(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記モータ部ユニット(Ym)は、上記駆動軸(Ma)に固着され上記一軸心(L)廻りに回転する回転部材(9)と、該回転部材(9)に傾斜状に固着されると共に上記一軸心(L)廻りに円錐面状の軌跡を描くように周回する軸部材(90)と、を備え、
上記ポンプ部ユニット(Yp)は、上記ダイヤフラム部(61)から上記軸心他方向(E2)へ突設されたダイヤフラム駆動部(62)が取着され上記軸部材(90)の上記周回によって上記ポンプ室(94)を拡大・縮小させるための揺動部材(8)を備え、
上記揺動部材(8)は、上記軸部材(90)が挿入される差込孔部(82)を有し、
上記差込孔部(82)は、上記モータ部ユニット(Ym)と上記ポンプ部ユニット(Yp)とを軸心方向に相対的に接近させる際に上記軸部材(90)を孔奥部側へ誘導するためのガイドテーパ面(82a)を有する請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電動モータの寿命が約1万時間であるの対し、ダイヤフラム集合体の寿命は、気体使用で約3000時間(液体使用は約300時間)であるため、電動モータが使用可能でありながらダイヤフラムポンプ集合体の寿命により正常に機能しなくなる場合がある。この場合、リテーナ部材とケース部材とを固着するための複数本のネジを取り外して、ダイヤフラムポンプを分解して、ダイヤフラム集合体のみを交換することが考えられるが、手間と時間がかかると共に、組み付け不具合や組付け時の異物混入等の不具合が発生する虞があるため、電動モータは使用可能であるがダイヤフラムポンプそのものを交換していた。
つまり、電動モータの寿命が尽きる前に、電動モータも交換するため、ダイヤフラムポンプを用いた装置や機器の保守費用(ランニングコスト)に無駄があるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ダイヤフラム集合体の交換を容易かつ迅速に行えるダイヤフラムポンプの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のダイヤフラムポンプは、一軸心廻りに回転する
と共に軸心一方向へ突設された駆動軸を有する電動モータと、該電動モータに固着され上記駆動軸が内部に突設されるケース部材と、を有するモータ部ユニットを備え、さらに、ポンプ室を形成するためのダイヤフラム部を複数有すると共に上記一軸心に直交面状に形成され複数の上記ダイヤフラム部を一体状に連結する連結盤部を有するゴム製のダイヤフラム集合体と、該ダイヤフラム集合体の上記連結盤部を
軸心他方向側から支持するリテーナ部材と、を有するポンプ部ユニットを備え、上記ケース部材は、円筒状の周壁部
の外周面からラジアル外方へ突設され
た係止凸部を有し、上記リテーナ部材は、円筒状の周壁部
の外周面からラジアル外方へ突設された外方肉盛部と、該外方肉盛部から上記軸心他方向へ突設された爪部
と、を有し、
上記爪部は、上記外方肉盛部から上記軸心他方向へ突設された当り片部と、該当り片部から上記一軸心廻りの周方向に沿って突設された係止片部と、を有するL字状であって、上記ケース部材と上記リテーナ部材とを、上記爪部と上記係止凸部の上記一軸心廻りの係合によって着脱自在に取着して、上記ポンプ部ユニットと、上記モータ部ユニットとを、組付・分離自在に構成し
、さらに、上記ポンプ部ユニットと上記モータ部ユニットとの組付完了状態において、上記係止凸部が上記係止片部を上記軸心他方向へ押圧して上記爪部を弾性変形させ、上記ケース部材と上記リテーナ部材との軸心方向のガタつきを防止するように構成したものである。
【0007】
また、上記モータ部ユニットは、上記駆動軸に固着され上記一軸心廻りに回転する回転部材と、該回転部材に傾斜状に固着されると共に上記一軸心廻りに円錐面状の軌跡を描くように周回する軸部材と、を備え、上記ポンプ部ユニットは、上記ダイヤフラム部から
