【文献】
ZTE,Views on Rel-11 CoMP,3GPP TSG-RAN WG1 #63b R1-110573,2011年 1月31日
【文献】
Samsung,Discussions on CSI-RS port selection for non-uniform networks with low-power nodes,3GPP TSG-RAN WG1 #65 R1-111469,2011年 5月 3日
【文献】
Panasonic,CoMP feedback overhead reduction based on precodes RS,3GPP TSG-RAN WG1 #58b R1-093949,2009年10月 5日
【文献】
Panasonic,Flexible CoMP Operation based on Dedicated CSI-RS configuration,3GPP TSG-RAN WG1 #65 R1-111587,2011年 5月 3日
【文献】
Marvell,High level views for CoMP Feedback for Release 11,3GPP TSG-RAN WG1 #63b R1-110268,2011年 1月31日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
チャネル品質情報参照信号(CSI−RS)の設定情報(configuration)を示すCSI−RS候補リストを端末個別に通知される制御情報により受信する受信部と、
前記CSI−RS候補リストに基づいて少なくとも1つのCSI−RSのリソース情報を特定し、前記特定したCSI−RSを用いて受信電力を測定する、制御部と、
前記測定した受信電力の結果を送信する送信部と、
を具備し、
前記CSI−RS候補リストは、複数の送信ポイントから選択された1以上のCSI−RS情報を示す、
端末。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0020】
[実施の形態1]
[通信システムの概要]
本実施の形態に係る通信システムは、マクロ基地局(HPN、Macro eNB)100と、ピコ基地局(LPN、RRH)200と、端末300とを有する。例えば、マクロ基地局100は、本実施の形態に係る送信装置に対応する。マクロ基地局100、および、マクロ基地局100のカバーエリア内に配置された複数のピコ基地局200は端末300に対して協調して信号を送信する。
【0021】
マクロ基地局100と、1つまたは複数のピコ基地局200とは光ファイバ等の低遅延かつ大容量のインタフェースで接続されている。
【0022】
また、マクロ基地局100がカバーするセル(マクロセル)内において、マクロ基地局100およびピコ基地局200には同一のセルIDが設定される。つまり、マクロ基地局100がカバーするマクロセル内の送信ポイントには同一のセルIDが設定される。よって、マクロ基地局100およびピコ基地局200は、セルIDに依存した同一のリソース(時間、周波数又はコード)でCRSを送信する。
【0023】
一方、マクロ基地局100がカバーするマクロセル内の各送信ポイントは、互いに異なるconfiguration(リソース、アンテナポート等の設定)のCSI−RSを送信する。
【0024】
また、以下の説明では、各送信ポイントは1つまたは複数のアンテナポートを有する。
【0025】
また、以下の説明では、端末300は、CSI−RSを用いて、2種類の受信品質を測定する。一方の受信品質(第1の受信品質)は、例えば、受信電力、RSRP、RSRQ、SINR、SLNR(Signal to Leakage plus Noise Ratio)等である。他方の受信電力(第2の受信電力)は、CSI(CQIおよびPMI)である。ここで、第1の受信品質の測定に要する処理量は、第2の受信品質の測定に要する処理量よりも小さい。また、第1の受信品質の通知に要する情報量は、第2の受信品質の測定に要する情報量よりも小さい。
【0026】
図3は、本実施の形態に係るマクロ基地局100の主要構成図である。マクロ基地局100において、送信部102が、参照信号(CSI−RS)を端末300に送信し、受信部103が、端末300で複数の参照信号を用いて測定された、複数の参照信号のそれぞれに対する第1の受信品質(受信電力)であって、所定の条件を満たす第1の受信品質を受信し、制御部101が、複数の参照信号のうち、第2の受信品質(CSI)の測定対象である少なくとも一つの特定の参照信号を決定する。また、受信部103は、端末300で特定の参照信号を用いて測定された、第2の受信品質を受信する。
【0027】
図4は、本実施の形態に係る端末300の主要構成図である。端末300において、測定部303が、複数の送信ポイントからの複数の参照信号(CSI−RS)を用いて、複数の参照信号のそれぞれに対する第1の受信品質(受信電力)を測定し、受信部301が、複数の参照信号のうち、少なくとも一つの特定の参照信号に関する第1の情報(測定リスト)を受信し、測定部303が、第1の情報に基づいて、特定の参照信号を用いて、第2の受信品質(CSI)を測定し、送信部304が、所定の条件を満たす第1の受信品質、および、第2の受信品質を報告する。
【0028】
[マクロ基地局100の構成]
図5は、本実施の形態に係るマクロ基地局100の構成を示すブロック図である。
【0029】
図5に示すマクロ基地局100において、制御部101は、各端末300がCSI測定・報告対象とするCSI−RS(つまり、送信ポイント)の制御、および、ピコ基地局200(RRH)の制御を行う。
【0030】
具体的には、制御部101は、マクロ基地局100がカバーするマクロセル内の送信ポイント(マクロ基地局100(HPN)およびピコ基地局200(LPN))において使用しているCSI−RSのconfiguration(設定情報)を示すリストを、「CSI-RS候補リスト(CSI-RS candidate list:CCL)」として作成する。つまり、「CSI-RS候補リスト」は複数のCSI−RSを示す。なお、上りリンクの受信信号電力等から端末300の位置検出ができる場合、制御部101は、端末300の近傍に位置する送信ポイント(HPN/LPN)のCSI−RSのconfigurationのみをCSI-RS候補リストに含めてもよい。
【0031】
また、制御部101は、端末300がCSI−RSを用いて測定する受信電力(RSRP)報告を行うか否かの基準である所定の条件(以下、報告条件という)を設定する。「報告条件」として、例えば、受信電力(RSRP)が予め設定された閾値以上であること等が挙げられる。すなわち、端末300では、報告条件を満たす場合に受信電力測定結果の報告が行われる。
【0032】
また、制御部101は、受信部103または基地局間IF104から入力される端末300からの信号(受信信号)に含まれる、CSI−RSに関する情報(上記報告条件を満たしたCSI−RSリソースの識別子、および、受信電力測定結果)を用いて、CSI測定・報告の対象とするCSI−RSのconfiguration(すなわち、送信ポイント)を決定する。すなわち、制御部101は、複数のCSI−RSのうち、CSIの測定対象である少なくとも1つの特定のCSI−RSを決定する。制御部101は、決定したCSI−RSのconfiguration(少なくとも1つの特定のCSI−RS)を、「CSI-RS測定リスト(CSI-RS measurement list:CML)」として生成する。つまり、「CSI-RS測定リスト」は、上記特定のCSI−RSを示す情報であって、CSI-RS候補リストに示される複数のCSI−RSのうち、報告条件を満たす受信電力に対応する、少なくとも一つのCSI−RSに関する情報を用いて決定される。ここで、CSI-RS測定リストとして、CSI−RSの時間・周波数リソース等の情報を含めてもよいし、CSI-RS候補リストで付与されるCSI−RSリソースの識別子(つまり、CSI-RS候補リストの何番目のCSI-RS configurationであるかを示す情報)を用いてもよい。後者のCSI−RSリソースの識別子を用いる場合は、CSI-RS測定リストの通知情報量を削減可能である。
【0033】
また、制御部101は、受信部103または基地局間IF104から入力される端末300からの信号(受信信号)に含まれる、CSI測定結果(CQIおよびPMI)を用いて、DMRSおよびデータ(PDSCH)の送信に用いる送信ポイントに対する送信パラメータを決定する。つまり、制御部101は、CSI測定結果に基づいてPDSCHのスケジューリングを行う。送信ポイントに対する送信パラメータとしては、例えば、周波数リソース、Precoding Matrix、送信電力等が挙げられる。この送信パラメータは、送信部102および基地局間IF(インタフェース)104に出力される。
【0034】
また、制御部101は、CSI−RS、CRS、DMRS、PDCCH等の送信に用いる送信パラメータ(セルID、アンテナポート、時間・周波数リソース等)のconfigurationを設定する。なお、マクロ基地局100のセル(マクロセル)内では、セルIDは、送信ポイント間で同一であり、セルIDに依存する、CRSのリソース(CRSリソース)は、送信ポイント間で共通のリソースである。一方、CSI−RSは、送信ポイント毎に異なるconfigurationとする。このconfigurationは、送信部102および基地局間IF(インタフェース)104に出力される。
【0035】
以上のように制御部101で生成された「CSI-RS候補リスト」および「報告条件」は、送信部102を介して各端末300へ送信される。これらの情報は、報知情報として送信されてもよく、端末個別のRRC制御情報として通知されてもよい。または、CSI-RS候補リストは、MACヘッダに含めてもよい。また、「CSI-RS測定リスト」は、送信部102を介して各端末300へ送信される。この情報は、端末個別の制御情報として送信されてもよく、RRC制御情報として通知されてもよく、MACヘッダまたはPDCCHに含めてもよい。
【0036】
送信部102は、制御部101から入力される情報(「CSI-RS候補リスト」、「報告条件」および「CSI-RS測定リスト」を含む)に対して送信処理を施し、送信処理後の信号をアンテナを介して送信する。また、送信部102は、制御部101から入力される送信パラメータ(configuration)に従って、CSI−RS、CRS、DMRS、端末300へのデータ信号(PDSCH)および制御信号(PDCCH)を送信する。
【0037】
受信部103は、アンテナを介して受信した信号に対して受信処理を施し、得られた受信信号を制御部101に出力する。受信信号には、端末300からのデータ信号、CSI−RSに関する情報(上記「報告条件を満たしたCSI−RSの情報」)、CSI測定結果(CQIおよびPMI)等が含まれる。
【0038】
基地局間IF104は、ピコ基地局200との間で通信を行う。例えば、基地局間IF104は、ピコ基地局200から端末300への送信に用いる送信パラメータおよび送信データの転送、および、ピコ基地局200が受信した端末300からの受信データ(報告条件を満たしたCSI−RSの情報、および、CSI測定結果を含む)の受信等を行う。
【0039】
[ピコ基地局200の構成]
図6は、本実施の形態に係るピコ基地局200の構成を示すブロック図である。
【0040】
図6に示すピコ基地局200において、基地局間IF201は、マクロ基地局100(
図5)との間で通信を行う。例えば、基地局間IF201は、端末300への送信に用いる送信パラメータおよび送信データを、マクロ基地局100から受け取り、受け取った送信パラメータおよび送信データを送信部202に出力する。また、基地局間IF201は、受信部203から入力される、端末300からの受信データ(CSI−RSの測定結果に関する情報(報告条件を満たしたCSI−RSの情報)およびCSI測定結果(CQIおよびPMI)を含む)を、マクロ基地局100へ転送する。
【0041】
送信部202は、基地局間IF201から入力される送信パラメータに従って、端末300宛ての送信データをアンテナを介して送信する。
【0042】
受信部203は、アンテナを介して端末300からの信号を受信する。端末300からの信号には、ユーザデータ、CSI−RSの測定結果に関する情報(所定の条件を満たしたCSI−RSの情報)、CSI測定結果(CQIおよびPMI)等が含まれる。
【0043】
[端末300の構成]
図7は、本実施の形態に係る端末300の構成を示すブロック図である。端末300は、マクロ基地局100(
図5)またはピコ基地局200(
図6)と通信を行う。
【0044】
図7に示す端末300において、受信部301は、アンテナを介して受信した信号に対して受信処理を施し、受信信号を得る。受信信号には、マクロ基地局100(HPN)またはピコ基地局200(LPN)から送信される、CRS、CSI−RS、DMRS、データ信号(PDSCH)、制御信号(PDCCH)等が含まれる。さらに、受信信号には、マクロ基地局100から送信される、「CSI-RS候補リスト」、「報告条件」または、「CSI-RS測定リスト」が含まれる。
【0045】
なお、受信部301は、制御部302から指示されるリソースでデータ信号(PDSCH)、または、CSI−RSを抽出する。受信部301は、CSI−RSを測定部303に出力する。また、受信部301は、受信信号から「CSI-RS候補リスト」、「報告条件」および「CSI-RS測定リスト」を抽出し、抽出した情報を制御部302に出力する。
【0046】
制御部302は、受信部301から入力される、「CSI-RS候補リスト」または「CSI-RS測定リスト」に基づいて、CSI−RSのリソース情報(どのリソース(時間、周波数、コード)にCSI−RSが含まれているかを示す情報)を、受信部301に指示する。また、制御部302は、例えば、制御情報(PDCCH)に基づいて、下りリンクのデータ信号(PDSCH)のリソース情報(どのリソースのユーザデータを受信すべきかを示す情報)を、受信部301に指示する。また、制御部302は、例えば、制御情報(PDCCH)に基づいて、上りリンクのデータ信号(PUSCH)のリソース情報(どのリソースでユーザデータを送信すべきかを示す情報)を、送信部304に指示する。
【0047】
また、制御部302は、受信部301から入力される「報告条件(CSI-RS候補リストに基づく受信電力測定結果の報告を行うか否かの基準となる条件)」を測定部303に出力する。
【0048】
