは、巨視的な、予め規定されたアンダーカットを規定する。アンダーカットは特に、第1の部品および/または場合によっては他の要素がそれらの製造処理時に内部に形成/キャスティングされる形状によって規定され得る。
【0024】
すべての実施形態において、随意に、熱可塑性材料(およびハードコアなどの第2の部品の可能なさらなる要素)の体積は、余分な材料が存在せず、体積が正確に充填されるように、キャビティの体積に適合され得る。
【0025】
実施形態において、開口部は、シャフト部(またはダクト部)およびその遠位の少なくとも1つの広がり部を含む。シャフト部は軸に沿って一定の断面を有し得、当該断面は、たとえば円形、矩形、三角形、T字状、二重T字状、楕円形等、ほぼ任意に選択可能である。広がり部は異なる断面を有し、少なくとも一方向における径方向延長部はシャフト部の断面よりも大きく、アンダーカットを生じる。特に、広がり部の断面積は、(特に導入軸である軸に対して垂直な断面において)シャフト部の断面積よりも大きくてもよい。
【0026】
第2の部品は、シャフト部の断面に対応する断面を有し得る。たとえば、第2の部品は、開口部のシャフト部にほぼ嵌合するように成形された部分を含み得る。
【0027】
1組の実施形態では、第2の部品は、処理時に存在する条件下で(かつたとえば特に450℃または350℃未満または250℃未満の温度で)液化不可能な材料からなるコアを有し、コアの周りの熱可塑性材料をさらに有する。これらの実施形態では、熱可塑性材料の配置およびキャスティング時の条件は、処理後にコアと第1の部品との間に直接的な物理的接触がないように選択され得る。熱可塑性材料は、コアと第1の部品との間の障壁を形成する。この障壁には、それぞれコアまたは第1の部品に関して第1の部品またはコアに作用するいずれの機械的衝撃および/または振動も減衰させる可能性を有するという可能な利点がある。また、障壁は腐食を予防する障壁の役割を果たし得る。
【0028】
減衰に加えて、熱可塑性材料はさらに、接続が機械的負荷を受けた場合に応力の均一分布を保証する。応力計算によって、従来のねじと比較して、第2の材料に対する応力および第2の材料の結果的な歪みは、熱可塑性材料で覆われたコアを用いることによって最大で75%から90%減少され得ることがわかっている。
【0029】
これらの実施形態におけるコアは、形状はシャフト部断面に対応するがより小さい断面を有し得る。
【0030】
1つのコアの代わりに、第2の部品は複数のコアを含んでもよい。
実施形態に係るエネルギは、機械的振動、特に超音波振動の形態で供給され得る。
【0031】
そのような振動は、近位側から第2の部品の内部に結合され得る。このため、第2の部品の近位側は、たとえば平坦面、または遠位面を有する工具(ソノトロード)の形状に他の方法で適合された表面などの、内部結合面(incoupling surface)を含み得、これを介して振動が第2の部品の内部に結合される。コアを有する第2の部品を有するある実施形態では、コアは内部結合面を形成し得、すなわち近位側ではコアは熱可塑性材料で覆われていない。他の実施形態では、コアは全体的に、すべての表面において、熱可塑性材料で覆われていてもよい。
【0032】
また、他の形態のエネルギが近位側から第2の部品の内部に結合されてもよい。特に、そのような実施形態では、キャビティは、止まり穴であるか、または近位側からアクセス可能であり、さらなる要素によって遠位側で閉じられている開口部によって形成され得る。
【0033】
代替的に、振動は、第1の部品および/または第1の部品とともに組立てられる第3の部品を介して第2の部品の内部に間接的に結合されてもよい。これは、キャビティが第1の部品と第3の部品との間に形成される実施形態に特に好適である。
【0034】
本発明の局面に係る装置および方法に好適な機械的振動または発振は好ましくは、2から200kHz(さらにより好ましくは10から100kHz、または20から40kHz)の周波数と、活性表面の平方ミリメートル当たり0.2から20Wの振動エネルギとを有する。振動要素(工具、たとえばソノトロード)は、たとえば、その接触面が、要素軸の方向(縦方向の振動)において、1から100μm、好ましくは約10から30μmの振幅で主に発振するように設計される。回転発振または径方向の発振も可能である。
【0035】
