(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の活性薬剤粒子が、インダカテロールまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの粒子、グリコピロニウムまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの粒子、およびモメタゾンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの粒子からなる群から選択される2種の異なる活性物を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
前記複数の小型の多孔質担体粒子が、幾何学粒径2〜3ミクロンを有し、本質的にジステアロイルホスファチジルコリンおよび塩化カルシウムからなり;活性薬剤粒子の少なくとも50%が、幾何学粒径3ミクロン未満を有し;乾燥粉末は、0.03から0.5g/cm3のタップ密度、1から5ミクロンの空気力学的径の質量中央径(MMAD)、および少なくとも50%のFPF<4.7μm、の1つまたは複数によって特徴づけられる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本発明は、複数の多孔質担体粒子および複数の活性薬剤粒子を含む乾燥粉末を含み、多孔質担体粒子および活性薬剤粒子が、呼吸用凝集体の規則混合物を形成する、肺送達のための医薬組成物を提供する。
【0009】
活性成分は、非晶質の形態で存在することができるが、しばしば結晶形となる。
【0010】
活性成分は、疾患または状態を治療するのに有用である任意の原薬となり得る。この疾患または状態には、肺疾患もしくは状態、全身性疾患もしくは状態、または両方が含まれ得る。模範的な疾患または状態には、閉塞性もしくは炎症性気道疾患、例えば、閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、特発性肺線維症、気管支拡張症、および嚢胞性線維症ならびに肺疾患、例えば、肺動脈性肺高血圧症が含まれる。
【0011】
適当な活性成分には、長時間作用性のβ
2−アゴニスト、例えば、サルメテロール、フォルモテロール、インダカテロール、ミルベテロール、オロダテロールおよびビランテロールおよびそれらの塩、ムスカリンアンタゴニスト、例えば、チオトロピウム、グリコピロニウム、アクリジニウムおよびウメクリジニウムおよびそれらの塩、ならびにブデソニド、シクレソニド、フロ酸フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸モメタゾン、フロ酸モメタゾン一水和物(monodydrate)を含むコルチコステロイドが含まれる。適当な模範的な組合せには、(インダカテロールマレイン酸塩およびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩およびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩およびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩およびフロ酸モメタゾン)、(インダカテロール酢酸塩およびフロ酸モメタゾン)、(インダカテロールキシナホ酸塩およびフロ酸モメタゾン)、(インダカテロールマレイン酸塩およびブデソニド)、(インダカテロール酢酸塩およびブデソニド)、(インダカテロールキシナホ酸塩およびブデソニド)、(フォルモテロールフマル酸塩およびブデソニド)、(フォルモテロールフマル酸塩およびグリコピロニウム臭化物)(サルメテロールキシナホ酸塩およびプロピオン酸フルチカゾン)、(サルメテロールキシナホ酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびフロ酸フルチカゾン)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびウメクリジニウム臭化物)、(フォルモテロールフマル酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(オロダテロール塩酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩、フロ酸モメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩、フロ酸モメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩、フロ酸モメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩、フロ酸モメタゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩、フロ酸モメタゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩、フロ酸モメタゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩、ブデソニドおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩、ブデソニドおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩、ブデソニドおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩、ブデソニドおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩、ブデソニドおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩、ブデソニドおよびチオトロピウム臭化物)、(フォルモテロールフマル酸塩、プロピオン酸フルチカゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(フォルモテロールフマル酸塩、シクレソニドおよびチオトロピウム臭化物)、(フォルモテロールフマル酸塩、ブデソニドおよびグリコピロニウム臭化物)ならびに(フォルモテロールフマル酸塩、ベクロメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)が含まれる。
【0012】
本発明の第2の態様では、MMD約1〜10ミクロン、MMAD約2〜4ミクロンおよびタップ密度約0.03から0.5g/cm
3の1つもしくは複数を有する多孔質の作製された担体粒子を含む呼吸用凝集体;担体粒子を有する規則混合物として、インダカテロールを含む第1の微粒子化された活性の薬物粒子、モメタゾンを含む第2の微粒子化された活性の薬物粒子、ならびにグリコピロニウム臭化物を含む第3の微粒子化された活性の薬物粒子を含む粉末組成物が提供される。微粒子化薬物粒子のそれぞれは、約4ミクロン未満、例えば約0.1〜3ミクロンのMMDを含む。好ましくは、活性成分は、実質的に(すなわち、少なくとも約95%)結晶形で存在する。
【0013】
本発明の第3の態様では、β
2−アゴニスト、コルチコステロイド、多孔質担体粒子、任意選択で、抗ムスカリン薬を含む呼吸用凝集体を含む粉末組成物が提供される。本態様のさらなる変形形態では、活性物(active)は、約0.5〜3重量%の量でそれぞれ存在し、多孔質担体粒子は、モル比2:1のDSPC:CaCl
2を含む。
【0014】
本発明の第4の態様では、少なくとも1種の相対的に水溶性の薬物活性物、少なくとも1種の相対的に水に不溶性の薬物活性物、および多孔質担体粒子を含む呼吸用凝集体を含む粉末組成物が提供される。本態様のさらなる変形形態では、活性物は、約0.5〜3重量%の量でそれぞれ存在し、多孔質担体粒子は、モル比2:1のDSPC:CaCl
2を含む。
【0015】
第5の態様では、本発明は、凝集体粒子の呼吸用乾燥粉末配合物を調製するための方法に関し、本方法は、
(a)水性液体相に分散した疎水性添加剤を含む第1の供給原料を調製し、前記第1の供給原料を噴霧乾燥して、多孔質の乾燥粉末担体粒子を含むバルク粉末組成物を準備するステップと;
(b)薬物を微粒子化することにより少なくとも第1の活性薬物成分を調製して、質量中央径(MMD)が約4ミクロン未満である粒子を準備するステップと;
(c)ステップ(a)の担体粒子およびステップ(b)の微粒子化薬物粒子の非水性貧溶媒懸濁液を含む第2の供給原料を調製するステップと;
(d)第2の供給原料を溶媒除去処理して、複数の呼吸用凝集体粒子を含むバルク粉末配合物を生成するステップとを含み、呼吸用凝集体粒子は、担体粒子および微粒子化薬物粒子の規則混合物を含む。本態様では、疎水性添加剤は、DSPCおよび塩化カルシウムをさらに含むことができる。本態様のさらなる異形では、微粒子化薬物粒子は、サイズが1〜3ミクロンの範囲になり得る。本態様のさらなる異形では、呼吸用凝集体は、MMAD約2〜4ミクロンおよびタップ密度約0.03から0.5g/cm
3を特徴とする。
【0016】
第6の態様では、本発明は、凝集体粒子の呼吸用乾燥粉末配合物を調製するための方法に関し、本方法は、
(a)水性液体相にモル比2:1で分散したDSPCおよび塩化カルシウムなどの疎水性添加剤を含む第1の供給原料を調製し、前記第1の供給原料を噴霧乾燥して複数の多孔質担体粒子を準備するステップと;
(b)各薬物を微粒子化することにより少なくとも第1、第2、任意選択で第3またはそれ以上の活性薬物成分を調製して、サイズが約4ミクロン未満である粒子を準備するステップと;
(c)非水性貧溶媒中で、ステップ(a)の担体粒子およびステップ(b)の微粒子化薬物粒子を含む第2の供給原料を調製するステップと;
(d)第2の供給原料を溶媒除去処理して、吸入可能な(inhalable)乾燥粉末配合物を含む複数の呼吸用凝集体粒子を含む乾燥粉末を生成するステップとを含む。本態様のさらなる異形では、第1の活性物は、インダカテロールなどのβアドレナリン受容体アゴニストを含み、第2の活性物は、モメタゾンなどの抗炎症薬を含み、第3の活性物は、グリコピロニウム臭化物などの抗ムスカリン薬を含む。
【0017】
第7の態様では、本発明は、患者の治療のための方法、および/または本明細書の任意の実施形態による呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物の使用に関し、この方法および/または使用は、疾患または状態を有する患者(または対象)に、本明細書の任意の実施形態による呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物の有効量を投与するステップを含む。模範的な疾患または状態には、閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、特発性肺線維症、気管支拡張症、および嚢胞性線維症などの閉塞性もしくは炎症性気道疾患ならびに肺動脈性肺高血圧症などの肺疾患が含まれる。
【0018】
さらなる態様では、治療の方法は、インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/w、フロ酸モメタゾン約0.5〜3%w/w、グリコピロニウム臭化物約0.5〜3%w/w、およびモル比約2:1のDSPC:CaCl
2を含む多孔質担体粒子約91〜99%を含む呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を対象に投与するステップを含む。
【0019】
さらなる態様では、治療の方法は、インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/wおよびフロ酸モメタゾン約0.5〜3%w/w、ならびにモル比約2:1のDSPC:CaCl
2を含む多孔質担体粒子約94〜99%を含む呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を対象に投与するステップを含む。
【0020】
さらなる態様では、治療の方法は、インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/wおよびグリコピロニウム臭化物約0.5〜3%w/w、ならびにモル比約2:1のDSPC:CaCl
2を含む多孔質担体粒子約94〜99%を含む呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を対象に投与するステップを含む。
【0021】
さらなる態様では、本発明は、疾患または状態の治療に用いるための呼吸用凝集体を含む前述の乾燥粉末配合物に関する。
【0022】
さらなる態様では、本発明は、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物の1つまたは複数の実施形態を含む吸入器を含む送達系に関する。
【0023】
さらなる態様では、本発明は、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物の1つまたは複数の実施形態を含むレセプタクルを含む単位用量に関する。
【0024】
さらなる態様では、本発明は、複数の多孔質担体粒子および複数の活性薬剤粒子を含む乾燥粉末を含む医薬組成物に関し、多孔質担体粒子および活性薬剤粒子は、肺および/または気道の疾患または状態、例えば、喘息またはCOPDの治療に用いるための呼吸用凝集体の規則混合物を形成する。
【0025】
さらなる態様では、本発明は、複数の多孔質担体粒子および複数の活性薬剤粒子を含む乾燥粉末を含む医薬組成物の使用に関し、多孔質担体粒子および活性薬剤粒子は、肺および/または気道の疾患または状態、例えば、喘息またはCOPDを治療するための医薬品の調製のための呼吸用凝集体の規則混合物を形成する。
【0026】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載された態様、実施形態または特徴のいずれか2つ以上を含む。
【0027】
本発明の実施形態は、多孔質担体粒子および微粒子化薬物を含む呼吸用凝集体の規則混合物を創出することにより、粗大な乳糖および微粒子化薬物の標準的なブレンドで観察された複雑性を克服する。
【0028】
本発明の実施形態は、薬物および担体の貧溶媒懸濁液を調製し、その後、乾燥プロセスで貧溶媒を除去するステップを含む、多孔質粒子および微粒子化薬物の呼吸用凝集体の均一な規則混合物を創出するための方法をさらに提供する。
【0029】
したがって、本発明の実施形態は、1、2、3もしくはそれ以上の微粒子化薬物またはAPIに関連する担体粒子を含む乾燥粉末組成物を含み、1種または複数種の微粒子化薬物が、安定した呼吸用凝集体を形成する担体粒子に強力に接着するように、1種または複数種の微粒子化薬物と担体粒子の間の規則混合物が生ずる。担体粒子は、多孔質である。
【0030】
本発明の実施形態は、空気力学的サイズの(aerodynamically sized)、肺送達可能な呼吸用凝集体の規則混合物を一緒に形成する、1種または複数種の活性薬物の複数の粒子と共に、複数の多孔質担体粒子を含む。
【0031】
本発明の実施形態は、患者の吸入中、担体から薬物を分散させる必要をなくし、患者は、代わりに微粒子化薬物および小型の多孔質担体粒子の呼吸用凝集体を肺まで吸入する。そのようにして、粉体中の原体の物理化学的特性およびその含有量は、全く重要ではなくなる。これは、薬物と担体の間の接着力、ならびに微粒子化薬物粒子間の凝集力(cohesive force)の両方が、得られたバルク粉末特性において重要である、粗大な乳糖および微粒子化薬物の従来の混合物と対照的である。したがって、本発明の実施形態の呼吸用凝集体のエアロゾル性能は、担体と薬物粒子の間の接着力および凝集力の平衡に依存せず、代わりに呼吸用凝集体間の凝集力にのみ依存する。
【0032】