測定部303は、受信部301から入力されるCSI−RSを用いて、CSI-RS候補リストに基づく受信電力(例えば、RSRP)測定を行う。すなわち、測定部303は、複数の送信ポイントからの複数のCSI−RS(CSI-RS候補リストに示される複数のCSI−RS)を用いて、複数のCSI−RSのそれぞれに対する受信電力を測定する。受信電力の測定結果は送信ポイントの選択に用いられる。測定部303は、比較的長い間(例えば、数百ms)平均した受信電力を測定する。換言すると、測定部303は、比較的低頻度で周期的に受信電力を測定する。
【0049】
また、測定部303は、測定した受信電力が「報告条件(例えば、受信電力が予め設定された閾値以上)」を満たすか否かを判断する。測定部303は、測定した受信電力が報告条件を満たす場合、当該受信電力に対応するCSI−RS(CSI−RSのリソースの識別子)および受信電力を示す情報を含むCSI−RSに関する情報を送信部304に出力する。これにより、CSI-RS候補リストに示される複数のCSI−RSのうち、報告条件を満たす受信電力に対応する、少なくとも一つのCSI−RSに関する情報が基地局100へ送信される。当該CSI−RSに関する情報には、例えば、報告条件を満たす受信電力に対応する当該CSI−RSを示す識別子、報告条件を満たす受信電力測定結果等が含まれる。
【0050】
また、測定部303は、受信部301から入力されるCSI−RSを用いて、CSI-RS測定リストに基づくCSI(CQIおよびPMI)測定を行う。すなわち、測定部303は、CSI-RS測定リストによって示される特定のCSI−RSを用いてCSIを測定する。CSIは実際のデータ送信におけるスケジューリング、リンクアダプテーション(MCS制御)およびPrecoding制御に用いられる。測定部303は、フェージング変動の小さい、比較的短い間の平均したCSI(またはサブフレーム毎のCSI)を測定する。換言すると、測定部303は、比較的高頻度で周期的にCSIを測定する。なお、CSIは、最大スループットを実現可能なPrecoding Matrixを示すPMIと、所定の誤り率で伝送可能なデータレートあるいはMCSを示すCQIとから構成される。
【0051】
つまり、測定部303は、CSI−RSを用いて、CSI-RS候補リストに基づいて複数の送信ポイントの第1の受信品質(受信電力等)を測定するとともに、CSI-RS測定リストに基づいて特定の送信ポイントの第2の受信品質(CSI)を測定する。以上のように測定部303で測定された受信電力の測定結果(CSI−RSに関する情報)、または、CSIの測定結果は、送信部304に出力される。
【0052】
送信部304は、ユーザデータ(PUSCH)、CSI−RSに関する情報(所定の条件を満たしたCSI−RSの情報)またはCSI測定結果(CQIおよびPMI)を含む送信信号に対して送信処理を施し、送信処理後の信号をアンテナを介して送信する。なお、送信部304は、制御部302からの指示に従って、ユーザデータを送信する。このようにして、CSI−RSに関する情報(所定の条件を満たしたCSI−RSの情報)またはCSI測定結果(CQIおよびPMI)は、直接、または、端末300が接続するピコ基地局200を介して、マクロ基地局100へ報告される。
【0053】
[マクロ基地局100及び端末300の動作]
以上の構成を有するマクロ基地局100及び端末300の動作について説明する。
【0054】
図8は、マクロ基地局100(eNBと表す)および端末300(UEと表す)の処理の流れを示すフロー図である。
【0055】
図8において、ステップ(以下、「ST」という)101では、マクロ基地局100は、制御部101で設定されたCSI-RS候補リスト(CCL)を端末300へ通知する。CSI-RS候補リストには、マクロ基地局100のセル(マクロセル)内の送信ポイント分(つまり、CSI−RS候補分)のconfigurationが含まれる。各CSI−RS候補の識別子として、例えば、CSI-RS候補番号(または、CSI-RS configuration ID)が付与される。例えば、
図8では、CSI-RS候補リスト内には、CSI-RS候補番号1〜6(CSI-RS 1〜6)が含まれる。
【0056】
また、CSI−RSに関するconfiguration(CSI-RS configuration)には、(1)アンテナポート数(Antenna Ports Count)、(2)サブフレーム内の時間・周波数リソース位置(resourceConfig)、(3)CSI−RSの送信周期と時間オフセット(subframeConfig)、(4)優先選択のための測定結果に対するオフセット(CSI-RS individual offset)等が含まれる。
【0057】
すなわち、CSI-RS候補リストには、上記(1)−(4)の情報から成るCSI-RS configurationが送信ポイント分(CSI−RS候補分)含まれる。
【0058】
例えば、
図9に示すように、CSI-RS configuration(RRCパラメータ名:resourceConfig)と時間・周波数領域におけるマッピングパターンとが対応付けられているとする。この場合、「resourceConfig」は、
図9に示すように、CSI-RS configuration IDを通知することで特定される。例えば、
図9に示すマッピングパターン(Pattern0〜4)は、
図10に示す物理リソースのマッピング(Pattern0〜4)にそれぞれ対応する。
【0059】
また、「subframeConfig」は、例えば、所定の周期及び時間オフセット(サブフレームオフセット)の組合せによって定義される。例えば、周期が10ms(10サブフレーム)で時間オフセットが0(0サブフレーム)であれば、サブフレーム#0から10msの周期がCSI−RSに設定される。
【0060】
また、「CSI-RS individual offset」は、各CSI-RS候補の測定結果に付与されるオフセットである。これにより、例えば、混雑している送信ポイントのCSI-RSではオフセットを低くすることで当該送信ポイントが選択されにくくする等の制御が可能となる。なお、「CSI-RS individual offset」は、mobility measurementと同様のものが用いられてもよい。
【0061】
また、マクロ基地局100は、受信電力の測定方法、および、受信電力測定結果の「報告条件(Event)」を端末300へ通知する(図示せず)。受信電力の測定方法として、RSRP、RSRQ、受信SIR(Signal to Interference Ratio)、受信SLNR(Signal to Leakage plus Noise Ratio:所望信号電力対他セルの端末への与干渉電力(+雑音電力)比)等が挙げられる。
【0062】
また、「報告条件(Event)」として、測定結果が予め設定された閾値Aを上回った場合、測定結果が予め設定された閾値Bを下回った場合、または、測定結果が現在CSI測定対象(つまり,CSI-RS測定リスト)として指定されているCSI−RSの測定結果を予め設定された閾値C[dB]だけ上回った場合等が挙げられる。端末300は、CCLに基づいてCSI-RSを用いた受信電力が閾値を上回った場合、第1の受信品質を基地局100に送信する。このため、基地局100は、端末300に第2の受信品質を測定させるCSI-RS候補(第2の情報:CML)として考慮すべき送信ポイントを適切なタイミングで知ることができる。また、端末300は、CCLに基づいてCSI-RSを用いた受信電力が閾値を下回った場合に、第1の受信品質を基地局100に送信する。このため、基地局100は、端末300に第2の受信品質を測定させるCSI-RS候補(第2の情報:CML)として考慮しなくてよい送信ポイントを適切なタイミングで知ることができる。その結果、基地局100は、端末300に適したCSI-RS候補を適切なタイミングで更新することができるため、適切にスケジューリングすることができる。その結果、端末300のスループットを向上することができ、かつ、周波数リソースの有効活用を行うことができる。また、端末300が使用候補とされている送信ポイントの受信品質を、他の送信ポイントの受信品質が上回った場合に第1の受信品質を送信することで、基地局100は、より的確に第2の受信品質を測定するCSI-RS候補を決定することができる。
図8は、測定方法としてRSRPを用いて、報告条件として、閾値Th_addを上回った場合、および、閾値Th_removeを下回った場合とした場合の一例を示す。
【0063】
端末300の測定部303は、ST101で通知されたCSI-RS候補リスト、および、マクロ基地局100から通知された受信電力の測定方法に基づいて、CSI−RSを用いたRSRP測定を行う。すなわち、
図8では、測定部303は、CSI-RS候補リストに示されるCSI-RS 1〜6のCSI-RS configurationに基づいて、6種類のCSI−RS(つまり、6個の送信ポイント)に対するRSRPを測定する。また、測定部303は、測定したRSRPが報告条件を満たすか否かを判断する。
図8では、CSI-RS候補リスト(CSI-RS 1〜6)のうち、CSI-RS 1およびCSI-RS 2のRSRPが閾値Th_addを上回っている。
【0064】
ST102では、端末300は、CSI-RS候補リストに示される複数のCSI−RS候補のうち、報告条件を満たすRSRPに対応する少なくとも一つのCSI−RS候補(つまり、送信ポイント)に関する情報をマクロ基地局100へ報告(送信)する。具体的には、端末300は、報告条件を満たすCSI-RS候補番号(
図8ではCSI-RS 1およびCSI-RS 2)および、報告条件を満たすCSI−RSの測定結果(
図8ではvalue 1およびvalue 2)をマクロ基地局100へ報告する。すなわち、マクロ基地局100は、端末300で複数のCSI−RSを用いて測定された、複数のCSI−RSのそれぞれに対する受信電力測定結果であって、報告条件を満たす受信電力測定結果を受信する。なお、端末300は、RSRP(受信電力)報告の際、CSI-RS候補番号のみを報告してもよい。
【0065】
マクロ基地局100の制御部101は、ST102において端末300から受け取った情報(CSI-RS候補番号およびRSRP測定結果)に基づいて、CSI-RS候補リストに示される複数のCSI−RS候補のうち、CSI測定に用いるCSI−RS(CSIの測定対象である特定のCSI−RS)を少なくとも一つ決定する。
図8では、制御部101は、CSI-RS 1およびCSI-RS 2を用いている送信ポイントの近傍に端末が存在していると判断する。または、
図8では、制御部101は、端末300においてCSI-RS 1およびCSI-RS 2を用いている送信ポイントからの受信品質が他の送信ポイントよりも高いと判断する。そこで、制御部101は、CSI測定・報告対象のCSI−RSを、CSI-RS 1およびCSI-RS 2に決定する。換言すると、制御部101は、CSI測定・報告対象の送信ポイントを、CSI-RS 1を用いている送信ポイントおよびCSI-RS 2を用いている送信ポイントに決定する。
【0066】
または、制御部101は、CSI-RS 1およびCSI-RS 2の何れか一方をCSI測定・報告対象の特定のCSI−RSとして決定してもよい。この場合、制御部101は、例えば、CSI-RS 1およびCSI-RS 2のうち、RSRPの値(value 1およびvalue 2)が大きい方を、CSI測定・報告対象のCSI−RSとして決定してもよい。
【0067】
ST103では、マクロ基地局100は、CSI測定・報告対象として決定されたCSI-RS 1およびCSI-RS 2を含むCSI-RS測定リスト(CML)を生成し、CSI-RS測定リストを端末300へ通知する。
【0068】
端末300の測定部303は、ST103においてCSI-RS測定リストを受け取ると、CSI-RS測定リストに示される特定のCSI−RS(CSI-RS 1およびCSI-RS 2)を用いて、CSI(CQIおよびPMI)を測定する。つまり、測定部303は、マクロ基地局100で報告条件を満たすRSRPに対応する送信ポイントの情報を用いて決定された特定の送信ポイントからのCSI−RSを用いて、CSIを測定する。
【0069】
ST104では、端末300は、測定されたCSIをマクロ基地局100へ報告する(CSIフィードバック)。すなわち、マクロ基地局100は、端末300でCSI-RS測定リストに示される特定のCSI−RSを用いて測定されたCSIを受信する。マクロ基地局100は、CSIフィードバックに基づいて、データ信号(PDSCH)の送信方法、または、各送信ポイントでのPrecoding Matrixを設定する(CSIフィードバックに基づくPDSCHスケジューリング)。これにより、各送信ポイントからデータおよびDMRSが送信される。
【0070】
なお、
図8に示すように、CSI−RSを用いたRSRP測定は、CSI−RSを用いたCSI測定と比較して、長い間隔(低頻度)で実施される。また、CSIは、周期的に報告されてもよく(periodic CSI reporting)、トリガ等の報告要求に応じて報告されてもよい(aperiodic CSI reporting)。
【0071】
次いで、
図8において、端末300(測定部303)でのCSI-RS候補リストに基づくRSRP測定の結果、報告条件を満たす新たな測定結果が得られた場合について説明する。
【0072】
ST105において、端末300は、ST102と同様、報告条件を満たすRSRPに対応するCSI−RS候補(送信ポイント)に関する情報(CSI-RS候補番号および測定結果)をマクロ基地局100へ報告する。
図8では、CSI-RS 1のRSRPが閾値Th_removeを下回り、CSI-RS 3のRSRPが閾値Th_addを上回っている。よって、ST105では、端末300は、CSI-RS 1およびCSI-RS 3をマクロ基地局100へ報告する。なお、RSRPが閾値Th_removeを下回ったCSI−RSの候補について測定結果の報告は不要である。そこで、
図8では、端末300は、報告情報量削減のために、CSI-RS 1について、測定結果(value 1)の代わりに、RSRPが閾値Th_removeを下回った旨を示す情報(remove)を報告する。
【0073】
ST106では、マクロ基地局100の制御部101は、ST103と同様にして、CSI-RS測定リスト(CML)を生成し、CSI-RS測定リストを端末300へ通知する。この際、制御部101は、ST105で受け取った情報に基づいて、CSI測定・報告対象を再設定する。例えば、
