(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374425
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】装身具装置
(51)【国際特許分類】
A44C 5/00 20060101AFI20180806BHJP
A45D 8/36 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
A44C5/00 501A
A44C5/00 502C
A45D8/36 B
A45D8/36 C
A45D8/36 D
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-46998(P2016-46998)
(22)【出願日】2016年3月10日
(65)【公開番号】特開2016-168334(P2016-168334A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2016年5月31日
(31)【優先権主張番号】14/643,530
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500038097
【氏名又は名称】コンエアー・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Conair Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】レアンドロ ピー リズート
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3126113(JP,U)
【文献】
米国特許第05119641(US,A)
【文献】
登録実用新案第3187872(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3076106(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3011726(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3153913(JP,U)
【文献】
特表2014−500095(JP,A)
【文献】
特開2013−132309(JP,A)
【文献】
特許第5087282(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3074799(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3099651(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3155079(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3033680(JP,U)
【文献】
米国特許第06470896(US,B1)
【文献】
登録実用新案第3124219(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3016056(JP,U)
【文献】
実開昭62−033852(JP,U)
【文献】
実開昭63−176447(JP,U)
【文献】
米国特許第05881736(US,A)
【文献】
特開2013−017719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00
A45D 8/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状の外側弾性管状部材と、
該ループ状の外側弾性管状部材の内部に配置された少なくとも1つのループ状の内側弾性部材とを含み、該少なくとも1つの内側弾性部材が中空内部を形成しており、
該少なくとも1つのループ状の内側弾性部材は、それぞれが中空内部を形成している、第1の内側弾性部材及び第2の内側弾性部材を含み、前記ループ状の外側弾性管状部材の周りに取り付けられた装飾エレメントを含み、
前記ループ状の外側弾性管状部材及び前記少なくとも1つのループ状の内側弾性部材は、力が加えられるとそれらの長さに沿って延伸し、かつ前記力が取り除かれるとそれらの元のループ形態に戻ることができ、装身具装置は、単一ループのブレスレットと複数ループの髪留めとの間でコンバーチブルである、装身具装置。
【請求項2】
前記第1の内側弾性部材が、該第1の内側弾性部材の中空内部内に充填材を含む、請求項1に記載の装身具装置。
【請求項3】
前記第1の内側弾性部材及び第2の内側弾性部材のそれぞれが該第1の内側弾性部材及び第2の内側弾性部材の中空内部内に充填材を含む、請求項2に記載の装身具装置。
【請求項4】
前記充填材が充填材ヤーン又はスレッドを含む、請求項3に記載の装身具装置。
【請求項5】
前記充填材が発泡体を含む、請求項3に記載の装身具装置。