多孔質粒子形態によって得られた粒子間の接触エリアの縮小、および粒子表面で強化された添加剤の疎水性の性質により、多孔質担体粒子間の凝集力は、標準の微粒子化薬物粒子に対して有意に低下する。その結果、多孔質担体粒子は、低いピーク吸気流速で効率的に流動化し、分散することが示され、これらの粒子中に作製された粒子間の凝集力の低下を映し出している。微粒子化薬物および多孔質担体粒子の呼吸用凝集体は、多孔質担体粒子単独と同じ粉末の流動化および分散挙動を示す。
【0033】
したがって、本発明の実施形態は、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末として薬物の固定用量の組合せを配合する組成物および方法をもたらし、本組成物および方法は、薬物が一構成成分として、または第2もしくは第3の原体と組み合わせて存在するか否かはほとんど無関係である。したがって、本発明の実施形態は、単一の配合物中に2種以上の薬物を同時に配合した(co-formulation)結果として生じるエアロゾル性能の変動を軽減する、低減するまたは除去する。本発明の実施形態は、粗大な乳糖との標準的なブレンドに対して肺の標的指向化の改善(平均肺送達効率が高い)をもたらす。これにより、経口投与可能である薬物の口−咽頭中および全身循環における薬物の沈着を減少させる。口−咽頭中の沈着を回避することによって、全体の肺送達における患者間の可変性も低減する。
【0034】
本発明の実施形態は、呼吸用凝集体を創出する方法を含む。したがって、いくつかの実施形態では、噴霧乾燥する方法を用いて多孔質担体粒子を創出し、次いで、所望の1種または複数の薬物および担体粒子の貧溶媒(例えば、臭化ペルフルオロオクチル)懸濁液を調製することにより、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末が得られる。次いで、貧溶媒は、溶媒除去ステップで、例えば、噴霧乾燥することにより除去され、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末を生成する。
【0035】
本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末および方法の実施形態によって、製造プロセスを通しておよび長期間保存中、原体の結晶化度が維持される。
【0036】
薬物粒子が貧溶媒との最小限の接触を有利にするように、多孔質担体粒子への薬物の接着は、熱力学的に操作される。多孔質担体粒子を使用することにより、すなわち、表面積が高いことにより、薬物の担体への強力な接着が可能になる。薬物と担体粒子の間の接着力の強度は、主としてファンデルワールス力によって推進され、粒子の直径に正比例する。
【0037】
充てん中または乾燥粉末吸入器からの投与時の多孔質担体粒子からの薬物粒子の除去は、呼吸用凝集体上で接着(主としてファンデルワールス)力を上回るよう流体力学的力が働くことを必要とする。これらの力(例えば、抵抗および揚力)は、粒子の直径の二乗に伴って増減し、薬物と担体の間のファンデルワールス力は、粒子の直径に伴って増減する。約1から5ミクロン(μm)の範囲のサイズの粒子の場合、接着力は、流体力を有意に上回り、担体からの薬物の分散が不十分になる。これは、ニート微粒子化薬物結晶、さらに粗大な乳糖担体粒子に接着された微粒子化薬物についてしばしば観察され、粉体の流動性を改善しようとして粗大な乳糖担体粒子とブレンドするための推進力であった。
【0038】
本発明の方法および組成物の実施形態において、安定した呼吸用凝集体は、これらの強力な接着特性を活用するエンジニアリングにより作られる。得られた安定した凝集体の小型のサイズおよび多孔質の性質によって、空気力学的(呼吸用)サイズが小型になり、その結果、肺への優れたエアロゾル送達がもたらされる。
【0039】
本発明の呼吸用凝集体、作製方法、使用方法、配合物および用量の実施形態は、従来の乾燥粉末配合物と比べて利点をもたらす。かかる利点には、(a)従来のブレンドの場合の単峰性の空気力学的粒度分布(APSD)対二峰性のAPSD;(b)肺標的指向化の増加(得られた全体的な肺沈着が、乳糖ブレンドの場合で0〜30%に過ぎなかったのに比べて、呼吸用凝集体の場合では50〜70%);(c)肺全体の沈着の平均可変性が、乳糖ブレンドの場合30〜50%の可変性であるのに比べ、5〜20%以下に減少した結果から得られた用量コンシステンシーの改善;(d)固定用量の組合せにおける用量コンシステンシーの改善(すなわち、モノ、コンボおよびトリプル配合物は、同様のAPSDを示す);(e)組成物の可変性が低く、充てん中、保存中、およびエアロゾル投与中に凝離が観察されないミクロンサイズの粒子の有効な混合を可能にする製造プロセス;(f)配合物を緩衝し、それによって、化学安定性のより有効な制御を可能にする能力の1つまたは複数が含まれる。これらの利点の1つまたは複数は、担体から薬物の不完全な分散により衝撃子中の誘導口(induction port)およびプレセパレーターに沈着する粒子の大型の画分をほぼ除去することによって得られる。これは、in vivoで口−咽頭中の沈着を有意に減少させ、望まれない薬物の全身送達を有利に減少させる。
【0040】
本発明の呼吸用凝集体、作製方法、使用方法、配合物および用量の実施形態は、APIの溶解した画分を最小限にし、最終製品において潜在的に不安定な非晶質のAPIの対応する極小化をもたらす組成物および方法を提供する。
【0041】
用語
本明細書において用いられる用語の意味は、以下の通りである。
【0042】
本明細書で使用される場合、「活性成分」、「治療上活性な成分」、「活性薬剤」、「薬物」または「原体」は、原薬(API)としても公知の医薬品の活性成分を意味する。
【0043】
本明細書で使用される場合、「固定用量の組合せ」は、ある特定の固定用量に利用可能な単一の剤形で一緒に配合される2種以上の活性成分を含有する医薬品を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合「非晶質の」は、材料が、分子レベルで長距離秩序を欠いており、温度に応じて、固体または液体の物性を示し得る状態を指す。通常、かかる材料は、特有のX線回折パターンを示さず、固体の特性を示しながら、より形式的には液体と記述される。加熱後、固体から液体の特性への変化が起こり、これは、状態の変化、通常、二次(「ガラス遷移」)によって特徴付けられる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「結晶の」は、材料が、分子レベルで規則的に配列された内部構造を有し、定義されたピークを有する特有のX線回折パターンを示す固相を指す。十分に加熱された場合、かかる材料は、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は、相転移(phase change)、通常は一次(「融点」)によって特徴付けられる。本発明に関連して、結晶の活性成分は、結晶性が85%を超える活性成分を意味する。ある特定の実施形態では、結晶性は、90%を超えることが適当である。他の実施形態では、結晶性は、95%を超えることが適当である。
【0046】
「固体濃度」は、噴霧乾燥するために溶液または分散液に溶解させたまたは分散させた活性成分および添加剤の濃度を指す。
【0047】
「薬物負荷」は、配合物の総質量における質量ベースの活性成分の百分率を指す。
【0048】
「溶解%」は、液体の供給原料に溶解して噴霧乾燥される結晶の活性成分の百分率を指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「質量中央径」または「MMD」または「x50」は、通常、多分散粒子母集団での複数の粒子の、すなわち、粒度の一定の範囲からなる複数の粒子の中位径を意味する。本明細書で報告するMMD値は、別段文脈で示されない限り、レーザー回折(Sympatec Helos、Clausthal−Zellerfeld、Germany)によって決定される。
【0050】
本明細書で使用される場合、「むらのある(rugous)」は、多数のしわまたはひだを有する、すなわち、ひだを作っているまたはしわが寄っていることを意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「むら(rugosity)」は、作製された粒子の表面の凹凸の程度である。本発明の目的では、むらは、BET測定から得られた比表面積、ヘリウムピクノメータ法から得られた真密度、およびレーザー回折(Sympatec)により得られた表面対容積比から、すなわち
むら=(SSA・ρ
true)/S
v
[式中、S
v=6/D
32であり、D
32は、単位表面積に基づいた平均直径である]から算出される。表面の凹凸が増加すると、粒子間の凝集力が低下し、エアロゾルの肺への標的指向化が改善されるものと予想される。肺への標的指向化が改善されると、患者間の可変性、ならびに中咽頭および全身循環における薬物のレベルが減少するものと予測される。1つまたは複数の実施形態において、むらS
vは、3から20、例えば、5から10である。
【0052】
本明細書で使用される場合、「放出される用量」または「ED」は、粉末ユニットからの作動または分散イベント後、吸入器デバイスからの乾燥粉末の送達の指示を指す。EDは、吸入器デバイスより送達される用量対名目用量または定量(metered dose)の比として定義される。EDは、実験的に決定されたパラメーターであり、患者の投薬を模倣するin vitroデバイス設定を用いて決定することができる。EDは、送達された用量(DD)と称されることもある。EDは、高圧液体クロマトグラフィーなどの薬物特異的な方法を用いて決定される。
【0053】
本明細書で使用される場合、「放出された粉末質量」または「EPM」は、粉末ユニットからの作動もしくは分散イベント後に吸入器デバイスから送達される粉末の質量を指す。EPMは、重量測定で測定される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「空気力学的径の質量中央径」または「MMAD」は、通常、多分散母集団における複数の粒子の中央空気力学的サイズを指す。「空気力学的径」は、一般に空気中で、粉末として同じ沈降速度を有する単位密度球体の直径であり、したがって、その沈降挙動に関してエアロゾル化した粉末または他の分散した粒子または粒子配合物を特徴付ける有用な手段である。空気力学的粒度分布(APSD)およびMMADは、(米国薬局方<601>Appartutus 6により記載される)NEXT GENERATION IMPACTOR(商標)を用いて、カスケード衝撃により本明細書において決定される。一般に、粒子が空気力学的に大きすぎる場合、肺の奥深い部分に届く粒子の数はより少ない。粒子が小さすぎる場合、より大きい百分率の粒子が、放散され得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「細粒画分」または「FPF」は、名目用量に対する、指定された最小の空気力学的サイズを下回る活性成分の質量を意味する。例えば、FPF
<3.3μmは、3.3μm未満の空気力学的粒度を有する名目用量の百分率を指す。FPF値は、カスケード衝撃を用いて、(米国薬局方<601>Appartutus 6に記載される)ANDERSEN(商標)カスケード衝撃子、またはNEXT GENERATION IMPACTOR(商標)カスケード衝撃子のいずれかにおいて決定される。FPF値はまた、衝撃子デバイス段階および/または衝撃子デバイスフィルターに対して表すこともでき、指定された段階で残存する粒子の百分率を意味する。したがって、FPF
S3−Fは、衝撃子デバイスのフィルターを通して段階3で残存する名目用量の画分を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合「細粒用量」、または「FPD」は、指定された最小の空気力学的サイズを下回る活性成分の用量(質量)を意味する。
【0057】
以下の本明細書を通しておよび特許請求の範囲において、文脈で別段必要としない限り、「comprise(含む)」という語、または「comprises」もしくは「comprising」などの変化形は、示された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群が含まれるが、任意の他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を除外しないことを示すものと理解されるべきである。
【0058】
数値範囲を特定する「約」という用語の使用は、文脈で別段示さない限り、その範囲内のすべての数値を適格とする。
【0059】
本特許明細書中に挙げた米国特許および国際特許または特許出願のそれぞれの開示全体は、すべての目的のために参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0060】
本発明の乾燥粉末配合物は、添付図面を参照しながら説明される場合がある。これらの図面は、次の通りである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の実施形態は、特に、能動的または受動的な乾燥粉末吸入器デバイスからの、肺送達に適した安定した呼吸用凝集体を形成する1、2、3種もしくはそれ以上の微粒子化薬物またはAPIを伴う担体粒子を含むバルク粉末組成物を含む。本発明の実施形態は、呼吸用凝集体を創出するための方法を含む。したがって、いくつかの実施形態では、噴霧乾燥するプロセスを用いて多孔質担体粒子を創出し、次いで、所望の1種または複数の薬物および担体粒子の貧溶媒(例えば、臭化ペルフルオロオクチル)懸濁液を調製することにより、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末を達成する。次いで、噴霧乾燥するなどによる溶媒除去ステップにおいて、貧溶媒を除去し、呼吸用凝集体を含む安定した乾燥粉末を生成する。
【0063】
本発明の実施形態は、担体粒子および1種もしくは複数種の微粒子化薬物粒子の規則混合物を含む、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を含む。薬物の物理的形態は、完全にもしくは実質的に結晶となっても、または完全にもしくは実質的に非晶質となってもよい。本発明の実施形態において、薬物は、完全にまたは実質的に結晶であり、非晶質の含有量は、最小量であり、例えば5%未満である。本発明の実施形態では、薬物は、完全にまたは実質的に非晶質であり、結晶の含有量は、最小量であり、例えば0.1%未満である。本発明の実施形態では、担体粒子は、10ミクロン未満、例えば、5ミクロン未満または3ミクロン未満のMMDを有する。本発明の実施形態では、薬物粒子は、3ミクロン未満、例えば、2ミクロン未満または1.5ミクロン未満の質量中央径(MMD)を有する。本発明の実施形態では、呼吸用凝集体は、実質的に担体粒子のようなサイズ範囲を含む。
【0064】
担体粒子
担体粒子は、多孔質のおよび/または穿孔した微細構造を含む。いくつかの実施形態では、担体粒子は、むらのある、しわが寄るおよび/または干しブドウ様の表面形態の1つまたは複数を含む。本発明の実施形態では、担体粒子は、海綿様多孔質粒子構造を含む。いくつかの実施形態では、担体粒子は、小型であり、幾何学粒径約10ミクロン未満、例えば、5ミクロン未満または3ミクロン未満を含む。いくつかの実施形態では、担体粒子は、幾何学粒径約2から3ミクロンを含む。いくつかの実施形態では、担体粒子を含むバルクまたは乾燥粉末は、タップ密度が0.5g/cm
3未満、例えば0.2g/cm
3未満または0.1g/cm
3未満である。いくつかの実施形態では、担体粒子は、これらの特性または特徴の組合せを含む。
【0065】