図8では、制御部101は、ST104においてCSI測定・報告対象であったCSI-RS 1およびCSI-RS 2のうち、CSI-RS 1をCSI測定・報告対象から外し、CSI-RS 3をCSI測定・報告対象に新たに加える。よって、ST106では、マクロ基地局100は、CSI-RS 1およびCSI-RS 2を含むCSI-RS測定リストを端末300へ報告する。
【0074】
これにより、端末300の測定部303は、CSI-RS測定リストに示されるCSI−RS(CSI-RS 2およびCSI-RS 3)を用いて、CSI(CQIおよびPMI)を測定する。よって、ST107では、CSI-RS 1およびCSI-RS 2に対するCSIフィードバックが行われる。
【0075】
以降、マクロ基地局100および端末300では、同様の処理が継続して実施される。
【0076】
このようにして、マクロ基地局100では、送信部102が、CSI−RSを端末300に送信し、制御部101が、端末300で複数の基地局(送信ポイント)からのCSI−RSを用いて測定された、各基地局の受信電力(第1の受信品質)に基づいて、複数の基地局のうち、CSI(第2の品質)の測定対象である特定の基地局を決定し、受信部103が、端末300で上記特定の基地局からのCSI−RSを用いて測定された、上記特定の基地局に対するCSIを受信する。また、端末300では、測定部303が、マクロ基地局100のカバーエリア内の複数の基地局(送信ポイント)からのCSI−RSを用いて、各基地局に対する受信電力(第1の受信品質)を測定し、測定部303が、複数の基地局のうち、各基地局の受信電力(第1の受信品質)に基づいて決定される特定の基地局のCSI−RSを用いて、上記特定の基地局に対するCSI(第2の受信品質)を測定し、測定されたCSIをマクロ基地局100へ報告する。
【0077】
すなわち、端末300は、CSI測定・報告を行う前に、受信電力(RSRP等)の測定を行い、受信電力がより高い送信ポイントが使用しているCSI−RSをマクロ基地局100へ報告する。これにより、マクロ基地局100は、マクロセル内に存在する複数の送信ポイントに設定された複数のCSI−RSの中から、CSI測定・報告対象のCSI−RSを一部に絞って設定することができる。
【0078】
ここで、
図8に示すように、受信電力(RSRP)の報告周期は、CSIの報告周期と比較して長い。また、受信電力の測定処理は、CQIおよびPMI等の詳細な情報を含むCSIの測定処理と比較して処理量が小さい。さらに、受信電力の通知に要する情報量(ビット数等)は、CSIの通知に要する情報量と比較して小さい。すなわち、端末300が報告条件を満たすCSI−RS候補(送信ポイント)の情報(CSI-RS候補番号、受信電力等)をCSI測定前にマクロ基地局100へ報告することによるフィードバック量の増加よりも、CSI測定・報告対象のCSI−RS(送信ポイント)を一部に絞ることによるフィードバック量の低減の方が、システムに与える影響はより大きくなる。つまり、端末300が全ての送信ポイントのCSI測定結果を報告する場合と比較して、端末300が所定の条件を満たすCSI−RS候補をマクロ基地局100へ事前に報告して、CSI測定対象の送信ポイント(基地局)を限定することによるフィードバック量削減の効果は大きい。
【0079】
こうすることで、CSI報告のオーバーヘッドを低減しつつ、適切な送信ポイントを選択することができる。
【0080】
さらに、本実施の形態では、マクロ基地局100は、CSI-RS候補リストを端末300へ予め通知する。これにより、端末300は、予め、各送信ポイントに対する送受信タイミングの測定および設定を行うことができる。これにより、端末300は、ユーザデータの送信に用いる送信ポイントが変更される際、変更先の送信ポイントとの同期のための遅延を発生させることなく、変更先の送信ポイントを利用することができる。
【0081】
なお、本実施の形態において、端末300は、CSI−RSを用いた受信電力(RSRP)測定を継続して行い、測定結果が報告条件を満たす場合に、報告条件を満たすCSI−RS候補(送信ポイント)の情報をマクロ基地局100へ報告する場合について説明した(例えば、
図8参照)。しかし、本実施の形態において、報告条件を満たすCSI−RS候補の報告は、これに限らず、次のようにしてもよい。以下、受信電力の報告方法1および2について説明する。
【0082】
<報告方法1>
マクロ基地局100は端末300に対して、現在使用している送信ポイントからの信号の受信品質またはスループットが悪くなったと判断した場合に、受信電力の測定結果の報告要求を端末300に通知する。報告要求には、測定方法または報告対象のCSI-RS番号を含めてもよい。端末300はマクロ基地局100から報告要求を受信した場合に、指定されたCSI−RS(指定が無い場合には全てのCSI−RS)の測定結果を報告する。これにより、端末300は、送信ポイントの変更が必要になりそうになったときにのみCSI−RSの受信電力測定及び報告を行うので、端末300における消費電力の低減及び報告情報量の低減が可能となる。また、マクロ基地局100は、各送信ポイントの混雑状況等から送信ポイントを変更したいタイミングで端末300にCSI−RSの受信測定結果を報告させることができる。また、端末300は、報告条件を設定されると、CSI-RSを用いて測定した受信品質が得られるとすぐに第1の受信品質を基地局100に送信するため、基地局100はすぐに第2の情報を更新することができる。その結果、基地局100は、端末300にスケジューリングをする送信ポイントをより柔軟に切り替えることができる。
【0083】
なお、端末300は、本実施の形態と同様、報告要求を受信した場合に、報告条件を満たしたCSI−RS(送信ポイント)の情報(CSI-RS候補番号および測定結果)のみを報告してもよい。報告要求及び測定結果の報告は、RRCシグナリングでも実現可能である。ただし、報告要求及び測定結果の報告を、MACまたはPHYシグナリングにすることで、報告要求から測定結果の報告までの遅延の低減が可能となる。
【0084】
<報告方法2>
端末300は、CSI-RS候補リストがマクロ基地局100から通知されると、CSI−RSの受信電力測定を行い、全てのCSI−RS(または指定されたCSI−RS)の測定結果を周期的にマクロ基地局100へ報告する。この際、報告周期はマクロ基地局100から別途通知される。これにより、マクロ基地局100は、継続的に端末300の状態(各送信ポイントからの受信品質)をモニタすることができる。
【0085】
[実施の形態2]
Rel.10では、CSI−RSへの干渉低減を目的として、zeroTxPowerCSI-RS(非送信CSI−RS)が設定(configure)される。本実施の形態では、非送信CSI−RSを用いたCoMP運用を行う。
【0086】
例えば、
図11は、各送信ポイントにおける1サブフレーム内のCSI−RSのマッピングパターンの一例を示す。
図11では、送信ポイント1〜3に対して、Pattern 0〜2(
図10参照)がそれぞれ設定されている。
図11に示すように、送信ポイント1〜3にそれぞれ設定されたCSI−RSのリソースを含むリソースが、zeroTxPowerCSI-RS(非送信CSI−RS)のリソースに設定されている。
図11に示すように、非送信CSI−RSのリソースには、データ信号(PDSCH)は配置されない。また、
図11に示すように、非送信CSI−RSのリソースでは、各送信ポイントから送信されるCSI−RSが互いに異なるリソースにそれぞれ割り当てられている。また、Rel.10では、非送信CSI−RSのリソースは、所定の周期のタイミング(例えば、5ms周期)で設定される(
図11では図示せず)。
【0087】
すなわち、
図11に示すように、非送信CSI−RSを構成するリソース群において、或る送信ポイントのCSI−RSが割り当てられたリソースでは、当該送信ポイントのCSI−RSのみが送信され、データ信号(PDSCH)および他の送信ポイントのCSI−RSが送信されない。例えば、
図11に示す送信ポイント1では、非送信CSI−RSのリソースのうち、送信ポイント1のCSI−RSに割り当てられたリソースでCSI−RSが送信される。一方、
図11に示す送信ポイント1では、非送信CSI−RSのリソースのうち、送信ポイント1のCSI−RSに割り当てられたリソース以外のリソース(つまり、送信ポイント2および3のCSI−RSに割り当てられたリソース)ではデータが送信されない。他の送信ポイント2および3についても同様である。このように、或る送信ポイントのCSI−RSが割り当てられたリソースでは、他の送信ポイントから送信されるCSI−RSおよびデータが存在しないので、CSI−RSに対する干渉が軽減される。
【0088】
ここで、例えば、
図11に示す送信ポイント1に接続している端末は、送信ポイント1のCSI−RS(CSI測定対象)のリソースでは、送信ポイント1から送信されるCSI−RSを受信する。一方で、
図11に示す送信ポイント1に接続している端末は、非送信CSI−RSのリソースのうち、送信ポイント2(または送信ポイント3)のCSI−RSのリソースでも、送信ポイント2(または送信ポイント3)から送信されるCSI−RSを受信することが可能である。つまり、端末は、zeroTxPowerCSI-RS(非送信CSI−RS)のリソースにおいて、CSI測定対象のCSI−RSのみでなく、他のCSI−RSを受信することができる。
【0089】
そこで、本実施の形態では、端末は、実施の形態1におけるCSI-RS候補リストの代わりに、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)のリソースを用いて、複数の基地局(送信ポイント)から送信されるCSI−RSの受信電力を測定する。
【0090】
以下、本実施の形態に係るマクロ基地局100(
図5)、ピコ基地局200(
図6)および端末300(
図7)について説明する。
【0091】
[マクロ基地局100の構成]
マクロ基地局100において、制御部101は、実施の形態1の動作に加え、以下の処理を行う。ただし、制御部101は、CSI-RS候補リストを作成しない。
【0092】
制御部101は、マクロ基地局100がカバーするセル(マクロセル)内の送信ポイントで使用しているCSI−RSのリソースを含むリソース群を、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)のリソースとして設定(configure)する。なお、制御部101は、制御対象端末300の近傍の送信ポイントに設定されたCSI−RSのリソースのみを含む非送信CSI−RSのリソースを設定してもよい。
【0093】
ここで、非送信CSI−RSのリソース情報(zeroTxPowerCSI-RS情報)は、例えば、(1)CSI−RSの周期と時間オフセット(1つのsubframeConfig)、および、(2)サブフレーム内の時間・周波数リソース位置(1つまたは複数のresourceConfig)で表される。なお、Rel.10では、zeroTxPowerCSI-RSに対して、周期と時間オフセット(subframe offset)の組み合わせは1つのみ設定(configure)可能である。すなわち、マクロセル内の各送信ポイントでzeroTxPowerCSI-RSのサブフレームは共有される。
【0094】
非送信CSI−RSのリソース情報は、RRCパラメータ(zeroTxPowerCSI-RS)で設定される。例えば、マクロ基地局100は、
図9および
図10のように予め設定されたCSI-RS configurationと物理リソースとのマッピング関係において、非送信CSI−RSに用いるCSI-RS configurationをビットマップで通知する。例えば、通知情報が[0 1 0 0 1]の場合、端末300では、
図10に示すPattern0〜4のうち、Pattern 1およびPattern 4のリソースを用いたCSI−RSが非送信CSI−RSとして設定される。
【0095】
また、制御部101は、マクロ基地局100がカバーするマクロセル内の各送信ポイントに設定されるCSI−RSの周期を、非送信CSI−RSの周期の整数倍(N倍)に設定する。
【0096】
また、制御部101は、非送信CSI−RSのリソースにおける受信電力測定において時間平均に用いるCSI−RSの周期(受信電力測定周期)を設定する。
【0097】
以上のように設定した非送信CSI−RSのリソース情報(zeroTxPowerCSI-RS情報)、および、受信電力測定周期は、送信部102を介して端末300へ通知される。また、非送信CSI−RSのリソース情報、受信電力測定周期、および、各送信ポイントに設定されるCSI−RSの周期(非送信CSI−RSの周期の整数倍)は、基地局間IF104を介して各送信ポイント(ピコ基地局200)へ通知される。なお、マクロ基地局100は、各送信ポイントに設定されるCSI−RSの周期を表す情報として、上記Nの値のみを通知してもよい。
【0098】
送信部102は、実施の形態1の動作に加え、以下の処理を行う。
【0099】
送信部102は、制御部101で設定された非送信CSI−RSのリソースにはデータ信号(PDSCH)を配置しない。また、送信部102は、非送信CSI−RSのリソースであっても、自機(マクロ基地局100)のCSI-RS configurationで指定されているリソースである場合には、当該リソースでCSI−RSを送信する。
【0100】
[ピコ基地局200の構成]
本実施の形態に係るピコ基地局200において、送信部202は、実施の形態1の動作に加え、以下の処理を行う。送信部202は、マクロ基地局100で設定された非送信CSI−RSのリソースにはデータ信号(PDSCH)を配置しない。また、送信部202は、非送信CSI−RSのリソースであっても、自機(ピコ基地局200)のCSI-RS configurationで指定されているリソースである場合には、当該リソースでCSI−RSを送信する。
【0101】
[端末300の構成]
受信部301は、実施の形態1の動作に加え、非送信CSI−RSのリソース情報、および、受信電力測定周期の情報を受信する。非送信CSI−RSのリソース情報は制御部302および測定部303に出力され、受信電力測定周期の情報は測定部303に出力される。
【0102】
制御部302は、実施の形態1の動作に加え、非送信CSI−RSのリソース情報に基づいて、受信電力測定の対象となるCSI−RSのリソース情報を受信部301に出力する。