【請求項6】
前記外側弾性管状部材内かつ前記内側弾性部材の外部又は内部に配置された少なくとも1つの錘部材を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装身具装置。
【請求項7】
前記装飾エレメントが、前記外側弾性管状部材に巻き付けられた鎖部材を含み、該鎖部材が第1の端部セグメント及び第2の端部セグメントと、該第1の端部セグメントと該第2の端部セグメントとの間に配置された中央セグメントとを有しており、少なくとも該第1の端部セグメント及び第2の端部セグメントが該外側弾性管状部材に固定されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装身具装置。
【請求項8】
複数の固定具を含み、該固定具は前記鎖部材の前記第1の端部セグメント及び第2の端部セグメントに取り付けられ、前記外側弾性管状部材に対して固定されており、各固定具は、該鎖部材の少なくとも2つの隣接する巻きを跨ぐように寸法設定されている、請求項7に記載の装身具装置。
【請求項9】
前記装身具装置が少なくとも1つの錘部材を含み、該錘部材が、前記装飾エレメントに対して前記ループ形態のほぼ直径方向で対向する関係で、前記外側弾性管状部材に取り付けられている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装身具装置。
【請求項10】
前記外側弾性管状部材及び前記少なくとも1つの内側弾性部材がそれぞれループからなる連続したバンドである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装身具装置。
【請求項11】
前記外側弾性管状部材及び前記少なくとも1つの内側弾性部材が、単一ループ形態を成して手首に着用され、1つの連続したループからなる複数ループ形態を成してポニーテールの周りに着用されるように寸法設定されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装身具装置。
【請求項12】
コンバーチブルなブレスレット/髪留めにおいて、
該ブレスレット/髪留めが、単一ループのブレスレットと複数ループの髪留めとの間を推移するのに充分な可撓性を有するコンバーチブルな、ループからなる連続したバンドを含み、該コンバーチブルなバンドが、連続するループ状の外側弾性管状部材と、該ループ状の外側弾性管状部材の内部に配置された、連続するループ状の第1の内側弾性部材及びループ状の第2の内側弾性部材とを含み、前記ループ状の第1の内側弾性部材及び前記ループ状の第2の内側弾性部材のうちの少なくとも一方が、充填材が配置された中空内部を画定しており、
該ブレスレット/髪留めが、該ループ状の外側弾性管状部材の外面に固定された装飾エレメントを含み、
前記ループ状の外側弾性管状部材、前記前記ループ状の第1の内側弾性部材及び前記ループ状の第2の内側弾性部材は、力が加えられるとそれらの長さに沿って延伸し、かつ前記力が取り除かれるとそれらの元のループ形態に戻ることができる、コンバーチブルなブレスレット/髪留め。
【請求項13】
前記装飾エレメントが、前記外側弾性管状部材に巻き付けられた鎖部材を含む、請求項12に記載のコンバーチブルなブレスレット/髪留め。
【請求項14】
前記鎖部材の隣接する巻きに固定された複数の固定具を含む、請求項13に記載のコンバーチブルなブレスレット/髪留め。
【請求項15】
前記固定具が前記鎖部材の端部セグメントに配置されている、請求項14に記載のコンバーチブルなブレスレット/髪留め。
【請求項16】
装身具装置を形成する方法において、
装身具装置のループ状の外側弾性管状部材に装飾エレメントを巻き付け、該装身具装置が該ループ状の外側弾性管状部材の内部に配置された少なくとも1つのループ状の内側弾性部材を含み、
該装飾エレメントの端部セグメントをループ状の外側弾性管状部材に、複数の固定具によって固定することを含み、
前記ループ状の外側弾性管状部材及び前記少なくとも1つのループ状の内側弾性部材は、力が加えられるとそれらの長さに沿って延伸し、かつ前記力が取り除かれるとそれらの元のループ形態に戻ることができ、装身具装置は、単一ループのブレスレットと複数ループの髪留めとの間でコンバーチブルである、装身具装置を形成する方法。
【請求項17】
前記装飾エレメントが鎖部材を含み、端部セグメントの固定が、該鎖部材の隣接する巻きに対して前記固定具を固定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
