特許第6374410号(P6374410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374410
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   A61B5/1455
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-559857(P2015-559857)
(86)(22)【出願日】2015年1月14日
(86)【国際出願番号】JP2015050823
(87)【国際公開番号】WO2015115182
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2017年7月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-14706(P2014-14706)
(32)【優先日】2014年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591060223
【氏名又は名称】コ−ケンメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】松井 英一
(72)【発明者】
【氏名】松井 充巨
(72)【発明者】
【氏名】中島 保夫
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−135986(JP,A)
【文献】 特開2009−240454(JP,A)
【文献】 特開2012−45168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の頭部に装着して、脳内血流中の酸素飽和度を非侵襲で連続的に測定する非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタであって、
少なくとも、前記頭部の額の表面に650〜1000nmの光を照射する発光部及び前記発光部から照射された光のうち前記頭部の内部を伝播した光を受光する受光部が実装されたプリント回路板を有するセンサー部と、
該センサー部が検出した検出信号に基いて脳内血液中の混合酸素飽和度を算出する演算処理部と、該演算処理部による演算処理結果を表示する表示部と、前記センサー部、前記演算処理部及び前記表示部に電力を供給する電源部とを有し、前記頭部に装着したとき額の前方に配置される本体部と、
前記額に当接する板形状をなし、その板厚方向に貫通させて設けられた開口部を有し、かつ、前記発光部及び前記受光部を前記開口部内に配置した状態で、前記センサー部を支持するセンサーホルダーと、
前記センサー部と前記本体部との間に配置され、前記センサー部を前記センサーホルダーに向けて押さえるセンサー押さえ板と、
前記センサー部と前記本体部とを電気的に接続する接続部と、
前記本体部を前記頭部に着脱自在に装着するヘッドバンドと、を備え、
前記発光部及び前記受光部は、前記発光部の発光面及び前記受光部の受光面を前記額側に向けて配置され、かつ、前記センサー部の前記額側の表面の一部又は全体は、前記センサーホルダーの前記額側の表面と同一面上にあるか、又は前記センサーホルダーの前記額側の表面よりも該額側に突出していることを特徴とする非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【請求項2】
前記本体部と前記センサー押さえ板との間に介在するクッションを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【請求項3】
前記センサー部は、前記発光部として右側発光部及び左側発光部と、前記受光部として右側受光部及び左側受光部とを有し、かつ、前記額の左右方向に沿って、前記左側受光部、前記左側発光部、前記右側発光部、前記右側受光部の順に配置され、
前記左側発光部と前記右側発光部とは、前記左側発光部と前記右側発光部との間に仮想した仮想直線を対称軸とする線対称に配置され、
前記左側受光部と前記右側発光部とは、前記仮想直線を対称軸とする線対称に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【請求項4】
前記本体部が、センターマークを有し、該センターマークの前記額の左右方向における位置が前記仮想直線上にあることを特徴とする請求項3に記載の非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【請求項5】
前記ヘッドバンドは、前記本体部に連結するインナーヘッドバンドと、該インナーヘッドバンドの外側に連結するアウターヘッドバンドと、該アウターヘッドバンドを前記インナーヘッドバンドに締緩自在に連結する連結部とを有し、
前記インナーヘッドバンドは、スライド溝部を有し、
前記連結部は、前記スライド溝部に係合する軸部を有し、
前記ヘッドバンドは、前記軸部を中心に前記アウターヘッドバンドをはね上げ自在であり、かつ、前記軸部を前記スライド溝部に沿って摺動させて前記頭部の大きさに合わせて前記アウターヘッドバンドの位置を調整自在であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【請求項6】
前記センサー押さえ板に連結する締め上げ具を更に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【請求項7】
前記接続部がコネクタであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【請求項8】
前記センサー部は、該センサー部の前記額側の表面の一部又は全体を被覆する被覆部を有し、
該被覆部は、少なくとも、前記発光部の発光面側を被覆する部分及び前記受光部の受光面側を被覆する部分に前記光を透過するシリコーンからなるシリコーン部を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【請求項9】