【0103】
測定部303は、実施の形態1の動作に加え、非送信CSI−RSのリソース情報、および、受信電力測定周期の情報に基づいて、CSI−RSを用いた受信電力測定を行う。例えば、測定部303は、非送信CSI−RSとして設定されたresourceConfigで指定される、各サブフレーム内の時間・周波数リソースにおいて何れかの送信ポイントから送信されるCSI−RSを用いて、受信電力測定周期毎に受信電力を測定する。つまり、測定部303は、所定の周期のタイミング(subframeConfig)で設定される非送信CSI−RSのリソース群で複数の送信ポイントから送信されるCSI−RSを用いて、各基地局に対する受信電力を測定する。
【0104】
送信部304は、実施の形態1の動作に加え、CSI−RSを用いて測定された受信電力の報告の際、所定の条件(報告条件)を満たしたCSI−RS(送信ポイント)の情報として、zeroTxPowerCSI-RSのresourceConfig番号(つまり、何番目のresource configurationの非送信CSI−RSのリソースであるかを示す情報)に加え、オフセットの情報を含める。
【0105】
[マクロ基地局100および端末300の動作]
図12は、上述した非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)の設定、各送信ポイントのCSI−RSの設定、および、端末300での受信電力測定周期の設定の一例を示す。
【0106】
図12では、非送信CSI−RSのリソースとして、resourceConfig=1、かつ、subframe Config=(周期=5ms、オフセット=0ms)が設定されている。すなわち、
図12に示すように、非送信CSI−RSのリソースは、5ms毎に設定される。
【0107】
また、
図12では、送信ポイント1のCSI−RSのリソースとして、resourceConfig=1、かつ、周期=10ms、オフセット=0msが設定されている。同様に、
図12では、送信ポイント2のCSI−RSのリソースとして、resourceConfig=1、かつ、周期=10ms、オフセット=4msが設定されている。つまり、各送信ポイントに設定されるCSI−RSの周期(10ms)は、非送信CSI−RSの周期(5ms)の2倍(N=2)である。
【0108】
また、
図12では、端末300での受信電力測定周期として、10msが設定されている。
【0109】
そこで、端末300の測定部303は、オフセット=0ms(例えばサブフレーム0)から10msの周期で、送信ポイント1から送信されるCSI−RSを用いて受信電力測定を行う。また、測定部303は、オフセット=4ms(例えばサブフレーム4)から10msの周期で、送信ポイント2から送信されるCSI−RSを用いて受信電力測定を行う。つまり、端末300は、
図12において、サブフレーム0(オフセット=0ms)から10ms周期で取り出したCSI−RSを用いた受信電力測定と、サブフレーム4(オフセット=4ms)から10ms周期で取り出したCSI−RSを用いた受信電力測定との2種類の受信電力測定を行い、それぞれ時間平均を行う。
【0110】
このように、端末300は、非送信CSI−RSが設定された各リソースで、何れかの送信ポイントから送信されたCSI−RSを受信して、受信電力を測定する。つまり、本実施の形態では、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)のリソース情報を、実施の形態1で用いたCSI-RS候補リスト(各送信ポイントに設定されるCSI−RSの情報)の代わりに用いる。
【0111】
これにより、実施の形態1と比較して、CSI-RS候補リストの通知が不要となるので、通知情報の情報量を低減できる。すなわち、Rel.10と比較して、新たな通知情報(IE:Information Element)の設定が不要となり、システムのcomplexityを低減することができ、かつ、基地局および端末のテスト工数を低減することができる。
【0112】
さらに、非送信CSI−RSのリソースにおいて、或る送信ポイントのCSI−RSが割り当てられたリソースでは、当該送信ポイントのCSI−RS以外の信号が送信されないので、端末300は、CSI−RSを用いた受信電力測定を高精度で行うことができる。
【0113】
また、
図11に示すように、各送信ポイントが使用しているCSI−RSのリソースでは、データ信号(PDSCH)が非送信となる。このため、マクロセル内で端末300に対する送信ポイントが切り替わる毎に、リソースブロック内のデータ信号(PDSCH)の配置パターンを変更する必要がないので、端末300のcomplexityを低減することができる。
【0114】
なお、マクロ基地局100から端末300への通知情報の情報量低減のために、非送信CSI−RS(zero-TxPowerCSI-RS)の周期、および、subframe offsetは、1つのみ設定されることが望ましい。このとき、仮に、非送信CSI−RS(zero-TxPowerCSI-RS)のリソースを各送信ポイントのCSI−RSの測定対象リソースとすると、セル内の異なる送信ポイントのCSI−RSはすべて同一サブフレームで送信されることになる。この場合、データ信号(PDSCH)向けリソースが極端に少なくなり、スループット劣化を招く恐れがある。
【0115】
これに対して、本実施の形態では、マクロ基地局100は、各送信ポイントのCSI−RSの周期を非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)の周期の整数倍とし、かつ、送信ポイント間で異なるオフセットを設定する。さらに、マクロ基地局100は、非送信CSI−RS(zero-TxPowerCSI-RS)のリソース情報に加えて、受信電力測定に用いるサブフレームの周期を端末300に通知する。そして、端末300は通知された受信電力測定の周期で受信電力を測定する。これにより、各送信ポイントのCSI−RSを分散したサブフレームで送信することができる。これにより、各送信ポイントからのCSI−RSが或るサブフレームのみに集中することを防ぎ、データスループットの劣化を抑えることができる。
【0116】
また、端末300がマクロ基地局100に受信電力の測定結果を報告する際、報告条件を満たしたCSI−RSのresource config番号に加えて、受信電力の測定に用いたサブフレームオフセットの情報も報告する。これにより、マクロ基地局100は、報告条件を満たしたCSI−RSがどの送信ポイントのCSI−RSであるかを判断でき、端末300に対してCSI測定・報告対象のCSI−RSを適切に設定できる。
【0117】
このようにして、本実施の形態によれば、CSI報告のオーバーヘッドを低減しつつ、適切な送信ポイントを選択することができる。さらに、本実施の形態によれば、実施の形態1と比較して、CSI測定・報告に要する通知情報を低減することができる。
【0118】
なお、本実施の形態の動作と実施の形態1の動作とを状況に応じて切り替えてもよい。この場合、マクロ基地局100は、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)をCSI-RS候補リストとして代用するか(本実施の形態を適用するか)、CSI-RS候補リストを新たに通知するか(実施の形態1を適用するか)、を選択し、端末300へ通知してもよい。例えば、通知情報の情報量を極力低減したい場合にはzeroTxPowerCSI-RSをCSI-RS候補リストとして代用する等、柔軟な運用が可能となる。
【0119】
また、本実施の形態では、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)のリソースを、受信電力測定対象のCSI−RSのリソース(つまり、CSI-RS候補リスト)として設定する場合について説明した。しかし、本実施の形態において、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)のリソースの一部のみを、受信電力測定対象のリソースとして設定してもよい。この場合、マクロ基地局100は、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)のリソースのうち、どのresource configを受信電力測定対象とするかを示す情報を端末300に通知する。例えば、非送信CSI-RSリソースとして隣接セル(異なるセルID)で使用しているCSI−RSのリソースを含める場合、または、端末300の近傍の送信ポイントで使用しているCSI−RSのリソースのみを測定対象とする場合等、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)のリソースと、受信電力測定対象のCSI−RSのリソースとが異なる場合に効果的である。
【0120】
また、本実施の形態では、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)として、送信周期とサブフレームオフセットとからなる1つの情報のみが設定される場合について説明した。しかし、非送信CSI−RS(zeroTxPowerCSI-RS)の各リソースに対して、送信周期とサブフレームオフセットとからなる情報を通知してもよい。これにより、非送信CSI−RSを複数のサブフレームに分散して設定することが可能となり、1つのサブフレームでPDSCH向けのリソース量が減少することを防ぐことができる。
【0121】
[実施の形態3]
本実施の形態では、マクロセル間(異なるセルIDのセル間)でハンドオーバした後における送信ポイントの選択方法について説明する。
【0122】
以下、本実施の形態に係るマクロ基地局100(
図5)、ピコ基地局200(
図6)および端末300(
図7)について説明する。
【0123】
[マクロ基地局100の構成]
マクロ基地局100において、制御部101は、実施の形態1の動作(マクロセル内の送信ポイント選択に関する動作)に加え、以下の処理(他セル内での送信ポイント選択に関する動作)を行う。
【0124】
制御部101は、他セル(隣接セル。つまり、マクロ基地局100のカバーエリア内の複数の送信ポイントとは異なるセルIDを持つ送信ポイント)を測定対象とするmeasurement(CRSを用いた受信電力測定)の設定を端末300毎に決定する。measurementの設定(measurement configuration:measConfig)としては、測定対象のキャリア周波数、セルIDの情報、測定方法(RSRP、RSRQ等)、measurement reportの報告条件等が挙げられる。measurementの設定(measConfig)は、送信部102を介して各端末300へ通知される。
【0125】
また、制御部101は、上記measurementの対象とした他セル内の各送信ポイント(つまり、measurementの対象とした他セルと同一のセルIDを持つ複数の送信ポイント)で使用されているCSI−RSのconfigurationを、他セルの「CSI-RS候補リスト」として生成する。他セルの「CSI-RS候補リスト」は送信部102を介して各端末300へ通知される。なお、制御部101は、設定対象端末300の近傍に位置する他セルの送信ポイントで使用されているCSI−RSのみを他セルの「CSI-RS候補リスト」に含めて、受信電力の測定対象として設定してもよい。
【0126】
また、制御部101は、受信部103または基地局間IF104を介して受信する各端末300からの測定結果の報告(measurement report。つまり、CRSを用いた受信電力測定結果)に基づいて、他セルへのハンドオーバを行うか否かを判断する。制御部101は、他セルへのハンドオーバを行う場合、ハンドオーバの実施に必要な情報を基地局間IF104に出力する。
【0127】
また、制御部101は、受信部103または基地局間IF104を介して受信する各端末300からの信号(受信信号)に含まれる、他セルのCSI−RSに関する情報(CSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告を行うか否かの基準となる所定の条件(CSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告条件)を満たしたCSI−RSリソースの識別子、および、受信電力測定結果)を用いて、他セルのCSI測定・報告の対象とするCSI−RSのconfiguration(すなわち、送信ポイント)を決定する。制御部101は、決定したCSI−RSのconfigurationを、他セルの「CSI-RS測定リスト」とする。
【0128】
なお、measurement対象である他セルと同一のセルIDを持つ複数の送信ポイントから送信されるCSI−RSは、送信ポイント毎に異なるリソースで送信され、CRSは、当該他セルのセルIDに基づいて決められるリソースで送信される。
【0129】
基地局間IF104は、制御部101から入力されるハンドオーバの情報を他の基地局へ通知し、他の基地局との間でハンドオーバに必要な情報のやり取りを行う。
【0130】
[端末300の構成]
端末300において、測定部303は、受信部301を介して受信したmeasurementの設定(measConfig)に含まれる周波数、セルID等に従って、CRSを用いて受信電力を測定する。CRSを用いた受信電力の測定方法は、measurementの設定(measConfig)で指定された測定方法(RSRP、RSRQ等)である。また、測定部303は、CRSによる受信電力測定結果が、measurementの設定(measConfig)に含まれる報告条件を満たすか否かを判断する。CRSによる受信電力測定結果が報告条件を満たす場合、測定部303は、measurement対象である他のセルの情報(例えば、周波数、セルID等)、および、測定結果(CRSを用いた受信電力測定結果)を、送信部304を介してマクロ基地局100またはピコ基地局200へ送信する。
【0131】
