(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係合受部は、前記棚板の幅方向の両端に、前記係合片を抜き差しする差込口を有し、前記係合片を、一方の差込口及び他方の差込口のいずれからでも抜き差し自在としたことを特徴とする請求項1または2に記載の棚板の支持構造。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
以下、本願に係る棚板の支持構造を備えた棚板ユニットの一実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1Aの棚板ユニットの収容部分の分解斜視図、
図1Bの棚板ユニットの斜視図に示されるように、実施例1の棚板ユニット1は、住宅、店舗、事務所等の建築物の壁面2に設置して使用するものである。
【0011】
実施例1の棚板ユニット1は、上下方向に延在して壁面2に固定された左右一対の棚柱3と、複数の棚板5と、各棚板5を棚柱3に取付けて支持する支持構造としての左右一対の保持部材としてのキャップ部材10及び左右一対の棚受け(ブラケット)20と、を備えて構成される。本実施例では、棚板5の左側に装着するキャップ部材10と右側に装着するキャップ部材10は、棚板5を介して左右対称に形成されている。キャップ部材10に取付ける一対の棚受け20も、左右対称に形成されている。
【0012】
なお、本明細書では、棚板ユニット1に向かって、手前の方向を「前」とし、手前とは反対側を、「後」、「奥」又は「背」等とし、左手の方向を「左」とし、右手の方向を「右」とする。また、
図1の紙面上方を「上」とし、紙面下方を「下」とする。
【0013】
棚板5は、押出成形等によって形成された合成樹脂製の長尺な板材を、適宜の長さ(幅)で切断することによって形成されている。棚板5は、
図4等に示すように、複数の仕切壁51によって仕切られた複数のセル52を有する中空形状を呈しており、切断面が露出している。また、棚板5は、壁面2への取付け側である背面(後方)を壁面2に平行となるように平坦(フラット)に形成し、前方はR形状としている。したがって、実施例1の棚板5は前後の方向性を有している。
【0014】
このように切断面が露出した棚板5の両端部(木口)に、一対のキャップ部材10を装着している。これにより、棚板5の切断面が隠されて見栄えが向上するとともに、端部を保護することができる。また、棚板5の切断面に何ら処理を施す必要がなくなり、棚板5の製造工程を簡略化してコストの削減等を図ることも可能となる。なお、棚板5の耐久性や耐荷重性を向上させるため、セル52内や棚板5の下面(例えば、押出成形工程で形成される棚板5下面の凹溝53部分)に、適宜の補強部材を配置することもできる。
【0015】
一対の棚柱3は、金属製の角筒からなり、
図1Bに示されるように、床面4から垂直に壁面2に設置されている。一対の棚柱3には、それぞれ複数の係合孔(フック孔)31が等間隔で設けられている。
【0016】
キャップ部材10は、
図1〜
図4等に示されるように、棚板5の端面に装着するキャップ本体11と、キャップ本体11の下面に設けられ、棚受け20の係合片22を係合する係合受部12と、を備えている。キャップ本体11と係合受部12とは、樹脂にて一体に成形することで、簡易で廉価な製造が可能となっている。
【0017】
以下、
図2を用いて、右側のキャップ部材10の構成を詳細に説明する。これと対称であることから、左側のキャップ部材10の詳細な説明は省略する。
図2は、棚板ユニット1に向かって手前側を正面(前)、奥側を背面(後)とした場合のキャップ部材10の6面図及び断面図である。すなわち
図2(a)は平面図(上面図)、
図2(b)は左側面図、
図2(c)は底面図、
図2(d)は右側面図、
図2(e)は背面図及び
図2(b)のA−A線断面図、
図2(f)は正面図及び
図2(b)のB−B線断面図を示している。なお、後述の挿入口13側を正面とした場合は、
図2(a)は平面図、
図2(b)は正面図、
図2(c)は底面図、
図2(d)は背面図、
図2(e)は左側面図及び図(b)のA−A線断面図、
図2(f)は右側面図及び
図2(b)のB−B線断面図となる。