上記軸心他方向へ突設されたダイヤフラム駆動部が取着され上記軸部材の上記周回によって上記ポンプ室を拡大・縮小させるための揺動部材を備え、上記揺動部材は、上記軸部材が挿入される差込孔部を有し、上記差込孔部は、上記モータ部ユニットと上記ポンプ部ユニットとを軸心方向に相対的に接近させる際に上記軸部材を孔奥部側へ誘導するためのガイドテーパ面を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電動モータを有するモータ部ユニットから、ポンプ部ユニットを容易かつ迅速に取り外して、新たなポンプ部ユニットに交換できる。つまり、寿命の尽きていない電動モータを交換する必要がなくなり(電動モータを引き続き使用でき)、ダイヤフラムポンプを用いる装置や機器のランニングコストを軽減できる。保守・修理作業において組付けミスや組付け時の異物混入等の不具合を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係るダイヤフラムポンプは、
図1乃至
図4に示すように、一軸心L廻りに回転する駆動軸Maを有する電動モータMと、電動モータMに固着されるケース部材1と、駆動軸Maに固着され一軸心L廻りに回転駆動する回転部材9と、回転部材9に傾斜状に固着される軸部材90と、ポンプ室94を形成するダイヤフラム部61を複数有するダイヤフラム集合体6と、ダイヤフラム部61からモータ側へ突設されたダイヤフラム駆動部62が取着される接続部81を有すると共に軸部材90が差し込まれる揺動部材8と、ダイヤフラム集合体6をモータ側から支持するリテーナ部材(支持部材)2と、ダイヤフラム部61と共にポンプ室94を形成する中蓋部材3と、中蓋部材3に取着されポンプ室94に対応する傘状の吸入弁体7と、中蓋部材3と共に吸入路92及び吐出路96を形成する外蓋部材5と、中蓋部材3と外蓋部材5の間に介装されるパッキン部材4と、を備えている。
【0011】
そして、駆動軸Maの回転駆動によって、回転部材9が一軸心L廻りに回転して、軸部材90が一軸心L廻りに円錐面状の軌跡を描いて周回し(擂粉木状運動して)、揺動部材8の接続部81が往復揺動して、ダイヤフラム集合体6の各ダイヤフラム駆動部(駆動軸部)62をピストン(往復)運動させて、ポンプ室94を拡大・縮小させる流体用のダイヤフラムポンプである。
【0012】
さらに、電動モータMとケース部材1と回転部材9と軸部材90を組み付けて構成した(備えた)モータ部ユニットYmと、外蓋部材5とパッキン部材4と中蓋部材3と吸入弁体7とダイヤフラム集合体6と揺動部材8とを組み付けて構成した(備えた)ポンプ部ユニットYpと、によって、ダイヤフラムポンプを構成している。
なお、説明を容易にするために、駆動軸Maの突出方向(矢印E1の方向)を軸心一方向E1と呼び、反対方向(矢印E2の方向)を軸心他方向E2と呼ぶ場合がある。
【0013】
モータ部ユニットYmは、電動モータMの一端面(駆動軸側端面)にケース部材1の底壁部19を取着ネジ99にて固着すると共にケース部材1の内部に駆動軸Maを突設させ、ケース部材1内の駆動軸Maを、回転部材9のモータ側端面に凹設した駆動軸取付孔に差し込んで圧入又は接着材等で固着すると共に、回転部材9の一端面(軸心一方側端面)に凹設した差込凹部9dに軸部材90を一軸心Lに対して傾斜状に差し込んで圧入又は接着材等で固着して、一体化(ユニット化している)。
【0014】
ポンプ部ユニットYpは、リテーナ部材2に、ダイヤフラム集合体6、吸入弁体7を取着した中蓋部材3、パッキン部材4、外蓋部材5、を軸心一方向E1側から順次重ねて配設し、組付ネジ98を外蓋部材5と中蓋部材3に串刺し状に挿通させてリテーナ部材2に螺着(固着)し、外蓋部材5と中蓋部材3とでパッキン部材4を挟圧状に保持すると共に、リテーナ部材2と中蓋部材3とでダイヤフラム集合体6の連結盤部69を挟圧状に保持して、一体化している(ユニット化している)。
【0015】
また、ポンプ部ユニットYpは、吸入口部91と吸入路92と吸入弁93とポンプ室94と吐出弁95と吐出路96と流体吐出口部97とを有している。
つまり、送流される流体が、ポンプ部ユニットYp内を流れ、モータ部ユニットYmを構成する部品には接触しないように構成している。