また、測定部303は、他のセルのCRSによる受信電力測定結果がmeasurementの報告条件を満たす場合、さらに、当該他のセルのCSI-RS候補リストに示される複数のCSI−RSを用いて、複数のCSI−RSのそれぞれに対応する受信電力を測定する。そして、測定部303は、測定結果(CSI−RS番号、測定値等)を送信部304を介してマクロ基地局100またはピコ基地局200へ送信する。つまり、測定部303は、マクロ基地局100のカバーエリア外の他のマクロ基地局(他のセル)からのCRSを用いて測定された受信電力がmeasurementの報告条件を満たした場合、当該他のマクロ基地局のカバーエリア内の送信ポイント(他の基地局、および、他のマクロ基地局のカバーエリア内に配置された複数のピコ基地局)からのCSI−RSを用いて、他の基地局の各送信ポイントに対する受信電力を測定する。ここで、前述したように、CSI−RSは送信ポイント毎に異なるリソースで送信される。また、CRSは、マクロ基地局100のカバーエリア内の送信ポイントと、他のマクロ基地局のカバーエリア内の送信ポイントとで異なるリソースが使用され、各カバーエリア内の送信ポイントにおいて同一リソースで送信される(例えば
図1参照)。なお、端末300は、CSI-RS候補リストに示されるCSI−RSのうち、測定値が上位(受信電力がより高い)CSI−RSの測定結果のみを報告してもよく、測定値が予め設定された基準値を満たすCSI−RSの測定結果のみを報告してもよい。このようにすることで、報告するCSI-RSの測定結果の数を削減することができるため、報告のためのメッセージサイズを小さくすることができる。
【0132】
[マクロ基地局100および端末300の動作]
以上の構成を有するマクロ基地局100及び端末300の動作について説明する。以下では、端末300における、他セルの送信ポイントのCSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告方法1および2について説明する。
【0133】
<報告方法1(
図13)>
図13は、マクロ基地局100(eNBと表す)および端末300(UEと表す)の処理の流れを示すフロー図である。
【0134】
図13において、ST201では、マクロ基地局100は、制御部101で設定されたmeasurement configuration(CRSを用いる受信電力測定のパラメータ(測定対象の他のセルのセルID、測定方法等))を端末300毎に設定し、通知する。この際、マクロ基地局100は、測定対象の他のセルについてのCSI-RS候補リスト(other cell CSI-RS candidate lists)も端末300へ通知する。
【0135】
端末300の測定部303は、ST201においてmeasurement configurationを受け取ると、CRSを用いた受信電力(例えば、RSRP)測定を行う。また、測定部303は、CRSを用いた測定結果が報告条件を満たすか否かを判断する。例えば、報告条件として、CRSを用いた測定結果が予め設定された閾値Th_crsを上回るか否かが判断される。CRSを用いた測定結果(
図13では、Cell id 1のセルの測定結果)が閾値Th_crsを上回ると、測定部303は、当該セル(Cell id 1のセル)のCSI-RS候補リストに基づいて、CSI−RSを用いた受信電力(例えば、RSRP)測定を行う。
【0136】
CSI−RSを用いた受信電力(例えば、RSRP)測定が完了すると、ST202では、端末300は、CRSを用いた受信電力測定結果(measurementの報告条件を満たすcell id、測定値等)、および、CSI−RSを用いた受信電力測定結果(CSI-RS id、測定値等)を含むmeasurement reportをマクロ基地局100に報告する。
【0137】
ST203では、マクロ基地局100は、ST202において端末300から受け取ったmeasurement reportに基づいて、端末300にハンドオーバさせるか否かを判断する。マクロ基地局100は、端末300にハンドオーバさせる場合には、ハンドオーバ先の基地局との間でハンドオーバに必要な情報(端末情報、設定情報等)のやり取りを行うとともに、端末300に対して、ハンドオーバコマンド(Handover command)としてハンドオーバ指示およびハンドオーバ先の設定情報を通知する。
【0138】
ST204では、端末300は、ST203においてマクロ基地局100から受け取った設定情報に基づいて、ハンドオーバ先の基地局へRACHを送信する。
【0139】
ST205では、端末300のハンドオーバ先の基地局は、ST204において端末300からのRACHを検出すると、端末300に対してRACH responseを送信する。
【0140】
ST206では、端末300は、ST205においてハンドオーバ先の基地局からのRACH responseを受け取ると、RACH responseで指示された上りリソースでハンドオーバ完了メッセージ(HO complete)を送信する。
【0141】
このように、端末300は、CRSを用いた受信電力測定結果が報告条件を満たした後に、CSI-RS候補リストに基づくCSI−RSを用いた受信電力測定を開始する。つまり、端末300は、他のセル(ここではCell id 1のセル。送信ポイント)、および、当該セルと同一のセルIDを持つ複数の送信ポイントからの複数のCSI−RSを用いて測定した、複数のCSI−RSのそれぞれに対する受信電力(RSRP)を、measurementの報告条件を満たしたCRSの受信電力測定結果を報告するタイミングで報告する。このため、本実施の形態では、CSI−RSを用いた受信電力測定を常に行う場合と比較して、端末300での消費電力を低減することができる。
【0142】
また、端末300は、他のマクロ基地局のセル内の送信ポイントに対するCSI−RSを用いた受信電力測定結果を、measurementの報告条件を満たした受信電力測定結果(CRSを用いた受信電力測定結果)を報告するタイミングで報告する。つまり、端末300は、CRSを用いた受信電力測定結果と、CSI−RSを用いた受信電力測定結果とを同一メッセージ(
図13ではmeasurement report)としてマクロ基地局100に報告する。これにより、各測定結果の報告に必要なヘッダ、CRC、または、当該メッセージの送信に対するACK/NACK等のオーバーヘッドを低減することができる。
【0143】
なお、ハンドオーバ先となり得る他のマクロ基地局でのCSI測定・報告対象を示すCSI-RS測定リスト(
図13では図示せず)は、ハンドオーバコマンド(
図13に示すST203)に含めてもよい。この場合、ハンドオーバ完了後にCSI-RS測定リストを追加で通知する必要がなくなり、遅延をさらに低減できる。
【0144】
<報告方法2>
図14は、マクロ基地局100(eNBと表す)および端末300(UEと表す)の処理の流れを示すフロー図である。なお、
図14において、報告方法1(
図13)と同一の処理には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0145】
図14において、ST301では、CRSを用いた受信電力測定結果(
図14では、Cell id 1のセルの測定結果)が予め設定された閾値Th_crsを上回ると、測定部303は、当該セルのCSI-RS候補リストに基づいて、CSI−RSを用いた受信電力(例えば、RSRP)測定を行うとともに、CRSを用いた受信電力測定結果を含むmeasurement reportをマクロ基地局100に報告する。
【0146】
ST302では、端末300は、ST205においてハンドオーバ先の基地局からのRACH responseを受け取ると、RACH responseで指示された上りリソースでハンドオーバ完了メッセージ(HO complete)を送信する。ここで、ハンドオーバ完了メッセージの中には、ハンドオーバ先の基地局(他のマクロ基地局)内の送信ポイントからのCSI−RSを用いた受信電力測定結果が含まれる。つまり、端末300は、他のマクロ基地局のカバーエリア内の送信ポイントに対するCSI−RSを用いた受信電力測定結果を、マクロ基地局100から他のマクロ基地局へのハンドオーバ完了メッセージを送信するタイミングで報告する。
【0147】
すなわち、報告方法2では、CSI−RSを用いた受信電力測定の完了を待たずに、CRSを用いた受信電力測定結果(measurement report)がマクロ基地局100へ報告される点が報告方法1と異なる。すなわち、端末300は、他のセル(ここではCell id 1のセル。送信ポイント)、および、当該他のセルと同一のセルIDを持つ複数の送信ポイントからの複数のCSI−RSを用いて測定した、複数のCSI−RSのそれぞれに対する受信電力(RSRP)を、当該他のセルへのハンドオーバ完了メッセージを報告するタイミングで送信する。これにより、CRSを用いた受信電力測定結果(measurement report)の遅延が低減されるので、マクロ基地局100は、報告方法1と比較して、ハンドオーバの判断をより早いタイミングで行うことができる。これは、特に伝搬路の時間変動が早い場合に効果的である。
【0148】
また、報告方法1ではmeasurement reportの中にCSI−RSを用いた受信電力測定結果を含ませたのに対して(
図13に示すST202)、報告方法2ではハンドオーバ完了メッセージの中にCSI−RSを用いた受信電力測定結果を含ませた(
図14に示すST302)。つまり、報告方法2では、報告方法1と比較して、CSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告は、遅いタイミングとなる。しかし、CSI−RSを用いた受信電力測定結果は、ハンドオーバ先のセルでの送信ポイントの選択に用いられる。つまり、CSI−RSを用いた受信電力測定結果は、ハンドオーバ完了後に使用される。このため、CSI−RSを用いた受信電力測定結果がハンドオーバ完了メッセージに含まれることは問題にならない。さらに、CRSを用いた受信電力測定結果が報告条件を満たしたからといって必ずしも端末300がハンドオーバするわけではない。よって、報告方法1では、ハンドオーバしなかった場合にはCSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告が無駄になるのに対して、報告方法2では、ハンドオーバ完了後にCSI−RSを用いた受信電力測定結果が報告されるので、当該報告が無駄になることはない。
【0149】
以上、他セルの送信ポイントのCSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告方法1および2について説明した。
【0150】
このようにして、マクロ基地局100は、他セルの送信ポイントが使用しているCSI−RSの情報(CSI-RS候補リスト)を端末300に通知する。また、端末300は、他セルの送信ポイントが使用しているCSI−RSの受信電力を測定し、マクロ基地局100へ報告する。これにより、マクロ基地局100は、端末300が他セルへハンドオーバした後のデータ送信に用いるべき適切な送信ポイントを、遅延を低減しつつ選択することができる。すなわち、本実施の形態では、ハンドオーバが完了してからCSI-RS候補リストを通知して測定結果を報告させる場合と比較して、ハンドオーバ後のデータ送信開始までの遅延を低減できる。
【0151】
[実施の形態4]
Rel.10では、単位バンド(Component Carrier:CC)を幾つか束ねた帯域を用いた通信、所謂Carrier aggregation(CA)がサポートされる。「単位バンド」は、例えば、最大20MHzの幅を持つ帯域であって、通信帯域の基本単位として定義される。また、Rel.11では、下りリンク向けにExtension carrier(non-backward compatible carrier)が検討されている。Extension carrierでは、DMRSのみがサポートされ、オーバーヘッド低減のためにCRSは送信されない(例えば、「3GPP TSG RAN WG1 meeting, R1-100359, Jan. 2010」参照)。すなわち、Extension carrierでは、DMRSのみを用いた運用により高効率の伝送が可能となる。
【0152】
なお、Extension carrierにはCSI−RSは配置される。すなわち、Extension carrierには、CSI−RSが配置され、かつ、CSI−RSとは異なるCRSが配置されない。
【0153】
本実施の形態では、Carrier aggregation時に、Extension carrier等のCRSが送信されないComponent Carrier(CC)を用いるシステムを想定する。つまり、端末は複数のCCを用いて通信する。
【0154】
なお、本実施の形態は、実施の形態1〜3で想定されるヘテロジニアスネットワークに適用されてもよく、マクロ基地局のみで構成されるホモネットワークに適用されてもよい。以下では、本実施の形態をホモネットワークに適用する場合について説明する(
図15参照)。
【0155】
以下、本実施の形態に係るマクロ基地局100(
図5)および端末300(
図7)について説明する。
【0156】
[マクロ基地局100の構成]
マクロ基地局100において、制御部101は、実施の形態1の動作に加え、以下の処理を行う。
【0157】
制御部101は、端末300に対して現在使用しているCC以外の他のCCを測定対象とするmeasurement configurationを設定する。ここで、測定対象となるCCが通常のCC(CRSを含むCC)の場合には、制御部101は、当該CCのキャリア周波数、セルID等を含むmeasurement configurationを設定する。一方、測定対象となるCCがExtension carrier(CRSを含まないCC)の場合には、制御部101は、Extension carrier向けの設定情報(キャリア周波数、および、CSI-RS候補リスト)を、送信部102を介して端末300へ通知する。
【0158】
また、制御部101は、受信部103を介して受信した、端末300からの信号に基づいて、端末300に対してCCを追加するか否かを判断する。端末300からの信号には、通常のCC(CRSを含むCC)向けのmeasurement report、または、CSI−RSを用いた受信電力測定結果が含まれる。つまり、制御部101は、追加されるCCが通常のCC(CRSを含むCC)の場合には、CRSを用いた受信電力測定結果に基づいて、CCの追加を判断する。一方、制御部101は、追加されるCCがExtension carrierの場合、CSI−RSを用いた受信電力測定結果に基づいて、CCの追加を判断する。制御部101は、端末300に対してCCを追加する場合、端末300にCC追加指示を通知する。
【0159】
[端末300の構成]