【0018】
キャップ本体11は、
図2(a)〜
図2(f)に示されるように、前後方向に長尺であり、一方(左側)に棚板5の端部を挿入する挿入口13が開口され、他方側(右側)に端部の切断面に沿って配置されて該切断面を被覆する被覆壁14を有している。また、棚板5の端部の全周に沿って配置される外周壁15を有している。この外周壁15と被覆壁14とを有することで、キャップ本体11は、
図2(e)、(f)に示されるように、幅方向の断面形状がコ字型の筒状となっている。外周壁15の内部は、棚板5の端部を収容する棚板収容部16となっている。
【0019】
また、本実施例では、棚板5の形状に対応して、外周壁15の後方を平坦な形状とし、前方をR形状とすることで、キャップ部材10にも前後の方向性を持たせている。さらに、キャップ本体11の右側又は左側に被覆壁14を設けることで、キャップ部材10に左右の方向性も持たせている。
【0020】
係合受部12は、キャップ本体11の下面の前後に2つ設けられ、左右(挿入口13側と被覆壁14側)が開口する中空の角筒形を呈している。係合受部12の左右の開口を、係合片22を抜き差しする差込口17となり、中空の内部が、係合片22を収容する係合片収容部18となっている。ここでは、2つの差込口17のうち、キャップ部材10を棚板5に装着したときに、挿入口13側(内側)に位置する差込口17を「内側の差込口17」といい、被覆壁14側(外側)に位置する差込口17を「外側の差込口17」という。この構成により、係合受部12には、内側の差込口17及び外側の差込口17の何れからでも係合片22を抜き差し可能となっている。
【0021】
また、係合受部12の内部の寸法は、係合片22の外形寸法とほぼ同じ内形寸法で形成されている。そのため、係合片22が係合受部12に隙間なく係合し、ガタツキやズレを良好に抑制できる。また、係合受部12の左右の形成幅は、キャップ本体11の形成幅より狭く形成されている。
【0022】
棚受け20は、前方から後方へ略L型に延在する平板状の棚受本体21と、棚受本体21の上端から、水平方向、すなわち、キャップ本体11の下面に沿う方向に平板状に延在する2つの係合片22とを有している。係合片22の水平方向への突出長さは、係合受部12の形成幅よりもやや長く形成されている。棚受本体21の後方には、棚柱3の係合孔31に係合する略L字型の係合爪(フック)23が複数設けられている。また、棚受本体21の上端縁(上端面)は、キャップ本体11の下面に当接させる当接部24となっている。
【0023】
棚受け20は、例えば、プレス加工等の手法を用いて、金属製の平らな板材をせん断加工し、棚受本体21に対して係合片22となる部分を直角に曲げ加工すること等によって形成することができる。しかし、棚受本体21と係合片22とを1枚の板材で形成する必要もなく、係合片22を別個に形成して、溶接等によって棚受本体21に固定することもできる。
【0024】
上述のようなキャップ部材10及び棚受け20からなる支持構造により、棚板5を壁面2の棚柱3に取付ける手順(工程)を説明する。まず、棚板5の両端部に、一対のキャップ部材10を装着する(
図1等参照)。それには、各キャップ部材10において挿入口13から棚板5の端部を挿入し、該端部を棚板収容部16内に収容する。
【0025】
次に、各キャップ部材10の2つの係合受部12に、各棚受け20の2つの係合片22をそれぞれ係合、各キャップ部材10と各棚受け20とを接続する。
図3(a)は、棚板5の左側の端部に装着した左側のキャップ部材10において、内側の差込口17から係合片22を差込んで係合片22を係合受部12に係合した状態、つまり係合片22を外向きに係合した状態を示している。これにより、係合片22をキャップ本体11の下面に沿って面接触させることができ、棚受け20によって棚板5及びキャップ部材10を安定よく支持することができる。
【0026】
係合受部12の内部の寸法は、係合片22の外形寸法とほぼ同じ内形寸法で形成されていることから、係合受部12に対して係合片22を容易に抜き差しできる。そして、係合後は安定性に優れ、ガタツキやズレ等を抑制することができる。また、係合受部12と係合片22とを、それぞれキャップ部材10と棚受け20の前後に2つずつ設けることで、前後、左右方向へのガタツキやズレの抑制効果を向上させることができる。したがって、キャップ部材10と棚受け20との係合安定性をより向上させることができる。