前記被覆部は、少なくとも、前記発光部を被覆するシリコーン部と前記受光部を被覆するシリコーン部との間に光透過阻止部を有し、該光透過阻止部は、1mm厚さ換算での前記光の透過率が前記シリコーン部の1mm厚さ換算での前記光の透過率に対して10分の1以下であることを特徴する請求項8に記載の非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【請求項10】
前記センサー部が、前記受光部として、浅部用受光部と深部用受光部とを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量、かつ、コンパクトであり、携帯性及び取扱性に優れた非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に救急医療においては、心臓停止患者の脳酸素飽和度(rSO(regional Saturation of Oxygen))を近赤外線を用いてモニタしながら、医師又は救急救命士が救急救命措置を施すことによって、心臓停止患者の社会復帰率を著しく向上させることが知られるようになってきた(例えば、特許文献1,2を参照。)。この脳酸素飽和度(rSO)を近赤外線を用いてモニタする装置の構造は一般的には、例えば、特許文献2の図1に示されるように、患者の頭部の額部分に取り付けるプローブ部と、プローブ部からの信号を解析する回路基板及び解析結果を表示するディスプレー部が一体化された装置本体部とに分離されており、プローブ部と装置本体部とは長い信号ケーブルで結ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5062698号公報
【特許文献2】特開2013−170881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の図1に示されるような装置の構造は、心臓停止患者を受け入れる病院内では特に問題は生じない。しかし、病院外又は救急車輌内などの救急救命現場では、作業空間及び人員が限られている。このため、救急救命現場で医師又は救急救命士などの施行者が救急救命措置を施す場合では、プローブ部と装置本体部とが分離された装置は、現場の広さ又は空間の狭さが妨げになって、大きさ、質量、扱い易さなどの面で問題があった。そこで、救急救命現場では、プローブ部と装置本体部とが一体化されていて、軽量、かつ、コンパクトで携帯性に優れ、かつ、施行者が簡便に取り扱える取扱性に優れた非侵襲型脳酸素飽和度モニタの出現が切望されていた。
【0005】
本発明の目的は、軽量、かつ、コンパクトで携帯性に優れ、かつ、施行者が簡便に取り扱える取扱性に優れた非侵襲型脳酸素飽和度モニタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタは、人の頭部に装着して、脳内血流中の酸素飽和度を非侵襲で連続的に測定する非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタであって、少なくとも、前記頭部の額の表面に650〜1000nmの光を照射する発光部及び前記発光部から照射された光のうち前記頭部の内部を伝播した光を受光する受光部が実装されたプリント回路板を有するセンサー部と、該センサー部が検出した検出信号に基いて脳内血液中の混合酸素飽和度を算出する演算処理部と、該演算処理部による演算処理結果を表示する表示部と、前記センサー部、前記演算処理部及び前記表示部に電力を供給する電源部とを有し、前記頭部に装着したとき額の前方に配置される本体部と、前記額に当接する板形状をなし、その板厚方向に貫通させて設けられた開口部を有し、かつ、前記発光部及び前記受光部を前記開口部内に配置した状態で、前記センサー部を支持するセンサーホルダーと、前記センサー部と前記本体部との間に配置され、前記センサー部を前記センサーホルダーに向けて押さえるセンサー押さえ板と、前記センサー部と前記本体部とを電気的に接続する接続部と、前記本体部を前記頭部に着脱自在に装着するヘッドバンドと、を備え、前記発光部及び前記受光部は、前記発光部の発光面及び前記受光部の受光面を前記額側に向けて配置され、かつ、前記センサー部の前記額側の表面の一部又は全体は、前記センサーホルダーの前記額側の表面と同一面上にあるか、又は前記センサーホルダーの前記額側の表面よりも該額側に突出していることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタは、前記本体部と前記センサー押さえ板との間に介在するクッションを更に備えることが好ましい。センサー部を額により密着させて、外部からの光が受光部に浸入することを抑制し、より精度の高い測定が可能となる。
【0008】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタでは、前記センサー部は、前記発光部として右側発光部及び左側発光部と、前記受光部として右側受光部及び左側受光部とを有し、かつ、前記額の左右方向に沿って、前記左側受光部、前記左側発光部、前記右側発光部、前記右側受光部の順に配置され、前記左側発光部と前記右側発光部とは、前記左側発光部と前記右側発光部との間に仮想した仮想直線を対称軸とする線対称に配置され、前記左側受光部と前記右側発光部とは、前記仮想直線を対称軸とする線対称に配置されていることが好ましい。右脳及び左脳の酸素飽和度を同時に測定することができる。
【0009】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタでは、前記本体部が、センターマークを有し、該センターマークの前記額の左右方向における位置が前記仮想直線上にあることが好ましい。施行者が右側発光部及び左側発光部の位置を容易に確認することができる。センターマークを患者の額の左右方向の中央部に合わせて装着させることで、右脳及び左脳の酸素飽和度をより確実、かつ、正確に測定することができる。