端末300において、受信部301は、制御部302から入力されるCCのキャリア周波数等の設定情報に従って、端末300に設定されたCCからデータを抽出する。
【0160】
制御部302は、受信部301を介してマクロ基地局100からCC追加指示を受け取ると、追加するCCのキャリア周波数等の設定情報を受信部301に出力する。
【0161】
測定部303は、受信部301を介してマクロ基地局100からmeasurement configurationを受け取ると、measurement configurationに含まれる通常のCC向けの設定情報(キャリア周波数、セルID等)に基づいて、CRSを用いた受信電力測定を行う。測定された受信電力の測定結果が、マクロ基地局100から通知される報告条件を満たす場合、測定結果(通常のCC向けのmeasurement report)は送信部304を介してマクロ基地局100へ送信される。
【0162】
一方、測定部303は、受信部301を介してマクロ基地局100からExtension carrier向けの設定情報を受け取ると、設定情報に含まれるCSI-RS候補リストに基づいて、設定情報で指示されたキャリア周波数において、CSI−RSを用いた受信電力測定を行う。測定された受信電力の測定結果が、マクロ基地局100から通知される報告条件を満たす場合、測定結果(CSI−RSを用いた受信電力測定結果)は送信部304を介してマクロ基地局100へ送信される。
【0163】
このように、本実施の形態では、端末300に対してExtension carrier(CRSが配置されないCC)が新たに追加される際、端末300において、測定部303が、CRSが配置されないCCの周波数において、マクロ基地局100から送信されるCSI−RSを用いて受信電力を測定し、送信部304が、測定部303で測定されたCSI−RSを用いた受信電力測定結果が所定の条件を満たす場合、当該受信電力測定結果をマクロ基地局100へ報告する。つまり、端末300は、CRSが配置されていないExtension carrierに対して、CSI−RSを用いた受信電力測定を行い、測定結果をマクロ基地局100へ報告(つまり、CSI−RSベースの受信品質報告)する。こうすることで、Carrier aggregation時に、CRSが配置されていないExtension carrierを用いる場合でも、マクロ基地局100は、伝搬路状態が良好なExtension carrierを選択して、端末300に設定することができる。
【0164】
なお、Component carrierは、キャリア周波数およびセルIDにより定義されるセルと同義なものと見なすこともできる。また、Carrier aggregation時には、端末毎に1つのPrimary Component Carrier(PCCまたはPCell(Primary Cell)と呼ばれる)、および、1つまたは複数のSecondary Component Carrier(SCCまたはSCell(Secondary Cell)と呼ばれる)が設定される。例えば、PCC(PCell)は、報知情報(例えば、SIB2(System Information Block type2))を送信している単位バンドである。
【0165】
また、Extension carrierに限らず、CRSが配置されず、CSI−RSが配置されるComponent carrierであれば本発明を適用することができる。
【0166】
また、本実施の形態において、ヘテロジニアスネットワークが適用される場合には、端末300は、端末300に対してExtension carrier(CRSが配置されないCC)が新たに追加される際、CRSが配置されないCCの周波数において、複数の送信ポイントから送信される複数のCSI−RSを用いて、複数のCSI−RSのそれぞれの受信電力を測定し、所定の条件を満たす受信電力測定結果をマクロ基地局100へ報告すればよい。
【0167】
[実施の形態5]
本実施の形態では、各端末の上りリンクにおける受信基地局(または受信ポイント(reception point:RP)と呼ぶ)を、下りリンクにおける送信基地局(つまり、送信ポイント(TP))とは別に選択する。なお、各端末に対して選択される受信ポイントは1つであっても複数であってもよい。
【0168】
図16は、本実施の形態におけるCoMPの運用例を示す。
図16に示す端末に対して、下りリンクでは、RSRP(受信電力)が所定の閾値を上回った3つの送信ポイント#1,#2,#3から信号が送信されている。
【0169】
一方、
図16に示す端末に対して、上りリンクでは、パスロス(path loss。受信ポイントと端末との間の伝搬減衰量)が所定の閾値を下回った1つの受信ポイント#3で端末から送信される信号が受信されている。この際、
図16に示す端末は、受信ポイント#3で十分な受信品質で受信できるような送信電力で信号を送信する。例えば、
図16に示す端末は、近傍の受信ポイント#3で受信可能なできるだけ低い送信電力で信号を送信する。例えば、端末は、次式(1)で表される送信電力制御(LTEまたはLTE−Aの送信電力制御)における係数PL(パスロス)の算出時には、受信ポイント#3からの信号を用いて測定されたRSRPを用いる。なお、RSRPは実施の形態1と同様にCSI−RSを用いて測定される。
【数1】
【0170】
なお、式(1)において、PはPUSCH(データ)の送信電力を示し、P
MAXは端末で許容される送信電力の最大値を示し、Mは送信帯域幅を示し、P
0はセル毎または端末毎に設定される値を示し、αは1以下の係数を示し、Δ
TFは変調方式などによって変わる値を示し、fは送信電力制御コマンドによる制御値を示す。また、referenceSignalPowerは、パスロス算出の基準となる受信ポイント(以下、パスロスリファレンスとなる受信ポイント)での送信電力を示す。つまり、パスロス算出の基準となる受信ポイントでの送信電力と、端末でのRSRPの平均値(higher layer filtered RSRP)との差が、パスロス(受信ポイントと端末との間の伝搬減衰量)として算出される。
【0171】
ここで、基地局が端末からの信号を正常に受信するためには、基地局と端末との間で受信ポイントの認識が同じである必要がある。このため、基地局は、端末が送信電力制御の際のパスロス(PL)算出に用いる受信ポイント(パスロスリファレンスとなる受信ポイント)の情報を端末に通知する必要がある。ここで、パスロスはCSI−RSを用いて測定されるRSRPに基づいて算出される。このため、基地局は、パスロス算出の際、CSI−RSの情報(リソース、タイミングなど)を端末に通知する必要がある。よって、端末の移動などにより頻繁に受信ポイントが変わる場合には、受信ポイントの情報の通知にかかるオーバーヘッドが膨大になる。
【0172】
また、端末において高精度なパスロスを得るためには、十分長い平均化が必要である。このため、受信ポイントの変更の度にCSI−RSの設定情報が通知されるのでは、新たな受信ポイントからのCSI−RSを用いた高精度なパスロスの算出において遅延が生じてしまう。
【0173】
そこで、本実施の形態では、上記実施の形態において下りリンクで用いていたCSI-RS候補リストを上りリンクにおける受信ポイント(RP)の選択にも使用する。
【0174】
以下、本実施の形態に係るマクロ基地局100(
図5)、ピコ基地局200(
図6)および端末300(
図7)について説明する。
【0175】
[マクロ基地局100の構成]
マクロ基地局100において、制御部101は、実施の形態1の動作(送信ポイント選択に関する動作)に加え、以下の処理(受信ポイント選択に関する動作)を行う。
【0176】
制御部101は、端末300がCSI−RSを用いて測定する受信電力(RSRP)の報告を行うか否かの基準である所定の条件(以下、報告条件という)として、実施の形態1で説明した下りリンクの送信ポイント選択向けの報告条件に加え、上りリンクの受信ポイント選択向けの報告条件を設定する。設定される報告条件は、例えば、CSI-RS候補リストに含めて端末300へ通知される。
【0177】
つまり、CSI-RS候補リスト内において、CSI−RSを用いて測定されるRSRP(受信電力)の報告条件として、下りリンクにおける送信ポイント(TP)選択用の報告条件、及び、上りリンクにおける受信ポイント(RP)選択用の報告条件の2種類が設定される。例えば、下りリンク(DL)向けの報告条件として、RSRPが所定値を上回る場合(送信ポイントを追加する条件:TP追加条件)、又は、RSRPが所定値を下回る場合(送信ポイントを削除する条件:TP削除条件)等がある。また、上りリンク(UL)向けの報告条件として、パスロスが所定値を下回る場合(受信ポイントを追加する条件:RP追加条件)、又は、パスロスが所定値を上回る場合(受信ポイントを削除する条件:RP削除条件)等がある。
【0178】
また、制御部101は、受信部103または基地局間IF104から入力される端末300からの信号(受信信号)に含まれる、CSI−RSに関する情報(上記UL向けの報告条件を満たしたCSI−RSリソースの識別子および受信電力測定結果)を用いて、端末300の上り送信電力制御におけるパスロス算出の基準とする受信ポイント(パスロスリファレンスとなる受信ポイント)を決定する。つまり、制御部101は、端末300から報告されるRSRPの情報(UL向けの報告条件を満たしたCSI−RSの情報)に基づいて受信ポイント(RP)を選択する。すなわち、制御部101は、複数のCSI−RSのうち、端末300においてパスロス算出に用いられる少なくとも1つの特定のCSI−RSを決定する。そして、基地局100は、CSI-RS候補リストで通知済みの識別子(CSI-RS index)を用いて、上り送信電力制御のパスロスリファレンスとする受信ポイント(RP)に関する情報を端末300へ通知する。
【0179】
ここで、例えば、CSI-RS候補リストは比較的長い間隔でシグナリングされるRRCシグナリングで通知され、受信ポイントの情報は比較的短い間隔のシグナリング可能なMACシグナリングで通知される。
【0180】
また、制御部101は、決定した受信ポイントに従って、端末300が上りリンクで送信するデータまたは参照信号のリソース等の設定情報(configuration)を各端末300について決定し、送信部102を介して各端末300に通知する。ここで、制御部101は、各受信ポイントで受信される複数の端末300からの信号間で干渉が少なくなるように制御する。例えば、制御部101は、ホッピングパタンが複数の端末300間で同一になるようなランダムシードを設定する。また、上りリンクの設定情報(configuration)としては、例えば、周波数/系列などの情報、仮想的なCell id(virtual Cell id)などの情報も挙げられる。また、上りリンクの設定情報には、上り送信電力の調整のために受信ポイントごとに設定された上りリンク送信電力のオフセット値(式(1)におけるP0又は追加で設定されるオフセット値)を含めてもよい。
【0181】
受信部103は、端末300から送信される上りリンクのデータ(PUSCH)、制御信号(PUCCH)、又は、参照信号(DMRS、SRS)を受信する。
【0182】
[ピコ基地局200の構成]
ピコ基地局200では、実施の形態1の動作(下りリンクに関する動作)に加え、以下の動作(上りリンクに関する動作)が追加される。
【0183】
基地局間IF201は、受信部203から入力される端末300からの受信データ(PUSCH)をマクロ基地局100へ転送する。
【0184】
受信部203は、アンテナを介して端末300からのデータ(PUSCH)、参照信号(DMRS、SRS)などの上りリンクの信号を受信する。
【0185】
[端末300の構成]
端末300では、実施の形態1の動作(下りリンクに関する動作)に加え、以下の動作(上りリンクに関する動作)が追加される。
【0186】
受信部301は、上りリンク向けの報告条件、又は、上り送信電力制御の情報(パスロスリファレンスとする受信ポイント(CSI−RS)の情報)が含まれる信号を、マクロ基地局100またはピコ基地局200から受信し、受信信号を制御部302に出力する。
【0187】
制御部302は、受信部301から入力される上り送信電力制御の情報(パスロスリファレンスとするCSI−RSの情報を含む)に基づいて、パスロス測定に用いるCSI−RSを特定する。制御部302は、特定したCSI−RSを示す情報を測定部303へ指示する。
【0188】
測定部303は、実施の形態1と同様、CSI-RS候補リストに示される複数のCSI−RSを用いて、複数のCSI−RSのそれぞれに対する受信電力(例えば、RSRP)を測定する。また、測定部303は、測定した受信電力が上りリンク向けの報告条件または下りリンク向けの報告条件を満たすか否かを判断する。なお、上りリンク向けの報告条件としてパスロスが含まれる場合(パスロスと閾値とを比較する場合)、測定部303は、測定した受信電力(RSRP)とCSI−RS送信電力の情報(基地局100から通知される情報)とを用いて、パスロス(例えば、式(1)に示すPL)を算出する。
【0189】
測定部303は、測定した受信電力(またはパスロス)が報告条件を満たす場合、当該受信電力に対応するCSI−RS(CSI−RSのリソースの識別子)および受信電力を示す情報を含むCSI−RSに関する情報を送信部304に出力する。ここで、測定部303は、上りリンク向けの報告条件および下りリンク向けの報告条件のうち、いずれの報告条件を満たしたかを示す情報もCSI−RSに関する情報に含める。
【0190】
また、測定部303は、制御部302から指示された上り送信電力制御の情報(パスロスリファレンスとするCSI−RSの情報)に示される特定のCSI−RSを用いて、上り送信電力制御のためのパスロスを算出する。
【0191】
[マクロ基地局100及び端末300の動作]
以上の構成を有するマクロ基地局100及び端末300の動作について説明する。
【0192】
図17は、マクロ基地局100(eNBと表す)および端末300(UEと表す)の処理の流れを示すフロー図である。なお、
図17において、実施の形態1(
図8)と同一の処理には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0193】