【0016】
さらに、
図4乃至
図6に示すように、ケース部材1とリテーナ部材2とを、一軸心L廻りの係合によって着脱自在に取着して、モータ部ユニットYmとポンプ部ユニットYpとを、組付・分離自在に構成している。
【0017】
ケース部材1は、有底筒状の樹脂製であって、円筒状の周壁部13に、外周面13dからラジアル外方に突設する係止凸部10を複数(2つ)有している。
係止凸部10は、側面視でモータ側へ膨出する半円形状であり、かつ、外周面13dに沿った平面視円弧状(横断面形状円弧状)である。
【0018】
リテーナ部材2は、有蓋筒状の樹脂製であって、円筒状の周壁部23に、外周面23dからラジアル外方へ突設される外方肉盛部24を複数(2つ)有し、各外方肉盛部24からモータ側(軸心他方向E2)へ突設されるL字状の爪部20を有している。
リテーナ部材2の周壁部23の外径寸法は、ケース部材1の周壁部13の外径寸法と同等に形成している。
【0019】
爪部20は、外方肉盛部24のモータ側端縁部から軸心方向に沿って(周壁部23のモータ側端面2bよりも)モータ側へ突出する当り片部20eと、当り片部20eのモータ側端部から周方向に沿って突設される係止片部20fと、を有している。
係止片部20fは、先端部に軸心一方向E1へ膨らむ側面視台形山方の膨出部20gを有している。
【0020】
図7に於て、爪部20及び外方肉盛部24は底面視円弧状(横断面形状が円弧状)であって、内周円弧面20cの曲率半径は、ケース部材1の周壁部13の外周面13dの半径と同等に形成している。
爪部20を円弧状に形成することで、ダイヤフラムポンプ全体の径方向寸法の大型化を抑制できる(径方向寸法を小さくできる)。
【0021】
さらに、リテーナ部材2は、周壁部23の内周面23cからラジアル内方へ突設される内方肉盛部26を複数有し、各内方肉盛部26から(モータ側端面2bよりも)モータ側へ突設されるガイド突片部25(
図1及び
図2参照)を有している。
ガイド突片部25は、底面視(横断面)円弧状であって、外周円弧面25dの曲率半径は、ケース部材1の周壁部13の内周面13cの半径と同等に形成している。
図例では、ガイド突片部25は、一軸心L廻りに3つ設けている。
【0022】
また、
図1と
図2及び
図7に示すように、軸部材90が差し込まれる揺動部材8の差込孔部82は、開口端部に、モータ側に向って拡径するガイドテーパ面82aを有している。
【0023】
図4に示すように、モータ部ユニットYmとポンプ部ユニットYpとを軸心方向に相対的に接近させると、揺動部材8のガイドテーパ面82aに軸部材90の先端が摺接して、軸部材90は、スムーズに孔奥部側(軸心一方側E1)へ誘導されて差し込まれる。
また、揺動部材8の差込孔部82の開口端に軸部材90の先端が当接すると、ダイヤフラム部61の弾性変形(伸縮)によって揺動部材8のボス部80が首振して軸部材90に沿うため、軸部材90が傾斜状であるにもかかわらず、スムーズに差し込むことができる。そして、軸部材90を介して電動モータMの駆動力が、揺動部材8に伝達される(内部の)連結状態が得られる。
また、複数のガイド突片部25の外周円弧面25bが、夫々、ケース部材1の内周面13cに摺接又は接近して、ケース部材1に内嵌状に配設され、リテーナ部材2とケース部材1とを同心状に位置決めする。
【0024】
図5に示すように、ケース部材1の(周壁部13)の一端面1aと、リテーナ部材2の(周壁部23の)モータ側端面2bと、の当接状態で、ポンプ部ユニットYpとモータ部ユニットYmとを軸心L廻りに相対的に相互に異なる所定係合方向へ回転させると、係止凸部10が、爪部20の膨出部20gをモータ側へ押圧して係止片部20fを弾性変形させ、膨出部20gを乗り越える。
【0025】
そして、
図6に示すように、リテーナ部材2の(左右一対の)爪部20と、ケース部材1の(左右一対の)係止凸部10とが、一軸心L廻りに係合した、組付完了状態となる。
また、ポンプ部ユニットYpとモータ部ユニットYmとを軸心L廻りに相対的に相互に異なる所定係合方向へ回転させる際に、ガイド突片部25の外周円弧面25dとケース部材1の内周面13cとが相互に摺接して、同心状態が保持されつつスムーズに回転する。