【0010】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタでは、前記ヘッドバンドは、前記本体部に連結するインナーヘッドバンドと、該インナーヘッドバンドの外側に連結するアウターヘッドバンドと、該アウターヘッドバンドを前記インナーヘッドバンドに締緩自在に連結する連結部とを有し、前記インナーヘッドバンドは、スライド溝部を有し、前記連結部は、前記スライド溝部に係合する軸部を有し、前記ヘッドバンドは、前記軸部を中心に前記アウターヘッドバンドをはね上げ自在であり、かつ、前記軸部を前記スライド溝部に沿って摺動させて前記頭部の大きさに合わせて前記アウターヘッドバンドの位置を調整自在であることが好ましい。患者への装着をより容易に行うことができる。また、アウターヘッドバンドをはね上げ式とすることで、施行者独りで装着することが可能となる。
【0011】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタは、前記センサー押さえ板に連結する締め上げ具を更に有することが好ましい。センサー部を額により密着させて、外部からの光が受光部に浸入することを抑制し、より精度の高い測定が可能となる。
【0012】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタでは、前記接続部がコネクタであることが好ましい。ケーブルを用いないことで、ケーブルが引っかかって作業が阻害される問題が生じない。また、非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタをより小型化することができる。また、コネクタがセンサー部を本体部に固定する固定具を兼ねる。
【0013】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタでは、前記センサー部は、該センサー部の前記額側の表面の一部又は全体を被覆する被覆部を有し、該被覆部は、少なくとも、前記発光部の発光面側を被覆する部分及び前記受光部の受光面側を被覆する部分に前記光を透過するシリコーンからなるシリコーン部を有することが好ましい。発光面及び受光面に付着した汚染物質をより容易に拭き取ることができる。また、被覆部を取り替えることで、発光面及び受光面を常に清浄な状態に保つことができる。
【0014】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタでは、前記被覆部は、少なくとも、前記発光部を被覆するシリコーン部と前記受光部を被覆するシリコーン部との間に光透過阻止部を有し、該光透過阻止部は、1mm厚さ換算での前記光の透過率が前記シリコーン部の1mm厚さ換算での前記光の透過率に対して10分の1以下であることが好ましい。頭部の内部を伝播しない光がシリコーン部を透過することで受光部に浸入することを抑制し、より精度の高い測定が可能となる。
【0015】
本発明に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタは、前記センサー部が、前記受光部として、浅部用受光部と深部用受光部とを含むことが好ましい。より精度の高い測定が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、軽量、かつ、コンパクトで携帯性に優れ、かつ、施行者が簡便に取り扱える取扱性に優れた非侵襲型脳酸素飽和度モニタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタの一例を示し、一部を分解して示した斜視図である。
図2】本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタの一例を示す平面図である。
図3】本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタの一例を示す正面図である。
図4】本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタの一例を示す右側面図である。
図5】本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタの一例を示し、正面上方から見た斜視図である。
図6】本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタの一例を示し、後ろ面上方から見た斜視図である。
図7】センサー部の一例を示す平面図である。
図8図7のA−A断面図である。
図9】被覆部の第一例を示す断面図である。
図10】被覆部の第二例を示す断面図である。
図11】アウターヘッドバンドをはね上げた状態を示す図である。
図12】頭の小さな人に装着した状態を示す図である。
図13】頭の大きな人に装着した状態を示す図である。
図14】締め上げ具を締めている状態を示す図である。
図15】締め上げ具を緩めている状態を示す図である。
図16】本体部の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0019】