多孔質粒子形態は、空気力学的凝集体粒子を作り、乾燥粉末吸入器からの粉末凝集体の分散を容易にするのを助ける。粒子の多孔質の性質はまた、粒子間のインターロック力によって微粒子化薬物粒子との強力な接着を達成する上でも重要となり得る。多孔質担体粒子の質量中央径は、1から10ミクロンの間、例えば、1から5ミクロンまたは2から3ミクロンの間である。かかる小型のMMDは、小型の多孔質担体粒子において、表面対容積比が高くなり、微粒子化薬物粒子との強力な接着を容易にする。本発明の実施形態では、担体粒子および薬物粒子は、粉末製造プロセス中に実質的に接着する。本発明の実施形態では、担体粒子および薬物粒子は、粉末製造プロセスおよび粉末を単位用量に充てんするプロセス中に実質的に接着する。本発明の実施形態では、担体粒子および薬物粒子は、粉末製造プロセスおよび粉末を単位用量に充てんするプロセス中、ならびに粉末を吸入器デバイスから分配する間、実質的に接着する。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、小型の多孔質粒子のタップ密度は、約0.5g/cm
3未満、例えば、約0.4g/cm
3未満または約0.3g/cm
3未満または約0.2g/cm
3未満、または約0.1g/cm
3未満、または約0.05g/cm
3未満である。本発明のいくつかの実施形態では、小型の多孔質粒子のタップ密度は、約0.03〜0.5g/cm
3の間であり、タップ密度約0.3g/cm
3未満または約0.1g/cm
3未満が好ましい場合もある。タップ密度は、粒子密度の妥当な近似法であり、通常、粒子密度約20%未満である。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、多孔質担体粒子のMMADは、1から5ミクロンの間、例えば、1から4ミクロンの間、または2から4ミクロンの間である。いくつかの実施形態では、担体粒子は、2から4ミクロンの間または2から3ミクロンの間のMMAD値を有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、多孔質担体粒子は、1種または複数の添加剤を含む。特に好ましいのは、医薬品エアロゾルの使用の歴史がある添加剤である。適当な添加剤は、糖質、例えば、乳糖、グルコース、マンニトール、リン脂質、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、およびジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ならびに疎水性のアミノ酸またはペプチド、例えば、ロイシンまたはトリロイシン(trileucine)を含む。いくつかの実施形態では、添加剤は、所望の多孔質粒子形態を可能にするものである。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明の多孔質担体粒子は、薬学的に許容される疎水性添加剤を含有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、疎水性添加剤によって、むらのある粒子形態の開発が容易になる。これは、粒子形態が、滑らかになるのではなく、しわが寄り、ひだがつくことを意味する。これは、吸入可能な医薬品粒子の内面および/または外面が、少なくとも部分的にむらのあることを意味する。このむらは、粉末流動化および分散性を改善することにより用量コンシステンシーおよび薬物標的指向化を提供するために有用である。粒子のむらが増加すると、粒子がファンデルワールス接点の範囲内で接近することができない結果、粒子間凝集力が低下する。凝集力の低下は、むらのある粒子の集合体で、同様にむらのある担体粒子を含む呼吸用凝集体で、粉末流動化および分散を劇的に改善するのに十分である。
【0071】
小型の多孔質担体粒子のむらは、これらの製造中、細孔形成剤、例えば、ペルフルブロンを用いることにより、または配合物および/もしくはむらのある粒子を生成するための方法を制御することにより増加し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、本発明の乾燥粉末配合物の多孔質担体粒子は、適当には、むらが1.5を超える、例えば、1.5から20、3から15、または5から10である。
【0073】
疎水性添加剤は、乾燥粉末配合物の組成および意図した使用に少なくともある程度依存する様々な形態になり得る。適当な薬学的に許容される疎水性添加剤は、通常、長鎖リン脂質、疎水性のアミノ酸およびペプチド、ならびに長鎖脂肪酸石けんからなる群から選択することができる。
【0074】
天然および合成起源の両方から得られたリン脂質は、様々な量で使用することができる。リン脂質が存在する場合、その量は、通常、リン脂質の多孔質のコーティングマトリクスを形成するのに十分である。存在する場合、リン脂質含有量は、一般に、医薬品の約40〜99%w/w、例えば、医薬品の70%から90%w/wの範囲である。添加剤の高い百分率はまた、高い効力、したがって、通常、小用量の活性薬剤によっても促進される。添加剤はまた、配合物中で増量剤としても働き、低用量治療薬の有効な送達を可能にする。
【0075】
一般に、相容性のあるリン脂質は、ゲルを、約40℃を超える、例えば、60℃を超える、または約80℃を超える液晶相遷移にするものを含む。取り込まれたリン脂質は、相対的に長鎖(例えば、C
16〜C
22)飽和リン脂質となり得る。開示された安定化した調製物に有用な模範的なリン脂質には、限定されるものではないが、ホスファチジルコリン、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、および水素化された卵もしくはダイズホスファチジルコリン(例えば、Lipoid KG、Ludwigshafen、Germanyから入手可能なE−100−3、S−100−3)が含まれる。天然のリン脂質は、好ましくは水素化され、ヨウ素値は低値である(<10)。
【0076】
リン脂質は、任意選択で、コレステロールと組み合わせて、リン脂質アシル鎖の流動性を改変し得る。
【0077】
長鎖リン脂質は、二価の金属イオン(例えば、カルシウム、マグネシウム)と任意選択で組み合わせることができる。このような二価の金属イオンは、頭部(headgroup)の水和を減少させるために働き、それによって、リン脂質ゲルを液晶相遷移に高め、肺内膜液(lung lining fluid)に対する粉末の湿潤性を高める。多価陽イオン対リン脂質のモル比は、少なくとも約0.05:1、例えば、約0.05:1から0.5:1となり得る。1つまたは複数の実施形態では、多価陽イオン:リン脂質のモル比は、0.5:1である。理論に縛られることを意図していないが、二価の金属イオンは、双性イオンのホスファチジルコリン頭部上でリン酸基に結合し、プロセス中で水分子を置き換えると考えられる。0.5を超える金属イオン対リン脂質のモル比は、リン酸基に結合されない遊離金属イオンをもたらし得る。これは、得られた乾燥粉末の吸湿性を有意に増加させる恐れがあり、好ましくない。多価の金属イオンがカルシウムである場合、塩化カルシウムの形態となり得る。カルシウムなどの金属イオンが、リン脂質と共にしばしば含まれるが、全く必要とされず、他のイオンが配合物中に存在する場合、金属イオンを用いることは問題になる恐れがある(例えば、リン酸、これはリン酸カルシウムとしてカルシウムイオンを沈殿させる恐れがある)。相溶性の問題が生じる場合、通常、Ca
++塩より3から4桁高いK
sp値を有するため、Mg
++塩を用いる利点があり得る。
【0078】
疎水性添加剤はまた、長鎖脂肪酸石けんを含むこともできる。アルキル鎖の長さは、一般に、好ましい飽和アルキル鎖を有する、長さ14〜22個の炭素である。脂肪酸石けんは、一価の(例えば、Na
+、K
+)または二価の対イオン(例えば、Ca
++、Mg
++)を利用することができる。特に好ましい脂肪酸石けんは、ステアリン酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムである。脂肪酸石けんの溶解性は、クラフト点を超えて上昇させることができる。脂肪酸のカリウム塩は、一般に、クラフト点の温度が最も低く、所与の温度での水溶解性がより高い。カルシウム塩は、溶解性が最も低いと予想される。疎水性の脂肪酸石けんは、粒子にロウ様コーティングをもたらす。噴霧乾燥した粒子中の提案される負荷は、前もって詳述したリン脂質と類似する。
【0079】
疎水性添加剤はまた、疎水性のアミノ酸、ペプチドまたはタンパク質を含むこともできる。特に好ましいのは、アミノ酸ロイシン、ならびにそのオリゴマーのジロイシンおよびトリロイシンである。ヒト血清アルブミンなどのタンパク質も考慮される。その溶解性プロファイルおよび他の物理化学的な特性(例えば、表面活性、log P)が、コアシェル粒子の創出を容易にするため、トリロイシンが特に好ましく、トリロイシンは、得られた粒子の表面特性および形態を制御する。
【0080】
本発明の実施形態では、担体粒子は、多孔質のおよび/または穿孔した粒子を含み、これらの粒子は、US6565885、US7871598およびUS7442388にさらに詳しく記載されている通り、乳剤に基づいたPulmoSphere乾燥粉末製造技術を用いて作製される。特定の実施形態では、医薬品適用のための穿孔した微細構造を調製する方法は、薬剤(APIもしくは薬物)、界面活性剤(例えば、リン脂質)および発泡剤を含む供給原料を噴霧乾燥するステップを含む。得られた穿孔した微細構造は、薬剤および界面活性剤を含み、PulmoSphere粒子として知られている。
【0081】
本明細書の実施形態において、担体粒子は、本明細書に記載した通りかつ/または先に参照した米国特許および/または出願において、噴霧乾燥したPulmoSphere粒子として調製されるが、薬物またはAPIを含まない。本明細書のいくつかの実施形態では、担体粒子は、本質的に1種もしくは複数種のリン脂質および多価の金属陽イオンからなる、噴霧乾燥したPulmoSphere粒子として調製される。本明細書のいくつかの実施形態では、担体粒子は、本質的にDSPCおよび塩化カルシウム、またはDSPCおよび塩化マグネシウムからなる、噴霧乾燥したPulmoSphere粒子として調製される。
【0082】
いくつかの実施形態では、多価の金属陽イオンは、カルシウム、マグネシウムなどを含む二価の陽イオンを含む。多価の陽イオンは、いくつかの実施形態では、粒状組成物がT
m(その保存温度T
sを、少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃超える)を示すように、リン脂質のT
mを高めるのに有効な量で存在する。存在する場合、多価陽イオン対リン脂質のモル比は、少なくとも0.05、例えば、0.05〜2.0また0.25〜1.0となり得る。いくつかの実施形態では、多価陽イオン:リン脂質のモル比は、約0.50である。いくつかの実施形態では、多価陽イオンは、カルシウムを含み、塩化カルシウムとして提供することができる。
【0083】
配合物およびプロセスの制御によって、担体粒子の表面は、主に疎水性添加剤からなることが可能である。表面濃度は、70%を超えてもよく、例えば、75%または80%または85%となり得る。いくつかの実施形態では、表面は、90%を超える疎水性添加剤、または95%もしくは98%もしくは99%を超える疎水性添加剤からなる。
【0084】
任意選択で、1種または複数の薬物(1種または複数のAPI)は、呼吸用凝集体を形成するために担体粒子と会合した1種または複数の微粒子化薬物に加えて、担体粒子と共に直接取り込むことができる。かかる場合による薬物含有担体粒子は、例えば、米国特許第6565885号、第7871598号および第7442388号の教示に従って調製することができる。
【0085】
薬物粒子
本発明の実施形態は、(API、または活性薬剤として本明細書においても言及された)1、2、3種もしくはそれ以上の薬物を伴う小型の担体粒子を含む乾燥粉末組成物を含み、1種または複数の微粒子化薬物が、安定した呼吸用凝集体を形成する担体粒子に接着するように、1種または複数の微粒子化薬物と担体粒子の間の規則混合物が生じる。
【0086】
薬物粒子が、担体粒子に接着するのに十分なほど微細であることが重要である。したがって、いくつかの実施形態では、接着性がファンデルワールス力によって媒介されるように、薬物粒子および多孔質担体粒子はそれぞれ分級される。いくつかの実施形態では、接着性がファンデルワールス力によって媒介されるように、薬物粒子は小型の多孔質担体粒子よりもさらに小さい。
【0087】
本発明の実施形態では、活性薬物成分は、微粒子化される。微粒子化された活性成分のMMDまたはx50(粒子の50%がより小さく分級される粒度分布)は、約3ミクロン(μm)未満、好ましくは約2μm未満、または1μmとするべきである。本発明の実施形態では、x50は、約0.1〜3μmである。x90(粒子の90%がより小さく分級される粒度分布)は、7μm未満、好ましくは5μm未満、または3μmとするべきである。同様に、呼吸用凝集体のMMADは、x50が約2μmを超える粒子の薬物結晶のサイズによってますます影響される。
【0088】
微粒子化される場合、薬物粒子は、下降型もしくは上昇型の製造プロセスによって調製することができる。下降型の製造プロセスには、ジェットミル、ボールミル、メディアミル、および高圧ホモジナイズが含まれる。上昇型プロセスには、噴霧乾燥、噴霧式凍結乾燥(spray freeze-drying)、超臨界流体技術(急速膨張(rapid expansion)および貧溶媒)、テンプレート化および微細加工、リソグラフィー、ならびに他の粒子析出技法(例えば、スピノダル分解)、例えば、薬物の結晶化を保証するための超音波エネルギーの存在下のものが含まれる。微粒子化という用語は、十分な大きさおよび/または形状の薬物粒子を準備するための、物理的、化学的、機械的方法であれ、別の方法であれ、任意およびすべての方法を包含することを意図していることに留意されたい。
【0089】
本発明の実施形態では、薬物粒子は、質量中央径が1000nm未満、または200nm未満、または100nm未満のナノサイズの粒子を含む。ナノ粒子を含む実施形態の場合、x90は、1000nm未満となり得る。これらのサイズの範囲内の薬物粒子は、多孔質粒子とそれらが会合して、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末の所望の呼吸性(respirability)、ならびに薬物送達および薬物の有効性をもたらすことが可能である。
【0090】
本発明の乾燥粉末の活性薬剤は、肺および/もしくは気道疾患または状態などの疾患または状態、例えば、閉塞性もしくは炎症性気道疾患、特に喘息および/もしくはCOPD、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、特発性肺線維症(IPF)、および嚢胞性線維症(CF)を治療するために有用である任意の原薬となり得る。本発明の乾燥粉末の活性薬剤はまた、乾燥粉末エアロゾルとして肺に投与し、それに続いて活性薬剤を全身循環に吸収させた後、全身性疾患または状態を治療するために有用な任意の医薬品成分となり得る。活性成分は、例えば、気管支拡張薬、抗炎症薬およびそれらの混合物、特にβ
2−アゴニスト、ムスカリンアンタゴニスト、ステロイド、デュアルβ
2−アゴニスト−ムスカリンアンタゴニスト、および非ステロイド性抗炎症剤(例えば、PDE4阻害薬、A
2Aアゴニスト、サイトカイン阻害薬、ケモカインアンタゴニスト、p38MAPキナーゼ阻害薬、P13K阻害薬、PPARアゴニスト)、ならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0091】
適当な活性薬剤は、β
2−アゴニストを含む。適当なβ