【0026】
組付完了状態において、ポンプ部ユニットYpとモータ部ユニットYmが一軸心L方向に分離する外力が作用しても、係止凸部10に、爪部20の係止片部20fが係止して、分離が阻止される。
組付完了状態において、係止凸部10は、爪部20の係止片部20fをポンプ側へ僅かに押圧して弾性変形させ、この押圧力によって、リテーナ部材2の他端面2bを、ケース部材1の一端面1aに密着させ、軸心方向のガタつきを防止す
る。
【0027】
そして、所定の操作回転力をもって、ポンプ部ユニットYpとモータ部ユニットYmとを相対的に一軸心L廻りに相互に異なる所定解除方向へ回転させると、係止凸部10が、爪部20の膨出部20gを押圧し、係止片部20fをモータ側へ弾性変形させつつ膨出部20gを乗り越えて、係合状態が解除される。なお、所定の操作回転力よりも小さい回転外力が付与された場合は、係止凸部10は膨出部20gを乗り越えず係合状態が保持される。
【0028】
また、組付完了状態において、電動モータMの駆動軸Maが一軸心L廻りの回転方向Nに回転すると、
図6に示すように、ポンプ部ユニットYpは、回転方向Nと同方向の回転トルクTを受けることになる。しかし、組付完了状態で爪部20の当り片部20eを係止凸部10よりも回転方向Nの上流側に配設して、ポンプ部ユニットYpに回転トルクTが作用しても、当り片部20eが係止凸部10に当接して回転トルクTを受けるように構成している。
言い換えると、上述の所定係合回転方向は、駆動軸Maの回転方向Nと同方向である。
【0029】
そして、ダイヤフラム集合体6等のゴム製品の寿命が近づいた、或いは、ゴム製品の不具合が発生した場合に、
図6の組付完了状態から、爪部20と係止凸部10が周方向に離間するように、ポンプ部ユニットYpとモータ部ユニットYmとを、相対的に一軸心L廻りに相互に異なる所定解除方向に、所定の操作回転力をもって回転させると、係止凸部10が膨出部20gを乗り越えて
図5に示すように、係合が解除され、その後、
図4に示すように、ポンプ部ユニットYpとモータ部ユニットYmとを軸心方向に分離できる。
そして、所定の寿命と適正な品質を有するゴム製品を備えた(予めユニット化している)新たなポンプ部ユニットYpを、分離後のモータ部ユニットYmに係合して組み付けて、ダイヤフラムポンプを構成する。
言い換えると、モータ部ユニットYmを共用とし、ポンプ部ユニットYpを交換自在としている。
即ち、ケース部材1とリテーナ部材2の係脱をもって、外部側の連結保持状態・分離可能状態とに切り換え可能であると共に、軸部材90と揺動部材8の差込孔部82の抜き差しをもって内部側の連結保持状態・分離可能状態に切換え可能である。特に内部側は、上述の構造によって、動力連結と動力分断が行えるように構成されている。
【0030】
また、細菌やウイルス、血液や薬剤等の医療や研究用検査装置に用いる場合は、検査毎に、ポンプ部ユニットYpを交換することで、ポンプ室94や各流路の残留物による誤検査や汚染を防止できる。ポンプ室94や各流路を検査毎に洗浄する必要がなく、感染やバイオハザードの危険性を削減できて安全である。
また、人工呼吸器の加温加湿器に於ては、患者毎や所定期間毎に、ポンプ部ユニットYpを交換することで、衛生的で、汚染や院内感染を防止できる。
また、ネブライザ(薬液噴霧機器)に於て空気送流用として用いた場合に、薬液の逆流等により、ポンプ室94や各流路が汚染された場合に、ポンプ部ユニットYpを交換することで、衛生的に使用できる。
【0031】
ここで、モータ部ユニットYmを構成する部材について、さらに説明すると、
図1乃至
図3に示すように、ケース部材1は、樹脂製であって、底壁部19に、駆動軸Maが挿通可能な中心孔を有すると共にモータ固着用の取着ネジ99が挿通する取着用貫孔を複数有している。回転部材9は、短円柱状の樹脂製であって、一端面9aに差込凹部9dを有している。また、他端面に駆動軸取付孔を凹設している。軸部材90は、丸棒状の金属製であって、先端(軸心一方向E1側端部)がテーパ状乃至丸山状に形成している。電動モータMは、短円柱状であって、他端面に電気配線接続部(図示省略)を有している。