端部セグメントの固定が、前記鎖部材の隣接する巻きの周りに前記固定具を縫い付けることを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装身具装置、より具体的には、ブレスレット、アンクレット、及び/又は髪留めとして使用することを含む多様な用途を有するコンバーチブルな装身具装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファッションアイテム、例えばブレスレット、アンクレット、ヘッドバンド、及びポニーテール・ホルダ又はブレイド・ホルダが当業者によく知られている。これらのアイテムは、弾性バンド、スクランチ(scrunch)、リボン、リングなどを含む。コンベンショナルなブレスレット又はポニーテール・ホルダは、例えば中実のゴムバンド又は織物弾性バンドを含む弾性バンドの形態を成すことがある。コンベンショナルな弾性ブレスレットは、収縮なしに手首に保持されるために最小限の可撓性を示す。他方において、ポニーテール・ホルダを含む髪留め、具体的にはポニーテールの周りで複数回ループを形成するように意図されているポニーテール・ホルダは、毛髪の周りに髪留めを位置決めするのを容易にするために比較的可撓性である。
【0003】
一般に、従来のブレスレット及び髪留め又はポニーテール・ホルダは、これらの意図された目的においては効果的である。しかしながら、これらの装置は、それぞれの構造に起因して多様な用途に使用することはできない。例えば周知のブレスレットは、弾性タイプのブレスレットでさえも、対象者の手首の周りに、非拘束型の単一ループ形態を維持するのに充分に剛性である。これらのブレスレットの剛性は、毛髪の保持におけるブレスレットの使用を不可能にする。周知の髪留め又はポニーテール・ホルダは毛髪に複数回巻き付けるために可撓性であり、ひいては、ブレスレットとして使用しようとすると、手首上で適切に見えなくなってしまう。
【発明の概要】
【0004】
従って、本発明は、ブレスレット、アンクレット、ネックレス、又は他のループ型宝飾品の形態を成す第1の状態と、髪留め又はポニーテール・ホルダの形態を成す少なくとも第2の状態とを有するコンバーチブルなファッション装身具に関する。一実施態様では、装身具装置は外側弾性部材と、外側弾性部材の内部に配置された少なくとも1つの内側弾性部材とを含み、この少なくとも1つの内側弾性部材が中空内部を形成している。装身具装置は第1及び第2内側弾性部材を含んでよい。第1内側弾性部材は、第1内側弾性部材の中空内部内に充填材を含んでよい。或いは、第1及び第2内側弾性部材のそれぞれが充填材を含んでもよい。充填材は充填材ヤーン又はスレッド及び/又は発泡体を含んでよい。
【0005】
装置は、外側弾性部材の周りに取り付けられた装飾エレメントを含んでよい。装飾エレメントは、外側弾性部材に巻き付けられた鎖部材を含んでよい。鎖部材は第1及び第2端部セグメントと、第1端部セグメントと第2端部セグメントとの間に配置された中央セグメントとを有している。少なくとも第1及び第2端部セグメントは外側弾性部材に対して固定されている。鎖部材の第1及び第2端部セグメントに複数のファスナが取り付けられ、ファスナは外側弾性部材に対して固定されてよい。各ファスナは、鎖部材の少なくとも2つの隣接する巻きを跨ぐように寸法設定されていてよい。
【0006】
装飾エレメント又は外側弾性部材のうちの一方に少なくとも1つの錘部材が取り付けられていてよい。一実施態様では、少なくとも1つの錘部材は、装飾エレメントに対してほぼ直径方向で対向する関係で、外側弾性部材に取り付けられていることにより、装身具装置がブレスレット又はアンクレットとして着用されるときに装飾エレメントが外方に向かって提示されるのが容易になる。
【0007】
外側弾性部材及び少なくとも1つの内側弾性部材はそれぞれ連続バンドであってよい。外側弾性部材及び少なくとも1つの内側弾性部材は、単一ループ形態を成して手首に着用され、複数ループ形態を成してポニーテールの周りに着用されるように寸法設定されていてよい。
【0008】
別の実施態様では、コンバーチブルなブレスレット/髪留めが、単一ループのブレスレットと複数ループの髪留めとの間を推移するのに充分な可撓性を有するコンバーチブルな連続バンドを含む。コンバーチブルなバンドは、連続する外側弾性部材と、外側弾性部材の内部に配置された、連続する第1及び第2の内側弾性部材とを含む。第1及び第2の内側弾性部材のうちの少なくとも一方が、充填材が配置された中空内部を形成している。第1及び第2の内側弾性部材のそれぞれが、充填材が配置された中空内部を形成していてよい。一実施態様では、外側弾性部材の周りに装飾エレメントが取り付けられている。装飾エレメントは、外側弾性部材に、例えばらせん状に巻き付けられた鎖部材を含む。
【0009】
一実施態様では、装身具装置を形成する方法が開示される。この方法は、
装身具装置の外側弾性部材に装飾エレメントを巻き付け、装身具装置が外側弾性管状部材の内部に配置された少なくとも1つの内側弾性部材を含み、
装飾エレメントの端部セグメントを外側弾性部材に、複数のファスナによって固定する
ことを含む。
【0010】
装飾エレメントは鎖部材を含んでよく、端部セグメントの固定は、例えば鎖部材の隣接する巻きの周りにファスナを縫い付けることによって、鎖部材の隣接する巻きに対してファスナを固定することを含んでよい。
【発明の効果】
【0011】