2−アゴニストには、アベジテロール(abediterol)、アルホルモテロール(例えば、酒石酸塩)、アルブテロール/サルブタモール(例えば、ラセミ体もしくはR−鏡像異性体などの単一の鏡像異性体、またはその塩、特に硫酸塩)、AZD3199、バンブテロール、BI−171800、ビトルテロール(例えば、メシル酸塩)、カルモテロール(carmoterol)、クレンブテロール、エタンテロール(etanterol)、フェノテロール(例えば、ラセミ体もしくはR−鏡像異性体などの単一の鏡像異性体、またはその塩、特に臭化水素酸塩)、フレルブテロール、フォルモテロール(例えば、ラセミ体もしくは単一のジアステレオマー、例えば、R,R−ジアステレオマー、またはその塩、特に、フマル酸塩またはフマル酸塩二水和物)、GSK−159802、GSK−597901、GSK−678007、インダカテロール(例えば、ラセミ体もしくはR−鏡像異性体などの単一の鏡像異性体、またはその塩、特に、マレイン酸塩、酢酸塩またはキシナホ酸塩)、メタプロテレノール、ミルベテロール(例えば、塩酸塩)、ナミンテロール、オロダテロール(例えば、ラセミ体もしくはR−鏡像異性体などの単一の鏡像異性体、またはその塩、特に塩酸塩)、PF−610355、ピルブテロール(例えば、酢酸塩)、プロカテロール、レプロテロール、サルメファモール、サルメテロール(例えば、ラセミ体もしくはR−鏡像異性体などの単一の鏡像異性体、またはその塩、特に、キシナホ酸塩)、テルブタリン(例えば、硫酸塩)およびビランテロール(またはその塩、特にトリフェニル酢酸塩)が含まれる。ある特定の好ましい実施形態では、β
2−アゴニストは、超長時間作用型β
2−アゴニスト、例えばアベジテロール、インダカテロール、ミルベテロール、オロダテロールまたはビランテロールである。
【0092】
いくつかの実施形態では、活性薬剤の1つは、インダカテロール(すなわち、(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン)またはその塩である。これは、特に長時間作用する(すなわち、24時間を超える)および作用の発現が短い(すなわち、約10分間)β
2−アドレノセプターアゴニストである。この化合物は、国際特許出願第2000/75114号および第2005/123684号に記載の方法によって調製される。この化合物は、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩を形成することができる。式Iの化合物の薬学的に許容される酸付加塩には、無機酸のもの、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸などのハロゲン化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸;ならびに有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸、トリフェニル酢酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、脂肪族ヒドロキシ酸、例えば、乳酸、クエン酸、酒石酸またはリンゴ酸、ジカルボン酸、例えば、フマル酸、マレイン酸またはコハク酸、およびスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸が含まれる。これらの塩は、公知の塩形成化手順によって化合物から調製することができる。(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オンの好ましい塩は、マレイン酸塩である。別の好ましい塩は、(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オンアセタートである。別の好ましい塩は、(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オンキシナホアートである。他の有用な塩には、水素コハク酸塩、フマル酸塩、馬尿酸塩、メシル酸塩、硫酸水素塩、水素酒石酸塩、塩化水素、臭化水素、ギ酸塩、エシル酸塩、トシル酸塩、グリコール酸塩および水素マロン酸塩が含まれ、酢酸塩およびキシナホ酸塩のように、これらの塩は、対応するそれぞれの調製方法と共に国際特許出願第2008/000839号に開示されている。
【0093】
適当な活性薬剤は、ムスカリンアンタゴニストまたは抗ムスカリン様作用薬(antimuscarinics)を含む。適当なムスカリンアンタゴニストには、アクリジニウム(例えば、臭化物)、AZD8683、BEA−2108(例えば、臭化物)、BEA−2180(例えば、臭化物)、CHF−5407、ダリフェナシン(例えば、臭化物)、ダロトロピウム(darotropium)(例えば、臭化物)、グリコピロニウム(例えば、ラセミ体もしくは単一の鏡像異性体、またはその塩、特に、臭化物)、デキシピロニウム(dexpirronium)(例えば、臭化物)、GSK−202405、GSK−203423、GSK−573719、GSK−656398、イプラトロピウム(例えば、臭化物)、LAS35201、LAS186368、オチロニウム(例えば、臭化物)、オキシトロピウム(例えば、臭化物)、オキシブチニン、PF−3715455、PF−3635659、ピレンゼピン、レバトロパン酸塩(revatropate)(例えば、臭化水素酸塩)、ソリフェナシン(例えば、コハク酸塩)、SVT−40776、TD−4208、テロジリン、テオフィリン、チオトロピウム(例えば、臭化物)、トルテロジン(例えば、酒石酸塩)、トロスピウム(例えば、塩化物)およびウメクリジニウム(例えば、臭化物)が含まれる。いくつかの実施形態では、ムスカリンアンタゴニストは、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト、例えば、アクリジニウム臭化物、グリコピロニウム臭化物、チオトロピウム臭化物またはウメクリジニウム臭化物である。
【0094】
いくつかの実施形態では、活性薬剤の1つは、グリコピロニウム塩である。グリコピロニウム塩には、グリコピロラートとしても公知のグリコピロニウム臭化物が含まれ、これは、有効な抗ムスカリン剤であることが知られている。より具体的には、グリコピロニウム塩は、M3ムスカリン性受容体に結合するアセチルコリンを阻害し、それによって、気管支収縮を阻害する。グリコピロニウム臭化物は、第四級アンモニウム塩である。適当な対イオンは、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、p−クロロ安息香酸塩、ジフェニル−酢酸塩またはトリフェニル酢酸塩、o−ヒドロキシ安息香酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキシラート、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキシラート、メタンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩を含む、薬学的に許容される対イオンである。グリコピロニウム臭化物は、米国特許第2956062号または国際特許出願第2010/115937号に記載されている手順を用いて調製することができる。これは、2つの立体中心を有し、したがって、4つの異性体、すなわち、米国特許第6307060号および第6613795号の明細書に記載されている通り、(3R,2’R)−、(3S,2’R)−、(3R,2’S)−および(3S,2’S)−3−[(シクロペンチル−ヒドロキシフェニル−アセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウム臭化物の形態で存在する。乾燥粉末配合物の原体がグリコピロニウム臭化物である場合、これらの異性体の形態、特に3S,2’R異性体、3R,2’R異性体または2S,3’R異性体のうち1つまたは複数となり得、したがって、単一の鏡像異性体、ジアステレオマーの混合物、またはラセミ体、特に(3S,2’R/3R,2’S)−3−[(シクロペンチル−ヒドロキシ−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウム臭化物が含まれる。R,R−グリコピロラートは、デキシピロニウムとしても公知である。
【0095】
いくつかの実施形態では、適当な活性薬剤には、二官能性の活性薬剤、例えば、デュアルβ
2−アゴニスト−ムスカリンアンタゴニストが含まれる。適当なデュアルβ
2−アゴニスト−ムスカリンアンタゴニストには、AZD2115、GSK−656398、GSK−961081(例えば、コハク酸塩)およびLAS190792が含まれる。
【0096】
いくつかの実施形態では、適当な活性薬剤は、ステロイド、例えば、コルチコステロイドを含む。適当なステロイドは、ブデソニド、ベクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸塩)、BI−54903、ブチクソコルト(例えば、プロピオン酸塩)、CHF5188、シクレソニド、デキサメタゾン、フルニソリド、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸塩またはフロ酸塩)、GSK−685698、GSK−870086、LAS40369、メチルプレドニゾロン、モメタゾン(例えば、フロ酸塩またはフロ酸一水和物)、プレドニゾロン、ロフレポニド、およびトリアムシノロン(例えば、アセトニド)が含まれる。ある特定の好ましい実施形態では、ステロイドは、長時間作用型コルチコステロイド、例えば、ブデソニド、シクレソニド、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾンまたはフロ酸モメタゾンである。
【0097】
いくつかの実施形態では、活性薬剤の1つは、モメタゾン(すなわち、(11β,16α)−9,21−ジクロロ−17−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11−ヒドロキシ−16−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン、あるいは、指定された9α,21−ジクロロ−16α−メチル−1,4−プレグナジエン−11β,17α−ジオール−3,20−ジオン17−(2’−フロアート))またはその塩、例えば、フロ酸モメタゾンおよびフロ酸モメタゾン一水和物である。フロ酸モメタゾンおよびその調製物は、US4472393に記載されている。喘息の治療におけるその使用は、US5889015に記載されている。他の呼吸器系疾患の治療におけるその使用は、US5889015、US6057307、US6057581、US6677322、US6677323およびUS6365581に記載されている。
【0098】
上記の治療薬の薬学的に許容されるエステル、アセタールおよび塩が考えられる。適切なエステル、アセタールまたは塩の形態の決定は、作用持続時間および忍容性/安全性データによって推進される。同様に、APIの選択は、本発明の実施形態を達成するために、適切な物性(例えば、溶解性)を有する治療薬を選択するという観点から重要となり得る。
【0099】
適当なPAH薬には、Notch3阻害薬、例えば、DAPT;血管拡張薬、例えば、セレラキシン(serelaxin)および亜硝酸ナトリウム;IP受容体アゴニスト、例えば、セレキシパグ;可溶性グアニル酸シクラーゼのアクチベーター、例えば、シナシグアトおよびリオシグアト;プロスタサイクリン受容体アンタゴニスト、例えば、エポプロステロール、イロプロスト、トレプロスチニルおよびベラプロスト;ホスホジエステラーゼ5型阻害薬、例えば、シルデナフィルおよびタダラフィル;エンドセリン受容体アンタゴニスト、例えば、ボセンタン、アンブリセンタンおよびシタキセンタン(sitaxentan);血小板由来成長因子受容体アンタゴニスト、例えば、イマチニブ(Gleevec);ならびにカルシウムチャンネル遮断薬、例えば、アムロジピン、ニフェジピンおよびジルチアゼムが含まれる。IPFを治療するために適当な薬物には、TGF−β阻害薬、例えば、ピルフェニドンおよびインターフェロン−γ、低分子量ヘパリン、およびセレラキシンが含まれる。
【0100】
CFを治療するために適当な薬物には、CFTRモジュレーター、例えば、アイバカフトール(VX−770)、PTC−124、N−6022、VX−661およびVX−809;粘液変質剤(mucus alteration agent)、例えば、ドルナーゼアルファ、塩化ナトリウムおよびマンニトール;ならびにエプセリアル(epthelial)ナトリウムチャンネル阻害薬が含まれる。
【0101】
有用な抗感染薬には、トブラマイシン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、アズトレオナム、ホスホマイシン、バンコマイシン、アミカシン、ゲンタマイシンおよびアムホテリシンBが含まれる。
【0102】
固定用量の組合せ
本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末組成物は、疾患および/または状態、例えば、肺疾患、閉塞性または炎症性気道疾患、特に喘息およびCOPDを治療するために有用である、1、2、3、4種もしくはそれ以上の治療上活性薬剤を含有することができる。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態は、2種の活性薬剤(2つの組合せ)を含む噴霧乾燥した粒子を含む。
【0104】
本発明の実施形態は、β
2−アゴニストおよびコルチコステロイドを含有するものなどの組合せを含む。組合せの模範的な実施形態を括弧によって以下に示す。(カルモテロールおよびブデソニド)、(フォルモテロールおよびベクロメタゾン)、(フォルモテロールフマル酸塩およびブデソニド)、(フォルモテロールフマル酸塩二水和物およびフロ酸モメタゾン)、(フォルモテロールフマル酸塩およびシクレソニド)、(インダカテロールマレイン酸塩およびフロ酸モメタゾン)、(インダカテロール酢酸塩およびフロ酸モメタゾン)、(インダカテロールキシナホ酸塩およびフロ酸モメタゾン)、(インダカテロールマレイン酸塩およびブデソニド)、(インダカテロール酢酸塩およびブデソニド)、(インダカテロールキシナホ酸塩およびブデソニド)、(インダカテロールマレイン酸塩およびフロ酸フルチカゾン)、(インダカテロール酢酸塩およびフロ酸フルチカゾン)、(インダカテロールキシナホ酸塩およびフロ酸フルチカゾン)、(ミルベテロール塩酸塩およびフロ酸フルチカゾン)、(ミルベテロール塩酸塩およびプロピオン酸フルチカゾン)、(オロダテロール塩酸塩およびフロ酸フルチカゾン)、(オロダテロール塩酸塩およびフロ酸モメタゾン)、(サルメテロールキシナホ酸塩およびプロピオン酸フルチカゾン)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびフロ酸フルチカゾン)、および(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびフロ酸モメタゾン);β