【0032】
また、ポンプ部ユニットYpを構成する部材について、さらに説明すると、揺動部材8は、樹脂製であって、軸部材90が抜き差し自在に挿入される差込孔部82を有するボス部80と、ボス部80の一端部から傘状にラジアル外方側へ突出した接続部81と、を有している。接続部81は、3叉状の傘型であって、3つのダイヤフラム駆動部62が夫々挿通して嵌合する取着孔81aを有している。
【0033】
ダイヤフラム集合体6は、椀型のダイヤフラム部61と、ダイヤフラム部61の開口周縁部から軸心一方向E1に延伸状に突設された薄膜円筒状の吐出弁筒部65と、ダイヤフラム部61からモータ側(軸心他方向E2)へ突出するダイヤフラム駆動部(駆動軸部)62と、を有する複数のダイヤフラム体60を備えている。
そして、ダイヤフラム集合体6は、3つのダイヤフラム体60を、回転軸心L廻りの円周方向に120度等間隔で配設し、ダイヤフラム部61(吐出弁筒部65の基端部近傍)を一軸心Lに直交面状の平板状の連結盤部(パッキン部)69によって連結して一体状に形成したゴム製である。
【0034】
リテーナ部材2は、樹脂製であって、ダイヤフラム集合体6の連結盤部69に当接してモータ側から支持するように一軸心Lに直交面状の支持盤壁部21と、支持盤壁部21に貫設され各ダイヤフラム部61に対応する複数の逃がし孔部22と、支持盤壁部21の外縁部からモータ側へ突出する円筒状の周壁部23と、を有している。
【0035】
中蓋部材3は、樹脂製であって、ポンプ側(裏面側)に、ダイヤフラム体60(ダイヤフラム部61)と共にポンプ室94を形成する有底円筒状の弁座部31を、ダイヤフラム体60の数に対応させて3つ有している。
弁座部31は、ダイヤフラム体60の吐出弁筒部65の内周面が密着分離自在に覆うように接触する吐出弁座用の円筒状壁部31aを有している。
つまり、ダイヤフラム集合体6の吐出弁筒部65と、中蓋部材3の円筒状壁部31aと、で、吐出弁95を構成している。
また、中蓋部材3は、吸入弁体7が取着されると共に、ポンプ室94と吸入路92を連通するための吸入孔33が貫設された吸入弁座用の底壁部31bを有している。
つまり、吸入弁体7の弁部71と、中蓋部材3の底壁部31bと、で吸入弁93を構成している。
【0036】
吸入弁体7は、傘状のゴム製であって、底壁部31bに挿通状に取着され、弁部71がポンプ室94の拡大・縮小(圧縮)に応じて吸入孔33を開閉可能(開閉自在)に配設されている。外蓋部材5は、樹脂製であって、一端面から軸心一方向E1へ煙突状に突出する吸入口部91と吐出口部97を有している。パッキン部材4は、一軸心Lに直交面状に形成された平盤形状のゴム製であって、外蓋部材5と中蓋部材3の間で、吸入路92と吐出路96とを密封状に仕切ると共に、外部と吸入路92と吐出路96が、吸入口部91と吐出口部97以外で、連通するのを防止している。
つまり、中蓋部材3とパッキン部材4と外蓋部材5とダイヤフラム集合体6で、外部からの吸入口部91を介して流体をポンプ室94に導くための吸入路92と、ポンプ室94の流体を吐出口部97を介して外部へ吐出させるための吐出路96と、を形成している。
【0037】
なお、本発明は、設計変更可能であって、ポンプ部ユニットYpの構造は、中蓋部材3に煙突状の吐出口部97を設け、外蓋部材5に、中蓋部材3の煙突状の吐出口部97が挿通する孔部を設けた構造とするも良い。或いは、ダイヤフラム集合体6に、突出舌片状の吸入弁部と突出舌片状の吐出弁部を設けた構造であっても良い。又は、パッキン部材4に、円弧突壁状の吸入弁部と平面舌片状の吐出用弁部を設けた構造であってもよい。或いは、パッキン部材4に短円筒状の吸入弁膜を設けた構造であっても良い。ダイヤフラム体60の数は増減自由であるが、3個乃至4個が望ましい。
【0038】
また、爪部20をケース部材1に設け、係止凸部10をリテーナ部材2に設けても良いが、係止凸部10に比べ爪部20は強度が弱く、係止凸部10をケース部材1に設けた場合に比べてモータ部ユニットYmの寿命が低下する虞があるので、係止凸部10をケース部材1に設けるのが好ましい。