本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ1は、人の頭部に装着して、脳内血流中の酸素飽和度を非侵襲で連続的に測定する非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタであって、図1に示すように、少なくとも、頭部の額の表面に650〜1000nmの光を照射する発光部11,12及び発光部11,12から照射された光のうち頭部の内部を伝播した光を受光する受光部13,14が実装されたプリント回路板を有するセンサー部10と、図2図5に示すように、センサー部10が検出した検出信号に基いて脳内血液中の混合酸素飽和度を算出する演算処理部(不図示)と、演算処理部による演算処理結果を表示する表示部21と、センサー部10、演算処理部及び表示部21に電力を供給する電源部(不図示)とを有し、頭部に装着したとき額の前方に配置される本体部20と、図1図6に示すように、額に当接する板形状をなし、その板厚方向に貫通させて設けられた開口部31を有し、かつ、発光部11,12及び受光部13,14を開口部31内に配置した状態で、センサー部10を支持するセンサーホルダー30と、センサー部10と本体部20との間に配置され、センサー部10をセンサーホルダー30に向けて押さえるセンサー押さえ板40と、センサー部10と本体部20とを電気的に接続する接続部50と、本体部20を頭部に着脱自在に装着するヘッドバンド60と、を備え、発光部11,12及び受光部13,14は、発光部11,12の発光面及び受光部13,14の受光面を額側に向けて配置され、かつ、センサー部10の額側の表面の一部又は全体は、センサーホルダー30の額側の表面と同一面上にあるか、又はセンサーホルダー30の額側の表面よりも額側に突出している。
【0020】
本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ1は、脳内血流中の酸素飽和度(rSO)を近赤外分光法(NIRS(near‐infrared spectroscopy))で非侵襲的に、かつ、連続的に測定する。
【0021】
図7は、センサー部の一例を示す平面図である。図8は、図7のA−A断面図である。センサー部10は、額の形状に合わせて湾曲自在な板状部材である。センサー部10は、図8に示すように、プリント回路板15を有する。
【0022】
プリント回路板15は、フレキシブル配線板上に、発光部11,12及び受光部13,14などの電子部品を実装してなる。フレキシブル配線板は、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムの基材フィルム層と、接着層と、銅箔などの導体箔層とを順次積層させた構造を有する。本発明は、フレキシブル配線板の構造に限定されない。プリント回路板15の実装面のうち、発光部11,12及び受光部13,14以外の部分は、プローブカバー16で被覆されていることが好ましい。プローブカバー16の材質は、特に限定されないが、例えば、シリコーンゴムなどのエラストマーである。プローブカバー16は、発光部11,12及び受光部13,14を含む領域を、他の領域よりも相対的に盛り上げて形成した突出部16aを有することが好ましい。図6に示すように、突出部16aをセンサーホルダー30の開口部31に嵌合させることで、センサー部10のセンサーホルダー30による支持をより強固にすることができる。プローブカバー16は、プリント回路板15の実装面に加えて、実装面の裏面にも設けてもよい。
【0023】
発光部11,12は、例えば、発光ダイオード(LED,Light Emitting Diode)などの発光素子である。発光部11,12は、発光面を額側に向けて配置される。発光部11,12は、枠部18で囲まれていることが好ましい。枠部18を額に密着させることで、発光部11,12から照射された光を額により効率的に照射することができる。発光部11,12から照射される光は、650〜1000nmの近赤外光である。発光部11,12は、波長の異なる2種類以上の光を順次出力できることが好ましい。波長の異なる2種類以上の光の一例としては、730nm及び810nmの2波長である。
【0024】
受光部13,14は、例えば、フォトダイオードなどの受光素子である。受光部13,14は、受光面を額側に向けて配置される。受光部13,14は、枠部18で囲まれていることが好ましい。枠部18を額に密着させることで、発光部11,12から照射された光を頭部の内部を伝播した後、受光部13,14でより効率的に受光することができる。
【0025】
センサー部10は、受光部13,14として、浅部用受光部13a,14aと深部用受光部13b,14bとを含むことが好ましい。浅部用受光部13a,14a及び深部用受光部13b,14bを含むことで、より精度の高い測定が可能となる。深部用受光部13b,14bの発光部11,12からの距離d2は、浅部用受光部13a,14aの発光部11,12からの距離d1よりも遠いことが好ましい。発光部11,12からの浅部用受光部13a,14aまでの距離d1は、発光部11,12から照射された光が脳の浅層部分を通って額の表面に到達する距離であり、例えば、0.1mm以上35mm以下であることが好ましく、0.5mm以上30mm以下であることがより好ましい。発光部11,12からの深部用受光部13b,14bまでの距離d2は、発光部11,12から照射された光が脳の深層部分を通って額の表面に到達する距離であり、例えば、35mmを超え60mm以下であることが好ましく、40mm以上50mm以下であることがより好ましい。距離d1、d2は例示であって、本発明はこれに限定されない。また、深部用受光部13b(14b)を2個並列させることで、演算処理部(不図示)が、検量線を作成することなく脳酸素飽和度を算出することができる。
【0026】
センサー部10は、図7に示すように、発光部11,12として右側発光部11及び左側発光部12と、受光部13,14として右側受光部13及び左側受光部14とを有し、かつ、額の左右方向に沿って、左側受光部14、左側発光部12、右側発光部11、右側受光部13の順に配置され、左側発光部12と右側発光部11とは、左側発光部12と右側発光部11との間に仮想した仮想直線Lを対称軸とする線対称に配置され、左側受光部14と右側発光部13とは、仮想直線Lを対称軸とする線対称に配置されていることが好ましい。右脳及び左脳の酸素飽和度を同時に測定することができる。
【0027】