【0027】
また、係合受部12の左右の幅寸法が、キャップ本体11の幅寸法より小さく形成されている。そのため、係合片22を係合受部12に係合したときに、
図3(b)のC−C線断面図等に示されるように、棚受本体21の当接部24が、キャップ本体11の下面に当接する。これにより、係合片22でキャップ部材10を面状に支持するだけでなく、当接部24によって、キャップ部材10を、前後方向に亘って長尺な線状(より詳細には、板厚の幅だけ面状に)に支持することができる。そのため、棚受け20によるキャップ部材10の支持安定性を向上させることができる。また、係合片22が外側の差込口17よりも外側に突出し、幅方向において係合片22をキャップ部材10のほぼ全長に亘って接触させて支持することができるため、幅方向でのキャップ部材10の支持安定性も向上する。
【0028】
また、キャップ部材10には、棚受け20との係合側に従来のような長尺なスリット等が設けられておらず、棚板5や載置物の荷重も、キャップ本体11の平坦な下面と、この下面に沿って延在する平坦な係合片22及び当接部24とで受けるため、キャップ部材10の耐久性、耐荷重性が向上する。また、キャップ部材10や棚板5の撓み等も良好に抑制することができる。その結果、キャップ部材10と棚受け20からなる支持構造によって支持された棚板5の耐久性、耐荷重性を向上させることができる。
【0029】
また、
図5(a)、
図5(b)に、左側のキャップ部材10において、外側の差込口17から係合片22を差込んで係合片22を係合受部12に係合した状態、つまり係合片22を内向きに係合した状態を示す。このように、内向きの係合であっても、外向きの係合と同様に、係合片22でキャップ部材10を面接触により支持するとともに、当接部24をキャップ部材10の下面に当接させて支持することができ、支持構造の支持安定性を向上させることができる。
【0030】
また、上述のようにキャップ部材10に対して、内向きにも外向きにも係合片22を係合できるので、例えば、左右対称の一対の棚受け20を用意しなくても、1つの棚受け20のみで左右を兼用することもできる。右側と左側の一方のキャップ部材10には棚受け20を内向きに取り付け、他方のキャップ部材10には棚受け20を外向きに取り付けて使用することができる。
【0031】
また、棚板5の幅や、一対の棚柱3の間隔に応じて、内向き又は外向きに選択的に左右一対のキャップ部材10に左右一対の棚受け20を取り付けることもできる。例えば、横幅寸法の異なる2種類の棚板5を用い、横幅の広い棚板5には、棚受け20を外向きに取り付け、横幅の狭い棚板5には、棚受け20を内向きに取り付ける。これにより、棚板5の横幅寸法が異なる場合でも、各棚板5の一対の係合爪23の間隔の長さを同じにして、同じ一対の棚柱3に、各棚板5を取付けることが可能となる。
【0032】
また、一対のキャップ部材10に、一対の棚受け20の双方を外向きに取付けることで、一対の係合爪23の間隔を最も狭くすることができる。また、一方を内向きに、他方を外向きに取付けることで、双方を外向きとしたときよりも一対の係合爪23の間隔を広くすることができる。また、双方を内向きに取付けることで、一対の係合爪23の間隔を最も広くすることができる。したがって、一対の棚柱3の間隔を厳密に統一しなくても、この間隔に応じて係合爪23の間隔を拡縮することができ、柔軟な取付けが可能となる。
【0033】
また、棚板5と、この棚板5の端部を収容する棚板収容部16とで、ある程度の部品の寸法誤差を吸収することができる。また、端部側の高さ(厚み)や奥行の寸法が同じであれば、材料やメーカーを問わず何れの棚板5にもキャップ部材10と棚受け20からなる支持構造を用いることができる。したがって、汎用性に優れた支持構造及び棚板ユニット1を得ることができる。
【0034】
そして、一対のキャップ部材10が取り付けられた一対の棚受け20の係合爪23を、
図1、