装置の特定の実施形態については、機械的振動の代わりに、アンカー固定材料の液化に必要な摩擦熱を発生するために回転運動を用いることも可能である。そのような回転運動の速度は、好ましくは10,000から100,000rpmの範囲内にある。
【0036】
熱可塑性材料がたとえば振動などの機械的エネルギによって液化するという事実によって、処理が非常に速い可能性があるという利点がもたらされる。試験によって、上述の条件下で、わずか1sの時間がキャスティング処理に十分であり得ることが明らかになった。
【0037】
本明細書では、「たとえば機械的振動によって流動可能になることができる熱可塑性材料」または短縮して「液化可能な熱可塑性材料」または「液化可能材料」または「熱可塑性」という表現は、少なくとも1つの熱可塑性構成要素を含む材料を述べるために使用され、当該材料は、加熱されると、特に摩擦によって加熱されると、すなわち互いに接触している一対の表面(接触面)の一方に配置されて振動または回転によって互いに動かされると液体(流動可能)になり、振動の周波数は2kHzから200kHz、好ましくは20から40kHzであり、振幅は1μmから100μm、好ましくは約10から30μmである。そのような振動はたとえば、たとえば超音波溶接から公知であるような超音波装置によって生成される。特に液化不可能コアが使用されない場合は、当該材料は0.5GPaよりも高い弾性率を有すると有利であることが多い。
【0038】
材料の具体的な実施形態は、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、たとえばポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、もしくはポリアミド66、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオキシメチレン、またはポリカーボネートウレタン、ポリカーボネートもしくはポリエステルカーボネート、またはさらにアクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリルエステル−スチレン−アクリニトリル(ASA)、スチレン−アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリスチレン、またはこれらの共重合体もしくは混合物である。
【0039】
熱可塑性ポリマーに加えて、熱可塑性材料はさらに、好適な充填剤、たとえばガラスおよび/または炭素繊維などの強化繊維を含み得る。当該繊維は、短繊維、長繊維、または連続繊維であり得る。
【0040】
繊維材料(存在する場合)は、繊維強化材に公知の任意の材料、特に炭素、ガラス、ケブラー、セラミック、たとえばムライト、炭化ケイ素または窒化ケイ素、高強度ポリエチレン(ダイニーマ)等であり得る。
【0041】
繊維の形状を有しない他の充填剤、たとえば粉末粒子も可能である。
特に、射出成形などの先行技術の成形方法とは対照的に、本発明の局面に係る方法は、充填程度がたとえば30%よりも高く、最大で55%(押出成形機で製造される材料について)またはさらには最大で60%または最大で65%(引抜成形によって製造される熱可塑性材料)の高度に充填された熱可塑性物質の使用に特に好適であり、一般に、充填率は0%から65%であり得、本段落におけるすべてのパーセンテージは体積%の値である。
【0042】
コアを有する実施形態の代替の実施形態に従うと、第2の部品は、熱可塑性材料、純ポリマーで、または充填剤を用いて構成され得る。
【0043】
特に、熱可塑性材料が充填剤を有するポリマー、たとえば繊維強化プラスチックである実施形態−しかしこれらの実施形態には限定されない−では、熱可塑性材料を液化するステップの後に固化ステップが行なわれ得る。このため、第2の部品に対する圧力は、エネルギ源のスイッチが切られた後、かつ熱可塑性材料の再凝固が起こる間、維持される。明確に規定された体積のため、圧力をずっと維持することができ、これを用いて、キャスティング後の繊維充填剤の固有の剛性(および/または収縮処理等)による変形を防ぐことができる。
【0044】
以下に、図面を参照して本発明および実施形態を実行するための方法を説明する。図面は概略的である。図面では、同一の参照番号は同一または類似の要素を指す。