装身具装置の外側及び内側弾性部材の構造は、単一ループ形態を維持しながら手首に着用するのに充分な剛性を有し、また髪留め又はポニーテール・ホルダとして機能するように毛髪(例えばポニーテール)の周りにループを形成するのに充分な可撓性を示す装置を提供する。装身具装置は、装置の構造的完全性に影響を及ぼすことなしに、比較的容易に、且つ対象者のために必要とされる手間によって、単一ループ形態と複数ループ形態との間を推移することができる。外側及び内側弾性部材のさらなる詳細及び利点は、下記説明から明らかになる。
【0012】
本発明の実施態様は図面を参照することにより容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、外側バンドと装飾エレメントとを示す、本発明の原理に基づく装身具装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、外側バンドの一部が取り除かれ、装飾エレメントが概略的に示された、
図1の装身具装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、外側バンドの外側弾性部材と、第1及び第2の内側弾性部材とを示す、
図2の3−3線に沿った装身具装置の断面図である。
【
図4】
図4は、装飾エレメントと、外側及び内側弾性部材との関係を示す、
図2の4−4線に沿った装身具装置の断面図である。
【
図5】
図5は、外側弾性部材の周りに装飾エレメントを取り付けるための1つの方法を示す、
図1の装身具装置の図である。
【
図6】
図6は、外側弾性部材に装飾エレメントを固定することを示す拡大図である。
【
図7】
図7は、対象者の手首の周りに着用されたブレスレットの形態を成す装身具装置を示す図である。
【
図8】
図8は、対象者のポニーテールの周りに着用されたポニーテール・ホルダの形態を成す装身具装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に
図1を参照すると、本発明の原理に基づく装身具装置10が示されている。装身具装置10は、種々の機能間で転換又は変化するように構成されている。例えば、装身具装置10は第1の状態では、リストレット、アンクレット、又はブレスレットの形態を成してよく、第2の状態では、ヘアホルダ又は髪留め(例えばポニーテール・ホルダ又はブレード・ホルダ)の形態を成してよい。装身具装置10の種々の他のファッション用途も考えられる。
図1において、装身具装置は装飾エレメント100を含んでいる。装飾エレメント100は、鎖部材、宝石の配列、又はこれに類するものを含む宝飾品であってよい。装飾エレメント100のさらなる詳細、及び装身具装置の他の構成部分との組み付け又は組み立ての1つの方法を、下でさらに詳細に論じる。
【0015】
図3〜4の断面図とともに、ここで
図2を参照しながら装身具装置10について論じる。
図2〜4には、装身具装置100は概略的に示されている。装身具装置10は、外側バンド又は外側弾性部材14と、少なくとも1つの、例えば2つ又は3つ以上の内側バンド又は内側弾性部材16とを有する連続バンド12を含む。外側弾性部材14はほぼ管状であってよく、内部容積18を形成する。内部容積は内側弾性部材16を収容している。1つの実施態様では、外側弾性部材14は、その標準状態又は静止状態において所定の長さを有する連続バンド又はループである。別の実施態様では、外側弾性部材14は不連続であり、互いに結合されているか、或いは縫合、接着剤、又はこれに類するものを含むコンベンショナルな手段を介して、連続バンド12内部で結合されていてよい。外側弾性部材14は、弾性特性を有する織物又は編組布地を含む数多くの材料から製造されてよく、これにより外側弾性部材14は、力が加えられるとその長さに沿って延伸し、力が取り除かれるとその所定の長さに戻ることができる。外側弾性部材14は、不織布材料から構成されてもよく、力が加えられると延伸又は伸長することができる。例えば、一実施態様では、外側弾性部材14は、合成の、又は天然繊維に由来する有機化学組成物を含む材料から編組物、又は織物として製造されてよい。このような材料は、羊毛、綿、ヘンプ、リネン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアミドを含む。
【0016】
外側弾性部材14は、円形、楕円形、及び/又は多角形の形態を含む種々の断面形状を定義することができる。
図1〜3に示された実施態様では、外側弾性部材14は円形であり、外径又は断面寸法OD
Oと内法寸法OD
Iとを定義している。OD
Oは約1/8〜約1インチであってよいが、しかし他の寸法も考えられる。外側弾性部材14の直径又は断面寸法OD
Oはその全長にわたって一定であってよく、或いはその長さに沿って変化してもよい。内法寸法又は内径OD
Iは、外側弾性部材14の壁の厚さに依存する。一実施態様では、内法寸法OD
Iは、外径OD
Oよりも僅かに小さい。
【0017】