図2に示すように、一対の棚柱3の係合孔31のいずれかに係合することで、棚板5を一対の棚柱3の所望の位置に取付けることができる。本実施例では、
図1Bに示すように、8枚の棚板5を取付けて、棚板ユニット1を完成させている。各棚板5は、キャップ部材10及び棚受け20からなる支持構造によって、安定して棚柱3に取付けられているため、棚板5の耐久性や耐荷重性を向上させることができる。
【0035】
以上、実施例1によれば、簡易な構成であって容易に組み立てが可能であり、棚板の5の支持安定性が向上し、耐久性、耐荷重性に優れる棚板5の支持構造を得ることができる。また、このような支持構造を備えることで、簡易な構成であって容易に組み立てが可能であり、棚板の5の支持安定性が向上し、耐久性、耐荷重性に優れる棚板ユニット1を得ることができる。また、キャップ部材10で棚板5の木口を完全に呑み込む構造のため、棚板5のカット後の木口処理が不要になり、棚板5の大きさを現場にて簡便にカットして使用することができる。
【0036】
(実施例2)
次に、実施例2の棚板の支持構造について、
図6を用いて説明する。
図6(a)は、実施例2の支持構造のキャップ部材10Aの側面図であり、
図6(b)は棚板5とキャップ部材10Aと棚受けとを組み付けた状態で前後方向に切断したときの断面図を示す。実施例2の支持構造は、実施例1のキャップ部材10に代えて、
図6に示されるようなキャップ部材10Aを用いたこと以外は、実施例1の支持構造と同様の基本構成を備えている。そのため、実施例1と同様の構成部品には、実施例1と同様の符号を付して、詳細な説明は省略し、以下では、実施例1とは異なる実施例2の特徴部分について主に説明する。以降の実施例でも同様である。
【0037】
図1等に示す実施例1の支持構造では、キャップ部材10の後方を平坦な形状とし、前方をR形状とすること等で、キャップ部材10に前後左右の方向性を持たせている。そのため、キャップ部材10を左用と右用の2種類用いている。これに対して、
図6に示される実施例2の支持構造では、キャップ部材10Aの後方だけでなく前方も平坦な形状とし、前後方向において対称な形状としている。すなわち、キャップ部材10Aの中心を通り棚板5の幅方向に平行な軸を対称軸として線対称に構成されている。
【0038】
したがって、キャップ部材10Aは前後左右の方向性がなくなり、1つのキャップ部材10Aを、棚板5の右側の端部にも、左側の端部にも装着することが可能となる。よって、左右対称のものを2つ製造する必要がなく、1つのキャップ部材10Aを製造すればよく、製造が容易となるとともに、コスト削減も可能となる。
【0039】
以上、実施例2によっても、上記した実施例1と同様の作用効果を得ることができる。さらに、実施例2では、キャップ部材10Aを、前後方向において対称に形成したため、より簡易な構成でより簡易にキャップ部材10Aを製造することができる。また、棚板5の左右いずれの端部にも装着可能な汎用性に優れたキャップ部材10Aを提供することができる。よって、実施例2によれば、より簡易な構成であって、より容易に組み立てが可能であり、棚板の5支持安定性が向上し、耐久性、耐荷重性に優れる棚板5の支持構造及び棚板ユニットを得ることができる。
【0040】
また、実施例2では、
図6(b)に示されるように、実施例1の棚板5と同様の後方が平坦な形状で、前方がR形状の棚板5にキャップ部材10Aと装着している。しかし、このような棚板5に限定されることはなく、実施例2のキャップ部材10Aは、後方及び前方が平坦に形成された棚板5に装着することもできるし、後方及び前方がR形状の棚板に装着することもできる。より汎用性に優れた支持構造を提供することができる。また、前方と後方が同じ形状の棚板の場合、棚板の前後を考慮する必要がなくなり、棚板の取付け作業等がより容易となる。なお、実施例1のキャップ部材10も、後方及び前方がR形状の棚板に装着することもできる。デザインや使用目的に応じて、適宜の形状の棚板やキャップ部材10,10Aを選択的に用いることができる。
【0041】
(実施例3)
次に、実施例3の棚板の支持構造を備えた棚板ユニットについて、
図7を用いて説明する。
図7は、実施例3に係る棚板5の支持構造を備えた棚板ユニット1Aの主要部分の分解斜視図である。実施例3の支持構造及び棚板ユニット1Aは、実施例1の棚受け20に代えて、