2−アゴニストおよびムスカリンアンタゴニスト、例えば、(フォルモテロールおよびアクリジニウム臭化物)、(フォルモテロールフマル酸塩およびグリコピロニウム臭化物)、(フォルモテロールフマル酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(フォルモテロールフマル酸塩およびウメクリジニウム臭化物)(インダカテロールおよびダロトロピウム)、(インダカテロールマレイン酸塩およびグリコピロニウム臭化物);(インダカテロール酢酸塩およびグリコピロニウム臭化物);(インダカテロールキシナホ酸塩およびグリコピロニウム臭化物);(インダカテロールマレイン酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩およびGSK573719)、(ミルベテロール塩酸塩およびグリコピロニウム臭化物)、(ミルベテロール塩酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(オロダテロール塩酸塩およびアクリジニウム臭化物)、(オロダテロール塩酸塩およびグリコピロニウム臭化物)、(オロダテロール塩酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(オロダテロール塩酸塩およびウメクリジニウム臭化物)、(サルメテロールキシナホ酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびアクリジニウム臭化物)(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびダロトロピウム)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびグリコピロニウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびGSK573719)、および(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびチオトロピウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩およびウメクリジニウム臭化物);ならびにムスカリンアンタゴニストおよびコルチコステロイド、例えば、(グリコピロニウム臭化物およびフロ酸モメタゾン)、(グリコピロニウム臭化物およびブデソニド)、(グリコピロニウム臭化物およびシクレソニド)、(グリコピロニウム臭化物およびフロ酸フルチカゾン)、(グリコピロニウム臭化物およびプロピオン酸フルチカゾン)、(チオトロピウム臭化物およびフロ酸モメタゾン)、(チオトロピウム臭化物およびブデソニド)、(チオトロピウム臭化物およびシクレソニド)、(チオトロピウム臭化物およびフロ酸フルチカゾン)、(チオトロピウム臭化物およびプロピオン酸フルチカゾン)、(ウメクリジニウム臭化物およびフロ酸モメタゾン)、(ウメクリジニウム臭化物およびブデソニド)、(ウメクリジニウム臭化物およびシクレソニド)、(ウメクリジニウム臭化物およびフロ酸フルチカゾン)、(ウメクリジニウム臭化物およびプロピオン酸フルチカゾン);またはデュアルβ
2−アゴニスト−ムスカリンアンタゴニストおよびコルチコステロイド、例えば、(GSK−961081コハク酸塩およびフロ酸モメタゾン)、(GSK−961081コハク酸塩およびフロ酸モメタゾン一水和物)、および(GSK−961081コハク酸塩およびシクレソニド)。括弧に記載されている活性物間、および他のものとの組合せを含めて、実質的に任意の組合せが可能であることを留意するべきである。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態は、3種の活性薬剤(3つの組合せ)を含む噴霧乾燥した粒子を含む。
【0106】
本発明の実施形態は、β
2−アゴニスト、コルチコステロイドおよびムスカリンアンタゴニストを含有するものなどの3つの組合せ、例えば、(フォルモテロールフマル酸塩、プロピオン酸フルチカゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(フォルモテロールフマル酸塩、シクレソニドおよびチオトロピウム臭化物)、(フォルモテロールフマル酸塩、ブデソニドおよびグリコピロニウム臭化物)および(フォルモテロールフマル酸塩、ベクロメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(サルメテロールキシナホ酸塩、プロピオン酸フルチカゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(サルメテロールキシナホ酸塩、プロピオン酸フルチカゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩、フロ酸モメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩、フロ酸モメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩、フロ酸モメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩、フロ酸モメタゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩、フロ酸モメタゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩、フロ酸モメタゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩、ブデソニドおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩、ブデソニドおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩、ブデソニドおよびグリコピロニウム臭化物)、(インダカテロールマレイン酸塩、ブデソニドおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロール酢酸塩、ブデソニドおよびチオトロピウム臭化物)、(インダカテロールキシナホ酸塩、ブデソニドおよびチオトロピウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩、フロ酸フルチカゾンおよびウメクリジニウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩、フロ酸フルチカゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩、フロ酸フルチカゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩、フロ酸モメタゾンおよびウメクリジニウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩、フロ酸モメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(ビランテロールトリフェニル酢酸塩、フロ酸モメタゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(オロダテロール塩酸塩、フロ酸モメタゾンおよびチオトロピウム臭化物)、(オロダテロール塩酸塩、フロ酸モメタゾンおよびグリコピロニウム臭化物)、(オロダテロール塩酸塩、シクレソニドおよびチオトロピウム臭化物)および(オロダテロール塩酸塩、シクレソニドおよびグリコピロニウム臭化物)を含む。
【0107】
呼吸用凝集体
本発明の実施形態では、呼吸用凝集体を含むバルク乾燥粉末は、受動的および能動的の両方で、単回投与または多回投与乾燥粉末吸入器から容易にかつ効率的に分配するために、ならびに肺もしくは肺系の標的領域に効果的に送達させるために、長期間安定した保存となるよう作製される。
【0108】
本発明の実施形態では、呼吸用凝集体を含むバルク乾燥粉末は、例えば、担体粒子の表面中に気孔もしくは隆起を含むことにより、かつ/または担体粒子の表面に疎水性添加剤を濃縮することにより、凝集体間(interagglomerate)力を低下させるために作製される。
【0109】
本発明の実施形態では、薬物および担体の呼吸用凝集体は、質量中央径(MMD)10ミクロン未満、例えば、約1から5ミクロンの間のMMDを含み、模範的な実施形態は、MMDが約2から3である。本発明の実施形態では、粉末凝集体の空気力学的径の質量中央(MMAD)径は、約1から5ミクロンの間であり、模範的な実施形態は、MMADが約2から4ミクロンである。本発明の実施形態では、Albertaの理想化された口−咽頭における呼吸用凝集体の沈着は、50%未満、例えば、35%未満または20%未満の沈着である。したがって、本発明の実施形態は、約40%を超える、例えば、50%または60%または70%または80%を超える、肺の標的領域への1種または複数の薬物の呼吸用画分の送達を行う。
【0110】
本発明の実施形態では、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末は、タップ密度が約0.5g/cm
3未満、例えば、0.3g/cm
3未満または0.1g/cm
3未満である。
【0111】
本発明の乾燥粉末配合物の実施形態は、活性成分の0.1%から30%w/w、例えば、約0.5%から20%w/w、または5%から15%w/wを含むことができる。
【0112】
本発明の実施形態は、用量当たりの粉末質量が少ない、例えば、約50ミリグラム未満、または用量当たり15もしくは5もしくは2もしくは1ミリグラム未満である、活性成分を含む粒子を作製するのに有用である。
【0113】
本発明の実施形態は、活性の薬物の名目用量が約100ナノグラム(ng)から5mgである、非常に強力な活性成分を含む呼吸用凝集体粒子を作製するのに有用である。
【0114】
本発明の実施形態は、1種または複数種の強力な活性成分を含む呼吸用凝集体を含む噴霧乾燥した粒子を作製するのに有用であり、1種または複数種の活性成分は、噴霧乾燥するために供給原料中で溶解性が制限されることを特徴とし、本方法および配合物は、得られた乾燥製剤中で活性物の結晶化度を維持する。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明の乾燥粉末配合物の呼吸用凝集体は、適当には、むらが1.5を超える、例えば、1.5から20、3から15、または5から10である。
【0116】
いくつかの実施形態では、本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物は、名目用量<3.3μm(FPF<
3.3μm)の百分率として表して、約40%を超える、例えば、約50%を超えるまたは約60%を超える、細粒画分を含む。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物は、名目用量4.7μm未満(すなわち、FPF
<4.7μm)の百分率として表して、約50%を超える、例えば、約60%を超えるまたは約70%を超える、細粒画分を含む。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物は、フィルターに通して段階4での名目用量(FPF
S4−F)の百分率として表して、名目用量の少なくとも40%、例えば、名目用量の50%または60%を超える細粒画分を含む。
【0119】
呼吸用凝集体を含む本発明の乾燥粉末配合物のいくつかの実施形態では、肺沈着は、名目用量の少なくとも40〜80%である。いくつかの実施形態では、肺沈着における患者間の可変性は、最小化され、例えば、約20%または10%未満である。
【0120】
本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物の実施形態は、患者のピーク吸気流速(PIF)と実質的に無関係の方式で、受動的な乾燥粉末吸入器からの呼吸用凝集体の送達を行う。
【0121】
本発明の実施形態は、モノ生成物として、または他の活性薬剤との固定用量の組合せで配合される場合、活性薬剤の空気力学的粒度分布において良い相関を示す呼吸用凝集体粒子を生成する。APSDの同等性は、様々な段階のグループ化を比較することにより評価される。本発明の実施形態は、様々なモノおよびコンボ生成物の場合、(段階0から段階2までの)大型粒子の用量における可変性25%以内、好ましくは15%もしくは10%以内をもたらす。いくつかの実施形態では、(フィルターに通して段階3での)細粒用量における変動は、15%以内、好ましくは10%もしくは5%以内である。追加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態では、(フィルターに通して段階4での)非常に細粒の画分における変動は、15%以内、好ましくは10%または5%以内である。
【0122】
本発明の作製された粉末は、測定全体を通して、放出される用量または放出された粉末質量において優れた均一性を示す。いくつかの実施形態では、この可変性は、FDA Draft Guidanceの範囲内であり、ここには、測定値の90%が、表示量からのずれを20%以内とするべきであり、25%を超えないということが明記されている。いくつかの実施形態では、測定値の90%は、表示量からのずれが15%以内、または表示量の10%以内である。
【0123】
本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物の1つまたは複数の実施形態において、乾燥粉末配合物は、添加物、例えば、配合物の安定性、生体適合性または患者の許容性をさらに高め得るものがさらに含まれ得る。例えば、様々な塩、緩衝剤、キレート剤、増量剤、共通イオン、ガラス形成化(glass forming)添加剤、および矯味剤(taste masking agent)が考えられる。このような任意選択の薬剤は、バルク乾燥粉末中に、または担体粒子と共に直接、取り込むことができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明の乾燥粉末配合物は、薬学的に許容される添加剤、例えば疎水性添加剤を含有する。
【0125】
方法
いくつかの実施形態では、担体粒子は、長鎖リン脂質および多価の金属イオン、例えば、塩化カルシウムの単分子層により安定化した、全フッ素置換液体のサブミクロンの液滴を含む乳剤に基づいた供給原料を噴霧乾燥するステップを含む方法で形成される。噴霧乾燥中、緩徐に拡散する乳剤の液滴が、蒸発する噴霧された液滴の発散面で濃縮される。乾燥プロセスが連続し、連続水相が蒸発するとき、リン脂質は、粒子の表面に表皮を形成する。最終的に、全フッ素置換液体は、海綿様粒子形態を有する乾燥粉末粒子を放置し、脱気する。担体粉末粒子は、多孔質であることが多く、タップ密度が通常0.5g/cm
3未満であり、しばしば約0.1g/cm
3以下である。タップ密度は、乳剤中の全フッ素置換油の容積画分の制御によって制御することができる。連続気孔(interconnected pore)の複合形態は、接着し、気孔内でインターロック構造を形成する微粒子化(fine micronized)またはナノ化した(nanonized)薬物結晶に独特の鋳型を提供する。
【0126】
いくつかの実施形態では、多孔質担体粒子は、疎水性のアミノ酸またはペプチド、例えばロイシンもしくはトリロイシン、またはポリオール、例えばマンニトールを含む溶液を噴霧乾燥するステップを含む方法によって形成することができる。ロイシンおよびマンニトールの場合、噴霧乾燥プロセスによって、主に結晶性添加剤をもたらす。かかる担体粒子は、噴霧乾燥されて、波形またはむらがある粒子形態を有してもよい。糖質(例えば、スクロース、トレハロース、マンニトール)とのロイシンまたはトリロイシンの組合せも考えられる。この場合、波形の粒子の表面は、疎水性のアミノ酸が濃縮される。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態では、呼吸用凝集体粒子を含む乾燥粉末は、貧溶媒に担体粒子を分散し、続いて、液体を除去して乾燥粉末凝集体を創出することを初期のステップとして有する方法によって作られる。特に好ましい貧溶媒は、全フッ素置換液体(例えば、臭化ペルフルオロオクチル(perflurooctyl)、ペルフルオロデカリン)、またはヒドロフルオロアルカン(例えば、ペルフルオロオクチルエタン、HFA−134a、HFA−227ea)である。その大規模な前臨床および臨床の安全性データにより、臭化ペルフルオロオクチル(PFOB)が好ましい。
【0128】
貧溶媒中の薬物および担体粒子の固体の負荷は、一般に、約50g/Lを超え、しばしば100g/Lまたは150g/Lを超え、200g/Lまたはそれ以上となり得る。固体の負荷は、液体供給原料のレオロジー特性および安定性ならびに担体粒子の密度により影響される。懸濁液は、材料の均一な組成物を経時的に噴霧乾燥器に定量的に供給するように、管中で安定性が良く、流動性が十分でなくてはならない。