ST101aでは、マクロ基地局100は、受信電力(例えば、RSRP)の測定方法、および、受信電力測定結果の「報告条件(Event)」を端末300へ通知する(図示せず)。ここで、マクロ基地局100は、報告条件として、下りリンクの送信ポイント選択向けの報告条件(DL向け報告条件)、および、上りリンクの受信ポイント選択向けの報告条件(UL向け報告条件)の2種類の報告条件を端末300へ通知する。例えば、UL向け報告条件として、パスロスが所定の閾値pl_add (UL)を下回った場合(受信ポイント追加のための条件)、または、パスロスが所定の閾値pl_remove (UL)を上回った場合(受信ポイント削除のための条件)を用いてもよい。
【0194】
また、マクロ基地局100は、CSI-RS候補リストの中に、上りリンク向けのパスロス算出のためのCSI−RS送信電力情報を含める。CSI−RS送信電力情報は、例えば、各受信ポイントにおけるCSI−RSの送信電力を示す。
【0195】
端末300の測定部303は、ST101aで通知されたCSI-RS候補リスト、および、マクロ基地局100から通知された受信電力の測定方法に基づいて、CSI−RSを用いたRSRP測定を行う。すなわち、
図17では、測定部303は、CSI-RS候補リストに示されるCSI-RS 1〜6のCSI-RS configurationに基づいて、6種類のCSI−RS(つまり、6個の送信ポイント(受信ポイント))に対するRSRPを測定する。また、測定部303は、測定したRSRPが報告条件を満たすか否かを判断する。
図17では、CSI-RS候補リスト(CSI-RS 1〜6)のうち、CSI-RS 1およびCSI-RS 2のRSRPがDL向け報告条件の閾値Th_add (DL)を上回っており、CSI-RS 3のRSRPがUL向け報告条件の閾値pl_add (UL)を下回っている。
【0196】
ST102aでは、端末300は、CSI-RS候補リストに示される複数のCSI−RS候補のうち、報告条件を満たすCSI−RS候補番号、報告条件を満たすCSI−RSの測定結果に加えて、DL向けまたはUL向けのいずれの報告条件を満たしたかを示す情報をマクロ基地局100へ報告する。
図17では、端末300は、DL向け報告条件を満たしたことを示す情報(
図17では「DL」)、DL向け報告条件を満たすCSI-RS候補番号(
図17ではCSI-RS 1およびCSI-RS 2)および、DL向け報告条件を満たすCSI−RSの測定結果(
図17ではvalue 1およびvalue 2)をマクロ基地局100へ報告する。同様に、
図17では、端末300は、UL向け報告条件を満たしたことを示す情報(
図17では「UL」)、UL向け報告条件を満たすCSI-RS候補番号(
図17ではCSI-RS 3)および、UL向け報告条件を満たすCSI−RSの測定結果(
図17ではvalue 3)をマクロ基地局100へ報告する。
【0197】
マクロ基地局100は、ST102aにおいて端末300から受け取った情報に基づいて、送信ポイントの選択(DL向けの処理)および受信ポイントの選択(UL向けの処理)を行う。なお、DL向けの処理(
図17に示すST103〜ST107)については実施の形態1と同一の処理であるので説明を省略する。
【0198】
マクロ基地局100は、ST102aにおいて端末300から報告された上りリンクに関する情報に基づいて、当該端末300の上りリンクにおける受信ポイントを選択または変更する。
図17では、マクロ基地局100の制御部101は、端末300においてCSI-RS 3を用いている受信ポイントに対するパスロスが他の受信ポイントよりも小さいと判断する。そこで、制御部101は、当該端末300に対する受信ポイントを、CSI-RS 3を用いている受信ポイントに決定する。
【0199】
ST401では、マクロ基地局100は、決定した受信ポイントに関する送信電力制御の設定情報(power control config)及び上りリンクのリソース設定情報(UL resource config)を端末300に通知する。ここで、マクロ基地局100は、送信電力制御の設定情報として、例えば、端末300において上り送信電力制御の際に用いるパスロス算出のためのCSI−RSの情報として、CSI−RSの識別子(CSI−RS候補リストで通知済みの情報)を通知する。また、マクロ基地局100は、上りリンクのリソース設定情報として、例えば、PUSCH、RS(DMRS、SRS)、PUCCH向けのリソース設定情報(周波数/系列などの情報、ランダムシードとして用いるID情報等)、または、上り送信電力の調整のために受信ポイントごとに設定された上りリンク送信電力のオフセット値(式(1)におけるP0又は追加で設定されるオフセット値)を通知する。
【0200】
ST402では、端末300は、ST401においてマクロ基地局100から通知された設定情報に従って、上り送信電力制御の設定を変更し、変更後の設定に従って、PUSCH(データ)、RS(DMRS、SRS)、PUCCH(制御情報)等の上りリンク信号を送信する。
【0201】
このように、マクロ基地局100では、受信部103が、端末300で複数の基地局(送信ポイントまたは受信ポイント)からのCSI−RSを用いて測定された各基地局のパスロス(第3の受信品質)に基づいて、複数の基地局のうち、上りリンクに関する報告条件(所定の条件)を満たすパスロス(第3の受信品質)に対応する、少なくとも一つのCSI−RSに関する情報(第3の情報)を受信し、制御部101が、上りリンクに関する報告条件を満たすパスロスに対応するCSI−RSに関する情報に基づいて、特定のCSI−RS(つまり、端末300の受信ポイントとする基地局のCSI−RS)を決定し、送信部102が、決定された少なくとも一つの特定のCSI−RSに関する情報(UL config。第4の情報)を送信する。端末300では、測定部303が、マクロ基地局100から通知されたCSI-RS候補リストに示される複数の基地局(送信ポイントまたは受信ポイント)からのCSI−RSを用いて、基地局(CSI−RS)のそれぞれに対するパスロス(第3の受信品質)を測定し、送信部304が、複数のCSI−RSのうち、上りリンクに関する報告条件(所定の条件)を満たすパスロス(第3の受信品質)に対応する、少なくとも一つのCSI−RSに関する情報(第3の情報)を、送信し、受信部301が、複数のCSI−RSのうち、上りリンクに関する報告条件を満たすパスロスに対応するCSI−RSに関する情報を用いて決定された、少なくとも一つの特定のCSI−RSに関する情報(UL config。第4の情報)を受信する。
【0202】
このようにして、本実施の形態では、下りリンクにおける送信ポイントの選択に加え、上りリンクにおける受信ポイントの選択にも、CSI-RS候補リストを用いる。すなわち、本実施の形態では、マクロ基地局100および端末300は、下りリンクにおける送信ポイントの選択、及び、上りリンクにおける受信ポイントの選択において、同一のCSI-RS候補リストを共通して使用する。こうすることで、受信ポイントの情報の通知に要する情報量を削減できる。
【0203】
また、本実施の形態では、上りリンクの報告条件を満たすCSI−RSに関する情報には、実施の形態1で説明した下りリンクの報告条件を満たすCSI−RSに関する情報と同様、上りリンクの報告条件を満たすパスロスに対応するCSI−RSを示す識別子、または、上りリンクの報告条件を満たすパスロスの測定結果が含まれる。つまり、受信品質の測定結果(例えば、報告条件を満たした受信電力またはパスロス)が上りリンクと下りリンクとで共通のフォーマットを用いて端末300からマクロ基地局100へ報告される。これにより、端末300とマクロ基地局100との間のシグナリングのフォーマット数の増加を防ぐことができ、簡易なシステムが構築可能となる。
【0204】
また、本実施の形態では、マクロ基地局100は、端末300に対して予め通知しているCSI-RS候補リストに含まれるCSI-RSの識別子(CSI-RS index)を、決定した受信ポイントを示す情報(例えば、UL config)として、端末300へ通知する。また、端末300は、マクロ基地局100から通知されたCSI-RSの識別子(CSI-RS index)に基づいて、受信ポイントを特定するとともに、CSI-RS候補リストの中から受信ポイントに対応するCSI-RSの設定情報を特定する。これにより、受信ポイントの更新の度に、CSI-RSの設定情報を通知する場合と比較して、受信ポイントの情報の通知にかかるオーバーヘッドを低減できる。
【0205】
また、本実施の形態では、端末300は、CSI-RS候補リストに示されるCSI−RSを用いてRSRPを予め測定している。このため、端末300では、受信ポイントの変更が通知された直後でも、十分長い平均化が為されたRSRPを得ることができる。よって、本実施の形態によれば、端末300では、受信ポイントの変更が通知された後に直ちに高精度なパスロスを用いて送信電力制御を行うことができる。
【0206】
なお、本実施の形態では、「UL向け報告条件」として、パスロスを用いる場合について説明したが、「UL向け報告条件」はパスロスを用いる場合に限らない。例えば、「UL向け報告条件」として、「RSRP+Δ」が所定の閾値以上(または以下)の場合を条件として用いてもよい。ここで、Δは、マクロ基地局100とピコ基地局200との間の送信電力差に基づくオフセット値である。例えば、マクロ基地局100の送信電力が43dBmであり、或るピコ基地局200の送信電力が30dBmであるとする。この場合、Δ=13dB(=43-30)と設定してもよい。これは、マクロ基地局100からの信号の受信電力よりもピコ基地局200からの信号の受信電力が13dB低くなるような端末300が上りリンクで送信した信号は、マクロ基地局100と当該ピコ基地局200とで同一電力で受信されるためである(ただし、双方の基地局の伝搬減衰特性が同一と仮定する)。このため、「UL向け報告条件」において、ピコ基地局200の受信電力(RSRP)にオフセットΔを付加する。これにより、端末300は、各基地局(マクロ基地局100およびピコ基地局200)について、受信電力(RSRP)を用いて「UL向け報告条件」を満たしているか否かを判断することができる。なお、この際、マクロ基地局100は、受信ポイント毎のオフセット値(Δ)を含むCSI-RS候補リストを端末300へ通知する。また、「UL向け報告条件」において、端末300の上り送信電力制御の際にマクロ基地局100からのパスロスを用いて算出した送信電力値にオフセット値(Δ)を差し引いた値を、ピコ基地局200の送信電力値として設定してもよい。このように、本実施の形態において、「UL向け報告条件」に用いる受信品質(上記第3の受信品質)は、各送信ポイントからのCSI−RSを用いて測定される受信電力(上記第1の受信品質。RSRP)を用いて算出される受信品質(パスロス、及び、RSRP+Δ等)であればよい。
【0207】
また、本実施の形態では、下りリンクの信号(CSI−RS)を用いて受信ポイントの選択を行う場合について説明した。しかし、本実施の形態において、マクロ基地局100は、上りリンクの信号(例えば、SRS(サウンディング向け参照信号))を用いて受信ポイントの選択を行ってもよい。この場合、マクロ基地局100は、CSI-RS候補リスト内のCSI-RS識別子を用いて、選択した受信ポイントを通知することで、本実施の形態と同様、受信ポイントの情報の通知にかかるオーバーヘッドの増加を抑えることができる。
【0208】
また、本実施の形態では、下りリンクにおける送信ポイント選択向け報告条件、および、上りリンクにおける受信ポイント選択向け報告条件の2種類の報告条件を用いる場合について説明した。しかし、本実施の形態において、用途の異なる複数の報告条件を設定するようにしてもよい。
【0209】
また、本実施の形態において、送信ポイント(受信ポイント)あたり複数のアンテナがある場合には、アンテナ間の平均のRSRPを用いてパスロス(またはRSRP+Δ)を算出してもよく、各アンテナのRSRPの合計を用いてパスロス(またはRSRP+Δ)を算出してもよい。
【0210】
また、下りリンクでは端末300の近隣に位置する送信ポイントから信号を送信すべく、送信ポイントの切替を行う。これに対して、上りリンクではマクロ基地局100のみの受信(または全基地局での受信)を行い、受信ポイントの切替を行わないような運用も考えられる。または、上りリンクのみで受信ポイントの切替を行う運用も考えられる。そこで、マクロ基地局100は、各送信ポイント/受信ポイント(CSI−RS)について、下りリンク向けのRSRP報告対象、上りリンク向けのRSRP報告対象、または、上下リンク双方向けのRSRP報告対象のいずれであるかを示す情報を、端末300へ通知してもよい。このRSRP報告対象を示す情報は、明示的に通知されてもよい。例えば、CSI-RS候補リストで通知される各CSI−RSの送信電力情報が最大値であるCSI−RSについては、上りリンク向けのRSRP報告の対象外としてもよい。CSI−RSの送信電力情報が最大値である場合には算出されるパスロスは大きな値となるため、受信ポイントとして選択されることはないので、当該CSI−RSを報告の対象外としても問題ない。また、RSRPに加えるオフセット(CSI-RS individual offset)が最小値となるCSI−RSについては、下りリンク向けのRSRP報告の対象外としてもよい。オフセットが最小値である場合には報告条件の閾値以上となり(報告条件を満たさず)、その受信ポイントが選択されることはほとんどないため、当該CSI−RSを報告の対象外としても問題ない。また、上記送信電力情報の「最大値」またはオフセットの「最小値」となる場合の動作は、明示的に設定してもよく、暗示的に動作させてもよい。これにより、下りリンクのみでCoMP、上りリンクのみでCoMP、または、上下リンク双方でCoMPのそれぞれの運用形態に対応することが可能となる。また、上述したように、CSI−RS(つまり送信ポイント/受信ポイント)毎にRSRP報告対象を設定するのではなくて、端末(UE)毎に下りリンク向けのRSRP報告対象、上りリンク向けのRSRP報告対象、上下リンク双方向けのRSRP報告対象を、それぞれ通知してもよい。
【0211】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0212】
[他の実施の形態]
(1)上記各実施の形態において、1つの送信ポイントが複数のアンテナポートを有する場合、端末は、CSI-RS候補リストに基づいて、各送信ポイントの異なるアンテナポートから送信されるCSI−RSを用いた測定結果の平均値(単純平均、加重平均、中央値等)を、マクロ基地局へ報告してもよい。各アンテナポートの測定結果の平均値を示す1つの測定結果のみが報告されるので、報告に要する情報量が低減される。また、送信ポイントが有する複数のアンテナポートでの測定結果を平均することにより、受信品質の測定精度を向上させることが可能となる。