図9は、被覆部の第一例を示す断面図である。図9は、図7のA−Aに相当する位置の断面を示す。センサー部10は、センサー部10の額側の表面の一部又は全体を被覆する被覆部17を有し、被覆部17は、少なくとも、発光部11,12の発光面側を被覆する部分及び受光部13,14の受光面側を被覆する部分に光を透過するシリコーンからなるシリコーン部17a,17bを有することが好ましい。シリコーン部17a,17bを設けることで、汚染物質が発光面及び受光面に付着することを予防し、シリコーン部17a,17bに付着した汚染物質は容易に拭き取ることができる。また、被覆部17を取り替えることで、発光面及び受光面を常に清浄な状態に保つことができる。図9では、被覆部17がセンサー部10の額側の表面のうち、突出部16aの表面を被覆する形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、発光部11,12の発光面及び受光部13,14の受光面だけを被覆する形態(不図示)、被覆部17がセンサー部10の額側の表面の全体を被覆する形態としてもよい。また、図9では、シリコーン部17a,17bが発光部11,12上及び受光部13,14上だけに設けられた形態を示したが、シリコーン部17a,17bがセンサー部10の額側の表面の全体を覆っていてもよい。シリコーンは、例えば、シリコーンゴムである。シリコーン部17a,17bは、1mm厚さ換算での発光部11,12が照射する光の透過率が、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0028】
被覆部17は、図9に示すように、少なくとも、発光部11,12を被覆するシリコーン部17aと受光部13,14を被覆するシリコーン部17bとの間に光透過阻止部17cを有し、光透過阻止部17cは、1mm厚さ換算での発光部11,12が照射する光の透過率がシリコーン部17a,17bの1mm厚さ換算での前記光の透過率に対して10分の1以下であることが好ましい。より好ましくは20分の1以下である。光透過阻止部17cを設けることで、頭部の内部を伝播しない光がシリコーン部17a,17bを透過することで受光部13,14に浸入することを抑制し、より精度の高い測定が可能となる。光透過阻止部17cは、発光部11,12を被覆するシリコーン部17aと受光部13,14を被覆するシリコーン部17bとの間に加えて、受光部13,14を被覆するシリコーン部17b同士の間に設けてもよい。被覆部17の好ましい形態は、例えば、光透過阻止部17cが発光部11,12及び受光部13,14に対応する位置にはしご状に開口を設けたシートであり、シリコーン部17a,17bが光透過阻止部17cの開口に埋め込まれ、全体として一枚のシート状をなしている形態である。シリコーン部17a,17bと光透過阻止部17cとが一枚のシート状をなしている形態では、光透過阻止部17cは、カーボンブラックなどの黒色顔料を配合したシリコーンゴムであることが好ましい。
【0029】
図10は、被覆部の第二例を示す断面図である。図10は、図7のA−Aに相当する位置の断面を示す。被覆部91が、図10に示すように、センサー部10の額側の表面上に配置され、かつ、発光部11,12及び受光部13,14に対応する位置にはしご状に開口91aを設けた光透過阻止部91と光透過阻止部91上に配置され、かつ、開口91aを塞ぐ光透過性のシリコーン部92と有することが好ましい。隣り合う開口91a同士の間には、光透過阻止部91が介在するため、頭部の内部を伝播しない光がシリコーン部92を透過して受光部13,14に浸入することを抑制し、より精度の高い測定が可能となる。また、汚染物質が付着した場合は、シリコーン部92だけを交換することができる。シリコーン部92は、光透過阻止部91の表面に固定されていることが好ましい。固定方法は、特に限定されず、熱融着法、接着剤又は粘着剤を用いる方法である。シリコーン部92に用いるシリコーンは、被覆部の第一例で説明したシリコーン部17a,17bと同種のものを使用できる。また、シリコーン部93は、1mm厚さ換算での発光部11,12が照射する光の透過率が、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。光透過阻止部91は、例えば、カーボンブラックなどの黒色顔料を配合した樹脂である。樹脂の種類は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、シリコーンである。光透過阻止部91は、1mm厚さ換算での発光部11,12が照射する光の透過率がシリコーン部92の1mm厚さ換算での前記光の透過率に対して10分の1以下であることが好ましい。より好ましい形態は、図10に示すように、シリコーン部92が光透過阻止部91の各開口91aよりも一回り大きく形成された複数枚のシートからなり、各シートが各開口91aを一つずつ塞いで、隣り合うシリコーン部92同士の間に隙間が設けられている形態である。
【0030】
接続部50は、図8図9に示すように、センサー部10の実装面の裏面に設けられることが好ましい。接続部50は、例えば、差込式コネクタ若しくはリボンコネクタなどのコネクタ、又は差込式ケーブル若しくはリボンケーブルなどのケーブルである。このうち、接続部50はコネクタであることが好ましい。ケーブルを用いないことで、ケーブルが引っかかって作業が阻害される問題が生じない。また、非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ1をより小型化することができる。コネクタはセンサー部10を本体部20に固定する固定具を兼ねる。接続部50は、例えば、図2に示すように、センサー押さえ板40に設けた貫通孔41、必要に応じて配置されるクッション70に設けた貫通孔71を通り、本体部20に設けられた凹型コネクタ(不図示)に接続される。また、接続部50は、リボンコネクタ(不図示)に接続されたリボンケーブル(不図示)であってもよい。このとき、リボンケーブルがセンサー部10に取り付けられ、リボンコネクタが本体部20に取り付けられることが好ましい。リボンケーブルを用いることで、センサー部10と本体部20とをより着脱しやすくすることができる。
【0031】