図7に示されるような棚受け20Aを用いている。
【0042】
実施例1の棚受け20は、設置部として、棚柱3の係合孔31に係合する複数の係合爪23を有している。これに対して、実施例3の棚受け20Aは、
図7に示すように、設置部として、棚受本体21の後方両側に、壁面2に沿って配置するフランジ25を突設している。フランジ25には、ビス、ネジ、ピン等の固定部材27を挿通する挿通孔(ビス孔)26を開口している。実施例3の棚受け20Aも、棚受本体21と、棚受本体21から水平方向に延在する2つの係合片22と、当接部24とを備えている。
【0043】
実施例3では、実施例1と同様に一対のキャップ部材10を棚板5の端部に装着し、各キャップ部材10の係合受部12に棚受け20Aの係合片22を係合する。次に、棚受け20Aのフランジ25を壁面2に沿って配置し、挿通孔26に固定部材27を挿通することで、壁面2に棚受け20Aを固定する。これにより、実施例3の支持構造によって棚板5を壁面2に取付けることができる。
【0044】
以上、実施例3のような壁面2に直接に固定するフランジ25を有するタイプの棚受け20Aの場合も、係合片22を設けたことにより、キャップ部材10に容易に取り付けることができる。また、係合片22及び当接部24でキャップ部材10を支持することで、支持構造による棚板5の支持安定性を向上させることができる。したがって、実施例1と同様の作用効果を得ることが可能な支持構造及び棚板ユニット1Aを得ることができる。なお、実施例3では、棚受け20Aと実施例1のキャップ部材10とで支持構造を構成しているが、棚受け20Aと実施例2のキャップ部材10A、又は後述の実施例4〜5のキャップ部材10B,10Cとで支持構造を構成することもできる。
【0045】
(実施例4)
次に、実施例4の棚板の支持構造について、
図8、
図9を用いて説明する。実施例4の支持構造は、
図8(a)、
図8(b)に示されるような被覆壁のないキャップ部材10Bを備えている。なお、実施例4の支持構造は、棚受けとして、
図1A〜
図6に示される実施例1、2と同様の棚受け20を用いているが、
図7に示される実施例3と同様の棚受け20Aを用いることもできる。
【0046】
実施例4のキャップ部材10Bは、キャップ本体11に被覆壁を設けていないことによって外周壁15の両側が開口し、2つの挿入口13が設けられている。この構成により、左右の何れの挿入口13からでも棚板5を挿入し、棚板収容部16内に収めることが可能となる。
【0047】
このような構成の実施例4のキャップ部材10Bは、棚板5の端部を隠す必要のない使用形態、例えば、端部に適宜の処理がされている場合、棚板5の切断面が露出しても構わない場合等に好適に用いることができる。実施例4によっても、より簡易な構成であって容易に組み立てが可能であり、棚板の支持安定性が向上し、耐久性、耐荷重性に優れる支持構造を提供することができる。
【0048】
図8(c)に、棚板5の両端部近傍に実施例4のキャップ部材10Bを装着し、棚受け20にて棚柱3に取付けた棚板ユニット1Bの一例を示した。支持構造を、棚板5の長さ方向において、所望の位置に取付けることができるため、一対の棚柱3の設定位置も自由に調整することができ、棚板5の取付けの自由度を向上させることができる。
【0049】
また、棚板5を2つの壁面の間に収容して端部が壁面で隠れて、棚板5の切断面が露出しても構わない場合(いわゆる「壁収め」の使用形態)等に好適に用いることができる。例えば
図8(c)に仮想線(二点鎖線)で示したように、押入れ、クローゼット等に対向して設けられた2つの壁面2aの間に棚板5を収容する場合は、棚板5の切断面を壁面2aで隠すことができる。また、
図9(a)に示す変形例のように、長尺な棚板5の両端部近傍に、キャップ部材10Bを一対装着することで、棚板5の端部よりも内側を支持できるため、支持構造による支持安定性をより向上させることができる。また、一対のキャップ部材10Bの装着位置をある程度自由に設定できるので、一対の棚柱3の間隔の自由度や、被取付部への棚板5の設置の自由度も高めることができる。
【0050】
さらに、長尺な棚板5の場合には、