【0129】
薬物および担体の規則混合物は、貧溶媒との接触をなくすことを原体が望む結果として、貧溶媒中で形成される。これは、食品がいかにしてTeflon(登録商標)フライパンの表面にくっつかないかということと類似している。
【0130】
次いで、好ましい溶媒除去プロセス実施形態の1つである、噴霧乾燥による溶媒除去または乾燥プロセスによって、貧溶媒は除去される。本発明の実施形態では、液体分散媒は、適用可能な溶媒除去(例えば、噴霧乾燥)プロセス中、液体の有効な除去を可能にする蒸気圧/沸点を有する。1種または複数種の薬物は、貧溶媒中で溶解性が非常に低いことが重要である。これは、原体の結晶化度および噴霧乾燥中の非晶質の材料の形成の防止を維持する助けとなる。いくつかの実施形態では、1種または複数種の薬物は、少なくとも約95%、例えば99%の結晶化度を含む。いくつかの実施形態では、呼吸用凝集体の製造中、薬物の初期の結晶化度は維持される。
【0131】
吸入用の結晶の微粒子化薬物中の非晶質の薬物ドメインの存在は、一般に望ましくないと考えられる。非晶質ドメインは、熱力学的に不安定であり、経時的に、安定した結晶の多形に変換する恐れがある。再結晶方法によって、しばしば微粒子化薬物粒子の粗大化およびエアロゾル性能の低下を生じる。より高いエネルギー非晶質ドメインはまた、結晶性薬物と比較してより高い溶解性、より迅速な溶解および化学安定性の低下を示し得る。本発明の実施形態は、噴霧乾燥させるために液体供給原料に溶解させた活性成分の百分率を下げることにより、噴霧乾燥中の活性成分における非晶質ドメインの形成を最小限にする。本発明の実施形態は、粒子形成プロセス中の微粒子化薬物の水への曝露を最小限にし、したがって、任意の薬物が水性媒体に溶解し、続いて、安定性の悪い非晶質の状態で乾燥する可能性を最小限にする。
【0132】
いくつかの実施形態では、呼吸用凝集体は、例えば、担体粒子およびインダカテロール酢酸塩を含む。インダカテロール酢酸塩は、水に対して物理的安定性が乏しく、迅速に不均化を生じてインダカテロール遊離塩基および酢酸を形成することを示す。このようなものとして、原体は、水中で薬物を処理することを含む噴霧乾燥プロセスに適さない。水中油型乳剤中の懸濁液としてのインダカテロール酢酸塩の配合物は、噴霧乾燥プロセス中、薬物の迅速な不均化を生じる。本発明の方法の実施形態の非水性の構成成分によって、原体の物理的安定性を維持することができる。
【0133】
さらに、噴霧乾燥プロセスの時間尺度が短い(すなわち、ミリ秒)ことにより、水性のもしくは非水性の供給原料に溶解されるほとんどの薬物は、噴霧乾燥した製剤中で非晶質の固体として存在する。一部の薬物の場合では、非晶質の固体としての配合物は、保存中許容することができない解重合を増加させ得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末および方法は、噴霧乾燥しようとする液体中の薬物の溶解を防止することにより、製造プロセス全体を通しておよび長期間保存中原体の結晶化度を維持する。
【0134】
代替的にまたは追加的に、呼吸用凝集体は、高圧下でヒドロフルオロアルカン噴射剤中で形成することができる。次いで、フッ化炭素は、専用の溶媒除去ステップを必要とせずに、低圧での蒸発によって除去することができる。
【0135】
単位剤形
本発明の実施形態は、本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を含有する容器を含む単位剤形を提供する。
【0136】
一実施形態では、本発明は、インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/w、フロ酸モメタゾン約0.5〜3%w/w、グリコピロニウム臭化物約0.5〜3%w/w、およびモル比約2:1のDSPC:CaCl
2を含む多孔質担体粒子約91〜99%を含む、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を含有する容器を含む単位剤形を対象とする。
【0137】
一実施形態では、本発明は、インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/wおよびフロ酸モメタゾン約0.5〜3%%w/w、およびモル比2:1のDSPC:CaCl
2を含む多孔質担体粒子約94〜99%を含む、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を含有する容器を含む単位剤形を対象とする。
【0138】
一実施形態では、本発明は、インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/wおよびグリコピロニウム臭化物約0.5〜3%%w/w、およびモル比2:1のDSPC:CaCl
2を含む多孔質担体粒子約94〜99%を含む、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を含有する容器を含む単位剤形を対象とする。
【0139】
容器の例には、限定されるものではないが、カプセル、ブリスター、または金属、ポリマー(例えば、プラスチック、エラストマー)などで作られた容器施栓系が含まれる。現在の市販の喘息/COPD治療薬の場合、容器中の充てん質量(fill mass)は、約0.5mgから10mgの範囲、例えば、1mgから4mgの範囲となり得る。いくつかの実施形態では、呼吸用凝集体を含む粉末を、箔ブリスターに入れる。いくつかの実施形態では、呼吸用凝集体を含む粉末を、充てん質量約0.5から10mgの間で、例えば、1.0mgから4.0mgで容器に入れる。
【0140】
送達系
本発明はまた、本発明の吸入器および乾燥粉末配合物を含む送達系を提供する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明は、インダカテロール酢酸塩約2.2%w/w、フロ酸モメタゾン約2.0%w/w、グリコピロニウム臭化物約2.4%w/w、およびモル比2:1のDSPC:CaCl
2を含む多孔質担体粒子約93.4%を含む、呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を含む乾燥粉末配合物を含有するものを含む、乾燥粉末吸入器および吸入のための呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を含む送達系を対象とする。
【0142】
適当な吸入器は、乾燥粉末吸入器(DPI)を含む。いくつかのかかる吸入器には、単位投与吸入器が含まれ、乾燥粉末は、カプセルまたはブリスターに保存され、患者は、使用前にカプセルまたはブリスターの1つまたは複数をデバイスに入れる。他の多回投与乾燥粉末吸入器には、用量が、箔−箔ブリスターの形態で、例えば、カートリッジ、細片またはホイールの形態で事前包装されるものが含まれる。他の多回投与乾燥粉末吸入器には、バルク粉末が、デバイス内の貯蔵槽(reservoir)に包装されるものが含まれる。
【0143】
乾燥粉末吸入器の実施形態は、多回投与乾燥粉末吸入器、例えば、DISKUS(登録商標)(GSK、US6536427に記載)、DISKHALER(登録商標)(GSK、WO97/25086に記載)、ELLIPTA(登録商標)(GSK、WO05/14089に記載)、GYROHALER(登録商標)(Vectura、WO05/37353に記載)、PROHALER(商標)(Valois、WO03/77979に記載)およびTWISTHALER(登録商標)(Merck、WO93/00123、WO94/14492およびWO97/30743に記載)吸入器を含む。貯蔵槽型多回投与吸入器には、TURBOHALER(AstraZeneca、EP0258238に記載)、CLICKHALER(登録商標)、およびNOVOLIZER(登録商標)(Meda)吸入器が含まれる。
【0144】
単回投与乾燥粉末吸入器の実施形態は、AEROLIZER(登録商標)(Novartis、US3991761に記載)、BREEZHALER(登録商標)/NEOHALER(登録商標)(Novartis、米国特許出願第2007/0295332号およびUS8479730に記載、「Concept1」としても公知)、およびHANDIHALER(登録商標)(Boehringer Ingelheim)吸入器を含む。適当な他の単回投与吸入器には、DunkleyらのUS8069851およびUS7559325、ならびにGluskerらの米国特許出願第2010/0108058号に記載のものが含まれる。
【0145】
適当な能動的な吸入器は、例えば、WO96/09085、WO00/072904、WO00/021594およびWO01/043530に開示される加圧可能な(pressurizable)乾燥粉末吸入器、ならびにASPIRAIR(商標)(Vectura)吸入器を含む。他の能動的なデバイスは、MicroDose Technologies Inc.から入手可能なもの、例えば、本明細書において「Genie」デバイスと称されることもある、米国特許出願公開第2005/0183724号に記載されているデバイスを含むこともできる。
【0146】
治療における使用
本発明の実施形態は、経肺投与のために、例えば、肺および/または気道の疾患を治療するために有用である2種以上の活性成分を含む呼吸用凝集体を含む乾燥粉末医薬品配合物を含む。
【0147】
本発明の実施形態は、患者または対象の疾患または状態、例えば、肺および/または気道の疾患または状態を治療するための方法を含み、治療は、呼吸用凝集体を含む本明細書の任意の乾燥粉末配合物の有効量を、疾患または状態を有する患者(または対象)に投与するステップを含む。模範的な疾患または状態には、閉塞性または炎症性気道疾患、例えば、閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、特発性肺線維症、気管支拡張症および嚢胞性線維症、ならびに肺疾患、例えば肺動脈性肺高血圧症が含まれる。
【0148】
1つまたは複数の実施形態では、治療の方法は、インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%%w/w、フロ酸モメタゾン約0.5〜3%w/w、グリコピロニウム臭化物約0.5〜3%%w/w、およびモル比2:1のDSPC:CaCl
2を含む多孔質担体粒子約93.4%を含む呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を、対象に投与するステップを含む。
【0149】
1つまたは複数の実施形態では、治療の方法は、インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/wおよびフロ酸モメタゾン約0.5〜3%w/w、ならびに2:1のDSPC:CaCl
2モル比を含む多孔質担体粒子約94〜99%を含む呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を、対象に投与するステップを含む。
【0150】
1つまたは複数の実施形態では、治療の方法は、インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/wおよびグリコピロニウム臭化物約0.5〜3%w/w、ならびにモル比2:1のDSPC:CaCl
2を含む多孔質担体粒子約94〜99%を含む呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物を、対象に投与するステップを含む。
【0151】
本発明はまた、患者または対象の疾患または状態、例えば、肺および/または気道の疾患または状態を治療する治療用の医薬品の製造における本明細書の任意の乾燥粉末配合物の使用に関する。
【0152】
本発明はまた、患者または対象の疾患または状態、例えば、肺および/または気道の疾患または状態の治療における使用のための呼吸用凝集体を含む本明細書の任意の乾燥粉末配合物を提供する。
【0153】
本発明の実施形態による疾患の治療は、対症療法でも予防的治療でもその両方でもよい。閉塞性または炎症性気道疾患には、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息を含む、様々なタイプまたは起源の喘息が含まれる。喘息の治療はまた、喘鳴症状を示し、主な医学的関心の確立された患者カテゴリーである、「喘鳴幼児(wheezy infant)」として診断されたまたは診断可能であるおよび初期または早期喘息として現在しばしば同定される、例えば、年齢が4歳または5歳未満の対象の治療を包含すると理解されたい。(便宜上、この特定の喘息状態を「喘鳴幼児症候群」と称する。)
【0154】
喘息の治療における予防的効果は、症候性発作、例えば、急性の喘息もしくは気管支収縮発作の頻度もしくは重症度の低下、肺機能の改善または気道反応性亢進の改善によって証明することができる。これは、他の対症療法、すなわち、例えば、抗炎症性(例えば、コルチコステロイド)または気管支拡張性の症候性発作が起こった場合、症候性発作の治療またはそれを制限するもしくは中断させることを目的とする治療のための要件を減じることによってさらに証明することができる。喘息における予防上の利益は、「モーニングディップ(朝の落ち込み)」の傾向がある対象において特に明白となり得る。「モーニングディップ」は、喘息の実質的な百分率に共通し、例えば、およそ午前4時から午前6時の時間の間の、すなわち、前もって行われた任意の喘息対症療法と通常実質的に異なる時間の喘息発作を特徴とする、公認の喘息症候群である。
【0155】
他の閉塞性または炎症性気道疾患および状態には、急性/成人呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性気管支炎を含む慢性閉塞性肺疾患または慢性閉塞性気道疾患(COPDまたはCOAD)、またはそれに伴う呼吸困難、気腫、ならびに他の薬物療法、特に、他の吸入型薬物療法の結果としての気道反応性亢進の増悪が含まれる。本発明の呼吸用凝集体を含む乾燥粉末配合物の実施形態はまた、例えば、急性、アラキジン酸性(arachidic)、カタル性、クループ性(croupus)、慢性もしくは結核性気管支炎を含む、いかなるタイプまたは起源の気管支炎の治療にも適用可能である。本発明の実施形態が適用可能であるさらなる閉塞性または炎症性気道疾患には、例えば、アルミニウム肺症、炭粉症、石綿肺、石粉症、まつ毛脱落(ptilosis)、鉄沈着症、珪肺、タバコ中毒症(tabacosis)および綿肺症を含む、すべてのタイプまたは起源の塵肺(しばしば気道閉塞を伴い、慢性または急性のいずれにせよ、粉塵の吸入を繰り返すことにより誘引される、炎症性、一般的職業性(commonly occupational)の肺疾患)が含まれる。嚢胞性線維症に伴う気管支拡張症、および非CF気管支拡張症、肺動脈性肺高血圧症、ならびに特発性肺線維症もまた考えられる。
【0156】
呼吸用凝集体を含む本発明の乾燥粉末配合物の実施形態は、喘息、COPDまたはその両方を治療するために特に有用である。
【0157】
さらなる実施形態および特徴は、以下の説明に一部記載されており、一部では、本明細書を検討することにより当業者には明らかとなり、または本発明を実行することにより習得することができる。
【0158】
さらなる態様では、本発明は、以下のものを提供する。
1.複数の(小型の)多孔質担体粒子および複数の活性薬剤粒子を含む乾燥粉末を含み、多孔質担体粒子および活性薬剤粒子が呼吸用凝集体の規則混合物を形成する、肺送達のための医薬組成物。
2.複数の活性薬剤粒子が、単一の活性物を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
3.複数の活性薬剤粒子が、2種の異なる活性物を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