センサーホルダー30は、額の形状に合わせて湾曲自在な板状部材である。センサーホルダー30の材質は、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂である。また、センサーホルダー30の額側の表面には、両面粘着テープが設けられているか、又は再使用可能な自己粘着性を有する軟質のエラストマーゲル状ラバーが設けられていることが好ましい。センサーホルダー30を額部により密着させて、外部光が受光部13,14に浸入することを抑制することができる。
【0032】
開口部31は、センサーホルダー30に設けられた貫通孔であり、内部に発光部11,12及び受光部13,14が配置される。発光部11,12の発光面を及び受光部13,14の受光面を額に向けて露呈させることができる。図1では、開口部31が枠状である形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、センサーホルダー30の上端辺に設けた切欠き状(不図示)としてもよい。センサーホルダー30によるセンサー部10の支持方法は、特に限定されず、例えば、プローブカバー16に設けた突出部16aを開口部31に嵌合させる方法、センサー部10とセンサーホルダー30とを接着剤又は粘着剤で固定する方法である。
【0033】
センサー部10の額側の表面の一部又は全体は、図6に示すように、センサーホルダー30の額側の表面と同一面上にある。また、図示しないが、センサー部10の額側の表面の一部又は全体は、センサーホルダー30の額側の表面よりも額側に突出していてもよい。額側に突出させることで、額により密着させることができる。センサー部10の額側の表面の一部がセンサーホルダー30の額側の表面と同一面上にあるか又は突出している形態は、例えば、例えば、センサー部10が図8に示す断面構造を有する場合は、発光部11,12の発光面及び受光部13,14の受光面がセンサーホルダー30の額側の表面と同一面上にあるか又は突出している形態、発光部11,12及び受光部13,14を囲む枠部18がセンサーホルダー30の額側の表面と同一面上にあるか又は突出している形態である。また、例えば、センサー部10が図9に示す断面構造を有する場合は、シリコーン部17a,17bがセンサーホルダー30の額側の表面と同一面上にあるか又は突出している形態である。
【0034】
センサー押さえ板40は、額の形状に合わせて湾曲自在な板状部材である。センサー押さえ板40の材質は、特に限定されないが、例えば、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂である。センサー押さえ板40は、センサー部10と本体部20との間に配置され、センサー部10をセンサーホルダー30に向けて押さえる。
【0035】
本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ1は、本体部20とセンサー押さえ板40との間に介在するクッション70を更に備えることが好ましい。センサー部10を額により密着させて、外部からの光が受光部に浸入することを抑制し、より精度の高い測定が可能となる。クッション70は、図2に示すように、本体部20側の表面が平面状であり、かつ、センサー押さえ板40側の表面が凹曲面状である。クッション70の材質は、特に限定されないが、例えば、ウレタンフォームである。
【0036】
本体部20は、筐体を有する。筐体の材質は、特に限定されないが、例えば、ABS樹脂などの硬質樹脂である。本体部20は、頭部に装着したとき額の前方に配置される。本体部20は、図3に示すように、センターマーク22を有することが好ましい。センターマーク22は、額の左右方向における位置が仮想直線L(図7に図示)上にある。施行者が、センサーマーク22を目安にして、右側発光部13(図7に図示)及び左側発光部14(図7に図示)の位置を容易に認識することができる。センターマーク22を患者の額の左右方向の中央部に合わせて装着させることで、右脳及び左脳の酸素飽和度をより確実に測定することができる。センターマーク22は、特に限定されず、例えば、図3に示すように、本体部20に略ひし形の印刷を施し、略ひし形の頂点を仮想直線L(図7に図示)上に配置する。また、センターマーク22は、仮想直線L(図7に図示)上に配置した点状又は線状の印刷、エンボス加工であってもよい。
【0037】
演算処理部(不図示)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。演算処理部(不図示)は、筐体に内蔵される。演算処理部(不図示)は、センサー部10が検出した検出信号に基いて脳内血液中の混合酸素飽和度を算出する。演算処理部による混合酸素飽和度の算出方法は、例えば、特許文献1又は特許文献2に記載されている。また、近赤外分光法による患者の脳酸素飽和度測定では、患者の脳内の酸素飽和度が低位を示す状態では脱酸化ヘモグロビン濃度が高い状態にある。つまり脱酸化ヘモグロビンの吸収が大きい波長では光信号は微弱であり、周りの電気・電子機器の発する電気雑音の影響を受け易い。演算処理部は、酸素飽和度が低位を示す状態(脱酸化ヘモグロビン濃度が高い状態)での微弱な光信号をアナログ・デジタル変換することが好ましい。この場合、S/N比(signal‐noise ratio)の改善を図るため、光電変換素子に直接増幅器を設けて、外来電気雑音の重畳を排除することで、高い濃度の脱酸化ヘモグロビンを高精度で計測できる。
【0038】
表示部21は、筐体の前面に配置されることが好ましい。表示部21は、演算処理部による演算処理結果を表示する。演算処理結果は、例えば、右脳内血液中の酸素飽和度、左脳内血液中の酸素飽和度、脳内血液中の混合酸素飽和度の経時変化のグラフである。表示部21は、表示内容をモニタを見る人間が立ち位置を変えずにその場で容易に表示内容を確認出来るように、表示内容の視認方向を上下左右に任意に反転させることが出来る機構を有することが好ましい。
【0039】