図9(b)に示す変形例のように、両端部に実施例1等のような被覆壁14を有するキャップ部材10を装着し、中央に実施例4のキャップ部材10Bを装着することもできる。つまり、実施例4のキャップ部材10Bは、長尺な棚板5の中央を支持する場合(中受け用)に好適に用いることができる。これにより、切断面をキャップ部材10で隠して見栄えを良くするとともに、キャップ部材10Bにより長尺な棚板5の撓みを良好に防止することができ、支持安定性、耐久性、耐荷重性をより向上させることができる。勿論、棚板5の両端近傍及び中央に、実施例4のキャップ部材10Bを装着することもできる。
【0051】
(実施例5)
次に、実施例5の棚板の支持構造について、
図10、
図11を用いて説明する。上記実施例1〜4では、キャップ部材10〜10Bは、棚板5の端部の外周全体を被覆する筒状の外周壁15を有しているが、実施例5では、棚板5の上面側が途切れて開口し、棚板5の下面と前端と後端とを被覆する側面形状がC形の外周壁15Cを有している。この構成のキャップ部材10Cも、実施例4と同様に、棚板5への装着位置の自由度が向上する。棚受け20との係合側の下面は切欠いてないので、耐久性等に影響することもない。実施例5のキャップ部材10Cは、上面側の開口も棚板5の挿入口13’とすることができる。樹脂の弾性力を利用し挿入口13’を前後方向に拡縮することで、キャップ部材10Cの棚板5への装脱を、より容易に行うことができる。装着後は棚板5の上面の凹凸を極力少なくすることができ、棚板5の美観の向上や、設置スペースの拡張を図ることができる。勿論、両側の挿入口13から棚板5を挿入することもできる。
【0052】
図10(c)に、実施例5の支持構造を用いて棚柱3に棚板5を取付けた棚板ユニット1Cの一例を示す。実施例5の場合も、棚板5の端部を隠す必要がない場合や、
図10(c)に仮想線で示すように、2つの壁面2aの間に棚板5を取付ける場合に好適である。また、
図11(a)に示す変形例のように、長尺な棚板5の両端部近傍に、キャップ部材10Cを一対装着することで、実施例4の
図9(a)の変形例と同様に、棚板5の支持安定性の向上や、棚板5の設置の自由度の向上を図ることができる。さらに、長尺な棚板5を用いる場合等は
図11(b)に示す変形例のように、中央に実施例5のキャップ部材10Cを装着することで撓みを抑制し、両端部に実施例1のキャップ部材10等を装着することで、切断面を隠すことができる。これにより、支持構造による棚板5の支持安定性、耐久性、耐荷重性をより向上させることができる。この場合も、棚板5の両端近傍及び中央に、実施例5のキャップ部材10Cを装着することもできる。
【0053】
なお、実施例4、5のキャップ部材10B,10Cは、実施例1のキャップ部材10と同様に、前方をR形状、後方を平坦な形状としているが、前方及び後方の双方を平坦な形状(実施例2のキャップ部材10A参照)又はR形状とすることで、前後左右に対称で、左右何れの方向からでも使用可能な製品を提供できる。
【0054】
なお、上記各実施例では、合成樹脂製の棚板5を用いているが、本願の棚板が合成樹脂製に限定されることはない。例えば、長尺な無垢材や合板等を切断した棚板を用いることもできる。この場合も、棚板の両端部に実施例1〜3のようなキャップ部材10,10Aを装着することで、切断面を隠すことができ、切断面に処理を施す必要がなくなる。この他にも金属製の棚板等、従来公知の何れの棚板を用いてもよい。いずれの素材からなる棚板であっても、実施例1〜5のようなキャップ部材10〜10Cと棚受け20,20Aからなる支持構造を用いることで、棚板の支持安定性が向上し、支持構造の耐久性や耐荷重性を向上させることができる。その結果、棚板や棚板ユニットの耐久性、耐荷重性を向上させることができる。
【0055】
また、上記各実施例では、キャップ部材10〜10Cの係合受部12の両側を開口して差込口17を設け、係合片22を両側から抜き差し自在としている。しかし、本願の係合受部12が実施例の構成に限定されることはなく、係合受部12の一方のみ開口して差込口17を1つのみ設け、一方側からのみから抜き差しする構成とすることもできる。この構成でも係合片22によって面でキャップ部材10,10Aを支持することで、支持安定性を向上させることができる。