4.複数の活性薬剤粒子が、3種の異なる活性物を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
5.3種の異なる活性物が、β−アドレノセプターアゴニスト、抗コリン作用薬およびコルチコステロイドを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
6.請求項5に記載の医薬組成物を含む、単位用量パッケージ。
7.乾燥粉末が、0.03から0.5g.cm
3のタップ密度を特徴とし、(小型の)多孔質担体粒子が、約1〜5ミクロンのMMDを含み、活性薬剤粒子が、約3ミクロン未満のMMDを含み、請求項1に記載の医薬組成物。
8.乾燥粉末が、<3.3μmの名目用量(FPF
<3.3μm)の百分率として表して約40%を超える細粒画分を特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
9.乾燥粉末が、4.7μm未満の名目用量(すなわち、FPF
<4.7μm)の百分率として表して約50%を超える細粒画分を含むことを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
10.乾燥粉末が、フィルターに通して段階4での名目用量(FPF
S4−F)の百分率として表して、名目用量の少なくとも40%である細粒画分を特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
11.乾燥粉末が、肺沈着が名目用量の少なくとも40%であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
12.乾燥粉末が、ピーク吸気流速の実質的に独立に受動的な乾燥粉末吸入器からの送達を特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
13.複数の(小型の)多孔質担体粒子が、幾何学粒径2〜3ミクロンを有し、本質的にジステアロイルホスファチジルコリンおよび塩化カルシウムからなり;活性薬剤粒子の少なくとも50%が、幾何学粒径3ミクロン未満を有し;乾燥粉末は、0.03から0.5g/cm
3のタップ密度、約1から5ミクロンのMMAD、および少なくとも50%のFPF
<4.7μm、の1つまたは複数によって特徴づけられる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
14.1から5ミクロンのMMDを含む多孔質担体粒子;
グリコピロニウム臭化物(任意の薬学的に許容されるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を含む)を含む、第1の種の活性薬剤粒子(第1の活性薬剤粒子の少なくとも50%は、幾何学粒径0.01〜3ミクロンを有する);
インダカテロール(任意の薬学的に許容されるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を含む)を含む、第2の種の活性薬剤粒子(第1の活性薬剤粒子の少なくとも50%は、幾何学粒径0.01〜3ミクロンを有する);
モメタゾン(任意の薬学的に許容されるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を含む)を含む第3の種の活性薬剤粒子(第1の活性薬剤粒子の少なくとも50%は、幾何学粒径0.01〜3ミクロンを有する)
を含む粒子を含み;
第1、第2および第3の活性薬剤粒子のそれぞれが、担体粒子に接着して、呼吸用凝集体粒子の規則混合物を形成し、組成物が、タップ密度が0.03から0.5g/cm
3であり、FPF
<4.7μmが少なくとも約50%であることを特徴とする、乾燥粉末吸入器から送達可能な乾燥粉末医薬組成物。
15.呼吸用凝集体が、(i)モル比2:1のDSPC:CaCl
2を含む(小型の)多孔質担体粒子約91〜99%;ならびに
(ii)インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/w、フロ酸モメタゾン約0.5〜3%w/w、およびグリコピロニウム臭化物約0.5〜3%w/wを含む活性種を含む、請求項14に記載の乾燥粉末配合物。
16.水性溶媒中でジステアロイルホスファチジルコリンおよび塩化カルシウムを含む乳剤に基づいた供給原料を調製するステップと;
乳剤を噴霧乾燥して、約1〜5ミクロンのMMDおよび約0.5g/cm
3未満のタップ密度を特徴とする(小型の)多孔質担体粒子を含む組成物を生成して、乾燥した(小型の)多孔質担体粒子を収集するステップと;
活性薬剤を微粒子化して粒子を生成することにより複数の少なくとも第1および第2の活性薬剤粒子を調製するステップ(活性薬剤粒子の少なくとも50%は、幾何学粒径3ミクロン未満を有する)と;
担体粒子の貧溶媒懸濁液を調製し、そこに第1および第2の微粒子化された活性薬剤粒子の量を添加し、十分なエネルギーを加えて混合するステップと;
乾燥ステップにおいて貧溶媒を除去して、呼吸用凝集体粒子を含む乾燥粉末をもたらすステップ(乾燥粉末は、1から5μmのMMAD、および0.03から0.5g/cm
3のタップ密度を特徴とする)とを含む、方法によって作られる生成物。
17.レセプタクル、および
レセプタクル中に乾燥粉末組成物を含み、乾燥粉末組成物が受動的な乾燥粉末吸入器から送達可能であり、
乾燥粉末組成物が、
約1から5ミクロンのMMDおよび約0.5g/cm
3未満のタップ密度を含む(小型の)多孔質担体粒子;
グリコピロニウム臭化物(任意の薬学的に許容されるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を含む)を含む、第1の種の活性薬剤粒子(第1の活性薬剤粒子の少なくとも50%は、幾何学粒径3ミクロン未満を有する);
インダカテロール(任意の薬学的に許容されるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を含む)を含む、第2の種の活性薬剤粒子(第1の活性薬剤粒子の少なくとも50%は、幾何学粒径3ミクロン未満を有する);
モメタゾン(任意の薬学的に許容されるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を含む)を含む、第3の種の活性薬剤粒子(第1の活性薬剤粒子の少なくとも50%は、幾何学粒径3ミクロン未満を有する)を含む粒子を含み;
第1、第2および第3の活性薬剤粒子のそれぞれおよび(小型の)多孔質担体粒子が、呼吸用凝集体の規則混合物を形成し、組成物が、0.03から0.5g/cm
3のタップ密度および少なくとも約50%のFPF
<4.7μmを特徴とする、吸入単位剤形。
18.(a)水性液体相に分散した疎水性添加剤を含む第1の供給原料を調製し、前記第1の供給原料を噴霧乾燥して、複数の(小型の)多孔質の粉末担体粒子を含むバルク粉末組成物を準備するステップと;
(b)少なくとも50%が幾何学粒径3ミクロン未満のサイズを有するように、少なくとも第1の活性薬物成分を準備するステップと;
(c)ステップ(a)の担体粒子およびステップ(b)の薬物粒子の非水性貧溶媒懸濁液を含む第2の供給原料を調製するステップと;
(d)第2の供給原料を溶媒除去処理して、(小型の)多孔質担体粒子および微粒子化薬物粒子を含む呼吸用凝集体粒子の規則混合物を含むバルク粉末配合物を生成するステップとを含む、呼吸用凝集体粒子の乾燥粉末配合物を製造する方法であって、呼吸用凝集体粒子は、タップ密度が0.03から0.5g/cm
3であり、FPF
<4.7μmが少なくとも約50%であることを特徴とする、方法。
19.疎水性添加剤が、DSPCおよび塩化カルシウムを含む、請求項18に記載の方法。
20.第1の活性物が、βアドレナリン受容体アゴニストを含み、第2の活性物が、抗炎症薬を含む、請求項19に記載の方法。
21.βアドレナリン受容体アゴニストが、インダカテロールを含み、抗炎症薬が、モメタゾンを含む、請求項20に記載の方法。
22.第3の活性物をさらに含む、請求項21に記載の方法。
23.第3の活性物が、グリコピロニウム臭化物を含む、請求項22に記載の方法。
24.請求項1から12のいずれかに記載の乾燥粉末配合物を、治療を必要とする患者に投与するステップを含む、患者を治療する方法。
25.乾燥粉末配合物が、吸入器によって投与される、請求項24に記載の方法。
【0159】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示するが、これらは限定として解釈すべきではない。
【0160】
実施例に用いられる略語の解説
実施例において以下の略語を用いる。
API 原薬
DSPC ジステアロイルホスファチジルコリン
PFOB 臭化ペルフルオロオクチル
RSD 相対標準偏差
RP−HPLC 逆相高速液体クロマトグラフィー
実施例
【実施例1】
【0161】
多孔質粒子および微粒子化薬物を含む規則混合物の製造
本実施例は、多孔質粒子担体粒子ならびに1、2および3種の微粒子化薬物粒子を含む呼吸用凝集体の生成についての実施形態を例示し、本方法は、2つの別々の乾燥ステップを含む。第1のステップでは、複数の小型の多孔質担体粒子は、乳剤に基づいた供給原料を噴霧乾燥して、泡状の形態を有する小型の多孔質粒子を生成するステップを含む方法によって生成される。本実施形態において、担体粒子は、モル比2:1のジステアロイルホスファチジルコリン対塩化カルシウムを含む。かかる粒子は、PulmoSphere(商標)粒子と称されることもあり、本明細書に記載されている。PulmoSphere粒子は、任意選択で、緩衝液および/または活性薬剤を含有し得る。本実施形態における第2のプロセスステップでは、小型の多孔質(PulmoSphere(商標))粒子(≒20%w/vまで)の懸濁液を、貧溶媒臭化ペルフルオロオクチル(PFOB)中で調製する。次いで、微粒子化薬物(≒10%w/vまで)を本懸濁液に添加し、共懸濁液(co-suspension)を形成する。次いで、高剪断ミキサーを用いて共懸濁液を混合する。薬物結晶は、貧溶媒中で小型の多孔質担体粒子と会合して、規則混合物を含む懸濁液を形成する。次いで、得られた懸濁液を、第2の溶媒除去ステップで、例えば、噴霧乾燥することにより乾燥させる。
【0162】
いくつかの実施例について、実験室スケールのプロセスを利用し、Novartis独自のNSDスケールドライヤー(ロット番号227−74−1およびロット番号227−74−2)を使用した。したがって、(DSPC:CaCl
2のみのモル比が2:1からなる)PulmoSphereビヒクル粒子5.5%w/vおよび微粒子化インダカテロールマレイン酸塩0.5%w/vの懸濁液をPFOBに分散した。懸濁液を、4,000RPMのIKA T−25高剪断ミキサーを用いて、2〜3分間高剪断下で混合した。吸気口温度96℃、排気口温度83℃、噴霧化ガス流量19SLPM、乾燥ガス流量700SLPM、および供給量10mL/分のNSDスプレードライヤーで、得られた供給原料を噴霧乾燥した。
【0163】
Niro PSD−1スケールプロセス。いくつかの実施例について、DSPC:CaCl
2のみのモル比2:1(10.0%w/v対16.0%w/v)からなるPulmoSphere担体粒子、および1種または複数種の微粒子化原薬(0.5%w/v対7.3%w/v)を含む懸濁液を、PFOB中で調製した。この懸濁液を、4,000RPMのIKA T−25高剪断ミキサーを用いて1〜5分間高剪断下で混合した(一例としては、IKA T−50高剪断ミキサーを3,000RPMで3分間使用した)。第2の供給原料を、水乳剤中にフッ化炭素を含めて調製した。2種の供給原料を吸気口温度140℃、および排気口温度72〜75℃、噴霧化ガス流量70SLPM、乾燥ガス流速180〜200SLPM、コレクタージャケット温度70℃、PFOBに基づいた供給原料についての供給量14から31g/分、および乳剤に基づいた供給原料についての供給量47〜90g/分を有するNiro PSD−1スケールスプレードライヤーで噴霧混合(spray blended)した。
【0164】
表1は、上記の2つのプロセスにおいて調製した呼吸用凝集体ロットについての組成物を示す。表1中で、簡略化された説明は、最終呼吸用凝集体生成物における、微粒子化結晶性薬物[角括弧内]および担体粒子(括弧内)の組成物を独立に記載している。空の括弧は、任意の活性のまたは追加の補助剤を含まないPulmoSphere粒子としての担体粒子を意味することに留意されたい。例えば、ロット番号227−74−1は、微粒子化インダカテロールマレイン酸塩7.8%w/wを含有し、残りは、PulmoSphereビヒクル粒子(DSPC/CaCl
2)である。ロット番号11015A−6−7は、微粒子化インダカテロールマレイン酸塩2.6%w/w、微粒子化フロ酸モメタゾン2.0%w/wを含有し、小型の多孔質担体粒子は、非晶質のグリコピロニウム臭化物2.6%w/w、マレイン酸ナトリウム緩衝液3.6%w/w(pH3.0)、およびDSPC/CaCl
291.8%w/wを含む。ロット番号11015A−7−6は、インダカテロール酢酸塩2.2%w/w、フロ酸モメタゾン2.0%w/w、グリコピロニウム臭化物1.5%w/wからなり、小型の多孔質担体粒子は、マレイン酸ナトリウム緩衝液2.3%w/w(pH3.0)およびDSPC/CaCl
292.0%w/wを含む。所与の薬物負荷は、塩全体についてである。
【0165】
【表1】
【実施例2】
【0166】
呼吸用凝集体のSEM顕微鏡写真
インダカテロールおよびモメタゾン原体を含む呼吸用凝集体を、実施例1(ロット番号11015A−6−7)に記載される通り製造した。
図1は、インダカテロールおよびモメタゾン原体を小型の多孔質担体粒子と共に含む呼吸用凝集体のSEM顕微鏡写真である。多孔質粒子に接着している結晶は、顕微鏡写真において明白である。遊離結晶の証拠は観察されていない。
【実施例3】
【0167】
呼吸用凝集体の含有量の均一性
インダカテロール酢酸塩、フロ酸モメタゾン、およびグリコピロニウム臭化物原体を含む呼吸用凝集体を、実施例1(ロット番号11015A−7−6)に記載されている通り製造した。バルク粉末を、独自のドラムに基づく充てん機を用いて、3サイズのヒプロメロースカプセルに充てんした。標的とする充てん質量は、2.5mgであった。これは、高真度および高精度で達成された。充てんプロセスについての相対標準偏差(RSD)は、2.4%であった。
【0168】
呼吸用凝集体中の薬物含有量を、RP−HPLCにより決定した。3つの薬物のそれぞれの平均含有量の可変性は、機械充てんの可変性と同等である(表2)。さらに、バッチの開始時、中間、および終了時に充てんしたカプセルの含有量に有意差はなかった。これにより、(a)薬物結晶および多孔質粒子の均一な貧溶媒懸濁液であり;(b)
図2によっても示される通り、充てんプロセスから得られた粉末バッチ中で担体から薬物の凝離がなかったことが示される。表2で示される薬物含有量は、遊離薬物についてである。
【0169】
したがって、粒子の貧溶媒懸濁液は、バルク粉末中のミクロンサイズの薬物および担体粒子の良好な混合および均一性を達成するための新規な方法を提供する。
【0170】
【表2】
【実施例4】
【0171】
呼吸用凝集体の送達された用量の均一性
インダカテロール酢酸塩、フロ酸モメタゾン、グリコピロニウム臭化物結晶および小型の多孔質担体粒子(ロット番号11015A−7−6)を含む、呼吸用凝集体の送達された用量の均一性を
図3において示す。バルク粉末を3サイズのヒプロメロースカプセルに充てんした。次いで、カプセルを(本明細書に記載した通り)Concept1乾燥粉末吸入器に個別に充てんした。Concept1吸入器は、抵抗性の低い、カプセルに基づいた乾燥粉末吸入器である。フィルターにおいて流速60L/分および吸入容積2Lでデバイスを空にした。フィルターに対する各個別の薬物の質量を、RP−HPLCによって定量化した。フィルターに対する粉末の総質量を、重力測定でやはり決定した。
【0172】