また、軸部材90と回転部材9の差込凹部9dの抜き差しをもって内部側の連結保持状態・分離可能状態に切換え可能として、動力連結と動力分断が行えるように構成するも良い。つまり、軸部材90を、揺動部材8に固着して、ポンプ部ユニットYpの一部とし、モータ部ユニットYmの回転部材9の差込凹部9dに抜き差し自在として、組付・分離自在に構成しても良い。しかし、金属製の軸部材90によって樹脂製の回転部材9の差込凹部9dが磨耗により拡大する(軸部材90をモータ部ユニットYmに設けた場合に比べて寿命が低下する)虞があるので、軸部材90は、回転部材9に固着するのが望ましい。
【0039】
以上のように、本発明のダイヤフラムポンプは、ダイヤフラム集合体6を有するポンプ部ユニットYpと、電動モータMを有するモータ部ユニットYmとを、組付・分離自在に構成したので、モータ部ユニットYmから、ポンプ部ユニットYpを容易かつ迅速に取り外して交換できる。つまり、寿命の尽きていない電動モータMを交換する必要がなくなり(電動モータMを引き続き使用でき)、ダイヤフラムポンプを用いる装置や機器のランニングコストを軽減できる。分解時の破損、組付けミス、組付け時の異物混入等の保守・修理作業が原因の不具合を防止できる。容易かつ迅速に、かつ、衛生的にダイヤフラム集合体6を交換できる。
【0040】
また、モータ部ユニットYmは、一軸心L廻りに回転する駆動軸Maを有する電動モータMと、電動モータMに固着され駆動軸Maが内部に突設されるケース部材1と、を備え、ポンプ部ユニットYpは、ポンプ室94を形成するためのダイヤフラム部61を複数有すると共に一軸心Lに直交面状に形成され複数のダイヤフラム部61を一体状に連結する連結盤部69を有するゴム製のダイヤフラム集合体6と、ダイヤフラム集合体6の連結盤部69をモータ側から支持するリテーナ部材2と、を備え、ケース部材1とリテーナ部材2とを、一軸心L廻りの係合によって着脱自在に取着して、ポンプ部ユニットYpと、モータ部ユニットYmとを、組付・分離自在に構成したので、組付作業と分離作業を容易に行うことができる。ポンプ部ユニットYpの交換を行うことで洗浄作業なしで衛生的に使用でき、医療、薬剤、検査、飲料、等の器具(装置)の洗浄作業の手間や時間を大幅に削減できると共に、衛生面を向上させることができる。他の部材に比べて高価な電動モータMを繰り返し使用できランニングコストを低減できる。また、電動モータMの電気配線の切断や、新たな配線を行う必要がなく、熟練した電気配線技術が無くても、ダイヤフラムポンプの保守・点検を行うことが可能となる。
【0041】
また、ケース部材1及びリテーナ部材2の一方にL字状の爪部20を設けると共に他方にラジアル外方へ突出する係止凸部10を設け、ケース部材1とリテーナ部材2とを、爪部20と係止凸部10の一軸心L廻りの係合によって着脱自在に構成したので、保守・修理作業者が直感的に、容易かつ迅速に、分離作業や組付作業を行うことができる。構造が簡素で、製造を容易に行うことができ、大量生産に好適である。構造が簡素で、小型で軽量にできる(ダイヤフラムポンプ全体の寸法の大型化や重量化を抑制できる)。
【0042】
また、モータ部ユニットYmは、駆動軸Maに固着され一軸心L廻りに回転する回転部材9と、回転部材9に傾斜状に固着されると共に一軸心L廻りに円錐面状の軌跡を描くように周回する軸部材90と、を備え、ポンプ部ユニットYpは、ダイヤフラム部61からモータ側へ突設されたダイヤフラム駆動部62が取着され軸部材90の周回によってポンプ室94を拡大・縮小させるための揺動部材8を備え、揺動部材8は、軸部材90が挿入される差込孔部82を有し、差込孔部82は、モータ部ユニットYmとポンプ部ユニットYpとを軸心方向に相対的に接近させる際に軸部材90を孔奥部側へ誘導するためのガイドテーパ面82aを有するので、組み付けを容易かつ迅速に行うことができると共に、組み付けミスを軽減できる。交換するポンプ部ユニットYp側の部品点数を少なくでき無駄を削減できる。