【0056】
また、キャップ部材10〜10Cは、各部をすべて一体に成形する必要もない。例えば、外周壁15と別個に形成した被覆壁14を、外周壁15に嵌合することで、キャップ本体11とすることもできる。キャップ本体11と係合受部12とを別個に形成して組み付けてもよい。また、棚板5の端部を隠す必要がないのであれば、キャップ部材10B,10Cのように被覆壁14を設けずに、キャップ本体11を形成することもできる。
【0057】
また、上記各実施例では、キャップ部材10〜10C、棚受け20,20Aのそれぞれに、前後に2つの係合受部12、係合片22及びを設けているが、2つに限定されることはない。これらを前方、後方又は中央のいずれかに1つのみ設けることもでき、より簡易な構成とすることができる。また、前後方向に長尺な係合受部12、係合片22を1つのみ設けたり、係合受部12、係合片22を3つ以上設けたりすることもでき、ガタツキやズレの抑制効果が向上し、支持構造にて棚板5をより安定して支持することができる。
【0058】
また、実施例1、2、4、5では、被取付部として、棚柱3を壁面2に設置し、棚柱3の係合孔31に棚受け20の係合爪23を係合している。しかし、係合爪23を係合する被取付部が棚柱3に限定されることはなく、複数の孔が開けられたパネル等を用いることもできる。このようなパネルの孔に、係合爪23を係合して、パネルに棚板5を取付けて、棚板ユニットを構成することもできる。
【0059】
また、上記各実施例では、建造物の壁面2、又は壁面2に取付けた棚柱3を被取付部としているが、被取付部が建造物に限定されることもない。例えば、商品陳列棚等の什器、食器棚、キャビネット等の背板や横板等を被取付部とすることもできるし、背板や横板等に取付けた棚柱やパネル等を被取付部とすることもできる。棚柱やパネル等の被取付部に、実施例1、2のような係合爪23を設けた棚受け20を着脱自在に取り付けてもよい。また、背板や横板等に、実施例3のような挿通孔26を設けた棚受け20Aを固定部材27によって固定してもよい。また、固定部材もビス、ネジ、ピン等に限定されることもなく、棚板5や載置物の重量に応じて、接着テープや接着剤、モルタル、セメント等を用いることもできる。
【0060】
また、上記各実施例では、キャップ部材10〜10Cの棚板収容部16内に棚板5の端部を収容しているが、本願がこれに限定されることはない。例えば、上記各実施例のような合成樹脂製でセル52が複数形成された棚板5を用いる場合、キャップ本体に突起を形成し、この突起をセル52内に挿入することで、キャップ部材を棚板5に取付ける構成とすることもできる。
【0061】
また、上記各実施例では、キャップ部材10〜10Cに係合受部12を設け、棚受け20,20Aに係合片22を設けている。しかし、他の実施形態として、キャップ部材に係合片を設け、棚受けに係合受部を設けた支持構造とすることもできる。また、上記実施例1〜3では、棚板5の両端部にキャップ部材10,10A、棚受け20,20Aを取付けているが、棚板5の一方のみにこれらを装着し、被取付部に取付けることで、片持ちの棚板5とすることも可能である。
【0062】
また、上記各実施例の棚受け20,20Aは、2つ(複数)の係合片22を同じ方向に延在させた構成であるが、本願がこれに限定されることはない。他の実施形態として、複数の係合片22を互いに異なる方向(左右反対方向)へ延在させた構成とし、これらに対応してキャップ部材10〜10Cに設けられた係合受部12に係合させることもできる。この構成により、荷重が分散され、棚受け20,20Aによるキャップ部材10〜10Cの支持安定性、さらには支持構造による棚板5の支持安定性を向上させることができる。また、キャップ部材10〜10Cが樹脂製に限定されることはなく、木製、パルプ製、金属製とすることもできる。また、棚受け20, 20Aも、金属製に限定されることはなく、樹脂製、木製、パルプ製とすることもできる。使用形態や載置物の重量、デザイン等により適宜選択できる。
【0063】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。