電源部(不図示)は、例えば、使い捨てされる一次電池、充電して繰り返し使用できる二次電池、小型燃料電池などの電池、外部交流電源である。これらは、1種を単独で使用するか、又は2種以上を併用してもよい。電源部が電池であることが好ましい。電池を筐体に内蔵させて、携帯性をより向上させることができる。電源部(不図示)は、センサー部10、演算処理部及び表示部21に電力を供給する。
【0040】
本体部20は、アラーム機構(不図示)を有することが好ましい。アラーム機構は、飽和酸素濃度(rSO)測定値が例えば30%以下の場合は表示部21に測定結果を表示すると同時に一次警告音を発し、更に測定値が例えば25%以下の場合は表示部21に測定結果を表示すると同時に二次警告音を発する機構である。警告音を発する基準とする測定値は30%、25%に限定されず、任意に設定変更できる。また、警告音は他の医療機器の発する警告音と容易に識別出来るように複数の音源を有し、かつ、音源を任意に選択変更できることが好ましい。
【0041】
本体部20は、演算処理結果を、外部装置に出力する端子を有することが好ましい。また、内蔵された記録媒体に保存蓄積記録すると同時に、外部持ち出し可能な記録メディアに記録する機構を有することが好ましい。内蔵された記録媒体は、例えば、フラッシュメモリーである。外部持ち出し可能な記録メディアは、例えば、SDメモリーカード、USBメモリである。各種データを、患者が搬送された病院内に設置された脳酸素飽和度(rSO)モニタ装置に入力できる。その結果、救急現場での患者の脳酸素飽和度連続的データが病院搬送後も継続的にモニタできるようになり、患者の救急救命率向上、心肺蘇生率向上、及び救命後の患者の社会復帰率向上に大いに貢献できる。
【0042】
図11は、アウターヘッドバンドをはね上げた状態を示す図である。ヘッドバンド60は、本体部20を頭部に着脱自在に装着する。ヘッドバンド60は、図2に示すように、本体部20に連結するインナーヘッドバンド61と、インナーヘッドバンド61の外側に連結するアウターヘッドバンド62と、アウターヘッドバンド62をインナーヘッドバンド61に締緩自在に連結する連結部63とを有し、インナーヘッドバンド61は、スライド溝部61aを有し、連結部63は、スライド溝部に係合する軸部63bを有し、ヘッドバンド60は、図11に示すように、軸部63bを中心にアウターヘッドバンド62をはね上げ自在であり、かつ、軸部63bをスライド溝部61aに沿って摺動させて頭部の大きさに合わせてアウターヘッドバンド62の位置を調整自在であることが好ましい。患者への装着をより容易に行うことができる。
【0043】
インナーヘッドバンド61は、患者の側頭部に装着される。インナーヘッドバンド61の材質は、特に限定されないが、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂である。インナーヘッドバンド61は、スライド溝部61aを有する。スライド溝部61aは、インナーヘッドバンド61の長さ方向に沿って設けられる。スライド溝部61aは、インナーヘッドバンド61の厚さ方向に貫通させた貫通孔であることが好ましい。インナーヘッドバンド61の患者側の表面には、クッション64が設けられることが好ましい。クッション64の材質は、特に限定されないが、例えば、ウレタンフォームである。
【0044】
アウターヘッドバンド62は、患者の側頭部から後頭部にわたって装着される。アウターヘッドバンド62の材質は、特に限定されないが、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂である。アウターヘッドバンド62の患者側の表面には、クッション65が設けられることが好ましい。クッション65の材質は、特に限定されないが、例えば、ウレタンフォームである。
【0045】
連結部63は、図2に示すように、螺旋頭部63aと軸部63bとを有することが好ましい。連結部63は、締緩機構を有する。締緩機構は、例えば、スライド溝61a内にスライド溝61aを摺動自在に係合するナット(不図示)を設け、該ナットに軸部63bの下端部を螺合させる機構である。緩める方向に螺旋頭部63aを回して、軸部63bを中心にアウターヘッドバンド62をはね上げ自在であり、かつ、軸部63bをスライド溝部61aに沿って摺動自在とし、アウターヘッドバンド62が所定の位置に配置された状態で締め付け方向に螺旋頭部63aを回して、アウターヘッドバンド62をインナーヘッドバンド61に固定する。
【0046】
図12は、頭の小さな人に装着した状態を示す図である。図13は、頭の大きな人に装着した状態を示す図である。次に、図11図13を参照して、非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ1を患者に装着する方法を説明する。まず、施行者は、図11に示すようにアウターヘッドバンド62を上方にはね上げた状態で患者の頭蓋部(前頭葉部)にセンサー部を確実に密着させた後、アウターヘッドバンド62を水平状態に戻す。次いで、図12図13に示すように、軸部63bをスライド溝部61aに沿って摺動させて頭部の大きさに合わせてアウターヘッドバンド62の位置を調整する。最後に、締め付け方向に螺旋頭部63aを回して、アウターヘッドバンド62をインナーヘッドバンド61に固定し、非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ1を患者に装着する。その後、脳酸素濃度測定を開始する。
【0047】