【0213】
また、1つの送信ポイントが複数のアンテナポートを有する場合でも、端末は、1つのアンテナポートから送信されるCSI−RSを用いた測定結果、または限られた数のアンテナポートから送信されるCSI−RSを用いた測定結果の平均値を、マクロ基地局へ報告してもよい。この場合、測定するリソースを必要最小限に限定できるので端末での処理量の低減が可能である。
【0214】
(2)上記各実施の形態において、端末がCSI−RSを用いて測定する受信品質としては、受信電力に限らず、例えば、RSRP、RSRQ、SINR、SLNR等を用いてもよい。
【0215】
(3)上記各実施の形態では、CSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告条件として、測定結果が閾値A(またはTh_add)を上回った場合、測定結果が閾値B(またはTh_remove)を下回った場合、または、測定結果が、CSI−RS測定対象として現在指定されているCSI−RSの測定結果をC[dB]上回った場合、等について説明した。しかし、CSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告条件は、これらに限らず、例えば、モビリティ制御のためのmeasurement(例えば、「3GPP TS36.331 v10.1.0」参照)の報告条件(Event)を用いてもよい。既存の条件(上記Event等)をCSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告条件として再利用することで、端末の簡素化およびテスト工数の低減が可能となる。また、CSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告条件は、伝搬路状態等の電波環境以外の要因を考慮して設定されてもよい。例えば、報告条件として、高い料金を支払うユーザの端末に対してより多くの送信ポイントを用いるような条件を設定してもよい。
【0216】
(4)上記各実施の形態では、マクロセル内の送信ポイント毎に異なるリソースでCSI−RSが送信される場合について説明した。しかし、必ずしもマクロセル内の送信ポイント毎に異なるリソースでCSI−RSを送信する必要はない。例えば、或る端末に信号が届く範囲(エリア)において、各送信ポイントが異なるリソースでCSI−RSを送信すればよい。すなわち、十分離れた場所、または、壁等で隔離された場所では、異なる送信ポイントが同一リソースでCSI−RSを送信してもよい。
【0217】
(5)上記各実施の形態において、CSI-RS候補リスト内に、異なるセルIDのセル内の送信ポイントが使用しているCSI−RSのconfigurationを含めてもよい。この場合、CSI-RS候補リスト内の各CSI-RS configurationの中にセルIDの情報を含めればよい。これにより、端末は、受信電力の大きい送信ポイントを、異なるIDのセル間で選択することができる。
【0218】
(6)上記各実施の形態において、複数の送信ポイントに対して1つのCSI-RS configurationを設定してもよい。例えば、送信ポイント1が有する2アンテナポートと、送信ポイント2が有する2アンテナポートとを合わせた4アンテナポートのCSI−RSとして、1つのCSI-RS configurationを設定してもよい。この場合、4つのアンテナポートのCSI−RSに対して1つのCSI測定結果が報告されるので、報告情報の情報量が低減される。
【0219】
(7)上記各実施の形態では、CSI−RSを用いる場合について説明したが、CSI−RSの代わりに、各送信ポイントから異なるリソースで送信可能な信号またはチャネルを用いてもよい。例えば、CSI−RSの代わりに、同期用信号であるPSS/SSS(Primary Synchronization Signal/Secondary Synchronization Signal)を用いてもよい。この場合、CSI-RS候補リストの代わりに、PSS/SSSのconfiguration情報(スクランブリング系列等)がマクロ基地局から端末へ通知される。
【0220】
(8)上記各実施の形態では、CRSが全ての送信ポイントから送信される場合について説明したが、CRSは、例えば、マクロ基地局(HPN)のみから送信されてもよい。
【0221】
(9)上記各実施の形態では、マクロ基地局とピコ基地局とから構成されるネットワークを一例として説明した。しかし、マクロ基地局のみから構成されるネットワークであっても、複数のマクロ基地局が同一のセルIDを用いる場合には、本発明を適用することができる。また、ピコ基地局はRRH(Remote Radio Head)等のように無線増幅部およびアンテナのみで構成されるものであってもよいし、通常の基地局のようにベースバンド処理部が設けられていてもよい。
【0222】
(10)上記各実施の形態では、CSI−RSを用いた受信電力測定結果が報告条件を満たした場合、端末が報告条件を満たした測定結果のみをマクロ基地局へ報告する場合について説明した。しかし、CSI−RSを用いた受信電力測定結果が報告条件を満たした場合、端末は、全てのCSI−RSの測定結果をマクロ基地局へ報告してもよい。この場合、マクロ基地局は、報告された全てのCSI−RSの中から、CSI測定対象のCSI−RS(送信ポイント)を決定すればよい。
【0223】
(11)上記各実施の形態で用いたzeroTxPowerCSI-RSおよびresourceConfig等は、例えば、3GPP TS36.331 v10.1.0に記載のパラメータを用いてもよい。
【0224】
(12)上記各実施の形態において、Rel.8〜10のCRSを用いたmeasurement向けのmeasurement objectの中に、各セルまたはキャリアのCSI-RS候補リストを示す情報を含めて、端末に通知してもよい。これにより、既存のシグナリングを再利用することにより簡易なシステムが構築可能となる。
【0225】
(13)上記各実施形態では、(3)に記載したように、CSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告条件として、測定結果が閾値A(またはTh_add)を上回った場合、測定結果が閾値B(またはTh_remove)を下回った場合、または、測定結果が、CSI−RS測定対象として現在指定されているCSI−RSの測定結果をC[dB]上回った場合、等について説明した。ここで、第2の報告条件「測定結果が閾値B(またはTh_remove)を下回った場合」は、さらに2つの報告条件に分割することができる。
【0226】
1つ目の報告条件は、CCLで設定されたCSI−RSを用いた測定結果が、閾値Bを下回った場合に、第1の受信品質を報告する方法である。
【0227】
2つ目の報告条件は、第1の報告条件「測定結果が閾値A(またはTh_add)を上回った場合」など、すでに基地局に報告された第1の受信品質に含まれるCSI−RSの測定結果が、閾値Bを下回った場合に、第1の受信品質を報告する方法である。このようにすることで、基地局が第2の情報に含めるCMLとして設定している、あるいは、設定しようとしているCSI−RS候補のうちいずれかの測定結果が閾値Bを下回ったときにだけ、第1の受信品質が報告されるので、報告回数を減らすことができる。なお、端末が特定の閾値を下回ったことを報告したCSI−RSは、2つ目の報告条件の対象とするCSI−RSのリストから外してもよい。このようにすることで、基地局が特定の閾値を下回っていることを把握しているCSI−RSの受信品質を再び送信することを避けることができ、報告回数を減らすことができる。なお、特定の閾値とは、閾値Aの値でもよいし、閾値Bの値でもよいし、別途設定しても良い。
【0228】
また、上記の報告条件を満たした場合の第1の受信品質の報告方法として以下の5つが考えられる。
【0229】
第1の報告方法では、端末は、上記報告条件を満たした場合にCSI−RS候補リストの全てのCSI−RSの測定結果を報告する。このようにすることで、基地局では、候補リスト内の全てのCSI−RSに対してより最近のCSI−RS測定結果が得られるため、より適切なCMLの設定が可能である。
【0230】
第2の報告方法では、端末は、上記報告条件を満たした場合に、特定の閾値を上回るCSI−RSの測定結果のみを第1の受信品質として基地局に報告する。このようにすることで、報告されるCSI−RS測定結果が限定されるので、報告メッセージサイズを小さくすることができる。なお、特定の閾値とは、閾値Aの値でもよいし、閾値Bの値でもよいし、別途設定しても良い。
【0231】
第3の報告方法では、端末は、上記報告条件を満たした場合に、上記第1の報告条件「測定結果が閾値A(またはTh_add)を上回った場合」で報告された第1の受信品質に含まれるCSI−RSの測定結果のうち、特定の閾値を上回るCSI−RSの測定結果のみを第1の受信品質として基地局に報告する。なお、特定の閾値とは、閾値Aの値でもよいし、閾値Bの値でもよいし、別途設定しても良い。このようにすることで、基地局は、どのCSI−RSをCMLの候補として適切かを判断することが出来ると共に、CSI−RSの測定結果の報告メッセージサイズを小さくすることができる。
【0232】
第4の報告方法では、端末は、上記報告条件を満たした場合に、上記第1の報告条件「測定結果が閾値A(またはTh_add)を上回った場合」で報告された第1の受信品質に含まれるCSI−RSの測定結果の全てのCSI-RSの測定結果を報告する。このようにすることで、基地局が既に保持している各CSI-RSの測定結果を更新することができる。
【0233】
第5の報告方法は、上記報告条件を満たした場合に、報告条件を満たしたCSI-RSの測定結果のみを報告する方法である。このようにすることで、報告のメッセージサイズを最小限に抑えることができる。
【0234】
(14)上記各実施の形態では、CRSはセル単位で設定され、セル内のユーザは共通のCRSを用いる。一方、CSI-RSをセル固有または送信ポイント(TP)固有の設定、つまり、セル内の全ユーザが共通のCSI-RS設定を用いるようにしてもよいし、ユーザ固有の設定にしてもよい。ユーザ固有の設定の場合には、CSI-RSはユーザ固有に設定可能であり、ユーザごとに受信するCSI-RSが異なってもよい。例えば、複数のTPから協調送信するようなCoMP送信方法を用いるユーザには複数のTPから同一のリソースでCSI-RSを送信してもよい。この場合、CoMP送信方法を用いるユーザは、複数のTPから同一のリソースで送信されたCSI-RSを用いるのに対して、他のユーザは、1つのTPから送信されたCSI-RSを用いる。また別の例として、混雑しているTPのCSI-RSを限定されたユーザにしか設定しないことにより、TPに接続しているユーザのスループット低下を防ぐことができる。このように、CSI-RSをユーザ固有に設定することにより、様々な伝送方式を用いるユーザが混在する柔軟なシステムを構築可能できる。
【0235】
(15)上記実施の形態では、受信電力測定結果をマクロ基地局へ報告するようにしたが、LPN又はピコ基地局など他のノードを介して報告するようにしてもよい。この場合、端末は単にLPN又はピコ基地局などの他のノードへ報告データを送信する。
【0236】
(16)上記実施の形態において、マクロ基地局とピコ基地局はそれぞれ異なる1つのキャリア周波数を用いてもよいし、異なる組み合わせのキャリア周波数を用いてもよい。例えば、マクロ基地局はf1のキャリア周波数、ピコ基地局はf2のキャリア周波数を用いるようにしてもよいし、マクロ基地局はf1とf2の2つのキャリア周波数用い、ピコ基地局はf2の1つのキャリア周波数を用いるようにしてもよい。この場合、f1(つまりマクロ基地局間)では実施の形態3で説明したようなCRSを用いた受信電力測定結果の報告とそれに基づいたハンドオーバー(あるいは移動管理)を行い、f2(つまりピコ基地局間)ではCSI−RSを用いた受信電力測定結果の報告とそれに基づいたハンドオーバー(あるいは移動管理)を行うようにしてもよい。この場合、それぞれの周波数で適切な受信電力測定結果が得られるため端末をより高い受信品質のセルに接続させることができる。また、実施の形態4のようにこれらのf1とf2をcarrier aggregationとして端末が両方を用いて通信してもよい。この場合、端末はf1、f2それぞれにおける受信品質のよい基地局(あるいはセル)に接続しながら通信できるため高いスループットを実現できる。
【0237】
(17)上記実施の形態において、Extension carrierはnew carrier type又はadditional carrier typeと呼ばれることもある。また、Extension carrierはPBCH又はPDCCHが送信されないキャリアとして定義される場合もある。
【0238】
(18)上記各実施の形態ではアンテナとして説明したが、本発明はアンテナポート(antenna port)でも同様に適用できる。
【0239】
アンテナポートとは、1本又は複数の物理アンテナから構成される、論理的なアンテナを指す。すなわち、アンテナポートは必ずしも1本の物理アンテナを指すとは限らず、複数のアンテナから構成されるアレイアンテナ等を指すことがある。
【0240】
例えば3GPP LTEにおいては、アンテナポートが何本の物理アンテナから構成されるかは規定されず、基地局が異なる参照信号(Reference signal)を送信できる最小単位として規定されている。
【0241】
また、アンテナポートはプリコーディングベクトル(Precoding vector)の重み付けを乗算する最小単位として規定されることもある。
【0242】
(19)上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0243】
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0244】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0245】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0246】
2011年8月5日出願の特願2011−171710および2011年9月30日出願の特願2011−217298の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。