内側弾性部材16はそれぞれほぼ管状であり、中空内部20を形成してよい。中空内部20は少なくとも部分的に充填材22、例えばヤーン、スレッド、及び/又は発泡体のストランドで充填されてよい。好適な充填材22は、綿、絹、リネン、合成繊維、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、又はこれに類するものを含む。内側弾性部材16は、力を加えるとその長さに沿って延伸し、力を取り除くと元のループ形態に戻るように弾性的であってよい。内側弾性部材16は外側弾性部材14と同様の(上記)材料から製造されてよい。内側弾性部材16は連続ループを形成してよく、或いは不連続であり、互いに結合されているか、或いは縫合、接着剤、又はこれに類するものを含むコンベンショナルな手段によって、外側弾性部材14に結合されていてよい。内側弾性部材16は種々の断面寸法、又は例えば円形、楕円形、又は多角形を含む種々の断面形状を有してよい。一実施態様では、内側弾性部材16の組み合わされた断面寸法は、外側弾性部材14の内部容積18の断面積、例えば内法寸法OD
Iの大部分を占める。このことは、装身具装置10の構造安定性を高め、外側弾性部材14の半径方向の変形の影響を最小限にすることもできる。
図1〜3に示された実施態様では、内側弾性部材16の断面形状は環状であり、例えば楕円形である。別の実施態様では、それぞれの内側弾性部材16の断面形状は円形であってもよい。一実施態様では、内側弾性部材16の断面寸法は外側弾性部材14の内法断面寸法OD
Iの約1/2に近似してよく、これにより、両内側弾性部材16の組み合わされた断面寸法は外側弾性部材14の内法寸法OD
Iに近似する。他の寸法、又は断面形状も考えられる。例えば内側弾性部材16のそれぞれの断面寸法は、外側弾性部材14の内法断面寸法OD
Iの約1/2よりも小さくても大きくてもよい。
【0018】
装身具装置10の外側及び内側弾性部材14,16の構造は、単一ループ形態を維持しながら、対象者の手首又はくるぶしに着用するのに充分な剛性を有し、また髪留め又はポニーテール・ホルダとして機能するように毛髪(例えばポニーテール)の周りに2回又は3回以上ループを形成するのに充分な可撓性を示す装置を提供する。充填材22の有無とは無関係に、外側及び内側14,16の管状又は中空の形態は、毛髪への使用のためのループ形成過程中に装身具装置10に加えられる力に順応し、これを補償し、且つ/又は調節し、力が取り除かれると、その標準的な所定の安定な(例えば比較的剛性の)単一ループ形態にいかなる変形も伴わずに推移し、又は戻ることになる、と考えられる。さらに、装身具装置10は、比較的容易に、且つ対象者のために必要とされる手間によって、単一ループ形態と複数ループ形態との間を直ちに推移することができる。内側弾性部材16は、装身具装置の単一ループ状態の完全性を維持するために、外側弾性部材14に対する支持体を提供する。他方において、内側弾性部材16のそれぞれの中空断面は、装身具装置10がそれ自体の上にループを形成されたときに変形されることになる材料の体積を低減し、ひいては毛髪の周りでの操作及び装着を容易にする。
【0019】
上記のように、装身具装置10は装飾エレメント100を含んでもよい。装飾エレメントは一実施態様では、外側弾性部材14の外面に取り付けられている。装飾エレメント100は外側弾性部材14に固定されてよく、或いは、外側弾性部材14に沿った往復運動を可能にする形で取り付けられてもよい。再び
図1を参照すると、1つの好ましい実施態様において、装飾エレメント100は鎖部材の形態を成す宝飾品又は装飾品である。鎖部材は、外側弾性部材14の外面に例えばらせん状に巻き付けられる。オーバーラップ配置、ジグザグ、又はこれに類する物を含む他の鎖配向も考えられる。鎖部材は中実であるか、又はその長さに沿ってループ又は開口102を含んでもよい。鎖部材は外側弾性部材14に巻き付けられるように、毛髪の周りに利用する際に装身具装置10を複数ループ形態へ推移するのを妨害しないように充分な可撓性を有している。開口102は鎖部材の可撓性特性を高めることができる。
【0020】
図5〜6を参照すると、1つの組み立て方法において、鎖部材の形態を成す装飾エレメント100は一方の端部104で保持又は固定されるのに対して、他方の端部106は、鎖部材が外側弾性部材14の周りに例えばらせん状に、少なくとも部分的又は完全に巻き付けられるまで、
図5の方向矢印「k」の方向で外側弾性部材14の周りにループ形成される。