送達された用量の可変性を表3に示す。平均の送達された用量および送達された用量の可変性は、呼吸用凝集体中の3つの薬物について同等である。配合物中の構成成分はすべて、送達された用量の均一性に関するFDA Draft Guidanceをパスしており、ここには、送達された用量値の90%が名目用量(または表示量)の±20%以内としなければならず、25%を超えないということが明記されている。したがって、この複合の3種の組合せ生成物について、優れた送達された用量の均一性が観察される。
【0173】
【表3】
【0174】
(
図3においても例示される)充てんされたバッチの開始時、中間、および終了時に試験した異なるカプセルについての可変性のパターンは、薬物のそれぞれの場合で一致しており、バッチを通して重力測定による放出された粉末質量の結果と整合する。これは、薬物が、小型の多孔質粒子担体と強力に会合し、エアロゾル適用プロセス中そのまま残存するというさらなる強力な証拠を示している。
【実施例5】
【0175】
呼吸用凝集体の、PulmoSpheres粒子および従来の乳糖ブレンドとの空気力学的粒度分布の比較
Concept1単回投与乾燥粉末吸入器を用いて送達されるインダカテロールを含む3種の配合物の空気力学的粒度分布(APSD)の比較を、表4および
図4において示す。APSDを流速60L/分のNext Generation衝撃子において決定した。第1の被試験配合物は、現在市販されているインダカテロールマレイン酸塩を含む乳糖ブレンド(ONBREZ(登録商標)、Novartis)であった。第2の配合物は、標準的な小型の多孔質粒子配合物であり、結晶の原体を、乳剤に基づいた供給原料(PulmoSphere(商標)technology)を噴霧乾燥することによりリン脂質の多孔質マトリクスでコーティングする。最後に、第3の配合物は、本発明の実施形態による呼吸用凝集体を含み、呼吸用凝集体は、小型の多孔質担体粒子および微粒子化インダカテロール酢酸塩を含む。噴霧乾燥させる配合物の組成物の全質量バランスは、類似しており、インダカテロール原体を含み、モル比が2:1であるDSPC対塩化カルシウムを含む。呼吸用凝集体のMMADは、標準的な多孔質粒子配合物よりもわずかに大きく、さらに、NGI中のフィルターに通して段階3での名目用量の百分率として表される全細粒画分は、非常に高いままであり、固定用量の組合せで多剤活性物を効率的に送達することが可能である配合物およびプロセスの有用性を検証する。
【0176】
2つの従来技術の方法および本発明の方法および配合物の一実施形態によって製造されたインダカテロールマレイン酸塩配合物についての空気力学的粒度分布の比較である
図4において、これらの特性をさらに例示する。したがって、本発明の組成物および方法の実施形態によって、呼吸用凝集体固定用量の組合せ粒子を準備し、呼吸用凝集体は、(様々な水溶解性を有する)3つの異なる活性物を含み、呼吸用画分(FPF
S3−F)は、高いままであり、PulmoSphere粒子の呼吸用画分と同等である。
【0177】
【表4】
【実施例6】
【0178】
モノ、コンボ(2種)および3種(「トロンボ」)の配合物中のモメタゾンの空気力学的粒度分布の比較
図5および表5は、流速60L/分のConcept1乾燥粉末吸入器を用いて送達される実施例1に記載の、フロ酸モメタゾンを含む呼吸用凝集体配合物の空気力学的粒度分布の比較を示す。3つの呼吸用凝集体配合物は、モノモメタゾン配合物(ロット番号11015−7−1)、インダカテロール酢酸塩とのその組合せ(ロット番号11015−7−4)、およびインダカテロール酢酸塩およびグリコピロニウム臭化物とのその3種の組合せ(ロット番号11015−7−6)を含む。これら3つの配合物は、MMADおよびFPF
S3−Fにおいてほとんど一致することにより示される通り、エアロゾル性能が同等である。組合せ生成物についてのFPF
S3−Fにおける変動は、モノ配合物について観察された値の5%以内であった。したがって、in−vitroにおける性能は、3つの配合物間の同等性に必要とされる±15%以内であり、これらは、in vitroにおける組合せ規則をパスしていることが示されている。流速60L/分のTWISTHALER(登録商標)デバイスを用いて送達される、市販されているASMANEX(登録商標)配合物(Merck)とやはり比較する。ASMANEX(登録商標)生成物のMMADがより小さいという事実にもかかわらず、呼吸用凝集体配合物についてのFPF
S3−Fは、ASMANEX(登録商標)生成物について観察されるものよりも4倍を超える高さであった。これは、本発明の呼吸用凝集体に対する乳糖ブレンドについての二峰性対単峰性の粒度分布の結果である。
【0179】
【表5】
【実施例7】
【0180】
呼吸用凝集体中のインダカテロール酢酸塩の物理的形態の保存
インダカテロール酢酸塩を水性の供給原料に懸濁させて噴霧乾燥する場合、原体は、インダカテロール遊離塩基および酢酸を形成するため、迅速に不均衡を起こす。本発明の方法において、微粒子化インダカテロール酢酸塩結晶および小型の多孔質粒子の規則混合物は、これらの粒子を液体パーフルオロカーボンに懸濁し、次いで、乾燥プロセスにおいてその液体を除去することにより創出される。インダカテロール酢酸塩原体の物理的形態は、X線粉末回折(XRPD)により決定することができる。
図6では、一連の粉末についてのXRPDパターンが示される。
図6(上部)では、水に懸濁されたインダカテロール酢酸塩の不均衡後の、インダカテロール遊離塩基について得られた、特徴的なXRPDパターンが示される。
図6(真ん中)では、臭化ペルフルオロオクチル(PFOB)に懸濁されたインダカテロール酢酸塩についてのXRPDパターンが示される。これは、インダカテロール酢酸塩原体(
図6、下部)について見出されるXRPDパターンと同一であり、薬物の塩形態がPFOBに分散後維持されることを示している。
【0181】
図7では、XRPDパターンが示される。上部の曲線は、インダカテロール酢酸塩原体についてのパターンを示し、真ん中の曲線は、実施例1の小型の多孔質粒子を有するインダカテロール酢酸塩7%w/wのロット番号227−74−2に従って作られた本発明の呼吸用凝集体についてのXRPDパターンを示す。このパターンは、2θ=21°の特徴的なリン脂質ピークによって大半を占められる。
図7の下部の曲線は、PulmoSphere(プラセボ)粒子を表し、特徴的なリン脂質ピークも示す。真ん中の曲線において、インダカテロール酢酸塩の塩形態と関連する特徴的なピークは明白であり、インダカテロール酢酸塩原体の物理的形態は、非水性の製造プロセスを通して保たれることが示唆される。インダカテロール遊離塩基の特徴的なピークは存在しない。類似の結果から、インダカテロール酢酸塩原体の物理的形態の維持が、近赤外線拡散反射分光法を用いて得られたことが示される。したがって、本明細書において示される非水性の製造プロセスによる呼吸用凝集体の形成は、解重合から水性媒体中で物理的または化学的に不安定となり得る薬物を保護する手段を提供する。
【実施例8】
【0182】
Concept1およびGenie乾燥粉末吸入器における呼吸用凝集体のエアロゾル性能
本実施例では、実施例1に従って作られた呼吸用凝集体の3種の組合せ(ロット番号11015A−10−3、11015A−10−4および11015A−10−5)を含む乾燥粉末の性能を、異なる2種の乾燥粉末吸入器デバイス、すなわち、Genie(多回投与のブリスターに基づいた能動的なデバイス)、およびConcept1(単位投与のカプセルに基づいた受動的なデバイス)において試験した。Genieデバイスは、圧電素子を利用して、乾燥粉末を活発に流動化させ分散させる。これらの結果を表6に示す。比較する目的のために、インダカテロールマレイン酸塩の従来のPulmoSphere配合物、およびインダカテロールマレイン酸塩の乳糖ブレンド配合物についての結果も示す。
【0183】
5μm未満の細粒用量を薬物特異的なHPLC法によって決定した。Concept1デバイスを流速60L/分で操作し、Genieデバイスを流速36L/分(4kPa圧力低下)で操作した。
【0184】
【表6】
【0185】
グリコピロラートに対するインダカテロールとモメタゾンの間のFPF<
5μmの差は、呼吸用凝集体中に存在する微粒子化薬物結晶のサイズの差が反映されている。インダカテロールおよびモメタゾンの場合、呼吸用凝集体の空気力学的特性が小型の多孔質担体粒子の特性によって実質的に制御されるのに十分なほど、薬物結晶は小型である。微粒子化インダカテロール酢酸塩結晶についてのx50およびx90は、それぞれ1.63μmおよび3.08μmであった。微粒子化フロ酸モメタゾン結晶についてのx50およびx90は、それぞれ1.22μmおよび2.45μmであった。これに対して、利用したグリコピロラートのより大きいサイズの結晶(x50=2.96μm、x90=6.52μm)は、グリコピロラート結晶を含む呼吸用凝集体のサイズおよび対応するFPF
<5μmに対して影響を与える。FPF
<5μmは、2倍から3倍の因子によって従来の乳糖ブレンドについて観察されるものよりも、呼吸用凝集体の方が有意に大きいことを留意するに値する。
【実施例9】
【0186】
微粒子化薬物および小型の多孔質粒子の乾燥ブレンドの比較例
本明細書で述べた通り、微細な薬物粒子間の強力な凝集によって、呼吸用サイズの範囲で細粒を乾燥ブレンドするのが困難になる。(例えば、実施例3と比較した)本発明の製造プロセスの実施形態の特徴、利点およびその態様をさらに対比させるために、小型の多孔質担体粒子との微粒子化フロ酸モメタゾン結晶の単純なブレンドを、TURBULA(登録商標)ミキサーで行った。TURBULA(登録商標)ミキサーは、粗大な乳糖を微粒子化薬物粒子とブレンドさせるために利用した標準的なミキサーである。TURBULA(登録商標)ミキサーで混合した後、バルク粉末を採取し、含有量の可変性をRP−HPLCによって評価した(表7)。モメタゾン含有量10%w/w未満の場合について不十分な真度および精度が観察され、測定されたRSD値は、21%から38%の間であった。本実施例は、標準的な粉末混合方法を用いて、その(サイズの範囲1〜5ミクロン)中で、乾燥粉末の安定した、呼吸用ブレンドを形成する上で遭遇する困難を説明しており、本発明の実施形態の規則混合物呼吸用凝集体を形成するための貧溶媒蒸発方法の効用を指し示す。
【0187】
【表7】
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
複数の多孔質担体粒子および複数の活性薬剤粒子を含む乾燥粉末を含み、前記多孔質担体粒子および前記活性薬剤粒子が、呼吸用凝集体の規則混合物を形成する、肺送達のための医薬組成物。
[2]
前記複数の活性薬剤粒子が、単一の活性物を含む、[1]に記載の医薬組成物。
[3]
前記複数の活性薬剤粒子が、2種の異なる活性物を含む、[1]に記載の医薬組成物。
[4]
前記複数の活性薬剤粒子が、3種の異なる活性物を含む、[1]に記載の医薬組成物。
[5]
前記3種の異なる活性物が、β−アドレノセプターアゴニスト、抗コリン作用薬、およびコルチコステロイドを含む、[4]に記載の医薬組成物。
[6]
前記3種の異なる活性物が、
(i)インダカテロール酢酸塩、グリコピロニウム臭化物およびフロ酸モメタゾン;
(ii)インダカテロール酢酸塩、チオトロピウム臭化物およびフロ酸モメタゾン;
(iii)インダカテロール酢酸塩、チオトロピウム臭化物およびブデソニド;または
(iv)インダカテロール酢酸塩、チオトロピウム臭化物およびブデソニドを含む、[5]に記載の医薬組成物。
[7]
前記乾燥粉末が、0.03から0.5g.cm3のタップ密度を特徴とし、前記多孔質担体粒子が約1〜5ミクロンのMMDを含み、前記活性薬剤粒子が、約3ミクロン未満のMMDを含む、[1]に記載の医薬組成物。
[8]
前記乾燥粉末が、
(i)名目用量<3.3μm(FPF<3.3μm)の百分率として表して約40%を超える細粒画分;
(ii)名目用量4.7μm未満(すなわち、FPF<4 7μm)の百分率として表して約50%を超える細粒画分;または
(iii)フィルターに通して段階4での名目用量(FPFS4−F)の百分率として表して、名目用量の少なくとも40%である細粒画分;
のいずれかを特徴とする、[1]に記載の医薬組成物。
[9]
前記複数の多孔質担体粒子が、幾何学粒径2〜3ミクロンを有し、本質的にジステアロイルホスファチジルコリンおよび塩化カルシウムからなり;前記活性薬剤粒子の少なくとも50%が、幾何学粒径3ミクロン未満を有し;前記乾燥粉末は、0.03から0.5g/cm3のタップ密度、約1から5ミクロンのMMAD、および少なくとも50%のFPF<4.7μm、の1つまたは複数によって特徴づけられる、[1]から[8]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[10]
1から5ミクロンのMMDを含む多孔質担体粒子;
グリコピロニウム臭化物(任意の薬学的に許容されるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を含む)を含む、第1の種の活性薬剤粒子であって、第1の活性薬剤粒子の少なくとも50%が、幾何学粒径0.01〜3ミクロンを有する、第1の種の活性薬剤粒子;
インダカテロール(任意の薬学的に許容されるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を含む)を含む第2の種の活性薬剤粒子であって、第1の活性薬剤粒子の少なくとも50%が、幾何学粒径0.01〜3ミクロンを有する、第2の種の活性薬剤粒子;
モメタゾン(任意の薬学的に許容されるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を含む)を含む、第3の種の活性薬剤粒子であって、第1の活性薬剤粒子の少なくとも50%が、幾何学粒径0.01〜3ミクロンを有する、第3の種の活性薬剤粒子;
を含む粒子を含み;
前記第1、第2および第3の活性薬剤粒子のそれぞれが、前記担体粒子に接着して、呼吸用凝集体粒子の規則混合物を形成し、タップ密度が0.03から0.5g/cm3であり、FPF<4.7μmが少なくとも約50%であることを特徴とする、乾燥粉末吸入器から送達可能である、[1]に記載の医薬組成物。
[11]
前記呼吸用凝集体が、
(i)モル比2:1のDSPC:CaCl2を含む約91〜99%の多孔質担体粒子;ならびに
(ii)インダカテロール酢酸塩約0.5〜3%w/w、フロ酸モメタゾン約0.5〜3%w/w、およびグリコピロニウム臭化物約0.5〜3%w/wを含む活性種を含み、乾燥粉末配合物である、[10]に記載の医薬組成物。
[12]
(a)水性液体相に分散した疎水性添加剤を含む第1の供給原料を調製し、前記第1の供給原料を噴霧乾燥して、複数の多孔質の粉末担体粒子を含むバルク粉末組成物を準備するステップと;
(b)少なくとも50%が幾何学粒径3ミクロン未満のサイズを有するように、少なくとも第1の活性薬物成分を準備するステップと;
(c)ステップ(a)の担体粒子およびステップ(b)の薬物粒子の非水性貧溶媒懸濁液を含む第2の供給原料を調製するステップと;
(d)前記第2の供給原料を溶媒除去処理して、多孔質担体粒子および微粒子化薬物粒子を含む呼吸用凝集体粒子の規則混合物を含むバルク粉末配合物を生成するステップと
を含む、呼吸用凝集体粒子の乾燥粉末配合物を製造するための方法であって、前記呼吸用凝集体粒子は、タップ密度が0.03から0.5g/cm3であり、FPF<4.7μmが少なくとも約50%であることを特徴とする、方法。
[13]
前記第1の活性薬物成分が、βアドレナリン受容体アゴニストであり、抗炎症薬である第2の活性薬物成分が準備される、[12]に記載の方法。
[14]
前記βアドレナリン受容体アゴニストが、インダカテロールまたはその塩であり、前記第2の活性薬物成分がフロ酸モメタゾンである、[13]に記載の方法。
[15]
グリコピロニウム臭化物である第3の活性薬物成分が準備される、[12]から[14]のいずれか一項に記載の方法。