図14は、締め上げ具を締めている状態を示す図である。図15は、締め上げ具を緩めている状態を示す図である。本実施形態に係る非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ1は、センサー押さえ板40に連結する締め上げ具80を更に有することが好ましい。非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ1を患者に装着後、締め上げ具80でセンサー押さえ板40を締め上げることで、センサー部を額により密着させて、外部からの光が受光部に浸入することを抑制し、より精度の高い測定が可能となる。締め上げ具80は、締緩自在な構造であればよく、その構造は特に限定されない。締め上げ具80の構造の一例としては、図14に示すようにベルト部81とロック部82とを有し、ベルト部81とロック部82とが係合することで、ベルト部81が所定の位置で固定され、かつ、図15に示すようにロック部82を開放することで、ベルト部81による締め上げを緩めることができる構造である。ベルト部81は、ヘッドバンド60の外側に突出することが好ましい。締め上げ作業をより簡便に行うことができる。ベルト部81をヘッドバンド60の外側に突出させる形態は、例えば、ベルト部81をセンサー押さえ板40の額の左右方向の両端部に連結させ、インナーヘッドバンド61のスライド溝部61aを通って、アウターヘッドバンド62に設けた貫通孔62aからヘッドバンド60の外側に突出させる形態である。
【0048】
次に、非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ1の動作を説明する。まず、発光部11,12は、CPU(不図示)からの指示信号に基いて、特定の波長(例えば、730nm、810nm)のレーザ光を順次出力する。これらのレーザ光は発光面から額に向けて照射され、頭部内に入射する。頭部内に入射されたレーザ光は、頭部内において散乱するとともに被測定成分に吸収されながら伝搬し、一部の光が額部の光検出位置に達する。光検出位置に達したレーザ光は、受光部13,14によって検出される。各受光部13,14は、検出したレーザ光の強度に応じた光電流を生成する。これらの光電流は、プリアンプ部(不図示)によって電圧信号(検出信号)に変換され、これらの電圧信号はA/D変換回路によってデジタル信号に変換される。
【0049】
続いて、演算処理部(例えばCPU)が、デジタル信号D(1)〜D(N)に基いて、ヘモグロビン酸素飽和度(TOI)を算出する。また、CPUは、デジタル信号D(1)〜D(N)の中から少なくとも1つのデジタル信号を用いて、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔOHb)を算出し、また、必要に応じて、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)及びこれらの和である総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)の一方又は双方を演算する。そして、これらの相対変化量(ΔcHb、ΔOHb、ΔHHb)に含まれる周波数成分のうち、所定周波数fより小さい周波数成分をフィルタ処理によって除去する。フィルタ処理後のこれらの相対変化量(ΔcHb、ΔOHb、ΔHHb)やそれらを示す時系列データが、表示部21に表示される。
【0050】
図1図15では、発光部11,12及び受光部13,14が額の左右方向に対して線対称に一対設けられた形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、額の左右方向に対して右側だけに発光部11及び受光部13がある形態、又は額の左右方向に対して左側だけに発光部12及び受光部14がある形態としてもよい。また、受光部13及び受光部14の数が、それぞれ3個ずつである形態を示したが、本発明は受光部13,14の数に限定されず、例えば、受光部13又は受光部14が1個である形態、2個である形態、または4個以上である形態としてもよい。
【0051】
図16は、本体部の変形例を示す概略図である。本体部20は、図16に示すように、ボタン23を有することが好ましい。ボタン23は、例えば、パワーボタン23a及びリセットボタン23bである。ボタン23は、押しボタン、又はタッチパネルに表示されるアイコンである。また、図3では、本体部20が表示部21を一つ有する形態を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図16に示すように、右脳内血液中の酸素飽和度及び右脳内血液中の混合酸素飽和度の経時変化のグラフを含む右脳情報を表示する第1表示部21aと、左脳内血液中の酸素飽和度及び左脳内血液中の混合酸素飽和度の経時変化のグラフを含む左脳情報を表示する第2表示部21bとを設けてもよい。このように、右脳情報と左脳情報とを分けて表示することで、施行者が右脳及び左脳の情報をより確実、かつ、瞬時に判断しやすくなる。表示部21(21a,21b)には、脳内血液中の混合酸素飽和度の他、電池残量又は時間などを表示してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 非侵襲型脳酸素飽和度測定モニタ
10 センサー部
11 発光部(右側発光部)
12 発光部(左側発光部)
13 受光部(右側受光部)
14 受光部(左側受光部)
13a,14a 浅部用受光部
13b,14b 深部用受光部
15 プリント回路板
16 プローブカバー
16a 突出部
17 被覆部
17a,17b シリコーン部
17c 光透過阻止部
18 枠部
21 表示部
20 本体部
21 表示部
21a 第1表示部
21b 第2表示部
22 センターマーク
23 ボタン
23a パワーボタン
23b リセットボタン
30 センサーホルダー
31 開口部
40 センサー押さえ板
41 貫通孔
50 接続部
60 ヘッドバンド
60 ヘッドバンド
61 インナーヘッドバンド
61a スライド溝部
62 アウターヘッドバンド
63 連結部
63a 螺旋頭部
63b 軸部
64 クッション
65 クッション
70 クッション
71 貫通孔
80 締め上げ具
81 ベルト部
82 ロック部
91 光透過阻止部
91a 開口
92 シリコーン部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16