図6の拡大図に示された1つの実施態様では、複数のファスナ108は、外側弾性部材14の周面に沿って、鎖部材の隣接するループセグメント「a1」,「a2」,「a3」,「a4」などを通して固定されている。ファスナ108は、隣接するループセグメント(「a1」、「a2」、「a3」、「a4」...)の外面の周りに交互に配置されてよく、或いは鎖部材の開口102を通して固定されてよい。1つの方法において、隣接するループセグメント(「a1」、「a2」、「a3」、「a4」...)の外面の周りに半径方向に間隔を置いて、例えば30°、45°、60°,90°、又は120°の間隔で、複数のファスナ108を固定することができる。他の間隔も考えられる。1つのファスナ108が2つよりも多くのループセグメント「a1」、「a2」、「a3」を取り囲むこと、例えば3つ又は4つ以上のループセグメントを跨ぐことも考えられる。他の配列も考えられる。一実施態様では、各端部104,106の鎖部材の端部104,106(例えば最初の3つのループ「a1」、「a2」、「a3」)だけが固定され、これに対して鎖部材の中央区分110は固定されない。他の実施態様では、ファスナ108は鎖部材の長さに沿って配置されてよい。採用されるファスナ108は、単一ループ形態と複数ループ形態との間で装身具装置が複数回にわたって推移する間、鎖部材を外側弾性部材14上に保持するのに充分な剛性を有する任意の材料を含んでよい。例えば、ファスナ108はスレッド又はフィラメントから形成され、天然材料又は合成材料、例えばナイロン又はこれに類するものから成っていてよい。ファスナ108はコンベンショナルな手段を介して、少なくとも外側弾性部材14を通して縫い付けられてよい。ファスナ108は全体的又は部分的に透明であってよい。
【0021】
他の実施態様では、装飾エレメント100は環状スリーブを含んでいてよい。環状スリーブは外側弾性部材14を少なくとも部分的に又は完全に取り囲む。スリーブは、布地、エラストマー、及び/又は金属材料から製造されてよく、装身具装置10の視覚効果を高めるために外側弾性部材14の外観とのコントラストを成してよい。装飾エレメント100のスリーブの少なくとも一部、又は全体は、対象者の手首、くるぶし、及び/又は毛髪の周りにおける位置決めを可能にするように可撓性であってよい。別の実施態様では、対象者のポニーテール又は毛髪の周りで装身具装置10をループ形成するのを妨害するほどには装飾エレメント100が大型でないことを条件として、装飾エレメント100は剛性であってもよい。
【0022】
図2〜4を引き続き参照すると、装身具装置10はさらに、少なくとも1つの一次錘部材24を含んでよい。一次錘部材24は外側弾性部材14及び/又は内側弾性部材16の内部に埋め込まれてよい。一実施態様では、一次錘部材24は外側弾性部材14の内面に固定されている。一次錘部材24は金属、織物、又はポリマー材料を含む任意の材料から製造されてよい。一次錘部材24は、装身具装置10のループ形成を妨害しないように可撓性であってよく、或いは剛性であってもよい。剛性の錘部材は装身具装置10の操作を妨害しないように寸法が小さくなると考えられる。一実施態様では、一次錘部材24は、装飾エレメント100に対してほぼ直径方向で対向する関係で位置決めされている。この位置において、一次錘部材24は、装身具装置10が手首に緩く位置決めされたときに、装飾エレメント100を外方に向けるのを容易にすることができる。装身具装置10は任意には、一次錘部材24に対して180°の間隔、又は90°の間隔で位置決めされた補足錘部材26を含んでいてもよい。補足錘部材26もまた、装飾エレメント100が外方に向かって提示されるのを容易にすることができる。別の実施態様では、装身具装置10は錘部材を有さなくてもよく、それでもなお所望の通りに動作することができる。さらに別の実施態様として、装飾エレメント100の内部に、又はこれに隣接して錘部材を取り付けることもできる。
【0023】
図7は装身具装置10を、リストレット又はブレスレットとして対象者の手首「w」に位置決めされた第1の状態、例えば単一ループ形態で示している。装身具装置10は、装飾エレメント又は鎖部材100が可視化のために手のひらから離れる方向に外方に向くように位置決めすることができる。一次及び/又は補足錘部材24,26は、上述のように装飾エレメント100が外方に向けられるのを容易にすることができる。単一ループ形態において、装身具装置10は、上述の中空の外側及び内側弾性部材14,16の構造特性によってもたらされるような座屈、圧潰、又はこれに類するものを生じさせることなしに、その所定のループを維持するのに充分に剛性である。
【0024】
図8は装身具装置10を、ポニーテール・ホルダ又は髪留めとして対象者の毛髪「h」の周りに位置決めされた第2の状態、例えば複数ループ形態で示している。上述のように、装身具装置10は、外側及び内側弾性部材14,16の構造によって容易にループ形成される。装飾エレメント100は可視化のために外方に向くように配置されていてよい。
【0025】
本明細書中に具体的に記載され、添付の図面に示された装置及び方法が非制限的な模範実施態様であることは当業者には明らかである。1模範実施例との関連において図示又は記載されたエレメント及び特徴を、本発明範囲から逸脱することなしに別の実施態様のエレメント及び特徴と組み合わせることが考えられる。さらに、上記実施態様に基づく開示内容のさらなる特徴及び利点も当業者には明らかとなる。従って、開示内容は具体的に図示され記載されたものによって制限されるべきではない。